JP3154623B2 - 密閉形圧縮機 - Google Patents

密閉形圧縮機

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JP3154623B2
JP3154623B2 JP22479294A JP22479294A JP3154623B2 JP 3154623 B2 JP3154623 B2 JP 3154623B2 JP 22479294 A JP22479294 A JP 22479294A JP 22479294 A JP22479294 A JP 22479294A JP 3154623 B2 JP3154623 B2 JP 3154623B2
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好範 白藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は冷凍、空調機器に用い
られる密閉形冷媒圧縮機に係わり、詳細にはスクロール
圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、図9は特開平5−79476号
公報に示された従来のスクロール圧縮機の構造を示す断
面図である。図において、1は固定スクロール、2はこ
の固定スクロール1と組み合わされて圧縮室14を形成
する揺動スクロール、電動機の駆動力を伝達するクラン
ク軸、4は揺動スクロール2の自転を拘束するオルダム
リング、5は主軸受6が形成された主フレーム、7は電
動要素を形成する電動機固定子、8は電動機固定子7内
に収納され、クランク軸3に嵌合した電動機回転子、9
は圧縮機の下部に設けられた副フレーム、10はこの副
フレーム9に形成された副軸受、11はこれら圧縮要
素、電動要素を収納する密閉容器、12は外部より密閉
容器11内に冷媒を導く吸入管、13は高温、高圧の冷
媒を外部に吐出する吐出管である。
【0003】次に図9に示された従来のスクロール圧縮
機の動作について説明する。電動機固定子7及び電動機
回転子8で構成された電動機による回転力は、電動機回
転子8に焼ばめ固定されたクランク軸3により伝達さ
れ、クランク軸3偏心部を介して揺動スクロール2に伝
達される。揺動スクロール2は、自動防止機構であるオ
ルダムリング4により円軌道を動く公転運動を行い、固
定スクロール1との間に形成される圧縮室14の容積変
化により冷媒の圧縮が行われる。
【0004】冷媒は吸入管12により外部冷凍サイクル
から密閉容器11内へ流入し、圧縮室14内で圧縮され
た後、高圧となり吐出管13より外部冷凍サイクルへ流
出する。揺動スクロール2に作用する冷媒の圧縮荷重の
うち、スラスト方向力は主フレーム5の端面に設けられ
たスラスト軸受により支持されラジアル方向力は、クラ
ンク軸3に伝達され、該クランク軸3は主フレーム5に
形成された主軸受6と電動機をはさんで副フレーム9に
形成された副軸受10により軸支される。各軸受部の潤
滑のための給油及び圧縮室のシールのための給油は、密
閉容器11底部に貯溜された冷凍機油をクランク軸3の
回転による遠心力で、クランク軸3の中心に設けられた
給油孔(破線で示す)を通して行われる。
【0005】スクロール圧縮機では、図10に示す様に
圧縮荷重のラジアル方向力がクランク軸3の端部に作用
し、電動機をはさんで設けられた主軸受6、副軸受10
に対して片持な構造となるため、クランク軸3は大きな
たわみ変形を生じ、特に副軸受10内で片あたりを生
じ、摩耗、焼き付きの原因となる。このため本従来例で
は、クランク軸3のたわみ変形に応じて副軸受部が傾斜
する自動調心機能を有する構造(図9)、あるいは図1
1に示すように、副軸受10面を球面形状とすることで
クランク軸3のたわみ変形に対して調心機能をもたせて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のスクロール圧縮
機は以上の様な構造とすることで副軸受10面内でクラ
ンク軸3のたわみ変形にもとずく片当たり、焼き付きを
防止している。しかしながら、副軸受10面がクランク
軸3のたわみ変形に応じて傾斜する自動調心機能を持つ
場合、その自動調心部分が摺動部となるわけであり、そ
の部分の信頼性が問題となること、さらに副軸受部が極
めて高価となるという問題点があった。また、副軸受1
0内周面を球面形状とする場合、比較的小径の穴の内周
面を球面形状に研削加工することは極めて難しく高価に
なること。また、副軸受10内周面は主軸受6内周面に
対して同軸、平行に組立てられることが必要であるが、
副軸受10内周面が球面形状である場合同軸、平行の基
準面とすることが困難となり組立上問題点があった。
【0007】また、近年はインバータ駆動により圧縮機
を低速から高速まで可変速運転し消費電力量の低減、快
適性の向上をはかっている。これに対し、圧縮室14へ
の給油は、クランク軸3の回転に伴なう遠心力によって
行われるため低速運転時給油量が不足し、高速運転時に
給油量が過剰となるという問題が生じた。これは低速回
転時に圧縮室14のオイルシールが不十分となり、洩れ
損失により効率が低下すること。高速回転時に圧縮機か
らの吐出冷媒中の油循環量が増加し熱交換器での効率が
低下する等の問題点があった。
【0008】この発明は上記の様な問題点を解消するた
めに成されたもので、圧縮荷重のラジアル方向力によ
り、クランク軸がたわみ変形を生じた場合でも副軸受の
摩耗、焼き付き等の損傷の発生を防止し高い信頼性を有
するとともに、インバータ制御によって低速から高速ま
で広い運転範囲において性能の低下の無い高効率な密閉
形冷媒圧縮機(スクロール圧縮機)を簡単で安価な構造
で提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の密閉形圧縮機
は、密閉容器内に圧縮要素と電動要素とを収納し、電動
要素の回転力をクランク軸によって圧縮要素に伝達する
密閉形圧縮機において、クランク軸は、電動要素の両側
で、圧縮要素を接続された一端側を主軸受で支持され、
他端側を副軸受で支持され,副軸受はクランク軸側で自
動調心機能を有し、この副軸受部におけるクランク軸
は、軸のたわみ変形角に応じた微小凸の樽形状に形成さ
れ、この樽形状部が副軸受に嵌合する構成としたもので
ある。
【0010】請求項2の密閉形圧縮機は、請求項1記載
の密閉形圧縮機において、副軸受部におけるクランク軸
は、R4000−R9000の曲率に形成されたもので
ある。
【0011】請求項3の密閉形圧縮機は、密閉容器内に
圧縮要素と電動要素とを収納し、電動要素の回転力をク
ランク軸によって圧縮要素に伝達する密閉形圧縮機にお
いて、クランク軸を電動要素の両側で支持する主軸受と
副軸受を備え、副軸受の軸端側が反軸端側より微小量小
径となる、又はこの副軸受部におけるクランク軸の副軸
受部の軸端側相当部分が反軸端側相当部分より微小量大
径となる、テーパー形状であり、かつ、圧縮荷重,クラ
ンク軸の剛性及び主軸受と副軸受間の距離によって決ま
るクランク軸のたわみ変形に相当する傾斜角を有するテ
ーパ形状としたものである。
【0012】請求項4の密閉形圧縮機は、請求項3記載
の密閉形圧縮機において、1×10-3rad程度のテー
パー形状に形成されたものである。
【0013】
【作用】請求項1の密閉形圧縮機は、クランク軸は、電
動要素の両側で、圧縮要素を接続された一端側を主軸受
で支持され、他端側を副軸受で支持され,副軸受はクラ
ンク軸側で自動調心機能を有し、この副軸受部における
クランク軸は、軸のたわみ変形角に応じた微小凸の樽形
状に形成され、この樽形状部が副軸受に嵌合する構成と
したので、副軸受部の荷重は、圧縮要素から電動要素を
はさんで離れているため小さいのに対し軸のたわみ変形
は大きいが,微小凸の樽形状軸は軸のたわみ角が増して
も軸受は十分な軸受負荷容量を持つ。
【0014】請求項2の密閉形圧縮機は、圧縮行程でク
ランク軸にラジアル方向力が作用すると、クランク軸は
たわみ変形を生じるが、副軸受部におけるクランク軸
は、R4000−R9000の曲率に形成されたので、
副軸受内部で軸を支持し片当たりしない。
【0015】請求項3の密閉形圧縮機は、クランク軸を
電動要素の両側で支持する主軸受と副軸受を備え、副軸
受の軸端側が反軸端側より微小量小径となる、又はこの
副軸受部におけるクランク軸の副軸受部の軸端側相当部
分が反軸端側相当部分より微小量大径となる、テーパー
形状であり、かつ、圧縮荷重,クランク軸の剛性及び主
軸受と副軸受間の距離によって決まるクランク軸のたわ
み変形に相当する傾斜角を有するテーパ形状としたの
で、クランク軸のたわみ変形量が推定でき,適切なテー
パ量を設定でき,このたわみ量で軸受負荷容量を大きく
出来る。
【0016】請求項4の密閉形圧縮機は、請求項3記載
の密閉形圧縮機において、1×10-3rad程度のテー
パー形状に形成されたので、副軸受内部で軸を支持し片
当たりしない。
【0017】
【実施例】実施例1. 以下、この発明の実施例1を図について説明する。図1
はこの発明の実施例1に係るスクロール圧縮機の断面図
である。図において、1は固定スクロール、2は固定ス
クロール1と共に圧縮室14を形成する揺動スクロー
ル、3は電動機の回転力を揺動スクロール2に伝達する
クランク軸、4は揺動スクロール2の自転を防止するオ
ルダムリング、5は主軸受6が形成された主フレーム、
7は電動要素を形成する電動機固定子、8は電動機固定
子7に収納され、クランク軸3に嵌合固定した電動機回
転子、9は圧縮機の下部に設けられた副フレーム、10
は副フレーム9に形成された副軸受、11はこれら圧縮
要素、電動要素を収納する密閉容器、12は外部より密
閉容器11内に冷媒を導く吸入管、13は高温、高圧の
冷媒を外部に吐出する吐出管、15は揺動スクロール鏡
板背面に設けられた給油溝、16はフレーム5の端面に
設けられたスラスト軸受、17はスラスト軸受16に設
けられた油溜めである。この実施例は、クランク軸3
が、副軸受10面内で中央部が微小凸となる樽形状に成
形されている点に特徴がある。
【0018】次に動作について説明する。固定スクロー
ル1と揺動スクロール2により形成される圧縮室14に
て、揺動スクロール2の公転運動により冷媒は圧縮され
るが、揺動スクロール2に反力として作用する冷媒の圧
縮荷重の内、軸方向に働くスラスト方向力は主フレーム
6に設けられたスラスト軸受16で支持され、ラジアル
方向力はクランク軸3に伝達され、クランク軸3は主フ
レーム5に設けられた主軸受6と電動機をはさんで下部
に設けられた副フレーム9の副軸受10とにより支持さ
れる。
【0019】クランク軸3はラジアル方向の圧縮荷重を
受けることにより、その荷重と軸の剛性によって決まる
たわみ変形を生じる。これにより副軸受10面に対して
クランク軸3は傾斜して支持される。ここで、クランク
軸3は副軸受10面内で、中央部が微小凸となる樽形状
に成形されているので、図2(a),(b)に示す様
に、クランク軸3がラジアル方向力の作用により傾斜し
ても、副軸受10の軸受面の上端で片当たりを生じるこ
とがなく、軸受面の中央近傍で支持され、大幅な軸受特
性の低下が無く、軸受の損傷の心配も無い。ここで樽形
状の微小凸量は、軸のたわみ変形角に応じて決まるが、
概略R4000〜R9000程度の曲率半径に成形する
ことで、広い運転範囲に対して良好な軸受特性が得られ
る。
【0020】この実施例によれば、クランク軸3の形状
を副軸受10面内で中央部が微小凸となる樽形状に成形
することにより、クランク軸3がラジアル方向の作用に
より傾斜しても、副軸受10の軸受面の上端で片当たり
を生ずることがなく、軸受面の中央近傍で支持されるの
で、大幅な軸受特性の低下がなく、軸受の損傷のおそれ
がないことにより、スクロール圧縮機の信頼性を大幅に
向上させる効果を奏する。なお、クランク軸3の微小凸
となる樽形状は外形研削加工となるため、従来例の副軸
受面を球面状とするよりも比較的容易に加工することが
できる。
【0021】実施例2. なお、上記実施例では、クランク軸3が副軸受10面内
で中央部が微小量凸となる樽状に成形されている場合を
示したが、図3(a),(b)に示す様にクランク軸3
が副軸受10面内で反電動機側の軸端側が微小量大径と
なる様にテーパ形状に成形されている場合についても、
同様の効果を生じる。これはラジアル方向の圧縮荷重と
クランク軸3の剛性より想定されるたわみ変形に相当す
る傾斜角のテーパ形状にクランク軸3の副軸受10部を
成形することで、荷重を受け軸が傾斜した状態で軸受面
に対し平行に荷重を支持することができる。ここでクラ
ンク軸3のテーパ量は概略1×10-3[rad]程度で
軸受面内での軸径差で4ミクロン〜20ミクロン程度に
成形することで、広い運転範囲に対して良好な軸受特性
を得ることができる。
【0022】尚、図4に(a)実施例1の微小量凸とな
る樽形状軸、(b)実施例2の微小テーパ形状軸、
(c)通常の真直形状軸の場合について、クランク軸3
がたわみ変形を生じた場合の軸受特性を示す。ここで横
軸は、副軸受10面内でのクランク軸3のたわみ変形で
縦軸は軸受が支持することができる荷重である軸受負荷
容量である。通常の真直形状軸(c)が軸のたわみ変形
角が増すと急速に負荷容量が低下するのに対し、この発
明による微小凸形状の樽形状軸(a)は軸のたわみ角が
増しても十分な軸受負荷容量を持つことが解る。スクロ
ール圧縮機の副軸受10部の荷重は、圧縮要素部から電
動要素をはさんで遠く離れているため小さいのに対し軸
のたわみ変形は大きいことから、この発明の微小凸形状
の樽形状軸とすることで片当たりによる摩耗、焼き付き
のおそれの無い信頼性の高い軸受構造となることがわか
る。次に実施例2の微小テーパ形状(b)の場合、その
テーパ量によって、ある軸のたわみ変形角の時に軸受負
荷容量が大きく設定できる。クランク軸3のたわみ変形
角は圧縮荷重とクランク軸の剛性、主軸受6と副軸受1
0間の距離によって決まり、これを推定することは容易
なため、適切なテーパ量を設定すれば、これも摩耗、焼
き付きのおそれの無い信頼性の高い軸受構造となること
がわかる。
【0023】この実施例によれば、クランク軸3の副軸
受部を、ラジアル方向の圧縮荷重とクランク軸3の剛性
より想定されるたわみ変形に相当する傾斜角のテーパ形
状に成形することにより、ラジアル荷重を受け軸が傾斜
した状態で軸受面に対し平行に荷重を支持することで、
良好な軸受特性を得ることができる。
【0024】実施例3. 上記実施例では、クランク軸3が副軸受10面内でテー
パ形状に成形されているものを示したが、図5(a),
(b)に示すように副軸受面側を反軸端側を微小量大径
となるようなテーパ形状に成形しても同様の効果を奏す
る。ラジアル方向の圧縮荷重とクランク軸3の剛性より
想定されるたわみ変形に相当する傾斜角のテーパ形状に
副軸受面を成形することで、荷重を受け軸が傾斜した状
態で軸受面に対し平行に荷重を支持することができる。
ここで副軸受10のテーパ量は実施例2のクランク軸の
テーパ量と同様である。
【0025】この実施例によれば、副軸受10をラジア
ル方向の圧縮荷重とクランク軸3の剛性より想定される
たわみ変形に相当する傾斜角のテーパ形状に成形するこ
とにより、ラジアル荷重を受け軸が傾斜した状態で軸受
面に対し平行に荷重を支持することで、良好な軸受特性
を得ることができる。
【0026】この実施例によれば、揺動スクロール2の
自転を拘束するオルダムリング4の外側にスラスト軸受
16を設け、このスラスト軸受16は内外周に連通しな
い油溜め17を有し、揺動スクロール鏡板背面に設けた
給油溝により、スラスト軸受16の油溜め17とスラス
ト軸受16の内周部とを間欠的に連通する位置関係とす
ることにより、スラスト軸受16の潤滑が確実に行われ
る。
【0027】また、密閉容器11の底部に貯溜された潤
滑油はクランク軸3の回転によりクランク軸3下端より
副軸受10部、主軸受6部を潤滑した後、クランク軸3
上端より主フレーム5内へ導かれ、揺動スクロール2の
自転を拘束するオルダムリング4の摺動部を潤滑する。
そのオルダムリング4の外側には揺動スクロール2のス
ラスト力を支持するスラスト軸受16が設けられてお
り、ここでスラスト軸受16のスラスト面には、その内
周にも外周にも連通していない油溜め17が設けられて
いる。さらに揺動スクロール2の鏡板背面には環状の給
油溝15が設けられている。
【0028】ここで、図6(a),(b)に示すごと
く、揺動スクロール2背面の給油溝15の位置D1 、ス
ラスト軸受の内径d、その油溜め17の位置D2 、及び
揺動スクロール2の公転運動の円軌道の半径eとする
と、 (D2 −d)/2≦2e D1 ≒(D2 +d)/2 を満たす寸法関係となる様に構成することにより、オル
ダムリング4を潤滑しスラスト軸受16の内周の油は、
揺動スクロール2の公転運動に基づくポンプ作用によ
り、間欠的にスラスト軸受16に設けられた油溜め17
へ供給され、スラスト軸受16の潤滑が確実に行われ
る。
【0029】また、前記スラスト軸受16の内径d、油
溜め17の位置D2 、揺動スクロール2の背面の給油溝
15の位置D1 、揺動スクロール2の鏡板外形B、揺動
スクロール2の公転運動の円軌道半径eとの関係が、 D1 ≧B−2e (D2 −d)/2≦2e D1 ≒(D2 +d)/2 を満たす寸法関係となる様に構成することにより、オル
ダムリング4を潤滑し、スラスト軸受16の内周の油
は、揺動スクロール2の公転運動に基づくポンプ作用に
より、間欠的にスラスト軸受16に設けられた油溜め1
7へ供給された後、油溜め17は揺動スクロール2の公
転運動により、冷媒の吸入室へ間欠的に開口し、油溜め
17内の油は間欠的に圧縮室14内へ導かれる。この様
にスラスト軸受16内周から外周にあたる圧縮室14へ
給油経路を連通させることなく、揺動スクロール2の揺
動運転に基づくポンプ作用によって間欠的に給油を行う
ことにより、圧縮機の運転速度に依存することなく、一
回転に一定量の油を冷媒の圧縮室14内へ導くことがで
きる。
【0030】これにより低速運転時においても、圧縮機
のオイルシールを確実に行うことで洩れ損失が少なく、
さらに高速運転時においても吐出冷媒中の油循環率が増
加することのない信頼性の高いスクロール圧縮機を提供
することができる。
【0031】この実施例によれば、スラスト軸受16に
設けた油溜め17を揺動スクロール2の揺動運動によ
り、冷媒の吸入室に間欠的に開口する位置に設けること
により、圧縮機運転速度に依存することなく一回転あた
り一定量の油を圧縮室14へ供給することができ、圧縮
室のオイルシールが確実に行える。
【0032】実施例4. なお、上記実施例では、クランク軸3が副軸受面内で中
央部が微小量凸となる樽状に成形されている場合を示し
たが、図7に示す様に下部軸端側が微小量凸となる樽状
に成形されている場合でも良く、軸のたわみ変形による
片当たりを防止することができる。
【0033】また、図6に示す実施例では、スラスト軸
受16に油溜め17を設け揺動スクロール2の鏡板背面
に環状の給油溝15を設けた場合を示したが、これは、
図8に示す様に両者ともに油溜めであっても良く、また
その形状は環状であっても、円形のピットあるいは矩形
のピットであっても良く、前記の実施例3に示す位置関
係となる様に構成し揺動スクロールの揺動運動により、
間欠的に油がスラスト軸受内周→揺動スクロール背面の
油溜め→スラスト軸受油溜め→圧縮室内へ給油が行うこ
とにより、前記実施例と同様の効果を奏する。
【0034】
【発明の効果】請求項1の密閉形圧縮機は、クランク軸
は、電動要素の両側で、圧縮要素を接続された一端側を
主軸受で支持され、他端側を副軸受で支持され,副軸受
はクランク軸側で自動調心機能を有し、この副軸受部に
おけるクランク軸は、軸のたわみ変形角に応じた微小凸
の樽形状に形成され、この樽形状部が副軸受に嵌合する
構成としたので、副軸受部の荷重は、圧縮要素から電動
要素をはさんで離れているため小さいのに対し軸のたわ
み変形は大きいが,微小凸形状の樽形状軸は軸のたわみ
角が増しても軸受は十分な軸受負荷容量を持ち、片当た
りによる摩耗、焼き付けのおそれの無い信頼性の高い軸
受構造となる。
【0035】請求項2の密閉形圧縮機は、請求項1記載
の密閉形圧縮機において、副軸受部におけるクランク軸
は、R4000−R9000の曲率に形成されたので、
軸受の摩耗、焼き付き等の損傷の無い信頼性の高い密閉
形圧縮機が得られる。
【0036】請求項3の密閉形圧縮機は、クランク軸を
電動要素の両側で支持する主軸受と副軸受を備え、副軸
受の軸端側が反軸端側より微小量小径となる、又はこの
副軸受部におけるクランク軸の副軸受部の軸端側相当部
分が反軸端側相当部分より微小量大径となる、テーパー
形状であり、かつ、圧縮荷重,クランク軸の剛性及び主
軸受と副軸受間の距離によって決まるクランク軸のたわ
み変形に相当する傾斜角を有するテーパ形状としたの
で、クランク軸のたわみ変形量が推定でき,適切なテー
パ量を設定でき,このたわみ量で軸受負荷容量を大きく
でき,摩耗、焼き付けのおそれの無い信頼性の高い軸受
構造となる。
【0037】請求項4の密閉形圧縮機は、請求項3記載
の密閉形圧縮機において、1×10-3rad程度のテー
パー形状に形成されたので、副軸受内部で軸を支持し片
当たりせず、軸受の摩耗、焼き付き等の損傷のない信頼
性の高い密閉形圧縮機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例1によるスクロール圧縮機
の縦断面図である。
【図2】 この発明の実施例1によるスクロール圧縮機
の副軸受部拡大図である。
【図3】 この発明の実施例2によるスクロール圧縮機
の副軸受部拡大図である。
【図4】 この発明の実施例1,2によるスクロール圧
縮機の副軸受部の軸受特性計算結果を示す図である。
【図5】 この発明の実施例3によるスクロール圧縮機
の副軸受部拡大図である。
【図6】 この発明のスクロール圧縮機の要部拡大図で
ある。
【図7】 この発明の実施例4によるスクロール圧縮機
の副軸受部拡大図である。
【図8】 この発明のスクロール圧縮機の要部拡大図で
ある。
【図9】 従来のスクロール圧縮機の縦断面図である。
【図10】 従来のスクロール圧縮機の変形状態と副軸
受での片当たり状態を示す図である。
【図11】 従来のスクロール圧縮機の副軸受部の拡大
図である。
【符号の説明】
1 固定スクロール、2 揺動スクロール、3 クラン
ク軸、6 主軸受、10 副軸受、11 密閉容器、1
5 給油溝、16 スラスト軸受、17 油溜め。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−358784(JP,A) 特開 昭57−51991(JP,A) 特開 平5−240175(JP,A) 特開 平2−9973(JP,A) 特開 平3−229982(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉容器内に圧縮要素と電動要素とを収
    納し、前記電動要素の回転力をクランク軸によって前記
    圧縮要素に伝達する密閉形圧縮機において、前記クラン
    ク軸は、前記電動要素の両側で、前記圧縮要素を接続さ
    れた一端側を主軸受で支持され、他端側を副軸受で支持
    され,前記副軸受は前記クランク軸側で自動調心機能を
    有し、この副軸受部における前記クランク軸は、軸のた
    わみ変形角に応じた微小凸の樽形状に形成され、この樽
    形状部が前記副軸受に嵌合する構成としたことを特徴と
    する密閉形圧縮機。
  2. 【請求項2】 副軸受部におけるクランク軸は、R40
    00−R9000の曲率に形成されたことを特徴とする
    請求項1記載の密閉形圧縮機。
  3. 【請求項3】 密閉容器内に圧縮要素と電動要素とを収
    納し、前記電動要素の回転力をクランク軸によって前記
    圧縮要素に伝達する密閉形圧縮機において、前記クラン
    ク軸を前記電動要素の両側で支持する主軸受と副軸受を
    備え、前記副軸受の軸端側が反軸端側より微小量小径と
    なる、又はこの副軸受部における前記クランク軸の前記
    副軸受部の軸端側相当部分が反軸端側相当部分より微小
    量大径となる、テーパー形状であり、かつ、圧縮荷重,
    クランク軸の剛性及び主軸受と副軸受間の距離によって
    決まるクランク軸のたわみ変形に相当する傾斜角を有す
    るテーパ形状であることを特徴とする密閉形圧縮機。
  4. 【請求項4】 1×10-3rad程度のテーパー形状に
    形成されたことを特徴とする請求項3記載の密閉形圧縮
    機。
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