JP3170364B2 - 放射線障害防護剤 - Google Patents
放射線障害防護剤Info
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- JP3170364B2 JP3170364B2 JP29598992A JP29598992A JP3170364B2 JP 3170364 B2 JP3170364 B2 JP 3170364B2 JP 29598992 A JP29598992 A JP 29598992A JP 29598992 A JP29598992 A JP 29598992A JP 3170364 B2 JP3170364 B2 JP 3170364B2
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- Japan
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- radiation damage
- protective agent
- nicarabene
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- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、(±)−N,N’−プ
ロピレンジニコチンアミド[一般名:ニカラベン]を有
効成分として含有する放射線障害防護剤に関する。
ロピレンジニコチンアミド[一般名:ニカラベン]を有
効成分として含有する放射線障害防護剤に関する。
【0002】
【従来の技術】放射線の細胞障害はラジカル反応による
間接作用がその約75%を占めると考えられており、こ
れまでに放射線障害防護剤としての有用性が多くのラジ
カルスカベンジャーについて検討されている。
間接作用がその約75%を占めると考えられており、こ
れまでに放射線障害防護剤としての有用性が多くのラジ
カルスカベンジャーについて検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】放射線障害により発生
するラジカルの中で最も強力と考えられているのがハイ
ドロキシラジカルであり、しかも生体中にはこの消去系
が存在しない。このためハイドロキシラジカルを捕捉す
る薬剤が放射線防護剤として有効と考えられる。さらに
生体中においてラジカルを効率よく捕捉するためには細
胞膜等の透過性を考慮し、その薬剤が両親媒性であるこ
とが望まれる。
するラジカルの中で最も強力と考えられているのがハイ
ドロキシラジカルであり、しかも生体中にはこの消去系
が存在しない。このためハイドロキシラジカルを捕捉す
る薬剤が放射線防護剤として有効と考えられる。さらに
生体中においてラジカルを効率よく捕捉するためには細
胞膜等の透過性を考慮し、その薬剤が両親媒性であるこ
とが望まれる。
【0004】しかしながら、現在までに多くのラジカル
スカベンジャーが放射線防護剤として検討されている
が、実用適薬剤とはなっておらず、これは安全性や有効
性の面で問題があるためと考えられる。
スカベンジャーが放射線防護剤として検討されている
が、実用適薬剤とはなっておらず、これは安全性や有効
性の面で問題があるためと考えられる。
【0005】したがって、臨床上の投与量で有効かつ安
全な薬剤で、しかもハイドロキシラジカルを捕捉できる
両親媒性の薬剤が強く望まれる。
全な薬剤で、しかもハイドロキシラジカルを捕捉できる
両親媒性の薬剤が強く望まれる。
【0006】本発明は、これらの要望に適合した薬剤を
提供することを目的とするものである。
提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
目的を達成すべく種々研究した結果、ニカラベンが極め
て顕著な効果を有することを見いだし、本発明を完成し
た。
目的を達成すべく種々研究した結果、ニカラベンが極め
て顕著な効果を有することを見いだし、本発明を完成し
た。
【0008】本発明は、ニカラベン、すなわち(±)−
N,N’−プロピレンジニコチンアミドを有効成分とし
て含有する放射線障害防護剤である。
N,N’−プロピレンジニコチンアミドを有効成分とし
て含有する放射線障害防護剤である。
【0009】本発明の活性成分であるニカラベンは、抗
血栓剤、抗動脈硬化剤および血管攣縮抑制剤として有用
であることが知られているが(特公昭61−55911
号公報)、本発明の放射線障害防護剤としての用途とこ
れら出願に係わる用途とは、適用範囲において明確に区
別し得るものである。
血栓剤、抗動脈硬化剤および血管攣縮抑制剤として有用
であることが知られているが(特公昭61−55911
号公報)、本発明の放射線障害防護剤としての用途とこ
れら出願に係わる用途とは、適用範囲において明確に区
別し得るものである。
【0010】以下、試験例により本発明をさらに詳細に
説明するが、これらは本発明の範囲を何ら制限するもの
ではない。
説明するが、これらは本発明の範囲を何ら制限するもの
ではない。
【0011】
【試験例】 マウスの放射線障害に対するニカラベンの
効果を以下の方法にて検討した。
効果を以下の方法にて検討した。
【0012】試験には、C3H系マウスの雌、10週齢
で体重18〜20gを用いた。
で体重18〜20gを用いた。
【0013】X線の照射は医用ライナックLMR−4C
(4MV)(東芝社製)を用い、4MVX線、線量率
6.45×10-2C/kg/min、照射線量640ま
たは1000cGyで照射した。
(4MV)(東芝社製)を用い、4MVX線、線量率
6.45×10-2C/kg/min、照射線量640ま
たは1000cGyで照射した。
【0014】ニカラベンは生理的食塩水(以下「生食」
と略する)で適宜希釈し、10mg/mlの濃度のもの
を0.2mlそれぞれ腹腔内投与した。また、対照とし
て生食を投与した。
と略する)で適宜希釈し、10mg/mlの濃度のもの
を0.2mlそれぞれ腹腔内投与した。また、対照とし
て生食を投与した。
【0015】
【試験例1】ニカラベン前投与群(X線照射10分前に
ニカラベンを投与し、照射10分後に生食を投与)、ニ
カラベン前後投与群(X線照射10分前および10分後
にニカラベンを投与)、生食投与群(X線照射10分前
および10分後に生食を投与)に分けX線(640cG
y)を照射した。30日後、60日後に同様の条件で照
射を行い、その後30日目までの生存率を比較した。
ニカラベンを投与し、照射10分後に生食を投与)、ニ
カラベン前後投与群(X線照射10分前および10分後
にニカラベンを投与)、生食投与群(X線照射10分前
および10分後に生食を投与)に分けX線(640cG
y)を照射した。30日後、60日後に同様の条件で照
射を行い、その後30日目までの生存率を比較した。
【0016】その結果、ニカラベン投与群では生食投与
群に比較して有意に生存率が高く延命効果が認められ、
ニカラベンの放射線障害防護作用が示された(図1)。
群に比較して有意に生存率が高く延命効果が認められ、
ニカラベンの放射線障害防護作用が示された(図1)。
【0017】
【試験例2】ニカラベン前投与群(X線照射10分前に
ニカラベンを投与し、照射10分後に生食を投与)、ニ
カラベン後投与群(X線照射10分前に生食を投与し、
照射10分後にニカラベンを投与)、ニカラベン前後投
与群(X線照射10分前および10分後にニカラベンを
投与)、および生食投与群(X線照射10分前および1
0分後に生食を投与)に分けX線(640cGy)を照
射した。その9日目後に開腹し、幹細胞に対するニカラ
ベンの放射線障害防護作用を脾コロニー法(放射線生物
学実習書編集委員会編、放射線生物学実習、pp116
−118、講談社サイエンティフィック)を用いて検討
した。
ニカラベンを投与し、照射10分後に生食を投与)、ニ
カラベン後投与群(X線照射10分前に生食を投与し、
照射10分後にニカラベンを投与)、ニカラベン前後投
与群(X線照射10分前および10分後にニカラベンを
投与)、および生食投与群(X線照射10分前および1
0分後に生食を投与)に分けX線(640cGy)を照
射した。その9日目後に開腹し、幹細胞に対するニカラ
ベンの放射線障害防護作用を脾コロニー法(放射線生物
学実習書編集委員会編、放射線生物学実習、pp116
−118、講談社サイエンティフィック)を用いて検討
した。
【0018】その結果、ニカラベン後投与群、およびニ
カラベン前後投与群は生食投与群に比較し有意な脾コロ
ニーの形成が観察され、ニカラベンの幹細胞に対する放
射線障害防護作用が認められた(表1)。
カラベン前後投与群は生食投与群に比較し有意な脾コロ
ニーの形成が観察され、ニカラベンの幹細胞に対する放
射線障害防護作用が認められた(表1)。
【0019】
【表1】
【0020】
【試験例3】ニカラベン前後投与群(X線照射10分前
および10分後にニカラベンを投与)、生食投与群(X
線照射10分前および10分後に生食を投与)、X線非
照射群に分け、X線(1000cGy)を照射した。そ
の3日後に開腹し肝ミトコンドリア分画の脂質過酸化物
量をチオバルビツール酸法を用いて比較した。
および10分後にニカラベンを投与)、生食投与群(X
線照射10分前および10分後に生食を投与)、X線非
照射群に分け、X線(1000cGy)を照射した。そ
の3日後に開腹し肝ミトコンドリア分画の脂質過酸化物
量をチオバルビツール酸法を用いて比較した。
【0021】その結果、生食投与群ではX線非照射群に
比較し過酸化脂質生成の抑制が認められた(図2)。
比較し過酸化脂質生成の抑制が認められた(図2)。
【0022】本発明の放射線防護剤において、有効成分
であるニカラベンは通常用いられる製剤用担体、賦形剤
その他の添加剤を用いて、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒
剤、カプセル剤、丸剤、液剤、注射剤等に調製され、経
口的または非経口的に投与される。投与量・投与方法
は、患者の体重、年齢、症状等により適宜調整される
が、1〜8g/日、好ましくは2〜4g/日の割合で行
う。
であるニカラベンは通常用いられる製剤用担体、賦形剤
その他の添加剤を用いて、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒
剤、カプセル剤、丸剤、液剤、注射剤等に調製され、経
口的または非経口的に投与される。投与量・投与方法
は、患者の体重、年齢、症状等により適宜調整される
が、1〜8g/日、好ましくは2〜4g/日の割合で行
う。
【0023】なお、ニカラベンの毒性試験については特
公昭61−55911号公報に記載されている。
公昭61−55911号公報に記載されている。
【0024】
【発明の効果】ニカラベン投与により、生存率上昇(図
1)、脾コロニーの産生能上昇(表1)、過酸化脂質生
成の抑制(図2)が示された。すなわち、ニカラベンを
有効成分とする薬剤は放射線療法時における放射線障害
を防護する作用を有し、放射線障害防護剤として極めて
有用である。
1)、脾コロニーの産生能上昇(表1)、過酸化脂質生
成の抑制(図2)が示された。すなわち、ニカラベンを
有効成分とする薬剤は放射線療法時における放射線障害
を防護する作用を有し、放射線障害防護剤として極めて
有用である。
【図1】X線(640cGy)3回照射時のマウスの生
存率を示すグラフである。
存率を示すグラフである。
【図2】X線(1000cGy)1回照射におけるマウ
スの肝ミトコンドリアの2価鉄誘導脂質過酸化反応の結
果を示すグラフである。
スの肝ミトコンドリアの2価鉄誘導脂質過酸化反応の結
果を示すグラフである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−75474(JP,A) Radiat.Res.,Vol. 108,No.2,p.196−205(1986) Radioisotopes,Vo l.30,No.5,p.258−265 (1981) J.Photochem.,Phot obiol.B,Vol.4,No. 4,p.349−361(1990) 鹿児島大学医学雑誌、第42巻、第3 号、p.199−122(1990) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/455 CA(STN) MEDLINE(STN)
Claims (1)
- 【請求項1】 (±)−N,N’−プロピレンジニコチ
ンアミドを有効成分として含有する放射線障害防護剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29598992A JP3170364B2 (ja) | 1992-11-05 | 1992-11-05 | 放射線障害防護剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29598992A JP3170364B2 (ja) | 1992-11-05 | 1992-11-05 | 放射線障害防護剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06145057A JPH06145057A (ja) | 1994-05-24 |
JP3170364B2 true JP3170364B2 (ja) | 2001-05-28 |
Family
ID=17827698
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29598992A Expired - Fee Related JP3170364B2 (ja) | 1992-11-05 | 1992-11-05 | 放射線障害防護剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3170364B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09315972A (ja) * | 1996-03-22 | 1997-12-09 | Chugai Pharmaceut Co Ltd | 脊髄損傷治療剤 |
CN104487066B (zh) | 2012-07-23 | 2020-06-09 | 国立大学法人东京大学 | 放射线损害的预防和/或治疗剂 |
JP6682116B2 (ja) * | 2016-06-02 | 2020-04-15 | 国立大学法人 長崎大学 | ガン転移抑制剤 |
WO2024024923A1 (ja) * | 2022-07-28 | 2024-02-01 | 株式会社サイエンステクノロジーインタラクト | がんを治療するための医薬 |
-
1992
- 1992-11-05 JP JP29598992A patent/JP3170364B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (4)
Title |
---|
J.Photochem.,Photobiol.B,Vol.4,No.4,p.349−361(1990) |
Radiat.Res.,Vol.108,No.2,p.196−205(1986) |
Radioisotopes,Vol.30,No.5,p.258−265(1981) |
鹿児島大学医学雑誌、第42巻、第3号、p.199−122(1990) |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06145057A (ja) | 1994-05-24 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
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