JP3160466B2 - 浮体の波漂流モーメント計測治具 - Google Patents

浮体の波漂流モーメント計測治具

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JP3160466B2
JP3160466B2 JP14313794A JP14313794A JP3160466B2 JP 3160466 B2 JP3160466 B2 JP 3160466B2 JP 14313794 A JP14313794 A JP 14313794A JP 14313794 A JP14313794 A JP 14313794A JP 3160466 B2 JP3160466 B2 JP 3160466B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、波浪を発生させた水槽
中で浮遊状態にされた浮体に作用する波浪により、浮体
に発生する波漂流モーメントを計測するための浮体の波
漂流モーメント計測治具に関する。
【0002】
【従来の技術】波浪中において、浮体が受ける浮体の進
行方向(X軸方向)および浮体幅方向(Y軸方向)の波
漂流力、浮体の上下方向(Z軸方向)に発生する荷重、
並びにX軸、Y軸およびZ軸まわりの浮体の運動を水槽
試験で計測するための計測用治具として、図〜図
示す検力計治具12がある。
【0003】このような、検力計治具12で波浪中にお
ける波による浮体に発生する漂流力、および浮体運動を
計測する場合、波によって浮体に発生する運動を拘束す
ることなく計測しなければならず、通常運動計測におい
ては、浮体をコイルバネで半拘束状態にして、計測する
ことが行われている。しかも、これらのコイルバネは計
測される浮体の動揺周期(運動周期)と同調しないよう
に、浮体の動揺周波数より低い固有周波数のバネが使用
される。
【0004】図〜図13は、これらの検力計治具12
が浮体17又は船舶18、19に設置された状態を示
す。
【0005】また、図〜図に示す検力計治具を浮体
の上方に設けた動揺計測装置に連結することで、上記3
軸方向の力と、3軸まわりの浮体運動が計測される。
【0006】図〜図において、浮体17のX軸方
向、Y軸方向に発生する波漂流力を計測できる2分力計
1の上端は、ヒービングポール2の下端と連結されてい
る。また、この2分力計1の下端部は軸受8で支持され
ており、Z軸回りに回動自在となっている。また、軸受
8は、ピッチングジンバル4下端部に装着されており、
このため、2分力計1はピッチングジンバル4の動きに
追隋して、Y軸回りにも回動自在となっている。さら
に、ピッチングジンバル4はローリングジンバル3に軸
受9で接続されており、ローリングジンバル3の動きに
追隋して、X軸回りにも回転自在にされている。また、
ローリングジンバル3は軸受10で接続された支柱20
を介して、浮体17側に取付けられる台座6に連結され
ている。従って、下端部が2分力計1の上端に連結され
たヒービングポール2と台座6とは、浮体の進行方向の
X軸、幅方向のY軸、および上下方向のZ軸の3軸まわ
りの回転運動を自由にして、連結されている。
【0007】また、ローリングジンバル3とピッチング
ジンバル4とを連結する回転軸の軸端には、ピッチ角検
出用ポテンショ11が、また、軸受10を介して支柱2
0に支持されたローリングジンバル3の回転軸の軸端に
は、ロール角検出用ポテンショ7がそれぞれ設けられて
いる。
【0008】このようにして構成された検力計治具12
を用いて、浮体の波漂流力、および波漂流モーメントを
計測する場合は、図〜図13に示すように、検力計治
具12を浮体17、又は船体18,19に配置して行
う。
【0009】図〜図の例を用いて説明すると、浮体
17の重心位置の浮体中心線上に第1の検力計治具12
を、第1の検力計治具12の設置位置から距離L、離隔
した浮体中心線上に第2の検力計治具12′をそれぞれ
配置する。浮体17を浮遊させる水槽の上方には、浮体
17の進行方向に走行できる台車13が設けられてお
り、この台車13上に動揺計測装置14が搭載されてい
る。この動揺計測装置14の中央には、キャリッジ15
が設けてあり、キャリッジ15は前後左右をコイルバネ
16で動揺計測装置14に半拘束状態で連結されてい
る。また、キャリッジ15の中心には、検力計治具12
の上方に突出させたヒービングポール2が上下動自在に
貫通している。検力計治具12は、ヒービングポール2
と台座6とが3軸まわりに回転自在に連結されているた
め、この台座6を浮体17に取り付けることにより、浮
体17と動揺計測装置14とは、浮体17の3軸まわり
の回転運動、および前後、左右、上下運動を拘束するこ
となく連結される。
【0010】動揺計測装置14により、浮体17の前
後、左右、上下方向の変位が計測されるほか、浮体17
に働く波漂流力は、第1、第2の検力計治具12、1
2′の2分力計1の出力から、浮体17の進行方向の波
漂流力XがX1 +X2 で、また、浮体17の幅方向の波
漂流力YがY1 +Y2 で、さらに、浮体17の上下方向
軸(Z軸)まわりに作用する波漂流モーメントMがL×
2 で、それぞれ動揺計測装置14により計測される。
【0011】また、浮体17の運動は、ローリング運動
がロール角検出用ポテンショ7の出力により、ピッチン
グ運動がピッチ角検出用ポテンショ11の出力により、
動揺計測装置14で計測される。
【0012】なお、上記した波漂流力X、Yの添字1、
2は、第1の検力計治具12から出力される波漂流力を
添字1で示し、これより距離L離れた浮体17中心線上
に配置された第2の検力計治具12′から出力される波
漂流力を添字2で示した。
【0013】しかしながら、このような浮体の波漂流モ
ーメントの計測では、次の不具合がある。 (1)波漂流モーメントを計測するために、動揺計測装
置14、及び検力計治具12が2台必要である。 (2)浮体重心位置でのY方向の波漂流力Y1 と、モー
メント計測用に浮体重心位置から距離L、離隔して配置
した検力計治具12′で計測されるY方向の波漂流力Y
2 との差が大きいため、動揺計測装置14のコイルバネ
16の変位量に差が生じ、浮体方位が変化してしまうこ
とがある。
【0014】また、この浮体方位の変化の不具合を解消
するためには、コイルバネ16を強めのものにすれば良
いが、この場合には、浮体17の運動を拘束するという
新たな不具合が生じる。
【0015】図10〜図12は、上述の検力計治具12
を用いて、船体18に働く波漂流力、および波漂流モー
メントを計測する例を示すが、この場合も、同様のこと
が言え、特に、この例の場合、上記(2)の問題点は顕
著になる。
【0016】次に、このような問題点を解消するため、
10に示すように、動揺計測装置14、および検力計
治具12の配置を行い、計測を行うことも考えられる。
しかしこの例の場合、検力計治具12及び動揺計測装置
14が3台必要であるほか、動揺計測装置14を3台配
置できるような寸法の浮体にしか、採用できない不具合
がある。さらに、計測されるZ軸回りのモーメント、即
ち、波漂流モーメントMは、Y1 1 +Y2 2 で求め
られることになり、直接求めることが出来ないという不
具合も生じる。また、計測値にL1 、L2 の設置誤差が
含まれることにより、計測精度が悪くなり、特に微少量
モーメントの計測には不適となる不具合がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の浮体
の波漂流モーメント計測治具の不具合を解消するため、
浮体の重心位置で、浮体とヒービングポールとの間に設
けたU字型のバネで、浮体のZ軸まわりの運動を半拘束
状態に保持すると共に、当該バネの変形量で浮体のZ軸
まわりのモーメント、すなわち、浮体に作用する波によ
る漂流モーメントを計測できる、浮体の波漂流モーメン
ト計測治具を提供することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の浮体
の波漂流モーメント計測治具は次の手段とした。 (1)浮体のピッチング運動、およびロール運動を自在
にして、浮体に作用する波漂流力を検出するための検力
計を取付ける検力計取付台を設けた。 (2)検力計取付台と軸まわりの回動が自在にされて、
検力計取付台から上方へ立設されたヒービングポールを
設けた。 (3)浮体の水槽中での動揺周期から充分離れた固有周
期にされ、一端が検力計取付台に固着され、他端がヒー
ビングポールに固着され、検力計取付台とヒービングポ
ールとを半拘束状態で連結するU字形のバネを設けた。 (4)検力計取付台に立設されたヒービングポールの軸
まわりの回動量を検出し、バネの回転角を検出できる検
出装置を設けた。
【0019】
【作用】浮体のZ軸回りの運動を半拘束状態にして、ヒ
ービングポールに連結するためのU字型に形成されたバ
ネのバネ定数kは数1により定まる。
【0020】
【数1】
【0021】このようなバネ4ケで構成した全体のバネ
定数kψとして、図3(C)に示すように、バネをヒー
ビングポールと検力計取付台の間に配置すると両者の間
に生じる回転モーメントは数2のようになる。
【0022】
【数2】
【0023】これにより、計測された回転角ψとバネ定
数kψの積で、浮体のZ軸回りのモーメントMが求ま
る。
【0024】また、浮体を取り付けた場合の回転周期T
は、減衰項を無視した場合、数3により求められる。
【0025】
【数3】
【0026】この周期を、水槽試験で計測される浮体の
Z軸回りの回転運動周期の2〜5倍程度大きい値となる
ようなバネ定数kψを求める。この計算により求められ
たバネ定数を持つバネを、検力計取付台とヒービングポ
ールとの間に介装することによりZ軸回りの運動を半拘
束状態にできる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の浮体の波漂流モーメント計測
治具を図面にもとずき説明する。
【0028】図1()は、本発明の浮体の波漂流モー
メント計測治具を構成する、U字型のバネの一実施例を
示す単体図である。図1()は図1()に示す実施
例のU字型のバネ4個を用いた取付け部の平面図であ
る。図2はU字型バネの取付け部全体を示す側断面図で
ある。なお、これらの図において、前述した従来例と同
一符番のものは前述した従来のものと同一部材であり、
説明を省略する。
【0029】U字型のバネ21は、片方をヒービングポ
ール2に固着された取付台22に、もう片方を検力計取
付台23に、それぞれボルト24で連結しており、U字
型バネの端部については回転自由である。このような構
成で4ケのU字型のバネ21が取付けられている。ま
た、ヒービングポール2は、Z軸回りの回転角を計測す
るZ軸回転ポテンショ25と、連結ピン26で接続され
ている。さらに、検力計取付台23はZ軸回転ポテンシ
ョ25を設置するポテンショ取付台27を介して、3分
力計28の上端に固着されている。また、3分力計28
は図〜図6に示す2分力計1と同様に、図示省略した
図4〜図6に示すものと同様のピッチングジンバル4に
接続固定されており、ピッチングジンバル4を軸受9で
接続した、ローリングジンバル3、および台座6を介し
図8に示す浮体17に取付けられる。
【0030】即ち、このような構成にされた本実施の形
態の浮体の波漂流モーメント計測治具は、8に示す
1の検力治具12と同じように浮体17の重心位置の船
体中心線上に配置され、浮体17の波漂流モーメントを
計測する。
【0031】すなわち、波によって浮体17に発生する
運動は、ヒービングポール2と浮体17とがピッチング
ジンバル4、ローリングジンバル3、および浮体17の
動揺周波数から離隔した固有周波数を持つバネ21によ
って連結されているので、拘束されることがない。
【0032】しかも、浮体17の重心位置に設置した、
本実施例のバネ21の撓み量、すなわち、検力計取付台
座2とヒービングポール2との相対回動量を、検出装
置としてのZ軸回転ポテンショ25の出力により検出す
ることにより、浮体17のZ軸まわりのモーメント、漂
流モーメントを計測することができる。
【0033】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の浮体の波漂
流モーメント計測治具によれば、特許請求の範囲に示す
構成により、次の効果が得られる。 (1)動揺計測装置及び検力計が1台でよいため、試験
準備装置等のコストが安価である。 (2)Y方向成分、Z軸回りモーメントの計測値が、合
成で求める必要がなく、また、設置位置による誤差もな
くなり、計測精度が向上する。 (3)浮体運動のZ軸回りの計測可能である。 (4)供試体の大小にかかわらず使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浮体の波漂流モーメント計測治具を構
成するU字形のバネの1実施例を示す図で、図1(
はバネの単体図、図1()は図1()に示す実施例
の取付部の平面図、
【図2】本発明の浮体の波漂流モーメント計測治具の詳
細を示す側断面図、
【図3】図1(A)に示すバネの作用を説明するための
符号の説明図、
【図4】従来の検力計取付治具の平面図、
【図5】図に示す検力計取付治具の一部断面で示す側
面図、
【図6】図に示す検力計取付治具の一部断面で示す正
面図、
【図7】従来の検力計取付治具を配置した浮体模型の平
面図、
【図8】図に示す浮体模型の側面図、
【図9】図に示す浮体模型の正面図、
【図10】従来の検力計取付治具を配置した船舶模型の
平面図、
【図11】図10に示す船舶模型の側面図、
【図12】図10に示す船舶模型の正面図、
【図13】従来の検力計取付治具を配置した他の船舶模
型の側面図である。
【符号の説明】
1 2分力計 2 ヒービングポール 3 ローリングジンバル 4 ピッチングジンバル 5 ローリングポテンショ取付台 6 浮体側取付台座 7 ロール角検出用ポテンショ 8 軸受(Z軸回り用) 9 軸受(ピッチジンバル用) 10 軸受(ローリジンバル用) 11 ピッチ角検出用ポテンショ 12、12′ 検力計治具(2分力計) 13 台車 14 動揺計測装置 15 キャリッジ 16 コイルバネ 17 浮体模型 18、19 船舶模型 20 支柱 21 U字型バネ 22 ヒービングポール取付台 23 検力計取付台 24 ボルト 25 Z軸回り運動計測用ポテンショ 26 連結ピン 27 ポテンショ取付台 28 3分力計

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水槽中で浮遊状態にされた浮体に作用す
    る波漂流モーメントを計測するための治具において、前
    記浮体のピッチング運動およびロール運動を自在にして
    前記浮体の重心位置に設置された検力計取付台と、下端
    に設けた軸受で軸まわりの回動が自在にされ前記検力計
    取付台に立設されたヒービングポールと、前記浮体の動
    揺周期から離隔した固有周期にされ一端が前記検力計取
    付台に固着され、他端が前記ヒービングポールに固着さ
    れて前記ヒービングポールと前記検力計取付台とを半拘
    束状態にするU字形のバネと、前記バネの変形量を検出
    する検出装置とからなることを特徴とする浮体の波漂流
    モーメント計測治具。
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