JP3162161B2 - ボイラ装置の演算装置 - Google Patents

ボイラ装置の演算装置

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JP3162161B2
JP3162161B2 JP07981392A JP7981392A JP3162161B2 JP 3162161 B2 JP3162161 B2 JP 3162161B2 JP 07981392 A JP07981392 A JP 07981392A JP 7981392 A JP7981392 A JP 7981392A JP 3162161 B2 JP3162161 B2 JP 3162161B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はボイラ装置の演算装置に
係わり、特に好適な動特性予測を与える物理モデルに関
する。
【0002】
【従来の技術】事業用ボイラは電力需要の伸びに伴い、
年々大型化しているが、それと共に一層の性能向上が求
められている。特に、これまでは高効率化が主体であつ
たが、最近は時間的に変化する負荷に追従する動特性性
能が重要になつている。これは、家庭で使うエアコン、
レンジ等の短時間ながら電力消費量の大きい電気製品が
普及したためである。
【0003】事業用ボイラの動特性性能を示す値とし
て、負荷変化率(%/分)がある。最近は5(%/分)
程度の負荷変化率が要求されている。この場合50%負
荷から100%負荷まで僅か10分で上昇する。事業用
ボイラのような高温高圧の大型装置では、負荷変化にお
いて一番問題となるのは材料の内外温度差によつて生じ
る熱応力である。これに対し、事業用ボイラではヘツダ
とかドラムなどの肉厚の大きい部分の温度を常に計測
し、温度の変化速度が設計値を越えないように監視し、
制御を行つている。
【0004】このような動特性性能は静的(定常)な設
計のみを行つていたのでは評価することができない。そ
こで、最近ではコンピユータを駆使した動特性予測技術
が発達しつつあり、ボイラ設計においてはもちろんそれ
以外にも種々の用途に使われている。例えば、実機ボイ
ラの運転において動特性予測を行つて制御量を決める予
測制御に使われたり、ボイラの運転員を育成する際の運
転シミユレータに組み込まれて使われている。
【0005】図6は、実機ボイラの制御装置に組み込ま
れた動特性予測部分の構造の一例である。復水器18を
出た水は給水ポンプ11によつて節炭器5に送られる。
ここで一旦加熱された後、火炉6でさらに加熱され蒸気
となる。そして、1次過熱器7、2次過熱器8で過熱蒸
気となり高圧タービン15に入る。この時の蒸気の温度
は約540℃、圧力は250気圧程度である。
【0006】蒸気は高圧タービン15から一旦ボイラに
戻り、1次再熱器9および2次再熱器10で過熱され、
再び低圧タービン16に至る。タービンは発電機17を
回し発電する。タービンから戻つた蒸気は復水器18で
水になり循環する。
【0007】一方、燃焼ガスは最初に火炉6で主として
輻射によつて伝熱し、以下過熱器7,8、再熱器9,1
0、節炭器5等の管群に対して対流によつて伝熱する。
従つて、これらの伝熱ループは下流側が上流側に作用し
複雑なので、通常はコンピユータを使つて解析が行われ
る。解析ではさらに、実機と同じようにスプレー20,
21,22の量とか燃料量、排ガス循環量等の調整が加
わり、主蒸気30と再熱蒸気31の温度が一定になるよ
うに制御されるので非常に複雑になる。従つて、大型コ
ンピユータを使つても実機の変化時間(10〜30分)
と同程度の解析時間を要する大規模な計算である。
【0008】なお、図において、1は水・蒸気流路、2
はガス流路、3は再循環ガス流路、4は再循環フアン、
12は燃料、13は空気である。
【0009】計算の一例を図8に示す。図8は横軸に時
間、縦軸に1次過熱器出口蒸気温度50、主蒸気温度5
1、再熱蒸気温度52をとつたものである。
【0010】この時ボイラ出力は時間0で100%負荷
から降下を開始し、10分後に50%負荷に至り降下を
終了している。主蒸気温度51はスプレー水の注入によ
つて制御されているので殆ど変化しないが、スプレーの
上流にある1次過熱器出口蒸気温度50は30℃程上昇
している。また、再熱蒸気温度52も10℃程下降して
いる。このように、僅かではあるが温度変化が発生する
と管が集中する管寄せとか、肉厚の厚い汽水分離器など
には内部流体の温度変化により大きな熱応力が発生し、
ボイラ寿命を著しく縮める。
【0011】このように、火炉水壁、管群のレイアウト
によつて左右され、しかも静的な計算では予測できない
ので、負荷変化の度合いの大きい事業用ボイラでは動特
性予測が設計および運転で非常に重要である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、動特性
予測は計算量が膨大なため火炉とか管群はできるだけ単
純な要素モデルで模擬しなくてはならず、各要素では次
式のような簡単な集中定数系でエネルギバランスをと
り、温度変化を求めるのが一般的である。
【0013】 VρCΔT=(QIN−QOUT)×Δt (1) ここに、 V:要素の体積(M3) ρ:比重 (KG/M3) C:比熱 (KCAL/KG℃) ΔT:温度変化(℃) QIN:要素への流入熱量(KCAL/S) QOUT:要素からの流出熱量(KCAL/S) Δt:微小時間(S) 本発明に関わる火炉要素も、従来は火炉に投入された総
発熱量(燃焼熱およびガス、空気の持込み熱)を用いて
火炉水壁への伝熱量の計算を行つていた。
【0014】ところが、最近のボイラは公害規制から低
NOx運転として2段燃焼を採用するようになつてき
た。
【0015】2段燃焼は図7に示すように主燃焼域40
で理論空気比以下の燃焼を行い、バーナ41の下流に設
けた空気ポート46から補足用の空気を吹き込み完全燃
焼させ、排ガス中のNOxを低下させる方法である。こ
の方法は低NOx燃焼法としては最も効果があり広く使
われている。しかし、従来の燃焼法に比べ、発熱域が火
炉の下流側に移る性質がある。そのため、従来の火炉と
は放射伝熱の状態が変わつてきており、火炉の伝熱量が
正しく評価できないという問題がある。なお、図におい
て、45は2段燃焼域である。
【0016】その例として燃焼用空気量を変化させた時
の計算結果を比較して図9に示す。図9はボイラの燃焼
用空気を減らしたステツプ応答の結果を、本発明と従来
例とで比較したものである。横軸は時間であり、縦軸は
燃焼用空気量および再熱蒸気温度であり、いずれも、変
化前の状態を基準にした偏差(%)で示している。燃焼
用空気量は2.5%だけステツプ的に減少させている。
【0017】再熱蒸気温度において、曲線ロは火炉を1
個の要素とした1段モデル、曲線イは火炉を2個の要素
に分割した2段モデルの結果である。両者は全く逆の結
果となつているが、2段モデルの結果の方が実機(曲線
ハ)と一致している。この原因について以下に述べる。
【0018】再熱器への伝熱は主として対流によつて行
われるので、次式で表される。
【0019】 Q=h・(Tg−Tr)・A (2) ここで、 h:熱伝達率 Tg:ガス温度 Tr:再熱器表面温度 A:再熱器表面積 1段モデルでは火炉を一つの要素で考えているので、空
気量が減ると火炉の過剰空気量が減り、炉内のガス温度
は上昇する。その結果、火炉水壁に伝わる熱量は増加
し、火炉出口のガス温度Tgは低下する。さらに、ガス
量の減少による熱伝達率hの低下と相まつて再熱器への
伝熱量Qは減少する。
【0020】一方、2段モデルではバーナの空気量が減
少すると、理論空気比以下であつたバーナゾーンの空気
比はさらに低下する。空気比が下がれば発熱量が減少し
バーナゾーンのガス温度が低下する。その結果、火炉へ
の伝熱量が減少するので火炉出口ガス温度Tgは上昇す
る。ガス量が減少しているので熱伝達率hが僅かに低下
し、打ち消し合うようになるが、Tgの上昇分が大きい
ので再熱器への伝熱量は増加し、再熱器の出口蒸気温度
は上昇する。
【0021】このように、2段燃焼を行う火炉に対して
は燃焼域を分割して伝熱計算を行わないと実機の現象を
正しく再現できない。
【0022】火炉を細分割すると予測精度が向上するこ
とは静的計算の分野では常識である。しかし、動特性予
測計算では以下に述べる理由により用いられていなかつ
た。すなわち、火炉内の伝熱計算は放射と対流を加味し
た4次式の解析法である上に、要素間の放射による熱収
支を考慮した反復計算となるので、計算時間が格段に長
くなる。
【0023】例えば火炉を分割しないで、1個の要素で
計算した場合の計算時間をt1とすると、N個の要素で
計算した場合に要する時間は次式となる。
【0024】t=N2 ×t1 通常、事業用ボイラ火炉を正確に模擬しようとすると、
10(奥行き)×10(幅)×20(高さ)=2,00
0要素程度は最低でも必要となる。この場合、最高速で
演算するスーパコンピユータを使用しても、t1=1×
10- 4 (秒)程度だから、400秒かかる。これに対
し、動特性予測は大体1秒ごとの刻みで計算を行う上
に、他の要素とのやりとりを行う反復計算であることを
考慮すると、火炉での計算時間は少なくとも0.1秒以
内に止めなければならない。つまり、要素分割数を増や
した一般の静的な計算は動特性予測では時間がかかり過
ぎて使用できない。
【0025】この改良として、要素数を30個程度に抑
え、粗計算を行つた後、経験的な補正係数を用いて修正
する方法も試みられている。この場合、高価なスーパコ
ンピユータを使用すれば0.1秒以内で計算できるので
原理的には可能である。しかし、一般に使われる動特性
予測用コンピユータでは計算時間がこの10倍以上はか
かるのでやはり使用できない。
【0026】本発明は、火炉モデルの部分を最低でも2
分割にし、2段燃焼による火炉吸熱の変化を取り入れら
れるようにすると共に、蒸気温度の予測制御における制
御性向上を図ることができるボイラ装置の演算装置を提
供することを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記目的は、バーナ域で
の燃焼と2段燃焼域での燃焼の差異を表現するために
炉要素をバーナ段数に応じてバーナ域と2段燃焼域とに
要素分割して各部燃焼ガスと火炉水壁部との熱伝達を表
現する物理式を構成し、これを解くことによつて火炉の
燃焼ガス温度を計算し、この燃焼ガス温度から1次過熱
器外部ガス温度を計算する方式を採用することによつて
達成される。
【0028】
【作用】れまでの火炉の伝熱計算では、要素間の対流
および放射による熱移動を考え、反復計算を行つていた
ために計算時間が長くなつていた。
【0029】本発明では、2段燃焼を考慮したボイラ火
炉の物理モデルを用いて1次過熱器外部ガス温度を算出
しこれを過熱器モデルに適用すれば、従来技術に比較し
て遙に高精度な1次過熱器出口蒸気温度を計算予測する
ことができ、予測計算値に基づく燃料流量制御の制御性
能を向上させることができる。
【0030】
【実施例】図1に第1の発明による出力600MWのボ
イラの動特性予測装置の構成を示す。
【0031】図6に示す従来例と異なる点は、火炉(高
さ40m、奥行き13m、幅15m)がガス流の流れに
対応してバーナ部と2段燃焼部との2つの要素に分かれ
ていることである。なお、14は2段燃焼用空気であ
る。以下、その作用について図2(a),(b)を用い
て説明する。
【0032】バーナ部と2段燃焼部におけるエネルギバ
ランスは次式のようになつている。
【バーナ部】
Q1+qc1+qr21=qc12+q1w+qr12
【0033】
【2段燃焼部】 Q2+qc12+qr12=qc2+q2w+qr21 ここに、 Q1:バーナゾーンの発熱量 Q2:2段燃焼部の発熱量 qr12:バーナ部から2段燃焼部への放熱量 〜T14 qr21:2段燃焼部からバーナ部への放射量 〜T24 qc1:バーナ部に流入する排ガス混合による対流伝熱
量 qc12:バーナ部から2段燃焼部への対流伝熱量 qc2:2段燃焼部から管群部への対流伝熱量 q1w:バーナ部の水壁への伝熱量 q2w:2段燃焼部の水壁への伝熱量 qr12,qr21は要素間の放射伝熱量であり、各要
素の絶対温度の4乗に比例している。この項があるため
に各要素を独立に解くことができず、従来は計算時間の
長い反復計算を行つていた。
【0034】これに対し、本発明では放射伝熱量が qr=qr12−qr21 であることから、 qr=F×q1w と近似している。Fは変換係数である。事業用ボイラ1
5缶についてFを逆算したところ、同一燃料であれば1
0%以内で一致していた。放射伝熱量qrは対流伝熱量
qc12の約1割と小さいので、この程度のばらつきで
あれば実用上問題はない。
【0035】このように、放射伝熱量qrを近似して与
え、また、ガスの流れ方向に沿つて要素を分割している
ので、下段側から順番に計算すればよい。つまり、従来
のような反復計算は不要となり、下段から順に上段へと
計算を進める1回の計算で火炉出口温度と水壁の熱吸収
量が求められる。
【0036】なお本実施例ではバーナ部と2段燃焼部と
の境界位置を色々変えてみたところ、空気ポートの下
1.5mに設定した時に最も誤差が小さかつた。
【0037】図3は火炉をさらにバーナの段数に合わせ
て分割するようにしたものである。細分化すれば部分負
荷時のようにバーナ段ごとの燃料量が異なる場合にも対
応でき、精度は一段とよくなる。本実施例の場合、計算
時間は次式となる。
【0038】t=N×t1 つまり、要素数に比例して計算時間は増加する。
【0039】本実施例では要素数が4個なので、火炉部
分の計算時間が2分割の場合に比べて2倍となつてい
る。
【0040】なお、さらに、バーナ段程ではないがエア
ポート部より上流を細分割しても効果があつた。
【0041】図4は全てのバーナ、エアポートを模擬で
きるまでに細分化したものである。この場合、幅方向熱
移動は無視している。従つて、各々の列で下段から上段
へと計算するだけである。当然、精度はこれまでのもの
より向上する。反面、全体の計算時間が図1の場合に比
べ12倍となるが、十分動特性計算に使える。
【0042】なお、部分負荷時には再熱器の蒸気温度を
制御するために炉底から排ガスを投入し、燃焼ガス量の
減少に伴う熱伝達率の低下を防止しているが、上述した
いずれの場合も、要素への流入量の増加として扱つてい
る。
【0043】また、低NOx燃焼を行うために燃焼用空
気に排ガスを混入する場合もあるので、これも同様に評
価できるようにしている。
【0044】このように、本発明は火炉モデルで行つて
いた反復計算を省略し、計算時間を従来のモデルに要素
を1個追加しただけの簡単なものであるが、得られる結
果は実機の結果に非常に近いものとなる。しかも、計算
時間は従来のものに比べ2%程度しか長くならず、発明
の効果は著しい。
【0045】また、本発明はボイラ動特性予測の最も上
流部に位置づけられるので、実施例以外の構成となつて
いるボイラ動特性予測装置に組み込んでも同等の効果が
得られる。
【0046】そして、本発明は設計段階におけるボイラ
動特性予測に使えるのは勿論、図5に示すように数分後
のボイラ出力を予想する手段として実機ボイラに組み込
み、ボイラ運転の先行制御の手段として使うことも可能
である。また、同様に運転訓練用シミユレータにも使用
できる。
【0047】次に図11を用いて第2の発明(請求項
5)の成立過程で検討された予測制御方法を説明する。
なお、ここでは変圧ベンソンボイラへの適用を例示する
もので、過熱器物理モデルを1次過熱器に適用するもの
として説明する。
【0048】この制御方法は、ボイラの蒸気温度応答遅
れによる制御修正動作の遅れを補償するために、過熱器
物理モデル104から計算されるn分先の蒸気温度予測
値106により先行的に燃料流量を補正するものであ
る。
【0049】即ち、1次過熱器の物理モデルにおいて水
/蒸気エンタルピHsとメタル温度Tmとに対するエネ
ルギ保存方程式は VRdHs/dt =(Hin−Hs)Fs+Asαs(Tm−Ts) (3) MmCmdTm/dt =−Asαs(Tm−Ts)+Amαm(Tg−Tm) (4) である。ここで、 V:1次過熱器流路容積 R:1次過熱器流体比重量 Hs:1次過熱器出口流体エンタルピ Hin:1次過熱器入口流体エンタルピ Fs:1次過熱器流体流量 As:1次過熱器流体側伝熱面積 αs:1次過熱器メタル/流体熱伝達率 Ts:1次過熱器流体温度(Hsの関数) Mm:1次過熱器メタル質量 Tm:1次過熱器メタル温度 Tg:1次過熱器外部ガス温度 Am:1次過熱器メタル側伝熱面積 αm:1次過熱器ガス/メタル熱伝熱率 ここで、 1次過熱器外部ガス温度は経験式 Tg=Femp(Ff,Fa,Fgr) (5) で与える。但し、 Ff:燃料流量 Fa:空気流量 Fgr:再循環ガス流量 であり、Tgはこの他にも燃料、空気、ガスのエンタル
ピ、比熱および経験的な定数に依存して算出される。
【0050】上記方程式(3),(4)は時間常微分方
程式であるから、Hin〔入口エンタルピ(上記温
度)〕と(5)から計算されるTgを与えれば、現時点
のHsとTmを初期条件として積分することによりn分
後のHsとTmを計算予測することができる。但し、H
inとTgは現時点からn分間一定であると仮定する。
【0051】以上のようにして計算される1次過熱器出
口蒸気温度のn分後の予測値106と目標値設定回路1
05から得る目標値偏差に応じてフイードバツク信号1
07を作成し、これとボイラ入力指令108から決まる
先行値110との和を燃料量指令111とし、さらに燃
料流量112との偏差をフイードバツクすることにより
燃料調節弁114の操作信号113を作成する。
【0052】なお図において、101は1次過熱器入口
温度、102は1次過熱器出口蒸気温度、103は1次
過熱器外部ガス温度、109は関数発生器である。
【0053】しかし、この技術においては過熱器予測モ
デルの計算パラメータとして1次過熱器の外部ガス温度
を必要とするが、これは経験式によつて燃料流量、空気
流量、再循環ガス流量の関数で与えられており、空気流
量は全空気流量であり、バーナ空気流量と2段燃焼空気
流量との総和としてしか考慮がされていない。故に、全
空気流量に対するバーナ空気流量の比であるバーナ空気
比の種々異なる値に対して1次過熱器外部ガス温度の正
確な評価が困難である場合があつた。
【0054】図10は上述の不具合に対処してなされた
発明の内容を示すものである。
【0055】以下に第2の発明の実施例について説明す
る。
【0056】まずバーナ域と2段燃焼域に火炉を要素分
割した火炉の物理モデルを分割する。
【0057】火炉をバーナ域と2段燃焼域とに分割し、
両域での熱収支の方程式の解がバーナ域および2段燃焼
域の燃焼ガス温度である。即ち、バーナ域における熱収
支は次の方程式で表現される。
【0058】QBin=QBout+QBtr ここで、バーナ域への入熱QBinはバーナ域での燃料
の発生熱量QBgenと空気、燃料および再循環ガスの
顕熱、それぞれQBair,QfuelおよびQBg
r,inの持込み量の総和である。
【0059】QBin=QBgen+QBair+Qf
uel+QBgr,in またバーナ域からの出熱QBoutは燃焼ガス、再循環
ガス、未燃分の顕熱、それぞれQBgas,QBgr,
outおよびQubcの持ち出し量の総和である。即
ち、 QBout=QBgas+QBgr,out+Qubc さらにバーナ域の火炎からバーナ域の水壁への伝熱量Q
Btrは輻射QBradと熱伝熱QBcvとの総和であ
る。即ち、 QBtr=QBrad+QBcv である。
【0060】このように、バーナ域の熱収支方程式の両
辺はバーナ域の燃焼ガス温度TGBの関数であり、この
方程式を解くことによりTGBが算出される。即ち、T
GBは燃料流量、空気流量、再循環ガス流量、2段燃焼
空気流量の関数として求められる。
【0061】一方、2段燃焼域における熱収支は次の方
程式で表現される。
【0062】QYin=QYout+QYtr ここで、2段燃焼域への入熱QYinはバーナ域での未
燃分の発生熱量QYgenとバーナ域からの流入ガス、
2段燃焼空気、再循環ガスの顕熱、それぞれQBou
t,QYair,QYgr,inの持込み量との総和で
ある。即ち、 QYin=QYgen+QBout+QYair+QY
gr,in また、2段燃焼域からの出熱QYoutは燃焼ガス、再
循環ガスの顕熱、それぞれQYgas,QYgr,ou
tの持ち出し量の総和である。即ち、 QYout=QYgas+QYgr+out さらに2段燃焼域の火炎から2段燃焼域の水壁への伝熱
量QYtrは輻射Qyradと熱伝熱QYcvとの総和
である。即ち、 QYtr=QYrad+QYcv このように、2段燃焼域の熱収支方程式の両辺は2段燃
焼域の燃焼ガス温度TGYおよびバーナ域の燃焼ガス温
度TGBの関数であり、TGBはバーナ域の熱収支方程
式から算出されているので、この方程式を解くことによ
りTGYが算出される。即ち、TGYは燃料流量、空気
流量、再循環ガス流量、2段燃焼空気流量の関数として
求められる。
【0063】以上のように算出された2段燃焼域の燃焼
ガス温度TGYを“火炉出口ガス温度”と称するものと
する。
【0064】以上のような火炉物理モデルを適用するこ
とにより火炉出口ガス温度を、燃料流量、空気流量、再
循環ガス流量、2段燃焼空気流量の関数として算出する
ことが可能となる。
【0065】次に、火炉出口ガス温度TGYを条件とし
て1次過熱器外部ガス温度Tgを計算する方法を説明す
る。
【0066】火炉出口から1次過熱器に至るガス流路に
は2次過熱器と1次および2次再熱器があるので、燃焼
ガスはこれらの熱交換器で熱を吸収される。これらの熱
吸収量は以下の通りである。
【0067】2次過熱器の熱吸収量は、 Q2SH=Fs2SH(H2SHout−H2SHi
n) ここで、Fs2SH,H2SHout,H2SHinは
それぞれ2次過熱器の蒸気流量、出口、入口蒸気エンタ
ルピであり、実測値から計算できる。
【0068】1次、2次再熱器の熱吸収量は、 QaRH=FsaRH(HaRHout−HaRHi
n) であり、ここで、a=1,2、またはFsaRH,Ha
RHout,HaRHinはそれぞれ蒸気流量、出口、
入口エンタルピであり、実測値から計算できる。一方、
燃焼ガスの全流量をFgas、比熱をCgとして、ガス
から蒸気に渡つた熱流束は、 Qgas=FgasCg(TGY−Tg) である。
【0069】故に、 Qgas=Q2SH+Q1RH+Q2RH を解くことにより、1次過熱器外部ガス温度Tgが計算
できる。
【0070】 Tg=TGY−(Q2SH+Q1RH+Q2RH)/FgasCg (5)′ 以上で1次過熱器外部ガス温度Tgが計算できるが、次
にこのような1次過熱器外部ガス温度Tgの計算に基づ
く、本発明の蒸気温度予測制御方式を図10により説明
する。
【0071】1次過熱器の物理モデル104は従来技術
の式(3),(4)の通りであるが、1次過熱器外部ガ
ス温度Tgはガス温度計算モデルから計算されるもので
あり、1次、2次再熱器出口116,118および入口
温度115,117と2次過熱器出口125および入口
温度124の実測値を適用することにより、式(5)′
で与えられる。この式(5)′の中の火炉出口ガス温度
TGY126はボイラ火炉モデルによつて燃料流量12
0、空気流量121、再循環ガス流量122、全ガス流
量123、2段燃焼空気流量119により計算される。
このようにして計算した1次過熱器外部ガス温度103
を式(3),(4)に適用することで、1次過熱器出口
蒸気温度のn分先予測値106を計算でき、この予測値
と目標値設定回路105から得る目標値との偏差に応じ
てフイードバツク信号を作成し、これとボイラ入力指令
から決まる先行値との和を燃料指令111とし、さらに
燃料流量112との偏差をフイードバツクすることによ
り燃料調節弁114の操作信号を作成する。
【0072】
【発明の効果】本発明では、2段燃焼を考慮したボイラ
火炉の物理モデルを用いて1次過熱器外部ガス温度を算
出しこれを過熱器モデルに適用すれば、従来技術に比較
して遙に高精度な1次過熱器出口蒸気温度を計算予測す
ることができ、予測計算値に基づく燃料流量制御の制御
性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の実施例に係るボイラ動特性予測装
置の系統図である。
【図2】本発明の要部を示すブロツク図である。
【図3】火炉分割の他の実施例を示す構成図である。
【図4】詳細な分割を行つた例を示す火炉の構成図であ
る。
【図5】本装置の他の使い方を示すブロツク図である。
【図6】従来のボイラ動特性予測装置の系統図である。
【図7】ボイラの構造を簡略化した側断面図である。
【図8】動特性予測の例を示した説明図である。
【図9】動特性予測結果を比較した説明図である。
【図10】第2の発明の実施例に係る火力プラントの蒸
気温度制御装置の制御ブロツク図である。
【図11】第2の発明の成立過程における火力プラント
の蒸気温度制御装置の制御ブロツク図である。
【符号の説明】
1 水・蒸気流路 2 ガス流路 3 再循環ガス流路 4 再循環フアン 5 節炭器 6 火炉 7 1次過熱器 8 2次過熱器 9 1次再熱器 10 2次再熱器 11 給水ポンプ 12 燃料 13 空気 14 2段燃焼用空気 15 高圧タービン 16 低圧タービン 17 発電機 18 復水器 20,21,22 スプレー量 30 主蒸気 31 再熱蒸気 50 予測装置 51 計測制御器 52 計測信号線 53 制御信号線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−99001(JP,A) 特開 昭61−180829(JP,A) 特開 昭61−175406(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F22B 35/00 F23N 5/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 火炉内の燃焼ガス流れ方向に沿つて燃焼
    ゾーンが複数あるボイラ装置において、火炉要素をバーナ段数に応じて 第1の物理モデルと第2
    の物理モデルに分割し、 前記第1の物理モデルにおける発熱量(Q1)と、水壁
    への伝熱量(q1w)と、第1の物理モデルから第2の
    物理モデルへの対流伝熱量(qc12)と、前記q1w
    に基づいて計算された第1の物理ブロツクと第2の物理
    ブロツクの放射量の差(qr)とを演算し、 前記第2の物理モデルにおける発熱量(Q2)と、水壁
    への伝熱量(q2w)と、第1の物理モデルから第2の
    物理モデルへの対流伝熱量(qc12)と、第1の物理
    ブロツクと第2の物理ブロツクの放射量の差(qr)よ
    り、第2の物理ブロツクから管群部への対流伝熱量(q
    c2)を求める演算手段を備えたことを特徴とするボイ
    ラ装置の演算装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のボイラ装置の演算装置に
    おいて、さらに、燃焼排ガスを火炉に再循環できる物理
    モデルにしたことを特徴とするボイラ装置の演算装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のボイラ装置の演
    算装置において、さらに、バーナ、エアポートおよび排
    ガスポートに対応させて火炉要素を炉幅方向にも分割し
    た物理モデルを有することを特徴とするボイラ装置の演
    算装置。
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