JP2019217472A - 集じん板補修具および集じん極および電気集じん機 - Google Patents

集じん板補修具および集じん極および電気集じん機 Download PDF

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弘之 田原
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【課題】亀裂が生じた集じん板の塵の強度の低下を好適に抑制するとともに、亀裂の広がりも好適に抑制することができる集じん板補修具を提供する。【解決手段】電気集じん機の集じん極において、槌打位置寄りの集じん板を補修するための補修具であって、金属製で、集じん板2aをその厚み方向から挟持するように配される一対の補修板3a1,3a1と、同じく金属製の平板材を成形してなり、一対の補修板3a1,3a1の下端同士を連結して一体化するとともに、集じん板2aの下端に固設されている槌打用ビーム18の外側面に接触しながら周設される連結部3bと、集じん板2aの集じん面Pに補修板3a1,3a1を接触させながら固定する固定構造6と、を備えていることを特徴とする集じん板補修具1Aによる。【選択図】図1

Description

本発明は、集じん極に付着するダストを槌打装置により槌打して剥離除去する乾式の電気集じん機において集じん極を補修するための集じん板補修具およびそれを備えた集じん極およびそれを備えた電気集じん機に関する。
従来、ボイラ排ガスなどの排気ガスから塵を除去するために電気集じん機が用いられている。
はじめに、従来技術に係る集じん機の概要について図6を参照しながら説明する。図6(a)は電気集じん機の概念図であり、(b)は電気集じん機における集じん板に亀裂が生じている様子を示す斜視図である。
一般に、乾式の電気集じん機10は図6(a)に示すように、ケーシング11内に複数対の放電枠(放電極)15及び集じん極20、並びに、この集じん極20を槌打するための槌打ハンマー21を備えてなるものである。
このような電気集じん機10では、図6(a)に示すように、排ガスが入口煙道12からケーシング11内に流入し、放電枠(放電極)15と集じん極20とからなる両極間を通過する際に排ガス中の塵が除去された後、出口煙道13から除塵済の排ガスが排出される。また、放電枠(放電極)15には放電線16が架設されており、この放電線16には高電圧が印加されるため、ケーシング11の上部に設けられる碍子14によりケーシング11と放電枠(放電極)15とは絶縁されている。
さらに、集じん極20は、図6(a)に示すように、短冊状の鋼板からなる集じん板2aの長辺を鉛直方向に配しつつ、複数枚の集じん板2aを同一平面内に並設し、さらに、集じん板2a群において鉛直上方側に配される短辺を一対の吊ビーム17,17で挟持して一体に保持するとともに、集じん板2a群において鉛直下方側に配される他の短辺を一対の槌打ビーム18,18により挟持して(図6(b)を参照)一体に保持してなるものである。
さらに、このような集じん極20では、槌打ハンマー21により槌打される側の槌打ビーム18,18の端面側に、槌打ピース19が一体に固設されている。
また、上述の集じん極20は、複数枚の鋼板で構成されており、個々の集じん極20の大きさは、例えば、鉛直方向に配される長辺の長さが12.5m、水平方向に配されている短辺の長さが6m、板厚が1.2〜1.6mmであるものが用いられる。
なお、図6(a),(b)では、集じん極20における集じん板2aが平板状である場合を例に挙げて説明しているが、集じん板の表面積を大きくする目的で波板等の平板以外のものが用いられる場合もある。
図6(a)に示すような従来技術に係る電気集じん機10では、排ガス中の塵が集じん板2aの表面に付着することで排ガス中から除去される。さらに、集じん板2aの表面に付着し、堆積した塵は、槌打ハンマー21により槌打ビーム18を槌打した際に生じる衝撃と振動で、集じん板2aの表面から剥離除去される。
このような従来技術に係る電気集じん機10では、槌打ハンマー21による集じん極20への槌打が繰り返されることで、図6(b)に示すように、槌打ハンマー21が配される側の集じん板2aと槌打ビーム18の連結部の近傍の鋼板(図6(a)中において破線で囲んだ部分)が疲労をおこして、最終的にこの部分に亀裂22が生じてしまう。
そして、集じん板2aに図6(b)に示すような亀裂22が生じた場合は、その集じん板2aにおける亀裂22の水平方向長さ分のエリアでその連結状態が損なわれてしまうため、集じん板2a全体としての強度が低下するという不具合が生じていた。
また、図6(a)に示すような形態の電気集じん機10では、一台当たり数百単位の集じん極20を備えており、その全てにおいて槌打位置近傍の集じん板2aに亀裂22が生じる可能性がある。
さらに、集じん板2aは一定期間ごとに交換されるが、亀裂22が生じた場合でも直ちにその集じん板2aを交換することができないため、強度が低下したまま、あるいは、亀裂22が広がって強度の低下が進む中で、集じん板2aが交換されるまで電気集じん機10を稼働させなければならなかった。
このような事情に対処するための先行技術としては以下に示すようなものが知られている。
特許文献1には「電気集塵装置の集塵極エレメント補強金具」という名称で、乾式電気集塵用集塵装置の集塵極に関する考案が開示されている。
特許文献1に開示される集塵極エレメントの補強金具は、凹凸部が波形上に並ぶ集塵極エレメントの略1個分の凹部の曲がり部を含むように、その両面から凹凸部に合わせて整形した一対の補強ライナーで挟み込み、補強ライナーの下部の貫通穴を通して槌打ビームにボルト、ナットで固定するとともに、補強ライナーの上部に有する貫通穴を通してボルト、ナットで締結することを特徴とするものである。
上記構成の特許文献1に開示される考案によれば、長年に亘る電気集塵装置の集塵極槌打により、集塵極エレメントの槌打部位近傍に亀裂等が発生するのを好適に防止することができる。
登録実用新案第3171445号公報
上述の特許文献1に開示される考案によれば、集塵極エレメント(本願発明における集じん板に相当)の槌打部位近傍を補強することができるので、集塵極エレメント(本願発明における集じん板に相当)の槌打部位近傍に亀裂が生じるのを好適に抑制することができるものの、亀裂が生じた集塵極エレメントの補修には適さないと考えられる。
この理由として、特許文献1に開示される考案を集塵極エレメントに取設するには、集塵極エレメント及び槌打ビームのそれぞれに対して穿孔作業を行う必要がある。先にも述べたように、電気集じん機一台当たりの集じん極数は数百単位にものぼる。このため、それぞれの槌打部位近傍における集塵極エレメントに特許文献1に開示されている補強金具を取り付けるべく、集塵極エレメント及び槌打ビームに対してボルト、ナットを設けるための穿孔作業を行うことは作業者にとって大きな負担となり好ましくなかった。
さらに、特許文献1に開示される考案の場合は、一対の槌打ビームの内側に補強ライナーが配されているので、補強ライナーを後付けする場合は、集じん極を一部分解する必要があり、その取付け作業が極めて煩雑になることが予想される。
このため、特許文献1に開示される考案は、集じん極の製造時に予め集塵極エレメントを補強しておくための技術としては適すると考えられるものの、亀裂が生じた既存の集塵極エレメントの補修用具としては適さないという課題を有していた。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、既存の集じん極への取設が容易で、かつ亀裂が生じた集じん板の強度の低下を好適に抑制でき、しかも亀裂の広がりも好適に抑制することができる集じん板補修具、及びそれを備えてなる集じん極、及びそれを備えてなる電気集じん機を提供することにある。
加えて、本発明は、槌打位置近傍に配される集じん板への取設が極めて容易な集じん板補修具、及びそれを備えてなる集じん極、及びそれを備えてなる電気集じん機を提供することにある。
上記課題を解決するための第1の発明である集じん板補修具は、電気集じん機の集じん極において、槌打位置寄りの集じん板を補修するための補修具であって、金属製で、集じん板をその厚み方向から挟持するように配される一対の補修板と、金属製の平板材を成形してなり、一対の補修板の下端同士を連結して一体化するとともに、集じん板の下端に固設されている槌打用ビームの外側面に接触しながら周設される連結部と、集じん板の集じん面に補修板を接触させながら固定する固定構造と、を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第1の発明において一対の補修板は、集じん板に生じた亀裂を跨いで集じん面と接触することで、亀裂が生じた部分の集じん板の強度を補うという作用を有する。また、一対の補修板はその鉛直方向下端に連結される連結部により電気的に接続される。
さらに、連結部は一対の補修板を連結して一体化するとともに、槌打ビームの外側面と接触することで、亀裂が生じた部分の集じん板における集じん板と槌打ビームとの間の導通性を補うという作用を有する。さらに、連結部は一対の補修板と協働して、槌打位置寄りの集じん板に亀裂が生じている場合に、槌打用ビームが鉛直上下方向又は水平方向に振動するのを抑制するという作用を有する。そして、この作用により、集じん板に生じている亀裂の進行を遅らせるという作用を有する。
また、固定構造は、集じん板及び槌打ビームに、一対の補修板及び連結部を接触させながら固定するという作用を有する。
よって、第1の発明によれば、集じん板において亀裂が生じた部分の電気的な性質及び強度を補って、この亀裂の広がりを抑制するという作用を有する。
第2の発明である集じん板補修具は、上述の第1の発明において、固定構造は、挟持具であることを特徴とするものである。
上記構成の第2の発明は、上述の第1の発明による作用と同じ作用に加えて、固定構造が挟持具であることで、集じん板と槌打ビームの接続部分に対する補修板及び連結部からなる補修パーツの固定作業を迅速かつ容易にするという作用を有する。
つまり、第2の発明によれば、既存の集じん板に対する集じん板補修具の後付けが容易になる。
第3の発明である集じん極は、第1又は第2の発明である集じん板補修具を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第3の発明は、上述の第1又は第2の発明を備えているため、第1又は第2の発明による作用と同じ作用を奏する。
さらに、第3の発明では、第1又は第2の発明である集じん板補修具の取付け対象が、亀裂が生じている集じん板である場合は、第1又は第2の発明である集じん板補修具を設けることで、その集じん板の電気的特性が改善される。さらに、第1又は第2の発明の装着対象である集じん板の強度が低下するのを抑制するという作用を有する。加えて、第1又は第2の発明の装着対象である集じん板において亀裂の進行(広がり)が抑制されることで、亀裂が生じている集じん板の使用可能期間を長くするという作用も有する。
また、第3の発明では、第1又は第2の発明である集じん板補修具の取付け対象が、亀裂が生じていない集じん板である場合は、集じん板の槌打位置近傍に亀裂が生じる時期を第1又は第2の発明を備えない場合に比べて遅くするという作用を有する。さらにその後、槌打位置近傍の集じん板に亀裂が生じた場合は、上述のような集じん板の強度が低下するのを抑制する作用、並びに、亀裂の進行(広がり)を遅らせるという作用を有する。
第4の発明である電気集じん機は、第3の発明である集じん極を備えていることを特徴とするものである。
上記構成の第4の発明は、第3の発明を備えていることで、第3の発明による作用と同じ作用を有する。
また、第4の発明である電気集じん機の集じん極が、亀裂の補修を第1又は第2の発明により行った集じん極である場合、亀裂に起因する集じん板の集じん機能の低下が抑制されるため、電気集じん機全体としての強度の低下も抑制される。また、第1又は第2の発明を備えていることで、これらを備えない場合に比べて集じん極の使用可能期間が長くなるので、電気集じん機における集じん極の交換頻度を少なくするという作用を有する。
さらに、第4の発明である電気集じん機が備える集じん極が、亀裂が生じていない集じん板に補強部材として第1又は第2の発明を備えている集じん極である場合、集じん板の槌打位置近傍に亀裂が生じるまでの期間を、第1又は第2の発明を備えない場合に比べて長くするという作用を有する。さらにこの後、集じん板の槌打位置近傍に亀裂が生じた際は、上述の通り、電気集じん機全体としての強度の低下を抑制するという作用、並びに、亀裂が生じた集じん板の使用可能期間を長くするという作用が発揮される。この結果、第4の発明である電気集じん機における集じん極の交換頻度を少なくするという作用を有する。
このような第1の発明によれば、槌打位置近傍の集じん板に亀裂が生じた際に、亀裂に起因する集じん板の強度の低下を、一対の補修板及びこれらを連結する連結部により補うことができる。この結果、亀裂が生じた集じん板と槌打ビームとの接続部分に第1の発明を取設することで、亀裂が生じた集じん板を備えている集じん極の強度が低下するのを好適に抑制することができる。
さらに、第1の発明を備えることで、槌打時に、槌打ビームの鉛直方向や水平方向の振動が抑制されて、集じん板に生じた亀裂が広がるのを遅らせることができる。この結果、第1の発明を備えない場合に比べて、亀裂が生じた集じん板の使用可能期間を長くすることができる。
また、第1の発明を特に、槌打位置近傍に亀裂が生じていない集じん板にその補強を目的として取り付ける場合は、この集じん板の槌打位置近傍に亀裂が生じるまでの期間を長くすることができる。さらにこの後、第1の発明を取設した集じん板の槌打位置近傍に亀裂が生じた場合に、上述の通り、亀裂が生じた集じん板の強度が低下するのを抑制しつつ、亀裂が生じた集じん板の使用可能期間を長くすることができる。
よって第1の発明によれば、槌打位置近傍の集じん板の亀裂の有無に関わらず集じん板の使用可能期間を長くすることができる。さらに、第1の発明によれば、槌打位置近傍の集じん板に亀裂が生じた際に、その集じん板の強度の低下を好適に抑制することができる。加えて、第1の発明は、既存の集じん極を分解することなく容易に後付けできるので、その取設作業を迅速かつ簡便にできるという効果も有する。
第2の発明は、上述の第1の発明による効果と同じ効果に加えて、固定具が挟持具であることで、槌打位置近傍の集じん板と槌打ビームの連結部分に穿孔作業等を行うことなく一対の補修板及びその連結部からなる補修パーツを取設することができる。
一般に、電気集じん機における個々の集じん極同士の間隔は40cm程度である。また、上述の通り電気集じん機1台当たりの集じん極の数も数百単位にのぼるため、本発明に係る集じん板補修具を取設するにあたり、個々の集じん板や槌打ビームに対して穿孔作業を行う必要がある場合は、作業者側の負担が極めて大きくなる。
これに対して、第2の発明では、固定構造が挟持具であるため、取付け対象に対して上述のような煩雑な穿孔作業等を一切行うことなく極めて少ない労力で固定構造を取付けることができる。
この結果、既存の集じん極を第2の発明により補修する作業を大幅に簡便化することができる。よって、第2の発明によれば、既存の集じん板に対するメンテナンス作業の作業効率を向上させることができる。
第3の発明によれば、上述の第1又は第2の発明を備えることで、第1又は第2の発明による効果と同じ効果を奏する。
また、第3の発明によれば、第1又は第2の発明を備えない場合に比べて集じん極の使用可能期間を長くすることができ、しかも槌打位置近傍の集じん板に亀裂が生じた場合でも、その集じん極の強度の低下を好適に抑制することができる。
よって、第3の発明によれば、各集じん極を、強度の低下を抑制しながら延命することができるという効果を有する。
第4の発明によれば、上述の第3の発明を備えることで第3の発明による効果と同じ効果を奏する。
また、第4の発明によれば、集じん極の交換頻度を少なくできる。
この結果、第4の発明によれば、集じん極に経時変化に伴う劣化が生じた際も強度が大幅に低下することがなく、しかも各集じん極の使用可能期間も長くなるため、電気集じん機のメンテナンスにかかるコストを削減することができるという効果を有する。
本発明の実施例1に係る集じん板補修具を備えた集じん極の部分斜視図である。 本発明の実施例1に係る集じん板補修具の斜視図である。 本発明の実施例2に係る集じん板補修具を備えた集じん極の部分斜視図である。 本発明の実施例2の変形例に係る集じん板補修具の斜視図である。 集じん板及び本発明に係る補修板の他の形態を示す部分斜視図である。 (a)電気集じん機の概念図であり、(b)電気集じん機における集じん板に亀裂が生じている様子を示す斜視図である。
本発明の実施の形態に係る集じん板補修具及びそれを備えた集じん極について図1乃至図5を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、図1,2を参照しながら実施例1に係る集じん板補修具及びそれを備えた集じん極について説明する。
図1は本発明の実施例1に係る集じん板補修具を備えた集じん極の部分斜視図である。また、図2は本発明の実施例1に係る集じん板補修具の斜視図である。
図1,2に示すように、実施例1に係る集じん板補修具1Aは主に、集じん板2aと一対の槌打ビーム18,18との連結部分に取設される金属製の補修パーツ4とその固定構造5とにより構成されている。
また、このような実施例1に係る集じん板補修具1Aにおける補修パーツ4は、図1,2に示すように、槌打ピース19が配される側の集じん板2aを、その厚み方向から挟持するように配される一対の金属製の補修板3a,3aと、同じく金属製の平板材を成形してなり、この一対の補修板3a,3aの下端同士を連結して一体化するとともに、槌打ビーム18,18の外側面に接触しながら周設される連結部3bとを備えてなるものである。
このような補修パーツ4は、その鉛直方向断面形状が略U字状をなしている。
また、このような補修パーツ4は、図1に示すように、槌打ピース19が配されている側の集じん板2aの両集じん面Q,Q、及び、それに連結される槌打ビーム18の外側面を被覆するように配設される。これにより、亀裂22が生じて集じん板2aと槌打ビーム18との物理的な連結が断たれた領域が、補修パーツ4を備えることで再び十分な強度を有するようになる。
また、実施例1に係る集じん板補修具1Aにおける固定構造5は、集じん板2aの集じん面Q上に補修パーツ4を固定しておくためのものであり、このような目的を果たすものであればどのような構造、器具を用いてもよい。
ただし、補修パーツ4の固定構造5として従来公知の固定具を用いる場合、この固定具は集じん板2aや槌打ビーム18とともに長期間に亘って電気・ボイラ燃焼排ガスや、集じん対象の塵などに晒されることになるため、その環境に耐えるものを選定する必要がある。より具体的には、固定構造5としての固定具は、その全てが金属製であることが望ましい。
なお、図1では固定構造5の一例として万力6を補修パーツ4の補修板3a,3aにおける上端部Pに取設する場合を例に挙げて説明している。
なお、先の図6(a),(b)に示す集じん極20に、上述のような実施例1に係る集じん板補修具1Aを備えてなるものが実施例1に係る集じん極20aである。
また、実施例1に係る集じん極20aの技術範囲は、亀裂22が生じている集じん板2aに集じん板補修具1Aを備えている場合と、亀裂22が生じていない集じん板2aに補強部材として集じん板補修具1Aを備えている場合の両者を包含するものである。
さらに、このような実施例1に係る集じん極20aを備えてなる電気集じん機が、実施例1に係る電気集じん機(図示せず)である。
通常、乾式の電気集じん機10では、先の図6(a)に示すように、ケーシング11内には集じん極20と放電枠(放電極)15とが収容されており、この放電枠(放電極)15に荷電することで、集じん極20にはプラスの電荷が、また放電枠(放電極)15にはマイナスの電荷がそれぞれ付加される。
そして、マイナスの電荷を持つイオンが、ケーシング11内に導入された排気中の塵(ダスト)の微粒子と結合してマイナスに帯電し、そのまま静電引力により集じん極20へと引き寄せられて付着・堆積することで排気中の塵が除去される。
他方、先の図6(b)に示すように、集じん極20の集じん板2aに亀裂22が生じると、亀裂22の水平方向長さが大きいほど、亀裂22が生じた集じん板2aの強度の低下が大きくなる。
これに対して、図1に示すような実施例1に係る集じん板補修具1Aを備えた集じん極20aでは、集じん板2aに亀裂22が生じていても、この亀裂22を跨いで金属製の補修パーツ4が集じん板2a及び槌打ビーム18に取設されているため、亀裂22が生じている部分の集じん板2aの強度が補修パーツ4により補われて、集じん板2aの集じん板2aの全体において十分な強度を有するようになる。
もちろん、亀裂22が生じた集じん板2aを実施例1に係る集じん板補修具1Aで補修してなる集じん極20aの強度は、亀裂22が生じていない集じん極20(図6(a)を参照)の強度と比べて劣るものの、実施例1に係る集じん板補修具1Aを備えない場合よりははるかに大きい。
したがって、実施例1に係る集じん板補修具1Aを備える場合は、集じん板2aに亀裂22が生じた際に、その集じん極20aの強度が大幅に低下するのを好適に抑制することができるという効果を有する。
さらに、実施例1に係る集じん板補修具1Aでは、一対の補修板3a,3a及び連結部3bからなる補修パーツ4が、集じん板2aにおける一方の集じん面Qから他方の集じん面Qに槌打ビーム18を跨いで架け渡されている。
つまり、実施例1に係る集じん極20aでは、亀裂22の周囲の集じん板2aも補修パーツ4により物理的に補強されることになる。
このため、実施例1に係る集じん極20aの槌打ビーム18を槌打した際の衝撃が、亀裂22の先端(始点)に集中するのを防ぐことができる。
この結果、実施例1に係る集じん極20aにおいて集じん板2aに生じた亀裂22が進行する(広がる)のを遅らせることができる。
また、図1では、亀裂22が生じた集じん板2aを実施例1に係る集じん板補修具1Aで補修する場合を例に挙げて説明しているが、実施例1に係る集じん板補修具1Aは、亀裂22が生じていない集じん板2aに取設してもよい(実施例1に係る集じん極20a)。
この場合、集じん板2aにおいて、亀裂22が生じやすい部分(槌打位置近傍)を事前に、補修パーツ4により物理的に補強することができるので、この部分に亀裂22が生じる時期を、集じん板補修具1Aを備えない場合に比べて遅らせることができる。
この場合、集じん板2aの使用可能期間を長くすることができ、これにより実施例1に係る集じん極20aの使用可能期間も長くすることができる。
さらに、上述のような集じん極20aを備えてなる実施例1に係る電気集じん機によれば、集じん極20aの交換の頻度を少なくできるので、実施例1に係る電気集じん機のメンテナンスに要するコストを削減することができる。
なお、実施例1に係る集じん板補修具1Aにおいて補修パーツ4の材質は、集じん板2aと同等かそれ以上の強度、耐久性及び導電性を有する金属で、かつ適度な成形性を有するものであればどのようなものでも使用できる。
また、補修パーツ4は、集じん板2aを構成する金属と略同じ組成からなる金属により構成されることが望ましく、さらには、集じん板2aと同じ厚みを有する金属板を成形して用いることが望ましい。なお、集じん板2aは通常、鋼板や、鉄を主成分とする合金からなるため、補修パーツ4も鋼板や、鉄を主成分とする合金により構成されることが望ましい。
そして、集じん板2aと補修パーツ4の材質が略同じか、双方の組成が似通っている場合は、集じん板2aと補修パーツ4の接触部分における電気抵抗をより小さくすることができるという効果を有する。
したがってこの場合は、亀裂22が生じた集じん板2aに実施例1に係る集じん板補修具1Aを備えて用いる場合に、集じん板2aにおける集じん機能の低下を最小限度にとどめることができるという効果を有する。
また、実施例1に係る集じん板補修具1Aでは、図1,2に示すように、固定構造5として万力6を用いてもよい(選択的構成要素)。
この場合は、集じん板2aと槌打ビーム18との連結部分に補修パーツ4を固定するにあたり、先の特許文献1に開示される発明のように集じん板2aや槌打ビーム18にねじ止め用の孔を新たに穿孔する必要がない。
このため、集じん板2aと槌打ビーム18との連結部分に補修パーツ4を固定する作業を迅速かつ簡便に行うことができる。
このように万力6のような挟持具を用いて集じん板2aに補修パーツ4を固定する場合は特に、電気集じん機の定期点検時に集じん板2aに亀裂22が発見された際に、特殊な工具等を用いることなく迅速かつ容易に実施例1に係る集じん板補修具1Aの取設作業を完了することができる。
この場合、電気集じん機の定期点検と併せて集じん板2aの補修作業を行うことができるので、作業者側の負担を大幅に軽減することができる。
なお、電気集じん機の定期点検時に併せて、亀裂22が生じた集じん板2aを実施例1に係る集じん板補修具1Aを用いて補修する場合は、補修パーツ4と接触する集じん板2aの集じん面Qや、槌打ビーム18の外側面に付着している塵を十分に除去しておく必要がある。
このように集じん板2aや槌打ビーム18と、補修パーツ4との接触部分に混入する塵を極力減らすことで、これらの接触部分における電気抵抗をより小さくすることができ、これにより集じん板2a及び槌打ビーム18及び補修パーツ4の間の導通性を一層良好にできる。この結果、集じん板補修具1Aにより補修された集じん板2aの集じん機能の改善効果をより大きくすることができる。
次に、図3,4を参照しながら実施例2に係る集じん板補修具及びそれを用いてなる集じん極について説明する。
図3は本発明の実施例2に係る集じん板補修具を備えた集じん極の部分斜視図である。なお、図1,2,6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
集じん板2aに補修パーツ4を固定するための固定具は、先の図1,2に示す形態以外のものを使用することもできる。
より具体的には、図3に示すように金属製の細長平板材を折り曲げ成形してなるクリップ7(挟持具)を固定構造5として使用してもよい(選択的構成要素)。このようなクリップ7を固定構造5として用いて補修パーツ4を固定してなるものが実施例2に係る集じん板補修具1Bである。
さらに、このような実施例2に係る集じん板補修具1Bを備えてなる集じん極が実施例2に係る集じん極20bである(図3を参照)。
加えて、実施例2に係る集じん極20bを備えてなる電気集じん機が実施例2に係る電気集じん機である(図示せず)。
なお、実施例2に係る集じん板補修具1Bの取設対象の集じん板2aは、亀裂22が生じているものでも、亀裂22が生じていないものでもいずれでもよい。
また、実施例2に係る集じん板補修具1Bによる効果は、上述の実施例1に係る集じん板補修具による効果と同じであるため、ここでは集じん板補修具1Aとの構成上の相違点、並びにそれに伴う作用効果の相違点について説明する。
補修パーツ4の固定構造5として先の図1,2に示すような万力6を用いる場合、補修パーツ4の取付け作業毎に万力6の押圧部材を補修板3aに押し付ける操作を行う必要がある。この場合、補修が必要な集じん板2aの数が多いと、万力6の取設作業に時間がかかるという課題が生じていた。
これに対して、図3に示すような形態のクリップ7を固定構造5として用いる場合は、集じん板2aと補修板3a,3aの重なり部分にワンタッチでクリップ7を取設することができるという効果を有する。
この場合、補修対象の集じん板2aの数が多い場合に、実施例2に係る集じん板補修具1Bの取設作業を迅速に行うことができる。
なお、図3に示すようなクリップ7は、図1,2に示す万力6と比べると挟持力がやや劣る懸念がある。また、そのせいで実施例2に係る集じん極20bに対して槌打が繰り返された際に、意図せずクリップ7が位置ずれを起こしてしまう懸念もある。
このような事情に鑑み、実施例2に係る集じん板補修具1Bは、図4に示すような位置決め材8を備えていてもよい。
図4は本発明の実施例2の変形例に係る集じん板補修具の斜視図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2の変形例に係る集じん板補修具1B´は、図4に示すような金属製の位置決め材8を、補修パーツ4やクリップ7とは別体として備えていてもよい(選択的構成要素)。
また、図4に示すような位置決め材8は、先の図3に示す実施例2に係る集じん板補修具1Bにおいて、補修パーツ4を構成する補修板3a,3aの上端部Pと、クリップ7の押圧面7aとの間に介設されて使用される(図示せず)。
このような位置決め材8は、図4に示すように、例えば、補修パーツ4の補修板3a,3aにおける上端部Pと嵌合する嵌合用凹部9を備えてなる一対の平板材からなり、さらに、一対の位置決め材8のそれぞれは、位置決め材8,8と補修板3a,3aとの重なり部分をクリップ7で挟持する際に、クリップ7の押圧面7aと接触する部分にガイド用溝8aを備えている。
このような実施例2の変形例に係る集じん板補修具1B´では、クリップ7と、補修板3a,3aとの間に、図4に示すような位置決め材8を介設することで、補修板3a,3aの上端部Pと嵌合用凹部9とが嵌合構造を形成し、さらに、ガイド用溝8aとクリップ7の押圧面7aとが嵌合構造を形成することで、集じん極20bに槌打が繰り返された際のクリップ7の位置ずれを好適に防止することができる。
なお、実施例1,2に係る集じん板補修具1A〜1B´では、集じん板2aに補修パーツ4を固設する際に挟持具(固定構造5)である万力6やクリップ7を単数だけ用いる場合を例に挙げて説明しているが、万力6やクリップ7を複数用いて補修パーツ4を固定してもよい。この場合は、集じん板2aの集じん面Pと補修パーツ4との密着性が向上するため、集じん板2aの集じん機能の改善効果を一層促進することができる。
また、クリップ7に代えてばね式のクリップ(図示せず)を使用することも可能であるが(選択的構成要素)、その際はばね式のクリップの全てを金属製にすることが望ましい。
最後に実施例1,2に係る集じん板補修具1A〜1B´の取設対象である集じん板2aの他の形態について図5を参照しながら説明する。
図5は集じん板及び本発明に係る補修板の他の形態を示す部分斜視図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
集じん極20に用いられる集じん板は、先の図1,3,6に示すようなシンプルな平板体以外にも、図5に示すような波板状の集じん板2bを用いる場合がある。そして、図5に示すように集じん板2bが波板状をなす場合は、集じん板1枚当たりの集じん面Pを広くすることができるので、個々の集じん極による集じん効率を向上させることができる。
実施例1,2に係る集じん板補修具1A〜1B´では、集じん板に亀裂22が生じた場合、その集じん板が交換されるまでの間、亀裂22が生じた集じん板における強度の低下を極力抑制することが最大の目的である。
また、そのためには亀裂22が生じた集じん板と補修パーツ4とがしっかりと密着して、双方の間で十分な接続状態が維持される必要がある。
このような事情に鑑み、実施例1,2に係る集じん板補修具1A〜1B´の取設対象である集じん板2bが、図5に示すような波板状である場合は、補修パーツ4の補修板3a,3aも、取設対象である集じん板2bの集じん面Qの形状に沿った形状を有している必要がある。
なお、補修パーツ4の取設対象である集じん板2bの集じん面Qが、図5に示すような波状以外の形態を有する場合は、その形状に沿った形状を有する補修板3a,3aを準備する必要がある。
また、補修パーツ4は、集じん板2a,2bと略同じ厚みを有する金属板からなり、しかも、このような金属板の板厚は通常2mmを超えない。このため、補修パーツ4における補修板3a,3aが波板状やそれ以外の形状を有していても、既存の集じん板2b及び槌打ビーム18に対して補修パーツ4を取設する際に、補修板3a,3aの間を押し広げる作業が困難になる等の不具合は生じない。
また、実施例1,2に係る集じん板補修具1A〜1B´では、補修パーツ4を、挟持具(万力6やクリップ7)を用いて固定する場合を説明してきたが補修パーツ4の取付け容易性よりも、集じん板2a,2bと補修パーツ4の接続状態の確実性を重視する場合は、集じん板2a,2bに補修パーツ4を従来公知の溶接や、スポット溶接により一体に固定してもよい(選択的構成要素)。
この場合は、補修パーツ4における溶接部分や、スポット溶接された部分が、実施例1,2に係る集じん板補修具1A〜1B´における固定構造5に相当する構成になる。
この場合、補修パーツ4を、挟持具(万力6やクリップ7)を用いて固定する場合に比べて、補修パーツ4と集じん板2a,2bとをより確実に一体化することができる。よって、補修パーツ4を溶接やスポット溶接により固定する場合は、挟持具(万力6やクリップ7)を用いる場合に比べて、集じん板2a,2bの補強効果を大幅に向上させることができる。
以上説明したように本発明は、亀裂が生じた集じん板の塵の強度の低下を好適に抑制するとともに、亀裂の広がりも好適に抑制することができる集じん板補修具、及びそれを備えてなる集じん極、及びそれを備えてなる電気集じん機であり、排気処理技術に関する技術分野において利用可能である。
1A,1B,1B´…集じん板補修具 2a,2b…集じん板 3a,3a…補修板 3b…連結部 4…補修パーツ 5…固定具 6…万力(挟持具) 7…クリップ(挟持具) 7a…押圧面 8…位置決め材 8a…ガイド用溝 9…嵌合用凹部 10…集じん機 11…ケーシング 12…入口煙道 13…出口煙道 14…碍子 15…放電枠 16…放電線 17…吊ビーム 18…槌打ビーム 19…槌打ピース 20,20a,20b…集じん極 21…槌打ハンマー 22…亀裂 P…上端部 Q…集じん面

Claims (4)

  1. 電気集じん機の集じん極において、槌打位置寄りの集じん板を補修するための補修具であって、
    金属製で、前記集じん板をその厚み方向から挟持するように配される一対の補修板と、
    金属製の平板材を成形してなり、一対の前記補修板の下端同士を連結して一体化するとともに、前記集じん板の下端に固設されている槌打用ビームの外側面に接触しながら周設される連結部と、
    前記集じん板の集じん面に前記補修板を接触させながら固定する固定構造と、を備えていることを特徴とする集じん板補修具。
  2. 前記固定構造は、挟持具であることを特徴とする請求項1に記載の集じん板補修具。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の集じん板補修具を備えていることを特徴とする集じん極。
  4. 請求項3に記載の集じん極を備えていることを特徴とする電気集じん機。
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