JP3167555U - 栽培用ネット回収処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】蔓物作物を収穫した後の栽培用ネットに絡みついた蔓や葉を効率的に振り落して軽量化し、廃棄処理の効率化や費用低減を図る栽培用ネット処理装置を提供する。【解決手段】蔓物作物等を収穫した後の栽培用ネット3を地上から連続して引き上げながら後方へと送り出すネット送り出し機構7と、送り出される栽培用ネット3を上下方向に揺らして絡みついた蔓等を振り落とす振り落し機構9とを備える。【選択図】図1

Description

本考案は、茎や蔓(本明細書においては、蔓と総称する。)を栽培用ネットに誘引させて栽培を行うネット栽培において、作物の収穫後に栽培用ネットを回収処理する栽培用ネット回収処理装置に関する。
各種の野菜や果物等の栽培法においては、茎や蔓(蔓)を栽培用ネットに誘引させて成長促進を図る、いわゆるネット栽培法が実施されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。長芋やサヤエンドウ等の蔓物作物の栽培、例えば長芋栽培においては、適宜の間隔を以って支柱を立て、これら支柱間にロープを張架し、このロープに例えば角目の栽培用ネットを展開して張り合わせ、この栽培用ネットに蔓を誘引する。長芋ネット栽培においては、冬期に近づいて葉の色が変わって収穫時期を迎えると、ネット、支柱の取り外しが行われて地中に育った長芋の収穫が行われる。
一方、長芋ネット栽培においては、一部を収穫せずにそのまま地中に残し、雪解け後にこれを掘り出して出荷することで、通年に亘って出荷が行われるようにもする。長芋ネット栽培においては、長芋を残した地表を蔓や葉を残した状態のままの栽培用ネットで覆うことにより凍結防止を図り、春先になると栽培用ネットを取り外して収穫を行う。長芋ネット栽培においては、この場合に栽培用ネットに残った蔓や葉が雪の下で腐敗が進行し、雪融けで乾燥して網目に絡みついた状態となっている。
栽培用ネットは、従前ではいわゆる野焼きにより処分されていたが、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の制定により産業廃棄物として適正に処分されなければならない。産業廃棄物は、重量に基づいて処分費用が算出されるために、軽量化を図る必要がある。したがって、従来の栽培用ネット回収処理方法としては、栽培用ネットを適宜の巻き取り機により巻き取った後に、例えばバックホーのバケットに入れて揺することにより蔓や葉を落下させて軽量化を図っていた。従来の栽培用ネット回収処理方法は、広大な圃場から栽培用ネットを回収する手間が極めて大きく、さらに回収した栽培用ネットから蔓や葉を落下させて軽量化を図る作業も面倒でありかつ効率も悪いといった問題があった。なお、栽培用ネットの巻き取り機としては、広大な圃場で栽培が行われる長芋栽培用として採用されてはいないが、特許文献3に示すように手動のネット巻き取り機も提案されている。
特公平7−40834号公報 実開平7−14837号公報 特開2008−148585号公報
上述したように、広大な圃場で栽培が行われる長芋ネット栽培においては、収穫後の栽培用ネットを回収し、この栽培用ネットから絡みついた蔓や葉を振り落として軽量化する処理に多大の労力と費用が必要であった。長芋ネット栽培においては、バックホー等を用いた蔓や葉の振り落し作業を実施しても充分な軽量化を図ることが困難であった。
したがって、本考案は、蔓物作物を収穫した後の栽培用ネットに絡みついた蔓や葉を効率的に振り落して軽量化を図ることにより、栽培用ネットの廃棄処理の効率化や費用低減を図る、長芋ネット栽培等に適用して極めて有効な栽培用ネット回収処理装置を提供することを目的とする。
上述した目的を達成する本考案にかかる栽培用ネット回収処理装置は、長芋やサヤエンドウ等の蔓物作物を収穫した後の栽培用ネットを地上から連続して引き上げながら後方へと送り出すネット引き上げ・送り出し部と、送り出される栽培用ネットを上下方向に揺することにより網目に絡みついた蔓や葉を振り落とす振り落し部とを備える。栽培用ネット回収処理装置は、栽培用ネットから絡みついた蔓や葉を効率的に振り落しを行って軽量化し、廃棄処理を効率化する。
また、上述した目的を達成する本考案にかかる栽培用ネット回収処理装置は、フレーム体と、駆動部と、ネット送り出し機構と、揺動カム・クランク機構と、振り落し機構とを備え、トラクタに連結されて用いられる。栽培用ネット回収処理装置は、フレーム体がトラクタの牽引部に着脱される連結部を有する。栽培用ネット回収処理装置は、連結したトラクタ側から動力が駆動部に供給され、この駆動部によってネット送り出し機構と揺動カム・クランク機構を駆動する。栽培用ネット回収処理装置は、ネット送り出し機構によって栽培用ネットを地上から連続して引き上げながら後方へと送り出すとともに、揺動カム・クランク機構により反復揺動される振り落し部材を有する振り落し機構によって栽培用ネットに絡みついた蔓や葉の振り落としを行う。
栽培用ネット回収処理装置は、ネット送り出し機構が、送り出しローラ部材と、圧接ローラ部材とを有する。ネット送り出し機構は、送り出しローラ部材が、フレーム体に回転自在に組み合わされて駆動部により回転駆動され、掛け合わせた栽培用ネットを地上から連続して引き上げながら後方へと送り出す。ネット送り出し機構は、圧着ローラ部材が、フレーム体に対して送り出しローラ部材と圧接・離間する2位置に揺動自在に組み合わされる。ネット送り出し機構は、送り出しローラ部材に圧接ローラ部材を圧接させ、これら送り出しローラ部材と圧接ローラ部材との間に栽培用ネットを挟み込んで上述した送り出し動作を行う。
栽培用ネット回収処理装置は、揺動カム・クランク機構が、フレーム体に組み合わされたカム部材と、クランクレバーと、揺動カム部材を有する。揺動カム・クランク機構は、カム部材が、駆動部により回転駆動される。揺動カム・クランク機構は、クランクレバーが、一端側をカム部材に対して偏心位置に固定されており、他端側がカム部材の回転により上下方向に揺動動作する。揺動カム・クランク機構は、クランクレバーの他端側に連結された揺動カム部材が、クランクレバーの揺動動作により反復回動動作を行って振り落し機構の振り落し部材を上下方向に反復揺動するスイング動作を行わさせる。
栽培用ネット回収処理装置は、振り落し機構が、揺動カム部材を支点として自由端側が上下方向に大きくスイング動作する振り落し部材を有する。振り落し機構は、振り落し部材が、ネット送り出し機構から送り出される栽培用ネットを保持して後方側へと送り出すとともに、スイング動作により栽培用ネットを上下に激しく振動させることにより、この栽培用ネットに絡みついた蔓や葉を振り落とさせる。
栽培用ネット回収処理装置は、ネット送り出し機構と振り落し機構をフレーム体に対して片持ち構造により組み合してもよい。栽培用ネット回収処理装置は、かかる片持ち構造により、栽培用ネットを地上から引き上げて振り落し部材に掛け合わす作業が効率よく行われる。
栽培用ネット回収処理装置は、駆動部により駆動されるネット送り出し機構と振り落し機構を、それぞれの起動・停止動作を独立して行うようにする。栽培用ネット回収処理装置は、かかる構成により、栽培用ネットを地上から引き上げて振り落し部材に掛け合わす作業が効率的かつ安全に行われる。
栽培用ネット回収処理装置は、駆動部が、例えばトラクタ側の作業機等に動力を供給するパワーテイクオフ機構(PTO軸)及び油圧回路と接続されて動力が供給される。栽培用ネット回収処理装置は、振り落し機構がチェーン伝達機構を介してパワーテイクオフ軸からの回転駆動力を伝達されることにより駆動されるとともに、ネット送り出し機構が油圧回路により回転駆動される油圧モータの回転出力をチェーン伝達機構を介して伝達されて駆動される。栽培用ネット回収処理装置は、かかる駆動系を備えることにより、トラクタに連結される各種作業機と同様に使用することが可能である。
栽培用ネット回収処理装置は、ネット送り出し機構の送り出しローラ部材が、フレーム体に水平状態で両端側を回転自在に軸支される。送り出しローラ部材は、外周部に円周方向に並んで多数条のリブ状凸部を設けることにより、圧接ローラ部材及び栽培用ネットとの摩擦力を高めて栽培用ネットの送り出しが確実に行われるようにするとともに、蔓や葉を栽培用ネットから掻き落として振り落し動作が効率的に行われるようにしてもよい。
栽培用ネット回収処理装置は、振り落し機構の振り落し部材に、栽培用ネットの受け面を構成するネット受け部と対向して配置されて栽培用ネットの通路を構成するネット規制部材を設けてもよい。栽培用ネット回収処理装置は、振り落し部材がスイング動作を行うことにより、栽培用ネットが振り落し部材上で跳ね上がりながら送り出される。栽培用ネット回収処理装置は、ネット規制部材がネット受け部から跳ね上がる栽培用ネットを規制してネット受け部上に叩きつけるように作用する。栽培用ネット回収処理装置は、ネット受け部とネット規制部材との間において栽培用ネットを強制振動させて絡みついてた蔓や葉を栽培用効率よく振り落す。
以上のように構成された本考案にかかる栽培用ネット回収処理装置によれば、蔓物作物を収穫した後の栽培用ネットから絡みついた蔓や葉を効率的に振り落して軽量化を図ることから、栽培用ネットの廃棄処理の効率化や費用低減が図られるようにする。
本考案の実施の形態として示す栽培用ネット回収処理装置をトラクタに連結した状態の説明図である。 同栽培用ネット回収処理装置の平面図である。 同栽培用ネット回収処理装置の側面図である。 同栽培用ネット回収処理装置の要部斜視図である。 同栽培用ネット回収処理装置の要部斜視図である。 同栽培用ネット回収処理装置の使用状態を示し、栽培用ネットのセット操作説明図である。 同栽培用ネット回収処理装置の使用状態を示し、振り落し機構の振り落し部材が上昇位置の説明図である。 同栽培用ネット回収処理装置の使用状態を示し、振り落し部材が下降位置の説明図である。
以下、本考案の実施の形態として図面に示した栽培用ネット回収処理装置(以下、処理装置と略称する。)1について詳細に説明する。処理装置1は、図1に示すようにトラクタ2に連結されて広大な圃場を走行し、この圃場で栽培が行われる長芋等のネット栽培に用いた栽培用ネット3を回収して処理する。処理装置1は、詳細を後述するようにトラクタ2の走行にしたがって地上から、誘引された蔓や葉が雪の下で腐敗が進行して雪融けで乾燥して網目に絡みついた状態の栽培用ネット3を連続して引き上げながら後方へと送り出す。処理装置1は、栽培用ネット3を送り出しながら蔓や葉を振り落とすことにより、栽培用ネット3を軽量化する。なお、軽量化された栽培用ネット3は、巻き取り等が行われて、法令にしたがって所定の廃棄処理が行われる。
処理装置1を連結するトラクタ2としては、既存の各種トラクタが用いられる。トラクタ2は、ドローバーや三点ヒッチにより各種の作業機を連結する詳細を省略する牽引・連結部4を備える。トラクタ2は、牽引・連結部4に連結した各種の作業機に対してエンジンの動力を供給する詳細を省略する動力供給機構(パワーテイクオフ機構。PTO軸)4Aを有する。トラクタ2は、動力供給機構4Aとともに作業機に対して油圧を供給する油圧供給部4Bを有する。トラクタ2については、その他の構成について説明を省略する。
処理装置1は、図2及び図3に示すように、フレーム体5と、駆動部6と、ネット送り出し機構(ネット引き上げ・送り出し部)7と、揺動カム・クランク機構8と、振り落し機構(振り落し部)9とを備える。処理装置1は、駆動部6からの出力を2系統のチェーン伝達機構10(第1チェーン伝達機構10A及び第2チェーン伝達機構10B)を介してそれぞれ相対するネット送り出し機構7と揺動カム・クランク機構8とに供給し、これら機構の詳細を後述する構成部材を駆動して栽培用ネット3の回収・処理が行われるようにする。
処理装置1は、フレーム体5が、図1及び図2に示すように鋼材を水平枠状に組んだ前方梁部5Aと、右側面部5Bと、左5側面部Cと、後方梁部5Dとを有して構成される。フレーム体5は、前方梁部5Aに、トラクタ2側に突出して牽引部4に対して着脱される連結部11を構成するマストやマストビームが組み合わされる。フレーム体5には、右側面部5Bに、トラクタ2側の油圧供給部4Bと耐圧ホース6Cを介して接続されて駆動部6を構成する油圧モータ6Aが設置される。フレーム体5には、前方梁部5Aに、トラクタ2側の動力供給機構4AとPTOシャフト4Dを介して接続されて駆動部6を構成するギャボックス6Bが設置される。
フレーム体5には、図3及び図4に示すように、側面部5Bの前方に位置して、揺動カム・クランク機構8や第2チェーン伝達機構10Bを組み付ける機構組み付け部12が付設される。フレーム体5には、図2及び図5に示すように、側面部5Cの中央に位置して、後述するようにネット送り出し機構7の栽培用ネット3の送出し動作とセット動作の切り換えを行うセット操作機構13が付設される。
フレーム体5には、後方梁部5Dに対応位置する左右側面部5B、5Cに、軸線を合わせて相対する第1軸受14(14A、14B)が組み付けられる。フレーム体5は、これら第1軸受14によって、後述するネット送り出し機構7の栽培用ネット送り出しローラ部材(送り出しローラ部材)15を、左右側面部5B、5C間に水平状態で回転自在に支架する。
フレーム体5には、第1軸受14よりも後方側に位置して、左右側面部5B、5Cに軸線を合わせて相対する第2軸受16(16A、16B)が組み付けられる。フレーム体5は、これら第2軸受16により、振り落し機構9を構成する後述する反復回動するカム軸部材17を、左右側面部5B、5C間に送り出しローラ部材15の後方位置において水平状態で回転自在に支架する。
処理装置1は、上述したフレーム体5の連結部11を牽引・連結部4に連結することにより、トラクタ2に連結される。処理装置1は、トラクタ2に対してフレーム体5が、図1に示すように水平状態を保持された片持ち状態で連結される。処理装置1は、トラクタ2に片持ち状態で連結する構造とされることにより、後述するように栽培用ネット3を地上から引き上げて振り落し機構9に掛け合わす作業が効率よく行われる。なお、処理装置1は、フレーム体5の側面部5B、5Cの後方側に車輪を設けることにより、連結部位の負荷を低減するとともに用済み後にトラクタ2から取り外して倉庫等への移動が簡便に行われるようにしてもよい。
処理装置1は、上述したようにトラクタ2側から供給される2種類の動力により互いに独立して駆動される油圧モータ6AとPTOシャフト6Dにより駆動部6を構成する。油圧モータ6Aは、ネット送り出し機構7を駆動する駆動部を構成する。PTOシャフト6Dは、揺動カム・クランク機構8を駆動する駆動部を構成する。処理装置1は、油圧モータ6A及びPTOシャフト6Dの動作制御をトラクタ2の運転席で行うことにより、作業者が始動、停止操作を行うためにその都度乗降する手間は無い。
処理装置1は、詳細を省略するが油圧モータ6Aの出力軸に第1チェーン駆動車を固定し、この第1チェーン駆動車に第1チェーン伝達機構10Aを構成する第1チェーンを掛け合わしてネット送り出し機構7を駆動する。また、処理装置1は、PTOシャフト6Dにギヤボックス6Bが設けられ、このギヤボックス6Bの出力軸に第2チェーン駆動車を固定し、この第2チェーン駆動車に第2チェーン伝達機構10Bを構成する第2チェーンを掛け合わして揺動カム・クランク機構8を駆動する。
処理装置1は、トラクタ2側からの動力供給を上述した2系統に区分することにより、栽培用ネット3の掛け合わせ作業の安全性を図るとともに各機構の動作が確実に行われるようにする。処理装置1は、揺動カム・クランク機構8が大きな駆動力を必要とすることから、高トルク出が可能なPTO軸の動力供給機構4Aから動力供給を受ける。なお、処理装置1は、チェーン伝達機構10を設けて駆動部6の出力を各機構に伝達することにより伝達ロスを低減して高トルク伝達が行われるようにしたが、他の適宜の伝達機構を採用してもよいことは勿論である。
処理装置1は、ネット送り出し機構7が、上述したように第1軸受14によりフレーム体5の両側面部5B、5C間に回転自在に支架した栽培用ネット送り出しローラ部材15と、栽培用ネット圧接ローラ部材(圧接ローラ部材)20と、セット操作機構13とを有する。ネット送り出し機構7は、送り出しローラ部材15が、図4に示すように支軸の端部に第1チェーン従動車を固定し、この第1チェーン従動車に上述した第1チェーン伝達機構10Aの第1チェーンを掛け合わす。送り出しローラ部材15は、油圧モータ6Aの回転出力が第1チェーン伝達機構10Aを介して第1チェーン従動車に伝達されることにより、図4において反時計方向に回転する。
送り出しローラ部材15には、外周部に円周方向に並んで多数条のリブ状凸部21が設けられている。リブ状凸部21は、例えば多数本の棒状鋼材の両端部を送り出しローラ部材15の両端面にそれぞれ固定することにより構成し、後述するように圧接ローラ部材20及び栽培用ネット3との摩擦力を高めて栽培用ネット3の送り出しが確実に行われるようにする。また、リブ状凸部21は、栽培用ネット3を送り出す際に、網目に絡みついた蔓や葉を掻き落として後段の振り落し動作が効率的に行われるようにする。なお、リブ状凸部21については、上述した棒状鋼材に限定されず、送り出しローラ部材15の外周部に凹凸構造を構成するものであればよい。
圧接ローラ部材20は、送り出しローラ部材15とほぼ同長のローラ部材であり、セット操作機構13を構成するブラケット部材22を介してフレーム体5に送り出しローラ部材15の上方に位置して平行状態で組み合わされる。圧接ローラ部材20は、送り出しローラ部材15に対して、セット操作機構13の切替え操作によりその外周部に全長に亘って圧接する第1位置と、図7に示す外周部から離間する第2位置とに切替え操作される。圧接ローラ部材20は、第1位置において送り出しローラ部材15の外周部に全長に亘って圧接する。
セット操作機構13は、ブラケット部材22と、操作レバー23とを有する。ブラケット部材22は、図4及び図5に示すように、圧接ローラ部材20の軸長とほぼ等しい対向間隔で対峙する左右一対の側面部と、これら側面部間を連結する梁部とからなる。ブラケット部材22は、側面部が、それぞれの下端部位を側面部5B、5Cから平行に対峙して立ち上げた左右一対の支柱部材24(24A、24B)に移動自在に組み合わされる。ブラケット部材22は、側面部の上端側にそれぞれ軸線を一致させて軸受を設け、これら軸受に支軸が嵌合されることにより圧接ローラ部材20を回転自在に組み合わせる。
セット操作機構13は、ブラケット部材22の一方側面部に操作レバー23を一体に設ける。セット操作機構13は、操作レバー23を介してブラケット部材22を回動操作することにより、圧接ローラ部材20を図3に示す第1位置と図6に示す第2位置とに切替え操作する。セット操作機構13は、操作レバー23を操作して圧接ローラ部材20を送り出しローラ部材15に圧接する第1位置に切り替えることにより、送り出しローラ部材15に添動して回転させる。セット操作機構13は、操作レバー23を操作して圧接ローラ部材20を第1位置から送り出しローラ部材15から離間する第2位置に切り替えることにより、圧接ローラ部材20に送り出しローラ部材15の回転が伝達されないようにする。
以上のように構成されたネット送り出し機構7においては、操作レバー23を操作して図6に示す圧接ローラ部材20を送り出しローラ部材15から離間する第2位置とする。ネット送り出し機構7においては、栽培用ネット3の先端部を地上から引き上げ、同図に示すように牽引部4との間隙を介して送り出しローラ部材15の外周部に拡げた状態で掛け合わす。栽培用ネット3は、送り出しローラ部材15から後述する振り落し機構9へと導かれる。
ネット送り出し機構7においては、トラクタ2側の油圧供給部4Bからの油圧動力の供給により油圧モータ6Aが起動されると、その回転駆動力が第1チェーン伝達機構10Aを介して送り出しローラ部材15へと伝達される。ネット送り出し機構7においては、送り出しローラ部材15が回転するが、外周面に乗っているだけの栽培用ネット3の送り出しは行われない。ネット送り出し機構7においては、操作レバー23を介してセット操作機構13が作動されることにより、図3に示すように圧接ローラ部材20が送り出しローラ部材15の外周部に圧接する。
ネット送り出し機構7においては、圧接ローラ部材20の圧接動作により、図3に示すようにこの圧接ローラ部材20と送り出しローラ部材15との間で栽培用ネット3を幅方向の全域で挟み込む。ネット送り出し機構7においては、送り出しローラ部材15の回転が圧接ローラ部材20に摩擦伝達され、これらローラ部材間で挟み込んだ栽培用ネット3の送り出し動作を連続して行う。
ネット送り出し機構7においては、送り出しローラ部材15が外周部にリブ状凸部21を形成したことにより圧接ローラ部材20と栽培用ネット3との摩擦力を高め、地上から栽培用ネット3を引き上げながら確実な送り出しが行われるようにする。ネット送り出し機構7においては、送り出しローラ部材15と圧接ローラ部材20との間でリブ状凸部21により絡みついた蔓や葉を掻き落しながら栽培用ネット3の送り出しを行う。
処理装置1は、トラクタ2が畝に沿って前進を始めるとともに、揺動カム・クランク機構8により振り落し機構9のスイング動作が開始されると、ネット送り出し機構7から送り出した栽培用ネット3から絡みついた蔓や葉の振り落とし動作を行う。揺動カム・クランク機構8は、上述したトラクタ2側の動力供給機構4Aに連結されたPTOシャフト4Dを介してギヤボックス4B内のギヤ回転が行われ、その出力軸に固定した第2チェーン駆動車から第2チェーン伝達機構10Bを介して回転駆動力が伝達されて駆動される。
揺動カム・クランク機構8は、上述したように機構組み付け部12に支架した支軸12Aに構成部材が組み合わされる。揺動カム・クランク機構8は、図3及び図4に示すように、支軸12Aに組み合わせた大径の第2チェーン従動車及びカム部材26と、クランクレバー27とを有する。揺動カム・クランク機構8は、フレーム体5に揺動自在に支持されクランクレバー27を介して揺動動作される揺動カム部材28を有する。揺動カム・クランク機構8は、ギヤボックス4Bの出力軸の回転出力を揺動カム部材28に伝達して往復動作に変換し、この揺動カム部材28を介して振り落し機構9のカム軸部材17を反復回動させる。
揺動カム・クランク機構8は、第2チェーン従動車とカム部材26が、機構組み付け部12に回転自在に組み合わされた支軸12Aに固定される。第2チェーン従動車には、ギヤボックス4Bの出力軸に固定した第2チェーン駆動車に掛け合わせた第2チェーン伝達機構の第2チェーンが掛け合わされる。第2チェーン従動車は、小径の第2チェーン駆動車からの回転駆動力が伝達されることにより増速回転し、支軸12Aを介してカム部材26を一体に回転駆動する。
カム部材26は、第2チェーン従動車とほぼ同径の円盤状部材であり、外側面にクランクレバー27の一端部を固定するリンク取り付け部材26Aが固定される。リンク取り付け部材26Aは、図4に示すようにカム部材26の外側面に、中心から外周側に偏心した位置に固定される。したがって、リンク取り付け部材26Aは、カム部材26の回転にしたがって偏心位置を半径とした回転軌跡上を周回移動する。
揺動カム・クランク機構8は、カム部材26やリンク取り付け部材26Aを有してクランクレバー27を揺動自在に支持することにより駆動力の低減が図られる。揺動カム・クランク機構8は、かかる構造に限定されず、カム部材26を介してクランクレバー27を直接駆動するようにしてもよい。
クランクレバー27は、一端側をリンク取り付け部材26Aに固定されるとともに、他端側を揺動カム部材28に固定される。クランクレバー27は、カム部材26の回転により一端側が偏心位置を半径とした回転軌跡上を周回移動するリンク取り付け部材26Aを介して、カム部材26の外側面に沿って周回移動する。すなわち、クランクレバー27は、フレーム体5の側面部5Bに沿って前後方向及び上下方向の揺動動作を行い、揺動カム部材28を駆動する。なお、クランクレバー27は、一端部をカム部材26に対し、外側面の偏心位置に直接固定するようにしてもよい。
揺動カム部材28は、図3及び図4に示すように、フレーム体5の側面部5Bの後方側に配置された高さ方向のレバー部材である。揺動カム部材28は、下方部位を、第2軸受16によりフレーム体5に揺動自在に支架されたカム軸部材17の一端側に固定される。揺動カム部材28には、上端部側に高さ方向のリンク孔が形成され、このリンク孔にクランクレバー27の他端部を緩やかに嵌合してクランクレバー27の他端部を連結する。揺動カム部材28は、クランクレバー27の前後方向及び上下方向の揺動動作により、カム軸部材17とともに第2軸受16を支点として前後方向に反復揺動する。
以上のように構成された揺動カム・クランク機構8においては、トラクタ2側から動力が供給されると、ギヤボックス6Bの回転出力が第2チェーン駆動車を介して第2チェーン伝達機構10Bにより第2チェーン従動車に伝達される。揺動カム・クランク機構8においては、支軸12Aを介して第2チェーン従動車と一体にカム部材26が回転し、上述した偏心取り付け構造によりクランクレバー27の前後方向及び上下方向の揺動動作が行われる。揺動カム・クランク機構8においては、このクランクレバー27の揺動動作により揺動カム部材28の前後方向の反復揺動動作が行われ、さらにこの揺動カム部材28を介して振り落し機構9のスイング動作が行われる。
なお、揺動カム・クランク機構8は、上述した各部材により構成されたカム−リンク機構に限定されないことは勿論である。揺動カム・クランク機構8は、トラクタ2側の動力供給部4Aと連結され、供給された動力により回転駆動されるとともにその回転出力を振り落し機構9のスイング動作に変換する適宜の機構であればよい。
振り落し機構9は、上述したカム軸部材17と、このカム軸部材17に一体化された振り落し部材29を有する。カム軸部材17は、図1及び図2に示すように、フレーム体5の左右側面部5B、5C間に送り出しローラ部材15の後方位置において第2軸受16により揺動自在に支架される。カム軸部材17は、送り出しローラ部材15よりも小径であり、外周部に送り出しローラ部材15から送り出される栽培用ネット3を後ろ下がりの状態で導くようにする。
カム軸部材17は、上述したように揺動カム・クランク機構8の揺動カム部材28と一体化されており、揺動カム部材28の反復揺動動作に伴って第2軸受16を支点として反復回動動作を行う。カム軸部材17は、この反復回動動作を行うことにより振り落し部材29をスイング動作させる。なお、カム軸部材17は、内部にフレーム体5の左右側面部5B、5C間に支架した支軸を嵌挿させる円筒体により構成してもよい。
振り落し部材29は、図2に示すようにカム軸部材17の外周部から後方に向かって一体に突出形成された枠状体を基体とし、カム軸部材17の外周部と後方梁部29Aとの間に架け渡すようにして複数本のネット受け部29Bを桟状に設けてなる。振り落し部材29は、後方梁部29Aの両側にそれぞれポール部を立設し、栽培用ネット3の側方からの落下が防止されるようにする。振り落し部材29は、機械的剛性が必要であり、例えば各部が鋼材により形成される。
振り落し部材29は、図2に示すようネット受け部29Bを後方に向かって次第に外側に向かって架け渡すことにより、振動を加えながら後方へと送り出す栽培用ネット3が次第に広がって、蔓や葉のふるい落としが効率よく行われるようにする。なお、振り落し部材29は、上述した構造の部材に限定されず、栽培用ネット3を保持して送り出しを行うとともに蔓や葉を地上にふるい落とす適宜の構造であればよい。
振り落し機構9においては、非動作時において、図3に示すように振り落し部材29が水平状態に保持される。振り落し機構9においては、振り落し部材29の上面に、送り出しローラ部材15から送り出される栽培用ネット3がカム軸部材17の外周部を経由して導かれる。振り落し機構9においては、振り落し部材29が栽培用ネット3を保持する。
振り落し機構9においては、第2油圧モータ6Bが起動されて揺動カム・クランク機構8が動作すると、揺動カム部材28の前後方向の反復揺動動作によりカム軸部材17が反復回動動作を行う。振り落し機構9においては、カム軸部材17の反復回動動作により、このカム軸部材17を支点として振り落し部材29が上下方向の反復スイング動作を行う。
振り落し機構9においては、揺動カム・クランク機構8のクランクレバー27が前方側に引き寄せられて揺動カム部材28が前方側に傾いた図7に示す状態において、カム軸部材17を介して振り落し部材29が水平位置から先端側を上方に向かって大きく突き上げた状態の上方向スイング動作を行う。振り落し機構9においては、揺動カム・クランク機構8のクランクレバー27が後方側に引き寄せられて揺動カム部材28が後方側に傾いた図8に示す状態において、カム軸部材17を介して振り落し部材29が水平位置から先端側を下方に向かって大きく下げた下方向スイング動作を行う。
振り落し機構9においては、振り落し部材29が上述した上下方向のスイング動作を行うことにより栽培用ネット3を上下方向に揺らして、網目に絡みついた蔓や葉を振り落として地上に落下させる。振り落し機構9においては、振り落し部材29が蔓や葉の振り落としを行いながら、栽培用ネット3を後方へと送り出す。
処理装置1は、振り落し機構9を囲んで安全対策のためのガードフレーム30が設けられる。ガードフレーム30は、図2に示すようにフレーム体5の左右側面部5B、5Cに後方に向かって取り付けられた部材であり、振り落し部材29の外方に延在する。処理装置1においては、ガードフレーム30内おいて振り落し部材29の上下方向のスイング動作が行われることで、安全性が確保される。
以上のように構成された処理装置1においては、連結部11を牽引部4に連結してトラクタ2に牽引される。処理装置1においては、栽培用ネット3を地上から連続して引き上げながらトラクタ2により圃場内を牽引走行される。処理装置1においては、トラクタ2側から各部を駆動する駆動部を構成する油圧モータ6に駆動力の油圧供給が行われる。処理装置1においては、地上から栽培用ネット3が引き上げられてネット送り出し機構7の送り出しローラ部材15の外周部に掛け合わされる。処理装置1においては、栽培用ネット3を、送り出しローラ部材15を介して振り落し機構9の振り落し部材29上に導く。
処理装置1においては、油圧モータ6の回転出力がチェーン伝達機構10を介してネット送り出し機構7に伝達され、送り出しローラ部材15が回転駆動される。処理装置1においては、クラッチ機構13が操作されて、送り出しローラ部材15に対して圧接ローラ部材20が栽培用ネット3を挟み込んだ状態で圧接する。処理装置1においては、送り出しローラ部材15と圧接ローラ部材20との間で栽培用ネット3を挟み込んで送り出しを行うとともに、これらローラ部材間の圧接力と送り出しローラ部材15のリブ状凸部21との作用により蔓や葉の掻き落としも行う。
処理装置1においては、油圧モータ6の回転出力がチェーン伝達機構10を介して揺動カム・クランク機構8に伝達され、カム部材26が回転駆動される。処理装置1においては、カム部材26に一端部を固定されたクランクレバー27の前後方向及び上下方向の揺動動作が行われ、このクランクレバー27の他端部が連結されたカム軸部材17が前後方向の反復揺動動作を行う。
処理装置1においては、カム軸部材17の反復揺動動作により、振り落し機構9のカム軸部材17が反復回動動作を行い、カム軸部材17に一体化した振り落し部材29が上下方向のスイング動作を行う。処理装置1においては、振り落し部材29のスイング動作により栽培用ネット3から絡みついた蔓や葉を振り落として地上に落下させる。
処理装置1においては、絡みついた蔓や葉を効率的に振り落すことにより栽培用ネット3を軽量化することにより、栽培用ネット3の廃棄処理の効率化や費用低減が図られるようにする。処理装置1においては、トラクタ2により広大な圃場を牽引走行することにより、栽培用ネット3を効率よく処理することが可能である。
なお、本考案は、図面を参照して説明した実施の形態として示した上述した処理装置1に限定されるものではなく、添付の実用新案登録請求の範囲及びその要旨を逸脱することなく、様々な変更、置換或いは同等に構成されることは当業者にとって明らかである。
1 栽培用ネット処理装置(処理装置)、2 トラクタ、3 栽培用ネット、4 牽引・連結部、4A 動力供給機構、4B 油圧供給部、5 フレーム体、6 駆動部、6A 油圧モータ、6B ギヤボックス、6C 耐圧ホース、6D PTOシャフト、7 ネット送り出し機構、8 揺動カム・クランク機構、9 振り落し機構、10 チェーン伝達機構、11 連結部、12 機構組み付け部、13 セット操作機構、14 第1軸受、15 栽培用ネット送り出しローラ部材(送り出しローラ部材)、16 第2軸受、17 カム軸部材、20 圧接ローラ、21 リブ状凸部、23 操作レバー、26 カム部材、27 クランクレバー、28 揺動カム部材、29 振り落し部材、30 ガードフレーム

Claims (7)

  1. 地上から栽培用ネットを連続して引き上げながら後方へと送り出すネット引き上げ・送出し部と、送り出される前記栽培用ネットから絡みついた蔓や葉を振り落とす蔓類振り落し部とを備える栽培用ネット処理装置。
  2. トラクタの牽引部に着脱される連結部を有するフレーム体と、前記トラクタ側から動力を供給される駆動部と、前記フレーム体に回転自在に組み合わされ、前記駆動部により回転駆動されて外周部に掛け合わされた栽培用ネットを地上から連続して引き上げながら後方へと送り出すネット送り出しローラ部材と、前記ネット送り出しローラ部材に対して圧接・離間する2位置に揺動自在な圧接ローラ部材とを有し、前記ネット送り出しローラ部材と前記圧接ローラ部材とが圧接状態において前記栽培用ネットを挟み込んで送り出すネット送り出し機構と、前記フレーム体に組み合わされ、前記駆動部により回転駆動されるカム部材と、一端側を前記カム部材に対して偏心位置に固定され他端側が前記カム部材の回転により揺動動作するクランクレバーと、このクランクレバーの揺動動作により反復回動動作を行う揺動カム部材とを有する揺動カム・クランク機構と、前記揺動カム部材の反復回動動作により上下方向のスイング動作する振り落し部材を有し、前記ネット送り出し機構から送り出される前記栽培用ネットを保持して後方側へと送り出すとともに前記栽培用ネットから絡みついた蔓や葉を振り落とす振り落し機構とを備える栽培用ネット処理装置。
  3. 前記ネット送り出し機構と前記振り落し機構は、前記フレーム体に対して片持ち構造により組み合わされている請求項2に記載の栽培用ネット処理装置。
  4. 前記ネット送り出し機構と前記振り落し機構は、起動・停止動作が独立して行われる請求項2又は請求項3に記載の栽培用ネット処理装置。
  5. 前記駆動部は、油圧回路と接続されて回転駆動する油圧モータと、前記トラクタ側のパワーテイクオフ軸と接続されて動力を供給される回転軸機構とを有し、前記ネット送り出し機構に前記油圧モータの回転出力をチェーン伝達機構を介して伝達することにより前記送り出しローラ部材を回転駆動するとともに、前記振り落し機構に前記回転軸機構の回転出力をチェーン伝達機構を介して伝達することにより前記カム部材を回転駆動する請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の栽培用ネット処理装置。
  6. 前記送り出しローラ部材は、前記フレーム体に水平状態で両端側を回転自在に軸支され、外周部に円周方向に並んで前記圧接ローラ部材及び前記栽培用ネットとの摩擦力を高める多数条のリブ状凸部が設けられている請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の栽培用ネット処理装置。
  7. 前記振り落し機構の前記振り落し部材には、前記栽培用ネットの受け面を構成するネット受け部と対向して配置されて前記栽培用ネットの通路を構成するネット規制部材が設けられ、前記振り落し部材がスイング動作を行って前記通路内を送り出す前記栽培用ネットを、前記ネット受け部と前記ネット規制部材との間において強制振動させる請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載の栽培用ネット処理装置。
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