JP3157019B2 - 光記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

光記録媒体およびその製造方法

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JP3157019B2
JP3157019B2 JP22102591A JP22102591A JP3157019B2 JP 3157019 B2 JP3157019 B2 JP 3157019B2 JP 22102591 A JP22102591 A JP 22102591A JP 22102591 A JP22102591 A JP 22102591A JP 3157019 B2 JP3157019 B2 JP 3157019B2
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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光記録媒体およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大容量情報記録媒体として、光記録ディ
スク等の光記録媒体が注目されている。光記録媒体とし
ては、相変化型光記録媒体や光磁気記録媒体等の書き換
え可能タイプ、あるいはピット形成型光記録媒体等の追
記タイプなどがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新規な構成
の追記タイプの光記録媒体およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような目的は下記
(1)〜(11)の本発明によって達成される。 (1) 基板表面に、誘電体薄膜、記録薄膜および反射
薄膜をこの順で有し、前記記録薄膜が、加熱により分解
して酸素または窒素ガスを放出する無機化合物として酸
化銀または窒化鉄を含有し、前記酸化銀中の酸素の含有
比率が5〜50原子%であり、前記窒化鉄中の窒素の含
有比率が5〜50原子%であることを特徴とする光記録
媒体。 (2) 前記誘電体薄膜が酸化ケイ素または窒化ケイ素
を含有する上記(1)に記載の光記録媒体。 (3) 前記反射薄膜が、形状記憶合金、Al、Au、
PtまたはCuから構成される上記(1)または(2)
に記載の光記録媒体。 (4) 前記誘電体薄膜と前記記録薄膜との間に、低融
点薄膜を有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記
載の光記録媒体。 (5) 前記低融点薄膜が、Sn、Zn、Pb、Bi、
Tl、Te、Se、S、Al、Ga、Ge、Cdまたは
Iから構成される上記(4)に記載の光記録媒体。 (6) 上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の光
記録媒体を製造する方法であって、前記記録薄膜が反応
性スパッタ法により形成されることを特徴とする光記録
媒体の製造方法。 (7) 前記記録薄膜が、酸素ガスを含有する雰囲気中
においてAgをターゲットとして反応性スパッタにより
形成される上記(6)に記載の光記録媒体の製造方法。 (8) 前記反応性スパッタに際して、全てのガスの合
計流量に対し酸素ガスの流量を10〜70%とする上記
(7)に記載の光記録媒体の製造方法。 (9) 前記記録薄膜が、窒素ガスを含有する雰囲気中
においてFeをターゲットとして反応性スパッタにより
形成される上記(6)に記載の光記録媒体の製造方法。 (10) 前記反応性スパッタに際して、全てのガスの
合計流量に対し窒素ガスの流量を10〜20%とする上
記(9)に記載の光記録媒体の製造方法。 (11) 前記反応性スパッタ時の圧力が3×10-1
1.0Paである上記(7)ないし(10)のいずれかに
記載の光記録媒体の製造方法。
【0005】
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【作用】本発明の光記録媒体1は、基板2の表面に誘電
体薄膜3、記録薄膜4および反射薄膜5を有し、反射薄
膜5上には保護膜6が設けられている。記録時には、基
板2の裏面側から基板2および誘電体薄膜3を通して記
録レーザー光が照射され、記録薄膜4が加熱される。記
録薄膜4は、加熱により分解してガスを放出する無機化
合物として、酸素の含有比率が5〜50原子%の酸化銀
または窒素の含有比率が5〜50原子%の窒化鉄を含有
するので、記録レーザー光照射により記録薄膜4からガ
スが放出される。記録薄膜4が酸化銀を含有する場合、
酸化銀は160℃程度でAgとO2 とに分解する。ま
た、記録薄膜4が窒化鉄を含有する場合、200℃程度
で窒化鉄から窒素が放出される。そして、図1および図
2に示されるように、発生したガスにより記録薄膜4中
に空隙41が形成され、また、発生したガスの圧力によ
り反射薄膜5に凹部51が形成される。これらの空隙や
凹部などが生じることにより、記録レーザー光照射部の
光学定数や光路長等の光学的条件が変化し、反射率が低
下する。また、凹部51の光反射面は粗面化しているた
め、これによっても反射率が低下する。
【0022】このようにして生じる光反射率の変化は不
可逆的であり、また、780nm近傍の光の反射率は、レ
ーザー光照射前で50%程度以上あり、照射後には10
%程度以下まで低下するので、追記型光記録ディスクと
しての使用が可能である。
【0023】また、誘電体薄膜等の厚さを調整すること
により、300〜900nm程度の波長範囲においてこの
ような反射率変化が得られるので、短波長記録が可能で
あり、より高い記録密度とすることが可能である。な
お、誘電体薄膜3は、ガスバリアとしての作用を有し、
本発明の光記録媒体の信頼性を高めるはたらきを有す
る。
【0024】また、図2に示されるように、本発明の光
記録媒体1において、誘電体薄膜3と記録薄膜4との間
に低融点薄膜7を設けた場合、低融点薄膜7が吸熱作用
を示すため、記録感度が向上する。このため、例えば3
T信号などの短い信号の記録が低パワーのレーザー光で
良好に行なえる。
【0025】なお、特公昭63−56920号公報に
は、「Ag2 O−SiO2 系の化合物で構成することを
特徴とする光学記録材料」が開示されている。この光学
記録材料は、光照射により黒化し加熱により褪色すると
いうAg2 O−SiO2 系化合物の性質を利用したもの
であり、酸化ケイ素を含有する誘電体薄膜と酸化銀を含
有する記録薄膜とを積層するという本発明の光記録媒体
の構成とは異なる。また、その作用も本発明とは全く異
なるものである。そして、同公報の記載によれば、初期
反射率が40%未満で、光照射後の反射率低下は8%に
過ぎず、光記録媒体として使用することは困難である。
【0026】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0027】図1に本発明の光記録媒体の好適実施例を
示す。同図に示されるように、光記録媒体1は、基板2
の表面に誘電体薄膜3、記録薄膜4および反射薄膜5を
有し、反射薄膜5上には保護膜6が設けられている。
【0028】[基板2]光記録媒体1では、基板2を通
して記録薄膜4に記録光および再生光が照射されるの
で、基板2はこれらの光に対して実質的に透明である材
質、例えば、樹脂やガラスなどから構成される。これら
のうち、取り扱いが容易で安価であることから、基板2
の材質としては樹脂が好ましい。具体的には、アクリル
樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレ
フィン樹脂等の各種樹脂を用いればよい。
【0029】基板2の形状および寸法は特に限定されな
いが、通常、ディスク状であり、その厚さは、通常、
0.5〜3mm程度、直径は50〜360mm程度である。
基板2の表面には、トラッキング用やアドレス用等のた
めに、グルーブ等の所定のパターンが必要に応じて設け
られる。例えば、図示例の光記録媒体にはグルーブが設
けられており、記録光はグルーブ内に照射される。
【0030】[誘電体薄膜3]誘電体薄膜3は、各種誘
電体から構成される。用いる誘電体は特に限定されない
が、記録薄膜4が酸化銀を含有する場合は、誘電体薄膜
3を酸化ケイ素から構成すれば記録感度が向上する。な
お、酸化ケイ素としては、通常、SiO2 で表わされる
組成を有するものを用いることが好ましい。また、記録
薄膜4が窒化鉄を含有する場合は、誘電体薄膜3を、通
常Si34 で表わされる窒化ケイ素から構成すれば記
録感度が向上する。
【0031】なお、誘電体としては、この他、透明な各
種セラミクスや各種ガラスなどを用いてもよく、例え
ば、La、Si、OおよびNを含有する所謂LaSiONや、
Si、Al、OおよびNを含有する所謂SiAlON、あるい
はYを含有するSiAlON等を好ましく用いることができ
る。
【0032】誘電体薄膜3の厚さは、用いる誘電体の屈
折率等に応じて適宜設定すればよく、例えば誘電体とし
てSiO2 を用いる場合、1000〜2000A とする
ことが好ましい。また、屈折率がSiO2 とは異なる誘
電体を用いる場合の好ましい厚さは、その誘電体の屈折
率でSiO2 の屈折率を除した値を上記したSiO2
好ましい厚さ範囲に乗じて求めればよい。誘電体薄膜3
の厚さが好ましい範囲を外れると、十分な反射率および
その変化を得ることが困難となる。
【0033】誘電体薄膜3は、記録感度向上効果の他、
ガスバリアとしての作用を有し、特に基板2がポリカー
ボネート樹脂などの樹脂製である場合、基板2側からの
水蒸気や酸素などの侵入を防止し、これらによる記録薄
膜4の劣化を防ぐ。
【0034】誘電体薄膜3は、スパッタ法や蒸着法等の
気相成長法により形成されることが好ましい。
【0035】[記録薄膜4]記録薄膜4は、加熱により
分解してガスを放出する無機化合物を含有する。前記無
機化合物がガスを放出する温度は、300℃以下である
ことが好ましい。また、放出されるガスの種類に特に制
限はないが、常温付近でガスとして安定に存在するこ
と、無毒性であることなどから、前記ガスは酸素または
窒素であることが好ましい。
【0036】このようなことから、酸素ガスや窒素ガス
を発生する無機化合物として、酸化銀または窒化鉄を用
いる。酸化銀を用いる場合、記録薄膜4中の酸素の含有
比率は、5〜50原子%であり、特に10〜30原子%
であることが好ましい。また、窒化鉄を用いる場合、記
録薄膜4中の窒素の含有比率は、5〜50原子%であ
り、特に10〜30原子%であることが好ましい。記録
薄膜4は、酸化銀だけ、あるいは窒化鉄だけから構成さ
れることが好ましいが、他にSn、Zn等の元素が合計
で10原子%程度以下含有されていてもよい。
【0037】記録薄膜の厚さは、500〜1000A と
することが好ましい。厚さが前記範囲未満であると記録
が困難となり、前記範囲を超えると記録薄膜中における
光吸収のために反射率が不十分となる。
【0038】記録薄膜4は、スパッタ法や蒸着法などの
気相成長法により形成されることが好ましく、特に、酸
素ガスや窒素ガス等を反応性ガスとして用いる反応性ス
パッタ法により形成されることが好ましい。
【0039】酸化銀からなる記録薄膜を形成する場合、
酸素ガスを含有する雰囲気中において、Agをターゲッ
トとして反応性スパッタを行なう。酸素ガスはAr等の
不活性ガスと併用することが好ましく、酸素ガスの流量
は、全てのガスの合計流量中の10〜70%とすること
が好ましい。酸素ガス流量が前記範囲を外れると、記録
薄膜中の酸素量が不適当になり、十分な記録感度が得ら
れない。
【0040】窒化鉄からなる記録薄膜を形成する場合、
窒素ガスを含有する雰囲気中において、Feをターゲッ
トとして反応性スパッタを行なう。窒素ガスはAr等の
不活性ガスと併用することが好ましく、窒素ガスの流量
は、全てのガスの合計流量中の10〜20%とすること
が好ましい。窒素ガス流量が前記範囲を外れると、記録
薄膜中の窒素量が不適当になり、十分な記録感度が得ら
れない。
【0041】酸化銀形成の際および窒化鉄形成の際の反
応性スパッタ時の圧力は、好ましくは3×10-1〜1.
0Pa、より好ましくは5×10-1〜9×10-1Pa、特に
好ましくは5×10-1〜8×10-1Paである。
【0042】なお、反応性スパッタにはDCスパッタ法
を用いてもよいが、高周波スパッタ法を用いることが好
ましい。
【0043】[反射薄膜5]反射薄膜5は、金属ないし
合金から構成されることが好ましいが、高い記録感度を
得るためには、反射薄膜5を形状記憶合金から構成する
ことが好ましい。形状記憶合金の反射薄膜は記録光照射
により変形しやすいため、凹部51の形成が容易であ
る。用いる形状記憶合金の組成に特に制限はないが、製
造が比較的容易であることから、Ni−Ti系合金また
は銅系形状記憶合金を用いることが好ましい。銅系形状
記憶合金としては、特にCu−Zn−Al系合金が好ま
しい。これらの形状記憶合金の組成や特性などについて
は、例えば日本伸銅協会発行(1988.5)の「銅および銅
合金の基礎と工業技術」に記載されている。
【0044】ただし、反射薄膜5を、Al、Au、P
t、Cu等の高反射率金属から構成してもよい。
【0045】反射薄膜5の厚さは、300〜1500A
とすることが好ましい。厚さが前記範囲未満であると十
分な反射率が得にくくなる。また、前記範囲を超えても
反射率の向上は小さく、コスト的に不利になる。
【0046】反射薄膜5は、スパッタ法や蒸着法等の気
相成長法により形成されることが好ましい。
【0047】[保護膜6]保護膜6は、耐擦傷性や耐食
性の向上のために設けられるものであり、種々の有機系
の物質から構成されることが好ましいが、特に、放射線
硬化型化合物やその組成物を、電子線、紫外線等の放射
線により硬化させた物質から構成されることが好まし
い。
【0048】保護膜6の厚さは、通常、0.1〜100
μm 程度であり、スピンコート、グラビア塗布、スプレ
ーコート、ディッピング等、通常の方法により形成すれ
ばよい。
【0049】[低融点薄膜7]図2に、本発明の光記録
媒体の他の実施例を示す。図2において、光記録媒体1
は、誘電体薄膜3と記録薄膜4との間に低融点薄膜7を
有する。
【0050】低融点薄膜7は、記録感度向上のために設
けられるものであり、融点200〜800℃程度の物質
から構成されることが好ましい。このような物質として
は、例えば、Sn、Zn、Pb、Bi、Tl、Te、S
e、S、Al、Ga、Ge、Cd、I等や、これらの合
金、化合物等が挙げられ、適宜選択して用いればよい。
【0051】また、低融点の樹脂で低融点薄膜7を構成
してもよい。このような樹脂としては、例えば、ニトロ
セルロース、ポリイミド、フルオロカーボンなどが挙げ
られる。樹脂を用いる場合、低融点薄膜は蒸着法により
形成することが好ましいが、スピンコートにより形成す
ることもできる。
【0052】低融点薄膜7の厚さは、10〜200A 、
特に50〜100A とすることが好ましい。厚さが前記
範囲未満であると記録感度向上効果が不十分となり、前
記範囲を超えると光の吸収が多くなりすぎて十分な反射
率が得られにくくなる。
【0053】低融点薄膜7は、スパッタ法や蒸着法等の
気相成長法により形成されることが好ましい。
【0054】なお、低融点薄膜7上に記録薄膜4を形成
する際に、低融点薄膜7は記録薄膜4中に拡散すること
がある。
【0055】[反射率変化作用] 図1に示される構成の光記録媒体1の基板2の裏面側か
ら記録レーザー光を照射すると、基板2および誘電体薄
膜3を透過した記録レーザー光は記録薄膜4を加熱す
る。記録薄膜4中の無機化合物は加熱されて分解し、ガ
スを発生する。無機化合物が酸化銀の場合、AgとO2
とに分解され、O2 ガスが発生する。また、無機化合物
が窒化鉄の場合、FeとN2 とに分解され、N2 ガスが
発生する。そして、発生したガスの圧力により記録薄膜
4内には空隙41が形成される。
【0056】一方、発生したガスにより反射薄膜5も圧
力を受け、反射薄膜5には凹部51が形成される。反射
薄膜5が形状記憶合金から構成されている場合に記録感
度が高くなる、すなわち低パワーのレーザー光で書き込
み可能となるのは、形状記憶合金の反射薄膜を用いる
と、凹部51の形成が容易となるためである。
【0057】また、図2のように低融点薄膜7を設けて
ある場合、記録レーザー光照射により低融点薄膜7が昇
温して融解し、これにより記録薄膜4の加熱が促進され
ることになる。
【0058】記録レーザー光照射により形成された空隙
41内では、屈折率n(複素屈折率の実部)や消衰係数
k(複素屈折率の虚部)等の光学定数が記録薄膜4内と
は異なり、また、凹部51の存在により光路長も変わる
ので、多重反射条件が変化し、記録レーザー光照射部に
おいて反射率が著しく低下する。
【0059】凹部51の深さは、反射率変化の様子から
300〜500A 程度と推定される。また、凹部51の
光反射面は粗面化している。このような粗面化は、無機
化合物の分解によりガスがバブル状に発生したことによ
るものと考えられ、この粗面化も反射率の低下に寄与し
ていると考えられる。粗面化の様子は、走査型トンネル
顕微鏡(STM)等により確認することができる。
【0060】[媒体構造]以上では、本発明を片面記録
型の光記録媒体に適用する場合について説明したが、本
発明は両面記録型の光記録媒体にも適用可能である。両
面記録型の光記録媒体に適用する場合、一対の基板2、
2を、記録薄膜4が内封されるように接着する。
【0061】また、片面記録型であって、保護膜6上に
保護板を接着した構成とすることもできる。この場合の
保護板としては、通常、基板2と同質のものを用いれば
よいが、透明である必要はなく、その他の材質も用いる
ことができる。
【0062】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0063】[実施例1]基板2の表面に、酸化ケイ素
から構成される誘電体薄膜3、酸化銀から構成される記
録薄膜4、反射薄膜5および紫外線硬化型樹脂の保護膜
6を形成し、図1に示される構成を有する光記録ディス
クサンプルNo. 1を作製した。
【0064】基板2には、射出成形によりグルーブを同
時形成した直径133mm、厚さ1.2mmのディスク状ポ
リカーボネート樹脂を用いた。
【0065】誘電体薄膜3は、SiO2 をターゲットと
してスパッタ法により1000A の厚さに形成した。
【0066】記録薄膜4は、酸素ガスとArガスを含む
雰囲気中で反応性高周波スパッタ法により600A の厚
さに形成した。スパッタ時の圧力は5.5×10-1Paと
し、酸素ガスの流量およびArガスの流量はいずれも1
0SCCMとした。また、ターゲットにはAgを用い、スパ
ッタパワーは200W とした。記録薄膜4の組成をオー
ジェ分光法により測定したところ、10原子%の酸素を
含み、残部はAgであった。
【0067】反射薄膜5は、Cu−Zn−Al合金をタ
ーゲットとしてスパッタ法により1000A の厚さに形
成した。
【0068】保護膜6は、紫外線硬化型樹脂をスピンコ
ート法により塗布後、紫外線照射により硬化して形成し
た。硬化後の厚さは5μm であった。
【0069】サンプルNo. 1について、CD信号(3
T、5T、7T、9T、11T)の記録再生を行なっ
た。なお、記録時には8mWのレーザー光を照射し、再生
時には0.5mWのレーザー光を照射した。これらのレー
ザー光の波長は、780nmとした。
【0070】この結果、未記録部の反射率は50%、記
録部の反射率は10%であり、光記録ディスクとしての
使用が可能であった。
【0071】また、サンプルNo. 1を60℃、80%R
Hで1000時間保存して、耐久保存性の試験を行なっ
た。この結果、エラー率は殆ど増加しなかった。
【0072】[実施例2]反射薄膜を1000A 厚のA
lとし、記録薄膜の厚さを800A とした他は実施例1
のサンプルNo. 1と同様にして、光記録ディスクサンプ
ルNo. 2を作製した。
【0073】サンプルNo. 2について、実施例1と同様
な記録再生を行なったところ、未記録部の反射率は55
%、記録部の反射率は15%であり、光記録ディスクと
しての使用が可能であった。また、Alに替えてAu、
PtまたはCuを用いた場合でも、ほぼ同様な結果が得
られた。
【0074】[実施例3]誘電体薄膜3と記録薄膜4と
の間に低融点薄膜7を設けて、図2に示される構成の光
記録ディスクサンプルNo. 3を作製した。
【0075】低融点薄膜7は、ターゲットとしてSnを
用い、スパッタ法により50A の厚さに形成した。
【0076】なお、低融点薄膜7以外の構成は実施例1
で作製したサンプルNo. 1と同じとした。
【0077】サンプルNo. 3について、記録レーザー光
のパワーをサンプルNo. 1よりも2mW低い6mWとし、再
生レーザー光のパワーを0.5mWとして記録および再生
を行なったところ、サンプルNo. 1と同様な反射率変化
が得られた。
【0078】[実施例4]記録薄膜4を窒化鉄から構成
し、また、誘電体薄膜3を窒化ケイ素から構成し、その
他は実施例1のサンプルNo. 1と同様にして光記録ディ
スクサンプルNo.4を作製した。
【0079】記録薄膜4は、窒素ガスとArガスを含む
雰囲気中で反応性高周波スパッタ法により800A の厚
さに形成した。スパッタ時の圧力は5.5×10-1Paと
し、窒素ガスの流量は1SCCMとし、Arガスの流量は1
0SCCMとした。また、ターゲットにはFeを用い、スパ
ッタパワーは200W とした。記録薄膜4の組成をオー
ジェ分光法により測定したところ、10原子%の窒素を
含み、残部はFeであった。
【0080】誘電体薄膜3は、Si34 をターゲット
としてスパッタ法により1000Aの厚さに形成した。
【0081】サンプルNo. 4について、CD信号(3
T、5T、7T、9T、11T)の記録再生を行なっ
た。なお、記録時には12mWのレーザー光を照射し、再
生時には0.5mWのレーザー光を照射した。これらのレ
ーザー光の波長は、780nmとした。
【0082】この結果、未記録部の反射率は58%、記
録部の反射率は20%であり、光記録ディスクとしての
使用が可能であった。
【0083】また、サンプルNo. 1と同様に耐久保存性
試験を行なったところ、サンプルNo. 1と同様な結果が
得られた。
【0084】[実施例5]誘電体薄膜3と記録薄膜4と
の間に低融点薄膜7を設けて、図2に示される構成の光
記録ディスクサンプルNo. 5を作製した。
【0085】低融点薄膜7は、実施例3のサンプルNo.
3と同様にして形成し、その他の構成は実施例4のサン
プルNo. 4と同じとした。
【0086】サンプルNo. 5について、記録レーザー光
のパワーをサンプルNo. 4よりも4mW低い8mWとし、再
生レーザー光のパワーを0.5mWとして記録および再生
を行なったところ、サンプルNo. 4と同様な反射率変化
が得られた。
【0087】
【発明の効果】本発明の光記録媒体は、追記型光記録デ
ィスクとしての使用が可能である。本発明では、記録薄
膜材料として無機材料を用いるので極めて耐光性が高
く、また、基板と記録薄膜との間に誘電体薄膜を設ける
ので、基板側からの水蒸気や酸素の侵入を防止でき、記
録前および記録後のいずれにおいても長期にわたって信
頼性の高い保存が可能である。
【0088】また、反射薄膜材料として形状記憶合金を
用いた場合、高い記録感度が得られ、例えば8mW以下の
低パワーのレーザー光による記録が可能である。特に、
誘電体薄膜と記録薄膜との間に低融点薄膜を設ければ、
6mW以下の低パワーで記録を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の好適実施例を示す部分断
面図である。
【図2】本発明の光記録媒体の好適実施例を示す部分断
面図である。
【符号の説明】
1 光記録媒体 2 基板 3 誘電体薄膜 4 記録薄膜 41 空隙 5 反射薄膜 51 凹部 6 保護膜 7 低融点薄膜

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板表面に、誘電体薄膜、記録薄膜およ
    び反射薄膜をこの順で有し、前記記録薄膜が、加熱によ
    り分解して酸素または窒素ガスを放出する無機化合物と
    して酸化銀または窒化鉄を含有し、 前記酸化銀中の酸素の含有比率が5〜50原子%であ
    り、 前記窒化鉄中の窒素の含有比率が5〜50原子%である
    ことを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記誘電体薄膜が酸化ケイ素または窒化
    ケイ素を含有する請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記反射薄膜が、形状記憶合金、Al、
    Au、PtまたはCuから構成される請求項1または2
    に記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記誘電体薄膜と前記記録薄膜との間
    に、低融点薄膜を有する請求項1ないし3のいずれかに
    記載の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記低融点薄膜が、Sn、Zn、Pb、
    Bi、Tl、Te、Se、S、Al、Ga、Ge、Cd
    またはIから構成される請求項4に記載の光記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の光
    記録媒体を製造する方法であって、前記記録薄膜が反応
    性スパッタ法により形成されることを特徴とする光記録
    媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記記録薄膜が、酸素ガスを含有する雰
    囲気中においてAgをターゲットとして反応性スパッタ
    により形成される請求項6に記載の光記録媒体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記反応性スパッタに際して、全てのガ
    スの合計流量に対し酸素ガスの流量を10〜70%とす
    る請求項7に記載の光記録媒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記記録薄膜が、窒素ガスを含有する雰
    囲気中においてFeをターゲットとして反応性スパッタ
    により形成される請求項6に記載の光記録媒体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記反応性スパッタに際して、全ての
    ガスの合計流量に対し窒素ガスの流量を10〜20%と
    する請求項9に記載の光記録媒体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記反応性スパッタ時の圧力が3×1
    -1〜1.0Paである請求項7ないし10のいずれかに
    記載の光記録媒体の製造方法。
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