JP3164648B2 - 接触式倣いセンサ装置 - Google Patents

接触式倣いセンサ装置

Info

Publication number
JP3164648B2
JP3164648B2 JP16018892A JP16018892A JP3164648B2 JP 3164648 B2 JP3164648 B2 JP 3164648B2 JP 16018892 A JP16018892 A JP 16018892A JP 16018892 A JP16018892 A JP 16018892A JP 3164648 B2 JP3164648 B2 JP 3164648B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
contact
joint
linear
force
workpiece
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP16018892A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0747472A (ja
Inventor
孝二 今井
縫夫 土田
陽滋 山田
泰宏 神品
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihen Corp
Original Assignee
Daihen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daihen Corp filed Critical Daihen Corp
Priority to JP16018892A priority Critical patent/JP3164648B2/ja
Publication of JPH0747472A publication Critical patent/JPH0747472A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3164648B2 publication Critical patent/JP3164648B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Machine Tool Copy Controls (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は接触式倣いセンサ装置に
係り、詳しくは、二つの部材が交差する線などを対象と
して、その線上の位置を検出することができるセンサ装
置に関するものである。これは、例えば被溶接物に接触
して隅肉溶接部分を検出する場合の溶接線倣い装置など
において利用される。
【0002】
【従来の技術】近年アーク溶接ロボットは著しい普及を
遂げてきたが、一般のプレイバック式のロボットでは、
同一形状のワークであっても、各々の組立精度やロボッ
トに把持させた取付位置に若干の誤差の生じるのは避け
られない。また、溶接中のワークが熱変形するなどし
て、その溶接線に狂いが生じることがある。したがっ
て、ワーク上の所望箇所に溶接を施す場合、上記の誤差
や狂いにまでいちいちきめ細かく対応させることはでき
ないのが一般的である。しかし、最近では被加工物上の
溶接部位を検出して、それをもとに溶接トーチの位置を
修正しながら溶接できるようにした提案が多くなされて
きている。例えば実公昭58−44918号公報や特公
昭57−4460号公報には、スタイラスに二次元の可
動範囲を与え、これによって二次元の溶接線を接触検出
することができるようにした倣い装置が記載されてい
る。また、実公昭56−6222号公報や特開昭61−
242762号公報においては、接触子により溶接線を
二次元的に倣うことを可能にしたセンサ装置が開示され
ている。また、特公平3−12998号公報に提案され
ている隅肉溶接倣い装置では、一対のセンサが倣い位置
との接触によってオン・オフ動作し、その信号で溶接線
を検出することができるようになっている。この装置に
おける各センサは溶接トーチの左右に位置するアームに
装着され、溶接トーチを挟んで対向するように配置され
ている。そして、各センサは、接触子が溶接線に向って
進退する方向のある位置を中立にして該進退方向の前後
で挟む二つの接点を有している。この一対のセンサを例
えば隅肉溶接される二枚の角度をなして配置された被溶
接物の面に接触させれば、各センサにおける二つの接点
のオン・オフ信号から、ワーク開先に対するトーチ姿勢
の良否が判定される。したがって、この判断をもとにし
て、溶接トーチおよびセンサを支持するスライドアーム
に必要な動作を行わせるべく、スライドアームの位置姿
勢を調整するマニプレータの動作が制御されるようにな
っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したいずれの先行
技術においても、スタイラスや接触子が溶接線を検出す
る際に、被溶接物もしくは溶接線との間で発生する摩擦
力を軽減する配慮がなされていない。したがって、被加
工物の表面粗度が大きい場合には、過大な摩擦力を受け
て、センサなどの円滑な追従動作が阻害され、その追従
精度が低下する。加えて、スタイラスや接触子の耐久性
も損なわれやすくなる欠点がある。上記した実公昭58
−44918号公報や特公昭57−4460号公報の倣
い装置ではセンシング機構が複雑である。そのため、ス
タイラスを支持する機構の大型化が余儀なくされ、溶接
部位までの進入量を多くしなければならない懐の深い被
加工物を対象とする場合には、溶接線を検出することが
できなくなる欠点がある。とりわけ、後者の例において
は、スタイラスを溶接線上に拘束させる押付力として、
スタイラスやそれを支持して動作させる平行リンク機構
の自重を利用している。したがって、二つの被加工物で
形成される溶接開先が例えば上方に開口するように配置
されていなければならず、側方や下方から溶接線を検出
することができない難点がある。また、実公昭56−6
222号公報や特開昭61−242762号公報におい
ては、回動および摺動方向の位置を任意に決める機構が
設けられていない。そのために、マニプレータなどを用
いて溶接線の倣い制御を行う場合、溶接開始時に接触子
を確実に溶接線上へ拘束することが難しい。一方、特公
平3−12998号公報では、隅肉溶接専用の装置とな
っているため、薄板重ね合わせ溶接に対応させることが
不可能である。また、接触による干渉力の回避方向が1
自由度であるため、溶接線が急激に変化するような被加
工物の接触倣いをするときに、被加工物からの接触力が
センサに大きく加わることが予想され、追従性が著しく
劣る欠点がある。加えて、センサは溶接線を形成する二
つの被溶接物の対向面への接触の有無を検出しているだ
けであり、溶接線の位置を直接検出していない。そのた
め、溶接トーチの位置姿勢の補正はあくまでも推定に頼
らざるをえず、倣い精度に信頼性が欠けて溶接精度にま
で影響を与える問題がある。
【0004】本発明は上記の種々の問題に鑑みなされた
もので、溶接作業という悪環境下においても接触式の確
実な倣い動作を実現して、その倣い位置の信頼性の高い
検出値が得られ、従来よりも汎用性を大きく期待するこ
とができる接触式倣いセンサ装置を提案する。詳しく述
べると、本発明の目的とするところは、(1)小寸法の
側面を有する溶接線や懐の深い被加工物に形成された溶
接線などを検出対象として検出することができ、しか
も、その接触子の近傍が複雑かつ大きな構造とならない
ような簡素な機構のセンサ装置とすることができるこ
と、(2)検出精度および耐久性の向上のために、倣い
接触時に接触子と被加工物との間に生じる摩擦力を軽減
して、接触子を支持するリンク機構などに大きな力を及
ぼさず、その歪の発生を回避しまた接触子の移動を円滑
なものとすることができること、(3)検出姿勢に制約
されず、すなわち、接触子の位置姿勢が自重によって変
化するのを防止して倣い接触による検出動作を維持でき
ること、例えば横方向や下方向からでも所望部位の検出
が可能となること、(4)接触子の回動方向および摺動
方向の位置を所望する任意の位置に決めることができ、
マニプレータなどを用いて溶接線の倣い制御を行う際、
溶接開始時などに接触子を確実に溶接線上へ拘束するこ
とができるようにすること、(5)薄板重ね継手の溶接
線を接触検出することができるように、接触子ならびに
その支持機構などの可及的な小型化が図られること、溶
接線が急激に変化するような被加工物の接触倣い時に、
被加工物からの接触力が大きく作用することがあって
も、その接触力を緩和する柔軟性が接触子を支持してい
る関節に与えることができ、追従性の飛躍的な向上が得
られるようにすること、を実現した接触式倣いセンサ装
置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、二つの被加工
物が交差して形成される交差線もしくは突き合わされる
などして形成される凹み線などの線状部位を検出できる
ようになっている接触式倣いセンサ装置に適用される。
その特徴とするところは、図1および図4を参照して、
線状部位2を検出するために、線状部位2に直接接触し
ながら倣うように移動される接触子5が設けられる。そ
の線状部位2に向かって接触子5を直線的に進退させる
直動関節3が、線状部位2に対面する側に設けられる。
直動関節3による接触子5の直線的変位方向に対して垂
直な方向へ延びるアームによって直動関節3を支持する
アーム支持機構があり、このアーム支持機構に、接触子
5の直線的変位方向に対して垂直となる軸線のまわりに
回転し、上記直動関節3を回動させる一以上の回転関節
4が設けられる(二つの回転関節41 ,42 が設けられ
ている例は図7参照)。直動関節3による直線的変位量
を関節変数として検出するための直動関節位置計測器8
3 が直動関節3に取りつけられ、回転関節4による直動
関節3の回動量を関節変数として検出するための回転関
節位置計測器84 が回転関節4に取りつけられる。ま
た、線状部位2に沿って移動される接触子5と被加工物
1との間に発生する摩擦力を軽減するための高周波振動
を発生させ、接触子5に微小変位振動を与える高周波振
動発生体6が、接触子5に一体化して設置される。そし
て、直動関節位置計測器83 および回転関節位置計測器
4 からの出力信号により、接触子5が線状部位2を倣
いながら移動している位置を演算し、接触子5の線状軌
跡を所望する他の動作装置50(図18参照)に再現さ
せることができるように、その演算結果を出力する倣い
位置演算装置9が備えられる。
【0006】なお、直動関節3にリニアガイド10を装
着しておき、そのリニアガイド10の動作により直動リ
ンク3Aを変位させ、接触子5を直線的変位させるよう
にしておく。接触子5を線状部位2に拘束する押付力が
発生するとともに、接触子5の被加工物1に対する接触
力を直動関節3において緩和する柔軟性を与えるため、
直動関節3の直動リンク3Aに圧縮コイルばね12を装
着しておくとよい。線状部位2に沿って移動される接触
子5の被加工物1に対する接触力が所望値に維持される
ように回転関節4を動作させるため、接触子5にはその
接触力を検出する接触力検出器7を取りつけておき、接
触子5の被加工物1に対する接触力を回転関節4におい
て緩和して柔軟性を与えるため、接触力検出器7により
検出された接触力検出信号をもとに回転関節4を作動さ
せるサーボモータ114 を能動的に制御するコンプライ
アンス制御を採用する。
【0007】図15に示すように、直動関節3にサーボ
モータ113 が装着され、サーボモータ113 の回転に
より作動するラックアンドピニオン31を介して直動リ
ンク3Aを変位させ、接触子5を直線的変位させるよう
にしておく。線状部位2に沿って移動される接触子5の
被加工物1に対する接触力が所望値に維持されるように
直動関節3を動作させるため、接触子5にはその接触力
を検出する接触力検出器7を取りつけておき、直動関節
3にサーボモータ113 を装着し、サーボモータ113
の回転により作動するラックアンドピニオン31を設
け、接触子5を線状部位2に拘束する押付力を発生する
とともに、接触子5の被加工物1に対する接触力を直動
関節3において緩和する柔軟性を与えるため、接触力検
出器7により検出された接触力検出信号をもとにしてサ
ーボモータ113を能動的に制御するコンプライアンス
制御を採用する。
【0008】サーボモータ113 およびそれに作動する
ラックアンドピニオン31を設けた直動関節3と、サー
ボモータ114 により駆動される回転関節4とを設け、
線状部位2に沿って移動される接触子5の被加工物1に
対する接触力が所望値に維持されるように直動関節3お
よび回転関節4を動作させるため、接触子5にはその接
触力を検出する接触力検出器7を取りつけておき、接触
子5を線状部位2に拘束する押付力を発生させるととも
に、接触子5の被加工物1に対する接触力を直動関節3
および回転関節4において緩和する柔軟性を与えるた
め、接触力検出器7により検出された接触力検出信号を
もとにして直動関節3のサーボモータ113 および回転
関節4のサーボモータ114 を能動的に制御するコンプ
ライアンス制御を採用することができる。図13および
図17に示すように、コンプライアンス制御は、スイッ
チSW4またはSW3 によって関節位置決め制御と切り
替えられるようにしておく。
【0009】
【作用】直動関節3によって、線状部位2に直接接触し
ながら倣うように移動される接触子5を、線状部位2と
対面する側から線状部位2に向かって接触子5を直線的
に進退させるとともに、直動関節3を支持するアーム支
持機構に設けられた回転関節4によって、接触子5の直
線的変位方向に対して垂直となる軸線のまわりに直動関
節3を回動させながら接触子5を線状部位2に位置さ
せ、かつ、移動させる。このように、本接触式倣いセン
サ装置は、曲線を有する溶接線などを接触検出するた
め、多自由度を有する構造となっている。接触子5が線
状部位2をたどる際は、接触子5に一体化して設けた高
周波振動発生体6によって接触子5に微小変位振動が与
えられ、接触子5と被加工物1との間に発生する摩擦力
が軽減され、線状部位2上に拘束されて移動する接触子
5の動きが滑らかとなる。すなわち、接触子5が被加工
物1から受ける摩擦が常時動摩擦状態におかれる。接触
子5が線状部位2上で停滞すると直動リンク3Aや回転
リンク4Aを歪ませることになるがそれが回避され、線
状軌跡の計測精度も向上する。線状部位2による倣い接
触検出は、まず、接触子5を線状部位2上に押しつけて
拘束し、その状態で、溶接線などの進行方向に接触子5
を移動させる。このとき、接触子5の先端の基準座標系
E −XE E E から見た位置が、接触式倣いセンサ
装置の直動関節3に取りつけた直動関節位置計測器83
と、回転関節4に取りつけた回転関節位置計測器84
で計測される。その直動関節位置計測器83 および回転
関節位置計測器84 からの出力信号により、接触子5が
線状部位2を倣いながら移動している位置が、計測され
た各関節変数の値から倣い位置演算装置9における順演
算により算出される。この演算結果は、接触子5の線状
軌跡を所望する他の動作装置50に再現させるべく出力
される。
【0010】直動関節3にリニアガイド10を装着し、
そのリニアガイド10の動作により直動リンク3Aを変
位させると、接触子5が直線的に変位する。その直動関
節3の直動リンク3Aに圧縮コイルばね12を装着して
おくことができ、その弾発力が接触子5を線状部位2に
拘束する押付力になるとともに、接触子5の被加工物1
に対する接触力を直動関節3において緩和する柔軟性を
与える。接触子5は凹んだ線状部位2から逸脱すること
がなくなり、しかも、線状部位2が急激に変化していて
も、その弾発力によって接触子5を線状部位2上に拘束
しておくことができる。接触子5に被加工物1との接触
力を検出する接触力検出器7を取りつけておくと、接触
力検出器7により検出された接触力検出信号をもとにサ
ーボモータ114 が回転関節4を作動させるコンプライ
アンス制御が行われる。接触子5の被加工物1に対する
接触力が回転関節4において緩和されまた柔軟性が与え
られ、線状部位2から接触子5が逸脱するのを回避した
り、急激に変化する線状部位2においても、そのコンプ
ライアンス制御による回転関節4の動作によって、接触
子5が線状部位2上に拘束される。
【0011】前記したリニアガイド10に代えて、直動
関節3にラックアンドピニオン31を導入し、そのピニ
オン31Aをサーボモータ113 で駆動することによっ
ても直動リンク3Aを動作させ、接触子5を移動させる
ことができる。それのみならず、接触子5を線状部位2
に拘束する押付力も付与される。このサーボモータ11
3 を採用すれば、次に述べるコンプライアンス制御を直
動関節3においても実行することができるようになる。
接触子5に接触力を検出する接触力検出器7を取りつけ
ておき、接触力検出器7により検出された接触力検出信
号をもとにしてサーボモータ113 を能動的に制御する
コンプライアンス制御を採用すれば、線状部位2に沿っ
て移動される接触子5の被加工物1に対する接触力を所
望値に維持させるように直動関節3を動作させるだけで
なく、接触子5の被加工物1に対する接触力を直動関節
3において緩和する柔軟性が与えられる。接触子5が線
状部位2から逸脱するのを防止したり、急激に変化する
線状部位2においても、そのコンプライアンス制御によ
る直動関節3の動作によって、接触子5を線状部位2上
に拘束しておくことができる。そして、接触検出を高速
・高精度で行うことが可能となる。
【0012】回転関節4におけるコンプライアンス制御
と直動関節3におけるコンプライアンス制御とを併用す
ることもできる。その場合には、いずれの関節にもサー
ボモータ113 ,114 が採用され、接触子5に取りつ
けられた接触力検出器7からの信号にもとづいて、所望
する接触力となる押付力が得られるように、直動関節3
および回転関節4がサーボモータ113 ,114 によっ
て駆動される。回転関節4のみならず直動関節3におい
ても能動的なコンプライアンス制御がなされると、上記
したごとくの接触子5の線状部位2における倣い動作が
より一層確実なものとなる。したがって、接触子5の倣
い動作による線状軌跡の検出精度も向上される。なお、
コンプライアンス制御を必要としない場合には、スイッ
チSW4 またはSW3 によって関節位置決め制御に切り
替えると、接触式倣いセンサ装置をマニプレータによっ
て所望する位置へ運ばれる。その後にコンプライアンス
制御に切り替えれば、上記したようにして接触子5に所
定の押付力が与えられ、溶接線などが横向きや下向きと
なっていても、接触子5を側方からもしくは上下方向か
ら柔軟性を持たせながら線状部位2に拘束しておくこと
ができる。その状態で接触子5を移動させれば所望する
線状軌跡が、前述した手順で検出される。
【0013】
【実施例】本発明に係る接触式倣いセンサ装置を、溶接
線倣い制御を実現するための溶接線位置情報が得られる
装置を例にして、詳細に説明する。なお、この接触式倣
いセンサ装置における「接触式倣い」とは、溶接トーチ
と一体で制御されるセンサ装置を溶接トーチ前方に配置
し、その接触子を溶接線上に倣わせる動作である。この
動作では、マニプレータにより溶接トーチを移動させる
際に、接触子を溶接線上に保持することにより、溶接線
をリアルタイムで検出することができる。そのために、
接触式倣いセンサ装置には少なくとも2自由度を持た
せ、溶接トーチとの位置姿勢関係を可変にすることによ
って、曲線を呈した溶接線に対しても接触子の倣いを可
能にするものである。以下に、図面をもとにして説明す
る。図1ないし図3は、本発明に係る接触式倣いセンサ
装置の第一実施例における全体構成を示す三面図であ
る。これは、図4および図5(A)に示すように、二枚
の被加工物としての板材1A,1Bが交差もしくは重ね
合わされて形成される隅肉溶接部位としての交差線2A
や、図5(B)に示した二枚の板材1A,1Bを突き合
わして形成される溶接開先2Bなどの線状部位2を検出
できるようになっているセンサ装置である。接触式倣い
センサ装置は、図1に示すように、直動関節3と回転関
節4を備えており、その直動関節3は回転関節4を構成
するアーム状の支持機構を介して装着されている。そし
て、センサとして機能する接触子5,高周波振動発生体
6,接触力検出器7,各関節装置の作動量を関節変数と
して検出する計測器8および溶接線2の位置を演算する
倣い位置演算装置9を備える。
【0014】もう少し詳しく述べると、直動関節3は、
例えば図4に示す二つの板材1,1間に形成された線状
部位2に向かって、図1に示した矢印Mの方向に接触子
5を直線的に進退させるものである。また、回転関節4
は、上記の直動関節3の全体を図3に示す矢印N方向へ
回動させるもので、接触子5の直線的変位方向に延びる
直動リンク3Aに対して垂直な方向へ延びる回転リンク
4Aを備えている。この回転関節4は、直動リンク3A
に対して垂直となる回転軸線のまわりに回転し、直動関
節3を回動させるために一つまたは二つが採用される。
なお、図1ないし図3の例においては、この回転関節4
が一つ採用され、図6に模式的に示した2自由度関節機
構の形態となっている。しかし、二つ採用する場合に
は、上記の直動リンク3Aが三次元座標系の一つの軸方
向に延びているとみなして、図7に模式的に示した3自
由度関節機構のようになる。すなわち、直動関節3の関
節軸方向に垂直となるように回転関節42の関節軸をと
り、また、直動関節3と回転関節42 の両方の軸方向に
対して垂直となるように回転関節41 の関節軸をとる。
このように関節軸を定義することにより、回転関節42
においてはN2 方向に、回転関節41 においてはN1
向に移動が可能となる。なお、図6および図7ならびに
その後に現れる図において、×印で表された軸は、本説
明においては紙面に垂直でかつ紙面の手前方向に延びる
ものを示し、・印の軸は紙面に垂直でかつ紙面の向こう
方向へ延びるものを示している。
【0015】上記した接触子5は、線状部位2(図4参
照)を検出するために、その線状部位に直接接触しなが
ら倣うように移動されるものであり、前記した直動リン
ク3Aの先端に装着される。その形状は例えば図1に示
したようにコーン状のものや図示しないがボール状のも
のが採用されるが、その材質は金属製でもプラスチック
製でもよく、耐摩耗性の優れたものであればよい。前述
した計測器8は、直動関節3や回転関節4のそれぞれの
関節変数を計測するためのものである。これは、直動関
節3における直動リンク3Aの直動量を検出するため、
リニアガイド10で駆動される直動リンク3Aに間接的
に取りつけた直動関節位置計測器83 と、回転関節4の
回転リンク4Aの回転量を検出するため、DCサーボモ
ータ114 で駆動される回転リンク4Aに取りつけた回
転関節位置計測器84 である。これらの計測器83 ,8
4 には、いずれも公知のポテンショメータが採用され
る。高周波振動発生体6と接触力検出器7とは、接触子
5の背部に一体化して装着されている。高周波振動発生
体6は、溶接線に沿って移動される接触子5と被加工物
との間に発生する摩擦力を軽減するため、高周波振動を
発生させて接触子5に微小変位振動を与えるためのもの
である。これには、圧電セラミック・アクチュエータ6
が採用される。接触力検出器7は、溶接線に沿って移動
される接触子5の被加工物に対する接触力を検出するも
のである。これは、圧電セラミック・アクチュエータ6
の上部に装着され、接触子5の先端での接触力の情報を
得るための公知の力覚センサ7が使用される。一方、接
触子5は後述するごとく常に所望する一定の大きさの力
で溶接線に作用するよう力がかけられており、交差した
り凹んだりしている溶接線から逸脱しないように配慮さ
れている。しかし、溶接線が急激に変化している場合
や、溶接線が横方向や下方向に開口している場合などの
ように接触子5を側方や下方から接近させて検出するよ
うな場合には、その接触子5をある程度大きい力で溶接
線に押しつけておく必要がある。そこで、上記した力覚
センサ7から検出される押付力が低下したときでも、接
触子5が倣い中に一定の押付力を発揮するように、力覚
センサ7からの信号に基づいて回転関節4を動作させ、
所定の押付力が発揮されるように制御することができる
ようになっている。倣い位置演算装置9は、直動ポテン
ショメータ83 および回転ポテンショメータ84 からの
出力信号により、接触子5が線状部位を倣いながら移動
している線状軌跡上の位置を演算し、接触子5の線状軌
跡を所望する他の動作装置に再現させることができるよ
うにその演算結果を出力するものである。なお、他の動
作装置とは、本接触式倣いセンサ装置が溶接ロボットに
装着されている場合には、そのマニプレータに取りつけ
られている冒頭で述べた溶接トーチなどの加工用ツール
である。
【0016】ところで、接触検出を高速かつ高精度で行
うには、検出時に被検出物から接触子5が受ける接触力
と、被検出物と接触子5との間に発生する摩擦力が問題
となる。大きな接触力や摩擦力が接触子5に作用すると
接触子5を支持するリンクに歪みが生じ、位置検出精度
の低下や耐久性の悪化をきたす。そこで、接触子5に対
して押付力を加えると同時に受動的な柔軟性を与えるた
めに、圧縮コイルばね12(図1参照)が直動関節3に
設けられている。これは、具体的には、直動リンク3A
を取り巻くように取りつけられ、その接触力緩和機能
は、あくまでも直動リンク3Aにおけるためのみのもの
である。しかし、溶接線が例えば湾曲などしていても、
この圧縮コイルばね12によって、溶接線から外れない
ようにある程度の押付力を接触子5に付与しておくこと
ができる。一方、接触子5が溶接線から外れていなくて
も、接触子5が受ける反力が変化することに起因する接
触力の変化を防止して、所定の大きさの押付力を維持さ
せるように回転関節4の動作を制御することができるよ
うにもなっている。そのために、力覚センサ7により検
出された接触力検出信号をもとにして、回転関節4に設
けたDCサーボモータ114 を能動的に制御し、接触子
5の接触力に対する回転関節4の柔軟性ある押付力を発
揮させることができるように、後述するコンプライアン
ス制御が採用される。このような個々の装置を有する本
体構成の周辺装置として、関節位置計測器83 ,84
より計測された関節変数を用いて接触子5がたどってい
る溶接線を算出する倣い位置演算装置9が設けられる。
この装置のほかに、力覚センサ7から検出された接触力
情報にもとにして回転関節4のDCサーボモータ114
を能動的に制御し、回転関節4による押付力に柔軟性を
与る制御を行うためのコンプライアンス制御装置13
と、圧電セラミック・アクチュエータ6を微小の高周波
振動させるために高周波電圧を発生させる高周波電圧発
生装置14と、回転関節位置を任意の位置とするための
関節位置決め制御装置154 とが設けられる。
【0017】ここで、本発明における検出原理を簡単に
述べる。溶接作業における二つのワークとしての被加工
物の溶接開先部位は、図8における二本の直線1m,1
nの交点により表され、その交点が溶接線2上の一点と
なる。本接触式倣いセンサ装置においては、接触子5の
先端に対して押付力Fを発生させることにより、接触子
5を溶接線2上に拘束する。その押付力Fの条件は、交
点を通るそれぞれの直線1m,1nの垂線1p,1q間
(図8中の斜線部)から接触子5の中心へ力のベクトル
が規定されている場合である。つまり、押付力Fの横方
向分力が二直線1m,1nからの反力fm ,fn で完全
に打ち消された状態になり、接触子5が溶接線2上に拘
束される。この状態を溶接トーチの移動時においても常
に保つことにより、後述する基準座標系からの溶接線情
報を直動関節3と回転関節4の動作変数から算出できる
ようにしているのである。
【0018】図1に戻って、接触式倣いセンサ装置は溶
接線位置検出機能を有するが、溶接線の位置検出は、ま
ず、接触子5を圧縮コイルばね12によって溶接線上に
拘束する。そして、接触子5を溶接線に沿って移動させ
(図4参照)、各関節に装着したポテンショメータ
3 ,84 からそれぞれの関節における関節変数を測定
する。その関節変数が順演算されることにより、基準座
標系から見た接触子5の先端の位置が算出される。接触
子5が被検出物1と接触するときの反力としての接触力
を緩和させる柔軟機能は、直動関節3では圧縮コイルば
ね12により与えられ、回転関節4では接触力情報に基
づきDCサーボモータ114 を能動的に制御するコンプ
ライアンス制御によって与えられる。接触子5が被加工
物1と接触する際に生じる摩擦力を低減する機能は、接
触子5に高周波微小振動を加えることにより行われる。
これによれば、静摩擦の発生が回避され、摩擦力を低減
させた動摩擦だけが作用するようになる。具体的に言え
ば、圧電セラミック・アクチュエータ6の逆圧電効果を
用いて、接触子5を加振する。接触式倣いセンサ装置の
回転関節位置決め制御機能は、回転関節4を所望する任
意の位置とするための機能であり、接触子5を所望する
倣い位置の近傍へ配置することができる。これは、回転
関節4におけるDCサーボモータ114 をドライバ23
4 (後述する図11参照)により位置決めすることによ
り実現される。そのために図1に示した関節位置決め制
御装置154 が設置される。溶接線位置検出機能を有す
る溶接線位置演算装置9は、溶接線2上に拘束されてい
る接触子5の先端の位置情報を検出するための装置であ
るが、これは、図9に示すように、直動ポテンショメー
タ83 と回転ポテンショメータ84 の抵抗値を測定する
ための測定回路163 ,164 と、順演算アルゴリズム
から構成される。なお、各測定回路163 ,16B
4 は、ボルテージ・フォロア、ロー・パス・フィルタな
どからなるハードウエアで構成される。
【0019】その演算処理における流れは、以下のよう
になる。各ポテンショメータ83 ,84 から、その抵抗
値を測定回路163 ,164 により各々読みとる。ここ
で、抵抗値は関節変数と比例関係にあり、補正処理部1
7において測定された抵抗値に比例定数を乗じ、また、
オフセット定数を加えることによって関節変数に補正さ
れる。この関節変数を順演算部18に送って順演算すれ
ば、基準座標系から見た溶接線の位置が得られる。その
溶接線の位置情報を取得するための順演算アルゴリズム
は、以下のとおりである。図10(A),(B)を参照
して、基準座標系OE −XE E E から見た溶接線の
位置算出のアルゴリズムでは、まず、リンク間の関係を
求めるために、各リンクの座標系を図のように割りあて
る。ここで、OS −XS S S は接触子5の先端を表
すセンサ座標系であり、O1 −X1 1 1 は回転リン
ク4Aの座標系である。このように座標系を割りあてた
ときのリンクパラメータは、表1のようになる。なお、
図中の20は、本接触式倣いセンサ装置全体を支持して
移動するマニプレータのエンドエフェクタである。
【表1】 ただし、θは回転関節4の関節変数、dは直動関節3の
関節変数であって、具体的には図10に示したごとくの
回転リンク4Aの座標系の原点O1 とセンサ座標系の原
点OS との距離である。L1は回転リンク4Aの座標系の
原点O1 と基準座標系の原点OE との距離である。
【0020】このリンクパラメータテーブルにより、基
準座標系OE −XE E E から見たセンサの座標系O
S −XS S S を表す同次変換行列 ES を求める。
まず、基準座標系OE −XE E E から見た回転リン
ク座標を表す座標変換行列 E1 は、
【数1】 同様に、回転リンク4Aの座標系O1 −X1 1 1
らみたセンサ座標を表す座標変換行列 1S は、
【数2】 式(1) と式(2) より、 Es を演算すると、
【数3】 となる。同次変換行列では、4列目の1行,2行,3行
がそれぞれX,Y,Zの位置を表すので、基準座標系O
E −XE E E から見た接触子5の先端の座標は、回
転リンク4Aの関節変数θと直動リンク3Aの関節変数
dとにより、次のようにして求めることができる。 EX = dsin θ EY = −dcos θ (4) EZ = L1
【0021】次に、接触力緩和機能を有するコンプライ
アンス制御について述べる。これには、回転関節4によ
る接触子5の押付力に柔軟性を与えるためのコンプライ
アンス制御装置13(図1参照)が採用される。そし
て、接触子5の上部に取りつけられた力覚センサ7から
接触力情報を取り込むための図11に示す測定回路21
4 と、コンプライアンス処理部224 と、DCサーボモ
ータ114 と、このDCサーボモータ114 を駆動する
ためのドライバ234 と、DCサーボモータ114 に取
りつけられたエンコーダ244 と、直動ポテンショメー
タ83 とから構成される。ちなみに、接触力信号を取り
込む測定回路214 は、差動増幅器やロー・パス・フィ
ルタなどからなっている。その演算処理の流れは、次の
ようになる。力覚センサ7からの接触力の値を測定回路
214 を通して読みとり、コンプライアンス処理部22
4 に送られる。コンプライアン処理部224 では、コン
プライアンス制御アルゴリズムに基づき、回転関節4に
おけるDCサーボモータ114 の制御量を算出し、ドラ
イバ234へその制御量を指令値として伝える。ドライ
バ234 は、指令値にしたがいDCサーボモータ114
を動作させるべく制御する。
【0022】そのコンプライアンス制御のためのアルゴ
リズムは、以下のとおりである。接触子5の先端のセン
サ座標系OS −XS S S で実現したい剛性 SKを、
【数4】 とする。なお、この剛性 SKの逆数がコンプライアンス
すなわち柔軟性を意味する。このコンプライアンス制御
とは、接触子5の先端に発生する力Fより、剛性SKに
応じた基準座標系OE −XE E E から見た微小変位
Δ Exを求める。そして、この微小変位Δ ExをDCサ
ーボモータ114 で制御することにより発生させ、剛性
SKをみかけ上実現しようとするものである。ちなみ
に、実験結果によると、仮想ばね定数 Sx を0.4〜
1.0N/mm程度に設定すれば、押付力を0.5N以
下にすることができた。図12には、コンプライアンス
制御のモデルが示されている。図において、基準座標系
E −XE E E から見たセンサ座標系OS −XS
S S の位置 EPが、各関節の関節変数qの関数Tによ
り、
【数5】 と表せるとする。また、センサ座標系OS −XS S
S から基準座標系OE −XE E E への回転変換行列
ES は、
【数6】 である。ここで、接触子5の先端のセンサ座標系OS
S S S に力 SFが加わった場合、接触子5の先端
で実現したい剛性行列 SKより、発生させるべき基準座
標系OE −XE E E から見た接触子5の先端の微小
変位Δ EPは、 Δ EP = ES S-1 SF (8) ただし、 SF=[ SX SZ T で表される。
【0023】一方,微小変位Δ EPと、そのときの各関
節の微小変位Δqには、式(6) より次の関係がある。 Δ EP = J・Δq J = ∂T/∂q ここで、Jはヤコビ行列 (9) 式(8) と式(9) とから、接触子5の先端に力 SFが加わ
るとき、関節に発生させるべき微小変位Δqは、 SKか
ら、 Δq = J-1 ES S-1 SF (10) として表される。具体的には、次のようになる。
【数7】 実際には、関節変数dは圧縮コイルばね12によって柔
軟性が与えられているので、コンプライアンス制御の対
象とはならない。コンプライアンス制御に必要な微小変
位はΔθのみであり、式(11)式より、Δθは、センサ座
標系OS −XSS S でXS 軸方向に発生している力
SX 、センサ座標系のXS 軸方向に実現する剛性 S
X 、および、直動関節3の関節変数dの3つのパラメー
タから、次の式(12)により算出される。 Δθ = SX /(d・ SX ) (12) センサ座標系でXS 軸方向に発生している力 SX は、
接触子5の上部に設置される力覚センサ7により検出さ
れる。また、直動関節3の関節変数dは、直動ポテンシ
ョメータ83 により検出される。なお、剛性 SX は予
め設定しておくものである。コンプライアンス制御系の
ブロック線図が図13に示されるが、図中のスイッチS
4 を接点Fに接続することによって形成されるコンプ
ライアンス制御系では、上記したコンプライアンス制御
アルゴリズムに基づき、力覚センサ7からの接触力検出
値が目標値の0となるようにDCサーボモータ114
制御する。これによって、回転関節4が被検出物からの
接触力を緩和するよう制御され、回転関節4に柔軟性が
与えられたことになる。
【0024】周辺装置の一つである摩擦力低減機能を有
する高周波電圧発生装置14について述べる。これは、
接触子5を高周波微小振動させるために、圧電セラミッ
ク・アクチュエータ6に高周波電圧を印可する装置であ
り、図14に示すように、直流電源25,波形成形器2
6,電圧ブースタ27より構成される。すなわち、波形
成形器26で生成された高周波電圧波形を電圧ブースタ
27によって昇圧し、圧電セラミック・アクチュエータ
6に印可すると、この高周波電圧波形に応じた高周波微
小変位が圧電セラミック・アクチュエータ6に生じる。
この高周波微小変位は、センサ座標系OS −XS S
S のZS 軸方向へ生じるもので、接触子5を同方向に加
振し、摩擦力が低減される。他の周辺装置としての関節
位置決め制御装置154 は、回転関節4に任意の位置を
与えるべく指令する装置である。これは、図13に示す
ように、回転関節4を回転させるDCサーボモータ11
4 と、このDCサーボモータ114 を駆動するためのド
ライバ234 と、エンコーダ244 とからなる。コンプ
ライアンス制御モードと回転関節位置決めモードの切り
替えは、スイッチSW4 により行われる。このような構
成となっているので、スイッチSW4 を接点Pに切り替
えておくと、教示するなどして別途記憶されている位置
目標値が指令値としてドライバ234 に伝えられ、ドラ
イバ234 はその指令値にしたがいDCサーボモータ1
4 を制御して、回転関節4が当初目標とする位置へ位
置決めされる。ちなみに、図10のところで少し述べた
ように、本接触式倣いセンサ装置はマニプレータのエン
ドエフェクタ20などに装着され、被溶接物に対して溶
接作業するマニプレータの本来の動作が予め教示された
手順にしたがって行われ、溶接トーチと接触式倣いセン
サ装置とが移動される。なお、上記した位置目標値は、
教示されたある点もしくはその次に移動すべき教示点に
おける回転関節4のその都度の当初目標位置である。
【0025】以上の説明から分かるように、本接触式倣
いセンサ装置によれば、直動関節3と回転関節4とによ
り、接触子5を図4などに示す二枚の板材1A,1Bの
交差線2Aに沿って移動させ、線状部位2をリアルタイ
ムで検出することができる。このような線状軌跡は各ポ
テンショメータ83 ,84 からの出力信号をもとに上記
したアルゴリズムにしたがい演算される。この演算結果
がマニプレータのコントローラに入力されると、そのデ
ータに基づいて、マニプレータにより移動される溶接ト
ーチを、接触子5の倣ったとおり線状部位2に沿って即
座に移動させることができる。すなわち、その溶接線2
における所望する隅肉溶接などが円滑に行われ、溶接の
位置ずれなどが起こることは回避される。なお、この作
動については、図20および図21と図4を用いて後で
詳しく述べる。
【0026】接触子5が線状部位2を倣いながら移動す
るとき、接触子5に微小な高周波振動が与えられ、接触
子5の被加工物1に対する動きの滑らかさが確保され
る。また、直動関節3や回転関節4により変位される接
触子5が線状部位2を倣う間に被加工物1に対する押付
力が変化しても、圧縮コイルばね12の押付力と回転関
節4におけるコンプライアンス制御によって、押付力を
軽減したり加重したりしながら実質的に一定の接触力と
なるように柔軟性ある挙動が実現される。したがって、
溶接線が急激に変化するような場合でも、また、接触子
5を側方や下方から溶接線2に倣わせる場合でも、接触
子5が溶接線から外れるようなことはなく、正確な倣い
が実現される。すなわち、押付力が弱まれば接触子5が
凹んだ線状部位から外れることがあるが、常に同じ程度
の力で押しつけられていると、接触子5は常時溶接線上
に拘束されることになるからである。一方、接触子5に
設けた高周波振動発生体6の作動により、接触子5に高
周波微小振動が加えられ、接触子5が被加工物1から受
ける摩擦が常時動摩擦状態におかれる。実験の結果によ
れば、接触摩擦力の低減効果は70%を超え、それゆえ
に、加振時の摩擦力は0.7N以下と十分に小さい値に
収められることが判明した。これによって、接触子5の
円滑な移行が確保され、溶接線2上で所望外の停滞を起
こすことなく直動リンク3Aや回転リンク4Aに歪の発
生をきたすことはない。もちろん、接触子5による溶接
線2の計測精度も高く維持しやすくなる。
【0027】次に、異なる接触式倣いセンサ装置の例
を、図15(A),(B)をもとに第二実施例として説
明する。本装置も2自由度機構であり、直動関節3と回
転関節4などの主たる構成は図1の場合と同じである。
そこで、前記同一機能を有する部分には同じ符号を与え
て、その説明を省く。しかし、具体的には、リニアガイ
ドと圧縮コイルばねが採用されておらず、それに代え
て、直動関節3にラックアンドピニオン31が付加さ
れ、そのピニオン31Aを駆動するDCサーボモータ1
3 が装着されている点が相違する。なお、ラック31
Bは、直動リンク3Aに直接形成されている。この接触
式倣いセンサ装置においては、前述の例では採用されて
いなかった複合した形式のコンプライアンス制御が可能
となる。すなわち、力覚センサ7から検出される接触力
情報に基づいて、回転関節4のDCサーボモータ114
と直動関節3のラックアンドピニオン31のピニオン3
1Aを駆動するDCサーボモータ113 とを能動的に制
御し、各関節に柔軟性を与えるように制御するコンプラ
イアンス制御装置13Aが設けられる。したがって、回
転関節4におけるDCサーボモータ114 と同様に、直
動関節3のDCサーボモータ113 は直動リンク3Aを
駆動するだけでなく、コンプライアンス制御のための動
作もすることができるようになっている。加えて、他の
周辺装置として、回転関節4を任意の位置とするための
関節位置決め制御装置154 が設けられるとともに、直
動関節3のための関節位置決め制御装置153 も設けら
れている。
【0028】この例における溶接線位置検出機能は前述
の例と同じであり、溶接線の位置検出のために接触子5
を溶接線上に拘束し、各関節に装着したポテンショメー
タ83 ,84 から関節変数を測定して、その関節変数を
順演算することで基準座標系からみた接触子5の先端の
位置が得られる。接触子5が被加工物と接触する際に生
じる摩擦力の低減作動も前述の例と同じであり、圧電セ
ラミック・アクチュエータ6の逆圧電効果を用いて、接
触子5を加振することにより、静摩擦の発生を回避する
ようにしている。接触子5が溶接線を倣うときに生じる
接触力を緩和させる機能は、直動関節3および回転関節
4ともに力覚センサ7で検出する接触力情報に基づきD
Cサーボモータ114 ,113 を能動的に制御するコン
プライアンス制御で柔軟性が与えられる。このコンプラ
イアンス制御により回転関節4に柔軟性を与える場合
は、前述した図11と同じであるが、直動関節3におい
ては図16に示すごとくである。すなわち、力覚センサ
7から接触力情報を取り込むための測定回路213 と、
コンプライアンス処理部223 と、DCサーボモータ1
3 と、このDCサーボモータ113 を駆動するための
ドライバ233 と、エンコーダ243 とから構成され
る。なお、測定回路213 は、差動増幅器やロー・パス
・フィルタなどからなっている。その演算処理は、次の
ようになる。図11および図16を参照して、力覚セン
サ7からの接触力の値を測定回路214 ,213 を通し
て読みとり、コンプライアンス処理部224 ,223
送られる。コンプライアンス処理部224 ,223
は、コンプライアンス制御アルゴリズムに基づき、回転
関節4のDCサーボモータ114 と直動関節3のDCサ
ーボモータ113 の制御量を算出し、それぞれのドライ
バ234 ,233 へその制御量を指令値として伝えて、
各DCサーボモータ114 ,113 を制御する。
【0029】そのコンプライアンス制御のためのアルゴ
リズムは、以下のとおりである。このコンプライアンス
制御アルゴリズムは、前例と同様であり、前記の式(11)
から次のように表される。
【数8】 コンプライアンス制御に必要な微小変位ΔθおよびΔd
は、次式で表される。 Δθ = SX /(d・ SX ) (14) Δd = SZ SZ すなわち、Δθは、接触子5にセンサ座標系OS −XS
S S でXS 軸方向に発生している接触力 SX ,直
動関節3の関節変数d,接触子5の先端でセンサ座標系
のXS 軸方向に実現したい剛性 SX から算出される。
一方、Δdは、接触子5にセンサ座標系OS −XS S
S でZS 軸方向に発生している接触力SZ ,接触子
5の先端でセンサ座標系のZS 軸方向に実現したい剛性
SZ から算出される。なお、接触子5の先端に発生し
た力 SX および SZ は、接触子5の上部に設置され
た力覚センサ7により検出され、また、直動関節3の関
節変数dは直動ポテンショメータ83 により検出され
る。そして、剛性 SX および SZ は予め設定されて
いるものである。直動関節3のコンプライアンス制御系
のブロック線図は図17に示すとおりであり、回転関節
4のブロック線図は図13に示したものと同じである。
【0030】回転関節4のコンプライアンス制御系は、
上記したコンプライアンス制御アルゴリズムに基づき、
力覚センサ7からの接触力検出値が目標値の0となるよ
うDCサーボモータ114 を制御する。これは、回転関
節4が被加工物からの接触力を緩和するよう制御し、回
転関節4に柔軟性を与える。一方、直動関節3のコンプ
ライアンス制御系では、上記したコンプライアンス制御
アルゴリズムに基づき、力覚センサ7からの接触力検出
値が設定された目標値の押付力となるようにDCサーボ
モータ113 を制御する。これは、直動関節3が接触子
5と被加工物との間に所定の大きさの押付力を発生させ
るよう制御することであり、また、被加工物からの接触
力が必要以上に大きくならないよう制御される。つま
り、直動関節3におけるコンプライアンス制御は、接触
子5を被加工物に一定の力で押しつける機能と、接触力
が例えば大きくなった場合には、それを軽減するように
直動関節3を動かす機能とを備えている。他の周辺装置
としての回転関節位置決め制御装置154 と直動関節位
置決め制御装置153 は、回転関節4と直動関節3とを
任意の位置とする装置である。回転関節4においては、
図13の場合と同じであり、DCサーボモータ114
それを駆動するためのドライバ234 ,エンコーダ24
4 からなる。コンプライアンス制御モードと位置決めモ
ードの切り替えは、別途指令を受けて動作するスイッチ
SW4 により行われる。一方、直動関節3におけるコン
プライアンス制御モードと位置決めモードとの切り替え
は、図17に示すスイッチSW3 により行われる。した
がって、位置目標値を指令値としてドライバ233 に伝
えると、ドライバ233 は指令値にしたがってDCサー
ボモータ113 を制御し、直動関節3が目標とする位置
へ位置決めされる。
【0031】次に、本発明に係る接触式倣いセンサ装置
を溶接線倣い装置とした場合の例を図18をもとにして
説明する。第二の実施例における接触式倣いセンサ装置
40およびツールとしての溶接トーチ50を、3以上の
自由度を有するマニプレータ60のエンドエフェクタ2
0に装着した例である。この例においては、接触式倣い
センサ装置40が溶接トーチ50に先行するように配置
されている。マニプレータ60の各関節を駆動するサー
ボモータ61,溶接線位置演算装置9および関節位置決
め制御装置153 ,154 はコントローラ62に接続さ
れている。マニプレータ60のコントローラ62内に
は、図19に示すように、中央処理装置CPU,固定メ
モリROM,随時書込メモリRAMやサーボドライバ6
3さらには情報のやりとりをするためのインターフェイ
ス64が格納されている。
【0032】上記した随時書込メモリRAMには、以下
のデータが格納される。 作業開始点 :PO (教示
データである) 被加工物1の近傍の位置 :PWS (教示
データである) 接触子5の検出開始姿勢 :FS (教示
データである) スイッチSW3 およびSW4 によるコンプライアンス制
御モードの設定:SWF (教示データである) 接触子5の検出開始点 :PDS (教示
データである) 教示された溶接トーチ50の全移動量:UALL (教示
データである) スイッチSW3 およびSW4 による位置決め制御モード
の設定:SWP (教示データである) 接触子5の検出終了姿勢 :FE (教示
データである) 溶接開始点 :PAS (検出
データである) 溶接線2の位置検出値 :DSP (検出
データである) 溶接終了点 :PAE (検出
データである) 溶接トーチ50の移動量累積値 :Uinteg (コン
トローラ62の演算データである) 固定メモリROMには、溶接トーチ50が随時書込メモ
リRAMに記憶された教示データおよび接触式倣いセン
サ装置40による検出データに基づいた位置姿勢となる
ように、マニプレータ60の各関節を動作させるべくサ
ーボモータ61を制御するプログラムが記憶されてい
る。この制御プログラムを用いて、マニプレータ60の
姿勢を連続的に変化させ、マニプレータ60のエンドエ
フェクタ20に取りつけた溶接トーチ50の先端を、接
触式倣いセンサ装置40で検出した溶接線2に倣わすこ
とが可能となる。この制御を、以下「トーチの溶接線倣
い制御」ということにする。中央処理装置CPUは、固
定メモリROMに記憶された制御プログラムを実行さ
せ、随時書込メモリRAMに記憶した教示データおよび
接触式倣いセンサ装置40の検出データに基づき、マニ
プレータ60を制御するものである。これは、溶接トー
チ50を教示データおよび教示データに応じた軌跡で移
動させるためのマニプレータ60の各関節の指令値(マ
ニプレータ各関節の関節位置データ)を生成し、サーボ
ドライバ63に伝えるようになっている。サーボドライ
バ63は、CPUから受け取った指令値にしたがい、マ
ニプレータ60の各関節を駆動するように機能する。
【0033】以下に、接触式倣いセンサ装置40の検出
データを用いたトーチの溶接線倣い制御を、図20およ
び図21と図4を参照しながら説明する。スイッチSW
4 (図13参照)およびスイッチSW3 (図17参照)
をそれぞれの接点Pに接続して、位置決め制御モード
(SWP )に設定し、接触式倣いセンサ装置40を教示
された検出開始姿勢(FS )とする。そして、溶接トー
チ50と接触式倣いセンサ装置40とを、図20に示す
作業開始点(PO )から被加工物1の近傍の所定の位置
(PWS)に、マニプレータ60を用いて移動させる。こ
の時点では、接触式倣いセンサ装置40の接触子5が被
加工物1に接触していない〔ステップ1〕。スイッチS
4 およびスイッチSW3 を接点Fに切り替え、位置決
め制御モード(AWP )から、コンプライアンス制御モ
ード(SWF )に切り替える。教示された検出開始点
(PDS)に接触式倣いセンサ装置40をアプローチさ
せ、接触子5を溶接線2上に拘束させる。その状態で、
接触式倣いセンサ装置40による溶接線2の検出を行
い、その検出データを溶接開始点(PAS)とし、コント
ローラ62内のRAMに記憶させる〔ステップ2〕。検
出された溶接開始点(PAS)を目標に溶接トーチ50
を、図4の白矢印の方向へ移動させる。この間も接触式
倣いセンサ装置40は図21に示すように溶接トーチ5
0に先行し、一定周期で溶接線2を接触検出する。その
検出データは、溶接線位置検出値(DSP)としてRA
Mに記憶される。溶接トーチ50が溶接開始点(PAS
に到達した後に溶接を開始し、コントローラ62内のR
AMに記憶された溶接線位置データをもとに、溶接トー
チ50の溶接線倣い制御を行う〔ステップ3〕。次に、
一定周期で接触式倣いセンサ装置40による溶接線2の
検出を行い、検出データを溶接線位置データとしてRA
Mに記憶させる〔ステップ4〕。その溶接開始点
(PAS)からの溶接トーチ50の移動量をトーチ移動量
累積値(Uinteg)として、RAMで管理する〔ステップ
5〕。このトーチ移動量累積値(Uinteg)と予め教示さ
れた溶接トーチ50の全移動量(UALL ) との比較を行
う。一致すれば次のステップへ移行し、トーチ移動量累
積値(Uinteg)が全移動量(UALL ) 以下であれば、ス
テップ4へ戻って再度実行させる〔ステップ6〕。トー
チ移動量累積値と予め教示された全移動量とが一致した
時点で、その溶接線位置検出値(DSP)を溶接終了点
(PAE)とみなしてRAMに記憶させる。これによっ
て、接触式倣いセンサ装置40の溶接線検出動作は終了
する〔ステップ7〕。スイッチSW4 およびスイッチS
3 によって、コンプライアンス制御モード(SWF
から再び位置決め制御モード(SWP )に切り替える。
そして、接触式倣いセンサ装置40を予め教示された検
出終了姿勢(FE )とする〔ステップ8〕。ステップ7
で検出された溶接終了点(PAE)まで溶接トーチ50を
移動させ、それが完了した時点で、溶接は終了する。溶
接トーチ50および接触式倣いセンサ装置40を、図2
0のように、次の被加工物1の近傍の所定の位置
(PWS)へマニプレータ60を用いて移動させる〔ステ
ップ9〕。なお、以上の説明はいずれも接触式倣いセン
サ装置を溶接ロボットなどのマニプレータに取りつけて
おき、接触子の倣い位置を溶接トーチの動きに反映させ
るようにした例で説明したが、本発明の接触式倣いセン
サ装置は、溶接ロボットなどに限らず、マニプレータを
使用して他の動作装置に、その倣い位置を再現させるよ
うな場合、例えば、被加工部に接着を施すいわゆるシー
リングロボットや形枠製作用ロボットなどにも適用する
ことができるのは述べるまでもない。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、直動関節と回転関節に
よって接触子を交差線や凹み部などに沿わせて移動さ
せ、その線状部位を接触子によって倣わせ、その線状軌
跡を各関節に設けた関節位置計測器からの出力信号をも
とに、接触子の位置を検出することができる。これによ
って、接触子の倣ったとおり溶接線などに沿って他の動
作装置(例えば溶接トーチ)を移動させることができ
る。すなわち、その溶接線からずれのない隅肉溶接など
を円滑に行うことができる。そして、所望する線状部位
を倣う接触子ならびにその支持機構のコンパクト化が図
られ、簡素な構造の接触式倣いセンサ装置でもって懐の
深い被検出物の線状部位の検出にも対応させることが可
能となる。接触子に高周波微小振動を加える高周波振動
発生体を装着しているので、接触検出時に接触子に微小
な高周波振動が与えられ、接触子と被検出物との間に生
じる摩擦力を低減することができる。これによって、接
触子の円滑な移動による検出精度の向上が図られ、ま
た、接触子ならびにそれを支持する各リンクへの無用の
力負担や歪の発生が抑制され、接触式倣いセンサ装置の
耐久性も飛躍的に改善される。
【0035】直動関節にリニアガイドを装着しておく
と、その動作により直動リンクを変位させることによっ
て接触子を検出対象の線状部位に向かって直線的な変位
を極めて容易に行わせることができる。このような構成
としておく場合には、次に述べる圧縮コイルばねを装着
させることができる。直動関節の直動リンクに圧縮コイ
ルばねが装着されていると、溶接線などの凹んだ線状部
位に接触子を拘束する押付力を発生させることができ、
加えて、線状部位が急激に変化する場合でも、接触子の
被加工物に対する接触力を直動関節において緩和しなが
ら柔軟に対応させることができる。接触子に、その接触
力を検出する接触力検出器を取りつけ、その接触力検出
器により検出された接触力検出信号をもとにして回転関
節を作動させるサーボモータを能動的に制御するコンプ
ライアンス制御を採用しておくと、接触式倣いセンサ装
置の位置姿勢が自重の影響を受けなくなる。したがっ
て、線状部位に沿って移動される接触子の被加工物に対
する接触力が常時所望値に維持され、また、接触子の被
加工物に対する接触力を回転関節において緩和したり加
重したりする柔軟性ある挙動が実現される。これによれ
ば、溶接線などが急激に変化するような場合でも、ま
た、接触子を側方や下方から溶接線に倣わせられ、接触
子が溶接線から外れることなく、確実な倣いが常時実現
される。
【0036】直動関節にサーボモータを装着し、その回
転により作動するラックアンドピニオンを設けておけ
ば、直動リンクを変位させて接触子を直線的変位させる
ことができる。これによって、直動リンクを積極的に動
作させたり、直動関節におけるコンプライアンス制御の
ために、そのサーボモータを利用することができるよう
になる。接触子に、その接触力を検出する接触力検出器
を取りつけ、上記のサーボモータとラックアンドピニオ
ンを設けた場合には、接触力検出器により検出された接
触力検出信号をもとにして、接触子を線状部位に拘束す
る押付力を発生させるとともに、サーボモータを能動的
にコンプライアンス制御することができ、線状部位に沿
って移動される接触子の被加工物に対する接触力が所望
値に維持されるように直動関節を動作させることが可能
となる。これによれば、接触式倣いセンサ装置の位置姿
勢が自重の影響を受けることがなくなり、立て向きや上
向きの溶接時などでも横方向や下方向などからも溶接線
の検出が可能となる。
【0037】直動関節にサーボモータおよびそれに作動
するラックアンドピニオンを設け、回転関節にサーボモ
ータを設けて、コンプライアンス制御をそれぞれにおい
て行わせると、接触子を線状部位に拘束する押付力が発
生されるとともに、接触子の被加工物に対する接触力を
直動関節および回転関節において緩和し、接触力の柔軟
性を与えることができる。このような複合したコンプラ
イアンス制御を可能にすれば、接触子の倣い動作がより
一層確実なものとなり、線状軌跡の検出精度も向上す
る。スイッチによってコンプライアンス制御と関節位置
決め制御とが切り替えられるようになっていると、コン
プライアンス制御を行う前に、接触式倣いセンサ装置の
関節を、サーボモータを駆動して接触子を所望する任意
の位置へ移動させることが可能となり、接触子の基準座
標系から見た位置を任意に選定して、マニプレータなど
を用いた溶接作業において、溶接線の接触倣いを行う際
の溶接開始時に接触子を溶接線上に確実に拘束すること
ができる。そして、関節位置決め制御が完了すればコン
プライアンス制御とすることができ、以後の倣い動作に
おいて接触子の姿勢の如何にかかわらず、接触子に溶接
線などを確実にたどらせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る接触式倣いセンサ装置の一例を
示す全体正面図。
【図2】 図1の平面矢視図。
【図3】 図1の III−III 線矢視前面図。
【図4】 交差する二枚の被加工物とそれに形成された
溶接線を示すとともに、接触子をその溶接線上でコンプ
ライアンス制御モードにより倣いを行わせる手順の説明
図。
【図5】 (A)は重ね合わされた二枚の被加工物とそ
の間に形成された溶接線を示す斜視図、(B)は二枚の
被加工物が突き合わされて形成した溶接開先を示す斜視
図。
【図6】 2自由度を有する接触式倣いセンサ装置の模
式図。
【図7】 3自由度を有する接触式倣いセンサ装置の模
式図。
【図8】 本発明における検出原理を示し、押付力が二
つの反力で打ち消され、接触子が溶接線上に拘束される
状態の説明図。
【図9】 倣い位置演算装置の構成ブロック図。
【図10】 (A)は各関節における座標系を示した接
触式倣いセンサ装置の正面図、(B)は各関節における
座標系を示した接触式倣いセンサ装置の平面図。
【図11】 回転関節におけるコンプライアンス制御の
ための構成ブロック図。
【図12】 コンプライアンス制御における作動モデル
図。
【図13】 回転関節位置決め制御を含む回転関節にお
けるコンプライアンス制御のための制御ブロック線図。
【図14】 高周波振動発生装置の構成ブロック図。
【図15】 (A)は第二実施例における接触式倣いセ
ンサ装置の正面図、(B)は(A)の平面矢視図。
【図16】 直動関節におけるコンプライアンス制御の
ための構成ブロック図。
【図17】 直動関節位置決め制御を含む直動関節にお
けるコンプライアンス制御のための制御ブロック線図。
【図18】 接触式倣いセンサ装置を溶接ロボットに組
み込んだ溶接線倣い装置の構成図。
【図19】 溶接線倣い装置のコントローラの内部構成
と周辺装置との関係を示すブロック図。
【図20】 直角に交差する二枚の被加工物の溶接線に
接触子を関節位置決め制御する手順の説明図。
【図21】 接触子とそれに追従する溶接トーチとが溶
接線上を移動している様子を示す概略的斜視図。
【符号の説明】
1,1A,1B…被加工物(板材,被検出物)、2…線
状部位(溶接線)、3…直動関節、3A…直動リンク、
4,41 ,42 …回転関節、5…接触子、6…高周波振
動発生体(圧電セラミック・アクチュエータ)、7…接
触力検出器(力覚センサ)、83 …直動関節位置計測器
(直動ポテンショメータ)、84 …回転関節位置計測器
(回転ポテンショメータ)、9…倣い位置演算装置(溶
接線位置演算装置)、10…リニアガイド、113 ,1
4 …サーボモータ、12…圧縮コイルばね、13,1
3A…コンプライアンス制御装置、153 ,154 …関
節位置決め制御装置、31…ラックアンドピニオン、4
0…接触式倣いセンサ装置、50…他の動作装置(溶接
トーチ)、SW3 ,SW4 …スイッチ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 陽滋 愛知県名古屋市瑞穂区御莨町1丁目22番 地 (72)発明者 神品 泰宏 大阪府高槻市川西町1丁目33番13号 (56)参考文献 特開 昭62−50081(JP,A) 実開 昭53−35926(JP,U) 実開 昭57−3475(JP,U) 実開 平2−94050(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/127 505 B23Q 35/04 B23Q 35/121

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二つの被加工物が交差して形成される交
    差線もしくは突き合わされるなどして形成される凹み線
    などの線状部位を検出できるようになっている接触式倣
    いセンサ装置において、 上記線状部位を検出するために、該線状部位に直接接触
    しながら倣うように移動される接触子と、 上記線状部位に対面する側に設けられ、該線状部位に向
    かって前記接触子を直線的に進退させる直動関節と、 上記直動関節による前記接触子の直線的変位方向に対し
    て垂直な方向へ延びるアームによって該直動関節を支持
    するアーム支持機構と、 上記アーム支持機構に設けられ、前記接触子の直線的変
    位方向に対して垂直となる軸線のまわりに回転し、上記
    直動関節を回動させる一以上の回転関節と、 前記直動関節による直線的変位量を関節変数として検出
    するため、該直動関節に取りつけられた直動関節位置計
    測器と、 前記回転関節による直動関節の回動量を関節変数として
    検出するため、各々の回転関節に取りつけられた回転関
    節位置計測器と、 前記接触子に一体化して設けられ、前記線状部位に沿っ
    て移動される接触子と被加工物との間に発生する摩擦力
    を軽減するための高周波振動を発生させ、該接触子に微
    小変位振動を与える高周波振動発生体と、 前記直動関節位置計測器および回転関節位置計測器から
    の出力信号により、前記接触子が線状部位を倣いながら
    移動している位置を演算し、該接触子の線状軌跡を所望
    する他の動作装置に再現させることができるように、そ
    の演算結果を出力する倣い位置演算装置とが備えられて
    いることを特徴とする接触式倣いセンサ装置。
  2. 【請求項2】 前記直動関節にリニアガイドが装着さ
    れ、該リニアガイドの動作により直動リンクを変位さ
    せ、前記接触子を直線的変位させるようになっているこ
    とを特徴とする請求項1に記載された接触式倣いセンサ
    装置。
  3. 【請求項3】 前記接触子を前記線状部位に拘束する押
    付力を発生するとともに、接触子の被加工物に対する接
    触力を前記直動関節において緩和する柔軟性を与えるた
    め、該直動関節の直動リンクには圧縮コイルばねが装着
    されていることを特徴とする請求項2に記載された接触
    式倣いセンサ装置。
  4. 【請求項4】 前記線状部位に沿って移動される接触子
    の被加工物に対する接触力が所望値に維持されるように
    前記回転関節を動作させるため、前記接触子にはその接
    触力を検出する接触力検出器が取りつけられ、 前記接触子の被加工物に対する接触力を該回転関節にお
    いて緩和して柔軟性を与えるため、上記接触力検出器に
    より検出された接触力検出信号をもとに回転関節を作動
    させるサーボモータを能動的に制御するコンプライアン
    ス制御が採用されていることを特徴とする請求項1に記
    載された接触式倣いセンサ装置。
  5. 【請求項5】 前記直動関節にサーボモータが装着さ
    れ、該サーボモータの回転により作動するラックアンド
    ピニオンを介して直動リンクを変位させ、前記接触子を
    直線的変位させるようになっていることを特徴とする請
    求項1に記載された接触式倣いセンサ装置。
  6. 【請求項6】 前記線状部位に沿って移動される接触子
    の被加工物に対する接触力が所望値に維持されるように
    前記直動関節を動作させるため、前記接触子にはその接
    触力を検出する接触力検出器が取りつけられ、 前記接触子の被加工物に対する接触力を前記直動関節に
    おいて緩和する柔軟性を与えるため、前記接触力検出器
    により検出された接触力検出信号をもとにして前記サー
    ボモータを能動的に制御するコンプライアンス制御が採
    用されていることを特徴とする請求項5に記載された接
    触式倣いセンサ装置。
  7. 【請求項7】 サーボモータおよびそれに作動するラッ
    クアンドピニオンを設けた直動関節と、サーボモータに
    より駆動される回転関節とが設けられ、 前記線状部位に沿って移動される接触子の被加工物に対
    する接触力が所望値に維持されるように前記直動関節お
    よび回転関節を動作させるため、前記接触子にはその接
    触力を検出する接触力検出器が取りつけられ、 前記接触子を前記線状部位に拘束する押付力を発生する
    とともに、接触子の被加工物に対する接触力を前記直動
    関節および回転関節において緩和する柔軟性を与えるた
    め、前記接触力検出器により検出された接触力検出信号
    をもとにして前記直動関節のサーボモータおよび回転関
    節のサーボモータを能動的に制御するコンプライアンス
    制御が採用されていることを特徴とする請求項1に記載
    された接触式倣いセンサ装置。
  8. 【請求項8】 前記コンプライアンス制御は、スイッチ
    によって関節位置決め制御と切り替えられるようになっ
    ていることを特徴とする請求項4、請求項6請求項7の
    いずれかに記載された接触式倣いセンサ装置。
JP16018892A 1992-05-26 1992-05-26 接触式倣いセンサ装置 Expired - Fee Related JP3164648B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16018892A JP3164648B2 (ja) 1992-05-26 1992-05-26 接触式倣いセンサ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16018892A JP3164648B2 (ja) 1992-05-26 1992-05-26 接触式倣いセンサ装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0747472A JPH0747472A (ja) 1995-02-21
JP3164648B2 true JP3164648B2 (ja) 2001-05-08

Family

ID=15709728

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16018892A Expired - Fee Related JP3164648B2 (ja) 1992-05-26 1992-05-26 接触式倣いセンサ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3164648B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101829835B (zh) * 2010-04-27 2013-01-09 南京航空航天大学 一种焊缝自动跟踪方法及装置
WO2013136756A1 (ja) * 2012-03-16 2013-09-19 パナソニック株式会社 溶接線検出方法および産業用ロボット
CN114434325B (zh) * 2022-02-21 2023-01-06 华中科技大学 一种基于串联弹性执行器的单自由度力控磨头装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0747472A (ja) 1995-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101683289B1 (ko) 매니퓰레이터를 조절하기 위한 방법 및 장치
CN110997249B (zh) 作业机器人和作业机器人的控制方法
CA2664146A1 (en) Apparatus, system and computer program for controlling a tool
JP4976883B2 (ja) マニピュレータシステム
JPH11231925A (ja) ダイレクトティーチング用ロボットの手先
Ahmad et al. Shape recovery from robot contour-tracking with force feedback
JP3164648B2 (ja) 接触式倣いセンサ装置
JP2020171989A (ja) ロボット教示システム
Wedel et al. An experiment in hybrid position/force control of a six DOF revolute manipulator
WO2019017416A1 (ja) 作業用ロボット、作業用ロボットの制御方法
JPH07198370A (ja) 力制御ロボットの位置検出プローブ
JP2786874B2 (ja) 可動位置制御装置
JPH06143171A (ja) ロボット
Choi et al. Using a compliant wrist for a teleoperated robot
JP2709001B2 (ja) 力制御ロボットにおける作業対象物の位置検出装置
JPH05337860A (ja) ロボットハンドの教示装置およびロボットハンド
JP2583272B2 (ja) ロボットの制御装置
JPH0825260A (ja) 産業用ロボットの撓み補正方法
JPH03105404A (ja) ダイレクトティーチ方式
JPH0756127Y2 (ja) ウィービング動作をするアーク溶接ロボット
JPS618236A (ja) 移動体制御装置
JP3078884B2 (ja) 倣い制御装置
US11881795B2 (en) Method of controlling piezoelectric driving apparatus, method of controlling robot, and robot
JP7462827B2 (ja) 制御装置、ロボットシステム、学習装置、軌跡モデル、制御方法、およびプログラム
CN116852397B (zh) 负压理疗机器人理疗力度及理疗路径的自适应调节方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees