JP3154897B2 - アルミニウム材製熱交換器とその表面処理方法 - Google Patents

アルミニウム材製熱交換器とその表面処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係るアルミニウム材製
熱交換器とその表面処理方法は、自動車用空調機に組み
込んで空気調和用の空気を冷却するエバポレータ、或は
空気調和用の空気を加温するヒータコアとして使用され
る熱交換器の表面処理の改良に関する。そして、本発明
は、これらエバポレータやヒータコアを構成するアルミ
ニウム又はアルミニウム合金(本明細書では、これらを
合わせて単に『アルミニウム材』とする。)の表面が錆
たり、或は上記エバポレータのフィン及びチューブ表面
に凝縮水が溜まったり、黴が発生する事を防止する。
【0002】
【従来の技術】自動車用空調機を構成するダクト内には
熱交換器であるエバポレータを組み込んで、このダクト
内を流通する空気を冷却したり、この空気中に含まれる
水蒸気を除去する様にしている。この様なエバポレータ
は、近年アルミニウム材により製造しているが、アルミ
ニウム材が腐食した場合、上記エバポレータの表面に酸
化アルミニウムの白色粉末が付着する。この白色粉末が
ダクト内を流通する空気に送られて空調機の吹き出し口
から自動車室内に吹き出すと、乗員に不快感を与える。
【0003】又、空調機の使用時にエバポレータの表面
には、空気中に含まれる水蒸気が凝縮水として付着し、
このエバポレータの表面が湿ったままの状態となる。こ
の為、エバポレータの表面には黴が発生し易く、発生し
た場合には上記吹き出し口から自動車室内に吹き出す空
気が黴臭くなって、やはり乗員に不快感を与える。更
に、上記凝縮水が水滴としてエバポレータの表面に付着
した場合には、ダクト内に送られる風によってこの水滴
が上記吹き出し口から自動車室内に飛散し易くなり、や
はり乗員に不快感を与える。
【0004】この為従来から、上記エバポレータ等のア
ルミニウム材製の熱交換器の表面に、リン酸クロメート
処理、又はクロム酸クロメート処理による防食皮膜を形
成し、上記熱交換器表面の防食を図っている。更に、ア
ルミニウム材製のエバポレータに於いては、例えば特開
昭60−50397号公報、同61−250495号公
報に記載されている様に、エバポレータの表面に形成し
た上記防食皮膜の表面に、抗菌剤を含有する高分子樹脂
から成る親水性皮膜を形成する事が提案され、一部で実
施されている。即ち、この様な抗菌剤を含有する親水性
皮膜により、凝縮水により湿ったエバポレータの表面に
黴が発生する事の防止、並びに凝縮水をエバポレータの
表面全体に広がらせる(親水性能を付与する)事による
吹き出し口からの水滴飛散防止を図っている。
【0005】この様な高分子樹脂から成る親水性皮膜と
しては、有機高分子樹脂のみで構成されるものと、
無機高分子、特に高分子シリカに有機高分子を付加又は
添加したものとの、2種類に大別される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のアル
ミニウム材製熱交換器の表面処理方法は、処理費用が嵩
む他、効果若しくは耐久性の面で、必ずしも満足できな
かった。
【0007】先ず、リン酸クロメート処理、又はクロム
酸クロメート処理による防食皮膜を形成する場合には、
処理作業に伴って6価クロム(Cr6+)や3価クロム
(Cr3+)が排出される。これら6価クロムや3価クロ
ムは、そのままでは排出できず、排液処理の為の設備を
含む処理費用が嵩んでしまう。又、そのままでは十分な
親水性を得る事ができず、水滴の飛散防止を図れない。
従って、上記防食皮膜の表面に、更に前記に示した
様な親水性皮膜を形成する必要がある。この為、処理作
業を2段階に亙って行わなければならず、処理作業が複
雑化して、この面からも処理費用が嵩んでしまう。
【0008】又、前記に示した、有機高分子樹脂で構
成される親水性皮膜の場合には、耐久性が不十分であ
る。より具体的には、親水性能の持続性が不十分で、比
較的短期間でエバポレータの表面に水滴が付着し易くな
って、水滴の飛散防止効果が不十分になる。
【0009】又、前記に示した、無機高分子である高
分子シリカに有機高分子を付加又は添加したもので構成
される親水性皮膜の場合には、親水性能の持続性が十分
である反面、防臭効果が不十分となる。より具体的に
は、上記高分子シリカの飛散により、この高分子シリカ
の臭気が発生し易くなる。
【0010】更に、このによる親水性皮膜の場合に
は、高分子シリカが有する保水性(保湿性)に基づき、
エバポレータの表面が湿ったままの状態になり易くな
る。この結果、このエバポレータの表面に微生物(黴)
が発生し易くなり、この微生物による臭気も発生し易く
なる。上記親水性皮膜に含有する抗菌剤が長期間に亙っ
て十分な効果を発揮すれば、この様な原因による臭気の
発生を防止できるが、次に述べる様な理由で、上記抗菌
剤の効果は比較的短期間で消失する。
【0011】即ち、高分子シリカと、この高分子シリカ
に付加又は添加された有機高分子とは、水に対する溶解
度が異なる。そして、一般的には高分子シリカに比べて
有機高分子が水に溶出し易い。従って、この有機高分子
により保持された状態で親水性皮膜中に添加された抗菌
剤も早期に溶出し、その効果を消失してしまう。
【0012】本発明のアルミニウム材製熱交換器とその
表面処理方法は、上述の様な事情に鑑みて発明したもの
である。
【0013】
【課題を解決する為の手段】本発明のアルミニウム材製
熱交換器とその表面処理方法のうち、請求項1に記載し
たアルミニウム材製熱交換器は、高分子シリカ(A)
と、ブロック化されたイソシアネート基を有するポリウ
レタン樹脂(B)とから形成される表面処理層を有す
る。
【0014】又、請求項2に記載したアルミニウム材製
熱交換器は、高分子シリカ(A)と、ブロック化された
イソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B)とか
ら成り、更に抗菌剤を含有した表面処理層を有する。
【0015】又、請求項3に記載したアルミニウム材製
熱交換器の表面処理方法は、アルミニウム材製熱交換器
の表面を脱脂洗浄剤により洗浄する第一行程と、ブロッ
ク化されたイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂
(B)及び高分子シリカ(A)を含む処理液により上記
アルミニウム材製熱交換器の表面を処理する第二行程
と、上記アルミニウム材製熱交換器を、100〜230
℃で10〜30分間加熱する事により、このアルミニウ
ム材製熱交換器の表面を乾燥させる第三行程とを有す
る。
【0016】又、請求項4に記載したアルミニウム材製
熱交換器の表面処理方法は、アルミニウム材製熱交換器
の表面を脱脂洗浄剤により洗浄する第一行程と、ブロッ
ク化されたイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂
(B)及び高分子シリカ(A)に抗菌剤を付加又は添加
した処理液により上記アルミニウム材製熱交換器の表面
を処理する第二行程と、上記アルミニウム材製熱交換器
を、100〜230℃で10〜30分間加熱する事によ
り、このアルミニウム材製熱交換器の表面を乾燥させる
第三行程とを有する。
【0017】
【作用】本発明のアルミニウム材製熱交換器とその表面
処理方法によれば、処理作業に伴って有害物質を発生す
る事なく、しかも1段階のみの処理で優れた耐食性及び
親水性を有する皮膜を形成できる。そして、アルミニウ
ム材製熱交換器表面の防錆、並びに凝縮水をアルミニウ
ム材製熱交換器の表面全体に行き亙らせる事による凝縮
水の飛散防止を、長期間に亙って十分に図れる。
【0018】即ち、本発明のアルミニウム材製熱交換器
とその表面処理方法に使用する物質は、何れも無害な物
質である為、排水処理が容易となる。又、防食皮膜と親
水性皮膜とを別個に形成するのではなく、耐食性及び親
水性を兼ね備えた皮膜を形成する為、表面処理作業が簡
単で、上記排水処理が容易である事と合わせて、表面処
理に要する費用の節減が図れる。
【0019】又、高分子シリカ(A)は、ポリウレタン
樹脂(B)中のブロック化されたイソシアネート基と結
合した状態で保持されている為、この高分子シリカ
(A)が飛散する事により臭気を発生する事はない。
又、皮膜固定率が高い為、親水性能の持続が良くなる。
更に、抗菌剤を含有させた場合、皮膜固定率が高い事に
よりこの抗菌剤が流出しにくい。従って、アルミニウム
材製熱交換器の表面に微生物(黴)が発生しにくく、微
生物による臭気の発生も防止できる。
【0020】更に、高分子シリカ(A)と、ブロック化
されたイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂
(B)とを含む処理液中に抗菌剤を含有させれば、この
抗菌剤の効果も長期間に亙って維持できる。尚、請求項
3、4に記載した処理方法に関する発明に於いて、第三
行程でアルミニウム材製熱交換器を乾燥させるべく10
0〜230℃で10〜30分間加熱するのは次の理由に
よる。即ち、加熱温度が100℃未満であれば未反応部
分が多くなり、皮膜固定率、耐食性、初期臭が悪化す
る。加熱温度が230℃を越えれば、樹脂が焼き付いて
こげ臭が発生したり、皮膜に割れが生じたりして、あら
ゆる機能が低下する。又、加熱時間が10分未満である
と加熱温度を上限値の230℃としても、未反応部分が
多くなり、皮膜固定率、耐食性、初期臭が悪化する。他
方、加熱時間が30分を越えると加熱温度を下限値の1
00℃としても、皮膜に割れが生じたりして、あらゆる
機能低下を招来する。
【0021】
【実施例】
第一実施例 先ず、アルミニウム材製熱交換器であるエバポレータの
表面に、前処理行程として次の脱脂、洗浄を施した。
【0022】脱脂、洗浄(第一行程) 上記エバポレータを、60℃に加温した日本パーカライ
ジング株式会社製のアルカリ性脱脂洗浄剤である『ファ
インクリーナー4385C』(商品名)中に2分間浸漬
した後、水洗して、上記脱脂洗浄剤及び表面に付着して
いるフラックスを洗い流し、表面を清浄にした。上記脱
脂洗浄剤の濃度は20g/リットルとした。上記脱脂作
業の後エバポレータを、偏析物を除去する為、濃度が8
%で15℃の硝酸中に30秒間浸漬して、酸洗を行っ
た。その後、水洗して、上記硝酸を洗い流した。
【0023】浸漬(第二行程) 次いで、上記脱脂、洗浄による前処理が終了したエバポ
レータを処理液中に浸漬する事により、このエバポレー
タの表面に表面処理層を形成した。この表面処理層を形
成する行程で使用した処理液の組成は次の通りである。
尚、高分子シリカ(A)として、スノーテックスN(商
品名)を使用した。 ポリウレタン樹脂(日本パーカライジング株式会社製) 37g スノーテックスN(日産化学工業株式会社製) 210g 水 732.7g 抗菌剤(PCMX=p−クロロ−m−キシレノール) 20g 抗菌剤(TBZ=2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール)0.3g これら5種類の物質を混合して成る水溶液100gを更
に水で希釈し、全体を1リットルとしたものを処理液と
した。処理液の温度は15℃とし、浸漬時間は40秒と
した。
【0024】乾燥(第三行程) 上記浸漬作業の後、処理液から引き上げたエバポレータ
を、130℃で20分間加熱し、乾燥した。尚、この乾
燥作業の際に、上記エバポレータ内に窒素ガスを封入
し、このエバポレータの気密性を合わせて検査した。気
密性検査を行わないのであれば、乾燥温度をより高く
し、乾燥時間を短くしても良い。但し、上述した加熱温
度及び加熱時間の範囲から外れない様にする。乾燥後、
上記エバポレータの表面には400mg/m2 の表面処理層
を形成した。この表面処理層の量は、上記浸漬後の液切
りにより調整した。
【0025】この様にして得られた本発明のアルミニウ
ム材製熱交換器であるエバポレータの親水性、耐食性、
防黴性等に就いて本発明者が行った実験の結果を下表に
示す。
【0026】
【表1】
【0027】尚、この表中に比較例として記載したエバ
ポレータの表面には、次の行程で表面処理層を形成し
た。先ず、上記エバポレータを、60℃に加温した日本
パーカライジング株式会社製のアルカリ性脱脂洗浄剤で
ある『ファインクリーナー4385C』(商品名)中に
2分間浸漬した後、水洗し、上記脱脂洗浄剤及び表面に
付着しているフラックスを洗い流して、表面を清浄にし
た。上記脱脂洗浄剤の濃度は20g/リットルとした。
上記脱脂作業の後エバポレータを、偏析物を除去する
為、濃度が8%で15℃の硝酸中に30秒間浸漬して、
酸洗を行った。その後、水洗して、上記硝酸を洗い流し
た。次いで上記エバポレータを、日本パーカライジング
株式会社製のクロム酸クロメート剤である『AM−71
3』(商品名)中に浸漬して、このエバポレータの表面
に化成処理皮膜を形成した。クロム酸クロメート剤の濃
度は36g/リットル、温度は50℃、浸漬時間は50
秒間とした。浸漬による化成処理皮膜形成後、上記エバ
ポレータの表面を水洗し、余分な処理液を除去した。次
いで上記エバポレータを、日本パーカライジング株式会
社製の、抗菌性を有する親水性合成樹脂剤である『LN
−4547』(商品名)の溶液中に浸漬して、上記化成
処理皮膜の表面に、抗菌性皮膜を形成した。この親水性
合成樹脂剤溶液の濃度は100g/リットル、温度は1
5℃、浸漬時間は30秒とした。最後に上記エバポレー
タを、130℃で20分間加熱する事により乾燥した。
乾燥後、上記エバポレータの表面には400mg/m2 の抗
菌性皮膜を形成した。この抗菌性皮膜の量は、上記浸漬
後の液切りにより調整した。
【0028】この様にして造られた比較例であるエバポ
レータの親水性、耐食性、防黴性等の性能と、前述の様
にして作られた本発明の第一実施例であるエバポレータ
の耐食性、防黴性等の性能とを記載した前記表の記載か
ら明らかな通り、本発明によれば、親水性、耐食性、防
黴性の何れに就いても、良好な性能を得られる。尚、前
記表中で、『初期』とは表面処理直後の測定値を、『経
時』とは流水中に72時間浸漬した後(密着性試験以
外)か、或は冷熱水浸漬サイクル試験を5サイクル行っ
た後(密着性試験)の測定値を、それぞれ表している。
尚、上記冷熱水浸漬サイクル試験は、エバポレータ表面
に水を付着させた状態で恒温槽に収納し、この恒温槽内
を80℃とする。その後、エバポレータ表面に水を付着
させた状態で恒温槽に収納し、この恒温槽内を−20℃
とする。次いで、この恒温槽内を再び80℃にする。こ
れを1サイクルとして、5サイクル行なう。
【0029】先ず、親水性を表す数値は、エバポレータ
の表面に付着した水の接触角であるが、本発明によるエ
バポレータの場合、この数値が比較例程、経時的に大き
くはならない。この事から、本発明が親水性能の耐久性
向上に役立つ事が分かる。
【0030】又、耐食性に就いての試験は、JIS Z
2371に規定された塩水噴霧試験で72時間行なっ
た。この結果、表面に白錆が発生しなければ耐食性良好
として、前記表中に『◎』を記載した。耐食性に関する
前記表の記載から明らかな通り、本発明によれば、比較
例と同等の耐食性を確保できる。
【0031】又、臭気強度に就いては、一般的に行われ
ている官能試験で行った。この官能試験では、強烈な臭
いを『5』、強い臭いを『4』、楽に感知できる臭いを
『3』、何の臭いか判断できる臭いを『2』、やっと感
知できる臭いを『1』、無臭を『0』とする。この官能
試験を、複数の試験体に就いて行い、その平均値を前記
表中に記載した。臭気強度に関する前記表の記載から明
らかな通り、本発明によれば、高分子シリカを使用して
いるにも拘らず、臭気強度を比較例と同程度に抑える事
ができる。
【0032】又、防黴性に就いては、黴の種類と培地と
を異ならせた以外、JIS Z 2911に沿った方法
で行い、黴が生えた面積を前記表中に記載した。防黴性
に関する前記表の記載から明らかな通り、本発明によれ
ば、比較例に比べて表面に黴が付着しにくくなる。
【0033】又、皮膜固定率に就いては、表面処理後に
流水中に72時間浸漬した後に残留している皮膜の量を
重量で求め、初期に付着している量に対する割合を、前
記表中に重量%で表した。皮膜固定率に関する前記表の
記載から明らかな通り、本発明によれば、比較例に比べ
て皮膜の固定状態が良好で、この皮膜が剥れにくい。
【0034】更に、密着性に就いては、皮膜の表面をガ
ーゼによりこすり、このガーゼの表面を目視により観察
する、所謂ラビングテスト、並びに皮膜を光学顕微鏡に
より観察する事により行った。この結果、ガーゼの表面
に皮膜が付着せず、顕微鏡観察で劣化が観察されなけれ
ば、密着性良好として、前記表中に『◎』を、実用上支
障ない程度の劣化が観察された場合は『○』を記載し
た。密着性に関する前記表の記載から明らかな通り、比
較例に於いては経時後、クラックが発生し密着性が悪化
する傾向であるが、本発明に於いては密着性が良好であ
り、比較例と同等以上の密着性を確保できる。
【0035】これら各実験の結果を表す前記表中の記載
から明らかな通り、本発明は親水性、耐食性、臭気強
度、防黴性、皮膜固定率、密着性の何れに就いても、比
較例と同等若しくはこの比較例よりも優れた性能を発揮
する。
【0036】第二実施例 先ず、アルミニウム材製熱交換器であるエバポレータの
表面に、前処理行程として次の脱脂、洗浄を施した。
【0037】脱脂、洗浄(第一行程) 上記エバポレータを、60℃に加温した日本パーカライ
ジング株式会社製の酸性クリーナーである『パルクリー
ンL−451』(商品名)中に2分間浸漬した後、水洗
して、脱脂洗浄剤である上記酸性クリーナー及び表面に
付着しているフラックスを洗い流して、表面を清浄にし
た。上記酸性クリーナーの濃度は50g/リットルとし
た。上記脱脂作業の後エバポレータを水洗して、上記酸
性クリーナー及びフラックスを洗い流した。
【0038】浸漬(第二行程) 次いで、上記脱脂、洗浄による前処理が終了したエバポ
レータを処理液中に浸漬する事で、このエバポレータの
表面に表面処理層を形成した。この表面処理層を形成す
る行程で使用した処理液の組成は次の通りである。 ポリウレタン樹脂(日本パーカライジング株式会社製) 37g スノーテックスN(日産化学工業株式会社製) 210g 水 732.7g 抗菌剤(PCMX) 20g 抗菌剤(TBZ) 0.3g これら5種類の物質を混合して成る水溶液100gを水
で希釈し、全体を1リットルとしたものを処理液とし
た。処理液の温度は15℃とし、浸漬時間は40秒とし
た。
【0039】乾燥(第三行程) 上記浸漬作業の後、処理液から引き上げたエバポレータ
を、130℃で20分間加熱し、乾燥した。乾燥後、上
記エバポレータの表面には400mg/m2 の表面処理層を
形成した。この表面処理層の量は、上記浸漬後の液切り
により調整した。
【0040】この様にして得られた本発明によるエバポ
レータの親水性、耐食性、防黴性等の性能は、前述した
第一実施例の場合と同じであった。
【0041】
【発明の効果】上述の様に構成され実施される本発明の
アルミニウム材製熱交換器とその表面処理方法によれ
ば、得られた熱交換器の耐食性、並びにエバポレータの
防黴性、親水性は、従来品と同等以上であり、しかも排
液中に従来品の様な有害物質を含まない為、排液処理が
容易となり、表面処理に要するコストを低減し、熱交換
器の製作費の低廉化を図れる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−278033(JP,A) 特開 平6−50690(JP,A) 特開 昭62−272098(JP,A) 特開 昭59−229197(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F28F 13/18 C08K 3/36 C08L 75/04 C09D 175/04 F25B 39/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子シリカ(A)と、ブロック化され
    たイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B)と
    から形成される表面処理層を有するアルミニウム材製熱
    交換器。
  2. 【請求項2】 高分子シリカ(A)と、ブロック化され
    たイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B)と
    から成り、更に抗菌剤を含有した表面処理層を有するア
    ルミニウム材製熱交換器。
  3. 【請求項3】 アルミニウム材製熱交換器の表面を脱脂
    洗浄剤により洗浄する第一行程と、ブロック化されたイ
    ソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B)及び高
    分子シリカ(A)を含む処理液により上記アルミニウム
    材製熱交換器の表面を処理する第二行程と、上記アルミ
    ニウム材製熱交換器を、100〜230℃で10〜30
    分間加熱する事により、このアルミニウム材製熱交換器
    の表面を乾燥させる第三行程とを有するアルミニウム材
    製熱交換器の表面処理方法。
  4. 【請求項4】 アルミニウム材製熱交換器の表面を脱脂
    洗浄剤により洗浄する第一行程と、ブロック化されたイ
    ソシアネート基を有するポリウレタン樹脂(B)及び高
    分子シリカ(A)に抗菌剤を付加又は添加した処理液に
    より上記アルミニウム材製熱交換器の表面を処理する第
    二行程と、上記アルミニウム材製熱交換器を、100〜
    230℃で10〜30分間加熱する事により、このアル
    ミニウム材製熱交換器の表面を乾燥させる第三行程とを
    有するアルミニウム材製熱交換器の表面処理方法。
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