JP3152377B2 - オーディオ信号電力増幅回路およびこれを用いるオーディオ装置 - Google Patents

オーディオ信号電力増幅回路およびこれを用いるオーディオ装置

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JP3152377B2 JP08411294A JP8411294A JP3152377B2 JP 3152377 B2 JP3152377 B2 JP 3152377B2 JP 08411294 A JP08411294 A JP 08411294A JP 8411294 A JP8411294 A JP 8411294A JP 3152377 B2 JP3152377 B2 JP 3152377B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、オーディオ信号電力
増幅回路およびこれを用いるオーディオ装置に関し、詳
しくは、音声や演奏音等からなるオーディオ信号を増幅
してBTL(Balanced Tranceformer Less)方式の出力
回路によりスピーカを駆動して音響を出力する、ラジオ
やカセットテーププレーヤ,ビデオテープレコーダ、ビ
デオカメラ、コンポーネントステレオ装置などのオーデ
ィオ信号を発生するような装置(これらを含めてここで
はオーディオ装置という)において、BTLの出力回路
の消費電力を低減することができ、特に携帯用のオーデ
ィオ装置に適する電力増幅回路に関する。
【0002】
【従来の技術】図7(a) にBTL出力回路を用いたオー
ディオ装置の例として従来のポータブルカセットテープ
プレーヤの信号再生系の回路を簡単なブロック図で示
す。1は読取ヘッド、2は、ヘッドアンプ、イコライザ
回路等を含む信号再生処理回路、3は正相側(非反転出
力側)の出力段アンプ、4は負荷としてのスピーカ、そ
して、5は、逆相側(反転出力側)の出力段アンプであ
る。
【0003】再生時には、オーディオ信号が記録された
テープ(図示せず)から、読出ヘッド1を介して入力オ
ーディオ信号として読出信号Aが得られる。この読出信
号Aが信号再生処理回路2に入力されて、録音時の高周
波バイアス成分が除去され、イコライジング処理などが
施されて、オーディオ信号Bが再生される。再生された
オーディオ信号Bは、最終的に出力段アンプ3,5にそ
れぞれ加えられて増幅される。入力信号Bは、それぞれ
の出力段アンプにおいて出力信号C,C* となり、これ
ら出力によりスピーカ4が駆動される。その結果、スピ
ーカ4から再生音が発生する。
【0004】通常、トランジスタのアンプ3,5は、そ
れぞれの入力段に一対の信号を生成する入力段アンプ3
a ,5a を有する。オーディオ信号Bは、入力段アンプ
3aにより増幅されて相互に位相が180゜相違する一
対の信号にされる。これら信号が出力段アンプを構成す
るプシュプルトランジスタQ1 ,Q2 で増幅されて、出
力信号Cとして電力増幅される。また、オーディオ信号
Bは、入力段アンプ5a により反転増幅されて同様にプ
シュプルトランジスタQ3 ,Q4 で増幅されて、出力信
号C* として電力増幅される。
【0005】出力段アンプ3を例としてその電力増幅に
ついて詳述すると、入力信号Bに応じて出力段アンプ3
へ給電する電源ラインVccの電圧がトランジスタQ1 で
出力信号Cの電圧まで降下される。言い替えれば、トラ
ンジスタQ1 の内部インピーダンスによる降下電圧の量
がオーディオ信号Bの波形に応じて変化する結果として
出力信号Cが生成される。このとき、トランジスタQ1
は、電源ラインVccの電圧と出力信号Cの電圧との差電
圧を受け持つ。その結果として、トランジスタQ1 は、
前記差電圧分の電力を消費する。
【0006】なお、出力段アンプの構成は、説明の都合
上、図では出力トランジスタQ1 ,Q2 だけの簡単な回
路にしているが、実際の回路としては、ドライブ回路等
の周辺回路が加わっていてもよい。そして、以上のこと
は、出力段アンプ5についても同様である。特に、BT
L回路の場合には、通常、入力段アンプ3a ,5a が差
動増幅回路で構成されていて、アンプ3,5の出力端子
から入力段差動アンプ3a ,5a の基準電圧(Vcc/2
の電圧,Vccは電源電圧)が加えられる反転入力側へネ
ガティブフィードバックがかけられているが、発明には
直接関係していないので図ではそれが省略されている。
【0007】ここで、BTL出力段アンプ3,5の動作
を詳述すると、オーディオ信号Bの電圧値が基準電圧
(Vcc/2)より上にあるときには、入力段アンプ3a
の出力により電源側トランジスタQ1 が能動状態にされ
接地側トランジスタQ2 が遮断状態にされる。さらに入
力段アンプ5a の出力により電源側トランジスタQ3 が
遮断状態にされ接地側トランジスタQ4 が能動状態にさ
れる。そして、オーディオ信号Bの電圧値に応じた電流
が電源ラインVccからトランジスタQ1 を経てスピーカ
4,トランジスタQ4 ,グランドへと流れる。
【0008】オーディオ信号Bの電圧値が基準電圧より
下にあるときには、トランジスタのON,OFF関係が
前記と逆になり、オーディオ信号Bの電圧値に応じた電
流が電源ラインVccからトランジスタQ3 ,スピーカ
4,トランジスタQ2 ,グランドへと流れる。オーディ
オ信号Bの電圧値が基準電圧にあるときには、各トラン
ジスタは、OFF状態にある。このときには、前記の入
力段アンプ3a ,5a へのネガティブフィードバックに
より、各アンプ3,5の出力端子はVcc/2になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、互いに逆
相で動作する一対の出力段アンプ3,5を設けてBTL
動作をさせたときの各トランジスタQ1 ,Q2 ,Q3 ,
Q4 で消費される電力を図7(b) の斜線で示す。なお、
図では各トランジスタが消費する電力を斜線の方向を換
えることでそれぞれの斜線の範囲で示している。斜線で
示す出力トランジスタの降下電圧による電力は、パワー
増幅用のトランジスタによって熱として放散される。こ
のため、電力損失が大きいパワートランジスタが必要に
なる。ここで大きな電力が消費されるので、BTL出力
回路で出力信号C,C* を生成する場合の電力効率はよ
くない。
【0010】このことは、特に、限られた電力のバッテ
リーで動作する携帯形のオーディオ装置では、装置の動
作時間が電力使用効率によって左右されることになるの
で問題になる。しかも、この種の装置では、長時間動作
可能なことが製品価値として極めて重要である。そこ
で、できるだけ消費電力の少ない装置であることが要請
されている。この発明の目的は、出力回路の消費電力を
低減することができるBTLのオーディオ信号電力増幅
回路を提供することにある。この発明の他の目的は、出
力回路のトランジスタの消費電力を低減することにより
電力損失の低いトランジスタが使用できるBTLのオー
ディオ信号電力増幅回路を提供することにある。また、
この発明の目的は、オーディオ装置のBTLの出力回路
の消費電力を低減することができるオーディオ装置を提
供することにある。この発明のさらに他の目的は、携帯
用に適したオーディオ装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るこの発明のオーディオ信号電力増幅回路およびこれを
用いるオーディオ装置の特徴は、オーディオ信号を受け
てこれを増幅して出力するプッシュプルの第1のアンプ
と、オーディオ信号を受けてこれを増幅して出力するプ
ッシュプルの第2のアンプと、電源ラインから電力を受
けて可聴周波数を超える周波数で第1のトランジスタを
スイッチングして第1のコイルを介して第1のアンプに
給電する第1のスイッチング回路と、オーディオ信号の
電圧およびオーディオ信号を第1のアンプで増幅するこ
とで生成された増幅オーディオ信号の電圧のいずれかの
電圧と第1のアンプに給電する電力の電圧との差に応じ
て前記給電する電力がオーディオ信号のレベルに対応し
て変化するように第1のスイッチング回路のスイッチン
グ期間を制御する第1の制御回路と、電源ラインから電
力を受けて可聴周波数を超える周波数で第2のトランジ
スタをスイッチングして第2のコイルを介して第2のア
ンプに給電する第2のスイッチング回路と、オーディオ
信号の電圧およびオーディオ信号を第2のアンプで増幅
することで生成された増幅オーディオ信号の電圧のいず
れかの電圧と第2のアンプに給電する電力の電圧との差
に応じて給電する電力がオーディオ信号のレベルに対応
して変化するように第2のスイッチング回路のスイッチ
ング期間を制御する第2の制御回路と、第1のコイルと
第1のトランジスタとの接続点と第2のアンプの出力端
子との間に接続され第1のトランジスタのスイッチング
がOFFしている期間に第1のコイルから供給された電
流を第1のコイルに還流させる第1のダイオードと、第
2のコイルと第2のトランジスタとの接続点と第1のア
ンプの出力端子との間に接続され第2のトランジスタの
スイッチングがOFFしている期間に第2のコイルから
供給された電流を第2のコイルに還流させる第2のダイ
オードとを備えていて、第1のアンプのプッシュプルの
プッシュ側の出力がオーディオ信号の半サイクルの信号
を増幅するものであり、そのプル側の出力がオーディオ
信号の残りの他の半サイクルの信号に対応してON状態
に維持され、第2のアンプのプッシュプルのプッシュ側
の出力が前記の残りの他の半サイクルの信号を増幅する
ものであり、そのプル側の出力が前記の半サイクルの信
号に対応してON状態に維持され、第1のアンプの出力
と第2のアンプの出力とによりスピーカを駆動するもの
である。また、他の発明としては、第1および第2のス
イッチング回路と前記第1および第2の制御回路とがそ
れぞれグランド側に配置され、第1のアンプのプル側の
出力が半サイクルのオーディオ出力を発生し、プッシュ
側の出力が残りの半サイクルに対応してON状態に維持
され、これとは逆に、第2のアンプのプル側の出力が前
記の残りの半サイクルのオーディオ出力を発生し、プッ
シュ側の出力が前記の半サイクルでON状態に維持され
るものである。特に、これらの構成においては、第1お
よび第2のスイッチング回路にコイルを設けて、第1お
よび第2のアンプの出力側と第1および第2のスイッチ
ング回路との間を第1および第2のダイオードによりク
ロス(けさがけ)接続してそれぞれの回路のスイッチン
グがOFF状態のときにコイルに流れる電流の転流路を
形成するものである。
【0012】
【作用】第1,第2のアンプと電源ラインとの間に前記
のような制御をするスイッチング制御回路とスイッチン
グ回路とをそれぞれ設けることにより、アンプへの給電
電力がスイッチング制御により生成される。しかも、ア
ンプへの給電電力の電圧は、オーディオ信号の電圧に応
じてフィードバックがかかる。そこで、給電電力の電圧
とこのアンプの出力信号の電圧との電位差を一定に維持
するように動作させることができる。そこで、この一定
の電位差をアンプの動作に要する最低電圧か、それ以上
でも低い電圧の範囲で一定値に維持するようにすること
ができる。さらに、第1、第2のダイオードを設けて第
1、第2のそれぞれのアンプの出力端子とけさがけ接続
することによりスイッチングOFF時の第1および第2
のコイルに流れる電流が第1および第2のダイオードを
介してそれぞれ転流する。この場合、これらの転流電流
は、接地側に流れることはないので、その電圧は、安定
した値になり、しかも、転流電流が接地ラインを経由し
ない分だけ、消費電力が低減される。また、オーディオ
信号の電圧および増幅オーディオ信号の電圧のいずれか
の電圧と第1および第2のアンプに給電する電力の電圧
との差の電圧を検出する回路としてトランジスタのベー
スとエミッタ間に前記の差電圧を受けてこれのON/O
FFを利用する検出回路を設ければ、このトランジスタ
がONのときと、さらにOFFのときとでそれぞれにお
いて検出信号を発生することことができる。これによ
り、トランジスタのベースとエミッタ間の1Vfの電圧
を基準としてこれにあるいはこれに近い電圧に維持され
るように出力電圧と供給電圧の差を制御することができ
る。また、検出回路のトランジスタがOFFのときには
スイッチング回路のスイッチングをOFF状態にさせる
ことでプッシュ側の制御とプル側の制御を簡単な回路で
切り離すことができ、低電圧駆動に適し、制御回路全体
が簡単な回路になる。
【0013】さて、前記の一定の電位差(一定電圧)
は、アンプにおいては、出力信号を生成するための降下
電圧に対応している。そこで、ここでは、アンプでの降
下電圧が前記の最低電圧か、それ以上の低い一定電圧に
維持されて増幅動作が行われることになる。このときの
出力信号の電流値は、スイッチング回路から給電された
電力により決定され、それは、入力されたオーディオ信
号に応じた電流になる。そこで、このときのアンプの消
費電力は、前記一定電圧でほぼ決定される。さらに、こ
こでは、プッシュプル出力のいずれか一方を半サイクル
ごとにON状態にするので、ON側の出力回路で消費さ
れる電力がさらに低減される。その結果、従来のように
一定の電源電圧から直接電圧降下させて出力信号を得た
ときの消費電力よりも消費電力が低くなる。以上は、ア
ンプからグランドへと流出する電流をスイッチングした
場合も同様である。
【0014】ところで、電源ラインVccをスイッチング
するために発生するスイッチング回路とこれの制御回路
の和の電力損失は、スイッチングトランジスタのON抵
抗が低く、常時発生するのではなく、スイッチング時に
過渡的に発生するものが主体となる。常時発生していた
従来のものに較べれば、極めて僅かなものである。これ
による消費電力の増加は、電力増幅段の電力消費からみ
れば比較的小さなものである。したがって、全体とし
て、オーディオ信号の増幅のために消費する電力損失を
少なくすることができる。これにより電力使用効率を向
上させることができる。
【0015】なお、この発明では、電力供給ラインのス
イッチングが可聴周波数を超える速いタイミングで行わ
れる。これにより、たとえ、スイッチングに起因する歪
み成分が増幅されたオーディオ信号に含まれていたとし
ても、この成分は最終的には聞き取られることがない。
よって、実用上、オーディオ信号の質を損なうことがな
く、オーディオ装置としての性能を維持することができ
る。
【0016】
【実施例】図1において、出力段回路30は、ポータブ
ルカセットテーププレーヤ10の出力段増幅回路であっ
て、図7のアンプ3,5に対して電力を供給する供給電
力制御回路40,41がそれぞれ、それぞれのアンプ対
応に設けられている。なお、図7と同一の構成は同一の
符号を付してある。したがって、説明は割愛する。ま
た、図示はしていないが、電源ラインVccは、携帯用の
オーディオ装置として、電池の+側の出力電力ラインに
接続されている。
【0017】出力段回路30は、図7における入力段ア
ンプ3a ,5a を差動増幅器3b ,5b にそれぞれ換え
たものであって、差動増幅器3b は、その(+) 入力側に
入力オーディオ信号B、その(-) 入力側にVcc/2の基
準電圧が加えられて入力オーディオ信号Bの上側の半サ
イクルだけ増幅して出力する。差動増幅器5b は、その
(-) 入力側に入力オーディオ信号B、その(+) 入力側に
Vcc/2の基準電圧が加えられて入力オーディオ信号B
の下側の半サイクルだけ増幅して出力する。そして、コ
ンパレータ44は、その(+) 入力側に入力オーディオ信
号B、その(-)入力側にVcc/2の基準電圧が加えられ
て入力信号Bの上側の半サイクルに対応したパルス信号
Tを発生する。信号Tは、トランジスタQ4 のベースに
加えられる一方、インバータ45で反転されてトランジ
スタQ2 のベースに加えられる。
【0018】そこで、プル側のトランジスタQ2 ,Q4
のいずれかは、オーディオ信号Bの半サイクルごとにO
N状態になって、スピーカ4の一端は、接地レベルから
トランジスタのコレクタ−エミッタ間のON時の電圧分
だけ高い電圧になる。このようにすれば、スイッチング
OFF時のコイルL70,L71に流れる電流がダイオード
D70,D71を介してそれぞれ転流する。この場合、これ
らの転流電流は、接地側に流れることはないので、この
電圧は、安定した値になり、しかも、転流電流が接地ラ
インを経由しない分だけ、消費電力が低減される。
【0019】供給電力制御回路40は、PWM(パルス
ワイドモジュレーション)の制御により出力電力を、こ
の電力の電圧がオーディオ信号の出力信号の電圧に対し
て一定値に維持されるようにスイッチングレギュレーシ
ョンする電力制御回路である。供給電流の制御は、入力
信号の信号レベルに応じて決定される出力トランジスタ
Q1 の内部インピーダンスの変化に応じて行われる。そ
のために、出力電力の電圧と出力信号Cの電圧とを検出
する。そして、これらの差に対応する電力をトランジス
タQ1 に供給して、トランジスタQ1 の出力側と電力供
給端子との間の電位差が一定になるように制御する。こ
れにより同時に、入力信号(あるいは出力信号)に応じ
た電力を供給される。この回路40は、検出回路50、
スイッチングレギュレーション回路60、そして平滑回
路70からなる。なお、点線で示すコンデンサCN は、
高周波信号をバイパスさせるためのものであり、その容
量は、2000P程度である。このコンデンサは原理的
には不要である。
【0020】スイッチングレギュレーション回路60
は、電源ラインVccとアンプ3への電力供給端子(出力
端子6)との間に挿入された回路である。これは、制御
電圧値発生回路65とスイッチング回路66とからな
る。制御電圧値発生回路65は、トランジスタQ61とア
ンプ61とを有していて、スイッチング制御のための制
御電圧値を発生する。スイッチング回路66は、コンパ
レータ62とPNP形のスイッチングトランジスタQ6
2、そして三角波発生回路63とからり、電源ラインVc
cに接続される電力供給ラインをトランジスタQ62によ
りON/OFFして、その結果得られる電力を平滑回路
70を介して出力端子6に送出する。それが出力端子6
に発生する、アンプ3に対する給電電力Dになる。
【0021】供給電力制御回路40の制御により出力端
子6の電圧は、出力信号Cのレベルに追従して変動する
ことになるが、この出力端子6とトランジスタQ1 の出
力信号の出力端子との電位差が一定に維持されること
で、前述したように、トランジスタQ1 での消費電力は
低減される。すなわち、ここでは、出力信号Cの信号レ
ベルが低いときには、それに応じて出力端子6の電圧も
低くなる。出力信号Cの信号レベルが高いときには、そ
れに応じて出力端子6の電圧も高くなる。
【0022】供給電力制御回路40とトランジスタQ1
との全消費電力が、従来のトランジスタQ1 による消費
電力より少なくなければならない。これは、スイッチン
グ周波数を高い周波数に選択すること、例えば、50k
Hz〜800kHz程度の高い周波数にすること、そし
て出力端子6とトランジスタQ1 の出力信号の出力端子
との電位差を、従来の電源ラインVccからの平均的な電
圧降下よりも低い一定の電圧に維持することで達成でき
る。これにより、従来のトランジスタQ1 における電源
電圧Vccからの電圧降下により発生する平均的な消費電
力より小さく抑えられる。
【0023】さて、この実施例の出力段回路30は、プ
シュプル出力アンプ3,5のプッシュ側(吐出側)のト
ランジスタQ1 ,Q3 でそれぞれ基準電圧に対してオー
ディオ信号Bの正側の半サイクルと負側の半サイクルに
対応する出力信号を発生し、プル側(シンク側)のトラ
ンジスタQ2 ,Q4 をそれぞれの半サイクルのタイミン
グにON状態に維持して動作させる。このような動作に
おいて、検出回路50は、ベース−エミッタ間を検出端
子とするNPNトランジスタQ50を主体として構成され
ている。その検出信号Eは、スイッチングレギュレーシ
ョン回路60のトランジスタQ61に出力されてトランジ
スタQ62をON/OFFさせる。トランジスタQ50は、
給電電力Dの電圧をそのエミッタに受け、そのベースに
は、アンプ3から出力される出力信号Cの電圧を順方向
接続のダイオードD51,D52を介して受ける。その結
果、検出回路50の検出動作は、給電電力Dの電圧と出
力信号Cの電圧との差電圧VD-C が1Vf(ベース・エ
ミッタ間の順方向降下電圧)より大きいか否かに応じて
異なってくる。
【0024】この差電圧VD-C が1Vf 以下のときには
トランジスタQ50がONする。これにより、差電圧1V
f −VD-C の検出信号E(=誤差電圧)に応じた電流を
トランジスタQ61に加える。トランジスタQ61は、この
誤差電圧に応じてそれを増幅した電圧を分圧電圧F(後
述)として発生する。一方、差電圧VD-C が1Vf を越
えたときには、トランスタQ50はOFFする。これによ
り一定電圧(=Vcc)の検出信号Eが発生する。なお、
51は、ダイオードD51,D52をON状態に維持するた
めの定電流源であり、出力信号Cから2×1Vf (=2
Vf )高い基準信号GをトランジスタQ50のベースに発
生する。
【0025】制御電圧値発生回路65は、検出回路50
の検出信号Eを受けてコンパレータ62に対する比較電
圧値Pを発生する。これは、検出回路50からの検出信
号Eを受けてトランジスタQ61がONしたときに、言い
替えれば、出力信号Cの電圧と出力端子6の給電電力D
の電圧の差が1Vf 以下になったときに、電源ラインV
ccの電圧と出力信号Cの電圧との間の電圧値を、直列接
続の抵抗回路R62,R63の接続点Nに分圧電圧Fとして
発生する。
【0026】アンプ61は、この分圧電圧Fを受けて、
これと基準信号Gの電圧との差分の信号を増幅して前記
の比較電圧値Pを発生する。そして、これをコンパレー
タ62の(-) 入力(基準端子側)に出力する。検出回路
50からの検出信号Eを受けてトランジスタQ61がOF
Fしたときには、すなわち、出力信号Cの電圧と出力端
子6の給電電力Dの電圧の差が1Vfを越えたときに
は、出力信号Cと基準信号Gとの差の電圧(=2Vf )
がアンプ61により増幅されることで比較電圧値Pが発生
する。これは、一定値(後述するように、三角波の信号
レベルより低い値)になる。
【0027】コンパレータ62は、(+) 入力に周波数が
可聴周波数を超える一定周波数の三角波の信号Sを三角
波発生回路63から受ける。そして、比較電圧値Pの電
圧と信号Sの電圧とを比較して信号Sの電圧が比較電圧
値Pの電圧を越えているときにはPNPトランジスタQ
62をOFFさせるHIGHレベルの信号を駆動パルスH
として出力する。この駆動パルスHは、トランジスタQ
62に加えられる。ただし、ここでの三角波の信号Sは、
基準信号Gの電圧を基準とするものであり、コンパレー
タ62に入力される前に基準信号Gと信号Sとが合成回
路64で合成される。
【0028】平滑回路70は、スイッチング回路66の
トランジスタQ62の出力に接続されていてその出力電力
を平滑化する。この回路は、トランジスタQ62の出力と
アンプ3への電力供給ライン(出力端子6)との間に直
列に挿入されたコイルL70を主体とする回路である。
このコイルL70を介することで、スイッチングされた
電力が平滑化され、平滑化された給電電力Dが出力端子
6に発生する。なお、コイルL70の入力端とアンプ5
の出力端子との間にはフライホイールダイオードD70が
接続されている。このダイオードD70によりコイルL7
0に流れる電流の還流路が形成される。これにより電力
供給ラインがスイッチングトランジスタQ62により遮断
されているときにコイルL70に蓄えられたエネルギー
が慣性電流としてアンプ3側に供給されてコイルL70
へと戻る。
【0029】次に、給電電力Dとアンプ3の出力信号C
との差電圧VD-C をほぼ1Vf に制御するスイッチング
レギュレーション回路60の動作について説明する。図
2に示すように、コンパレータ62は、その一方の入力
信号に基準信号Gを基準とした三角波の信号S(図2
(a) ,(c) 参照)が入力され、他方には、比較電圧値P
が入力される。差電圧VD-C が1Vf 以下のときには、
図2(a) に示すように、コンパレータ62は、三角波の
信号レベル(波形S)とアンプ61の出力信号(波形
P)のレベルとの比較の結果に応じた二値の駆動パルス
H(図2(b) のH参照)を発生してこれによりトランジ
スタQ62をON/OFFさせる。ここで、信号Pの前半
のレベルPa は、基準信号Gより下にある。これは、差
電圧VD-C が1Vf より少し下に維持されていてほぼ1
Vf になっている状態である。信号Pの後半のレベルP
b は、基準信号Gより上にある。このときには、差電圧
VD-C が1Vf より低くなったときである。このときに
は、給電電力Dの量を増加するように、駆動パルスHが
HIGHレベルにある期間が短くなっている。これによ
り給電電力Dが増加してその電圧が上昇して差電圧VD-
C が1Vf になるように制御される。
【0030】これにより、差電圧VD-C が1Vf 以下あ
るときには、この差を1Vf にほぼ一致させるような方
向に比較電圧値Pのレベルが変化して、この変化に応じ
た電流がアンプ3へ供給される。そして、差電圧VD-C
がほぼ1Vf になる。すなわち、比較電圧値Pと三角波
Sとの比較結果に応じたPWMが行われ、スイッチング
トランジスタQ62が駆動パルスHによりON/OFFが
制御される。そして、このような制御は検出信号Eの値
に応じて行われる。
【0031】出力信号Cの電圧と出力端子6の給電電力
Dの電圧の差が1Vf 越えたのときには、トランジスタ
Q50がOFFする。検出電圧Eは、このときに電源電圧
Vccになる。そこで、トランジスタQ61がOFFし、2
Vf の差の電圧が発生する。その結果、比較電圧値P
は、図2(c) に示すPc のレベルになり、基準信号Gよ
り2Vf 低い一定の電圧がコンパレータ62に加えられ
る。その結果、図2(d)の波形Hで示すようなHIGH
レベルに維持された駆動パルスHが発生してスイッチン
グのトランジスタQ62をOFF状態にさせる。その結
果、差電圧VD-C がほぼ1Vf に一致するようにアンプ
3への電力供給が行われて、比較電圧値Pは、Pa のレ
ベルまで復帰することになる。なお、比較電圧値Pの前
記Pa のレベルは、抵抗R62,R63の値により決定さ
れ、選択可能である。また、比較電圧値Pの前記Pc の
レベルは、三角波の振幅との関係で決定され、これも選
択可能である。また、比較電圧値Pのレベルの変化に対
する応答速度は、オーディオ信号の変化に対しては十分
速いものであり、回路の設計上で選択可能である。
【0032】具体的な動作としては、例えば、入力信号
Bの電圧レベルが大きく低下したときには、トランジス
タQ1 の内部インピーダンスが急激に上昇して、出力信
号Cの電圧と出力端子6の給電電力Dの電圧の差が1V
f を越える。このことで比較電圧値Pは、Pc で示すよ
うに三角波Sよりも下側のレベルになり、コンパレータ
62の駆動パルスHは、HIGHレベルに維持されてト
ランジスタQ62は、OFF状態に維持される。出力信号
Cと出力端子6の給電電力Dの電圧との差が1Vf 近傍
になるまで、このような制御が行われる続ける。
【0033】また、例えば、入力信号Bの電圧レベルが
大きく上昇したときには、トランジスタQ1 の内部イン
ピーダンスが急激に低下して、出力信号Cの電圧と出力
端子6の給電電力Dの電圧の差が1Vf 未満になる。こ
のときには、1Vf より低下した誤差分に対応する比較
電圧値Pb が加えられる。これにより給電電力Dの電圧
を上昇させ、差電圧VD-C の目標値を1Vf とする制御
が行われる。そして、緩やかな入力信号Bのレベルの変
化に対しては、トランジスタQ1 の内部インピーダンス
の変化に応じて、前記の1Vf 以上の場合と1Vf 以下
の場合に2つの制御が短時間に交互に行われて、図2
(e) に示すように、三角波の信号Sの複数のサイクルに
亘るパルス幅のパルスと短いパルス幅のパルスとが交互
に現れる。
【0034】ところで、三角波の周波数としては、可聴
周波数の上限が一般的には20KHzとされることや、
発振回路の調整の容易性や電力効率等を考慮して、10
0kHz〜500KHz程度の範囲がよい。なお、ここ
で、制御目標値とされる差電圧VD-C の1Vf (約0.
7V)は、アンプ3のトランジスタQ1 が単段であるこ
とに対応して決められた値である。すなわち、アンプ3
への給電電力Dの電圧とアンプ3の出力信号Cの電圧の
差VD-C は、トランジスタQ1 の応答性能等を損なわな
い値の中から、アンプ3が増幅動作を行うために必要と
する最小限の電圧であるコレクタ−エミッタ間のON時
の電圧にできるだけ近い値として選択されている。した
がって、トランジスタQ1 がダーリントントランジスタ
であれば、前記の差電圧VD-C は2Vf(約1.4V)
とされる。具体的には、ダイオードD51,D52に対し
て、もう1つのダイオードがさらに直列に挿入される。
【0035】アンプ5側に設けられた供給電力制御回路
41の内部構成は、供給電力制御回路40と同じであ
る。その出力端子6a が出力端子6に対応し、その供給
電力D’が供給電力Dに対応している。コイルL71,
ダイオードD71は、供給電力制御回路40のコイルL7
0,ダイオードD70にそれぞれ対応している。フライホ
イールダイオードD71は、コイルL71の入力端とアン
プ3の出力端子との間には接続されている。このダイオ
ードD71によりコイルL71に流れる電流の還流路が形
成されることは前記と同様である。その他の供給電力制
御回路41の内部構成とその動作説明は省略する。
【0036】その結果、アンプ3,5の出力波形は、図
2の(f) に示すような波形になる。実線で示す波形3c
がアンプ3の出力であり、一点鎖線の部分が供給電力D
の電圧波形である。点線で示す波形5c がアンプ5の出
力であり、二点鎖線の部分が供給電力D’の電圧波形で
ある。なお、VODC のレベルは、シング側のトランジス
タQ2 ,Q4 がONしたときの出力端子のDC電圧レベ
ルである。
【0037】次に、このテーププレーヤの全体的な動作
を説明する。再生時には、オーディオ信号の記録された
テープ(図示せず)から、読出ヘッド1を介してオーデ
ィオ信号の読取信号Aが得られる。この読出信号Aに対
し信号再生処理回路2でオーディオ信号Bを得る。この
オーディオ信号Bのうち正側半サイクルは、それぞれア
ンプ3,5のトランジスタQ1 ,Q4 とによってプッシ
ュプル増幅され、負側半サイクルは、それぞれアンプ
3,5のトランジスタQ3 ,Q2 とによってプッシュプ
ル増幅される。このとき、シンク側のトランジスタQ2
,Q4 は、それぞれの半サイクルのタイミングでON
状態に維持される。これにより入力信号Bが電力増幅さ
れて出力信号C,C* が発生してスピーカ4が駆動され
る。このとき、上側の半サイクルについては、アンプ3
への給電電力Dの電圧とこのアンプ3の出力信号Cの電
圧との差電圧VD-C が、アンプ3の動作に要する最小値
に近い1Vf の値に維持されるように制御されている。
同様に下側の半サイクルについては、アンプ5への給電
電力D’の電圧とこのアンプ5の出力信号C* の電圧と
の差電圧VD'-C* が、アンプ5の動作に要する最小値に
近い1Vf の値に維持されるように制御されている。
【0038】これにより、アンプ3,5での電力損失
は、この差電圧VD-C および差電圧VD'-C* に対応する
1Vf 程度の降下電圧になり、従来に較べてその消費電
力が低減される。電力供給ラインをスイッチングするた
めに発生する電力損失は、前記したように、トランジス
タQ62のON時の抵抗によるものが主体であるが、ON
抵抗値は低いので、実際の消費電力は、低く抑えること
ができる。特に、トランジスタQ62をスイッチングする
PWM制御の駆動回路は、差動アンプ構成のIC化回路
で構成できるためにその消費電力は、電力増幅段の前記
消費電力に比べて小さく抑えられる。
【0039】図3は、アンプ3,5と信号再生処理回路
2との間にオーディオ信号Bについて上下の半サイクル
を個別に発生させる半サイクル信号発生回路2a を設け
た例である。その内部構成は、いわゆる正側と負側の半
波整流回路で構成されていて、整流基準となる電圧とし
てVcc/2の電圧が与えられているだけである。このよ
うにすれば、アンプ3,5の差動増幅器3b ,5b に換
えて、従来と同様な入力段アンプ3a ,5a とすること
ができ、入力段の基準レベル側をVcc/2とする必要が
ない。その動作は、図1と同様であるので、その説明を
割愛する。
【0040】図4は、検出回路の一方の電圧の検出対象
を出力信号Cの電圧に換えて、入力信号Bの電圧にして
検出信号を得る供給電力制御回路40a の実施例であ
る。図4において、供給電力制御回路40a は、入力信
号Bの電圧と給電電力Dの電圧とに応じて出力信号Cの
電圧と給電電力Dの電圧とが一定になるように制御す
る。なお、図1と同一の構成は、同一の符号で示す。図
1と相違する点は、検出回路50からアンプ61に至る
回路が、反転増幅型のオペアンプで構成される検出・増
幅回路67に置き換えられ、基準信号Gがトランジスタ
Q1 のベースバイアス電位に設定されるいる点である。
したがって、三角波発生回路63もトランジスタQ1 の
ベースを基準電位に採って動作する。
【0041】検出・増幅回路67は、(-) 入力端子に給
電電力Dの電圧を受け、(+) 入力端子には基準側電位と
して抵抗RS を介してトランジスタQ1 のベースから得
られる入力信号Bの電圧が入力される。すなわち、抵抗
RS が入力信号Bの電流値を電圧値に変換している。ま
た、これは、出力側から(+) 入力端子へのフィードバッ
ク抵抗Rf を有している。そして、その出力信号Pの電
圧は、コンパレータ62の基準入力端子である(-) 入力
端子に送出される。コンパレータ62の(+) 入力端子に
は三角波発生回路63の出力が供給される。このような
回路では、検出信号により発生する分圧電圧信号Fと給
電電力Dとが一致し、さらにオペアンプの入力端子がバ
ーチャルショートである関係から基準信号Gも同じレベ
ルになる。
【0042】出力段アンプの出力信号の電圧と入力信号
の電圧との相違は、これらの間に出力段アンプの増幅率
に対応するレベル差があることである。出力信号と入力
信号の位相が同一である。この点を考慮すれば、入力信
号Bを検出対象としても前記実施例の供給電力制御回路
40と同じ動作をし、これに置き換えられる。三角波の
信号Sと入力信号Bとの周波数の差が大きいので、三角
波Sの周波数を低くして入力信号Bとの関係においてそ
の動作を原理的に説明すると、図5に示すようになる。
【0043】入力信号Bに応じて三角波Sと基準信号P
との波形(図5(a) 参照)が得られ、基準信号Pを越え
た三角波の幅に対応したPWMパルスがトランジスタQ
62に加えられる。その結果、出力信号Cとの関係では、
図5(b) のような波形関係でPWM制御が行われる。
【0044】以上の実施例では、テーププレーヤにおけ
る再生信号を例に採って説明してきたが、これは、マイ
ク入力や放送受信入力等の他のオーディオ信号であって
もよい。このような場合には、信号再生処理回路は、出
力段アンプの前段に挿入されるプリアンプになる場合が
多い。また、増幅された信号がスピーカに送出される例
について説明したが、この信号の出力先は、それに限定
されるものではない。例えば、記録回路へその入力とし
て出力されたり、もっと大能力のパワーアンプへその入
力として出力されてもよい。
【0045】検出回路50のトランジスタQ50は、NP
Nトランジスタであるが、これをPNPトランジスタと
することもできる。この場合には、エミッタ側が出力信
号Cを受け、ベース側が給電電力Dの電圧信号を受け
る。ところで、より多くの電流容量が必要なときには、
給電電力Dの出力端子6と接地GNDと間のコンデンサ
CN を単なる高周波バイパス用のものではなく、これよ
り大きな容量の平滑コンデンサにすることもできる。
【0046】図6は、トランジスタQ2 とQ4 とグラン
ドとの間に供給電力制御回路42,43をそれぞれ設け
た図1に対応する実施例である。供給電力制御回路4
2,43は、同様な構成の回路であって、供給電力制御
回路40との相違は、単に、供給電力制御回路40のN
PN(PNP)トランジスタをPNP(NPN)トラン
ジスタに入れ替え、コンパレータの入力側の端子を反対
に接続し、オペアンプの入力側の端子を反対に接続し
て、電源ラインVccとグランドラインGNDとを入れ換
えた回路である。57は、その検出回路であって、検出
回路50に対応している。NPNトランジスタQ63は、
スイッチングトランジスタであって、PNPトランジス
タQ62に対応している。アンプ61a は、アンプ61
に、コンパレータ62a はコンパレータ62に、三角波
発生回路63a は三角波発生回路63にそれぞれ対応し
ている。その動作は、極性が反転しているだけで、前記
と同様であるので、その詳細は割愛する。
【0047】なお、図4に示す供給電力制御回路40a
についても同様にコンパレータ62とオペアンプ67の
入力側の端子の接続を入れ換えて、電源ラインVccとグ
ランドラインGNDとを入れ換えた回路とすれば、供給
電力制御回路42,43と同様なものとして使用でき
る。
【0048】ところで、半サイクルごとにONに維持す
るトランジスタ側、例えば、図1のシンク側のトランジ
スタQ2 ,Q4 をN形MOSトランジスタに置き換える
ことができる。これにより、温度に影響され難い回路と
することができる。なお、図6の吐出側のトランジスタ
Q1 ,Q3 を置き換える場合には、P形MOSトランジ
スタになる。
【0049】
【発明の効果】この発明にあっては、アンプと電源ライ
ンあるいは接地ラインとの間に前記で説明してきたよう
な制御をするスイッチング制御回路とスイッチング回路
とを設け、さらに、プッシュプル出力のいずれか一方を
半サイクルごとにON状態にする。そこで、給電電力の
電圧とこのアンプの出力信号の電圧との電位差を一定に
維持するように動作させることができ、この一定の電位
差をアンプの動作に要する最低電圧か、それ以上でも低
い電圧の範囲で一定値に維持するようにすることができ
る。しかも、プッシュプル出力のいずれか一方が半サイ
クルごとにON状態になるので、ON側の出力により消
費される電力がさらに低減される。その結果、全体とし
て、オーディオ信号の増幅のために消費する電力損失を
少なくすることができる。これにより電力使用効率を向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明のオーディオ装置をポータブ
ルカセットテーププレーヤに適用した一実施例のブロッ
ク図である。
【図2】図2は、図1における供給電力制御回路の動作
を説明するための波形図である。
【図3】図3は、この発明のオーディオ装置をポータブ
ルカセットテーププレーヤに適用した他の一実施例のブ
ロック図である。
【図4】図4は、この発明のオーディオ装置をポータブ
ルカセットテーププレーヤに適用した他の一実施例の供
給電力制御回路を中心としたブロック図である。
【図5】図5は、図4における供給電力制御回路の動作
を説明するための波形図である。
【図6】図6は、供給電力制御回路をグランド側に設け
た図1の実施例に対応する実施例のブロック図である。
【図7】図7は、BTL出力回路を用いたポータブルカ
セットテーププレーヤの説明図であり、(a) は、そのブ
ロック図、(b) は、その出力段トランジスタの消費電力
の説明図である。
【符号の説明】
1…読取ヘッド、2…信号再生処理回路、3,5…出力
段アンプ、4…スピーカ、6…出力端子、10…ポータ
ブルカセットテーププレーヤ、30…出力段回路、4
0,40a ,41,42,43…供給電力制御回路、4
4,62,62a …コンパレータ、50,55,57,
58…検出回路、60…スイッチングレギュレーション
回路、65…制御電圧値発生回路、61…アンプ、62
…コンパレータ、63…三角波発生回路、66…スイッ
チング回路、70…平滑回路、L70,L71…コイル、D
70,D71…ダイオード、Q1 ,Q2 ,Q50,Q61,Q6
2,Q63…トランジスタ、B…オーディオ入力信号、C
…オーディオ出力信号。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03F 3/68 H03F 1/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オーディオ信号を受けてこれを増幅して出
    力するプッシュプルの第1のアンプと、 前記オーディオ信号を受けてこれを増幅して出力するプ
    ッシュプルの第2のアンプと、 電源ラインから電力を受けて可聴周波数を超える周波数
    で第1のトランジスタをスイッチングして第1のコイル
    を介して前記第1のアンプに給電する第1のスイッチン
    グ回路と、 前記オーディオ信号の電圧および前記オーディオ信号を
    前記第1のアンプで増幅することで生成された増幅オー
    ディオ信号の電圧のいずれかの電圧と前記第1のアンプ
    に給電する電力の電圧との差に応じて前記給電する電力
    が前記オーディオ信号のレベルに対応して変化するよう
    に前記第1のスイッチング回路のスイッチング期間を制
    御する第1の制御回路と、 前記電源ラインから電力を受けて可聴周波数を超える周
    波数で第2のトランジスタをスイッチングして第2のコ
    イルを介して前記第2のアンプに給電する第2のスイッ
    チング回路と、 前記オーディオ信号の電圧および前記オーディオ信号を
    前記第2のアンプで増幅することで生成された増幅オー
    ディオ信号の電圧のいずれかの電圧と前記第2のアンプ
    に給電する電力の電圧との差に応じて前記給電する電力
    が前記オーディオ信号のレベルに対応して変化するよう
    に前記第2のスイッチング回路のスイッチング期間を制
    御する第2の制御回路と、 前記第1のコイルと前記第1のトランジスタとの接続点
    と、前記第2のアンプの出力端子との間に接続され前記
    第1のトランジスタのスイッチングがOFFしている期
    間に前記第1のコイルから供給された電流を前記第1の
    コイルに還流させる第1のダイオードと、 前記第2のコイルと前記第2のトランジスタとの接続点
    と、前記第1のアンプの出力端子との間に接続され前記
    第2のトランジスタのスイッチングがOFFしている期
    間に前記第2のコイルから供給された電流を前記第2の
    コイルに還流させる第2のダイオードと、 を備え、前記第1のアンプのプッシュプルのプッシュ側
    の出力が前記オーディオ信号の半サイクルの信号を増幅
    するものであり、そのプル側の出力が前記オーディオ信
    号の残りの他の半サイクルの信号に対応してON状態に
    維持され、前記第2のアンプのプッシュプルのプッシュ
    側の出力が前記残りの他の半サイクルの信号を増幅する
    ものであり、そのプル側の出力が前記半サイクルの信号
    に対応してON状態に維持され、前記第1のアンプの出
    力と前記第2のアンプの出力とによりスピーカを駆動す
    るオーディオ信号電力増幅回路。
  2. 【請求項2】オーディオ信号を受けてこれを増幅して出
    力するプッシュプルの第1のアンプと、 前記オーディオ信号を受けてこれを増幅して出力するプ
    ッシュプルの第2のアンプと、 前記第1のアンプから流出される電流を第1のコイルを
    介して受けて可聴周波数を超える周波数で第1のトラン
    ジスタをスイッチングして前記電流をグランドへと流す
    第1のスイッチング回路と、 前記オーディオ信号および前記オーディオ信号を前記第
    1のアンプで増幅することで生成された増幅オーディオ
    信号のいずれかの電圧と前記第1のアンプから流出され
    る電流信号の電圧との差に応じて前記流出される電流を
    前記オーディオ信号のレベルに対応してグランドへシン
    クさせるように前記第1のスイッチング回路のスイッチ
    ング期間を制御する第1の制御回路と、 前記第2のアンプから流出される電流を受けて第2のコ
    イルを介して可聴周波数を超える周波数で第2のトラン
    ジスタをスイッチングして前記電流をグランドへと流す
    第2のスイッチング回路と、 前記 オーディオ信号および前記オーディオ信号を前記第
    2のアンプで増幅することで生成された増幅オーディオ
    信号のいずれかの電圧と前記第2のアンプから流出され
    る電流信号の電圧との差に応じて前記流出される電流を
    前記オーディオ信号のレベルに対応してグランドへシン
    クさせるように前記第2のスイッチング回路のスイッチ
    ング期間を制御する第2の制御回路と、 前記第1のコイルと前記第1のトランジスタとの接続点
    と、前記第2のアンプの出力端子との間に接続され前記
    第1のトランジスタのスイッチングがOFFしている期
    間に前記第1のコイルに流れる電流を前記第1のコイル
    に還流させる第1のダイオードと、 前記第2のコイルと前記第2のトランジスタとの接続点
    と、前記第1のアンプの出力端子との間に接続され前記
    第2のトランジスタのスイッチングがOFFしている期
    間に前記第2のコイルに流れる電流を前記第2のコイル
    に還流させる第2のダイオードと、 を備え、前記第1のアンプのプッシュプルのプル側の出
    力が前記オーディオ信号の半サイクルの信号を増幅する
    ものであり、そのプッシュ側の出力が前記オーディオ信
    号の残りの他の半サイクルの信号に対応してON状態に
    維持され、前記第2のアンプのプッシュプルのプル側の
    出力が前記残りの他の半サイクルの信号を増幅するもの
    であり、そのプッシュ側の出力が前記半サイクルの信号
    に対応してON状態に維持され、前記第1のアンプの出
    力と前記第2のアンプの出力とによりスピーカを駆動す
    るオーディオ信号電力増幅回路。
  3. 【請求項3】オーディオ信号を増幅してこの増幅された
    信号を負荷へ出力するオーディオ装置において、 前記オーディオ信号を受けて増幅する前段増幅回路と、 この前段増幅回路により増幅された前記オーディオ信号
    を受けてこれを電力増幅して前記負荷へ出力するプッシ
    ュプルの第1のアンプと、 前記前段増幅回路により増幅された前記オーディオ信号
    を受けてこれを電力増幅して前記負荷へ出力するプッシ
    ュプルの第2のアンプと、 電源ラインから電力を受けて可聴周波数を超える周波数
    で第1のトランジスタをスイッチングして第1のコイル
    を介して前記第1のアンプに給電する第1のスイッチン
    グ回路と、 前記オーディオ信号の電圧および前記オーディオ信号を
    前記第1のアンプで増幅することで生成された増幅オー
    ディオ信号の電圧のいずれかの電圧と前記第1のアンプ
    に給電する電力の電圧との差に応じて前記給電する電力
    が前記オーディオ信号のレベルに対応して変化するよう
    に前記第1のスイッチング回路のスイッチング期間を制
    御する第1の制御回路と、 前記電源ラインから電力を受けて可聴周波数を超える周
    波数で第2のトランジスタをスイッチングして第2のコ
    イルを介して前記第2のアンプに給電する第2のスイッ
    チング回路と、 前記オーディオ信号の電圧および前記オーディオ信号を
    前記第2のアンプで増幅することで生成された増幅オー
    ディオ信号の電圧のいずれかの電圧と前記第2のアンプ
    に給電する電力の電圧との差に応じて前記給電する電力
    が前記オーディオ信号のレベルに対応して変化するよう
    に前記第2のスイッチング回路のスイッチング期間を制
    御する第2の制御回路と、 前記第1のアンプの出力と前記第2のアンプの出力との
    間に設けられたスピーカと、 前記第1のコイルと前記第1のトランジスタとの接続点
    と、前記第2のアンプの出力端子と前記スピーカとの接
    続点との間に接続され前記第1のトランジスタのスイッ
    チングがOFFしている期間に前記第1のコイルに流れ
    る電流を前記第1のコイルに還流させる第1のダイオー
    ドと、 前記第2のコイルと前記第2のトランジスタとの接続点
    と、前記第1のアンプの出力端子と前記スピーカとの接
    続点との間に接続され前記第2のトランジスタのスイッ
    チングがOFFしている期間に前記第2のコイルに流れ
    る電流を前記第2のコイルに還流させる第2のダイオー
    ドと、 を備え、前記第1のアンプのプッシュプルのプッシュ側
    の出力が前記オーディオ信号の半サイクルの信号を増幅
    するものであり、そのプル側の出力が前記オーディオ信
    号の残りの他の半サイクルの信号に対応してON状態に
    維持され、前記第2のアンプのプッシュプルのプッシュ
    側の出力が前記残りの他の半サイクルの信号を増幅する
    ものであり、そのプル側の出力が前記半サイクルの信号
    に対応してON状態に維持されるオーディオ装置。
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