以下、本考案に係る塗工装置の実施形態について、図1乃至図3を参照して説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態における塗工装置1は、大別して、装置本体2とヒータ・ファンデッキ3とによって構成されている。
図1および図3に示すように、装置本体2は、略直方体の筐体2aを有しており、この筐体2aの底部には、装置本体2を移動自在にさせる複数個のキャスタ4と、装置本体2の水平レベルの調整および振動吸収を兼ねた複数個のレベリングマウント5とがそれぞれ配設されている。なお、筐体2aは、図1における縦方向の寸法(全高)が150cm未満、図1における横方向の寸法(全長)が90cm未満の小型に形成されたものであることが望ましい。
そして、筐体2aの内部には、連続した基材の表面に塗工を行って塗工膜を形成するための各種の手段が配設されている。
すなわち、図1に示すように、筐体2aの内部には、繰り出し手段を構成する図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状の繰り出しロール6が回転自在に配設されており、この繰り出しロール6の外周には、連続した長尺状の基材7が、基材7を円環状に巻回してなる基材ロール8の状態で着脱可能とされている。そして、繰り出しロール6に装着された基材ロール8の基材7は、繰り出しロール6の回転動作にともなって下流側に繰り出されるようになっている。なお、基材7としては、PVC、PP、PETまたは銅箔等の種々の基材を用いることができる。また、本実施形態において、繰り出しロール6は、基材7の搬送方向に直交する塗工幅方向(図1における紙面垂直方向)における一方(図1における紙面奧側方向)の端部側が筐体2aの内部に立設された図示しない支持フレームに支持(すなわち片持ち支持)されている。さらに、本実施形態において、繰り出しロール6は、空気を給排可能とされた公知のエアシャフトによって形成されている。このエアシャフトは、開孔を有する円環状のシャフト本体内に、空気を供給可能とされたエアチューブと、このエアチューブとシャフト本体との間に配置されたラグとを備えたものであってもよい。このようなエアシャフトは、エアチューブへの給気にともなうエアチューブの膨脹により、ラグが径方向外方に押し出されてラグの突起部が開孔を通ってシャフト本体の外側に突出され、一方、エアチューブへの非給気時(排気時を含む)には、ラグの突起部がシャフト本体内に退避するようになっている。これにより、繰り出しロール6は、基材7の装着状態においては、図示しない給気手段による空気の給入が行われて径の一部(ラグの突起部に相当する部分)が拡張することによって基材7を安定的に保持し、基材7の着脱作業の際には、 通常の径(ラグの突起部が退避されたときの径に相当)を維持することによって基材7の円滑な着脱を許容するようになっている。
また、図1に示すように、筐体2aの内部における繰り出しロール6に対して基材7の搬送方向の下流側となる繰り出しロール6の左上方位置には、搬送ガイド手段の1つとしての図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状の第1搬送ガイドロール10が回転自在に配設されている。この第1搬送ガイドロール10の外周面の一部には、繰り出しロール6によって繰り出された基材7が巻回されるようになっており、これにより、基材7の搬送がガイドされるようになっている。また、本実施形態において、第1搬送ガイドロール10は、繰り出しロール6と同様に、第1搬送ガイドロール10の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。
さらに、図1に示すように、筐体2aの内部における第1搬送ガイドロール10に対して基材7の搬送方向の下流側となる第1搬送ガイドロール10の左上方(ほぼ真上)位置には、搬送ガイド手段の1つとしての図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状の第2搬送ガイドロール11が回転自在に配設されている。この第2搬送ガイドロール11の外周面の一部には、第1搬送ガイドロール10を経た基材7が巻回されるようになっており、これにより、基材7の搬送がガイドされるようになっている。また、本実施形態において、第2搬送ガイドロール11は、繰り出しロール6と同様に、第2搬送ガイドロール11の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。
さらにまた、図1に示すように、筐体2aの内部における第2搬送ガイドロール11に対して基材7の搬送方向の下流側となる第2搬送ガイドロール11の右方位置すなわち所定の塗工位置には、塗工手段12が配設されている。この塗工手段12は、繰り出しロール6から繰り出されて第1搬送ガイドロール10および第2搬送ガイドロール11を経た基材7の表面に、マイクログラビア方式によって塗工剤を塗工するようになっている。
より具体的には、図1に示すように、塗工手段12は、図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状のグラビアロール14を有しており、このグラビアロール14は、その直径が20〜50mmの小径に形成されている。このグラビアロール14は、繰り出しロール6と同様に、グラビアロール14の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。また、このグラビアロール14における片持ち支持された端部側には、図示しないACサーボモータが連結されており、グラビアロール14は、このACサーボモータによって前記塗工位置における基材7の搬送方向に抗する方向(図1における反時計回り)への回転動作を行うようになっている。
また、図1に示すように、塗工手段12は、図1における紙面垂直方向に長尺とされた第1塗工ガイドロール15を有しており、この第1塗工ガイドロール15は、グラビアロール14よりもわずかに径が大きな略円柱形状に形成されている。さらに、図1に示すように、塗工手段12は、図1における紙面垂直方向に長尺とされた第2塗工ガイドロール16を有しており、この第2塗工ガイドロール16は、第1塗工ガイドロール15と同径の略円柱形状に形成されている。さらにまた、第1塗工ガイドロール15と第2塗工ガイドロール16とは、図示しない回動手段によって互いに一体的に回動されることにより、グラビアロール14に対して遠近可能とされている。そして、図1に示すように、第1塗工ガイドロール15は、グラビアロール14に対する近接位置(図1実線部参照)において、グラビアロール14の外周面に左上方(上流側)から臨むようになっている。また、図1に示すように、第2塗工ガイドロール16は、グラビアロール14に対する近接位置(図1実線部参照)において、グラビアロール14の外周面に右上方(下流側)から臨むようになっている。一方、図1の二点鎖線部に示すように、第1塗工ガイドロール15と第2塗工ガイドロール16とは、グラビアロール14に対する離間位置において、グラビアロール14の上方に位置するようになっている。さらに、第1塗工ガイドロール15および第2塗工ガイドロール16は、第2搬送ガイドロール11を経た基材7を各ロール15,16の外周面の一部(下部)に巻回させた状態でグラビアロール14の近接位置に移動することによって、両ロール15,16間に位置する基材7をグラビアロール14の外周面に上方から圧接させるようになっている。これら第1塗工ガイドロール15および第2塗工ガイドロール16は、繰り出しロール6と同様に、これら第1塗工ガイドロール15および第2塗工ガイドロール16の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。
さらに、図1に示すように、塗工手段12は、グラビアロール14に対する下部近傍位置に塗工剤貯留部17を有しており、この塗工剤貯留部17には、液状の塗工剤が貯留されている。そして、グラビアロール14は、この塗工剤貯留部17に貯留された塗工剤を回転動作にともなって掻き上げることにより、グラビアロール14の外周面に圧接された基材7の表面(図1における下面)に塗工剤を塗工するようになっている。なお、塗工剤は、例えば、アミック酸溶液等の有機溶液からなるものであってもよい。
さらにまた、図1に示すように、塗工手段12は、グラビアロール14の下流側近傍位置に、図1における紙面垂直方向に長尺とされたドクターブレード18を有している。このドクターブレード18は、グラビアロール14によって掻き上げられた塗工剤のうちの余分な塗工剤をグラビアロール14から掻き落とすようになっている。このドクターブレード18は、図示しない接離機構によってグラビアロール14の外周面に対して接離可能となっている。また、ドクターブレード18は、繰り出しロール6と同様に、ドクターブレード18の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。
また、図1に示すように、筐体2aの内部におけるグラビアロール14に対して基材7の搬送方向の下流側となるグラビアロール14の右上方(ほぼ真上)位置には、搬送ガイド手段の1つとしての図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状の第3搬送ガイドロール19が回転自在に配設されている。この第3搬送ガイドロール19の外周面の一部には、グラビアロール14によって塗工剤が塗工された後の基材7がその塗工剤の塗工面を外側に向けるように巻回されるようになっており、これにより、基材7の搬送がガイドされるようになっている。また、本実施形態において、第3搬送ガイドロール19は、繰り出しロール6と同様に、第3搬送ガイドロール19の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。
さらに、図1に示すように、筐体2aの内部における第3搬送ガイドロール19に対して基材7の搬送方向の下流側となる第3搬送ガイドロール19の左方位置には、略くの字状の乾燥室20が配設されている。図1に示すように、乾燥室20は、その右端部に入口20aが形成されているとともに、その下端部に出口20bが形成されている。また、この乾燥室20には、給気ダクト21を介してヒータ・ファンデッキ3に配設された熱気ブロワ22が連結されており、この熱気ブロワ22によって発生した熱風が、給気ダクト21を通って乾燥室20内に供給されるようになっている。さらに、乾燥室20には、排気ダクト23を介してヒータ・ファンデッキ3に配設された排気ブロワ24が連結されており、この排気ブロワ24により、乾燥室20内に供給された熱風が排気ダクト23を経て乾燥室20外に排気されるようになっている。さらにまた、図1に示すように、乾燥室20の内部であって第3搬送ガイドロール19に対する左下位置には、搬送ガイド手段の1つとしての図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状の第4搬送ガイドロール25が回転自在に配設されている。この第4搬送ガイドロール25の外周面の一部には、第3搬送ガイドロール19を経て乾燥室20内に入った基材7がその塗工剤の塗工面を外側に向けるように巻回されるようになっており、これにより、基材7の搬送がガイドされるようになっている。また、本実施形態において、第4搬送ガイドロール25は、繰り出しロール6と同様に、第4搬送ガイドロール25の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。乾燥室20内に入った基材7は、熱気ブロワ22から供給された熱風が基材7に塗工された塗工剤に吹き付けられることによって、塗工剤の乾燥が行われるようになっている。そして、塗工剤の乾燥が行われた後の基材7は、出口20bを通って乾燥室20外へと排出されるようになっている。
さらにまた、図1に示すように、筐体2aの内部における乾燥室20に対して基材7の搬送方向の下流側となる出口20bの下部近傍位置には、搬送ガイド手段の1つとしての図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状の第5搬送ガイドロール26が回転自在に配設されている。この第5搬送ガイドロール26の外周面の一部には、乾燥室20における塗工剤の乾燥が行われた後の基材7がその塗工剤の塗工面を外側に向けるように接触されるようになっており、これにより、基材7の搬送がガイドされるようになっている。また、本実施形態において、第5搬送ガイドロール26は、繰り出しロール6と同様に、第5搬送ガイドロール26の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。
また、図1に示すように、筐体2aの内部における第5搬送ガイドロール26に対して基材7の搬送方向の下流側となる第5搬送ガイドロール26の下部近傍位置には、硬化手段としてのUVキュア部27が配設されている。UVキュア部27は、乾燥室20において乾燥された塗工剤に対して紫外線を照射することによって、塗工剤を硬化するようになっている。
さらに、図1に示すように、装置本体2の内部におけるUVキュア部27に対して基材7の搬送方向の下流側となるUVキュア部27の下方位置には、所定の搬送ガイド手段の1つとしての図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状の第6搬送ガイドロール29が回転自在に配設されている。この第6搬送ガイドロール29の外周面の一部には、UVキュア部27における塗工剤の硬化が行われた後の基材7がその塗工剤の塗工面を外側に向けるように巻回されるようになっており、これにより、基材7の搬送がガイドされるようになっている。また、本実施形態において、第6搬送ガイドロール29は、繰り出しロール6と同様に、第6搬送ガイドロール29の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。
さらにまた、図1に示すように、筐体2aの内部における第6搬送ガイドロール29に対して基材7の搬送方向の下流側となる第6搬送ガイドロール29の右方位置には、所定の搬送ガイド手段の1つとしての図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状の第7搬送ガイドロール30が回転自在に配設されている。この第7搬送ガイドロール30の外周面の一部には、UVキュア部27における塗工剤の硬化が行われた後の基材7がその塗工剤の塗工面を外側に向けるように巻回されるようになっており、これにより、基材7の搬送がガイドされるようになっている。また、本実施形態において、第7搬送ガイドロール30は、繰り出しロール6と同様に、第7搬送ガイドロール30の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。
また、図1に示すように、筐体2aの内部における第7搬送ガイドロール30に対して基材7の搬送方向の下流側となる第7搬送ガイドロール30の右上方位置には、搬送手段としての図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状の搬送ロール31が配設されており、この搬送ロール31の外周面には、第7搬送ガイドロール30を経た基材7が巻回されるようになっている。この搬送ロール31は、繰り出しロール6と同様に、搬送ロール31の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。また、この搬送ロール31における片持ち支持された端部側には、図示しないACサーボモータが連結されており、搬送ロール31は、このACサーボモータによって回転駆動されるようになっている。そして、搬送ロール31の外周面に巻回された基材7は、この搬送ロール31の回転動作にともなって下流側へと安定的に搬送されるようになっている。
さらに、図1に示すように、筐体2aの内部における搬送ロール31の右側には、搬送ガイド手段の1つとしての図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状の第8搬送ガイドロール32が回転自在に配設されている。この第8搬送ガイドロール32は、図示しない圧接手段によって搬送ロール31の外周面に圧接可能とされている。そして、第8搬送ガイドロール32は、搬送ロール31への圧接状態において、搬送ロール31との間に基材7を挟持するようにして基材7の搬送をガイドするようになっている。また、本実施形態において、第8搬送ガイドロール32は、繰り出しロール6と同様に、第8搬送ガイドロール32の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。
さらにまた、図1に示すように、筐体2aの内部における搬送ロール31および第8搬送ガイドロール32に対して基材7の搬送方向の下流側となる第8搬送ガイドロール32の左下方位置には、搬送ガイド手段の1つとしての図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状の第9搬送ガイドロール33が回転自在に配設されている。この第9搬送ガイドロール33の外周面の一部には、搬送ロール31および第8搬送ガイドロール32を経た基材7が巻回されるようになっており、これにより、基材7の搬送がガイドされるようになっている。また、本実施形態において、第9搬送ガイドロール30は、繰り出しロール6と同様に、第9搬送ガイドロール30の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。
また、図1に示すように、筐体2aの内部における第9搬送ガイドロール33に対して基材7の搬送方向の下流側となる第9搬送ガイドロール33の右方位置には、巻き取り手段を構成する図1における紙面垂直方向に長尺な略円柱形状の巻き取りロール34が配設されており、この巻き取りロール34の外周には、繰り出しロール6に装着された基材7における先頭側の基材7が着脱可能とされている。また、本実施形態において、巻き取りロール34は、繰り出しロール6と同様に、巻き取りロール34の前記塗工幅方向における一方(図1における紙面奥側方向)の端部側において前記支持フレームに片持ち支持されている。さらに、この巻き取りロール34における片持ち支持された端部側には、駆動源としての図示しないギアモータが連結されており、このギアモータによって巻き取りロール34が回転駆動されることにより、塗工剤の塗工によって塗工膜が形成された基材7が、巻き取りロール34の回転動作にともなって巻回収容されるようになっている。さらにまた、本実施形態において、巻き取りロール34は、繰り出しロール6と同様に、空気を給排可能とされた公知のエアシャフトによって形成されている。これにより、巻き取りロール34は、基材7の装着状態においては、図示しない給気手段による空気の給入が行われて径の一部を拡張させることによって基材7を安定的に巻回保持し、基材7の着脱作業の際には、通常の径を維持することによって基材7の円滑な着脱を許容するようになっている。
さらに、本実施形態において、筐体2aの前記塗工幅方向における他方(図1における紙面手前側方向)の端部には、開閉手段としての2枚の開閉扉35が配設されており、各開閉扉35は、図2における紙面垂直方向に沿った回動軸を支点として図2における矢印方向にそれぞれ回動可能とされている。開閉扉35は、回動動作にともなって筐体2aを開閉可能とされており、この開閉扉35によって筐体2aが開放された状態で、繰り出しロール6および巻き取りロール34に対してこれら繰り出しロール6および巻き取りロール34の片持ち支持されていない端部側から基材7を着脱可能とされている。
このように、本実施形態によれば、繰り出しロール6、塗工手段12、乾燥室20、UVキュア部27、搬送ロール31、巻き取りロール34および搬送ガイドロール10,11,19,25,26,29,30,32,33を同一の筐体2aの内部に配設することによって装置本体2の小型化を実現することができる。さらに、このような構成に加えて、開閉扉35によって筐体2aが開放された状態で、繰り出しロール6および巻き取りロール34に対して片持ち支持されていない端部側から基材7を着脱可能としたことにより、基材7の交換を容易に行うことができる。
上記構成に加えて、さらに、本実施形態においては、図1に示すように、繰り出しロール6、塗工手段12および巻き取りロール34が、互いに鉛直方向に所定の間隔を設けるように配設されているとともに、鉛直方向および塗工幅方向に直交する全長方向(図1における横方向)における配設位置が互いにほぼ同一とされている。
このような構成によれば、筐体2aの全長を短縮することができるため、さらなる小型化を図ることができる。
上記構成に加えて、さらに、本実施形態においては、繰り出しロール6および巻き取りロール34への基材7の装着時に、基材7を第6搬送ガイドロール29および第7搬送ガイドロール30に巻回させることにより、UVキュア部27による塗工剤の硬化工程をともなう基材7の搬送経路が形成されるようになっている。この場合には、乾燥室20における塗工剤の乾燥が行われた基材7は、UVキュア部27における塗工剤の硬化を経た後に搬送ロール31に巻回されることになる。一方、本実施形態においては、繰り出しロール6および巻き取りロール34への基材7の装着時に、基材7を第6搬送ガイドロール29および第7搬送ガイドロール30に巻回させないことにより、UVキュア部27による塗工剤の硬化工程をともなわない基材7の搬送経路が形成されるようになっている(図1破線部参照)。この場合には、乾燥室20における塗工剤の乾燥が行われた基材7は、第5搬送ガイドロール26を経た後に搬送ロール31に巻回されることになる。
このような構成によれば、塗工剤が紫外線硬化性であるか否かに応じて塗工剤に適した基材7の搬送経路を形成することができるので、利便性および汎用性を向上させることができる。
なお、繰り出しロール6から巻き取りロール34に至る基材7の搬送経路としては、前述したもの以外にも、例えば、図1の一点差線部に示すような経路を基材7の装着時に選択することができる。この搬送経路では、繰り出しロール6から繰り出された直後の基材7が、搬送ロール31によって第1搬送ガイドロール10側に搬送されることになる。この場合には、第8搬送ガイドロール32は、繰り出しロール6と搬送ロール31とを結ぶ経路上から退避させるか、もしくは、第8搬送ガイドロール32を装置本体2から取り外せばよい。
さらに、本実施形態においては、装置本体の前面(図1における右端面)に取付けられた不図示のタッチパネルを用いることによって、塗工装置1の駆動条件(例えば、基材7の搬送速度等)を設定可能とされている。
次に、本実施形態の作用の一例について説明する。
本実施形態において、装置本体2の内部に基材7を装着する場合には、まず、開閉扉35を開いて筐体2aを開放させた状態で、基材ロール8を繰り出しロール6の外周にその片持ち支持されていない端部側から遊嵌する。また、このとき、基材ロール8の先頭側の基材7を、巻き取りロール34の外周に取付ける。この巻き取りロール34に取付けられる先頭側の基材7は、基材ロール8と同様に当初から巻回されたものであってもよい。なお、この基材7の装着時において、繰り出しロール6および巻き取りロール34は、空気の供給を行わずに通常の径を維持した状態にしておく。さらに、このとき、繰り出しロール6と巻き取りロール34との間に引き出した基材7を、第1〜第7、第9搬送ガイドロール10,11,19,25,26,29,30,33、第1および第2塗工ガイドロール15,16ならびに搬送ロール31の外周に巻回する。さらにまた、このとき、第1および第2塗工ガイドロール15,16は、前記回動手段によってグラビアロール14に対する離間位置に位置させておくとともに、第8搬送ガイドロール32は、搬送ロール31への圧接位置から退避させておく。
次いで、繰り出しロール6および巻き取りロール34に空気を供給して各ロール6,34の径を拡張させることによって基材7の装着を完了させる。
次いで、基材7の表面に塗工剤を塗工する場合には、前記回動手段によって第1塗工ガイドロール15および第2塗工ガイドロール16をグラビアロール14への近接位置に移動させることによって、第1塗工ガイドロール15と第2塗工ガイドロール16の間に繰り出された基材7をグラビアロール14の外周面に圧接させる。
次いで、巻き取りロール34および搬送ロール31を回転駆動することによって、繰り出しロール6が従動回転を行い、これにより、繰り出しロール6に装着された基材7の下面が下流側へと繰り出される。
繰り出しロール6から繰り出された基材7は、巻き取りロール34および搬送ロール31の搬送力によって第1搬送ガイドロール10および第2搬送ガイドロール11を順次経た後に塗工手段12の塗工位置に搬送され、この塗工位置において、グラビアロール14による塗工剤の塗工が行われる。
次いで、塗工位置における塗工剤の塗工が行われた基材7は、巻き取りロール34および搬送ロール31の搬送力によって第3搬送ガイドロール19を経た後に乾燥室20内に搬送され、この乾燥室20内において、熱気ブロワ22から供給された熱風による塗工剤の乾燥が行われる。
次いで、乾燥室20内における塗工剤の乾燥が行われた基材7は、巻き取りロール34および搬送ロール31の搬送力によって第5搬送ガイドロール26を経た後にUVキュア部27の位置に搬送され、このUVキュア部27から照射されら紫外線による塗工剤の硬化が行われる。
次いで、UVキュア部27による塗工剤の硬化が行われた基材7は、巻き取りロール34および搬送ロール31の搬送力によって第6搬送ガイドロール29および第7搬送ガイドロール30を順次経た後に、搬送ロール31と第8搬送ガイドロール32との圧接位置に搬送される。
次いで、搬送ロール31と第8搬送ガイドロール32との圧接位置に搬送された基材7は、搬送ロール31と第8搬送ガイドロール32とに挟持されつつさらに下流側に搬送される。
そして、搬送ロール31と第8搬送ガイドロール32との圧接位置を経た基材7は、第9搬送ガイドロール33を経た後に巻き取りロール34の外周に巻回されて回収される。
このようにして塗工剤の塗工が行われた基材7を装置本体2から離脱させる場合には、前述した装着時とは逆の工程の作業を行えばよい。
以上述べたように、本実施形態によれば、小型化を図ることができるとともに基材7の交換を容易に行うことができるので、狭い設置スペースにおいても試験塗工を簡便かつ適切に行うことができる。ただし、本実施形態における塗工装置1は、試験塗工の用途に限らず、出荷用の製品の製造に用いるようにしてもよい。
なお、本考案は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することができる。