JP3160134B2 - フーチング基礎 - Google Patents

フーチング基礎

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JP3160134B2 JP28423393A JP28423393A JP3160134B2 JP 3160134 B2 JP3160134 B2 JP 3160134B2 JP 28423393 A JP28423393 A JP 28423393A JP 28423393 A JP28423393 A JP 28423393A JP 3160134 B2 JP3160134 B2 JP 3160134B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築物を支持するコン
クリート基礎に係り、特に上部からの荷重をフーチング
から直接地盤に伝えるフーチング基礎に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、一般住宅などの建築物を支持
する基礎構造の一つとして逆T字型のフーチング基礎が
知られている。このフーチング基礎は図5に示すよう
に、建築物の構造部材23を支持する躯体部21と、地
表面より下方で前記躯体部21から両側に張り出したフ
ーチング部22とを有し、フーチング部22の底面から
地盤に荷重を伝達することにより、基礎の自重および建
物からの荷重を支持するものである。したがって、フー
チング部には建物から伝えられる荷重である家荷重(W
1 )と、基礎コンクリートの自重(W2 )と、フーチン
グの上に埋め戻された土の重量(W3 )との合計(Σ
W)が鉛直方向に作用し、フーチングの底面には地盤反
力(R)がほぼ均等に作用する。
【0003】このようなフーチング基礎は上記地盤反力
(接地圧)が設計地耐力feを超えないように設計され
る。これを計算式で表すと、 ΣW=W1 +W2 +W3 ΣW/B×1.0≦fe となり、この条件を充たすようにフーチング幅Bが決定
される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、基礎が
深くなるとフーチング上の土の重量が増加してフーチン
グ幅を広げる必要が生じる。また、これにともなってフ
ーチング上の土量も増加するため、フーチング幅をさら
に大きいものとしなければならない場合がある。この傾
向は、基礎が大型化した場合に生じやすく、フーチング
基礎の深さが深いほど、設計地耐力が小さいほど顕著と
なる。このようにフーチングの寸法が大きくなると基礎
を施工する際の掘削土量が多くなるとともに、使用材料
も増加し工事費が多大なものとなってしまう。また、フ
ーチングを隣地や道路内に張り出して設けることはでき
ず、用地の制限等によって種々の困難が生じる。
【0005】本発明は上記のような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、フーチング上の土の重量
を軽減し、寸法を過大にすることなく、接地圧(地盤反
力)が設計地耐力以内とすることができるフーチング基
礎を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、請求項1に記載の発明は、 建築物の構造部材を
支持する躯体部と、地表面より下方で前記躯体部から両
側に張り出したフーチング部とを有し、該フーチング部
の底面に作用する地盤からの反力によって荷重を支持す
るフーチング基礎において、 前記フーチング部の先端
から立ち上げた鉛直面より躯体部側であって、前記フー
チング部の上方で地表面より下方に、比重が土の比重よ
り小さく、土圧および地表面の載荷重に対して抵抗可能
な耐荷性材料からなる埋め戻し土代替部材を配置し、前
記フーチング部の先端から立ち上げた鉛直面より外側
は、埋め戻し土を充填するものとする。
【0007】また、請求項2に記載の発明は、 建築物
の構造部材を支持する躯体部と、地表面より下方で前記
躯体部から両側に張り出したフーチング部とを有し、該
フーチング部の底面に作用する地盤からの反力によって
荷重を支持するフーチング基礎において、 前記フーチ
ング部の先端から立ち上げた鉛直面より躯体部側であっ
て、前記フーチング部の上方で地表面より下方に、隔壁
によって多数の小室を構成する部材であって、単位容積
あたりの重量が土の単位体積当たりの重量より軽く、土
圧および地表面の載荷重に対して抵抗可能な埋め戻し土
代替部材を配置し、前記フーチング部の先端より外側
は、埋め戻し土を充填するものとする。
【0008】請求項3に記載の発明は、 建築物の構造
部材を支持する躯体部と、地表面より下方で前記躯体部
から両側に張り出したフーチング部とを有し、該フーチ
ング部の底面に作用する地盤からの反力によって荷重を
支持するフーチング基礎において、 前期フーチング部
の先端から立ち上げた鉛直面より躯体部側であって、
記フーチング部の上方で地表面より下方に、フーチング
上の埋め戻し土を排除するとともに、フーチング部周辺
からの土圧および地表面の載荷重を支持することができ
る枠体を配置し、前記フーチング部の先端から立ち上げ
た鉛直面より外側は、埋め戻し土を充填するものとす
る。
【0009】上記請求項1又は請求項2に記載のフーチ
ング基礎において、上記埋め戻し土代替部材は、フーチ
ングの上方で地表面以下の全域に配設してもよいし、一
部にこの埋め戻し土代替部材を用い、他は掘削土で埋め
戻してもよい。
【0010】上記請求項1に記載のフーチング基礎にお
いて、上記埋め戻し土代替部材としては、土より比重が
小さく耐荷性の材料であれば用いることができるが、容
易に腐食しない材料が望ましい。例えば、硬質ウレタン
フォーム、フォームポリスチレンや、防水処理を施した
珪酸カルシウム、発泡コンクリート、パーライトコンク
リート等が望ましい。
【0011】また、上記請求項2に記載のフーチング基
礎では、上記埋め戻し土代替部材として、アルミニウム
等の金属又は合成樹脂により蜂の巣状に隔壁を設けたハ
ニカム構造体や、縦横の隔壁によって矩形の小室を形成
した構造体等を用いることができる。上記請求項3に記
載のフーチング基礎において、枠体の形状及び寸法は適
宜設計が可能であり、材料としては、コンクリート、鋼
材等を用いることができるが、土圧および地表面の載荷
重に対して抵抗可能な材料であればよい。
【0012】
【作用】請求項1に記載のフーチング基礎では、フーチ
ングの上に土よりも比重の小さい埋め戻し土代替部材を
配設しており、基礎コンクリートを打設後、掘削土を埋
め戻したときに、フーチング上は土が堆積されず、もし
くはわずかの土量が堆積されるのみとなり、フーチング
上面に作用する荷重が低減される。これによりフーチン
グ底面に作用する接地圧(地盤反力)が軽減される。ま
た、設計地耐力が小さい場合、または家荷重が大きい場
合等において、フーチングを大きくする必要が生じて
も、フーチング上面に作用する荷重の増加が少なく、有
効に接地圧を低減することが可能となる。
【0013】請求項2に記載のフーチング基礎では、フ
ーチング上に多数の小室を有する軽量の埋め戻し土代替
部材が配設され、上記請求項1に記載のフーチングと同
様にフーチング上面に作用する荷重が低減され、接地圧
が小さくなる。請求項3に記載のフーチング基礎では、
フーチング上に設けられた枠体が埋め戻し土を排除して
空間を形成するように設けられているので、フーチング
上に作用する荷重が低減され、上記請求項1または請求
項2に記載のフーチング基礎と同様に接地圧を低減する
ことが可能となる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図に基づいて説明す
る。図1は、請求項1に記載の発明の一実施例であるフ
ーチング基礎を示す概略断面図である。このフーチング
基礎1は、建物の構造部材9を支持する躯体部1aと、
地表面より下方で躯体部1aから両側に張り出したフー
チング部1bとで主要部が構成され、地盤上に割り栗石
3を敷並べ、捨てコンクリート2で敷均した上に形成さ
れている。さらにフーチング部1bの上には埋め戻し土
代替部材として硬質ウレタンフォーム5がフーチング上
面に接し、地表面の高さまで配設されている。上記硬質
ウレタンフォーム5は、工場でブロック上に形成された
ものを載置してもよいし、フーチング部1bおよび躯体
部1aを形成した後に型枠を設け、2種類の原料液を現
場で混合・発泡させることによって形成してもよい。
【0015】このようなフーチング基礎では、フーチン
グ部1bおよび躯体部1aのコンクリートを打設し、硬
質ウレタンフォーム5を設置した後、掘削土で埋め戻さ
れる。このとき、フーチング部1bの上は硬質ウレタン
フォーム5によって埋め戻し土4が排除され、この硬質
ウレタンフォーム5が側方からの土圧および地表面に作
用する載荷重に抵抗する。このような状態では、フーチ
ング部1bの上面に作用する荷重はほぼ硬質ウレタンフ
ォーム5の重量のみとなり、硬質ウレタンフォームは比
重が土よりはるかに小さいので、フーチング底面に作用
する接地圧(地盤反力)は、土でフーチング部の上を埋
め戻す場合に比べて大幅に低減される。
【0016】次に上記実施例のフーチング基礎であっ
て、寸法を下記の通りとした場合の接地圧を、フーチン
グ上を土で埋め戻した場合と比較して具体的に示す。 フーチング基礎の寸法 躯体部の高さ (図1中に示す符号A)・・・・・・・・・・・・1.25m フーチング部の幅 (図1中に示す符号B)・・・・・・・・・・・ 1.15m 躯体部の厚さ (図1中に示す符号C)・・・・・・・・・・・・0.15m フーチング部の厚さ(図1中に示す符号D)・・・・・・・・・・・ 0.15m 地表面の高さ(フーチング上面よりの高さ、図1中に示す符号E) ・・・・・・・・・・・・・・・ 0.85m
【0017】また、各部の単位体積重量は次のとおりで
ある。 躯体部、フーチング部(鉄筋コンクリート)・・・・・・・・・・2.4t/m3 フーチング上の土 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.6t/m3 硬質ウレタンフォーム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.05t/m3 したがって、上記実施例のフーチング基礎では、各部の
重量は次のとおりとなる。 基礎コンクリート(奥行1mあたり) W2 躯体部 :wa =1.250 ×0.150 ×2.4 = 0.4
50 フーチング部 :wb =1.150 ×0.150 ×2.4 = 0.4
14 W2 =0.450 +0414=0.864 t/m 硬質ウレタンフォーム(奥行1mあたり) W3u3u=0.850 ×0.500 ×2 ×0.05=0.043 t/m
【0018】上記の重量および家荷重としてW1 =80
0kg/mを考慮すると、接地圧Reは、 接地圧 Re=(0.864+0.043+0.800 )/1.150 = 1.484 t/m2 となる。
【0019】一方、フーチング上をすべて土で埋め戻す
と、土の比重を1.6t/m3 として、フーチング上の
土の重量が、 W3t=0.850 ×0.500 ×2 × 1.6 =1.360 t/m となり、接地圧はRe0 は、 接地圧 Re0 =(0.864+1.360+0.800 )/1.150 = 2.628 t/m2 となる。このように本実施例のフーチング基礎では、接
地圧が約44%低減されることになる。
【0020】図2は請求項2に記載の発明の一実施例で
あるフーチング基礎を示す概略断面図である。このフー
チング基礎では、図1に示すフーチング基礎における硬
質ウレタンフォーム5に換えて、合成樹脂の射出成形に
よって製作されたハニカム構造体6が埋め戻し土代替部
材として配設されている。このハニカム構造体6は、図
2(b)に示すように、隔壁よって正六角形の小室に区
分されており、この隔壁によって鉛直方向および横方向
に耐荷性を有するものとなっている。なお、このフーチ
ング基礎の躯体部1a、フーチング部1b等その他の部
分は図1に示すフーチング基礎と同じである。
【0021】このようなフーチング基礎では、フーチン
グ部1bの上にハニカム構造体6が配設されており、埋
め戻し土4はこのハニカム構造体6に置き換えられてフ
ーチング部1bの上に堆積されない。このハニカム構造
体6の重量は排除する土の重量に比べて軽量であるた
め、フーチング上に載荷される荷重が低減され、フーチ
ング底面の接地圧も小さくなる。
【0022】図3は請求項3に記載の発明の第1の実施
例であるフーチング基礎を示す概略断面図である。この
フーチング基礎では、フーチング部1bの上に、軽量コ
ンクリートからなるL字型のブロック7が、両端部をそ
れぞれ躯体部およびフーチング部に当接するように配置
され、断面内において矩形状の空間10を形成してい
る。なお、このフーチング基礎の躯体部1a、フーチン
グ部1bは図1又は図2に示すものと同じである。
【0023】このようなフーチング基礎では、L字型の
軽量コンクリートブロック7が枠体となって、フーチン
グ上に堆積する埋め戻し土4を低減し、周辺からの土圧
と地表面の載荷重とを支持することができる。また、こ
のL字型のブロックを構成する軽量コンクリートは土の
比重と同じか又は土より比重が大きいものであるが、枠
体となってフーチング上に土が堆積するのを排除するの
で、フーチング上に土のみが堆積される場合に比べて、
フーチング上の荷重を低減することができる。これによ
りフーチング底面の接地圧も小さくなる。なお、このよ
うな実施例において、軽量コンクリートブロック7と基
礎コンクリートとによって形成された空間10は、ガ
ス、水道、排水等の配管スペースとして用いることがで
きる。
【0024】図4は請求項3に記載の発明の第2の実施
例であるフーチング基礎を示す概略断面図である。この
フーチング基礎は、図3に示すフーチング基礎における
L字型ブロックに換えて、中空の四角柱状の軽量コンク
リートブロック8をフーチング上に配置したものであ
る。このようなフーチング基礎においても図3に示すフ
ーチング基礎と同様にフーチング底面の接地圧を低減す
ることができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1、請求項
2又は請求項3に記載の発明に係るフーチング基礎は、
いずれも、フーチング部の上に堆積される土に換えて、
土よりも重量の軽い埋め戻し土代替部材又は枠体を配置
しているので、フーチング上の荷重が軽減され、フーチ
ング底面に作用する地盤との接地圧が小さくなる。これ
により、フーチングを大きくすることなく、接地圧を設
計地耐力以内に抑えることができる。また、家荷重が大
きい場合や設計地耐力が小さい場合であって、フーチン
グ幅を大きくする必要があるときにも、フーチング幅を
拡大することによる荷重の増化を少なくすることがで
き、フーチングが過大な寸法となるのを回避することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に記載の発明の一実施例であるフーチ
ング基礎を示す概略断面図である。
【図2】請求項2に記載の発明の一実施例であるフーチ
ング基礎を示す概略断面図である。
【図3】請求項3に記載の発明の第1の実施例であるフ
ーチング基礎を示す概略断面図である。
【図4】請求項3に記載の発明の第2の実施例であるフ
ーチング基礎を示す概略断面図である。
【図5】従来のフーチング基礎を示す概略断面図であ
る。
【符号の説明】
1 フーチング基礎 1a 躯体部 1b フーチング部 2 捨てコンクリート 3 割り栗石 4 埋め戻し土 5 硬質ウレタンフォーム(埋め戻し土代替部材) 6 ハニカム構造体(埋め戻し土代替部材) 7 軽量コンクリートブロック 8 軽量コンクリートブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−120417(JP,A) 特開 平2−240328(JP,A) 特開 平3−156027(JP,A) 特開 昭64−17902(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 27/01

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築物の構造部材を支持する躯体部
    と、地表面より下方で前記躯体部から両側に張り出した
    フーチング部とを有し、該フーチング部の底面に作用す
    る地盤からの反力によって荷重を支持するフーチング基
    礎において、前記フーチング部の先端から立ち上げた鉛直面より躯体
    部側であって、 前記フーチング部の上方で地表面より下
    方に、比重が土の比重より小さく、土圧および地表面の
    載荷重に対して抵抗可能な耐荷性材料からなる埋め戻し
    土代替部材を配置し、前記フーチング部の先端から立ち
    上げた鉛直面より外側は、埋め戻し土を充填すること
    特徴とするフーチング基礎。
  2. 【請求項2】 建築物の構造部材を支持する躯体部
    と、地表面より下方で前記躯体部から両側に張り出した
    フーチング部とを有し、該フーチング部の底面に作用す
    る地盤からの反力によって荷重を支持するフーチング基
    礎において、前記フーチング部の先端から立ち上げた鉛直面より躯体
    部側であって、 前記フーチング部の上方で地表面より下
    方に、隔壁によって多数の小室を構成する部材であっ
    て、単位容積あたりの重量が土の単位体積当たりの重量
    より軽く、土圧および地表面の載荷重に対して抵抗可能
    な埋め戻し土代替部材を配置し、前記フーチング部の先
    端より外側は、埋め戻し土を充填することを特徴とする
    フーチング基礎。
  3. 【請求項3】 建築物の構造部材を支持する躯体部
    と、地表面より下方で前記躯体部から両側に張り出した
    フーチング部とを有し、該フーチング部の底面に作用す
    る地盤からの反力によって荷重を支持するフーチング基
    礎において、前期フーチング部の先端から立ち上げた鉛直面より躯体
    部側であって、 前記フーチング部の上方で地表面より下
    に、フーチング上の埋め戻し土を排除するとともに
    フーチング部周辺からの土圧および地表面の載荷重を支
    持することができる枠体を配置し、前記フーチング部の
    先端から立ち上げた鉛直面より外側は、埋め戻し土を充
    填することを特徴とするフーチング基礎。
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