JP3157128U - 動物用床ずれ防止衣類 - Google Patents
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Abstract
【課題】自由に動き回れるものの、病気や老化などの理由によって側臥位になることが多い犬や猫などの動物に容易に着脱可能であり、横になることが多いことに起因して生じる床ずれを防止することができる動物用床ずれ防止衣類を提供する。【解決手段】動物の胴体被覆部分を被覆する胴体被覆部11、胴体被覆部11から延出し、動物の前脚を挿入可能な前脚挿入口13aが形成された一対の前脚被覆部13、及び、胴体被覆部11から延出し、動物の後脚を挿入可能な後脚挿入口15aが形成された一対の後脚被覆部15を有するシート状の衣類本体20からなり、シート状の衣類本体20は、表面側編地、裏面側編地、及び、表面側編地と裏面側編地とを連結する複数の連結糸を備える動物用床ずれ防止衣類1。【選択図】図1
Description
本考案は、動物用床ずれ防止衣類に関し、更に詳しくは、自由に動き回れるものの、病気や老化などの理由によって側臥位になること(横になること)が多い犬や猫などの動物に容易に着脱可能であり、横になることが多いことに起因して生じる床ずれを防止することができる動物用床ずれ防止衣類に関する。
病気や老化で十分に動けなくなった犬や猫などの動物は、長い時間同じ姿勢で寝ていることが多い。また、自由に動き回れるものの、側臥位になることが多い犬や猫などの動物も同様に同じ姿勢で横になることが多い。このように長時間同じ姿勢で寝ている場合や同じ姿勢で頻繁に横になることがある場合、横になる度に、身体の同じ部分(特に関節などの部分)が自重によって床に強く押し付けられるため、床と接する部分に十分な血液が流れなくなり、皮膚組織が壊死する、いわゆる床ずれが生じる。
このような床ずれを防止するため、動物が横臥可能な大きさを備え、クッション性を有するマット本体に複数の空洞部を形成してなる床ずれ防止用マットが提案されている(特許文献1参照)。また、発泡ポリエチレンなど弾力性があり、かつ液体をはじく性質を備えた合成樹脂板を材料とする環形またはU字形の動物用円座が提案されている(特許文献2参照)。この円座は、その一方の面に接着剤が付与されており、この接着剤で円座を動物に定着させることによって、十分に動けなくなった動物が身体を動かした場合にも、円座が外れないようにしているものである。
しかしながら、特許文献1に記載のマットは、動物が起き上がろうとする度にズレてしまい、床ずれ防止効果が十分に得られなかった。また、通気性が十分ではなく、ムレが生じて皮膚がただれる場合があった。
また、特許文献2に記載の円座は、接着剤によって動物に定着させるものであるが、接着剤の接着力が弱まるなどの理由により不意に外れてしまう場合があった。また、動物に接着させるものであるため、通気性が十分ではなく、ムレが生じて皮膚がただれる場合があった。
本考案は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、自由に動き回れるものの、病気や老化などの理由によって側臥位になることが多い犬や猫などの動物に容易に着脱可能であり、横になることが多いことに起因して生じる床ずれを防止することができる動物用床ずれ防止衣類を提供する。
本考案者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、良好な通気性及び回復性を有し、動物の体全体を被覆可能な形状のシート部材を着脱させることによって、上記課題を解決可能であることを見出し、本考案を完成するに至った。
本考案によれば、以下に示す、動物用床ずれ防止衣類が提供される。
[1] 動物の胴体被覆部分を被覆する胴体被覆部、前記胴体被覆部から延出し、動物の前脚を挿入可能な前脚挿入口が形成された一対の前脚被覆部、及び、前記胴体被覆部から延出し、動物の後脚を挿入可能な後脚挿入口が形成された一対の後脚被覆部を有するシート状の衣類本体からなり、シート状の前記衣類本体は、表面側編地、裏面側編地、及び、前記表面側編地と前記裏面側編地とを連結する複数の連結糸を備える動物用床ずれ防止衣類。
[2] 前記連結糸は、ポリエステル樹脂を含有する20〜500デニールのモノフィラメント繊維からなり、5cm2中の前記連結糸の総断面積が0.05〜1.0cm2である前記[1]に記載の動物用床ずれ防止衣類。
[3] 前記衣類本体は、動物の頭を被覆する頭部被覆部を更に有する前記[1]または[2]に記載の動物用床ずれ防止衣類。
[4] 前記前脚挿入口及び前記後脚挿入口の形状が、それぞれ、円形である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の動物用床ずれ防止衣類。
[5] 前記衣類本体の厚さが、2〜20mmである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の動物用床ずれ防止衣類。
本考案の動物用床ずれ防止衣類は、自由に動き回れるものの、病気や老化などの理由によって側臥位になることが多い犬や猫などの動物に容易に着脱可能であり、横になることが多いことに起因して生じる床ずれを防止することができるという効果を奏するものである。
以下、本考案の実施の形態について説明するが、本考案は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本考案の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本考案の範囲に入ることが理解されるべきである。
[1]動物用床ずれ防止衣類:
図1は、本考案の動物用床ずれ防止衣類の一の実施形態を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示す動物用床ずれ防止衣類のA−A’断面を模式的に示す断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の動物用床ずれ防止衣類1は、動物の胴体被覆部分を被覆する胴体被覆部11、この胴体被覆部11から延出し、動物の前脚を挿入可能な前脚挿入口13aが形成された一対の前脚被覆部13、及び、胴体被覆部11から延出し、動物の後脚を挿入可能な後脚挿入口15aが形成された一対の後脚被覆部15を有するシート状の衣類本体20からなり、シート状の衣類本体20は、表面側編地21、裏面側編地23、及び、表面側編地21と裏面側編地23とを連結する複数の連結糸25を備えている。
図1は、本考案の動物用床ずれ防止衣類の一の実施形態を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示す動物用床ずれ防止衣類のA−A’断面を模式的に示す断面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態の動物用床ずれ防止衣類1は、動物の胴体被覆部分を被覆する胴体被覆部11、この胴体被覆部11から延出し、動物の前脚を挿入可能な前脚挿入口13aが形成された一対の前脚被覆部13、及び、胴体被覆部11から延出し、動物の後脚を挿入可能な後脚挿入口15aが形成された一対の後脚被覆部15を有するシート状の衣類本体20からなり、シート状の衣類本体20は、表面側編地21、裏面側編地23、及び、表面側編地21と裏面側編地23とを連結する複数の連結糸25を備えている。
このような構成により、本実施形態の動物用床ずれ防止衣類1は、自由に動き回れるものの、病気や老化などの理由によって側臥位になることが多い犬や猫などの動物に容易に着脱可能であり、横になることが多いことに起因して生じる床ずれを防止することができる。本考案の動物用床ずれ防止衣類は、四足歩行の中型動物(例えば、犬や猫など)に好適に用いることができる。なお、本発明の動物用床ずれ防止衣類は、病気や老化に限らず、側臥位になることが多い動物に着用させることができる。
衣類本体は、上述したように、動物の胴体被覆部分を被覆する胴体被覆部、この胴体被覆部から延出し、動物の前脚を挿入可能な前脚挿入口が形成された一対の前脚被覆部、及び、胴体被覆部から延出し、動物の後脚を挿入可能な後脚挿入口が形成された一対の後脚被覆部を有するシート状のものであり、表面側編地、裏面側編地、及び、表面側編地と裏面側編地とを連結する複数の連結糸を備えている。図3は、このような衣類本体20(動物用床ずれ防止衣類1)を、犬30に着用させた着用状態を模式的に示す説明図である。犬を覆うように背中側から被せた後、前脚及び後脚をそれぞれ前脚挿入口及び後脚挿入口に挿入することによって容易に着脱させることができる。このように、本考案の動物用床ずれ防止衣類は容易に着脱させることができ、動物が着用するものであるため、特許文献2に記載の円座のように不意に外れてしまうおそれがない。そして、円座のように接着させずに着用させているため、動物の動きを妨げることが少ないという利点がある。
前脚挿入口及び後脚挿入口の形状は、前脚及び後脚を挿入することが可能な形状であれば特に制限はなく、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、多角形などを挙げることができる。これらの中でも、形成が容易であるため、円形であることが好ましい。また、前脚挿入口及び後脚挿入口としては、スリットであってもよく、スリットである場合には、1本のスリットであってもよいし、複数本のスリットが交差するもの(例えば、十字状を形成するように交差するもの)であってもよい。上記挿入口は、例えば、ハサミ、カッターなどによって形成することができる。
衣類本体は、動物の頭を被覆する頭部被覆部を更に有することが好ましい。頭部被覆部を有することによって、頭部に生じる床ずれを防止することができる。
表面側編地は、例えば、綿、キュプラ、レーヨン、精製セルロース繊維、ポリエステル、ポリアミド、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維などの天然繊維、合成繊維などの繊維を編み込んで形成されるものである。そして、表面側編地は、メッシュ編地、マーギゼット編地などの複数の開口部を有する編地であってもよい。裏面側編地は、表面側編地と同様のものを用いることができる。
連結糸は、表面側編地と裏面側編地とを連結する複数の糸である。この複数の連結糸によって動物用床ずれ防止衣類は適度な回復性を有し、着用した動物の血液の流れを維持させることができる。そのため、床ずれを防止することができる。連結糸の材質は、特に制限はなく、例えば、合成樹脂などを挙げることができ、合成樹脂の中でも、ポリエステル樹脂を含有するものであることが好ましい。なお、連結糸は、モノフィラメントであってもよいし、マルチフィラメントであってもよい。
更に、連結糸は、ポリエステル樹脂を含有する20〜500デニールのモノフィラメント繊維からなり、5cm2中の連結糸の総断面積が0.05〜1.0cm2であることが好ましい。このような連結糸を有する衣類本体(動物用床ずれ防止衣類)によれば、通気性及び回復性(反発性)が優れるため、床ずれを更に良好に防止することができる。また、ポリエステル樹脂を含有するモノフィラメント繊維の中でも、ポリトリメチレンテレフタレート製のモノフィラメント繊維であることが好ましい。
連結糸は、表面側編地と裏面側編地とを連結するものである限り配置される状態は特に制限はなく、傾斜させて配置したり、X状に交叉して配置してもよい。
衣類本体の厚さは、連結糸(材質や総断面積など)によって適宜設定することができるが、2〜20mmであることが好ましい。上記厚さが2mm未満であると、通気性や回復性が十分に得られずに床ずれを防止することが困難になるおそれがある。一方、20mm超であると、着脱させ難くなるおそれがある。また、犬などの動物が歩く際に、歩き難くなってしまうおそれがある。
衣類本体としては、具体的には、旭化成せんい株式会社製の「FUSION(登録商標)」などを用いることができる。これらの中でも、品番「AKE65710」、「AKE65036」が好ましい。
以下、本考案を実施例に基づいて具体的に説明するが、本考案はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
旭化成せんい株式会社製の「FUSION(登録商標)」(品番「AKE65710」)(厚さ10mm)を、胴体被覆部(幅(図1中「L1」)70mm)、一対の前脚被覆部(幅(図1中「L2」)120mm)、及び、一対の後脚被覆部(幅(図1中「L3」)90mm)を有するように、図1に示すように略工字状(縦(図1中「X」)×横(図1中「Y」);270mm×410mm)に裁断した。その後、一対の前脚被覆部の先端部分、及び、一対の後脚被覆部の先端部分に円形状の貫通孔(直径50mm)を形成して、それぞれ、前脚挿入口及び後脚挿入口とした。このようにして、図1に示すような動物用床ずれ防止衣類1を作製した。そして、作製した動物用床ずれ防止衣類を、自由に動き回れるものの、側臥位になることが多いため床ずれが生じている犬(図3参照)に着用させた。
旭化成せんい株式会社製の「FUSION(登録商標)」(品番「AKE65710」)(厚さ10mm)を、胴体被覆部(幅(図1中「L1」)70mm)、一対の前脚被覆部(幅(図1中「L2」)120mm)、及び、一対の後脚被覆部(幅(図1中「L3」)90mm)を有するように、図1に示すように略工字状(縦(図1中「X」)×横(図1中「Y」);270mm×410mm)に裁断した。その後、一対の前脚被覆部の先端部分、及び、一対の後脚被覆部の先端部分に円形状の貫通孔(直径50mm)を形成して、それぞれ、前脚挿入口及び後脚挿入口とした。このようにして、図1に示すような動物用床ずれ防止衣類1を作製した。そして、作製した動物用床ずれ防止衣類を、自由に動き回れるものの、側臥位になることが多いため床ずれが生じている犬(図3参照)に着用させた。
着用後、数日で床ずれしていた部分が乾燥し、床ずれが改善したことが確認できた。また、新たに床ずれが生じることもなかった。
以上の実施例1から明らかなように、実施例1の動物用床ずれ防止衣類1は、自由に動き回れるものの、病気や老化などの理由によって側臥位になることが多い犬や猫などの動物に容易に着脱可能であり、横になることが多いことに起因して生じる床ずれを防止することができることが確認できた。
本考案の動物用床ずれ防止衣類は、側臥位になることが多い犬や猫などの動物に着脱させる衣類として採用することができる。
1:動物用床ずれ防止衣類、11:胴体被覆部、13a:前脚挿入口、13:前脚被覆部、15a:後脚挿入口、15:後脚被覆部、20:衣類本体、21:表面側編地、23:裏面側編地、25:連結糸、30:犬。
Claims (5)
- 動物の胴体被覆部分を被覆する胴体被覆部、前記胴体被覆部から延出し、動物の前脚を挿入可能な前脚挿入口が形成された一対の前脚被覆部、及び、前記胴体被覆部から延出し、動物の後脚を挿入可能な後脚挿入口が形成された一対の後脚被覆部を有するシート状の衣類本体からなり、
シート状の前記衣類本体は、表面側編地、裏面側編地、及び、前記表面側編地と前記裏面側編地とを連結する複数の連結糸を備える動物用床ずれ防止衣類。 - 前記連結糸は、ポリエステル樹脂を含有する20〜500デニールのモノフィラメント繊維からなり、5cm2中の前記連結糸の総断面積が0.05〜1.0cm2である請求項1に記載の動物用床ずれ防止衣類。
- 前記衣類本体は、動物の頭を被覆する頭部被覆部を更に有する請求項1または2に記載の動物用床ずれ防止衣類。
- 前記前脚挿入口及び前記後脚挿入口の形状が、それぞれ、円形である請求項1〜3のいずれか一項に記載の動物用床ずれ防止衣類。
- 前記衣類本体の厚さが、2〜20mmである請求項1〜4のいずれか一項に記載の動物用床ずれ防止衣類。
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