JP3152105B2 - 炭窒化チタン系サーメット製切削工具 - Google Patents

炭窒化チタン系サーメット製切削工具

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    • C22C29/00Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides
    • C22C29/02Alloys based on carbides, oxides, nitrides, borides, or silicides, e.g. cermets, or other metal compounds, e.g. oxynitrides, sulfides based on carbides or carbonitrides
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    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、特に苛酷な条件下で
鋼などを連続切削および断続切削した場合に、優れた特
性を示す炭窒化チタン系サーメット製切削工具に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、炭窒化チタン系サーメット製切
削工具は、WC基超硬合金に比べて耐摩耗性に優れ、ま
たWC基超硬合金に比べて被削材を高精度に仕上げるこ
とができるところから広く使用されている。この炭窒化
チタン系サーメット製切削工具は、Tiを主成分とし、
その他、W、Mo、Ta、V、Crのうちの1種または
2種以上の金属元素、並びにC、NおよびBのうちの1
種または2種以上の非金属元素からなる組成の硬質相
(以下、単に硬質相と記す)が、CoおよびNiのうち
1種または2種を主成分とする結合相(以下、単に結合
相と記す)素地中に分散した組織を有していることは知
られている。
【0003】そして硬質相は、図2に示されるように、
芯部1と前記リム部2からなり、リム部2のTi濃度を
1とすると、芯部はリム部の1.1倍以上または0.9
倍以下のTi濃度を有し、芯部1のTi濃度がリム部2
の1.1倍以上であると走査型電子顕微鏡(SEM)で
は黒く見え、または芯部1´のTi濃度がリム部2の
0.9倍以下であると走査型電子顕微鏡(SEM)では
白く見え、芯部1または芯部1´がリム部2により包囲
されまたは接触している状態にある硬質相(以下、有芯
構造硬質相という)a−1〜a−3並びに芯部1とリム
部2がそれぞれ単独で存在し非接触の状態にある硬質相
(以下、非有芯構造硬質相という)bがあることも知ら
れている。
【0004】この有芯構造硬質相および非有芯構造硬質
相を有する炭窒化チタン系サーメット製切削工具に関す
る文献としては、特開昭61−195950号公報、特
開昭61−73857号公報、特開平6−248385
号公報などがあり、前記特開昭61−195950号公
報には硬質相が全て有芯構造硬質相を有する炭窒化チタ
ン系サーメット製切削工具が記載されており、さらに前
記特開昭61−73857号公報、特開平6−2483
85号公報には有芯構造硬質相および非有芯構造硬質相
が共存して分散している炭窒化チタン系サーメット製切
削工具が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】有芯構造硬質相が多い
炭窒化チタン系サーメット製切削工具は、硬質相が互い
に接触し、強固に結び付いていわゆるスケルトン構造を
作りやすく、耐摩耗性が高いが結合相の分散が悪くなっ
てプールができやすいために耐欠損性が低下し、一方、
非有芯構造硬質相が多い炭窒化チタン系サーメット製切
削工具は、非有芯構造硬質相が結合相プールに入り込む
ため、結合相の分散がよくなり、耐欠損性が向上する
が、非有芯構造硬質相は切削中に脱落しやすいため、耐
摩耗性が低下するという課題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
耐欠損性および耐摩耗性が共に優れた炭窒化チタン系サ
ーメット製切削工具を得るべく研究を行った結果、炭窒
化チタン系サーメット製切削工具における表面部を有芯
構造硬質相が存在割合を多くし、内部を有芯構造硬質相
の存在割合を低めて(非有芯構造硬質相の存在割合を高
める)、有芯構造硬質相の存在割合を表面部と内部に勾
配を持たせると、有芯構造硬質相の多い工具表面にスケ
ルトン構造が多く生成して耐摩耗性が向上し、一方、有
芯構造硬質相の少ない(非有芯構造硬質相の多い)切削
工具内部は非有芯構造硬質相の存在割合が高いので結合
相の分散がよくなり、表面より伝って来るクラックが止
められて耐欠損性が向上し、かかる組織を有する炭窒化
チタン系サーメット製切削工具は全体として耐摩耗性お
よび耐欠損性が向上するという知見を得たのである。
【0007】この発明は、かかる知見に基づいてなされ
たものであって、逃げ面から1mm内部での硬質相中に
占める有芯構造硬質相の体積割合をA、逃げ面から0.
01mm内部での硬質相中に占める有芯構造硬質相の体
積割合をBとすると、B/Aが1.2〜10の範囲内に
ある炭窒化チタン系サーメット製切削工具に特徴を有す
るものである。
【0008】この発明の炭窒化チタン系サーメット製切
削工具における逃げ面から1mm内部での硬質相中に占
める有芯構造硬質相の体積割合をAと逃げ面から0.0
1mm内部での硬質相中に占める有芯構造硬質相の体積
割合Bとの比:B/Aが1.2未満では従来の炭窒化チ
タン系サーメット製切削工具と大きな差がなく、切削工
具の特性は劣るので好ましくなく、一方、B/Aが10
を越えると、表面のスケルトンが発達し過ぎて耐欠損性
が不足するので好ましくない。したがって、B/A:
1.2〜10に定めた。B/Aの値のいっそう好ましい
範囲は、2.0〜5.0である。
【0009】この発明の炭窒化チタン系サーメット製切
削工具は、原料粉末を配合し、混合し、プレス成形して
所定の配合組成を有する圧粉体を作製し、この圧粉体を
焼結炉に挿入し焼結するが、炭窒化チタン系サーメット
製切削工具表面のC量を多くするほど有芯構造硬質相が
できやすいところから、表面近傍をC−richにする
ことにより作製することができる。即ち、焼結工程にお
ける雰囲気を0.1Torr以下の真空で1400〜1
600℃まで昇温し、30〜90分間の指定温度中にお
いて、指定時間終了15〜5分前にCH4 などの浸炭性
のガスを0.5〜10Torr導入し、表面近傍を浸炭
することにより作製することができる。
【0010】さらに、この発明の炭窒化チタン系サーメ
ット製切削工具を基体とし、その表面に通常の物理蒸着
法、化学蒸着法の手段によりTiC、TiN、TiC
N、TiCO、TiCNO、Al2 3 、TiAlNな
どの硬質層を被覆して被覆サーメット製切削工具を製造
することができる。
【0011】
【実施例】原料粉末として、0.5〜2μmの範囲内の
所定の平均粒径を有するTiC粉末、TiCN(TiC
/TiN=50/50)粉末、TiN粉末、TaC粉
末、NbC粉末、WC粉末、Mo2 C粉末、VC粉末、
ZrC粉末、Cr3 2 粉末、TiB2 粉末、Co粉
末、Ni粉末を用意し、これら原料粉末をそれぞれ表1
に示される配合組成になるように配合し、エタノール溶
媒にてボールミルにて24時間湿式混合し、乾燥した
後、1ton/cm2 の圧力でCNMG432形状にプレ
ス成形することにより圧粉体A〜Mを作製した。
【0012】
【表1】
【0013】これら圧粉体A〜Mを表2に示される本発
明焼結条件1〜5および従来焼結条件1〜3にて焼結
し、加工して表3および表4に示される本発明サーメッ
ト製切削工具(以下、本発明切削工具という)1〜13
および従来サーメット製切削工具(以下、従来切削工具
という)1〜13を製造した。本発明焼結条件1〜5は
表2に示されるように焼結工程における雰囲気を0.1
Torr以下の真空でa℃まで昇温し、x分間a℃に保
持し、a℃にx分間保持終了前のy分間にu(Tor
r)のCH4 などの浸炭性ガスをキャリアガスと共に導
入し、表面近傍を浸炭する条件である。また、従来焼結
条件1〜3は表2に示されるように焼結工程における雰
囲気を0.1Torr以下の真空でa℃まで昇温し、浸
炭性ガスを導入することなくx分間a℃に保持したのち
冷却する条件である。なお、本発明焼結条件1〜5を一
層理解しやくするために、図1に本発明焼結条件の焼結
パターンを図示した。
【0014】
【表2】
【0015】このようにして得られた本発明切削工具1
〜13および従来切削工具1〜13の断面を走査型電子
顕微鏡(SEM)で観察し、逃げ面から1mm内部での
硬質相中に占める有芯構造硬質相の体積%:A、並びに
逃げ面から0.01mm内部での硬質相中に占める有芯
構造硬質相の体積%:Bを、球近似による方法(R.
L.FULLMAN:MEASURMENT OF P
ARTICLE SISES IN OPAQUE B
ODIES JOURNAL OF METALS、M
ARCH、1953、p447参照)をSEM像に適用
し算出して求め、B/Aの値を算出し、その結果を表3
および表4に示した。
【0016】なお、逃げ面から1mm内部での硬質相中
に占める有芯構造硬質相の体積割合:A、逃げ面から
0.01mm内部での硬質相中に占める有芯構造硬質相
の体積割合:Bは、それぞれ逃げ面から1mm内部およ
び逃げ面から0.01mm内部での7μm×7μmの領
域を10,000倍で10点観察、算出し、その値の平
均値をもって定めた。
【0017】これら本発明切削工具1〜13および従来
切削工具1〜13を用い、 被削材:SCM440、 切削速度:200m/min.、 送り:0.3mm/rev.、 切込み:1.0mm、 切削時間:10分、 の条件で連続切削を行い、切刃の逃げ面摩耗幅を測定
し、その結果を表3〜4に示した。
【0018】さらに、これら本発明切削工具1〜13お
よび従来切削工具1〜13を用い、 被削材:SCM440(4条溝入り) 切削速度:180m/min.、 送り:0.2mm/rev.、 切込み:1.5mm、 切削時間:2分、 の条件で断続切削を行い、20個の切刃の内の欠損切刃
数を測定し、その結果を表3〜4に示した。
【0019】
【表3】
【0020】
【表4】
【0021】表3〜4に示される結果から、B/Aが
1.2〜10の範囲内にある本発明切削工具1〜13
は、B/Aが1.2〜10の範囲外にある従来切削工具
1〜13に比べて、優れた特性を示すことがわかる。
【0022】
【発明の効果】この発明の炭窒化チタン系サーメット製
切削工具は、従来よりも工具寿命を大幅に向上させるこ
とができ、産業上優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の切削工具を焼結するための焼結パタ
ーンの説明図である。
【図2】有芯構造硬質相および非有芯構造硬質相を説明
するための説明図である。
【符号の説明】
1 芯部 1´ 芯部 2 リム部 a−1 有芯構造硬質相 a−2 有芯構造硬質相 a−3 有芯構造硬質相 b 非有芯構造硬質相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辻崎 久史 茨城県結城郡石下町大字古間木1511番地 三菱マテリアル株式会社 筑波製作所 内 (72)発明者 野中 勝尚 茨城県結城郡石下町大字古間木1511番地 三菱マテリアル株式会社 筑波製作所 内 (56)参考文献 特開 平6−114609(JP,A) 特開 平6−336634(JP,A) 特開 平6−248385(JP,A) 特開 平5−192804(JP,A) 特開 平4−187739(JP,A) 特開 平3−32502(JP,A) 特開 平2−76606(JP,A) 特開 平2−131803(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23B 27/14 B23P 15/28 C22C 29/00,29/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Tiを主成分とし、その他、W、Mo、T
    a、V、Crのうちの1種または2種以上の金属元素、
    並びにC、NおよびBのうちの1種または2種以上の非
    金属元素からなる組成の硬質相(以下、単に硬質相と記
    す)が、CoおよびNiのうち1種または2種を主成分
    とする結合相(以下、単に結合相と記す)により結合さ
    れている炭窒化チタン系サーメット製切削工具であっ
    て、前記硬質相は芯部およびリム部からなり、芯部はリ
    ム部の1.1倍以上または0.9倍以下のTi濃度を有
    し、芯部とリム部が少なくとも接触状態にある硬質相
    (以下、これを有芯構造硬質相という)および芯部とリ
    ム部が非接触の状態にある硬質相(以下、これを非有芯
    構造硬質相という)からなる炭窒化チタン系サーメット
    製切削工具において、 逃げ面から1mm内部での硬質相中に占める有芯構造硬
    質相の体積割合をA、逃げ面から0.01mm内部での
    硬質相中に占める有芯構造硬質相の体積割合をBとする
    と、B/Aが1.2〜10の範囲内にあることを特徴と
    する炭窒化チタン系サーメット製切削工具。
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