JP3155730B2 - 4サイクルエンジン - Google Patents

4サイクルエンジン

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JP3155730B2
JP3155730B2 JP24234597A JP24234597A JP3155730B2 JP 3155730 B2 JP3155730 B2 JP 3155730B2 JP 24234597 A JP24234597 A JP 24234597A JP 24234597 A JP24234597 A JP 24234597A JP 3155730 B2 JP3155730 B2 JP 3155730B2
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裕一 河本
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Kawasaki Jukogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小型滑走艇や自動
車用の4サイクル(ストローク)エンジンに関し、詳し
くは、該エンジンのクランク軸、オイルポンプ軸、スタ
ータモータ駆動軸などの軸配置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記した水上を滑走する小型滑走艇に
は、一般的に推進用のエンジンとして小型、軽量の利点
をもつ2サイクル式のものが搭載されている。近年、騒
音レベルが比較的低く、また排気ガス状態が良好な4サ
イクルエンジンが小型滑走艇に搭載され始めている。
【0003】この例は、例えば特開平7−237587
号公報に開示されている。同公報に記載の4サイクルエ
ンジンでは、船尾のウォータジェットポンプのインペラ
軸とのカップリングに連結されたリングギヤとこれに内
接するギヤとからなる減速装置が備えられており、クラ
ンク軸と同軸の出力軸にその内接ギヤが取り付けられて
いる。また、同エンジンはその頂部にカムシャフトを備
えたOHCエンジンからなり、カムシャフトはカムチェ
ーンで回転され、内接ギヤのすぐ前方のクランク軸端部
にスプロケットを介してカムチェーンが接続されてい
る。さらに、減速装置を含むエンジン全体の潤滑方式に
はドライサンプ方式が採用されており、エンジン潤滑用
のオイルタンクがカップリングの上方に配置され、エン
ジン下部に設けられたオイルパンにオイルポンプを介し
て連通させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載のエンジンでは、スカベンジングポンプとフィ
ードポンプとがエンジンの軸方向に対し直交する方向に
離れて配置されているため、各ポンプ駆動軸が2本にな
って設置スペースを広く要するとともに、両者をエンジ
ンで駆動するための動力伝達手段が必要になる。また上
記公報には、始動用のスタータモータの配置や同モータ
とクランク軸との動力伝達手段などについて一切記載さ
れていないが、実際にはスタータモータを配置する位置
はエンジン本体の一端で、各種機器が取り付けられるた
めその取付位置や取付スペースは種々の制限を受ける。
特に小型滑走艇に搭載するエンジンの場合には、スター
タモータなどの電気系機器は、船体内の上部位置は水が
かかりやすく、また船底には水が溜まりやすいから船底
付近も避ける必要がある。
【0005】また、カムシャフトの減速率を2倍にする
ためにカムシャフト側のスプロケットに比べてクランク
軸側のスプロケットの歯数を半分にする必要があるが、
このためには歯数の少ない、いいかえれば外径の小さい
スプロケットの取付を容易にするため、クランク軸の外
径を小さくしなければならず、クランク軸の耐久性が劣
るおそれがある。
【0006】さらに、上記公報に記載のエンジン潤滑シ
ステムでは、クランクケースと別体のオイルタンクを設
けており、それ自体が重量増大を招くことがある他、2
種類のオイルポンプ(クランクケースからタンクへ潤滑
油を送るスカベンジングポンプや、タンクからエンジン
各部へオイルを送るフィードポンプ)とオイルタンクと
を接続する外部配管が必要となって配管が繁雑になり、
管路抵抗が大きくなってメカニカルロスを増大し、油圧
上昇レスポンスを低下させ、さらにタンク取付スペース
や取付部品を必要とし、製造コストの上昇および重量増
加の要因となる等の不都合がある。
【0007】本発明は上述の点に鑑みなされたもので、
オイルポンプ駆動軸およびスタータモータ駆動軸をエン
ジン本体のクランク軸とともに効率よく配置できる4サ
イクルエンジンを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明にかかるオイルポンプおよびスタータモータ
を備えた4サイクルエンジンは、a)前記オイルポンプ
を、前記エンジン本体の底部一端側にクランク軸から所
定距離あけて一側方へ偏って配置し、クランク軸の端部
に一体回転可能に取り付けたスプロケットと前記オイル
ポンプの駆動軸に一体回転可能に取り付けたスプロケッ
トとをチェーンで接続するとともに、b)前記スタータモ
ータを、前記オイルポンプの上方でかつエンジン本体寄
りに配置し、クランク軸の端部に一体回転可能に取り付
けたリングギヤと前記スタータモータの駆動軸に一体回
転可能に取り付けた駆動ギヤとを中間減速ギヤを介在さ
せて接続している。
【0009】上記の構成を有する4サイクルエンジンに
よれば、エンジン本体底部のクランク軸と、この軸と所
定間隔をあけてエンジン本体底部付近に位置するオイル
ポンプ駆動軸と、これらの軸のほぼ中間位置でその上方
に位置するスタータモータ駆動軸との3軸が三角形状に
配置され、コンパクトにまとまる。スタータモータ駆動
軸とクランク軸との接続にあたっては非常に大きな減速
率(例えば1/数十)と大きな伝達トルクが要求される
が、歯車機構を用いたので大きな減速率および大きな伝
達トルクを容易に達成でき、またスタータモータの位置
は、エンジン底部より上方で、かつエンジン本体の上下
方向の中間位置よりやや下方で、水がかかりにくい位置
にあるため、特に防水を必要とする電気系機器の取付位
置として好適な位置である。一方、オイルポンプは等倍
〜2倍程度の減速率が得られれば十分であり、スタータ
モータほどの大きな伝達トルクも要求されないため、歯
車機構に比べて軽量で駆動音の静かなチェーン機構を用
いており、オイルポンプはエンジン本体底部付近に位置
するため、最終的にエンジン本体の底部付近に落下し溜
まる潤滑油をエンジン内の各部に送り出したり、タンク
へ送り込んだりする吸引用あるいは送給用のいずれのタ
イプのオイルポンプの設置位置としても好適である。
【0010】請求項2記載のように、前記エンジン本体
の頂部に吸気用および排気用のカムシャフトを横並びに
相平行して設け、前記クランク軸上で前記スプロケット
に隣接して一体回転可能に取り付けたスプロケットと前
記各カムシャフトに一体回転可能に取り付けたスプロケ
ットとをカムチェーンで接続することができる。
【0011】この発明の構成によると、クランク軸の一
端部上においてカムシャフト駆動用のスプロケット、オ
イルポンプ駆動用スプロケットおよびスタータモータの
回転トルク伝達用減速ギヤが相隣接してそれぞれクラン
ク軸と一体回転可能に取り付けられる。このため、クラ
ンク軸端部の長さ方向の非常に狭い範囲内に、カムシャ
フト、オイルポンプおよびスタータモータの全ての駆動
力伝達手段が収められる。
【0012】請求項3記載のように、前記オイルポンプ
の後方に潤滑油タンクをエンジン本体と一体に取り付け
るとともに、前記潤滑油タンクに潤滑油を送り込むため
のオイルポンプの駆動部と前記潤滑油タンク内の潤滑油
を送り出すためのオイルポンプの駆動部とを同軸上に設
け、エンジン本体を挟んで該潤滑油タンクと反対側に排
気系機器を、エンジン本体の頂部上方に吸気系機器を配
置し、排気ポートと排気系機器を排気管を介してまた吸
気ポートと吸気系機器を吸気管を介してそれぞれ接続
し、竪型(直立)のエンジン本体を中心に前記各構成部
材を正面より見て略正方形枠内に配置することが望まし
い。
【0013】この発明の構成によれば、図3に示すよう
にエンジン全体が前方又は後方の一方から見て略正方形
枠内に収まるコンパクトな形態となり、デッドスペース
(無駄な空間)がほとんどなく、またクランクケースお
よび潤滑油タンクがエンジンの底部付近に位置し、エン
ジン全体の重心が非常に低い位置にあり、低重心化が図
られる。また、2種類のオイルポンプが同軸上に配置さ
れ、それぞれのポンプが共通の駆動軸にて駆動されるか
ら、構造が簡単で、設置スペースも最小限に抑えられ
る。
【0014】請求項4記載のように、直筒状の水冷式オ
イルクーラを、前記エンジン本体の長手方向に沿って前
記排気系機器との空間に配設すると、一層好ましい。
【0015】この発明の構成によれば、エンジン本体と
排気系機器との僅かな空間にオイルクーラを配置でき、
しかもエンジン本体の長さに対応してオイルクーラの長
さを十分に長く確保でき、また水冷式にしたから、潤滑
油を効率よく冷却できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の4サイクルエン
ジンについてその実施の形態を図面に基づいて説明す
る。
【0017】図1は小型滑走艇とこれに搭載した4サイ
クルエンジンなどを示す側面図、図2は船体とエンジン
などを前方から見た正面図、図3は図2の一部を切り欠
いて要部を断面で表した縦断面図、図4は4サイクルエ
ンジンを示す図2のA−A線断面図、図5は図4のB−
B線断面図、図6は図4のC−C線断面図である。
【0018】小型滑走艇1は水上の乗り物で、図1に示
すように、船底ハル2の上にデッキ3やシート4、ハン
ドル5などを取り付けて一人〜三人が搭乗できるように
なっている。推進手段としては船体の下部後方にウォー
タジェットポンプ7を備えており、それにて加圧し噴出
するウォータジェットにより推進力を得て水面上を滑走
する。ウォータジェットを形成するためのポンプ7はエ
ンジン6により駆動されるが、そのエンジン6は、船体
の前後方向のほぼ中央で船底ハル2やデッキ3・シート
4などに囲まれた船体内の空間(エンジンルーム)8内
に搭載されている。エンジン6の出力は弾性継手を介し
てインペラ軸9へ伝えられ、そのインペラ軸9がポンプ
7(のインペラ7A)を回転させる。なお、エンジン6
は、運転時の振動が船体に直接伝わらないように、図3
に一部を切り欠いて示すように船底ハル2の上に、ダン
パー(図示せず)を介して支持パイプ(図示せず)を架
設し、この支持パイプ(長手方向に複数本配置する)に
エンジン6を直立に、かつエンジン6の中心軸線Lをエ
ンジンルーム8(図2)の中心軸線Lに一致させて取り
付けている。
【0019】エンジン6はDOHC4サイクル四気筒
で、図4に示すように、エンジン6は、シリンダヘッド
21を上部に有し、図5のようにシリンダヘッド21の
すぐ上方のカムシャフト室29内には2本のカムシャフ
ト30が平行に組み込まれている。それより下にシリン
ダブロック22やクランクケース23、潤滑油タンク2
4を備えている。シリンダヘッド21の内部には、吸気
通路11と排気通路12が形成されており、各通路1
1、12を開閉するバルブ6g・6hとともにそれらの
ための動弁機構等が組み込まれている。各気筒の吸気ポ
ート6eには吸気通路11を介してJ字状に屈曲させた
吸気管(吸気マニホールド)13が接続され、この吸気
管13の上流側には吸気ボックス14や電子燃料噴射器
(図示せず)などからなる吸気系機器が接続されてい
る。また各気筒の排気ポート6fには排気通路12を介
して排気管(排気マニホールド)15が接続され、それ
ら4本の排気管15はエンジン6の底部近傍まで下向き
に延設されたのち、上下に2本ずつ並べて一体的に集合
され、また排気管15の集合部15aの周囲には水ジャ
ケット15bが全体を覆うように装着されている。
【0020】図1のように排気管15の下流側には、サ
イレンサー(消音器)16、水マフラ17などが接続さ
れている。すなわち、排気管15の集合部15aの後端
部が弾性継手18を介してサイレンサー16内の中心部
に挿入されている。サイレンサー16は、その後端が隣
接して固設された水マフラ17の後部に接続されてい
る。サイレンサー16内には、エンジン6からの冷却水
が弾性継手18を介して流入するとともに、排気ガスが
排気管15から流入する。サイレンサー16内に流入し
た冷却水と排気ガスは、水マフラ17へ送られる。図示
は省略するが、水マフラ17内は複数の部屋に仕切ら
れ、その後端部内に挿入された排気出口管19により、
排気ガスとともに冷却水が外部へ排出される。
【0021】図4のように、シリンダブロック22の内
部のシリンダライナ22A内には上下に摺動可能なよう
にピストン20が配置され、それらとシリンダヘッド2
1にて囲まれた空間が燃焼室となっている。ピストン2
0はコンロッド26を介してクランク軸28に連接され
ており、そのクランク軸28は軸受(図示は省略)を介
してクランクケース23により支えられている。
【0022】そして、図5に示すようにクランクケース
23の底部の右端側には、長手方向に沿って潤滑油を溜
めるオイル溜め部31が設けられている。このオイル溜
め部31は各気筒ごとに滑らかに傾斜したリブ32で仕
切られ、各リブ32にはエンジン6の長手方向に一連に
貫通する連通孔33が穿設され、オイル溜め部31を覆
うように長手方向に連続する傾斜板34が各リブ32に
掛け渡されるように取り付けられている。傾斜板34に
は、バランスウエイト28bの回転(図5では反時計方
向)によってクランクケース23の底部に落下した潤滑
油をオイル溜め部31内に掻き込むための開口(プレス
穴)34aが長手方向に間隔をあけて形成されている。
また、オイル溜め部31に隣接する潤滑油タンク24の
端面(船首側)には、図3に示すようにスカベンジング
ポンプP1とフィードポンプP2とが共通の駆動軸41
上に設けられている。
【0023】図1あるいは図4に示すように、クランク
軸28の船尾側端には、インペラ軸9と連結するための
カップリング33を一体回転可能に取り付けている。ま
た、クランク軸28の船首側端にはジェネレータ34を
装着している。このジェネレータ34のすぐ後方のクラ
ンク軸28の端部に、カムチェーン35のスプロケット
36を一体回転可能に取り付けている。スプロケット3
6の上方には、カムシャフト室9に連通するカムチェー
ントンネル37が形成され、2本のカムシャフト30
(図3)にそれぞれ大径(歯数の多い)スプロケット3
8を一体回転可能に取り付け、上方の2つのスプロケッ
ト38および下方の小径(歯数の少ない)スプロケット
36に一連に、無端のカムチェーン35を掛け渡してい
る。クランク軸28の端部において、スプロケット36
に隣接して後方にポンプP1・P2(図3)駆動用のス
プロケット42を一体回転可能に取り付け、スプロケッ
ト36を挟んで反対側に大径(歯数の多い)リングギヤ
43を一体回転可能に取り付けている。
【0024】ここで、本発明の特徴部分の一つであるク
ランク軸28・ポンプ駆動軸41・スタータモータ軸4
5などの配置について説明する。図3に示すように、ク
ランクケース23の中心部でエンジン6本体の中心軸線
上にクランク軸28が位置し、このクランク軸28より
やや低い位置で潤滑油タンク24寄りに所定間隔(本例
では約100mm)をあけてポンプ駆動軸41が配置さ
れている。また、ポンプ駆動軸41の上方でエンジン6
本体寄りに、スタータモータ軸45が配置され、クラン
ク軸28・ポンプ駆動軸41・スタータモータ軸45は
それぞれほぼ等間隔に配置され、これらの3軸を結ぶと
略正三角形が形成される。さらに、シリンダヘッド21
上方のカムシャフト室29内には、中心軸線を挟んで2
本のカムシャフト30が配置されている。ポンプ駆動軸
41にはスプロケット42の歯数の約2倍の歯数を有す
るスプロケット46が一体回転可能に取り付けられ、無
端のチェーン47が掛け渡されている。そして、チェー
ン47の下(弛み)側にテンションガイド48が、上
(張り)側にガイド49がそれぞれ配設されている。ま
たカムチェーン35の左(弛み)側にテンションガイド
51が、右(張り)側にガイド51Aがそれぞれ配設さ
れている。
【0025】図6に詳しく示すように、スタータモータ
44はクランクケース23の端部壁にねじ込まれて取り
付けられ、スタータモータ軸45の周囲に形成された小
径ギヤ45aが、大径の中間ギヤ52に噛合し、この中
間ギヤ52と共通の支軸53上で一体的に回転する小径
の中間ギヤ54にクランク軸28のリングギヤ43が噛
合している。スタータモータ44の回転は回転力が数十
倍に増大されてクランク軸28に伝達され、クランク軸
28を回転させてエンジン6を始動する。エンジン6の
始動後は、リングギヤ43がワンウエイクラッチ28A
を介して空転し中間ギヤ54には回転力が伝達されな
い。
【0026】図3においてオイル溜め部31(図5)に
集まった潤滑油は、そこに配置されたストレーナ(図示
せず)を通して比較的大きな異物が除去されてからスカ
ベンジングポンプP1によってクランクケース23内に
形成された油路等を通って潤滑油タンク24に送られ
る。潤滑油タンク24内の潤滑油は、ファインストレー
ナ(図示は省略)を通してフィードポンプP2(図上、
ポンプP1と同じ位置にある)によって逆止弁(図示せ
ず)およびゼネレータ34のカバー34a(図6)の油
路およびストレーナ55(図2)を通してオイルクーラ
56に送られる。オイルクーラ56は直筒状の二重管構
造で、外管部に冷却水が通され、その中間管路を潤滑油
が通過することにより冷却される。このオイルクーラ5
6は、シリンダブロック22の最下部の長手方向に沿っ
て配設されている。オイルクーラ56の取付位置は、排
気管15の集合部15aとエンジン6との空間部で、後
方にほぼ水平に延びた集合部15aと平行している。
【0027】オイルクーラ56を通過した潤滑油はシリ
ンダブロック22の底部の長手方向に沿って設けられた
メインギャラリ57(図5)へ送られ、ここからエンジ
ン6内の潤滑の必要な各部(上記クランク軸軸受、クラ
ンクピン軸受、歯車、カムシャフト軸受、シリンダライ
ナ摺動面など)に供給される。つまり、潤滑油の流れ
は、エンジン6底部の潤滑油溜め部(メインギャラ
リ)31→第1フィルター(図示せず)→スカベジン
グポンプP1→潤滑油タンク24→第2フィルター
(図示せず)→フィードポンプP2→逆止弁(図示せ
ず)→ジェネレータカバー34通路→ジェネレータカ
バー34の第3フィルター55→オイルクーラ56→
エンジン6側メインギャラリ57→エンジン6内の
各部→クランクケース23底部→の順になる。なお、
ポンプP1、P2は、共通の駆動軸41の回転で作動す
る二連式トロコイドポンプとして構成されているが、勿
論、トロコイドポンプ以外に、内接ギアポンプ、外接ギ
アポンプなど他の形式のポンプも使用される。
【0028】上記のようにして本実施例にかかる小型滑
走艇の4サイクルエンジンが構成される。この4サイク
ルエンジンは、図3・図5のように直立状態でエンジン
ルーム8内に設置されるが、クランク軸28の位置がク
ランクケース23の底部付近と非常に低い、これは、ド
ライサンプ式の潤滑油システムを採用し、オイルパンを
無くしたことと、オイル溜め部31をクランクケース2
3の底部の片側に寄せたことによって、クランク軸28
を最大限に低い位置に下げられたからである。また、潤
滑油タンク24をエンジン6片側の、シリンダブロック
22からクランクケース23にかけて一体に形成し、エ
ンジン6の低い位置に設け、エンジン6を挟んで潤滑油
タンク24の反対側のかなり低い位置に下げて排気マニ
ホールド15の集合部15aを設けたことで、エンジン
6全体の重心が最大限に低くなるとともに、デッドスペ
ースがなくなる。また、エンジン6本体の全体高さを低
く抑えられたので、吸気ボックス14などの吸気系機器
をエンジン6本体の上方に配置でき、また吸気マニホー
ルド13を排気マニホールド15と反対側の空間を利用
しJ字状に屈曲させて配置したことで、ここでもデッド
スペースをなくすることができる。そして、略正方形の
枠内に収まり、小型滑走艇1の狭いエンジンルーム8内
に収容できる。
【0029】オイルポンプ駆動軸41をクランクケース
23内のクランク軸28よりさらに低い位置に配置した
ことで、クランクケース23の底部に落下して溜まった
潤滑油を、エンジン6内の潤滑の必要な各部に効率よく
供給できるようになる。また、共通の駆動軸41上にス
カベンジングポンプP1とフィードポンプP2の2種の
オイルポンプを設けたことで、個々の駆動軸上に設ける
場合に比べて設置スペースを縮小できるとともに、両駆
動軸間の回転伝達機構が不要になる。しかも、チェーン
機構を用いてクランク軸28の回転力を伝達するように
したので、駆動音を低減でき、また軽量化できた。一
方、電気系機器のスタータモータ44は水に浸かりにく
く、かつ水がかかりにくい位置、すなわちエンジンルー
ム8の底部より上方の、エンジン全体高さの下からほぼ
1/3の位置に配置し、極めて大きな減速率を得るた
め、クランク軸28とスタータモータ軸45とを2段の
中間ギヤ52・54を介在させて接続した。またクラン
ク軸28・ポンプ駆動軸41・スタータモータ軸45を
それぞれほぼ等間隔に配置し、これらの3軸を結ぶと略
正三角形になるように配置したから、コンパクトにまと
まり、取付スペースを最小限に抑えることができた。
【0030】以上に本発明の4サイクルエンジンの一例
を説明したが、下記のように実施することもできる。
【0031】 小型滑走艇用エンジンに限らず、自動
車のエンジンにも適用できる。
【0032】 エンジンのカムシャフト形式はSOH
Cでもよい。
【0033】 潤滑システムはウエットサンプ方式で
も可能である。
【0034】 エンジンの気筒数は4気筒に限らず、
2気筒、6気筒などいずれの気筒でもよい。
【0035】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明の4サイクルエンジンには、次のような効果があ
る。
【0036】(1) 請求項1の発明では、エンジン本
体底部付近においてクランク軸とオイルポンプ駆動軸と
スタータモータ駆動軸との3軸が三角形状に配置される
ので、コンパクトにまとまり、取付スペースを最小限に
抑えて小型化が図れる。スタータモータ駆動軸とクラン
ク軸との接続には歯車機構を用いたので、大きな減速率
が得られ、大きな駆動力をクランク軸に伝達できる。一
方、スタータモータ軸とクランク軸間はチェーン機構を
用いて接続したので、歯車機構に比べて軽量で駆動音を
小さくできる。またスタータモータの位置は、エンジン
底部より上方で、かつエンジン本体の上下方向の中間位
置よりやや下方で、水がかかりにくい位置にあるため、
特に防水を必要とする電気系機器の取付位置として好適
である。さらにオイルポンプはエンジン本体底部付近に
配置したから、エンジン本体の底部付近に落下し溜まる
潤滑油を効率よくエンジン内の各部に送り出したり、タ
ンクへ送り込んだりできる。
【0037】(2) 請求項2の発明では、クランク軸の端
部上にカムシャフト駆動用のスプロケット、オイルポン
プ駆動用スプロケットおよびスタータモータの回転トル
ク伝達用減速ギヤが相隣接してそれぞれ一体回転可能に
取り付けているので、クランク軸端部の長さ方向の非常
に狭い範囲内に、カムシャフト、オイルポンプおよびス
タータモータの全ての駆動力伝達手段が収められる。
【0038】(3) 請求項3の発明では、エンジン全体が
略正方形枠内に収まるコンパクトな形態となり、デッド
スペース(無駄な空間)がほとんどなく、またエンジン
全体の重心が非常に低い位置にあり、また2種類のオイ
ルポンプを同軸上に配置し、共通の駆動軸にて駆動する
から、構造が簡単で、設置スペースも最小限にできる。
【0039】(4) 請求項4の発明では、エンジン本体と
排気系機器との僅かな空間にオイルクーラを配置できる
とともに、エンジン本体の長さに対応してオイルクーラ
の長さを十分に長く確保でき、潤滑油を効率よく冷却で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる、小型滑走艇とこれに
搭載した4サイクルエンジンなどを示す側面図である。
【図2】船体とエンジンなどを前方から見た正面図であ
る。
【図3】図2の一部を切り欠いて要部を断面で表した縦
断面図である。
【図4】4サイクルエンジンを示す図2のA−A線断面
図である。
【図5】図4のB−B線断面図である。
【図6】図4のC−C線断面図である。
【符号の説明】
1 小型滑走艇 6 4サイクルエンジン 8 エンジンルーム 13 吸気管(吸気マニホールド) 15 排気管(排気マニホールド) 21 シリンダヘッド 22 シリンダブロック 23 クランクケース 24 潤滑油タンク 28 クランク軸 29 カムシャフト室 30 カムシャフト 31 オイル溜め部 32 リブ 33 連通孔 34 傾斜板 34a開口(プレス穴) 41 ポンプ駆動軸 42・46 スプロケット 43 リングギヤ 44 スタータモータ 45 スタータモータ軸 47 チェーン 52・54 中間ギヤ 56 オイルクーラ P1・P2 オイルポンプ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オイルポンプおよびスタータモータを備
    えた4サイクルエンジンであって、 前記オイルポンプを、前記エンジン本体の底部一端側に
    クランク軸から所定距離あけて一側方へ偏って配置し、
    クランク軸の端部に一体回転可能に取り付けたスプロケ
    ットと前記オイルポンプの駆動軸に一体回転可能に取り
    付けたスプロケットとをチェーンで接続するとともに、 前記スタータモータを、前記オイルポンプの上方でかつ
    エンジン本体寄りに配置し、クランク軸の端部に一体回
    転可能に取り付けたリングギヤと前記スタータモータの
    駆動軸に一体回転可能に取り付けた駆動ギヤとを中間減
    速ギヤを介在させて接続したことを特徴とする4サイク
    ルエンジン。
  2. 【請求項2】 前記エンジン本体の頂部に吸気用および
    排気用のカムシャフトを横並びに相平行して設け、前記
    クランク軸上で前記スプロケットに隣接して一体回転可
    能に取り付けたスプロケットと前記各カムシャフトに一
    体回転可能に取り付けたスプロケットとをカムチェーン
    で接続した請求項1記載の4サイクルエンジン。
  3. 【請求項3】 前記オイルポンプの後方に潤滑油タンク
    をエンジン本体と一体に取り付けるとともに、前記潤滑
    油タンクに潤滑油を送り込むためのオイルポンプの駆動
    部と前記潤滑油タンク内の潤滑油を送り出すためのオイ
    ルポンプの駆動部とを同軸上に設け、 エンジン本体を挟んで該潤滑油タンクと反対側に排気系
    機器を、エンジン本体の頂部上方に吸気系機器を配置
    し、排気ポートと排気系機器を排気管を介してまた吸気
    ポートと吸気系機器を吸気管を介してそれぞれ接続し、
    竪型のエンジン本体を中心に前記各構成部材を正面より
    見て略正方形枠内に配置した請求項1又は2記載の4サ
    イクルエンジン。
  4. 【請求項4】 直筒状の水冷式オイルクーラを、前記エ
    ンジン本体の長手方向に沿って前記排気系機器との空間
    に配設した請求項請求項1〜3のいずれかに記載の4サ
    イクルエンジン。
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