JP3171445U - 電気集塵装置の集塵極エレメント補強金具 - Google Patents

Abstract

【課題】長年に亘る電気集塵装置の集塵極槌打により、集塵極エレメントの槌打部位近傍に発生する亀裂等を防止する電気集塵装置の集塵極エレメントの補強金具を提供する。【解決手段】凹凸部が波形上に並ぶ集塵極エレメントの略１個分の凹部の曲がり部を含むように、その両面から凹凸部に合わせて整形した一対の補強ライナーで挟み込み、補強ライナーの下部の貫通穴を通して槌打ビームにボルト、ナットで固定するとともに、補強ライナーの上部に有する貫通穴を通してボルト、ナットで締結する。【選択図】図２

Description

本考案は、乾式電気集塵用集塵装置の集塵極に関し、詳しくは、使用につれて集塵極に付着するダストを槌打装置により槌打して剥離除去する乾式電気集塵装置の集塵極の補強金具に係る。

ボイラ排ガスなどの排気ガスからダストを除去するために電気集塵装置が用いられている。これは放電極と集塵極と交互に対面配置し両極間に高電圧を印加し、その間に排ガスを通して、放電によりガス中のダストを荷電させ、集塵極に付着させてダストを取り除くものである。集塵作業を継続することにより集塵極の極板表面にダストが付着積層するため、乾式電気集塵装置の場合には集塵極板を定期的にハンマーで槌打し、付着ダストを取り除くようにしている。この集塵極への槌打による衝撃が長年継続することにより集塵極の部材である集塵極エレメントが損傷を受ける場合があり、その対策として特許文献１および特許文献２に記載の技術が挙げられる。

特許文献１は、縦方向に沿った凹条部と凸条部の繰り返しからなる凹凸面構造（波型構造）とした集塵電極エレメントにおいて、上縁ビームと下縁ビームとを連結するチャンネル材を前記凹条部に沿って配置することで対策している。
また、特許文献２は、同様に凹凸面構造とした集塵電極エレメントの隣同士を高さ方向の中間部で固定ピースにより連結することで対策している。

特開２００９−２２６２９７号公報 特開２００７−１５２２０６号公報

槌打装置は縦方向に複数列吊下される短冊状のエレメント部材を横方向から槌打することにより、ダストを剥離除去する。このため、槌打装置による槌打を繰り返すうちに、エレメント部材、特に、槌打部位近傍に位置する集塵極板の縦方向側縁部のエレメント部材に亀裂が生じる虞がある。また、亀裂によりエレメント部材が脱落することも想定されるが、脱落した場合には、集塵極板が放電極板に接触して危険である。

本考案は、槌打装置により生じるエレメント部材の亀裂の発生、亀裂の進展、エレメント部材の脱落を防止する電気集塵装置の集塵極エレメント補強金具を提供することを課題とする。

上記課題を解決するため本考案は、凹凸部が波形上に並ぶ集塵極エレメント５の略１個分の凹部（裏面から見ると凸部）の曲がり部を含むように、その両面から凹凸部に合わせて整形した一対の補強ライナー（外側補強ライナー２０、内側補強ライナー２５）で挟み込み、その補強ライナーの下部の貫通穴においてスペーサーを介して槌打ビームとともにボルト、ナットで固定し、また補強ライナーの上部に有する貫通穴を通してボルト、ナットで締結するよう構成することを特徴とする。
このような特徴を有することによれば、集塵極エレメントにおいて槌打による衝撃が集中する前記凹部（裏面から見ると凸部）の曲がり部を密着した補強ライナーで補強し、強度を高めることができる。
また、前記補強ライナー下部の締結用のボルト、ナットは高力ボルト、ナットであることを特徴とする。
このような特徴を有することによれば、槌打時の衝撃によっても、前記集塵極エレメントと補強ライナー及び槌打ビームの締結力を保つことができる。

本考案によれば、凹凸部が波形上に並ぶ集塵極エレメントの槌打による亀裂等の損傷を防止でき、電気集塵装置の長寿命化が図れる。

本考案の電気集塵装置の構成を示す概要図。 本考案の補強ライナーの取り付け状況を示す斜視図。 本考案の補強ライナーの取り付け状況を示す断面図。

以下、図に基づいて本考案の実施例を説明する。
図１は電気集塵装置１の構成を示しており、内部に集塵極（複数の集塵極エレメント５から構成）、放電極（複数の放電線９が放電枠４に張設されている）、集塵極の槌打ハンマーを有している。
排ガスはケーシング２の入口煙道３から流入し、両電極間を通過して除塵されたのち出口煙道１０から排出される。放電極には高電圧が印加されるため、碍子１１でケーシング２と絶縁されている。
集塵極エレメント５は、断面が波形に形成されるとともに長さ１５ｍ、幅６０ｃｍ、厚み１．２ｍｍの縦長な短冊状鋼板であり、その左右の長辺な側辺部が、左右に隣接する集塵極エレメント５、５の側辺部と一定の隙間を開けて同一面内に並列されており、これらの９枚の集塵極エレメント５、５…の上短辺部が吊りビーム６によって固定されるとともに、９枚の集塵極エレメント５、５…の下短辺部が槌打ビーム７によって固定されている。

吊りビーム６は、一対のビーム材からなり、これらのビーム材によって集塵極エレメント５、５…の上短辺部が挟み込まれるとともにボルト（図示せず）によって双方が固定されている。また、吊りビーム６には吊りボルト（図示せず）が設けられ、この吊りボルトが集塵室の天井部に締結されることにより集塵極がケーシング２内に吊り下げ支持される。

槌打ビーム７も同様に、一対のビーム材からなり、これらのビーム材によって集塵極エレメント５、５…の下短辺部が挟み込まれるとともにボロン鋼を材質とする高力ボルト２２、ナット２３によって双方が固定されている。また、槌打ビーム７の一端部には槌打ピース３０が突設されている。この槌打ピース３０が槌打ハンマー８によって槌打されると、それによって生じる振動が集塵極エレメント５、５…に伝播し、集塵極エレメント５、５…が振動する。これにより、集塵極エレメント５、５…に付着しているダストに剪断力等のダスト剥離力が与えられるので、集塵極エレメント５、５…からダストが剥離除去される。この場合、集塵極エレメント５に伝播する振動の加速度が大きい部位に、槌打による応力が集中することが知られている。

図２は補強ライナー（外側補強ライナー２０、内側補強ライナー２５）で、前記集塵極エレメント５の応力集中部を補強している様子を示している。

集塵極エレメント５の略１個分の凹部（裏面から見ると凸部）の曲がり部を含むように、その両面から補強ライナー（外側補強ライナー２０、内側補強ライナー２５）で挟み込み、その補強ライナーの下部の貫通穴において、スペーサー２４（材質STPG）を介して槌打ビーム７とともに高力ボルト２２、ナット２３で固定し、さらに補強ライナー（外側補強ライナー２０、内側補強ライナー２５）の上部に有する貫通穴を通してボルト２１、ナット２６で締結している。

補強ライナー（外側補強ライナー２０、内側補強ライナー２５）は、複数ある集塵極エレメント５のうち、槌打位置に最も近い集塵極エレメント５のみに設置しても良いし、複数エレメントに設置しても良い。
また、槌打位置に最も近い集塵極エレメント５においても、さらに槌打位置に最も近い凹部（裏面から見ると凸部）のみに設置しても良いし、複数個所の凹部に設置しても良い。
図３は補強ライナー（外側補強ライナー２０、内側補強ライナー２５）を設置したところの断面図であり、集塵極エレメント５を外側補強ライナー２０と内側補強ライナー２５で挟み込み、下部位置においては、スペーサー２４を介して高力ボルト２２、ナット２３で槌打ビーム７に、また、上部位置においては、直接ボルト２２、ナット２３で固定している様子を示している。
スペーサー２４を介することで槌打時の振動が槌打ビーム７から伝播し、確実に付着ダストを剥離できる。

１…電気集塵装置、２…ケーシング、３…入口煙道、４…放電枠、５…集塵極エレメント、６…吊りビーム、７…槌打ビーム、８…槌打ハンマー、９…放電線、１０…出口煙道、１１…碍子、２０…外側補強ライナー、２１…ボルト、２２…高力ボルト、２３…ナット、２４…スペーサー、２５…内側補強ライナー、２６…ナット。

Claims (2)

1. 電気集塵装置の集塵極を構成するエレメントの補強金具であって、凹凸部が波形上に並ぶ集塵極エレメントの略１個分の凹部の曲がり部を含むように、その両面から凹凸部に合わせて整形した一対の補強ライナーで挟み込み、該補強ライナーの下部の貫通穴においてスペーサーを介して槌打ビームとともにボルト、ナットで固定し、さらに補強ライナーの上部に有する貫通穴を通してボルト、ナットで締結することを特徴とする電気集塵装置の集塵極エレメントの補強金具。
2. 前記補強ライナーの下部の貫通穴において槌打ビームへの締結に用いるボルトが高力ボルトであることを特徴とする電気集塵装置の集塵極エレメントの補強金具。

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