JP3157571B2 - ポリペプチド - Google Patents

ポリペプチド

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JP3157571B2
JP3157571B2 JP31128391A JP31128391A JP3157571B2 JP 3157571 B2 JP3157571 B2 JP 3157571B2 JP 31128391 A JP31128391 A JP 31128391A JP 31128391 A JP31128391 A JP 31128391A JP 3157571 B2 JP3157571 B2 JP 3157571B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヒトTNF転換体として
新規なポリペプチドを提供することに係り、ポリペプチ
ド自身、それを含む医薬組成物、その製造方法、その遺
伝子組換えDNA及びプラスミド、形質転換微生物細胞
などに関する。
【0002】
【従来の技術】TNF(腫瘍壊死因子)は、1975年
にCarswellらにより予めBacillus C
almette Guerin(BCG)に感染されエ
ンドトキシンで処理したマウスの血清中に存在すること
が見出された生理活性物質であり〔Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 72 3666 (1
975)〕、1984年にPennicaらによりヒト
TNFのcDNAがクローニングされヒトTNF蛋白質
の全一次構造(アミノ酸配列)が明らかにされた〔Na
ture312, 724(1984)〕。TNFは腫
瘍細胞に対する細胞傷害活性、移植腫瘍に対する出血性
壊死、増殖の抑制など特異的な抗腫瘍作用を有するが、
最近では高脂血症、血圧低下、発熱などの副作用も生じ
うることが報告されており、薬効、副作用などでより優
れたものを見出すべく研究、開発がなされている。例え
ば特開昭61−40221、同63−119692、特
開平1−277488各号公報では遺伝子操作技術によ
りヒトTNF蛋白質中の特定のアミノ酸を欠失したり、
他のアミノ酸に置換したりあるいは付加したりしてヒト
TNF変換体を提供している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、十分満
足な薬理作用を有するヒトTNF変換体は、いまだ得ら
れていない。本発明の目的は、ヒトTNF又はその変換
体と同様の抗腫瘍作用を有し、一方それらで認められた
癌転移の亢進作用を示さない新規なヒトTNF転換体、
それらに関連するポリペプチドとそれらの製造方法、プ
ラスミド、微生物細胞など、及び用途を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は、配列表の配列番号1で示した1番目のSerから
155番目のLeuまでで表わされるアミノ酸配列を有す
る腫瘍壊死因子ポリペプチド又はその変換体において、
前記配列番号1の1番目のSerから8番目のAspまでのア
ミノ酸配列あるいはそれに対応する前記変換体のアミノ
酸配列がArg−Gly−Aspのアミノ酸配列を少なくとも1
個含み、かつ、3個〜16個のアミノ酸を含むアミノ酸
配列により置換されているポリペプチドに係る。また本
発明は、当該ポリペプチドをコードするDNAを含む組
換えプラスミド、この組換えプラスミドにより形質転換
された微生物細胞、この微生物細胞によるポリペプチド
の製造方法、抗癌剤、前記アミノ酸配列のN末端にメチ
オニンの結合したポリペプチド並びに配列表の配列番号
10で示した1番目のTから465番目のGまでで表わ
される塩基配列を有する腫瘍壊死因子ポリペプチドのD
NA又はその変異導入DNAにおいて、前記配列番号1
0の1〜3番目のTCAから22〜24番目のGACま
での塩基配列あるいはそれらに対応する前記変異導入D
NAの塩基配列がArg−Gly−Aspのアミノ酸配列を少な
くとも1個含み、かつ3個〜16個のアミノ酸を含むア
ミノ酸配列をコードする塩基配列により置換されている
DNAに関する。
【0005】本発明者らは、ヒトTNF又はその変換体
が有するアミノ酸配列の一定のアミノ酸配列領域におい
て、Arg−Gly−Aspのアミノ酸配列を存在せし
めたところ、ヒトTNF又はその変換体に比し抗腫瘍活
性がほぼ同程度であり、一方ヒトTNF又はその変換体
が癌の転移を亢進するのに対しほとんど亢進しない新規
ヒトTNF転換体ポリペプチドが得られることを見出
し、その知見に基いて発明を完成した。
【0006】配列表の配列番号1で示した1番目のSe
rから155番目のLeuまでで表わされるアミノ酸配
列を有する腫瘍壊死因子ポリペプチドとはヒトTNFを
意味する。
【0007】本発明におけるヒトTNFの変換体とは、
配列表の配列番号1で示したアミノ酸配列において1個
又は2個以上のアミノ酸を適宜付加、欠失、置換の改変
を単独又は複合処理したものであって、ヒトTNFと同
様の抗腫瘍作用を有するものである。したがって、本発
明において、配列番号1の1番目のSerから8番目の
Aspまでのアミノ酸配列に対応する前記変換体のアミ
ノ酸配列とは、変換体において前述のアミノ酸配列が改
変されていれば改変後のアミノ酸配列がそれに該当す
る。この改変にはアミノ酸の欠失も含まれるので前述の
1番目のSerから8番目のAspまでのアミノ酸配列
が部分的あるいは全部欠失したものも含まれる。
【0008】ヒトTNF変換体としては具体的には例え
ば下記のものが挙げられるが、本発明においてはこれら
以外のものを決して排除するものではない。
【0009】(1)特開昭63−141999号公報に
記載:N末端に、Val−Argを付加し、更に29
rg−30Argを29Asn−30Thrに変換した
もの。 (2)特開昭63−119692号公報に記載: (A)32Asnを32Tyr、32His、32As
p又は32Serにそれぞれ変換したもの。 (B)115Proを115Leu、115Ser、
115Asp又は115Glyにそれぞれ変換したも
の。 (C)117Tyrを117Hisに変換したもの。 (3)特開平1−277488号公報に記載:Ser
Aspを欠失し、LysのN末端にArg−Ly
s−Argを付加したもの。 (4)特開平2−163094号公報に記載:Ser
Aspを欠失し、LysのN末端にArg−Ly
s−Argを付加し更に154Alaを154Pheに
変換したもの。 (5)特開平2−142493号公報に記載:Ser
Aspを欠失し、LysのN末端にArg−Ly
s−Argを付加し更に154Alaを154Trpに
変換したもの。 (6)特開昭63−270697号公報に記載:100
Gln〜107Alaを欠失したもの。Serから2
個〜8個のアミノ酸残基を欠失したもの。 (7)特願平2−193935号明細書に記載:68
roを68Asp、68Met又は68Tyrにそれぞ
れ変換したもの。 (8)特願平2−311129号明細書に記載:106
Glyを欠失するかあるいは他のアミノ酸により置換し
たもの。 (9)特願平2−311130号明細書に記載:29
rgを他のアミノ酸により置換したもの。
【0010】本明細書全般を通じてアミノ酸、ポリペプ
チド、塩基、それらの配列を表わすとき下記のリストの
ものを用いる。
【0011】
【0012】また本明細書で使用した略号は次のとおり
意味する。 dATP:デオキシアデノシン三リン酸 (Deoxy
adenosinetriphosphate) dGTP:デオキシグアノシン三リン酸 (Deoxy
guanosinetriphosphate) dCTP:デオキシシチジン三リン酸 (Deoxy
cytidine triphosphate) TTP:チミジン三リン酸 (Thymidine t
riphosphate) ATP:アデノシン三リン酸 (Adenosine
triphosphate) SDS:ドデシル硫酸ナトリウム(Sodium do
decyl Sulfate) BPB:ブロモフェノールブルー(Bromopheo
l Blue) DTT:ジチオスレイトール (Dithiothre
itol) BSA:牛血清アルブミン (Bovine seru
m albumin) PMSF:フェニルメチルスルホニル フルオライド
(Phenylmethylsulfonyl Flu
oride) EDTA:エチレンジアミン四酢酸(Ethylene
diaminetetraacetic Acid) CPG樹脂:Controlled−Pore Gla
ss樹脂
【0013】本発明のポリペプチド転換体において、一
定の位置に前記Arg−Gly−Aspのアミノ酸配列
を少なくとも1個含み、かつ3個〜16個のアミノ酸を
含むアミノ酸配列は、抗腫瘍活性、癌の転移程度、副作
用、遺伝子組換え技術の適用性などを考慮して適宜決め
られる。前述の3個〜16個のアミノ酸を含むアミノ酸
配列は、そこに望ましくは3個〜11個のアミノ酸を含
むアミノ酸配列においてArg−Gly−Aspのアミ
ノ酸配列を1個又は2個以上有するものであり、具体的
にはArg−Gly−Asp又は配列表の配列番号2〜
9で示したアミノ酸配列が挙げられるが、なかでもAr
g−Gly−Aspあるいは配列番号2、3、5又は6
が望ましい。
【0014】本発明におけるポリペプチド転換体のAr
g−Gly−Aspのアミノ酸配列を少なくとも1個含
み、かつ3個〜16個のアミノ酸を含むアミノ酸配列以
外のアミノ酸配列すなわち配列番号1の9番目のLys
から155番目のLeuまでのヒトTNFのアミノ酸配
列に対応するアミノ酸配列に関しては、0〜15個のア
ミノ酸が付加、欠失又は置換あるいはそれらの組合せに
より改変されうるが、なかでも配列番号1の9番目のL
ysから155番目のLeuまでのヒトTNFのアミノ
酸配列あるいはその29番目のArg、68番目のPr
o又は106番目のGlyが欠失するかあるいは他のア
ミノ酸で置換されたアミノ酸配列が望ましい。置換され
る他のアミノ酸としては、29番目のArgの場合Gl
n、Lys、Asp、Val又はLeuが望ましく、6
8番目のProの場合Asp又はMetが望ましく、1
06番目のGlyの場合TrP、Pro、Ala、As
p又はArgが望ましい
【0015】かくして本発明のポリペプチドは135個
〜178個のアミノ酸により構成される。
【0016】配列表の配列番号10で示した1番目のT
から465番目のGまでで表わされる塩基配列を有する
腫瘍壊死因子ポリペプチドのDNAとは、ヒトTNFの
アミノ酸配列をコードするDNAの1形態である。
【0017】ヒトTNFのアミノ酸配列をコードするD
NAの変異導入DNAとは、配列表の配列番号10で示
した塩基配列において1組又は2組以上のコドンを適宜
付加、欠失、置換の改変を単独又は複合処理したもので
あって、前述のヒトTNF変換体のアミノ酸配列をコー
ドするDNAである。したがって、その改変は、配列番
号10で示した1番目のTから465番目のGまでで表
わされる塩基配列の全域に及ぶので、1番目のTから2
4番目のCまでの塩基配列だけでなく、25番目のAか
ら465番目のGまでの塩基配列にも及ぶ。
【0018】次に本発明についてその実施態様を詳しく
記載するが、本発明に係る遺伝子操作技術については多
くの文献により記載されている方法や手段を適宜調整し
ながら適用する。その文献を参考までに以下に列挙す
る。
【0019】T.Maniatis et al,(1
982):Molecular Cloning,A
Laboratory Manual(以下、Mole
cular Cloningと略記する)Cold S
pring HarborLaboratory、R.
Wu et al,(1983):Methodsin
Enzymology,100及び101、R.Wu
et al,(1987):Methds in E
nzymology,153154及び155
【0020】本発明のポリペプチドは種々の方法、手
段、機械を用いて製造することができるが、代表的な製
造方法を下記する。
【0021】(1)ヒトTNF遺伝子の取得 ヒトTNF遺伝子の塩基配列及びアミノ酸配列は前述の
とおり、Pennicaらにより明らかにされており、
その塩基配列を適宜変更してヒトTNF遺伝子配列を配
列番号10のようにデザインする。その際、宿主細胞
(大腸菌など)に適したコドンを選択するのが望まし
く、また後述のDNA断片の連結によるクローン化並び
に変換体作製のための遺伝子改変が容易に実施できるよ
うに適当な位置に適当な制限酵素切断部位を配置するの
が望ましい。もちろんヒトTNF遺伝子の上流には翻訳
開始コドン(ATG)を、下流には翻訳終止コドン(T
AA、TGA又はTAG)をそれぞれ読み取り枠に合致
させるように設置する必要があり、また翻訳開始コドン
の上流並びに翻訳終止コドンの下流にそれぞれ適当な制
限酵素切断部位を設置してベクターへの適用性、クロー
ン化の簡便性を図るのが好ましい。
【0022】ヒトTNF遺伝子は上鎖・下鎖それぞれに
ついて幾つかのオリゴヌクレオチドに分けて化学合成
し、ブロックごとに順次適切に連結する方法により作製
できる。例えば配列表の配列番号10においては、ヒト
TNF遺伝子のコーディング鎖及び相補する配列を有す
る鎖の各鎖を約50塩基程度ずつ10本のオリゴヌクレ
オチドに分け、合計20本化学合成する。
【0023】その合成方法としてはジエステル法〔H.
G.Khorana,”SomeRecent Dev
elopments in Chemistry of
Phosphate Esters of Biolo
gical Interest”,John Wile
y and Sons,Inc.,New York
(1961)〕、トリエステル法〔R.L.Letsi
nger et al,J.Am.Chem.So
c.,89,4801(1967)〕及びホスファイト
法〔M.D.Matteucci et al,Tet
rahedronLett.,21,719(198
0)〕が挙げられるが、全自動DNA合成機を用いたホ
スファイト法が操作性などから好んで用いられる。
【0024】合成されたオリゴヌクレオチドは例えば逆
相クロマトカラムを用いた高速液体クロマトグラフィ
ー、ポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動などの通
常の精製方法により精製される。その後、オリゴヌクレ
オチドは例えばT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて
リン酸化し、アニール化した後、T4DNAリガーゼを
用いて連結する。ここではオリゴヌクレオチドを幾つか
のブロックに分け、所望のヒトTNF遺伝子配列が得ら
れるように順次連結し、制限酵素で切断又はT4DNA
ポリメラーゼによる平滑化後、電気泳動等により精製す
る。得られたDNA断片について例えばpUC8、同
9、同18、同19〔J.Messinget al,
Gene,19,259(1982)〕のようなプラス
ミドベクターに組込み、常法によりコンピテントセルを
形質転換してクローン化する。得られたクローンより公
知の方法に従ってプラスミドDNAを抽出精製し、ベク
ターに挿入されたDNA断片の塩基配列が目的の遺伝子
配列を達成したか否かを点検する。達成できたヒトTN
F遺伝子の各部分について、それぞれを含むプラスミド
ベクターより制限酵素を用いて切り出し、再度前記ベク
ターに連結後組込むことにより目的の完全長のヒトTN
F遺伝子を有するプラスミドベクターを得る。かくして
得られたプラスミドベクターを制限酵素で切断後、ゲル
電気泳動法によって分離精製することにより所望のヒト
TNF遺伝子を得ることができる。
【0025】一方、前述の方法に対してはTNFを発現
しているヒト細胞由来のmRNAよりヒトTNFをコー
ドするcDNAを作製し、そのcDNAを使用する方法
を適宜組合せてもよい。
【0026】(2)ヒトTNF発現ベクターの構築 前記(1)で得られたヒトTNF遺伝子を適切に発現ベ
クターに挿入して、ヒトTNF発現ベクターを構築す
る。発現ベクターは翻訳開始コドン(ATG)の上流に
転写プロモーター領域並びに翻訳シグナルであるSD
(シャイン・ダルガーノ)配列を有し、翻訳終止コドン
(TAA、TGA又はTAG)の下流に転写ターミネー
ター領域を有する必要がある。また転写プロモーターと
しては、trpプロモーター、lacプロモーター、t
acプロモーター、Pプロモーター、β−ラクタマー
ゼ・プロモーター、α−アミラーゼ・プロモーター、P
H05プロモーター、ADCIプロモーターなどが使用
でき、転写ターミネーターとしてはtrpターミネータ
ー、rrnBターミネーター、ADCIターミネーター
などが使用できる。このような発現ベクターは例えば、
pKK223−3(ファルマシア)、pP−lamb
da(同左)、pDR720(同左)などの市販品の中
から容易に入手できるが、これらを改良して発現性ある
いは取扱性をより高度化したものを使用してもよい。
【0027】(3)ヒトTNF変換体又は同転換体発現
ベクターの構築 ヒトTNF変換体又は同転換体ポリペプチドをコードす
るDNAの作製方法としては例えば次の方法が挙げられ
る。
【0028】(A)前記(1)ヒトTNF遺伝子の取得
で記載した方法に準じて化学的に合成したオリゴヌクレ
オチドを適切に連結することにより作製する。この方法
によればアミノ酸、ポリペプチドなどの置換、付加、欠
失又はそれらの組合せの改変は自在である。
【0029】(B)前記(1)で作製したヒトTNF遺
伝子を適当な制限酵素で切断し、遺伝子内の特定領域を
除去した後、変異を導入した塩基配列を有する合成オリ
ゴヌクレオチド(例:上下鎖をアニール化して連結した
二本鎖DNA断片)又は適当な他の遺伝子を組込む。こ
の方法によっても前記(A)の場合と同様、改変を自在
に行うことができる。
【0030】(C)変異を導入した塩基配列を有する合
成オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いDNA鎖
を延長することにより、変異導入を行う〔部異特異的変
異法 (T.A.Kunkel et al,Meth
ods in Enzymology,154,367
(1987))〕。この方法は10塩基対を越える比較
的長いDNA鎖の付加及び挿入には適用し難いが、その
他の改変は前記(A)の場合と同様、自在に行うことが
できる。特に任意のアミノ酸を置換することに適してい
る。
【0031】本発明では一般に(C)の部位特異的変異
法及び制限酵素切断部位を利用する(B)の方法を適宜
組合せて使用するが、以下にその方法について説明す
る。
【0032】 部位特異的変異法により変換体又は転
換体ポリペプチドをコードするDNAを作製した後、発
現ベクター内に適切に挿入する。
【0033】まず部位特異的変異法を行うに当り、鋳型
DNAを作製する。前記(1)で得られたヒトTNF遺
伝子を、Messingら〔Methods in E
nzymology,153,3(1987)〕によっ
て開発された一本鎖プラスミドDNA調製用プラスミド
ベクター(pUC118、pUC119など)に連結
し、大腸菌株に導入する。得られた形質転換体の中より
目的のプラスミドを有するクローンを選択する。
【0034】このプラスミドをdut及びung
異大腸菌株(CJ236株など)に導入し、遺伝子内に
ウラシルを取り込ませ、大腸菌株にM13K07などの
変異型ヘルパーファージを感染させて目的の一本鎖プラ
スミドDNAを取得する。
【0035】一方、本発明に係る変異導入部位及びその
前後の塩基配列を有する約15〜50塩基のオリゴヌク
レオチド・プライマーを化学合成する。このプライマー
と前述の工程で得られるウラシル導入一本鎖プラスミド
DNAとをアニール化した後、例えばT4DNAポリメ
ラーゼ及びT4DNAリガーゼを用いて、二本鎖化す
る。鋳型であるウラシルを含むDNA鎖を不活性化し変
異導入頻度を高めるため、二本鎖となったプラスミドを
ungの大腸菌株に導入する。
【0036】前述のプライマーをプローブとして用いコ
ロニー・ハイブリダイゼーションを行い、目的の変換体
又は転換体ポリペプチドをコードするDNAを含むプラ
スミドを有するクローンを、得られた形質転換体中より
選択する。
【0037】前述で得られるプラスミドから制限酵素切
断処理によりヒトTNF変換体又は同転換体ポリペプチ
ドをコードするDNA断片を切り出し、前記(2)の場
合と同様に、発現ベクターに挿入して、目的のヒトTN
F変換体又は同転換体発現ベクターを構築することがで
きる。
【0038】 適当な制限酵素切断により変異を導入
したい部分を切り出し、変換デザインに従って化学合成
等により作製したDNA断片で置換することにより変換
体又は転換体ポリペプチドの発現ベクターを構築する。
【0039】ヒトTNFのN末端近傍のアミノ酸配列を
修飾するには、N末端近傍に適当な制限酵素切断部位が
存在するのが好ましい。そこで、まず部位特異的変異法
によりヒトTNFのN末端近傍に適当な制限酵素切断部
位を導入する。この制限酵素切断部位とその上流に位置
する翻訳開始コドンの前後に設置された制限酵素切断部
位の2種類の切断部位の使用は更に好ましい。
【0040】一方、本発明に係る変換デザインに従って
前記(1)の場合と同様にして、上鎖及び下鎖に対応す
るオリゴヌクレオチドを化学合成する。もちろん、その
両末端には発現ベクターヘの組込みを考慮して上記の制
限酵素切断部位を設置しておく必要がある。このオリゴ
ヌクレオチド(上鎖及び下鎖)を例えばT4ポリヌクレ
オチドキナーゼを用いてリン酸化後アニール化すること
により二本鎖DNA断片とする。上記の2種類の制限酵
素で切断したヒトTNFの大部分を含む(N末部分を欠
失)発現用プラスミドベクター内にこの二本鎖DNA断
片を例えばT4DNAリガーゼを用いて挿入連結して、
目的とするN末端近傍のアミノ酸配列を修飾したヒトT
NF転換体の発現ベクターを構築することができる。
【0041】また、変換体又は転換体ポリペプチドをコ
ードする遺伝子内の適当な制限酵素切断部位を利用して
それぞれの発現ベクター間で組換えを行うことにより、
更に新規な変換体又は転換体ポリペプチドの発現ベクタ
ーを構築することができる。
【0042】発現ベクターを大腸菌株のような宿主細胞
へ導入することについては、例えば塩化カルシウム法に
より作製した大腸菌株のコンピテントセルを用いる公知
の方法〔Molecular Cloning,T.M
aniatis et al,(1982)〕に従って
行う。宿主細胞としては大腸菌、枯草菌、酵母などの微
生物細胞が使用できるが、なかでも大腸菌としてはJM
83、JM103、HB101などのE.coli K
−12株の変異種が挙げられる。
【0043】(4)ヒトTNF転換体ポリペプチドの取
得 本発明においては前記(3)で記載の形質転換された微
生物細胞を培養し、目的のヒトTNF転換体ポリペプチ
ドを培養物中に産生、蓄積させて、抽出、分離する。微
生物細胞、特に大腸菌の培養方法としては従来から知ら
れている方法、例えば大腸菌が要求する栄養素を含んだ
培養液に大腸菌を接種し、通常32〜37℃で約12〜
24時間振とう又はかくはんすることにより短時間に大
量に培養する方法が使用できる。培地は例えばL培地、
M9培地、M9CA培地など〔前記Molecular
Cloning 参照〕が使用でき、必要に応じてア
ンピシリンなどの抗生物質を添加したり、転写プロモー
ターの効率を高めるために培養開始時あるいは培養中に
lacプロモーター及びtacプロモーター使用の際は
イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等の薬
剤を、trpプロモーター使用の際は3−β−インドー
ルアクリル酸等の薬剤を添加することもできる。
【0044】本発明のヒトTNF転換体ポリペプチドは
培養後、通常、微生物細胞の集合体をトリスバッファー
に懸濁させた状態で超音波処理することにより破砕処理
を施し、遠心分離操作を行い菌体残渣を除去することに
より得られる。更に、かくして得られたものは核酸・エ
ンドトキシン除去剤処理、フィルターによるろ過、陰イ
オン交換クロマトグラフィー、その他従来からの蛋白質
の分離精製方法を組合せることにより、一層精製するこ
とができる。
【0045】本発明のヒトTNF転換体遺伝子は前述の
方法を適宜適用することにより、直接製造したり、一旦
ヒトTNF遺伝子を作製後製造したり、あるいはヒトT
NF遺伝子次いでその変換体変異遺伝子を作製後製造し
たりすることができる。
【0046】本発明のヒトTNF転換体ポリペプチド
は、ヒトTNF又はその変換体の持つ抗腫瘍作用と同様
の作用を有し、しかもヒトTNF又はその変換体に比し
同程度の抗腫瘍活性を示し、一方それらで認められた癌
の転移亢進作用をほとんど示さないことより抗腫瘍剤、
医薬の活性成分として有効である。本発明のヒトTNF
転換体ポリペプチドとしては、具体的には例えば後述す
るF4168、F4415、F4416、F4417、
F4418、F4420、F4421、F4113、F
4137、F4601、F4602、F4607、F4
608、F4626、F4627、F4634、F46
35、F4609、F4610、F4628、F462
9、F4638、F4639、F4611、F461
2、F4613、F4614、F4615、F464
2、F4643、F4644、F4645、F4646
などが挙げられ、なかでもF4168、F4415、F
4417、F4418、F4420、F4601、F4
609、F4639が望ましく、F4168及びF44
18がより望ましい。その医薬組成物の製剤に当っては
薬理上許容される担体又は希釈剤とともに医薬組成物に
製剤化することができる。本発明の医薬組成物の剤型と
しては、外用剤、経口投与剤、注射剤などが挙げられ、
それぞれの剤型にあった投与方法で投与される。
【0047】投与方法としては、注射による投与が好ま
しい。注射による投与には全身投与と局所投与がある。
全身投与としては静脈内注射、皮下注射、筋肉注射、皮
内注射などが挙げられ、局所投与としては腫瘍内注射な
どが挙げられる。本発明の医薬組成物は、いずれの方法
にも用いることができるが、各種癌種への適用性を考慮
して全身投与が好ましく、また、薬剤の性質から静脈内
注射が特に好ましい。癌種としては、大腸癌、肺癌、胃
癌、膵臓癌、悪性黒色腫などの固形癌並びに血液性の癌
が挙げられる。本発明の医薬組成物は、いずれの癌種に
も用いることができるが、特に固形癌への適用が望まし
い。
【0048】
【実施例】
実施例1(ヒトTNF遺伝子のデザイン) 既に報告されている〔Pennicaら、前出〕ヒトT
NF構造遺伝子のアミノ酸配列を基に、ヒトTNF遺伝
子の塩基配列について遺伝子構築及び変換体作製の便宜
上、配列表の配列番号10のDNA塩基配列をデザイン
した。ここでは適当な間隔で制限酵素切断部位を組み込
み、また、その5′末端に翻訳開始コドン(ATG)及
びその3′末端に翻訳終止コドン(TAA及びTGA)
を設け、更にプラスミドベクターと容易に連結できるよ
うにATGの上流に制限酵素EcoR Iによる切断部
位を、翻訳終止コドン(TAA及びTGA)の下流には
制限酵素Hind IIIによる切断部位をそれぞれ設
けた。
【0049】実施例2(オリゴヌクレオチドの化学合
成) 前記実施例1でデザインされたDNAは、自動DNA合
成機(アプライド・バイオシステムズ,モデル381
A)を用いて、ホスファイト法にて化学合成した。合成
は後述する塩基配列を有するU−1〜10及びL−1〜
10の20本のオリゴヌクレオチドに分割して行い、合
成されたオリゴヌクレオチドのCPG樹脂(フナコシ社
販売)からの切り出し及び保護基脱離は、アプライド・
バイオシステムズ社のマニュアルに従った。各オリゴヌ
クレオチドの分離精製は逆相クロマトカラムを用いたH
PLC(高速液体クロマトグラフィー)又は7Mウレア
を含むポリアクリルアミドゲル電気泳動(ゲル濃度10
〜20%)により行った。
【0050】U−1〜10及びL−1〜10の各塩基配
列は以下に示すものである。 U−1:27塩基からなり、配列番号10の1番目のT
から19番目のAまでの配列を有し、しかも、1番目の
Tに対し上流方向に5′−ATG−3′更にその上流に
5′−AATTC−3′を接続した配列を有する。 U−2:50塩基からなり、配列番号10の20番目の
Gから69番目のGまでの配列を有する。 U−3:49塩基からなり、配列番号10の70番目の
Cから118番目のGまでの配列を有する。 U−4:50塩基からなり、配列番号10の119番目
のAから168番目のCまでの配列を有する。 U−5:50塩基からなり、配列番号10の169番目
のTから218番目のTまでの配列を有する。 U−6:52塩基からなり、配列番号10の219番目
のCから270番目のCまでの配列を有する。 U−7:48塩基からなり、配列番号10の271番目
のCから318番目のCまでの配列を有する。 U−8:49塩基からなり、配列番号10の319番目
のGから367番目のCまでの配列を有する。 U−9:51塩基からなり、配列番号10の368番目
のAから418番目のCまでの配列を有する。 U−10:53塩基からなり、配列番号10の419番
目のTから465番目のG までの配列を有し、
更に下流方向に5′−TAATGA−3′を有する。
【0051】L−1〜10は、配列番号10のDNA鎖
に対応した下鎖(コンプリメンタリー配列鎖)である。 L−1:29塩基からなり、配列番号10の25番目の
Aから1番目のTまでの配列に相補した配列を有し、し
かも1番目のTに相補するAの下流方向に5′−CAT
G−3′を接続した配列を有する。 L−2:52塩基からなり、配列番号10の77番目の
Gから26番目のAまでの配列に相補した配列を有す
る。 L−3:50塩基からなり、配列番号10の127番目
のGから78番目のGまでの配列に相補した配列を有す
る。 L−4:50塩基からなり、配列番号10の177番目
のGから128番目のAまでの配列に相補した配列を有
する。 L−5:49塩基からなり、配列番号10の226番目
のCから178番目のGまでの配列に相補した配列を有
する。 L−6:49塩基からなり、配列番号10の275番目
のTから227番目のAまでの配列に相補した配列を有
する。 L−7:51塩基からなり、配列番号10の326番目
のCから276番目のCまでの配列に相補した配列を有
する。 L−8:49塩基からなり、配列番号10の375番目
のGから327番目のCまでの配列に相補した配列を有
する。 L−9:51塩基からなり、配列番号10の426番目
のTから376番目のAまでの配列に相補した配列を有
する。 L−10:49塩基からなり、配列番号10の465番
目のGから427番目のGまでの配列に相補した配列を
有し、しかも465番目のGに相補するCの上流方向に
5′−TCATTA−3′更にその上流方向に5′−A
GCT−3′を接続した配列を有する。
【0052】HPLC法については、ヌクレオジル5C
18カラム(φ4.6×150mm:ケムコ社販売)を
用いた逆相クロマトグラフィーによって、アセトニトリ
ルを含むトリエチルアミノ酢酸(100mM)バッファ
ー(pH7.0)で溶出することにより分離精製した。
上記溶出は、アセトニトリルの直線濃度勾配を5〜35
%(30分)とし、約15分のピークを回収した。
【0053】ポリアクリルアミドゲル電気泳動法に関し
ては、各合成オリゴヌクレオチド試料を電気泳動により
分離し、紫外線シャドウイング法による泳動パターンの
観察結果より目的の大きさのバンド部分を切り出し、そ
のポリアクリルアミドゲル断片を約1〜2mmの大き
さに切り刻み、約2mlの溶出バッファー(0.5MN
OAc及び1mM EDTA)を加え、37℃で一
晩振とうした。各オリゴヌクレオチドを含む溶出バッフ
ァーを回収し、フェノール抽出(50%フェノール/5
0%クロロホルム溶液使用)、イソブタノール抽出を行
い、エタノール沈殿操作により各オリゴヌクレオチドの
精製試料とした。
【0054】合成・精製したオリゴヌクレオチドの一部
について、マキサム・ギルバード法〔A.M.Maxa
m et al,Methods in Enzymo
logy,65 499(1980)〕により、目的の
塩基配列を有していることを確認した。
【0055】以下(実施例3、4、5、6、7、8、
9、10、11及び12)の遺伝子組換えに係わる操作
において、制限酵素及び他の関連酵素の反応条件等は、
主にMolecular Cloning(前出)記載
の方法に準じた。なお、上記酵素等は主に宝酒造より入
手しており、宝酒造のマニュアルも参考にした。
【0056】実施例3(合成オリゴヌクレオチドの連結
によるヒトTNF遺伝子の構築) (1)まず図1に従ってヒトTNF遺伝子の構築を試み
た。前記実施例2で得られた合成オリゴヌクレオチドを
3つのグループ(U及びL−1〜4、U及びL−5〜7
並びにU及びL−8〜10)に分けてクローニングを行
った。すなわち、U−2、3、4、6、7、9及び10
並びにL−1、2、3、5、6、8及び9の各オリゴヌ
クレオチド(1〜2μg)の5′末端を2〜5ユニット
のT4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造)を用いて、
それぞれ別々にリン酸化した。リン酸化反応は10μl
の水溶液中(50mMトリス−HClpH7.6、10
mM MgCl、0.1mM スペルミジン、0.1
mMEDTA、10mM DTT及び1mM AT
P)、37℃で1時間行い、反応終了後、70℃で10
分間処理することによりT4ポリヌクレオチドキナーゼ
を失活させた。新たに、1〜2μgのU−1、5及び8
並びにL−4、7及び10の各オリゴヌクレオチドをそ
れぞれ別々に含む上記と同組成の水溶液10μlを用意
し、それぞれU及びLの同じ番号同士で各オリゴヌクレ
オチド(U−1〜10及びL−1〜10)水溶液を混合
し(20μl)、100℃で5分間煮沸後徐冷すること
によりアニール化した。次に、得られた10本のアニー
リング体(二本鎖DNA断片)を、各グループごとに連
結反応のための水溶液(66mMトリス−HCl pH
7.6、6.6mM MgCl、10mM DTT、
1mM ATP及び100μg/ml BSA)に添加
し(総液量120〜160μl)、40℃に加温後徐冷
によるアニール化の後、700ユニットのT4DNAリ
ガーゼ(宝酒造)を加えて、16℃で15時間連結反応
を行った。
【0057】反応終了後、各反応液をポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動(ゲル濃度6%)により分離し、エチジ
ウムブロマイド染色法による泳動パターンの観察結果よ
り目的の大きさ(176bp、150bp及び153b
p)のバンド部分を切り出し、エレクトロ・エリューシ
ョン法により目的とする3本のDNA断片を回収した。
更に、回収した各試料に対してフェノール抽出(50%
フェノール/50%クロロホルム溶液使用)、イソブタ
ノール抽出を行い、エタノール沈殿操作により目的のD
NAを精製した。上記方法に準じて、精製した3本の二
本鎖DNA断片をそれぞれ別々にその5′末端をT4ポ
リヌクレオチドキナーゼを用いてリン酸化し、連結反応
のための水溶液中にて混合の後、40℃の加温によりア
ニール化を行い、T4DNAリガーゼを加えて連結し
た。エタノール沈殿操作によりこの連結DNAを回収
し、1mM DTT及び100μg/mlBSAを含む
50μlのハイ・ソルトバッファー(50mMトリス−
HCl pH7.5、100mM NaCl、10mM
MgCl2)に溶解させ、15ユニットの制限酵素E
coR I(宝酒造)及び15ユニットの制限酵素Hi
nd III(宝酒造)を添加して、37℃で2時間切
断反応を行った。反応終了後、上記方法に準じて、ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動(ゲル濃度4%)により目
的とするDNA断片(約480bp)を分離精製した。
【0058】一方、プラスミドベクターpUC9(九州
大学遺伝情報実験施設より分与)の5μgを、前記の方
法に準じて、制限酵素EcoR I及びHind II
Iで切断し、アガロースゲル電気泳動(ゲル濃度1%)
により約2.7KbpのDNA断片を分離精製した。先
に精製した約480bpのDNA断片(ヒトTNF遺伝
子を含む)とこのpUC9断片を、前記の方法に準じ
て、20μlの連結反応液中にて混合し、350ユニッ
トのT4DNAリガーゼを添加し、16℃で3時間連結
反応を行った。塩化カルシウム法〔Molecular
Cloning参照〕により作製したE.coli
K−12 JM83株(九州大学遺伝情報実験施設によ
り分与)のコンピテント セルを、上記連結反応液によ
り常法に従って形質転換した〔Molecular C
loning参照〕。
【0059】得られたアンピシリン耐性クローンより、
公知の方法を用いてプラスミドを調製し、前記の方法に
準じて、制限酵素(EcoR I及びHind II
I)処理後、アガロースゲル電気泳動によりその泳動パ
ターンを解析することにより、ヒトTNF遺伝子のpU
C9ベクターへの挿入を調べた。その結果、約250b
pの遺伝子の挿入が確認でき、そのクローンについて挿
入された遺伝子の塩基配列をジデオキシ法〔F.San
ger,Science,214,1205(198
1)〕により調べたところ、EcoR I部位から下流
に約130bpとHind III部位から上流に約9
0bpの目的とするヒトTNF遺伝子の塩基配列を有す
る遺伝子断片であることが確認された。このクローン及
びプラスミドをそれぞれpUA41/JM83及びpU
A41と命名した。
【0060】(2)引き続き、図2に従ってヒトTNF
遺伝子の構築を試みた。前記(1)工程でのクローニン
グでヒトTNF遺伝子の塩基配列において未達成な領域
周辺を2つのグループ(U及びL−3〜6並びにU及び
L−6〜9)に分け、前記(1)工程と同様にして、各
オリゴヌクレオチドをリン酸化し、アニール化した後、
T4DNAリガーゼにより連結した。前記方法に準じ
て、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(ゲル濃度6%)
により分離精製し、得られた2本のDNA断片(201
bp及び200bp)をそれぞれ別々に100μlの6
7mMトリス−HCl(pH8.8)、6.7mM M
gCl、16.6mM(NHSO、6.7μ
M EDTA、1mM DTT、200μg/mlBS
A及び各330μMデオキシリボヌクレオチド三リン酸
(dATP、dGTP、dCTP及びTTP)水溶液に
て溶解し、2〜5ユニットのT4DNAポリメラーゼ
(宝酒造)を添加し、37℃で30分間反応することに
よりDNA断片の両末端を平滑化した。反応終了後、6
8℃で10分間処理することによりT4DNAポリメラ
ーゼを失活させ、エタノール沈殿により目的の2本のD
NA断片を回収した。
【0061】一方、5μgのpUC9ベクターを1mM
DTT及び100μg/ml BSAを含む50μl
のミディアム・ソルトバッファー(10mMトリス−H
Cl、pH7.5、50mM NaCl及び10mM
MgCl)に溶解させ、15ユニットの制限酵素Hi
nc II(宝酒造)を添加し、37℃で2時間の反応
後、エタノール沈殿により回収した。得られた切断・開
環したpUC9ベクターに、先に平滑化後回収した2本
のDNA断片をそれぞれ別々に、前記方法に準じて、T
4DNAリガーゼを用いて組込み、E.coli K−
12 JM83株を形質転換した。得られたそれぞれの
クローンについて、前記(1)工程と同様にして、挿入
されたDNAの塩基配列を調べ、目的の塩基配列である
ことを確認した。これらのクローンをそれぞれpUA4
2/JM83及びpUA43/JM83と命名し、プラ
スミドをpUA42及びpUA43と命名した。
【0062】上記(1)工程で得られたpUA41を制
限酵素EcoR I(ハイ・ソルトバッファー)及びS
ac I(宝酒造:ロウ・ソルトバッファー)、制限酵
素Hae II(宝酒造)及びHind III(ミデ
ィアム・ソルトバッファー)で、上記(2)工程で得ら
れたpUA42を制限酵素Sac I(ロウ・ソルトバ
ッファー)及びHpa I(宝酒造:KCl バッファ
ー)で並びにpUA43を制限酵素Hpa I及びHa
e II(Kcl バッファー)で、前記方法に準じ
て、それぞれ切断した。ロウ・ソルトバッファー(10
mMトリス−HClpH7.5及び10mM MgCl
)とハイ・ソルトバッファー又はKClバッファー
(20mMトリス−HCl pH8.5、100mM
KCl及び10mM MgCl)の組合せについて
は、切断反応を2回に分け、反応の間にエタノール沈殿
操作を行うことにより対応した。pUA41からのEc
oR I−Sac IDNA断片(127bp)及びH
ae II−Hind IIIDNA断片(80b
p)、pUA42からのSac I−Hpa IDNA
断片(147bp)並びにpUA43からのHpa I
−Hae IIDNA断片(126bp)を、前記方法
に準じて、それぞれポリアクリルアミドゲル電気泳動
(ゲル濃度6%)により分離精製した。
【0063】一方、5μgのpUC19プラスミドベク
ター(九州大学遺伝情報実験施設より分与)を、前記の
方法に準じて、制限酵素EcoR I及びHind I
IIで切断し、約2.7kbpのDNA断片をアガロー
スゲル電気泳動(ゲル濃度1%)により分離精製した。
先に精製した4本のDNA断片を図示(図2)したよう
に順次添加し、前記方法に準じて、T4DNAリガーゼ
を用いて連結して行き、最後に上記の精製pUC19ベ
クター(約2.7Kbp断片)に組込み、JM83株を
形質転換した。この形質転換体に含まれるプラスミドに
ついて、前記方法に準じて、挿入された遺伝子の塩基配
列を調べたところ、目的とする完全長(約480bp)
のヒトTNF遺伝子を含むプラスミドベクター(約3.
2Kbp)を有するクローンであることが確認できた。
このクローンをpUA44/JM83と命名し、プラス
ミドをpUA44と命名した。
【0064】実施例4(ヒトTNF発現ベクターの構
築) (1)大腸菌tacプロモーターを有する発現ベクター
pKK223−3(ファルマシア社より入手)をより扱
いやすくする目的で以下の改良を試みた。 (A)発現ベクターを低分子量化する。 (B)制限酵素BamH Iの切断部位を唯一とする。 (C)tacプロモーターの方向をアンピシリン耐性遺
伝子の方向と逆向きにする。
【0065】図3にその方法を図示した。プラスミドベ
クターpBR322(九州大学遺伝情報実験施設より分
与)の5μgを、実施例3の方法に準じて、制限酵素E
coR I及びHind IIIで切断後、その両末端
をT4DNAポリメラーゼを用いて平滑化した。実施例
3の方法に準じて、アガロースゲル電気泳動(ゲル濃度
1%)により約4.4KbpのDNA断片を分離精製
し、その開環部位に100ngのノンフォスフォリレー
テッド リンカーズのBgl IIリンカー(制限酵素
Bgl II切断部位を含む10bpの二本鎖DNA断
片:カタログNo.4721A タカラ・バイオテクノ
ロジー・カタログ1991Vol.1、宝酒造より入
手)をT4DNAリガーゼを用いて挿入連結した。前記
実施例3の方法に準じて得た形質転換体の中より、その
プラスミドについて制限酵素による切断の可否を調べる
ことにより、目的の制限酵素EcoR I及びHind
III切断部位を欠き、制限酵素Bgl II切断部
位を新生したプラスミドpBR9333(約4.4Kb
p)を有するクローンを得た。
【0066】上記で得たプラスミドpBR9333の5
μgを、実施例3の方法に準じて、ハイ・ソルトバッフ
ァーに溶解し、制限酵素Bgl II(宝酒造)及びP
vuII(宝酒造)で切断し、複製起点を含む約2.3
KbpのDNA断片をアガロースゲル電気泳動(ゲル濃
度1%)により分離精製した。一方、発現ベクターpK
K223−3(約4.6Kbp)の5μgを上記の場合
と同様、ハイ・ソルトバッファーに溶解し、制限酵素B
amH I(宝酒造)及びSca I(宝酒造)で切断
した。制限酵素BamH Iによる切断反応は、添加酵
素量を通常の約1/2とし、反応時間を5〜30分間と
する部分切断により行った。切断処理後、tacプロモ
ーター及びrrnBTターミネーター等を含む約
1.1KbpのDNA断片を上記の場合と同様、アガロ
ースゲル電気泳動により分離精製した。先に精製した複
製起点を含む約2.3KbpのDNA断片に上記の約
1.1KbpのDNA断片を前記に準じてT4DNAリ
ガーゼを用いて挿入連結し、実施例3の方法に準じて、
塩化カルシウム法により作製したE.coli K−1
2 JM103株(九州大学遺伝情報実験施設)のコン
ピテントセルに導入した。得られた形質転換体の中よ
り、目的とするtacプロモーター等を含む発現ベクタ
ー(約3.4Kbp)を有するクローンを選択し、この
発現ベクターをpKK101と命名した。
【0067】(2)図4に従って、次の工程を説明す
る。前記(1)工程で得た発現ベクターpKK101の
5μgを、前記方法に準じて、制限酵素EcoR I及
びHind IIIで切断し、複製起点及び転写調節領
域等を含む約3.4KbpのDNA断片をアガロースゲ
ル電気泳動(ゲル濃度1%)により分離精製した。ま
た、前記実施例3で得られたヒトTNF遺伝子を含むプ
ラスミドpUA44(約3.2Kbp)を、同様にし
て、制限酵素EcoR I及びHind IIIで切断
し、ヒトTNF遺伝子全域を含む約480bpのDNA
断片をアガロースゲル電気泳動により分離精製した。こ
のヒトTNF遺伝子全域を含むDNA断片を、先に発現
ベクターpKK101より精製した約3.4KbpのD
NA断片に、前記方法に準じて、T4DNAリガーゼを
用いて挿入連結し、前記の方法に準じてE.coli
K−12 JM103株に導入した。得られた形質転換
体の中より目的のヒトTNF発現ベクター(約3.9K
bp)を有するクローンを選択し、この発現ベクターを
pKF4102と命名した。
【0068】実施例5(ヒトTNF転換体発現ベクター
pKF4168の構築) (1)図5に従って説明する。前記実施例3で得られた
プラスミドpUA44を、前記方法に準じ、制限酵素E
coR I及びHind IIIで切断し、ヒトTNF
遺伝子(全域を含む約480bp)のDNA断片をアガ
ロースゲル電気泳動により分離精製した。一方、Mes
singら〔Methods in Enzymolo
gy,153,3(1987)〕によって開発された一
本鎖プラスミドDNA調製用プラスミドベクターpUC
119(宝酒造より入手)を、同様にして、制限酵素E
coRI及びHind IIIで切断し、IG領域を含
む約3.2KbpのDNA断片をアガロースゲル電気泳
動により分離精製した。このIG領域(M13ファージ
DNAのintergenic region)の存在
により、プラスミドpUC119は、ヘルパーファージ
M13K07感染後優先的に一本鎖DNAとなりファー
ジ粒子に包み込まれ菌体外に放出される。上記で精製し
たヒトTNF遺伝子全域を含む約480bpのDNA断
片とIG領域を含む約3.2KbpのpUC119断片
を前記に準じてT4DNAリガーゼを用いて連結し、前
記実施例3の方法に準じてE.coli K−12 J
M83株に導入した。得られた形質転換体の中より、目
的のプラスミド(約3.7Kbp)を有するクローンを
選択し、このクローンをpUC119−hTNF/JM
83と命名し、プラスミドをpUC119−hTNFと
命名した。
【0069】上記で得たプラスミドpUC119−hT
NFを、そのDNA内にウラシルを取り込ませ保持する
ために、前記実施例3の方法に準じて、塩化カルシウム
法により作製した大腸菌CJ236株(dut,un
)のコンピテント セルに導入した。CJ236株
はデオキシウリジン三リン酸分解酵素遺伝子に欠失変異
(dut)を持つため競合反応が生じ、チミンの替わ
りに一部ウラシルを取り込んだDNAを作ることがで
き、更にung変異によりウラシルN−グリコシラー
ゼが欠損しており、そのウラシルをDNA中に保持して
おくことができる。このCJ236株はバイオ・ラドよ
り入手した。上記導入により得られたクローン(pUC
119−hTNF/CJ236)をヘルパーファージM
13K07(宝酒造より入手)の感染後、100μg/
mlアンピシリン、70μg/mlカナマイシン及び3
0μg/mlクロラムフェニコールを含む2×YTブロ
ース(1.6%トリプトン、1%酵母エキス及び0.5
% NaCl pH7.6)にて培養することにより、
目的のウラシルを導入した一本鎖プラスミドDNA(約
3.7Kbases)をファージ粒子に包み込んだ形で
菌体外に放出させた。放出させたファージ粒子を培養上
清より回収し、一本鎖ファージDNAの調製方法に準じ
て、目的の一本鎖プラスミドDNAを調製した。
【0070】(2)次に図6に従って説明する。コーデ
ィング鎖オリゴヌクレオチドを用いて、ヒトTNF遺伝
子に対し変異導入を行うために、プライマー4168を
デザインした。プライマー4168、配列番号10で示
した10番目のCから21番目のTまでの塩基配列のう
ち13〜15番目の5′−ACC−3′が5′−GGC
−3′に置換され16〜18番目の5′−CCG−3′
が5′−GAT−3′に置換された12塩基からなるオ
リゴヌクレオチドである。このオリゴヌクレオチドの化
学合成及び精製は、前記実施例2の方法に準じて行っ
た。
【0071】ヒトTNF遺伝子への部位特異的変異導入
は、バイオ・ラドのシステム(Muta−GeneTM
in vitrom mutagenesis ki
t)に準じて行った。すなわち、上記で作製した約0.
5μgのプライマーの5′末端を前記方法に準じてT4
ポリヌクレオチドキナーゼによりリン酸化した一部と、
先に調製したウラシル導入一本鎖プラスミドDNA(p
UC 119−hTNF)の約200ngとの間で、1
0μlのアニーリング・バッファー(20mMトリス−
HCl pH7.4,2mM MgCl及び50mM
NaCl)中にてアニーリング(約70℃に加温後徐
冷)を行った。アニーリング終了後、10倍シンセシス
・バッファー〔5mM各デオキシリボヌクレオチド三リ
ン酸など(dATP、dGTP、dCTP及びTT
P)、10mM ATP、100mMトリス−HCl
pH7.4、50mM MgCl及び20mM DT
T〕を1/10容量加え、1ユニットのT4DNAポリ
メラーゼ及び2〜4ユニットのT4DNAリガーゼを用
いて二本鎖化反応(37℃、90分間)を行った。TE
バッファー(10mM トリス−HCl pH7.5及
び1mM EDTA)を約8容量加え、凍結することに
より反応を停止した。前記実施例3の方法に準じて、塩
化カルシウム法により作製したE.coli K−12
TG1株(ung:アマシャム社)のコンピテント
セルに、上記反応液を処理し二本鎖DNAを導入した。
【0072】ung株にヘテロ二本鎖DNAを導入す
ることにより、鋳型であるウラシルを含むDNA鎖は不
活性化され複製の対象とならない。(そのため変異の導
入頻度は50%を上回る高効率なものとなる。)得られ
た形質転換体の中より、変異導入のために使用したプラ
イマーをプローブとしたコロニー・ハイブリダイゼーシ
ョン法を用いて、目的の転換体DNAを含むプラスミド
(約3.7Kbp)を有するクローンを選択した。選択
されたクローンについて、そのプラスミドの変異導入部
位周辺の塩基配列をジデオキシ法〔F.Sanger:
前出〕により調べ、デザイン通りの転換体DNAに変異
していることを確認した。このプラスミドをpUC11
9−F4168と命名した。
【0073】(3)変異導入により得られた目的のヒト
TNF転換体遺伝子を、実施例4のヒトTNF発現ベク
ターの構築方法に準じて、tacプロモーターを有する
発現ベクターpKK101に組込みヒトTNF転換体発
現ベクターを構築した。ヒトTNF転換体遺伝子(約4
80bp)は、上記で得られた約3.7Kbpのプラス
ミドpUC119−F4168より、前記方法に準じ
て、制限酵素EcoR I及びHind IIIによる
切断後分離精製した。目的とするヒトTNF転換体発現
ベクター(pKF4168)は、ヒトTNF発現ベクタ
ー(pKF4102)と同様、宿主としてE.coli
K−12 JM103株を用いて取得した。上記転換
体発現ベクターは、発現誘導により、以下に示す変換を
有する新規生理活性ポリペプチドを大腸菌内に生産す
る。
【0074】ベクターpKF4168:配列番号1で示
したアミノ酸配列において、1番目〜8番目のアミノ酸
配列が配列番号2で示したアミノ酸配列で置換されたポ
リペプチドF4168をコードする。
【0075】実施例6(ヒトTNF転換体発現ベクター
pKF4415、pKF4416、pKF4417及び
pKF4418の構築) (1)前記実施例5(2)において、プライマー416
8の替りにそれぞれプライマー4415、同4416、
同4417又は同4418を用いて目的の変異導入DN
Aを含むプラスミド(約3.7Kbp)を取得した。ジ
デオキシ法によりデザイン通りの変換体DNAに変異し
ていることを確認し、これらのプラスミドをそれぞれp
UC119−F4415、pUC119−F4416、
pUC119−F4417又はpUC119−F441
8と命名した。
【0076】ここで用いたプライマー4415、同44
16、同4417及び同4418は以下のオリゴヌクレ
オチドであり、その化学合成及び精製は前記実施例2の
方法に準じて行われた。
【0077】プライマー4415:配列番号10で示し
た7番目のTから30番目のTまでの塩基配列のうち1
6〜18番目の5′−CCG−3′が5′−CGT−
3′に置換され、19〜21番目の5′−AGT−3′
が5′−GGT−3′に置換された24塩基からなるオ
リゴヌクレオチド。 プライマー4416:配列番号10で示した1番目のT
から18番目のGまでの塩基配列のうち9番目のTと1
0番目のCとの間に5′−CGTGGTGAT−3′を
挿入した27塩基からなるオリゴヌクレオチド。 プライマー4417:配列番号10で示した10番目の
Cから27番目のGまでの塩基配列のうち18番目のG
と19番目のAとの間に5′−CGTGGTGAT−
3′を挿入した27塩基からなるオリゴヌクレオチド。 プライマー4418:配列番号10で示した1番目から
9番目まで塩基配列に対し、1番目のTに対してその
5′側に5′−CGTGGTGAT−3′を付加し、更
にその5′側に5′−GAATTCATG−3′を付加
した27塩基からなるオリゴヌクレオチド。
【0078】(2)変異導入により得られた目的のヒト
TNF転換体遺伝子を、実施例4のヒトTNF発現ベク
ターの構築方法に準じて、tacプロモーターを有する
発現ベクターpKK101に組込みヒトTNF転換体発
現ベクターを構築した。ヒトTNF転換体遺伝子(約4
80bp)は、上記で得られた約3.7Kbpのプラス
ミドpUC119−F4415、pUC119−F44
16、pUC119−F4417又はpUC119−F
4418より、前記方法に準じて、制限酵素EcoR
I及びHind IIIによる切断後分離精製した。目
的とするヒトTNF転換体発現ベクターpKF441
5、pKF4416、pKF4417又はpKF441
8は、ヒトTNF発現ベクター(pKF4102)と同
様、宿主としてE.coli K−12 JM103株
を用いて取得した。
【0079】上記転換体発現ベクターは、発現誘導によ
り、以下に示す変換を有する新規生理活性ポリペプチド
を大腸菌内に生産する。 ベクターpKF4415:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号3で示したアミノ酸配列で置換されたポリペプチドF
4415をコードする。 ベクターpKF4416:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号4で示したアミノ酸配列で置換されたポリペプチドF
4416をコードする。 ベクターpKF4417:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号5で示したアミノ酸配列で置換されたポリペプチドF
4417をコードする。 ベクターpKF4418:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号6で示したアミノ酸配列で置換されたポリペプチドF
4418をコードする。
【0080】実施例7(ヒトTNF転換体発現ベクター
pKF4420の構築) (1)配列番号10で示した5番目のCから20番目の
Gまでの16塩基のうち13番目のAがGに置換された
オリゴヌクレオチドをデザインし、プライマー4104
と命名した。このオリゴヌクレオチドの化学合成及び精
製は、前記実施例2の方法に準じて行った。前記実施例
5(2)においてプライマー4168の替りにこのプラ
イマー4104を用いることにより目的の変換体DNA
を含むプラスミド(約3.7Kbp)を取得した。変異
導入部位周辺の塩基配列をジデオキシ法により調べ、デ
ザイン通りの変換体DNAに変異していることを確認
し、このプラスミドをpUC119−F4104と命名
した。
【0081】(2)前記実施例5(1)において、pU
C119−hTNFの替りにpUC119−F4104
を用いて目的の一本鎖プラスミドDNAを調製した。ま
た、配列番号10で示した46番目のGから66番目の
Gまでの21塩基のうち56番目のAがGに置換された
オリゴヌクレオチドをデザインし、プライマー4226
と命名した。このオリゴヌクレオチドの化学合成及び精
製は前記実施例2の方法に準じて行った。
【0082】次に、上記で調製したpUC119−F4
104の一本鎖プラスミドDNA及びプライマー422
6を用いてヒトTNF変換体遺伝子への部位特異的変異
導入を前記実施例5(2)の方法に準じて行い、目的の
変換体DNAを含むプラスミド(約3.7Kbp)を取
得した。ジデオキシ法によりデザイン通りの変換体DN
Aに変異していることを確認し、このプラスミドをpU
C119−F4226と命名した。
【0083】(3)前記実施例7(2)で得られた制限
酵素XhoI切断部位を2箇所に有するプラスミドpU
C119−F4226を用いて、その生成した制限酵素
XhoI切断部位のN末端側に化学合成オリゴヌクレオ
チド(アニーリングにより二本鎖化したもの)を連結す
ることにより、N末置換型転換体ポリペプチド(F44
20と命名)の発現ベクター(pKF4420と命名)
を構築した。その構築方法を図7に従って説明する。
【0084】プラスミドpUC119−F4226(約
3.7Kbp)の5μgを、前記実施例3の方法に準じ
て、ハイ・ソルトバッファーに溶解し、制限酵素Xho
I(宝酒造)及びHind IIIで切断し、N末部
分を欠失したF4226遺伝子を含む約420bpのD
NA断片をアガロースゲル電気泳動(ゲル濃度1%)に
より分離精製した。また、F4226のN末部分に置換
する目的でデザインしたオリゴペプチドをコードするオ
リゴヌクレオチドの上鎖(U−4420)及び下鎖(L
−4420)を、前記実施例2の方法に準じて化学合成
し、精製した。上鎖U−4420は配列番号11で示し
た塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである。また下
鎖L−4420は上鎖U−4420に相補する配列を有
する鎖であるが、このものは上鎖U−4420の1番目
〜4番目の5′−AATT−3′に相補する配列部分は
有さず、一方その下鎖の5′末端のGに対し、その5′
側に5′−TCGA−3′が付加された塩基配列を有す
るオリゴヌクレオチドである。精製後得られた2本のオ
リゴヌクレオチド(各1μg)を、前記実施例3の方法
に準じて、その5′末端をT4ポリヌクレオチドキナー
ゼを用いてリン酸化の後、アニール化により二本鎖DN
A断片(46bp)とした。一方、前記実施例4の方法
に準じてプラスミドベクターpKK101を制限酵素E
coR I及びHind IIIで切断し、複製起点及
び転写調節領域等を含む約3.4KbpのDNA断片を
分離精製した。
【0085】上記方法に従って得られた3本のDNA断
片を、前記実施例3の方法に準じて、T4DNAリガー
ゼを用いて連結し、E.coli K−12 JM10
3株のコンピテント セルに導入した。得られた形質転
換体の中より、目的のF4420発現ベクターpKF4
420(約3.9Kbp)を有するクローンを、制限酵
素EcoR I、Xho I及びHind IIIによ
る切断パターンの確認並びに転換体ポリペプチドのN末
置換部位周辺の塩基配列を調べることにより選択した。
【0086】上記方法に従って構築した転換体発現ベク
ターは、発現誘導により、以下に示す変換を有する新規
生理活性ポリペプチドを大腸菌内に生産する。 ベクターpKF4420:配列表の配列番号1で示した
アミノ酸配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列
がArg−Gly,Aspで置換されたポリペプチドF
4420をコードする。
【0087】実施例8(ヒトTNF転換体発現ベクター
pKF4421及びpKF4137の構築) 前記実施例7(1)で得られた制限酵素Xho I切断
部位を有するプラスミドpUC119−F4104を用
いて、その制限酵素Xho I切断部位のN末端側に化
学合成オリゴヌクレオチド(アニーリングにより二本鎖
化したもの)を連結することにより、N末置換型転換体
ポリペプチド(F4421及びF4137と命名)の発
現ベクター(pKF4421及びpKF4137と命
名)を構築した。
【0088】プラスミドpUC119−F4104(約
3.7Kbp)の5μgを、前記実施例3の方法に準じ
て、ハイ・ソルトバッファーに溶解し、制限酵素Xho
I及びHind IIIで切断し、N末部分を欠失し
たF4104遺伝子を含む約460bpのDNA断片を
アガロース ゲル電気泳動(ゲル濃度1%)により分離
精製した。また、F4104のN末部分に置換する目的
でデザインしたオリゴペプチドをコードするオリゴヌク
レオチドの上鎖(U−4421又はU−4137)及び
下鎖(L−4421又はL−4137)を、前記実施例
2の方法に準じて、化学合成及び精製した。上鎖U−4
421は配列表の配列番号12で示した配列を有するオ
リゴヌクレオチドである。また下鎖L−4421は上鎖
U−4421に相補する配列を有する鎖であるが、上鎖
U−4421の1番目〜4番目の5′−AATT−3′
に相補する配列部分は有さず、一方その下鎖の5′末端
のGに対し、その5′側に5′−TCGA−3′が付加
された配列を有するオリゴヌクレオチドである。また、
上鎖U−4137は配列表の配列番号13で示した配列
を有するオリゴヌクレオチドである。下鎖L−4137
は上鎖U−4137に相補する配列を有する鎖である
が、上鎖4137の1番目〜4番目の5′−AATT−
3′に相補する配列部分は有さず、一方その下鎖の5′
末端のGに対し、その5′側に5′−TCGA−3′が
付加された配列を有するオリゴヌクレオチドである。精
製後得られた各上、下2本のオリゴヌクレオチド(各1
μg)を、前記実施例3の方法に準じてその5′末端を
T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてリン酸化の後、
アニール化により二本鎖DNA断片(34bp)とし
た。
【0089】一方、前記実施例4の方法に準じてプラス
ミドベクターpKK101を制限酵素EcoR I及び
Hind IIIで切断し、複製起点及び転写調節領域
等を含む約3.4KbpのDNA断片を分離精製した。
【0090】上記方法に従って得られた各3本のDNA
断片を、前記実施例3の方法に準じて、T4DNAリガ
ーゼを用いて連結し、E.coli K−12 JM1
03株のコンピテントセルに導入した。得られた形質転
換体の中より、目的のF4421発現ベクターpKF4
421(約3.9Kbp)又はF4137発現ベクター
pKF4137(約3.9Kbp)を有するクローン
を、制限酵素EcoRI、Xho I及びHind I
IIによる切断パターンの確認並びに転換体ポリペプチ
ドのN末置換部位周辺の塩基配列を調べることにより選
択した。
【0091】上記方法に従って構築した転換体発現ベク
ターは、発現誘導により、以下に示す変換を有する新規
生理活性ポリペプチドを大腸菌内に生産する。 ベクターpKF4421:配列表の配列番号1で示した
アミノ酸配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列
が配列番号7で示したアミノ酸配列で置換されたポリペ
プチドF4421をコードする。 ベクターpKF4137:配列表の配列番号1で示した
アミノ酸配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列
が配列番号8で示したアミノ酸配列で置換されたポポリ
ペプチドF4137をコードする。
【0092】実施例9(ヒトTNF転換体発現ベクター
pKF4113の構築) 転写プロモーターとしてtrpプロモーターを有し、翻
訳開始シグナル(SD配列)をタンデムに2つ並べ、転
写ターミネーターとしてrrnBTターミネータ
ーを有するプラスミドベクター(pSK407と命名)
を図9〜図11に示した方法に従って構築した。プラス
ミドベクターpGF101(約4.3Kbp、大阪大学
薬学部より分与)の5μgを、前記方法に準じて、ミデ
ィアム・ソルトバッファーに溶解し、10ユニットの制
限酵素Cla I(宝酒造)を添加することにより切断
した。この切断されたDNA断片を、前記実施例3の方
法に準じて、T4DNAポリメラーゼを用いて平滑化
し、エタノール沈殿操作後、NaClを添加しNaCl
濃度を175mMとしたハイ・ソルトバッファーに溶解
し、15ユニットの制限酵素Sal I(宝酒造)を添
加することにより切断した。前記実施例3の方法に準じ
て、アガロースゲル電気泳動(ゲル濃度1%)により約
4.0KbpのDNA断片を分離精製した。
【0093】一方、Casadabanら〔J.Bac
teriol.,143,971(1980)〕によっ
て開発されプラスミドpMC1403(約9.9Kb
p、京都大学ウィルス研究所より分与)の5μgを、前
記方法に準じて、制限酵素EcoR Iにより切断後、
上記方法と同様に、平滑化及び制限酵素Sal I切断
を行い、アガロースゲル電気泳動により約6.2Kbp
のDNA断片を分離精製した。前記実施例3の方法に準
じて、先に精製したDNA断片との間でT4DNAリガ
ーゼを用いて連結反応を行い、塩化カルシウム法により
作製したE.coli K−12 HB101株(京都
大学ウィルス研究所より分与)のコンピテントセルに導
入した。得られた形質転換体の中より、目的のtrpプ
ロモーター並びに制限酵素EcoR I及びBamH
I切断部位を含む約10.2Kbpのプラスミドベクタ
ー(pSK101と命名)を有するクローンを選択し
た。
【0094】上記で得られたプラスミドベクターpSK
101の5μgを2本のチューブにそれぞれ別々に、前
記方法に準じて、ハイ・ソルトバッファーに溶解し、制
限酵素EcoR I及びSal I並びに制限酵素Ba
mH I及びSal Iを添加することにより切断し、
アガロースゲル電気泳動により約4.0Kbp及び約
6.2KbpのDNA断片をそれぞれ分離精製した。一
方、ポータブル翻訳開始部位オリゴヌクレオチド(SD
−ATGリンカーと略し、翻訳開始シグナルSD配列及
び翻訳開始コドンATGを含む塩基数21のオリゴヌク
レオチド:カタログNo.27−4878−01及び2
7−4898−01ファルマシア・モレキュラー・バイ
オロジカルズ1985 May、ファルマシア社より入
手)の上下鎖(各100ng)を、前記実施例3の方法
に準じて、その5′末端のリン酸化及びアニール化に供
し、二本鎖DNA断片(21bp)とした。上記で得ら
れた3本のDNA断片を、前記方法に準じて、T4DN
Aリガーゼを用いて連結し、E.coli K−12H
B101株のコンピテントセルに導入した。得られた形
質転換体の中より、目的とするSD−ATGリンカーが
trpプロモーターの下流かつ制限酵素BamH I切
断部位の直前に挿入された約10.2Kbpのプラスミ
ドベクター(pSK211と命名)を有するクローンを
選択した。このプラスミドベクターは、trpプロモー
ターの下流にタンデムに並んだ2つのSD配列を持つこ
とになる。
【0095】このプラスミドベクターの制限酵素Sal
I切断部位を消失し、その近傍に制限酵素Hind
III切断部位を新生する目的で以下の操作を行った。
プラスミドベクターpSK211の5μgを前記方法に
準じて、制限酵素Sal Iにて切断後、T4DNポリ
メラーゼを用いて平滑化した。エタノール沈殿操作によ
り回収したDNA断片を制限酵素BamH Iで切断
し、アガロースゲル電気泳動により約4.0KbpのD
NA断片を分離精製した。一方、tacプロモーターを
有するプラスミドベクターpKK223−3(ファルマ
シア社)及びSD−ATGリンカー等を用い、前記のp
SK211を構築した方法に準じた組換えにより構築し
たプラスミドベクターpGFK503−1(約5.7K
bp)の5μgを、前記方法に準じて制限酵素Hind
IIIにて切断後、T4DNAポリメラーゼを用いて
平滑化した。エタノール沈殿操作により回収したDNA
断片を制限酵素BamH Iで切断し、アガロースゲル
電気泳動により約1.1KbpのDNA断片を分離精製
した。上記で精製した2本のDNA断片を、前記方法に
準じて、T4DNAリガーゼを用いて連結し、E.co
li K−12 HB101株のコンピテントセルに導
入した。得られた形質転換体の中より、目的の制限酵素
Sal I切断部位を欠きHind III切断部位を
新生したtrpプロモーターを含む約5.1Kbpのプ
ラスミドベクター(pSK301と命名)を有するクロ
ーンを選択した。
【0096】このプラスミドベクターpSK301の5
μgを、前記方法に準じて、ロウ・ソルトバッファーに
溶解し、5ユニットの制限酵素Bal I(宝酒造)を
添加して切断反応を行った。反応終了後、反応液のNa
Cl濃度を50mMとして制限酵素Hind IIIに
よる切断を行い、約4.3KbpのDNA断片をアガロ
ースゲル電気泳動により分離精製した。一方、プラスミ
ドベクターpKK223−3の5μgを、前記方法に準
じて、ハイ・ソルトバッファーに溶解し、制限酵素Hi
nd III及びSca Iで切断し、約0.8Kbp
のDNA断片をアガロースゲル電気泳動により分離精製
した。上記で精製した2本のDNA断片を、前記方法に
準じて、T4DNAリガーゼを用いて連結し、E.co
li K−12HB101株のコンピテントセルに導入
した。得られた形質転換体の中より、目的とするrrn
BTターミネーターがtrpプロモーターの下流
に配置されたプラスミドベクターpSK407(約5.
1Kbp)を有するクローンを選択した。
【0097】次に、2本のオリゴヌクレオチド(U−4
113及びL−4113)をデザインした。 U−4113(配列表の配列番号14、塩基数32) L−4113(塩基数32) U−4113に相補するものであるが、配列番号14の
1番目〜4番目の5′−GATC−3′に相補する塩基
配列は有さず、一方配列番号14の32番目のCに相補
するGに対しその5′側に5′−TCGA−3′を付加
された塩基配列を有する。
【0098】前記実施例2の方法に準じて化学合成し、
精製することにより作製し、得られたオリゴヌクレオチ
ド(各1μg)を前記実施例3の方法に準じて、その
5′末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いてリン
酸化の後、アニール化により二本鎖DNA断片(32b
p)とした。また、trpプロモーター及びrrnBT
ターミネーター等を有するプラスミドベクターp
SK407(約5.1Kbp)の5μgを、前記実施例
3の方法に準じて、ハイ・ソルトバッファーに溶解し制
限酵素BamH I及びHind IIIで切断し、複
製起点及び転写調節領域等を含む約4.0KbpのDN
A断片をアガロースゲル電気泳動(ゲル濃度1%)によ
り分離精製した。一方、前記実施例7(1)で得られた
プラスミドpUC119−F4104(約3.7Kb
p)の5μgを、実施例8の方法と同様に、制限酵素X
ho I及びHind IIIで切断し、N末端部分を
欠失したF4104遺伝子を含む約460bpのDNA
断片を分離精製した(図12)。
【0099】上記方法に従って得られた3本のDNA断
片を、前記実施例3の方法に準じて、T4DNAリガー
ゼを用いて連結し、E.coli K−12 HB10
1株のコンピテントセルに導入した。得られた形質転換
体の中より、目的の約4.5KbpのF4113発現ベ
クター(pKF4113と命名)を有するクローンを、
制限酵素BamH I、Xho I及びHind II
Iによる切断パターンの確認並びに転換体ポリペプチド
のN末端付加部位周辺の塩基配列を調べることにより選
択した。
【0100】上記方法に従って構築した転換体発現ベク
ターは、発現誘導により、以下に示す変換を有する新規
生理活性ポリペプチドを大腸菌内に生産する。 ベクターpKF4113:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号9で示したアミノ酸配列で置換されたポリペプチドF
4113をコードする。
【0101】実施例10(ヒトTNF転換体発現ベクタ
ーpKF4601及びpKF4602の構築) (1)プライマー4291及び同4292をデザインし
た。これらプライマーは配列番号10の193番目のC
から213番目のTまでの塩基配列を有し、202番目
〜204番目の5′−CCA−3′が、プライマー42
91の場合5′−GAT−3′により、プライマー42
92の場合5′−ATG−3′によりそれぞれ置換され
た21塩基からなるオリゴヌクレオチドである。
【0102】オリゴヌクレオチドの化学合成及び精製は
前記実施例2の方法に準じて行われた。これらプライマ
ー4291あるいは4292を用い、前記実施例5
(1)及び(2)の方法に準じて目的の変異導入DNA
を含むプラスミド(約3.7Kbp)を得た。ジデオキ
シ法によりデザイン通りの変換体DNAに変異している
ことを確認し、このプラスミドをpUC119−F42
91あるいはpUC119−F4292と命名した。変
異導入により得られた目的のヒトTNF変換体遺伝子を
実施例4のヒトTNF発現ベクターの構築方法に準じ
て、tacプロモーターを有する発現ベクターpKK1
01に組込みヒトTNF変換体発現ベクターを構築し
た。ヒトTNF変換体遺伝子(約480bp)は、上記
で得られた約3.7KbpのプラスミドpUC119−
F4291あるいはpUC119−F4292より、前
記の方法に準じて、制限酵素EcoRI及びHind
IIIによる切断後分離精製した。目的とするヒトTN
F変換体発現ベクターpKF4291あるいはpKF4
292(約3.9Kbp)は、ヒトTNF発現ベクター
(pKF4102)と同様、宿主としてE.coli
K−12 JM103株を用いて取得した。
【0103】(2)図8に従って説明する。前記実施例
5で得られたヒトTNF転換体発現ベクターpKF41
68(約3.9Kbp)の5μgを、前記実施例3の方
法に準じて、ミディアム・ソルトバッファーに溶解し、
制限酵素Sac I及びHind IIIで切断し、複
製起点及び転写調節領域等を含む約3.5KbpのDN
A断片をアガロースゲル電気泳動(ゲル濃度1%)によ
り分離精製した。一方、前記(1)で得られたヒトTN
F変換体発現ベクターpKF4291又はpKF429
2の5μgを、前記と同様にして、制限酵素Sac I
及びHind IIIで切断し、N末部分を欠失したヒ
トTNF変換体遺伝子を含む約360bpのDNA断片
を分離精製した。
【0104】上記得られた2本のDNA断片を、前記実
施例3の方法に準じて、T4DNAリガーゼを用いて連
結し、E.coli K−12 JM103株のコンピ
テント セルに導入した。得られた形質転換体の中よ
り、目的のF4601又はF4602発現ベクターpK
F4601又はpKF4602(約3.9Kbp)を有
するクローンを、制限酵素Sac I及びHind I
IIによる切断パターンの確認並びに変換体ポリペプチ
ド由来の変換部位周辺の塩基配列を調べることにより選
択した。
【0105】上記方法に従って構築した転換体発現ベク
ターは、発現誘導により、以下に示す変換を有する新規
生理活性ポリペプチドを大腸菌内に生産する。 ベクターpKF4601:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号2で示したアミノ酸配列で置換され、68番目のPr
oがAspに変換されたポリペプチドF4601をコー
ドする。 ベクターpKF4602:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号2で示したアミノ酸配列で置換され、68番目のPr
oがMetに変換されたポリペプチドF4602をコー
ドする。
【0106】上記発現ベクターを有する各宿主大腸菌
が、抗腫瘍活性を示すポリペプチドを発現生産すること
を、超音波破砕処理した大腸菌懸濁液の遠心上清(遠心
分離操作後の上清画分)について、後記実施例14の方
法に準じて試験することにより確認した。
【0107】実施例11(ヒトTNF転換体発現ベクタ
ーpKF4607、pKF4608、pKF4626、
pKF4627、pKF4634、pKF4635、p
KF4609、pKF4610、pKF4628、pK
F4629、pKF4638及ひpKF4639の構
築) (1)プライマー4268、同4150、同4222、
同4267、同4123及び同4223をデザインし
た。プライマー4268は配列番号10の301番目の
Aから333番目のCまでの塩基配列を有し、316番
目〜318番目の5′−GGC−3′が欠失された30
塩基からなるオリゴヌクレオチドである。一方、他のプ
ライマーは配列番号10の307番目のAから327番
目のCまでの塩基配列を有し、316番目〜318番目
の5′−GGC−3′が、プライマー4150の場合
5′−TGG−3′により、プライマー4222の場合
5′−CCC−3′により、プライマー4267の場合
5′−GCT−3′により、プライマー4123の場合
5′−GAC−3′により、プライマー4223の場合
5′−CGC−3′によりそれぞれ置換された21塩基
からなるオリゴヌクレオチドである。
【0108】オリゴヌクレオチドの化学合成及び精製は
前記実施例2の方法に準じて行った。これらのプライマ
ーを用い、前記実施例5(1)及び(2)の方法に準じ
て目的の変異導入DNAを含むプラスミド(約3.7K
bp)を得た。ジデオキシ法によりデザイン通りの変換
体DNAに変異していることを確認し、このプラスミド
をpUC119−F4268、pUC119−F415
0、pUC119−F4222、pUC119−F42
67、pUC119−F4123あるいはpUC119
−F4223と命名した。変異導入により得られた目的
のヒトTNF変換体遺伝子を実施例4のヒトTNF発現
ベクターの構築方法に準じて、tacプロモーターを有
する発現ベクターpKK101に組込み、ヒトTNF変
換体発現ベクターを構築した。ヒトTNF変換体遺伝子
(約480bp)は、上記で得られた約3.7Kbpの
プラスミドより、前記の方法に準じて、制限酵素Eco
RI及びHind IIIによる切断後分離精製した。
目的とするヒトTNF変換体発現ベクターpKF426
8、pKF4150、pKF4222、pKF426
7、pKF4123あるいはpKF4223(約3.9
Kbp)は、ヒトTNF発現ベクター(pKF102)
と同様、宿主としてE.coli K−12JM103
株を用いて取得した。
【0109】(2)前記実施例10(2)の方法に準じ
て、前記実施例5で得られたヒトTNF転換体発現ベク
ターpKF4168(約3.9Kbp)の5μgを、制
限酵素Sac I及びHind IIIで切断し、複製
起点及び転写調節領域等を含む約3.5KbpのDNA
断片を分離精製した。一方、前記(1)で得られたヒト
TNF変換体発現ベクターpKF4268、pKF41
50、pKF4222、pKF4267、pKF412
3又はpKF4223の5μgを、前記と同様にして、
制限酵素Sac I及びHind IIIで切断し、N
末部分を欠失したヒトTNF変換体遺伝子を含む約36
0bpのDNA断片を分離精製した。
【0110】上記で得られた2本のDNA断片を、前記
実施例3の方法に準じてT4DNAリガーゼを用いて連
結し、E.coli K−12 JM103株のコンピ
テントセルに導入した。得られた形質転換体の中より、
目的のF4607、F4608、F4626、F462
7、F4634又はF4635、発現ベクターpKF4
607、pKF4608、pKF4626、pKF46
27、pKF4634又はpKF4635(約3.9K
bp)を有するクローンを、制限酵素SacI及びHi
nd IIIによる切断パターンの確認並びに変換体ポ
リペプチド由来の変換部位周辺の塩基配列を調べること
により選択した。上記方法に従って構築した転換体発現
ベクターは、発現誘導により、以下に示す変換を有する
新規生理活性ポリペプチドを大腸菌内に生産する。
【0111】ベクターpKF4607:配列番号1で示
したアミノ酸配列において、1番目〜8番目のアミノ酸
配列が配列番号2で示したアミノ酸配列で置換され、1
06番目のGlyが欠失されたポリペプチドF4607
をコードする。 ベクターpKF4608:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号2で示したアミノ酸配列で置換され、106番目のG
lyがTrpに変換されたポリペプチドF4608をコ
ードする。 ベクターpKF4626:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号2で示したアミノ酸配列で置換され、106番目のG
lyがProに変換されたポリペプチドF4626をコ
ードする。 ベクターpKF4627:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号2で示したアミノ酸配列で置換され、106番目のG
lyがAlaに変換されたポリペプチドF4627をコ
ードする。 ベクターpKF4634:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号2で示したアミノ酸配列で置換され、106番目のG
lyがAspに変換されたポリペプチドF4634をコ
ードする。 ベクターpKF4635:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号2で示したアミノ酸配列で置換され、106番目のG
lyがArgに変換されたポリペプチトF4635をコ
ードする。 上記発現ベクターを有する各宿主大腸菌が、抗腫瘍活性
を示すポリペプチドを発現生産することを、超音波破砕
処理した大腸菌懸濁液の遠心上清(遠心分離操作後の上
清画分)について、後記実施例14の方法に準じて試験
することにより確認した。
【0112】(3)前記実施例6で得られたヒトTNF
転換体発現ベクターpKF4418(約3.9Kbp)
の5μgを、前記実施例3の方法に準じて、ミディアム
・ソルトバッファーに溶解し制限酵素Sac I及びH
ind IIIで切断し、複製起点及び転写調節領域等
を含む約3.5KbpのDNA断片をアガロースゲル電
気泳動(ゲル濃度1%)により分離精製した。一方、前
記(1)で得られたヒトTNF変換体発現ベクターpK
F4268、pKF4150、pKF4222、pKF
4267、pKF4123又はpKF4223の5μg
を、前記と同様にして、制限酵素Sac I及びHin
d IIIで切断し、N末部分を欠失したヒトTNF変
換体遺伝子を含む約360bpのDNA断片を分離精製
した。
【0113】上記で得られた2本のDNA断片を、前記
実施例3の方法に準じてT4DNAリガーゼを用いて連
結し、E.coli K−12 JM103株のコンピ
テントセルに導入した。得られた形質転換体の中より、
目的のF4609、F4610、F4628、F462
9、F4638又はF4639の各発現ベクターpKF
4609、pKF4610、pKF4628、pKF4
629、pKF4638又はpKF4639(約3.9
Kbp)を有するクローンを、制限酵素SacI及びH
ind IIIによる切断パターンの確認並びに変換体
ポリペプチド由来の変換部位周辺の塩基配列を調べるこ
とにより選択した。上記方法に従って構築した転換体発
現ベクターは、発現誘導により、以下に示す変換を有す
る新規生理活性ポリペプチドを大腸菌内に生産する。
【0114】ベクターpKF4609:配列番号1で示
したアミノ酸配列において、1番目〜8番目のアミノ酸
配列が配列番号6で示したアミノ酸配列で置換され、1
06番目Glyが欠失されたポリペプチドF4609を
コードする。 ベクターpKF4610:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号6で示したアミノ酸配列で置換され、106番目のG
lyがTrPに変換されたポリペプチドF4610をコ
ードする。 ベクターpKF4628:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号6で示したアミノ酸配列で置換され、106番目のG
lyがProに変換されたポリペプチドF4628をコ
ードする。 ベクターpKF4629:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号6で示したアミノ酸配列で置換され、106番目のG
lyがAlaに変換されたポリペプチドF4629をコ
ードする。 ベクターpKF4638:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号6で示したアミノ酸配列で置換され、106番目のG
lyがAspに変換されたポリペプチドF4638をコ
ードする。 ベクターpKF4639:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号6で示したアミノ酸配列で置換され、106番目のG
lyがArgに変換されたポリペプチドF4639をコ
ードする。 上記発現ベクターを有する各宿主大腸菌が、抗腫瘍活性
を示すポリペプチドを発現生産することを、超音波破砕
処理した大腸菌懸濁液の遠心上清(遠心分離操作後の上
清画分)について、後記実施例14の方法に準じて試験
することにより確認した。
【0115】実施例12(ヒトTNF転換体発現ベクタ
ーpKF4611、pKF4612、pKF4613、
pKF4614、pKF4615、pKF4642、p
KF4643、pKF4644、pKF4645及びp
KF4646の構築) (1)プライマー4134、同4391、同4392、
同4409及び同4410をデザインした。これらのプ
ライマーは配列番号10の76番目のTから96番目の
Tまでの塩基配列を有し、85番目〜87番目の5′−
CGC−3′が、プライマー4134の場合5′−CA
A−3′により、プライマー4391の場合5′−AA
G−3′によりプライマー4392の場合5′−GAC
−3′により、プライマー4409の場合5′−GTC
−3′により、プライマー4410の場合5′−CTC
−3′によりそれぞれ置換された21塩基からなるオリ
ゴヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドの化学合成
及び精製は前記実施例2の方法に準じて行った。
【0116】(2)前記実施例5(1)において、pU
C119−hTNFの替りに実施例5で得られたpUC
119−F4168を用いて目的の一本鎖プラスミドD
NAを調製した。次に、このpUC119−F4168
のウラシルを含む一本鎖プラスミドDNA及び前記
(1)で精製したプライマー4134、同4391、同
4392、同4409又は同4410を用いて、前記実
施例5(2)の方法に準じて、部位特異的変異導入を行
い、目的の変異が導入されたDNAを含むプラスミド
(約3.7Kbp)を取得した。ジデオキシ法によりデ
ザイン通りの変異が導入されていることを確認し、これ
らのプラスミドをpUC119−F4611、pUC1
19−F4612、pUC119−F4613、pUC
119−F4614又はpUC119−F4615と命
名した。
【0117】変異導入により得られた目的のヒトTNF
転換体遺伝子を、実施例4のヒトTNF発現ベクターの
構築方法に準じて、tacプロモーターを有する発現ベ
クターpKK101に組込みヒトTNF転換体発現ベク
ターを構築した。ヒトTNF転換体遺伝子(約480b
p)は、上記で得られた約3.7Kbpのプラスミドp
UC119−F4611、pUC119−F4612、
pUC119−F4613、pUC119−F4614
又はpUC119−F4615より、前記方法に準じ
て、制限酵素EcoR I及びHind IIIによる
切断後分離精製した。目的とするヒトTNF転換体発現
ベクターpKF4611、pKF4612、pKF46
13、pKF4614又はpKF4615(約3.9K
bp)は、ヒトTNF発現ベクター(pKF4102)
と同様、宿主としてE.coliK−12 JM103
株を用いて取得した。上記転換体発現ベクターは、発現
誘導により、以下に示す変換を有する新規生理活性ポリ
ペプチドを大腸菌内に生産する。
【0118】ベクターpKF4611:配列番号1で示
したアミノ酸配列において、1番目〜8番目のアミノ酸
配列が配列番号2で示したアミノ酸配列で置換され、2
9番目のArgがGlnに変換されたポリペプチドF4
611をコードする。 ベクターpKF4612:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号2で示したアミノ酸配列で置換され、29番目のAr
gがLysに変換されたポリペプチドF4612をコー
ドする。 ベクターpKF4613:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号2で示したアミノ酸配列で置換され、29番目のAr
gがAspに変換されたポリペプチドF4613をコー
ドする。 ベクターpKF4614:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号2で示したアミノ酸配列で置換され、29番目のAr
gがValに変換されたポリペプチドF4614をコー
ドする。 ベクターpKF4615:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号2で示したアミノ酸配列で置換され、29番目のAr
gがLeuに変換されたポリペプチドF4615をコー
ドする。 上記発現ベクターを有する各宿主大腸菌が、抗腫瘍活性
を示すポリペプチドを発現生産することを、超音波破砕
処理した大腸菌懸濁液の遠心上清(遠心分離操作後の上
清画分)について、後記実施例14の方法に準じて試験
することにより確認した。
【0119】(3)前記(2)において、pUC119
−F4168の替りに実施例6で得られたpUC119
−F4418を用いてウラシルを含む一本鎖プラスミド
DNAを調製し、前記(2)と同様にして、部位特異的
変異導入を行い、目的の変異が導入されたDNAを含む
プラスミドpUC119−F4642、pUC119−
F4643、pUC119−F4644、pUC119
−F4645又はpUC119−F4646(約3.7
Kbp)を取得した。上記で得られた目的のヒトTNF
転換体遺伝子(約480bp)を含むプラスミドを用い
て、前記(2)と同様にして、目的とするヒトTNF転
換体発現ベクターpKF4642、pKF4643、p
KF4644、pKF4645又はpKF4646(約
3.9Kbp)を構築した。その際、E.coli K
−12JM103株を宿主として用いた。上記転換体発
現ベクターは、発現誘導により、以下に示す変換を有す
る新規生理活性ポリペプチドを大腸菌内に生産する。
【0120】ベクターpKF4642:配列番号1で示
したアミノ酸配列において、1番目〜8番目のアミノ酸
配列が配列番号6で示したアミノ酸配列で置換され、2
9番目のArgがGlnに変換されたポリペプチドF4
642をコードする。 ベクターpKF4643:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号6で示したアミノ酸配列で置換され、29番目のAr
gがLysに変換されたポリペプチドF4643をコー
ドする。 ベクターpKF4644:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号6で示したアミノ酸配列で置換され、29番目のAr
gがAspに変換されたポリペプチドF4644をコー
ドする。 ベクターpKF4645:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号6で示したアミノ酸配列で置換され、29番目のAr
gがValに変換されたポリペプチドF4645をコー
ドする。 ベクターpKF4646:配列番号1で示したアミノ酸
配列において、1番目〜8番目のアミノ酸配列が配列番
号6で示したアミノ酸配列で置換され、29番目のAr
gがLeuに変換されたポリペプチドF4646をコー
ドする。 上記発現ベクターを有する各宿主大腸菌が、抗腫瘍活性
を示すポリペプチドを発現生産することを、超音波破砕
処理した大腸菌懸濁液の遠心上清(遠心分離操作後の上
清画分)について、後記実施例14の方法に準じて試験
することにより確認した。
【0121】実施例13(ヒトTNF及び同転換体ポリ
ペプチドの大腸菌による発現及び精製) 実施例4で得られたヒトTNF発現ベクター(pKF4
102)及び実施例5、6、7、8、10及び11で得
られたヒトTNF転換体発現ベクター(pKF416
8、pKF4415、pKF4416、pKF441
7、pKF4418、pKF4420、pKF442
1、pKF4137、pKF4601、pKF4609
及びpKF4639)を有するE.coli K−12
JM103株を、25〜50μg/mlアンピシリン
及び0.001%ビタミンB1を含むM9培地(0.6
%NaHPO、0.3%KHPO、0.05%
NaCl、0.1%NHCl、2mM MgSO
0.2%グルコース及び0.1mM Cacl)20
mlに接種し、37℃、18時間振とう培養を行った。
この培養液20mlを上記培地1リットル中に加え、3
7℃、2〜3時間振とう培養を行った。次いで、イソプ
ロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)
を最終濃度1mMとなるように添加し、更に37℃、1
8時間振とう培養を続けた。
【0122】実施例9で得られたヒトTNF転換体発現
ベクター(pKF4113)を有するE.coli K
−12 HB101株については、25〜50μg/m
lアンピシリン、0.001%ビタミンB1及び5μg
/mlトリプトファンを含むM9CA培地(0.6%N
HPO、0.3%KHPO、0.05%Na
Cl、0.1%NHCl、2mM MgSO、0.
2%グルコース、0.1mM CaCl及び0.2%
カザミノ酸)20mlに接種し、37℃、18時間振と
う培養を行った。5μg/mlトリプトファンを含まな
い上記培地1リットル中にこの培養液20mlを加え、
37℃、18時間振とう培養を行った。
【0123】遠心分離操作による大腸菌菌体の回収後、
TPバッファー(10mMトリス−HCl pH8.0
及び100μM PMSF)を用いて菌体の洗浄を行っ
た。洗浄後、菌体の湿重量(グラム)当たり10容量
(ml)のTPバッファーに菌体を懸濁させ、超音波発
生装置(ヒート・システムズ;モデル W−225)を
用いて菌体を超音波破砕処理した。得られた懸濁液を遠
心分離することにより、菌体残渣を除去し上清画分を回
収した。この超音波破砕処理以降の精製工程は、主に低
温下(0℃〜4℃)で行った。
【0124】この上清を0.45μmフィルターにてろ
過した後、セパビーズ FP−DA13(三菱化成)を
用いた陰イオン交換クロマトグラフィー(カラムサイ
ズ:φ2.5×1.5cm及び流速:0.5ml/分)
で分画し、後記SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動及びL929細胞を用いた後記実施例14の方法に準
じて活性の有無を検定することによって活性画分を得
た。溶出にはNaClを含むTPバッファーを用い、N
aCl濃度を0.05Mから0.1M、0.2M、0.
5Mへと段階的に上げ、ヒトTNF転換体F4639は
0.05M NaClで、ヒトTNF(1)は0.1M
NaClで、ヒトTNF(2)、ヒトTNF転換体F
4415、同F4417、同F4418、同F442
0、同F4601及び同F4609は0.2M NaC
lで並びにヒトTNF転換体F4168は0.5M N
aClでそれぞれ溶出した。更に大腸菌菌体由来のエン
ドトキシン等を除去するために、核酸・エンドトキシン
除去剤C−9(栗田工業製造、大日本製薬販売)処理を
添付マニュアルに準じて行った。かくして、ヒトTNF
及び同転換体ポリペプチドの一段階精製試料を得た。
【0125】この試料を使用して、後記実施例14、1
5及び16の抗腫瘍活性の評価及び実験的肺転移に及ぼ
す効果の評価を行った。なお、転換体ポリペプチドF4
416、F4421及びF4137については使用した
宿主大腸菌E.coli K−12 JM103 株中
並びにF4113については使用した宿主大腸菌E.c
oli K−12 HB101 株中での不安定性のた
めか、活性画分を得ることができなかった。しかしなが
ら他の宿主を使用すれば活性画分を得られる可能性があ
る。
【0126】上記試料を0.20μmフィルターにてろ
過した後、FPLCシステムによる制御下のモノQ(登
録商標)(HR10/10及びHR5/5)プレパック
カラム(ファルマシアLKBバイオテクノロジー社製)
を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーで、NaCl
を含むTPQバッファー(20mMトリス−HClpH
8.0及び10μM PMSF)によって溶出し、分画
を後記SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びL
929細胞を用いた実施例14の方法に準じて活性の有
無を検定することによって活性画分を得た。溶出方法
は、FPLCシステムの制御下で下記プログラムに従っ
て行った。第3ステップは、精製純度を上げるためにS
DS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動において単一バ
ンドとなるまで数回繰り返した。
【0127】第1ステップ:モノQ(登録商標)(HR
10/10)カラム使用 (流速:4ml/分) 0〜5分;0−0.2M NaCl直線濃度勾配 5〜16分;0.2M NaCl 16〜20分;0.2−0.5M NaCl直線濃度勾
配 20〜24分;0.5M NaCl 上記方法に従った活性画分の分画結果(NaCl濃度及
び保持時間)は、ヒトTNF(1)が0.2M、6.6
分、ヒトTNF(2)が0.2M、5.6分、ヒトTN
F転換体F4168が0.2M、6.4分、同F441
5が0.2M、7.8分、同F4417が0.2M、
5.4分、同F4418が0.2M、5.4分、同F4
420が0.18M、4.1分、同F4601が0.2
M、7.0分、同F4609が0.2M、5.0分及び
同F4639が0.14M、3.1分であった。
【0128】第2ステップ:モノQ(登録商標)(HR
5/5)カラム使用 (流速:1ml/分) 0〜2.5分;0−0.2M NaCl直線濃度勾配 2.5〜8分;0.2M NaCl 8〜10分;0.2−0.5M NaCl直線濃度勾配 10〜12分;0.5M NaCl 上記方法に従った活性画分の分画結果(NaCl濃度及
び保持時間)は、ヒトTNF(1)が0.2M、3.7
分、ヒトTNF(2)が0.2M、4.1分、ヒトTN
F転換体F4168が0.2M、3.9分、同F441
5が0.2M、6.0分、同F4417が0.2M、
3.9分、同F4418が0.2M、3.3分、同F4
420が0.2M、3.2分及び同F4601が0.2
M、4.9分、同F4609が0.2M、3.2分、同
F4639が非吸着画分であった。
【0129】第3ステップ:モノQ(登録商標)(HR
5/5)カラム使用 (流速:1ml/分) 0〜6分;0−0.15M NaCl直線濃度勾配 6〜11分;0.15−0.2M NaCl直線濃度勾
配 11〜13分;0.2−0.5M NaCl直線濃度勾
配 13〜15分;0.5M NaCl 上記方法に従った活性画分の分画結果(NaCl濃度及
び保持時間)は、ヒトTNF(1)が0.16M、6.
5分、ヒトTNF(2)が0.16M、6.5分、ヒト
TNF転換体F4168が0.17M、6.7分、同F
4415が0.16M、6.4分、同F4417が0.
16M、6.5分、同F4418が0.16M、6.2
分、同F4420が0.15M、5.6分、同F460
1が0.19M、9.8分、同F4609が0.15
M、5.7分及び同F4639が非吸着画分であった。
【0130】かくしてヒトTNF及び同転換体ポリペプ
チドの精製試料を得た。この試料を使用して後記実施例
14の抗腫瘍活性の評価を行った。
【0131】上記精製の過程及び精製試料についてSD
S−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、ヒトTN
F及び同転換体ポリペプチドの発現及び精製の確認をし
た。各試料を10mM DTTを含有するLaemml
i’sサンプル・バッファー(62.5mMトリス−H
Cl pH6.8、2%SDS、0.01%BPB及び
10%グリセロール)に加え、Laemmli〔Nat
ure,227,680(1970)〕の方法に準じ、
15%の分離用ゲルを用いて電気泳動を行った。電気泳
動終了後、分離用ゲル中の蛋白質をクマシー・ブリリア
ント・ブルーで染色することにより確認した。図13、
14及び15にその結果の一部を示した。活性画分を得
ることのできたヒトTNF及び同転換体ポリペプチドの
それぞれの発現ベクターによる発現量はほぼ同程度であ
り、得られた染色ゲルをクロマト・スキャナー(島津、
CS−920型)にかけてその発現効率を算出したとこ
ろ、大腸菌総菌体蛋白質の約20%であった。また、最
終精製試料は、得られた染色ゲルにおいて単一バンドで
あった。その泳動位置より、ヒトTNF及び同転換体ポ
リペプチドの分子量を算出し表1に示した。
【0132】なお、蛋白質の物性の一つとして、ヒトT
NF及び同転換体ポリペプチドの等電点をアンフォライ
ン(LKB社製)を用いた等電点ゲル電気泳動法により
測定し、得られた結果を表1に示した。
【0133】
【表1】
【0134】実施例14(in vitro抗腫瘍活性
の評価) 実施例13で得られたヒトTNF及び同転換体ポリペプ
チドの一段階精製試料及び精製試料について、マウス由
来結合組織細胞L929(ATCC CCL1)に対す
る細胞傷害活性をAggarwalら〔J. Bio
l.Chem.,260,2345(1985)〕の方
法に準じて求めた。すなわち、96ウエルの組織培養用
のマイクロプレート(コーニング社製)に3×10
胞/0.1ml/ウエルでL929細胞を植え、5%炭
酸ガス存在下37℃で一晩培養した。培地としては、1
0%のウシ胎児血清を含むDulbeccoによって修
飾されたイーグルのミニマム・エッセンシャル培地(D
ME培地、シグマ社製)を用いた。翌日、最終濃度1μ
g/mlのアクチノマイシンDを添加した上記培地に培
地を交換し、この培地にて段階希釈した試料を各ウエル
に処理した(総培地量0.1ml)。更に20時間の培
養後、0.5%クリスタル・バイオレット溶液(0.5
%クリスタル・バイオレット/20%メタノール)にて
プレートに付着した生細胞を染色(室温、15分間)し
た。1mM CaCl及び1mM MgClを含む
リン酸バッファーPBS(10mM Na・Kリン酸塩
pH7.4、0.8%NaCl及び0.02%KCl)
で充分洗浄した後、30%エタノールを含む0.01N
塩酸溶液0.1mlを用いてプレートに残ったクリスタ
ル・バイオレットを抽出し、その吸光度(492nm)
をEIAリーダー(バイオ・ラド社製、モデル255
0)で測定した。この吸光度は生存細胞数に比例する。
そこで、試料無処理ウエルの吸光度の50%の値に相当
する吸光度を示すウエルにおける試料の最終希釈率を求
め、この試料希釈率の逆数をその試料の1ml当りのユ
ニット数〔ユニット/ml〕と定義する。
【0135】上記方法に準じて求めたL929細胞傷害
活性(ユニット/ml)から各試料の比活性(ユニット
/mg・蛋白)を算出するために、各試料の蛋白定量を
行った。定量はBradford法〔Anal.Bio
chem.,72,248(1976)〕に準じ、標準
試料としてウシ血清アルブミンを用いて蛋白濃度(mg
/ml)を求めた。これらの結果より、ヒトTNF及び
同転換体ポリペプチド試料について算出した比活性を表
2に示した。
【0136】
【表2】
【0137】上記表2から、本発明のヒトTNF転換体
ポリペプチドは、ヒトTNFと同様、マウス由来結合組
織細胞L929に対する細胞傷害活性作用を有すること
がわかる。
【0138】実施例15(in vivo抗腫瘍活性の
評価) 実施例13で得られたヒトTNF及び同転換体ポリペプ
チドの一段階精製試料について、マウス可移植線維芽肉
腫MethA腫瘍に対する抗腫瘍治療活性を求めた。試
験は、生理食塩水に懸濁した1×10細胞/0.2m
lのMethA腫瘍細胞(佐々木研究所より分与)をB
ALB/cマウス(雄、5週令、チャールズ・リバー)
の背中部皮下に移植し、8日後腫瘍径が6〜10mmに
達したのを確認し、生理食塩水にて段階希釈した試料
(0.2ml/マウス)を尾静脈より投与することによ
り行った。致死量を最高投与量とし、数段階の希釈によ
り各投与試料を作製した。
【0139】投与後約2週間、腫瘍増殖等の観察を続け
た。腫瘍増殖については、腫瘍容積(腫瘍塊の長径×短
/2)を計測し、試料投与日(0日)の腫瘍容積に
対する腫瘍容積率を求め、この値が2又は5となる試料
投与日からの日数(D2又はD5)を算定する。そし
て、コントロール群(生理食塩水投与)に対する比率を
算出し、D2%コントロール値及びD5%コントロール
値を求めた。その値が大きい程、腫瘍増殖能が低下して
おり高い抗腫瘍活性を示すことを意味する。上記に準じ
て得られた結果を表3及び表4に掲載した。
【0140】
【表3】
【0141】
【表4】
【0142】表3及び表4から、本発明のヒトTNF転
換体ポリペプチドは、ヒトTNFと同様、マウスに移植
のMethA腫瘍に対する抗腫瘍治療活性作用を有する
ことがわかる。
【0143】実施例16(腫瘍の肺転移に及ぼす効果) B16F10マウス悪性黒色腫細胞(千葉大 医学部よ
り分与)を以下の方法でクローン化することにより、肺
に対して高転移性を示すクローンを樹立した。すなわ
ち、イーグルのミニマム・エッセンシャル培地(MEM
培地、日水製薬社製)に懸濁した2×10細胞/0.
2mlのB16F10細胞をC57BL/6NCrjマ
ウス(雌、6週令、チャールズ・リバー)の尾静脈内に
注入し、14日後に肺を摘出した。DME培地で洗浄
後、肺表面に形成された直径1mm程度の転移結節の1
つを26G注射針付シリンジ(テルモ社製)を用いて吸
引し、1mlのDME培地に懸濁した後、10%のウシ
胎児血清を含むDME培地含有軟寒天上で、5%炭酸ガ
ス存在下37℃で培養することによりコロニー形成を行
った。このコロニー形成法は、「組織培養の技術」(ペ
ージ35〜36、1984年、日本組織培養学会編、朝
倉書店)記載の方法に準じた。10〜12日後、コロニ
ーの径が1〜2mmに達したところでパスツールピペッ
トを用いてコロニーを吸引し、10%のウシ胎児血清を
含むDME培地中にて培養した。培養後、増殖した細胞
を再びMEM培地を用いて2×10細胞/0.2ml
の細胞濃度に調製し、上記の場合と同様、同マウスの尾
静脈内に注入した。14日後に肺を摘出し、前回と同様
にして、転移結節の1つを単離・培養した。このような
操作を5回繰り返し、肺に高転移性を示すクローン(B
16F10/L5と命名)を獲得した。
【0144】10%のウシ胎児血清を含むDME培地中
で直径10cmの組織培養用ディッシュ〔コーニング
(登録商標)岩城硝子社製〕を用いて培養した対数増殖
期のB16F10/L5細胞を、ディッシュ付着状態で
リン酸バッファーPBSを用いて1回洗浄し、MEM培
地5mlを加えピペッティングを行うことにより細胞懸
濁液とした。遠心分離操作により細胞を集め、2mlの
MEM培地に再懸濁した。一方、実施例13で得られた
ヒトTNF及び同転換体ポリペプチドの一段階精製試料
を、所定の濃度(実施例15の抗腫瘍治療試験におい
て、治療効果を示した投与量を本試験の投与量として使
用した。)になるようにMEM培地で希釈し、その溶液
中に先に調製したB16F10/L5細胞懸濁液を添加
することにより、2×10細胞/0.2mlの各一段
階精製試料を含む細胞懸濁液を調製した。この細胞懸濁
液をC57BL/6NCrjマウス(雌、6週令)の尾
静脈より投与した(0.2ml/マウス)。コントロー
ル群はB16F10/L5細胞のみを投与した。投与1
4日後に肺を摘出し、肺表面の転移結節数を計測した。
上記に準じて得られた結果を表5及び表6に掲載した。
【0145】
【表5】
【0146】
【表6】
【0147】表5及び表6から、ヒトTNF及び同変換
体ポリペプチドが実験的肺転移を亢進する作用を有する
のに対し、そのN末端近傍にArg−Gly−Asp配
列を導入した本発明のヒトTNF転換体ポリペプチドは
実験的肺転移を亢進しないことがわかる。
【0148】
【発明の効果】本発明によれば、ヒトTNF又はその変
換体において、配列表の配列番号1の1番目のSerか
ら8番目のAspまでのアミノ酸配列あるいはそれに対
応するヒトTNF変換体のアミノ酸配列がArg−Gl
y−Asp配列を少なくとも1個含み、かつ、3個〜1
6個のアミノ酸を含むアミノ酸配列により置換されるこ
とにより、ヒトTNF又はその変換体と同様の抗腫瘍活
性作用を有し、一方それらで認められた癌転移の亢進作
用を示さない新規なヒトTNF転換体が提供される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】合成オリゴヌクレオチドの連結によるヒトTN
F遺伝子の構築過程を示す工程図である。
【図2】合成オリゴヌクレオチドの連結によるヒトTN
F遺伝子の構築過程を示す工程図である。
【図3】発現型プラスミドベクターの構築過程を示す工
程図である。
【図4】ヒトTNF発現ベクターの構築過程を示す工程
図である。
【図5】部位特異的変異法によるヒトTNF変換体又は
同転換体遺伝子の作製過程を示す工程図である。
【図6】部位特異的変異法によるヒトTNF変換体又は
同転換体遺伝子の作製過程を示す工程図である。
【図7】制限酵素切断部位を利用する遺伝子組換えによ
るヒトTNF転換体発現ベクターの構築過程を示す工程
図である。
【図8】制限酵素切断部位を利用する遺伝子組換えによ
るヒトTNF転換体発現ベクターの構築過程を示す工程
図である。
【図9】発現型プラスミドベクターの構築過程を示す工
程図である。
【図10】発現型プラスミドベクターの構築過程を示す
工程図である。
【図11】発現型プラスミドベクターの構築過程を示す
工程図である。
【図12】制限酵素切断部位を利用する遺伝子組換えに
よるヒトTNF転換体発現ベクタ一の構築過程を示す工
程図である。
【図13】大腸菌により発現されたヒトTNF及び同転
換体ポリペプチドの精製試料の電気泳動結果を示す図で
ある。
【図14】大腸菌により発現されたヒトTNF転換体ポ
リペプチドの精製試料の電気泳動結果を示す図である。
【図15】大腸菌により発現されたヒトTNF転換体ポ
リペプチドの精製試料の電気泳動結果を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12P 21/02 A61K 37/02 //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 青山 義行 滋賀県草津市西渋川二丁目3番1号 石 原産業株式会社 中央研究所内 (72)発明者 四釜 洋 滋賀県草津市西渋川二丁目3番1号 石 原産業株式会社 中央研究所内 (56)参考文献 特表 昭62−501608(JP,A) 国際公開88/6625(WO,A2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/28 A61P 35/00 A61K 38/19 C07K 14/525 C12N 1/21 C12P 21/02 BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG)

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列表の配列番号1で示した1番目のS
    erから155番目のLeuまでで表わされるアミノ酸
    配列を有する腫瘍壊死因子ポリペプチド又はその変換体
    において、前記配列番号1の1番目のSerから8番目
    のAspまでのアミノ酸配列あるいはそれに対応する前
    記変換体のアミノ酸配列がArg−Gly−Aspのア
    ミノ酸配列を少なくとも1個含み、かつ、3個〜16個
    のアミノ酸を含むアミノ酸配列により置換されているこ
    とを特徴とするポリペプチド。
  2. 【請求項2】 前記Arg−Gly−Aspのアミノ酸
    配列を少なくとも1個含み、かつ、3個〜16個のアミ
    ノ酸を含むアミノ酸配列がArg−Gly−Aspであ
    るかあるいは配列表の配列番号2、3、4、5、6、
    7、8又は9で示したアミノ酸配列である請求項1記載
    のポリペプチド。
  3. 【請求項3】 前記Arg−Gly−Aspのアミノ酸
    配列を少なくとも1個含み、かつ、3個〜16個のアミ
    ノ酸を含むアミノ酸配列がArg一Gly−Aspであ
    るかあるいは配列表の配列番号2、3、5又は6である
    請求項1記載のポリペプチド。
  4. 【請求項4】 前記腫瘍壊死因子ポリペプチド又はその
    変換体が、配列表の配列番号1で示した9番目のLys
    から155番目のLeuまでで表わされるアミノ酸配列
    あるいは当該アミノ酸配列の29番目のArg、68番
    目のPro又は106番目のGlyが欠失するかあるい
    は他のアミノ酸により置換されたアミノ酸配列を有する
    請求項1又は2記載のポリペプチド。
  5. 【請求項5】 前記29番目のArgが欠失するかある
    いはGln、Lys、Asp、Val又はLeuにより
    置換された請求項4記載のポリペプチド。
  6. 【請求項6】 前記68番目のProが欠失するかある
    いはAsp又はMetにより置換された請求項4記載の
    ポリペプチド。
  7. 【請求項7】 前記106番目のGlyが欠失するかあ
    るいはTrp、Pro、Ala、Asp又はArgによ
    り置換された請求項4記載のポリペプチド。
  8. 【請求項8】 配列表の配列番号1で示した1番目のS
    erから155番目のLeuまでで表わされるアミノ酸
    配列を有する腫瘍壊死因子ポリペプチド又はその変換体
    において、前記配列番号1の1番目のSerから8番目
    のAspまでのアミノ酸配列あるいはそれに対応する前
    記変換体のアミノ酸配列がArg−Gly−Aspのア
    ミノ酸配列を少なくとも1個含み、かつ、3個〜16個
    のアミノ酸を含むアミノ酸配列により置換されているポ
    リペプチドをコードするDNAを含むことを特徴とする
    組換えプラスミド。
  9. 【請求項9】 前記組換えプラスミドがpKF416
    8、pKF4415、pKF4416、pKF441
    7、pKF4418、pKF4420、pKF442
    1、pKF4413、pKF4137、pKF460
    1、pKF4602、pKF4607、pKF460
    8、pKF4626、pKF4627、pKF463
    4、pKF4635、pKF4609、pKF461
    0、pKF4628、pKF4629、pKF463
    8、pKF4639、pKF4611、pKF461
    2、pKF4613、pKF4614、pKF461
    5、pKF4642、pKF4643、pKF464
    4、pKF4645又はpKF4646である請求項8
    記載の組換えプラスミド。
  10. 【請求項10】 配列表の配列番号1で示した1番目の
    Serから155番目のLeuまでで表わされるアミノ
    酸配列を有する腫瘍壊死因子ポリペプチド又はその変換
    体において、前記配列番号1の1番目のSerから8番
    目のAspまでのアミノ酸配列あるいはそれに対応する
    前記変換体のアミノ酸配列がArg−Gly−Aspの
    アミノ酸配列を少なくとも1個含み、かつ、3個〜16
    個のアミノ酸を含むアミノ酸配列により置換されている
    ポリペプチドをコードするDNAを含む組換えプラスミ
    ドにより形質転換された組換え微生物細胞。
  11. 【請求項11】 前記組換え微生物細胞が大腸菌である
    請求項10記載の組換え微生物細胞
  12. 【請求項12】 配列表の配列番号1で示した1番目の
    Serから155番目のLeuまでで表わされるアミノ
    酸配列を有する腫瘍壊死因子ポリペプチド又はその変換
    体において、前記配列番号1の1番目のSerから8番
    目のAspまでのアミノ酸配列あるいはそれに対応する
    前記変換体のアミノ酸配列がArg−Gly−Aspの
    アミノ酸配列を少なくとも1個含み、かつ、3個〜16
    個のアミノ酸を含むアミノ酸配列により置換されている
    ポリペプチドをコードするDNAを含む組換えプラスミ
    ドにより形質転換された組換え微生物細胞を培地中で培
    養し、当該アミノ酸配列を有するポリペプチドを産生し
    分離することを特徴とするポリペプチドの製造方法。
  13. 【請求項13】 配列表の配列番号1で示した1番目のS
    erから155番目のLeuまでで表わされるアミノ酸配列
    を有する腫瘍壊死因子ポリペプチド又はその変換体にお
    いて、前記配列番号1の1番目のSerから8番目のAspま
    でのアミノ酸配列あるいはそれに対応する前記変換体の
    アミノ酸配列がArg−Gly−Aspのアミノ酸配列を少なく
    とも1個含み、かつ、3個〜16個のアミノ酸を含むア
    ミノ酸配列により置換されているポリペプチドを有効成
    分として含有することを特徴とする抗癌剤
  14. 【請求項14】 前記Arg−Gly−Aspのアミノ酸配列を少
    くとも1個含み、かつ、3個〜16個のアミノ酸を含む
    アミノ酸配列がArg−Gly−Aspであるかあるいは配列表
    の配列番号2、3、4、5、6、7、8又は9で示した
    アミノ酸配列であるポリペプチドを含有する請求項13
    記載の抗癌剤
  15. 【請求項15】 前記Arg−Gly−Aspのアミノ酸配列を少
    なくとも1個含み、かつ、3個〜16個のアミノ酸を含
    むアミノ酸配列がArg−Gly−Aspであるかあるいは配列
    表の配列番号2、3、5又は6で示したアミノ酸配列で
    あるポリペプチドを含有する請求項13記載の抗癌剤
  16. 【請求項16】 前記腫瘍壊死因子ポリペプチド又はそ
    の変換体が、配列番号1で示した9番目のLysから15
    5番目のLeuまでで表わされるアミノ酸配列あるいは当
    該アミノ酸配列の29番目のArg、68番目のPro又は1
    06番目のGlyが欠失するかあるいは他のアミノ酸によ
    り置換されたアミノ酸配列を有するポリペプチドを含有
    する請求項13又は14記載の抗癌剤
  17. 【請求項17】 前記29番目のArgが欠失するかあるい
    はGln、Lys、Asp、Val又はLeuにより置換されたポリペ
    プチドを含有する請求項16記載の抗癌剤
  18. 【請求項18】 前記68番目のProが欠失するかあるい
    はAsp又はMetにより置換されたポリペプチドを含有する
    請求項16記載の抗癌剤
  19. 【請求項19】 前記106番目のGlyが欠失するかある
    いはTrp、Pro、Ala、Asp又はArgにより置換されたポリ
    ペプチドを含有する請求項16記載の抗癌剤
  20. 【請求項20】 配列表の配列番号1で示した1番目の
    Serから155番目のLeuまでで表わされるアミノ
    酸配列を有する腫瘍壊死因子ポリペプチド又はその変換
    体において、前記配列番号1の1番目のSerから8番
    目のAspまでのアミノ酸配列あるいはそれに対応する
    前記変換体のアミノ酸配列がArg−Gly−Aspの
    アミノ酸配列を少なくとも1個含み、かつ、3個〜16
    個のアミノ酸を含むアミノ酸配列により置換されてお
    り、更にそのN末端にMetを有することを特徴とする
    ポリペプチド。
  21. 【請求項21】 配列表の配列番号10で示した1番目
    のTから465番目のGまでで表わされる塩基配列を有
    する腫瘍壊死因子ポリペプチドのDNA又はその変異導
    入DNAにおいて、1〜3番目のTCAから22〜24
    番目のGACまでの塩基配列あるいはそれらに対応する
    前記変異導入DNAの塩基配列がArg−Gly−As
    pのアミノ酸配列を少なくとも1個含み、かつ、3個〜
    16個のアミノ酸を含むアミノ酸配列をコードする塩基
    配列により置換されていることを特徴とするDNA。
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