JP3154766U - シークインを用いている刺繍布 - Google Patents

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Abstract

【課題】極めて安価な費用でもって、設計通りのカラフルな商品の提供ができるシークインを用いている刺繍布を提供する。【解決手段】シークイン配置領域に配置されている多数のシークインは1種類のシークインが用いられており、多数のシークインを縫付けている縫糸は、シークイン表面に縫糸における色糸の色が反映するように色糸が用いられている。しかもグループごとに、相互に色糸の色が相違しており、シークイン配置領域に配置されて縫付けられている多数のシークインにあっては、1種類のシークインであっても、その表面においては夫々縫付けに用いた色糸の色が反映して1種類のシークインの表面が夫々縫付けに用いた色糸の系統の色に見えるようにする。【選択図】図4

Description

本考案は、布の一面に対して多数のシークインが縫付けられている刺繍布に関し、詳しくは夫々一定の範囲に縫付けられたシークインのグループ相互間において色彩が異なって見えるように縫付けられているシークインを用いている刺繍布に関する。
布の一面における予め定められたシークイン配置領域に対して、多数のシークインを、次々と連続させる状態で供給しながら、上記の布の一面の予め定められたシークイン配置領域に対して供給される各シークインを、次々と順次縫糸で布に縫付けていくシークインを用いている刺繍布は広く知られている。
例えば、特許文献1にあっては、図1に示すような、シークインを縫い付けることのできる周知のミシンヘッドMを使用する。図1について簡単に説明すると、図1のミシンヘッドMは、周知の多頭ミシンにおけるその内の一頭のミシンヘッドを示すものである。
このミシンヘッドMは、アーム10と、アーム10の前面に、横方向に向けてのスライド可能に設けられた支持ケース11とを有しており、支持ケース11には夫々色彩の異なる縫い糸が付されている複数(9本)の縫い針12が上下動可能に支持してある。周知のように、針板13は針孔13aを有しており、この針孔13aに対応するように上記の支持ケース11を横動させて複数の縫い針12の内から選択的に位置決めされる1つの縫い針12がアーム10内に設けた駆動機構の駆動によって上下動される。
このように、支持ケース11をスライドさせて任意の縫い針12を針孔13aに対応するように選択的に位置させることで、任意の縫い針12による刺繍が行えることになっている。
一方、シークイン供給ユニット14は、支持ケース11の左側面に固定してある。シークイン供給ユニット14にはシークイン連結体17を巻回したリール15が装着可能となっており、そのシークイン連結体17をシークイン供給ユニット14のシークイン送り機構16にて送り出し、支持ケース11の最左側の縫い針12にてシークインSを縫い付けるようになっている。
従って、シークインSの縫い付けを行うときには支持ケース11をスライドさせて最左側の縫い針12が針板13の針孔13aに対応するように選択的に位置させる。
図2には、シークイン供給ユニット14のシークイン送り機構16を拡大して示してあり、この送り機構16によってリール15からシークイン連結体17を繰り出してその先端のシークインSを所定の針落ち位置(針孔13aに対してシークインSの内側に空けられている孔s1が重合する位置)まで送り出すようになっている。先端のシークインSを縫い付けるために縫い針12が針孔13aに向けて下降すると、それに連動してカッター18が下向きに動き、縫い付けられるシークインSをシークイン連結体17から切断する。切断されたシークインSは、周知のように針孔13aに向けて下降した上記の縫い針12が上昇し、そしてシークインSの外周近くに再度下降することによって縫い針12に付されている縫糸によって針板13の上に置かれる布に対して縫付けられる。
その後は、次のシークインSを縫うために、シークイン連結体17の先端のシークインSが所定の針落ち位置(針孔13aの位置)まで送り出される。このような動作を繰り返してシークインSは次々と連続した状態で布に対して供給され、次々と縫糸によって縫付けられる。
なお、布に対する上記シークインSの供給場所は、多くの刺繍縫い手段において周知になっているように、刺繍用プログラム(数値制御とも称される)によってX−Y方向に駆動される刺繍枠に装着された布の上面であり、その布の上面においては、周知の刺繍縫いの場合と同様に一定の範囲に多数のシークインを連続させた状態で配置するためのシークイン配置領域を予め定めておき、そのシークイン配置領域に対して上記刺繍用プログラムを用いてシークインを縫付けるのである。
次に、上記のようにシークインSを布に対し、縫付ける手段に利用できる刺繍用プログラム、シークイン供給ユニット14及びシークイン送り機構16等の詳細については、例えば特許文献2、特許文献3等、多くの事例が周知であるので、詳細な説明は省略する。
次に図3に示される周知のシークイン(スパンコール)について説明する。この種のシークインSは、特許文献3の図にも表れているように周知であって、ボタン状の小さな飾り片であり、市場において用いられるシークインの大きさは、直径が3mm〜9mm位のものが多く用いられる。従来よりシークインは、婦人服等の表面に付けた状態で目立つように、表面は光に反射する金属類やプラスチック材で構成され、表面に光沢が出るように構成してある。
シークインSの製法は、種々知られているが例えば特許文献3の図2に現れているように製作すると良い。即ち、先ず基材S2としては、硬質のシート材(フィルム状に形成された薄板材料)を用意する。材質としては多くの場合、硬質ゴム材、プラスチック(例えばポリエステル樹脂)材料が用いられる。図3(B)の断面の厚みとしては一般に0.2mm〜0.3mm程度のものが用いられる。基材S2の上には着色フィルム又は金銀の金属箔を貼り付けたり、或いは着色コーティング層を備えさせたり、或いは着色の為の蒸着面s3を積層して表面に光沢を備える各種多色の複数のシートを形成する。
次に、上記複数の基材S2を夫々加工機械にかけて、1枚のシート状の基材S2から多数のシークイン連結体17(シークイン多数が連なるフィルム状の長尺の帯状基材)を形成する。
その加工機械は、特許文献3に記載されて公知になっているように、フィルム状の上記帯状基材S2を送り出す上下一対のローラと、ローラにより送り出されたフィルム状の基材S2を帯状のシークインの形状にスタンピングする上下一対の押型と、スタンピングされた帯状の基材(図2のシークイン連結体17)を巻取る複数のボビン(図1のリール15と同型)を備え、上記の加工機械のローラによりフィルム状の基材S2が連続的に送り出され、これが押型により多数のボタン状のスパンコールSが帯状につながった状態にスタンピング加工された後、各帯毎にボビンに巻取られる。
特開2006−241657公報 特開2004−167097公報 特開平9−195185号公報
近年、婦人服、子供服等の布の表面に付されるシークインは勿論のこと、帽子、袋類等に用いられるシークインにおいても、カラフルな多色のシークインを使用することが要求されることが多い。
それに対応する為、多数の色を表現するために多色のシークインを用意しようとすると極めてコスト高になり、商品が高価になる問題点が生じる。
言い換えると、 市場においては、上記シークイン連結体17は、ボビン1巻を単位として取引されている関係から1色のシークイン連結体17を入手するためには非常に高価なコストが必要になる。まして、多色のシークイン連結体17を揃えるためにはさらにコストが高く成る。その上、市場においては、シークイン連結体17の色の種類も少なく、カラフルな設計をしても、シークイン連結体17の色数が不足して、設計通りのカラフルな商品の製作ができない問題点もあった。
更に、多数色のシークイン連結体17を取り換えながらカラフルな商品の縫製作業を行う場合には、シークイン供給ユニットに対して色違いのシークイン連結体17を頻繁に取り換えなければならないのであるが、その取り替えには熟練を必要とする作業者の問題点もあった。
本件出願の目的は、1種類のシークイン連結体を用いるものであっても、上記1種類のシークイン連結体から送り出されて、布の一面に対して次々と縫糸で縫付けられるシークインの表面の色が、グループごとに多彩で、多色に見えるようにすることにより極めて安価な費用でもって、設計通りのカラフルな商品の提供ができるようにしたシークインを用いている刺繍布を提供しようとするものである。
他の目的及び利点は図面及びそれに関連した以下の説明により容易に明らかになるであろう。
本考案におけるシークインを用いている刺繍布は、
布21の一面21aにおけるシークイン配置領域22に対して、多数のシークインSが配置されており、それらの多数のシークインSは夫々縫糸25で布21に縫付けられている刺繍布において、
上記シークイン配置領域22に配置されている多数のシークインSは、1種類のシークインSが用いられており、
一方、上記多数のシークインSを縫い付けている縫糸25は、シークインにおける表面に縫糸25における色糸(25a〜25n)の色が反映するように色糸(25a〜25n)が用いられており、しかもその色糸(25a〜25n)は、グループごとに、相互に色糸(25a〜25n)の色が相違しており、
布21における上記シークイン配置領域22に配置されて縫付けられている上記多数のシークインS、S・・・Sにあっては、上記シークインが1種類のシークインSであっても、その表面s3においては、夫々縫付けに用いた色糸(25a〜25n)の色が反映して上記1種類のシークインの表面s3が夫々上記縫付けに用いた色糸(25a〜25n)の系統の色に見えるようになっているものである。
また好ましくは、
布21の一面21aにおけるシークイン配置領域22に対して、多数のシークインSが配置されており、それらの多数のシークインSは夫々縫糸25で布21に縫付けられている刺繍布において、
上記シークイン配置領域22に配置されている多数のシークインSは、1種類のシークインSが用いられており、
一方、上記多数のシークインSを縫い付けている縫糸25は、シークインにおける表面に縫糸25における色糸(25a〜25n)の色が反映するように色糸(25a〜25n)が用いられており、しかもその色糸(25a〜25n)は、グループごとに、相互に色糸(25a〜25n)の色が相違しており、
布21における上記シークイン配置領域22に配置されて縫付けられている上記多数のシークインS、S・・・Sの夫々にあっては、
各シークインの表面における縫付けに用いた色糸の縫付方向が、少なくとも3方向以上に相互に縫付け方向を異ならせてあって、
上記シークインが1種類のシークインSであっても、その表面s3においては、夫々縫付けに用いた色糸(25a〜25n)の色が反映して上記1種類のシークインの表面s3が夫々上記縫付けに用いた色糸(25a〜25n)の系統の色に見えるようになっている
ものであればよい。
また好ましくは、
布21の一面21aにおけるシークイン配置領域22に対して、多数のシークインSが配置されており、それらの多数のシークインSは夫々縫糸25で布21に縫付けられている刺繍布において、
上記シークイン配置領域22に配置されている多数のシークインSは、1種類のシークインSが用いられており、
一方、上記多数のシークインSを縫い付けている縫糸25は、シークインにおける表面に縫糸25における色糸(25a〜25n)の色が反映するように色糸(25a〜25n)が用いられており、しかもその色糸(25a〜25n)は、グループごとに、相互に色糸(25a〜25n)の色が相違しており、
布21における上記シークイン配置領域22に配置されて縫付けられている上記多数のシークインS、S・・・Sの夫々にあっては、
各シークインの表面における縫付けに用いた色糸の縫付方向は、4方向に相互に縫付け方向を異ならせてあって、表面からみて「ぺけ」印となるように配置して、
上記シークインが1種類のシークインSであっても、その表面s3においては、夫々縫付けに用いた色糸(25a〜25n)の色が反映して上記1種類のシークインの表面s3が夫々上記縫付けに用いた色糸(25a〜25n)の系統の色に見えるようになっているものであればよい。
また好ましくは、
布21の一面21aにおけるシークイン配置領域22に対して、多数のシークインSが配置されており、それらの多数のシークインSは夫々縫糸25で布21に縫付けられている刺繍布において、
上記布21の色には濃い色を用い、上記シークイン配置領域22に配置されている多数のシークインSの色は比較的淡い色で、かつ、1種類のシークインSを用い、
一方、上記多数のシークインSを縫い付けている縫糸25は、シークインにおける表面に縫糸25における色糸(25a〜25n)の色が反映するように色糸(25a〜25n)が用いられており、しかもその色糸(25a〜25n)は、グループごとに、相互に色糸(25a〜25n)の色が相違しており、
布21における上記シークイン配置領域22に配置されて縫付けられている上記多数のシークインS、S・・・Sの夫々にあっては、
各シークインの表面における縫付けに用いた色糸の縫付方向は、4方向に相互に縫付け方向を異ならせてあって、表面からみて「ぺけ」印となるように配置して、
上記シークインが1種類のシークインSであっても、その表面s3においては、夫々縫付けに用いた色糸(25a〜25n)の色が反映して上記1種類のシークインの表面s3が夫々上記縫付けに用いた色糸(25a〜25n)の系統の色に見えるようになっているものであればよい。
以上のように本考案は、布21の一面21aにおける予め定められたシークイン配置領域22に対して、多数のシークインSを配置し、縫糸25で布21に縫付けた刺繍布であっても、シークインSを縫付けるための縫糸25の色が相互に相違しており、布21に縫付けられた上記多数のシークインS、S・・・Sにあっては、上記シークインが1種類のシークインSであっても、その表面s3においては、夫々縫付けに用いた色糸(25a〜25n)の色が反映して上記1種類のシークインの表面s3が夫々上記縫付けに用いた色糸(25a〜25n)の色に見えるように成るものであるから、カラフルな商品になる効果がある。
しかも多色の糸を用いたとしても、色糸の一巻当たりの単価は極めて廉価であり、数多くの色糸を用いても、コストにはほとんど影響を与えない経済効果もある。
本考案に係るシークインの刺繍縫いに使用できる刺繍ミシンの一例として、シークイン縫いの可能な周知のミシンヘッド(シークイン供給ユニット付き)の一例を示す斜視図。 図1における周知のシークイン供給ユニットのシークイン送り機構を拡大して示す斜視図。 (A)は、本考案の実施に用いることができる周知のシークインの部分平面図、(B)は、そのシークインのbーb断面図。 布21の一部におけるシークイン配置領域22に縫い付けられた多数のシークインSを表す平面図。 図4のAーA線とBーB線で囲まれた範囲の「シークインと縫糸」との関係を説明するための拡大図。 シークインを縫い付ける為の縫糸の縫い順を説明するための模式図で、(A)はシークインの上に位置する縫糸が4方向にある状態を示し、(B)はシークインの上に位置する縫糸が3方向にある状態を示し、(C)はシークインの上に位置する縫糸が(B)とは異なる方向に向けて3方向にしてある状態を示す。 布21の一部におけるシークイン配置領域22に複数の色糸で縫い付けられた多数のシークインSを表す平面図。
以下本考案の実施の形態を図面を用いて説明する。本考案のシークインを用いている刺繍布としては、例えば従来から知られているように、婦人服、袋類等の任意の用途をもつ布21の表面に対してシークイン配置領域22を定め、そこに多数のシークインSを配置し、かつ、それらのシークインSの夫々は多色の糸25でデザイン化された状態(刺繍された状態)に縫付けてある。
縫製に当っては、図4における布21の一面21aにおける予め定められたシークイン配置領域22に対して、多数のシークインSを、 次々と連続させる状態で供給しながら、上記の布21の一面21aの予め定められたシークイン配置領域22に対して供給される各シークインSを、次々と順次縫糸25で布21に縫付けていく。その場合、予め定められた順に縫糸25の色を変更して縫製する。
この点をさらに具体的に以下説明する。刺繍用のミシンとしては周知のもの、例えば図1のシークイン供給ユニット14を備える刺繍ミシンMを用いる。図1のシークイン供給ユニット14を備える刺繍ミシンMを用いてのシークインを用いている刺繍布は、上記の「背景技術」の項、つまり段落[0002]〜段落[0005]において記載したように動作させてシークインの縫付けに用いる。
従って、刺繍枠に装着された布の針板13の上でのX−Y方向の駆動、ミシンヘッドMに備えさせた縫い針12の動作、シークイン供給ユニット14に備えさせたシークイン送り機構16、シークイン連結体17、カッター18等の相互に関連した動作は、夫々周知の通りであり、前述の「背景技術」の項に記載したと同様に動作して、上記の布21のシークイン配置領域22に対しての、 多数のシークインSの連続状態での供給と、上記布21のシークイン配置領域22に対して図4〜図7のように供給された各シークインSの縫付けが行われる。
なお図中、10はアーム、11は支持ケース、13は針板、13aは 針孔、15はリールを示す。また上記の布21としては、通常、織物、編物、不織布、合皮、ビニール等のシート状のものが用いられる。
また、多数のシークイン(スパンコール)Sは、周知のものを用いる。例えば、図3(B)に示すように基材s2の表面材s3に着色フィルム又は金銀の金属箔を貼り付けて反射面(輝き)を形成にしたもの、或いは着色コーティング層を備えさせたり、或いは着色の為の蒸着面等を積層して鏡面を形成したもの、任意の手段を用いてシークインSの表面に輝きを持たせたもの等、表面に光沢面s3が備えられたシークインSを用いる。需要に応じては、表面の光沢を消した艶消しのシークインSを用いる場合もある。
次に、図4における布21のシークイン配置領域(シークインが配置されている領域)22に対して、 多数のシークインSを、次々と連続させる状態で供給しながら、上記の布21に各シークインSを、次々と縫糸25で縫付けていく方法について説明する。
使用するシークインSとしては、作業能率を向上させる観点から夫々表面s3が同じ様な種類の1種類のシークインS(一本のシークイン連結体17を次々と切り離して用いたシークインS)を用いる。光沢の種類としては上記図3(B)を用いて説明したような表面材s3を備えるものであれば、そのうちの任意のものでよい。
一方、多数のシークインSを次々と縫い付ける縫糸25には、シークインにおける表面の光沢面s3に縫糸25における色糸(25a〜25n)の色が反映するように色糸(25a〜25n)を用い、しかもその色糸(25a〜25n)は、予め設定された個数のシークインを縫付けるごとに、予め設定された順番に色糸(25a〜25n)の色を次々と変更して用い、布21に縫付けられた上記多数のシークインS、S・・・Sにあっては、上記シークインが1種類のシークインSであっても、その表面s3においては、夫々縫付けに用いた色糸(25a〜25n)の色が反映して、化体した色になる。即ち、上記1種類のシークインの表面s3が夫々上記縫付けに用いた「色糸(25a〜25n)の系統の色に見える」ようになるのである。
この場合の「色糸(25a〜25n)の系統の色に見える」点については、シークインの表面s3が、縫付けに用いた色糸(25a〜25n)の色を反映して、その色糸の色そのものとは異なるものの、その色糸の系統の色を反映した近い色に変化して見えることになる。
この点をさらに図4〜図6を用いて以下詳細に説明する。図4のシークイン配置領域22に縫い付けられた多数のシークインS、S・・・Sは上記のように表面s3に同じ様な光沢を備える任意の色、例えば「銀色」の1種類のシークインである。そして、多数の「銀色」のシークインS、S・・・Sの夫々は、予め設定された範囲に対して、予め設定された個数のシークインを図示のように供給する。そして順次供給の都度、図5の拡大図に表れているように夫々任意の色の色糸(縫糸)25a、25cで布21に縫付けられている。図4の縫付け状態においては、布21の上に表れている各グループであるところの文字「I」「O」「S」「T」「ドット」等についての縫付けに用いた色糸の色は、例えば「黒色」の色糸で縫付けられている(この場合、グループ化の範囲はデザインの都合によって大小変化させればよい。好みによっては文字ごとに色糸の色を変化させても良い)。「ハートの図柄」26にあっては、例えば「赤色」の色糸で縫付けられている。そしてシークイン配置領域22内で周囲のベースとなっている範囲27に配置されたシークインSの縫付け糸の色は、例えば「白色」の色糸で縫付けられている。
以上のように、表面s3が1種類の多数のシークインS、S・・・Sを、合計三色の色糸を用いて布21に縫付けてみたが、図4に表れているように、文字「I」「O」「S」「T」「ドット」等の各グループの部分と、「ハートの図柄」26のグループの部分と、ベースとなっている範囲27の部分とのシークインS、S・・・Sの表面s3の色は、上記シークインの夫々の表面s3の光沢が「銀色」の1種類のシークインSであっても、夫々のシークインSの表面s3においては、図5に略示的に表示してあるように、夫々縫付けに用いた色糸(黒色)25a、(赤色)25b、(白色)25cの色が夫々押さえ付けてあるシークインSの表面s3に反映して、夫々の縫付けに用いた色糸25a、25b、25cの色に同化して見えるようになる。その結果、シークインS、S・・・Sの表面s3の色は、黒色化と、赤色化と、白色化の3色のシークインSが用いられていることになり、かつ、図柄相互は、明確に、カラフルに区別して見えることになる。
次に図6を用いてシークインに対する色糸の縫付け順を説明する。図6(A)(B)(C)に表れている色糸の縫付け順は周知のものであり、本願において縫付け順は、あまり意味を持たないが一応説明する。図6(A)(B)(C)において、Saは布21に対して、先に縫付けられているシークインを示し、Sbは、シークインSaの次に布上に供給されて縫付けられているシークインを示し、ScはシークインSbの次に布上に供給されて縫付けられているシークインを示す。
25i〜25viは、シークインの表面に位置させる色糸の縫付ける順を説明するためのものである。従って、シークインの表面に位置する糸は25iから25ii、25iiから25iiiへと順に縫い付けられていくことを意味する。なお、28は針落ち位置で、下糸との絡み部分を示す。s1はシークインの孔を示す。また上記色糸の太さは任意であるが一般には120/2 デニール前後の太さの糸が多く利用されている。
布21における上記シークイン配置領域22に配置されて縫付けられている上記多数のシークインS、S・・・Sの夫々にあっては、図6から明らかなように、各シークインSの表面における縫付けに用いた色糸の縫付方向が、少なくとも3方向以上に相互に縫付け方向を異ならせてある。例えば図6(A)においては、縫付けに用いた色糸の縫付方向は、シークインの孔s1を中心にして、左45度上方と、右45度上方と、左45度下方と、右45度下方との4方向であり、表面からみて図6(A)のように「ぺけ」印となるように縫付方向が設定されている。図6(B)においては、シークインの孔s1を中心にして、左45度上方と、右45度上方と、下方向との3方向である。図6(C)においては、シークインSの左側に上下方向と、シークインの孔s1を中心にして、左45度下方と、右45度上方との3方向である。このように縫付けると、布21に対してシークインSの周囲は押え付けられて縫付けは丈夫になり、長寿命となる。
さらに言葉をかえて説明すると、図6のように複数のシークインSの上面s3に、夫々色糸 25を図示のように3〜4本(4本以上5〜6本でもよい)配置して縫い付けた場合、即ち、シークインSを水平に置いた状態で、その上面に対して斜め上方から光が入射した場合を想定するに、その光に対して色糸 25の位置関係は二次元な位置関係(360度のいずれの方向から上記の光が入射してもその光に対して色糸25の位置は、その光を遮る状態となり、色糸の色彩がシークインSの上面に反映する(影を落とす)位置関係)になるようにすると良い。
なお、図4の布21においては、1つのシークイン配置領域22において、上記シークインSを一種類を用いる刺繍した例を説明したが、同じ布21の上に、他の異なるシークイン配置領域を複数設定し、他の異なる種類のシークインを配設し、複数の色糸を用いて縫付けることにより、別のシークインを用いている刺繍が施された布21であってもよい。
次に、図4の場合とは、布21と、シークインSと、色糸25との色の組み合わせの異なる例を示す図7について説明する。図4の場合には布21の色には淡い色(例えば白色、銀色、金色、乳白色、黄色等)を用いた例について説明した。そこで図7の場合には布21の色には比較的に濃い色(黒、紫、紺、赤等)を用いた例について説明する。
具体的には、図7のシークイン配置領域22に縫い付けられた多数のシークインS、S・・・Sは、上記のように表面s3に同じ様な光沢を備える任意の色であって、比較的淡い色、例えば「白色」の1種類のシークインである。そして、多数の「白色」のシークインS、S・・・Sの夫々は、6色の色糸(縫糸)で比較的に濃い色の布21に縫付けられている。図7の縫付け状態においては、布21の上に表れている図柄(30〜35の6グループ)は、6色の縫付け用色糸を用いて構成されている。
図柄30(例えば茎)は灰色の色糸で縫われ、図柄31(例えば葉の1部分)は緑色の色糸で縫われ、図柄32(例えば葉の一部分)は黄色の色糸で縫われ、図柄33(例えば花心)は白色の色糸で縫われ、図柄34(例えば花びら)は紫色の色糸で縫われ、図柄35は赤色の色糸で縫われている。なお、図柄31、図柄32(例えば葉の一部分)は一般的には1つのグループとは見ないのであるが、本件の刺繍布の分野においては、デザインの都合で、1単位のものを、複数のグループに設定するのもデザイン的に好ましい場合がある。
以上のように、表面s3が白色を呈する1種類の多数のシークインS、S・・・Sを、合計6色の色糸を用いて黒布21に縫付けてみた。その結果、図7から想像が付くように、符号30〜35の図柄を構成するシークインS、S・・・Sの表面s3の色は、上記シークインの夫々の表面s3の「白色」の1種類のシークインSであっても、夫々のシークインSの表面s3においては、夫々縫付けに用いた色糸(灰色)25d、(緑色)25e、(黄色)25f、(紫色)25g、(赤色)25b、(白色)25cの色が、夫々その色糸で押さえ付けてあるシークインSの表面s3に反映して、シークインS、S・・・Sの表面s3の色は、夫々の縫付けに用いた色糸の色に同化して見え、カラフルになっている。
なお、色糸の交換は、図1における支持ケース11の最左側の縫い針12に供給される色糸を周知の手段によって交換すれば達成できる。
M・・・ミシンヘッド、S・・・ シークイン(スパンコール)、s1・・・シークインの孔、s2・・・基材、s3・・・表面材、Sa・・・布に縫付けられているシークイン、Sb・・・シークインSaの次に縫付けられているシークイン、10・・・アーム、11・・・支持ケース、12 ・・・縫い針、13・・・針板、13a・・・ 針孔、14・・・ シークイン供給(縫い)ユニット、15・・・リール、16・・・ シークイン送り機構、17 ・・・シークイン連結体、18 ・・・カッター、21・・・布、21a・・・布の一面、22・・・シークイン配置領域、25・・・縫糸、30〜35・・・図柄

Claims (4)

  1. 布の一面におけるシークイン配置領域に対して、多数のシークインが配置されており、それらの多数のシークインは夫々縫糸で布に縫付けられている刺繍布において、
    上記シークイン配置領域に配置されている多数のシークインは、1種類のシークインが用いられており、
    一方、上記多数のシークインを縫い付けている縫糸は、シークインにおける表面に縫糸における色糸の色が反映するように色糸が用いられており、しかもその色糸は、グループごとに、相互に色糸の色が相違しており、
    布における上記シークイン配置領域に配置されて縫付けられている上記多数のシークインにあっては、上記シークインが1種類のシークインであっても、その表面においては、夫々縫付けに用いた色糸の色が反映して上記1種類のシークインの表面が夫々上記縫付けに用いた色糸の系統の色に見えるようになっていることを特徴とするシークインを用いている刺繍布。
  2. 布の一面におけるシークイン配置領域に対して、多数のシークインが配置されており、それらの多数のシークインは夫々縫糸で布に縫付けられている刺繍布において、
    上記シークイン配置領域に配置されている多数のシークインは、1種類のシークインが用いられており、
    一方、上記多数のシークインを縫い付けている縫糸は、シークインにおける表面に縫糸における色糸の色が反映するように色糸が用いられており、しかもその色糸は、グループごとに、相互に色糸の色が相違しており、
    布における上記シークイン配置領域に配置されて縫付けられている上記多数のシークインの夫々にあっては、
    各シークインの表面における縫付けに用いた色糸の縫付方向が、少なくとも3方向以上に相互に縫付け方向を異ならせてあって、
    上記シークインが1種類のシークインであっても、その表面においては、夫々縫付けに用いた色糸の色が反映して上記1種類のシークインの表面が夫々上記縫付けに用いた色糸の系統の色に見えるようになっていることを特徴とするシークインを用いている刺繍布。
  3. 布の一面におけるシークイン配置領域に対して、多数のシークインが配置されており、それらの多数のシークインは夫々縫糸で布に縫付けられている刺繍布において、
    上記シークイン配置領域に配置されている多数のシークインは、1種類のシークインが用いられており、
    一方、上記多数のシークインを縫い付けている縫糸は、シークインにおける表面に縫糸における色糸の色が反映するように色糸が用いられており、しかもその色糸は、グループごとに、相互に色糸の色が相違しており、
    布における上記シークイン配置領域に配置されて縫付けられている上記多数のシークインの夫々にあっては、
    各シークインの表面における縫付けに用いた色糸の縫付方向は、4方向に相互に縫付け方向を異ならせてあって、表面からみて「ぺけ」印となるように配置して、
    上記シークインが1種類のシークインであっても、その表面においては、夫々縫付けに用いた色糸の色が反映して上記1種類のシークインの表面が夫々上記縫付けに用いた色糸の系統の色に見えるようになっていることを特徴とするシークインを用いている刺繍布。
  4. 布の一面におけるシークイン配置領域に対して、多数のシークインが配置されており、それらの多数のシークインは夫々縫糸で布に縫付けられている刺繍布において、
    上記布の色には濃い色を用い、上記シークイン配置領域に配置されている多数のシークインの色は比較的淡い色で、かつ、1種類のシークインを用い、
    一方、上記多数のシークインを縫い付けている縫糸は、シークインにおける表面に縫糸における色糸の色が反映するように色糸が用いられており、しかもその色糸は、グループごとに、相互に色糸の色が相違しており、
    布における上記シークイン配置領域に配置されて縫付けられている上記多数のシークインの夫々にあっては、
    各シークインの表面における縫付けに用いた色糸の縫付方向は、4方向に相互に縫付け方向を異ならせてあって、表面からみて「ぺけ」印となるように配置して、
    上記シークインが1種類のシークインであっても、その表面においては、夫々縫付けに用いた色糸の色が反映して上記1種類のシークインの表面が夫々上記縫付けに用いた色糸の系統の色に見えるようになっていることを特徴とするシークインを用いている刺繍布。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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