JP3153208U - 緩み防止ナット - Google Patents
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Abstract
【課題】上ナットの締付力を確実に伝達して緩み止め効果を十分に発揮させることのできるナット緩み防止機能を具備した緩み防止ナットを提供することである。【解決手段】上ナット1、下ナット2及び傾斜片7付き座金3からなる緩み防止ナットにおいて、上ナット1の締め付けの進行に応じて、傾斜片7を突設した座金3が下ナット2の筒部9の回りに円滑に回動自在に摺動し、上ナット1がボルト軸11の軸心に対して偏芯しながら、上ナット1の締着力を薄肉状の筒部9に確実に伝達することができる。傾斜片7を介して伝達力の作用を受けた、筒部9の一部はボルト軸11に円滑且つ確実に噛み込んで、緩み止め効果を奏する。【選択図】 図1
Description
本考案は、ボルトに螺合して各種部材を締結するナットに関し、特には、締結後の緩みを防止する緩み防止機能を備えた緩み防止ナットに関するものである。
一般に、雄ねじをもつボルトに雌ねじをもつナットを螺合させるボルト・ナットが締結具として種々の分野、用途に用いられている。ボルトとナットの螺合により一旦締結されると、一定の環境下では緩むことはないが、例えば、車両が往来する交通橋梁や、建造物周辺で交通量が多いといった環境の下では、橋梁、建造物、産業機器等に使用されたボルトやナットに振動や衝撃等が加わると、ナットの締め付けが緩むおそれがあった。
簡易なナット緩み防止手段としては、従来から、スプリングワッシャーやダブルナット等が使用されているが、これらは締付力の補強にはなっても、経時的な緩みの発生、防止には十分ではなかった。また、ピン材を貫通させて、ナットがボルトから抜け落ちないようにする脱落防止方法もあるが、振動等でピン材が破断されるおそれがあり、殊に、公共施設等においては悪戯でピン材が抜かれて安全性が脅かされる問題もあった。
そこで、ナットの緩み防止には、安全性や確実性の点で、ピン材等の固定部材を用いず、ボルトの雄ねじにナットの雌ねじを食い込ませてロックする構造のものが好ましい。
かかるロック構造としては、例えば、特許文献1に開示されているように、上ナットと下ナットからなり、下ナットの凸部と上ナットの凹部を嵌合させるようにした緩み防止機能付き上下ナットがある。下ナットの凸部又は上ナットの凹部はボルト孔の軸心に対して偏芯しており、下ナット及び上ナットをボルトに締め付けると、下ナット及び上ナットが互いにボルト孔の軸心に対してズレるように偏芯嵌合する。この偏芯嵌合により、ボルト軸に対して径方向の大きな応力が生じて、ナットの緩み防止効果を奏する。
特許文献2には、上下に凸部を形成した中ナットを使用して、上記緩み防止機能付き上下ナットと同様に、偏芯嵌合によりボルト軸に対して径方向の大きな応力が生じさせてナットの緩み防止機能を具備させた上中下ナットが開示されている。
上記緩み防止機能を具備させた上下ナット又は上中下ナットにおいては、凸部を形成した前者の下ナットないし後者の中ナットをボルト軸に対して偏芯嵌合させて、緩み防止応力を雄ねじと雌ねじの噛み合わせで発生させる構造となっている。しかし、下ナット又は中ナットの凸部にはねじ部を形成するための肉厚を必要としているため、該緩み防止応力を十分に生じさせるには、その肉厚に抗して上ナット等の締め付け力を十分に伝達させる必要がある。従って、上ナット等の締め付けが弱い場合には締付力が十分に伝達されずに緩み止め効果を達成できないおそれがあった。
本考案の目的は、上記課題に鑑み、上ナットの締付力を確実に伝達して緩み止め効果を十分に発揮させることのできるナット緩み防止機能を具備した緩み防止ナットを提供することである。
本考案の第1の形態は、外向きにテーパー状に拡がった凹部をボルト孔の周囲に形成した上ナットと、外周径が外向きに縮径した筒部をボルト孔の周囲に一体的に突設した下ナットと、前記筒部を挿通させる貫通孔が形成され、前記貫通孔周辺に前記貫通孔に向けて傾斜した傾斜片を少なくとも1個突設した座金とからなり、前記筒部を前記貫通孔に挿通させ、且つ前記傾斜片と共に前記凹部に収設して、前記上ナットと前記下ナットの間に前記座金を介挿させ、前記上ナットと前記下ナットをボルト軸に螺合させた状態において、前記凹部の内側面が前記傾斜片に当接して前記上ナットを前記ボルト軸の軸心に対して偏芯させて、前記座金を回動させながら螺着させたとき、前記上ナットの締着力を前記傾斜片を介して前記筒部に伝達して、前記筒部の一部を前記ボルト軸に食い込ませて圧着変形させることにより、前記上ナット及び前記下ナットの緩み止めを行う緩み防止ナットである。
本考案の第2の形態は、外向きに開放された逆円錐台形状の内側面からなる凹部をボルト孔の周囲に形成した上ナットと、外周径が外向きに縮径した筒部をボルト孔の周囲に一体的に突設した下ナットと、前記筒部を挿通させる貫通孔が形成され、前記貫通孔に向けて傾斜し、且つ中空逆円錐台の側面の一部を切り欠いた形状を有する傾斜切片を前記貫通孔周辺に少なくとも1個突設した座金とからなり、前記筒部を前記貫通孔に挿通させ、且つ前記傾斜片と共に前記凹部に収設して、前記上ナットと前記下ナットの間に前記座金を介挿させ、前記上ナットと前記下ナットをボルト軸に螺合させた状態において、前記凹部の内側面が前記傾斜片に当接して前記上ナットを前記ボルト軸の軸心に対して偏芯させて、前記座金を回動させながら螺着させたとき、前記上ナットの締着力を前記傾斜片を介して前記筒部に伝達して、前記筒部の一部を前記ボルト軸に食い込ませて圧着変形させることにより、前記上ナット及び前記下ナットの緩み止めを行う緩み防止ナットである。
本考案の第3の形態は、第1又は第2の形態において、前記傾斜片は前記座金の座面に対して80°±5°傾斜して形成された緩み防止ナットである。
本考案の第4の形態は、第1、第2又は第3の形態において、前記凹部の深さが前記上ナットの厚みの半分以下に形成された緩み防止ナットである。
本考案の第5の形態は、第1〜第4のいずれかの形態において、前記座金の外径が前記下ナットの外径より大きく、前記上ナット及び前記下ナットを前記ボルト軸に螺合させる際に、締結作業用具が前記座金の拡径部分に当接して前記下ナット側への抜け落ちを防止した緩み防止ナットである。
本考案の第1の形態によれば、前記下ナットの前記筒部を前記座金の前記貫通孔に挿通させ、且つ前記傾斜片と共に前記上ナットの前記凹部に収設して、前記上ナットと前記下ナットの間に前記座金を介挿させ、前記上ナットと前記下ナットをボルト軸に螺合させた状態において、前記凹部の内側面が前記傾斜片に当接して前記上ナットを前記ボルト軸の軸心に対して偏芯させて、前記座金を回動させながら螺着させたとき、前記上ナットの締着力を前記傾斜片を介して前記筒部に伝達して、前記筒部の一部を前記ボルト軸に食い込ませて圧着変形させることにより、前記上ナット及び前記下ナットの緩み止めを行うので、前記上ナットと前記下ナットに対して、前記傾斜片を突設した前記座金が前記下ナットの前記筒部の回りに回動自在に摺動し、前記上ナットの締め付けの進行に応じて、前記上ナットが前記ボルト軸の軸心に対して偏芯しながら、前記上ナットの締着力を、前記傾斜片を介して径方向に集中応力を生じさせて前記筒部に伝達でき、前記筒部の一部を前記ボルト軸に確実に噛み込ませて緩み止め効果を十分に発揮させることができる。特に、本形態においては、前記傾斜片により集中応力を生じさせるため、前記筒部がある程度の肉厚があっても、前記ボルト軸への噛み込みを円滑且つ確実に行うことができ、良好な緩み止め機能を達成することができる。
第1形態に係るナットは、電気設備、製造装置等に用いる比較的小型のボルトから、橋梁、建造物等に用いる大型ボルトに対して適用することができる。
本考案の第2の形態によれば、外周径が外向きに縮径してボルト軸を挿通させる、前記下ナットの薄肉状の前記筒部を前記座金の前記貫通孔に挿通させ、且つ前記貫通孔に向けて傾斜し、且つ中空逆円錐台の側面の一部を切り欠いた形状を有する前記傾斜片と共に前記上ナットの外向きに逆円錐台形状の内側面からなる前記凹部に収設して、前記上ナットと前記下ナットの間に前記座金を介挿させ、前記上ナットと前記下ナットをボルト軸に螺合させた状態において、前記凹部の内側面が前記傾斜片に当接して前記上ナットを前記ボルト軸の軸心に対して偏芯させて、前記座金を回動させながら螺着させたとき、前記上ナットの締着力を前記傾斜片を介して前記筒部に伝達して、前記筒部の一部を前記ボルト軸に食い込ませて圧着変形させることにより、前記上ナット及び前記下ナットの緩み止めを行うので、前記上ナットと前記下ナットに対して、前記中空逆円錐台の一部である円弧状の前記傾斜片を突設した前記座金が前記下ナットの前記筒部の回りに円滑に回動自在に摺動し、前記上ナットの締め付けの進行に応じて、前記上ナットが前記ボルト軸の軸心に対して偏芯しながら、前記上ナットの締着力を薄肉状の前記筒部に確実に伝達して、その薄肉部分の一部が前記ボルト軸に円滑且つ確実に噛み込んで、緩み止め効果を十分に発揮させ、緩み止め機能を良好に達成することができる。第2形態に係るナットは、電気設備、製造装置等に用いる比較的小型のボルトから、橋梁、建造物等に用いる大型ボルトに対して適用することができる。
本考案の第3の形態によれば、前記傾斜片は前記座金の座面に対して80°±5°傾斜して形成されているので、前記凹部内側面との当接により前記上ナットの締付力を受けて、前記筒部の回りに摺動しながら円滑に回動し、前記上ナットの締め付けの進行に応じて、前記上ナットの締着力を前記筒部に確実に伝達して前記筒部の前記ボルト軸への噛み込みを確実にし、緩み止め効果を十分に発揮させることができる。
本考案の第4の形態によれば、前記凹部の深さが前記上ナットの厚みの半分以下に形成されているので、前記外ナットの雌ねじ部を十分に確保して、ナット締結力を低下させずに緩み止め機能を具備させることができる。
ダブルナットによる締結の際には、スパナやボックスレンチ等の締結作業用具が上ナットを貫通して下ナット側に落ち込んでしまい、円滑に締結作業が行えない不具合を生ずる。そこで、本考案の第5の形態によれば、前記座金の外径を前記下ナットの外径より大きくして、前記上ナット及び前記下ナットを前記ボルト軸に螺合させる際に、締結作業用具が前記座金の拡径部分に当接して前記下ナット側への抜け落ちを防止しているので、前記座金を前記下ナットに装着した状態で前記上ナットを締め付ける際には、前記下ナットから突出した前記拡径部分がスパナやボックスレンチに当接するストッパ機能として働くため、上記のように、スパナやボックスレンチが下ナットまで抜け落ち込むことがなく、前記上ナットの締結作業を円滑に行うことができる。
本考案の一実施形態に係る緩み防止ナットを含む締結具を、図面を参照して以下に説明する。
図1は本考案に係る緩み防止ナットを含む締結具の分解斜視図である。
図1は本考案に係る緩み防止ナットを含む締結具の分解斜視図である。
本実施形態に係る緩み防止ナットは一組の上ナット1、下ナット2及び上ナット1と下ナット2の間に介挿される座金3からなる。上ナット1と下ナット2は外形が6角形の6角ナットである。
図2は上ナット1及び下ナット2の側面図である。上ナット1は、ボルト孔5の周囲に外向きに開放形成した逆円錐台形状の内側面からなる凹部4を有する。上ナット1は、ボルト軸径が12mm(φ)のボルト10が螺合するボルト孔5を有し、その厚さ1Aは10mmである。
凹部4は、深さ1Bが4.5mm、逆円錐台形状の底面の直径4Bが13.8mm、開放口の直径4Aが15.4mmの寸法を有する。従って、凹部4の開放口は100°の角度4Cで外向きに開放形成されている。凹部4の深さ1Bはねじ山の数を確保するうえで、上ナット1の厚さ1Aの半分以下が好ましい。
凹部4は、深さ1Bが4.5mm、逆円錐台形状の底面の直径4Bが13.8mm、開放口の直径4Aが15.4mmの寸法を有する。従って、凹部4の開放口は100°の角度4Cで外向きに開放形成されている。凹部4の深さ1Bはねじ山の数を確保するうえで、上ナット1の厚さ1Aの半分以下が好ましい。
下ナット2は、ボルト軸径が12mm(φ)のボルト10が螺合するボルト孔8を有し、全厚さ2Aは11mmである。下ナット2は、ボルト孔8の周囲に一体的に突設して一体に形成された薄肉状筒部9を有する。薄肉状筒部9は外周径が外向きに縮径し、ボルト孔8の一部であって、ボルト軸11が螺合するねじ部を有する。筒部9の薄肉形態は、筒先付近でボルト軸のねじ山より少し大きい厚さ、具体的にはねじ山の高さ程度の厚みを備えた、断面テーパー形状の筒側部により形成されている。筒部9の高さ2Cは5mmであり、下ナット2の6角ナット部分の厚さ2Bは6mmである。筒部9の大径部は14.8mmの直径9Aを有し、且つ筒部9の先端側の小径部は13.0mmの直径9Bを有しており、筒先におけるテーパー角度9Cは100°である。従って、筒部9は上ナット1の凹部4に嵌合する大きさを備え、大径部と凹部4の開放口との間には直径で0.6mmの隙間が形成されている。この隙間によって、後述の座金3の傾斜片7が凹部4内に挿入可能になっている。
図3は座金3の平面と縦断面を示す。図3の(3A)は座金3の平面図、同図(3B)は座金3の縦断面図である。
座金3は全体としてリング片のワッシャ形状を有し、中央に筒部9を挿通させる貫通孔6が形成されている。貫通孔6周辺には、貫通孔6側に向けて傾斜し、且つ中空逆円錐台の側面の一部を切り欠いた形状を有する傾斜片7が一体的に突設されている。貫通孔6の内径は15mmであり、傾斜片7の円弧角は貫通孔6の中心に対して60°に設定され、根元の円周長7Bは7.5mmである。傾斜片7の傾斜長7Cは4.1mmである。
座金3は全体としてリング片のワッシャ形状を有し、中央に筒部9を挿通させる貫通孔6が形成されている。貫通孔6周辺には、貫通孔6側に向けて傾斜し、且つ中空逆円錐台の側面の一部を切り欠いた形状を有する傾斜片7が一体的に突設されている。貫通孔6の内径は15mmであり、傾斜片7の円弧角は貫通孔6の中心に対して60°に設定され、根元の円周長7Bは7.5mmである。傾斜片7の傾斜長7Cは4.1mmである。
傾斜片7はリング片に中空逆円錐台の側面の一部を切り欠いた切片を溶着して形成されている。傾斜片7には、リング片と同じ厚さ(1mm)の板材を曲げ加工して使用している。傾斜角7Dはリング水平面に対して80°であり、筒部9のテーパー角度9C(100°)と補角の関係にある。従って、座金3の装着時には、筒部9が貫通孔6に円滑に挿通され、座金3を筒部9周囲の平坦面上に載置したときには、傾斜片7の内側面が筒部9の外側面に略密着して装着される。(3A)に示すように、座金3の装着状態においては傾斜片7の上端面7Aが筒部9の上端面9Dより突出しない程度で、筒部9の側面に添着される。座金3の装着状態においては、上ナット1を凹部4を内側にして締結させると、傾斜片7及び筒部9が凹部4内部に密着状に収設され、上ナット1の完全締結状態において凹部4と筒部9の上端面9Dとの間には若干の空隙が生じる余裕を持たせている。なお、傾斜片7は溶着に代えて、曲げ絞り加工によりリング片と共に一体成形してもよい。傾斜角7Dは80°±5°の範囲で設定可能であり、それに応じて筒部9の前記テーパー角度9Cも100°±5°の範囲で適宜調整すればよい。
図2及び図3に示すように、座金3のリング外径bは、上ナット1及び下ナット2の外径aより3mm程度、拡径されている。この拡径部分は上ナット1をスパナ又はボックスレンチにより締め付ける際に、スパナ又はボックスレンチが上ナット1を貫通して下ナット2側に落ち込ませないストッパ機能として働く。
なお、座金3は円形でなくてもよく、楕円形状等を使用することができる。例えば、楕円形の座金3を使用した場合には、その長径方向の長さを上ナット1及び下ナット2の外径aよりを数mm大きくしておけば、該長径方向端部を上記スパナ又はボックスレンチのストッパ作用端部として機能させることができる。
なお、座金3は円形でなくてもよく、楕円形状等を使用することができる。例えば、楕円形の座金3を使用した場合には、その長径方向の長さを上ナット1及び下ナット2の外径aよりを数mm大きくしておけば、該長径方向端部を上記スパナ又はボックスレンチのストッパ作用端部として機能させることができる。
図4は本実施形態に係る緩み防止ナット及びボルト10を用いて2枚の金属板材12、13を締結した締結状態を示す。
ボルト10は金属板材12、13に穿設した貫通孔14、15に挿通され、貫通孔14、15を貫通したボルト軸11に下ナット2が筒部9を外側にして螺着されている。下ナット2の筒部9には、座金3の貫通孔6を通過させて、座金3が取着される。下ナット2を金属板材12、13に対して絞め付けた後、座金3を介挿した状態で上ナット1が螺着される。
ボルト10は金属板材12、13に穿設した貫通孔14、15に挿通され、貫通孔14、15を貫通したボルト軸11に下ナット2が筒部9を外側にして螺着されている。下ナット2の筒部9には、座金3の貫通孔6を通過させて、座金3が取着される。下ナット2を金属板材12、13に対して絞め付けた後、座金3を介挿した状態で上ナット1が螺着される。
本実施形態においては、上ナット1と下ナット2を座金3を介挿してボルト軸11に螺合させた状態で、凹部4の内側面が傾斜片7に当接するので、上ナット1がボルト軸11の軸心に対して偏芯して締付が行われる。上ナット1の締付を偏芯しながら進行させていく際、座金3はフリー状態で介挿されているため、自在に回動可能になっている。
座金を回動させながら上ナット1を螺着させたとき、上ナット1の締着力が傾斜片7を介して筒部9に伝達される。破線の矢印で示す径方向に前記締着力が伝達されて、その伝達を受けた筒部9の一部が、ボルト軸11に食い込んで圧着変形することにより、上ナット1及び下ナット3による締結と緩み止め状態を確保することができる。
本実施形態に係る、上ナット1及び下ナット2からなる緩み防止ナットにおいて、上ナット1の締め付けの進行に応じて、傾斜片7を突設した座金3が下ナット2の筒部9の回りに円滑に回動自在に摺動し、上ナット1がボルト軸11の軸心に対して偏芯しながら、上ナット1の締着力を薄肉状の筒部9に確実に伝達することができる。従って、傾斜片7を介して伝達力の作用を受けた、筒部9の一部がボルト軸11に円滑且つ確実に噛み込んで、緩み止め効果を十分に発揮させることができる。本実施形態では、12φのボルト10に適用する緩み防止ナットの場合であるが、本考案に係る緩み防止ナットは、かかる呼び径の小さいものに限らず、呼び径M16〜M30の橋梁用等の高力ボルトにも適用可能である。
座金3を下ナット2に装着した状態で上ナット1を締め付けるとき、座金3のリング外径bは上ナット1及び下ナット2の外径aより大きくしているので、下ナット2から突出した座金3の拡径部分がスパナやボックスレンチ等の締結作業用具に当接するストッパ機能として働く。図4に示すように、上ナット1の締付の進行に伴い、傾斜片7を設けたリング端部17は内側に移動するが、リング端部17の反対側に対向するリング端部16は外側に、つまり下ナット2の外側面より離間していき、リング端部16でスパナやボックスレンチの当接を維持、確保できる。従って、上ナット1の締結作業時にスパナやボックスレンチが下ナット2まで落ち込むことがなく、上ナット1の締結作業を円滑に行うことができる。なお、上ナット1の締付時の座金3による偏芯が生じて、リング端部17が内側に移動するため、リング端部17が上ナット1の内側に入り込まないように、座金3のリング片の拡径を大きくしておけば、締結作業用具がリング端部16及び17に当接する状態を十分に確保して、締結作業を締結完了まで終始円滑に行うことができる。
尚、本考案は上記ナット寸法の実施形態に限定されることは勿論のこと、本考案の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
本考案によれば、一般機器用のボルトから、橋梁や建造物に使用する呼び径の大きいボルトにも適用して、締結力を確保し、且つ安全性を実現できる緩み止め機能を具備した緩み防止ナットを提供することができる。
1 上ナット
1A 厚さ
1B 深さ
2 下ナット
2A 厚さ
2B 厚さ
2C 高さ
3 座金
4 凹部
4A 直径
4B 直径
4C 角度
5 ボルト孔
6 貫通孔
7 傾斜片
7A 上端面
7B 円周長
7C テーパー角度
7D 傾斜角
8 ボルト孔
9 筒部
9A 直径
9B 直径
9C テーパー角度
9D 上端面
10 ボルト
11 ボルト軸
12 金属板材
13 金属板材
14 貫通孔
15 貫通孔
16 リング端部
17 リング端部
a 外径
b リング外径
1A 厚さ
1B 深さ
2 下ナット
2A 厚さ
2B 厚さ
2C 高さ
3 座金
4 凹部
4A 直径
4B 直径
4C 角度
5 ボルト孔
6 貫通孔
7 傾斜片
7A 上端面
7B 円周長
7C テーパー角度
7D 傾斜角
8 ボルト孔
9 筒部
9A 直径
9B 直径
9C テーパー角度
9D 上端面
10 ボルト
11 ボルト軸
12 金属板材
13 金属板材
14 貫通孔
15 貫通孔
16 リング端部
17 リング端部
a 外径
b リング外径
Claims (5)
- 外向きにテーパー状に拡がった凹部をボルト孔の周囲に形成した上ナットと、外周径が外向きに縮径し、ボルト軸を挿通させる筒部をボルト孔の周囲に一体的に突設した下ナットと、前記筒部を挿通させる貫通孔が形成され、前記貫通孔周辺に前記貫通孔に向けて傾斜した傾斜片を少なくとも1個突設した座金とからなり、前記筒部を前記貫通孔に挿通させ、且つ前記傾斜片と共に前記凹部に収設して、前記上ナットと前記下ナットの間に前記座金を介挿させ、前記上ナットと前記下ナットを前記ボルト軸に螺合させた状態において、前記凹部の内側面が前記傾斜片に当接して前記上ナットを前記ボルト軸の軸心に対して偏芯させて、前記座金を回動させながら螺着させたとき、前記上ナットの締着力を前記傾斜片を介して前記筒部に伝達して、前記筒部の一部を前記ボルト軸に食い込ませて圧着変形させることにより、前記上ナット及び前記下ナットの緩み止めを行うことを特徴とする緩み防止ナット。
- 外向きに開放された逆円錐台形状の内側面からなる凹部をボルト孔の周囲に形成した上ナットと、外周径が外向きに縮径し、ボルト軸を挿通させる薄肉状筒部をボルト孔の周囲に一体的に突設した下ナットと、前記筒部を挿通させる貫通孔が形成され、前記貫通孔に向けて傾斜し、且つ中空逆円錐台の側面の一部を切り欠いた形状を有する傾斜片を前記貫通孔周辺に少なくとも1個突設した座金とからなり、前記筒部を前記貫通孔に挿通させ、且つ前記傾斜片と共に前記凹部に収設して、前記上ナットと前記下ナットの間に前記座金を介挿させ、前記上ナットと前記下ナットを前記ボルト軸に螺合させた状態において、前記凹部の内側面が前記傾斜片に当接して前記上ナットを前記ボルト軸の軸心に対して偏芯させて、前記座金を回動させながら螺着させたとき、前記上ナットの締着力を前記傾斜片を介して前記筒部に伝達して、前記筒部の一部を前記ボルト軸に食い込ませて圧着変形させることにより、前記上ナット及び前記下ナットの緩み止めを行うことを特徴とする緩み防止ナット。
- 前記傾斜片は前記座金の座面に対して80°±5°傾斜して形成された請求項1、又は2に記載の緩み防止ナット。
- 前記凹部の深さが前記上ナットの厚みの半分以下に形成された請求項1、2又は3に記載の緩み防止ナット。
- 前記座金の外径が前記下ナットの外径より大きく、前記上ナット及び前記下ナットを前記ボルト軸に螺合させる際に、締結作業用具が前記座金の拡径部分に当接して前記下ナット側への抜け落ちを防止した請求項1、2、3又は4に記載の緩み防止ナット。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017219117A (ja) * | 2016-06-08 | 2017-12-14 | ハードロック工業株式会社 | 枢着装置、並びに、取付装置 |
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2009
- 2009-06-15 JP JP2009004088U patent/JP3153208U/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2017219117A (ja) * | 2016-06-08 | 2017-12-14 | ハードロック工業株式会社 | 枢着装置、並びに、取付装置 |
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