JP3155779U - 衣料用裏地 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)着色剤を総量に対して0.2〜5質量%の範囲で含有した原着ポリエステル繊維と、着色剤を総量に対して0.2〜5質量%の範囲で含有した原着セルロース系繊維とを複合した複合繊維からなる衣料用裏地であって、
前記原着ポリエステル繊維(A)と前記原着セルロース系繊維(B)との混用重量比率(A/B)が80/20〜30/70であり、かつ下記式で表されるカバーファクター(CF)が20以上45以下であることを特徴とする衣料用裏地。
カバーファクター:CF=CF1+CF2
CF1=経糸密度Dw(本/2.54cm)/√経糸番手Nw
CF2=緯糸密度Df(本/2.54cm)/√横糸番手Nf
(2)前記原着ポリエステル繊維と前記原着セルロース系繊維とが短繊維であり、これら短繊維どうしを混紡した紡績糸を用いた前記(1)に記載の衣料用裏地。
(3)前記原着ポリエステル繊維がフィラメント糸であり、前記衣料用裏地の一部に交織されている前記(1)および(2)に記載の衣料用裏地。
本考案におけるポリエステル繊維とは、エチレンテレフタレートを主たる構成単位としたポリエステル繊維を代表例とするが、少量の第三成分と共重合させたポリエステル繊維でも良く、静電防止剤等その他の改質剤を含んでいても差し支えない。
本考案におけるセルロース系繊維とは、ビスコース法レーヨン、モダールに代表されるハイウエットモジュラスレーヨン、セルロースを有機溶剤(NメチルモルフォリンNオキサイド)に溶かして紡糸される精製セルロース繊維や銅アンモニアレーヨンやポリノジックレーヨン、竹を原料とする再生セルロース繊維等があげられ、これらを単独で用いても、混用して用いても良い。
本考案でいう着色剤は、ポリマーの重合段階から紡糸されるまでの任意の過程で添加すれば良いが、設備の汚染、制御等の取り扱性から、重合終了後に添加する方がより好ましい。
添加方法としては、溶融紡糸時の安定性、着色剤の取り扱い性により、マスターバッチ方式が好ましい。
本考案でいう着色剤の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタン、弁柄、群青等の無機系顔料、フタロシアニン系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、ペリレン系等の有機系顔料などがあげられる。
本考案における原着ポリエステル繊維には、着色剤を原着ポリエステル繊維の総量に対して0.2〜5.0質量%含有させており、好ましくは0.5〜3.0質量%を含有させるのが良い。原着ポリエステル繊維の総量に対して0.2質量%よりも少ないと該原着ポリエステル繊維に充分な発色や色濃度が得られず、一方、5.0質量%を超えると円滑な該原着ポリエステル繊維の紡糸を行い難くなり好ましくない。
本考案における原着ポリエステル繊維のフィラメント糸は、ポリエステルポリマーに着色剤の含有量が原着ポリエステル繊維の総量に対して0.2~5.0質量%に成る様に混合させたものを、常法により、溶融紡糸溶融紡糸装置を用いて紡糸・延伸して得られる。
また、本考案における原着ポリエステル繊維の短繊維は、得られたフィラメント糸を延伸したのちに捲縮を付与し、さらに必要な長さにカットして得られる。
本考案における原着ポリエステル繊維は、水、油、アルコールなどに不溶で、かつ染料よりもはるかに大きな粒径を有する着色顔料(色素粒子)が、繊維内部に分散した状態で着色しているために、原着ポリエステル繊維は、色目が深く、濃く、酸化漂白や還元漂白に対する耐性に優れ、耐熱性、耐光性をもち、さらに洗濯や摩擦等による色素の変化、色素の脱落、色素の熱に対する移行の問題が、はるかにおきにくい。
本考案における原着セルロース系繊維には、原着セルロース系繊維の総量に対して0.2~5.0質量%の着色剤を含有させており、好ましくは0.5〜3.0質量%を含有させるのが良い。原着セルロース系繊維の総量に対して0.2質量%よりも少ないと該原着セルロース系繊維に充分な発色や色濃度が得られず、一方、5.0質量%を超えると円滑な原着セルロース系繊維の紡糸に支障をきたすからである。
本考案でいう着色剤の具体例としては、原着ポリエステル繊維の着色剤で例示したものと同じ、カーボンブラック、酸化チタン、弁柄、群青等の無機系顔料、フタロシアニン系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、ペリレン系等の有機系顔料などがあげられる。
本考案における原着セルロース系繊維のフィラメント糸は、着色剤をセルロース原液に原着セルロース系繊維の総量に対して0.2〜5.0質量%混合したのち、常法によって、湿式紡糸または乾・湿式紡糸して得られる。
本考案における原着セルロース系繊維の短繊維は、得られたフィラメント糸を紡糸したのち必要な長さにカットし、乾燥させて得られる。
本考案における原着セルロース系繊維は、水、油、アルコールなどに不溶で、かつ染料よりもはるかに大きな粒子径を有する着色顔料(色素粒子)が、繊維内部に分散した状態で着色しているために、原着セルロース系繊維は酸化漂白や還元漂白に対する耐性に優れ、耐熱性、耐光性をもち、さらに洗濯や摩擦等による色素の変化や色素の脱落が、はるかにおきにくい。
本考案における原着ポリエステル繊維と原着セルロース系繊維との混紡糸は、これらの短繊維を常法の紡績工程で混綿したのち、梳綿、練条、粗紡、精紡工程を経て得られるリング紡績糸でも、スライバーから直接糸に紡ぐオープエンド紡績法や空気過流(村田機械製MVS)紡績法等によって得られる紡績糸でも、紡績法にはこだわらないが、紡績糸としての必要な強度や均斉度や糸外観を備えている必要がある。
本考案の裏地は、上記混紡糸を用いて、特に限定されるものではないが、平織、綾織、朱子織、それらの変化組織等の製織方法で得られ、好ましくは綾織で製織されるのが良い。綾織は、連続的に浮き沈みした交錯点によって、表面に綾線が走り、得られる織物は、かっちりとした組織で平滑性があり、平織りよりも糸密度を高くすることができ、地質が柔らかく、光沢のある厚い織物が得られる。さらに原着ポリエステル繊維のフィラメント糸を用い、本考案の裏地に原着ポリエステル繊維のフィラメント糸が交織されて含むことが好ましい。
カバーファクター:CF=CF1+CF2
CF1= 経糸密度Dw(本/2.54cm)/√経糸番手Nw
CF2= 緯糸密度Df(本/2.54cm)/√横糸番手Nf
上記CFが20より低いと、従来の染料による織物設計では、裏地として密度が不足してしまい、目ズレ等の問題が発生しやすい。上記CFが45を超えてしまうと、高密度になりすぎて、製織上の問題が多発したり、織物として硬く、厚くなりすぎて、裏地として適さない。それに対して、本願は上記生地を使っているので、高温、高熱、水洗等の長時間に及ぶ染色負荷によって生ずる経方向や緯方向の数%〜10%程度(組織、密度、染色法によって異なる)の生地収縮を、殆んど起こすことがない。さらに、本願の上記生地は、裏地として必要な擦れに対する強度や吸湿性があり、ピリングの発生もなく、酸化漂白剤や還元漂白剤に対しての脱色や色褪せなどの漂白耐性を有するとともに、色目が深く、濃く、摩擦に対する堅牢度が良好で、目ズレや毛羽立ち等の外観変化をおこさない良好な織物が得られる。
以下、本考案に係る裏地を適用した実施形態を、図1および図2に基づいて説明する。これらの図に示す衣服は、主にカジュアルウェアとして着用されるパンツAおよびジャケットBである。
前記パンツAは長ズボンタイプであるが、長ズボンタイプに限定されるものではなく、七分丈ズボンタイプでも半ズボンタイプ等であってもよい。
前記ジャケットAは長袖タイプであるが、長袖タイプに限定されるものではなく、七分袖等の短い袖や半袖等であってもよい。
カラーアイ(グレタグマクベス社(株)製)を用いて織物のL値(明度)を測定した。L値によって以下の評価をした。
○: 優 ( L ≦ 16.0 )
△: 良〜可( 16.0 < L < 22.0 )
×: 不可 ( L ≧ 22.0 )
(2)塩素系漂白剤で洗い後の織物の色の深み・濃さ(試験I)の評価
織物と塩素系漂白剤として有効塩素12%の次亜塩素酸ソーダ10g/L溶液の浴比を1:20とし、ワッシャーにて水温60℃で20分間撹拌浸漬させ、脱塩素処理し、該織物を水洗・乾燥させた(この一連の工程は標準的な製品洗いのブリーチ工程である。)後にカラーアイ(グレタグマクベス社(株)製)を用いて該織物のL値(明度)を測定した。L値によって以下の評価をした。
○: 優 ( L ≦ 16.0 )
△: 良〜可( 16.0 < L < 22.0 )
×: 不可 ( L ≧ 22.0 )
(3)還元漂白剤で洗い後の織物の色の深み・濃さ(試験II)の評価
織物と還元系漂白剤としてハイドロサルファイト15g/Lと苛性99%の固形苛性ソーダの5g/Lの溶液の浴比を1:20とし、ワッシャーにて水温80℃で20分間撹拌浸漬させ、溶液を中和し、該織物を水洗・乾燥させた後にカラーアイ(グレタグマクベス社(株)製)を用いて該織物のL値(明度)を測定した。ここで、ぶどう糖での製品洗い条件に近似した漂白にするために、還元漂白剤(ハイドロサルファイト)を用いた。L値によって以下の評価をした。
○: 優 ( L ≦ 16.0 )
△: 良〜可( 16.0 < L < 22.0 )
×: 不可 ( L ≧ 22.0 )
染色堅牢度試験方法(JIS―L−0849)に規定されている摩擦試験機II形(学振形)に準拠し、乾燥状態の織物の級数(G)判定を行った。級数判定によって、以下の判定をした。
○: 優 ( G ≧ 4級 )
△: 良〜可( G = 3.5級 )
×: 不可 ( G ≦ 3級 )
(5)湿潤状態の織物の摩擦堅牢度の判定(湿試験)
染色堅牢度試験方法(JIS―L−0849)に規定されている摩擦試験機II形(学振形)に準拠し、湿潤状態の織物の級数(G)判定を行った。級数判定によって、以下の判定をした。
○: 優 ( G ≧ 3級 )
△: 良〜可( G = 2.5級 )
×: 不可 ( G ≦ 2級 )
昇華に対する染色堅牢度試験方法(JIS―L−0854)にて、織物の級数(G)判定を行った。級数判定によって、以下の判定をした。
○: 優 ( G ≧ 4級 )
△: 良〜可( G = 3.5級 )
×: 不可 ( G ≦ 3級 )
一般織物試験方法(JIS−L−1096)に規定されている摩耗強さのA法(ユニバーサル形法)のA−1法(平面法)にて磨耗するまでの摩擦回数Fを測定した。摩擦回数によって、以下の評価をした。
○: 優 ( F ≧ 300回 )
△: 良〜可( 150回 < F < 300回 )
×: 不可 ( F ≦ 150回 )
一般織物試験方法(JIS−L−1096)に規定されている縫い目滑脱法B法にて滑脱幅Sを測定した。滑脱幅によって、以下の評価をした。
○: 優 ( S ≦ 2mm )
△: 良〜可( 2mm < S < 3mm )
×: 不可 ( S ≧ 3mm )
織物および編物のピリング試験法(JIS−L−1076)に規定されるA法(ICI形試験機を用いる方法)にて試験片に摩擦を10時間与えた後に級数(G)判定を行った。級数判定によって、以下の判定をした。
○: 優 ( G ≧ 3級 )
△: 良〜可( 2.5級 ≦ G < 3級 )
×: 不可 ( G < 2.5級 )
繊維製品の吸水性試験方法(JIS−L−1907)に規定されているバイレック法にて吸水高さHを測定した。吸水高さによって、以下の評価をした。
○: 優 ( H ≧ 45mm )
△: 良〜可( 20mm < H < 45mm )
×: 不可 ( H ≦ 20mm )
着色剤としてカーボンブラックを原着ポリエステル繊維の総量に対して2.0質量%を含有させた1.7dtex×38mmの原着ポリエステル短繊維を作製した。同じく、着色剤としてカーボンブラックを原着レーヨンの総量に対して2質量%練り込んで、ビスコース法にて1.7dtex×38mmの原着レーヨン短繊維を作製した。次いで、前記原着ポリエステル短繊維65%と前記原着レーヨン短繊維35%の短繊維を、常法のリング紡績工程にて混綿混紡し、梳綿、練条、粗紡、精紡工程を経て、Ne30番手の黒色の紡績糸を得た。
原着ポリエステル短繊維50%と原着レーヨン短繊維50%の短繊維とした他は、実施例1と同様にしてNe30番手の黒色の紡績糸を得た。
原着ポリエステル短繊維20%と原着レーヨン短繊維80%の短繊維とした他は、実施例1と同様にしてNe30番手の黒色の紡績糸を得た。
原着ポリエステル短繊維65%と原着レーヨン短繊維35%の短繊維とした他は、実施例1と同様にしてNe30番手の黒色の紡績糸を得た。
1.7dtex×38mmのポリエステル短繊維を65%、ビスコース法にて製造した1.7dtex×38mmのレーヨン短繊維35%とを、常法のリング紡績工程にて混綿混紡し、梳綿、練条、粗紡、精紡工程を経て、Ne30番手紡績糸を得た。
比較例3と同様にして、1.7dtex×38mmのポリエステル短繊維を65%、ビスコース法にて製造した1.7dtex×38mmのレーヨン短繊維35%とを、常法のリング紡績工程にて混綿混紡し、梳綿、練条、粗紡、精紡工程を経て、Ne30番手紡績糸を得た。
1.7dtex×38mmのポリエステル短繊維100%を、常法のリング紡績工程にて混綿し、梳綿、練条、粗紡、精紡工程を経て、Ne30番手紡績糸を得た。
一方、本考案による裏地は、表1の実施例1、2に示す如く、織物の色目は深く、濃く、塩素漂白にも還元漂白にも色褪せもほとんどせず、裏地として必要な諸物性もすべて満たした優れた性質を有している。
B ジャケット
C 裏地
1 脇ポケット
2 腰ポケット
3 腰裏帯地
4 胸ポケット
5 腰ポケット
Claims (3)
- 着色剤を総量に対して0.2〜5質量%の範囲で含有した原着ポリエステル繊維と、着色剤を総量に対して0.2〜5質量%の範囲で含有した原着セルロース系繊維とを複合した複合繊維からなる衣料用裏地であって、
前記原着ポリエステル繊維(A)と前記原着セルロース系繊維(B)との混用重量比率(A/B)が80/20〜30/70であり、かつ下記式で表されるカバーファクター(CF)が20以上45以下であることを特徴とする衣料用裏地。
カバーファクター:CF=CF1+CF2
CF1=経糸密度Dw(本/2.54cm)/√経糸番手Nw
CF2=緯糸密度Df(本/2.54cm)/√横糸番手Nf - 前記原着ポリエステル繊維と前記原着セルロース系繊維とが短繊維であり、これら短繊維どうしを混紡した紡績糸を用いた請求項1に記載の衣料用裏地。
- 前記原着ポリエステル繊維がフィラメント糸であり、前記衣料用裏地の一部に交織されている請求項1、2に記載の衣料用裏地。
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