JP3152070B2 - 透明導電膜形成用組成物 - Google Patents

透明導電膜形成用組成物

Info

Publication number
JP3152070B2
JP3152070B2 JP15711494A JP15711494A JP3152070B2 JP 3152070 B2 JP3152070 B2 JP 3152070B2 JP 15711494 A JP15711494 A JP 15711494A JP 15711494 A JP15711494 A JP 15711494A JP 3152070 B2 JP3152070 B2 JP 3152070B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composition
transparent conductive
fine powder
conductive film
forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP15711494A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0822722A (ja
Inventor
明 西原
年治 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP15711494A priority Critical patent/JP3152070B2/ja
Publication of JPH0822722A publication Critical patent/JPH0822722A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3152070B2 publication Critical patent/JP3152070B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、曇り度 (以下、ヘーズ
という) が小さく、しかも導電性に優れた透明導電膜形
成用組成物に関する。より詳しくは、膜形成剤としてポ
リマー系バインダー (結合剤) を使用しない、ノン・バ
インダー型の透明導電膜形成用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】透明導電膜の形成法は、CVD、スパッ
タリング法などを含む気相法と、塗布法とに大別され
る。塗布法は導電膜を形成する基体 (基板) の寸法や形
状の制限が少なく、特殊な装置を必要とせずに大量かつ
簡便に透明導電膜を形成することができる。塗布法によ
る透明導電膜の形成は、ガラス、プラスチックなどの基
体に塗布、印刷、スプレーなどの適当な手段で透明導電
性塗料を塗布し、必要により加熱して塗膜を乾燥ないし
硬化させることにより行われる。
【0003】この塗布法による透明導電膜の形成には、
例えば、特開昭62−232466号、同63−54473 号、特開平
2−77473 号、同4−26768 号各公報に記載されている
ような、溶媒中に導電性微粉末と膜形成に必要なポリマ
ー (樹脂) 系バインダーとを含有させた組成物を塗料と
して用いることができる。このような塗料の塗布による
透明導電膜の形成は、同じ塗布法に属するゾル−ゲル法
による透明導電膜の形成とは異なり、導電性微粉末の種
類を選ばず、高温での焼成工程が必要ないので、プラス
チックのような焼成できない基体に対しても透明導電膜
を形成することができる。従って、透明導電膜の形成方
法として、最も安価かつ簡便で、適用範囲の広い方法で
ある。
【0004】この塗料におけるバインダーとしては、ア
クリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステルなどの有
機ポリマーまたは有機ポリマーを形成しうる重合性の有
機モノマー、テトラアルコキシシランの加水分解・縮合
により生成するシリカ (シロキサンポリマー) などの、
有機および無機系ポリマーが一般に使用されている。な
お、以下では、このようなポリマー型またはポリマー形
成性を有するポリマー系のバインダーを単にバインダー
と称する。
【0005】溶媒としては、メタノール、エタノール、
イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン
類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など、バインダー
のポリマーを溶解しうる各種の有機溶媒が一般に使用さ
れる。
【0006】また、導電性微粉末とバインダーとの密着
性を改善するために、適当なカップリング剤 (例、ビニ
ルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメト
キシシランなどのシランカップリング剤) を塗料中に少
量配合することも知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、コンピュータ
ー、タッチパネル、液晶ディスプレイ、プラズマディス
プレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、或い
は蛍光ディスプレイなどの高性能化は目ざましく、これ
に伴って、これらに用いるブラウン管の画像表面、タッ
チパネル、ディスプレイ透明電極には、より一層のヘー
ズ低減化と導電性の向上が求められるようになってき
た。しかし、塗布法により形成される透明導電膜は、気
相法により得られるものに比べて導電性とヘーズが低
く、上記の要請には満足に対応することができなかっ
た。
【0008】よって、本発明の目的は、上記の要請に応
えて、導電性が高く、ヘーズが小さい透明導電膜を塗布
法により簡便に形成することができる、塗料型の透明導
電膜形成用組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく検討を重ねた。膜形成剤としてバインダー
を使用する限り、導電性の改善には限界がある。なぜな
ら、溶媒、導電性微粉末、およびバインダーからなる従
来型の塗料により形成された塗膜では、導電性微粉末が
絶縁性のバインダーで被覆されるため、導電性微粉末ど
うしの直接接触がバインダーの介在により阻止され、導
電性微粉末の接触による電子移動が阻害されることによ
る導電性の低下を避けることができないからである。ま
た、バインダーを使用してヘーズを小さくするには、導
電性微粉末を塗料中で一次粒子に近い状態まで分散させ
る必要がある。即ち、この状態では導電性微粉末の表面
にバインダーである樹脂成分が吸着 (コーティング) さ
れているため、その塗膜は確かにヘーズが小さくなる
が、それに対応して導電性が低くなる。このため、導電
性とヘーズをともに満足させることが困難である。
【0010】そこで、導電性微粉末をバインダーを使用
せずに塗料化したノンバインダー・ベースの透明導電膜
形成用組成物について研究を進めた。一般に、バインダ
ーを使用せずに粉末を塗料化しても、粉末間或いは粉末
と基体間の付着力がほとんどないため、膜を形成するこ
とはできない。従って、透明導電膜形成用組成物につい
ても、バインダーを使用しない組成物はこれまで知られ
ていない。
【0011】しかし、本発明者らは研究の結果、特定の
極性有機化合物が、ポリマーまたは重合性ではないにも
かかわらず、導電性微粉末間およびこの微粉末と基体間
を結合させ、膜形成剤として有効に機能する上、低ヘー
ズで低抵抗の透明導電膜を形成することができることを
見出した。
【0012】本発明の透明導電膜形成用組成物は、下記
の基本組成を有する。 導電性微粉末、溶媒、および非ポリマー型の膜形成剤
からなり、この膜形成剤が、前記導電性微粉末の重量に
対して10〜900 %の量の2−アルコキシエタノール、
0.2〜500 %の量のβ−ジケトン、および 0.2〜500 %
の量のアルキルアセテートよりなる群から選ばれた1種
または2種以上からなり、組成物のpHが7.0〜2.0 の
範囲内である。
【0013】本発明によれば、上記の基本組成物にさ
らに任意成分として低ヘーズ化剤または低抵抗化剤を含
有させた、下記およびの透明導電膜形成用組成物も
提供される。
【0014】上記基本組成を有し、さらに低ヘーズ化
剤として、アセトアルコキシ基を含有するアルミネート
系カップリング剤、ならびにジアルキルパイロホスフェ
ート基もしくはジアルキルホスファイト基を含有するチ
タネート系カップリング剤よりなる群から選ばれた1種
もしくは2種以上を導電性微粉末に対して5重量%以下
の量で含有する、透明導電膜形成用組成物。
【0015】上記基本組成を有し、さらに低抵抗化剤
として、Co、Fe、In、Ni、Pb、Sn、Ti、およびZnの鉱酸
塩および有機酸塩よりなる群から選ばれた1種もしくは
2種以上を導電性微粉末に対して 0.2〜15重量%の量で
含有する、透明導電膜形成用組成物。
【0016】本発明において、導電性微粉末の種類は特
に制限されず、従来より透明導電膜形成用塗料に用いら
れてきたものを使用すればよい。このような導電性微粉
末の例には、Snを含有する酸化インジウム微粉末 (IT
O微粉末) 、Sbを含有する酸化錫微粉末 (ATO微粉
末) 、ならびにAl、Co、Fe、In、SnおよびTiから選ばれ
た1種もしくは2種以上の金属を含有する酸化亜鉛微粉
末がある。各導電性微粉末中に含有させた他金属 (ドー
プ金属) の含有量 (ドープ量) は、金属元素の合計量に
対して、ITO微粉末 (ドープ金属はSn) では1〜15原
子%、ATO微粉末 (ドープ金属はSb) では1〜20原子
%、酸化亜鉛微粉末では1〜25原子%の範囲内が好まし
い。
【0017】これらの導電性微粉末は、形成された膜の
透明性を阻害しないように、平均粒径が0.5 μm以下、
特に0.2 μm以下のものが好ましい。特に好ましい導電
性微粉末は、平均粒径が0.2 μm以下のITO微粉末で
ある。
【0018】本発明において膜形成剤として使用できる
化合物のうち、2−アルコキシエタノールとしては、2
−エトキシエタノール、2-(メトキシメトキシ) エタノ
ール、2-(n-, iso-)プロポキシエタノール、2-(n-, iso
-)ブトキシエタノール、2-(n-, iso-)ペンチルオキシエ
タノール、2-ヘキシルオキシエタノール等が挙げられ
る。β−ジケトンの例には、2,4-ペンタンジオン、3-メ
チル-2, 4-ペンタンジオン、3-イソプロピル-2, 4-ペン
タンジオン、2,2-ジメチル-3, 5-ヘキサンジオン等があ
る。アルキルアセテートの例には、メチルアセテート、
エチルアセテート、(n-, iso-)プロピルアセテート、(n
-, iso-)ブチルアセテート等がある。膜形成剤として
は、これらから選んだ1種もしくは2種以上を使用でき
る。
【0019】任意成分の低ヘーズ化剤としては、アセト
アルコキシ基を含有するアルミネート系カップリング
剤、ならびにジアルキルパイロホスフェート基もしくは
ジアルキルホスファイト基を含有するチタネート系カッ
プリング剤である。
【0020】アセトアルコキシ基を含有するアルミネー
ト系カップリング剤の例としては、下記(1) 式で示され
る化合物がある。また、ジアルキルパイロホスフェート
基を有するチタネート系カップリング剤の例には、下記
(2) 〜(4) 式で示される化合物があり、ジアルキルホス
ファイト基を有するチタネート系カップリング剤の例に
は、下記(5) 〜(7) 式で示される化合物がある。これら
1種もしくは2種以上を使用することができる。
【0021】
【化1】
【0022】別の任意成分である低抵抗化剤としては、
Co、Fe、In、Ni、Pb、Sn、Ti、およびZnの鉱酸塩および
有機酸塩から選ばれた金属塩を使用する。鉱酸塩の例
は、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などであり、有機酸塩の例
は、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、オクチル酸塩、
アセチル酢酸塩、ナフテン酸塩、安息香酸塩などであ
る。これらも1種もしくは2種以上を使用できる。
【0023】溶媒としては、上記の導電性微粉末以外の
成分を溶解することのできる (或いは、液体成分につい
ては、これと相溶性を有する) 任意の有機溶媒を使用で
きる。但し、当然ながら、本発明において膜形成剤とし
て使用する成分は、溶媒から除外される。適当な溶媒の
例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン、イソホロンなどのケトン類、トルエン、キシレ
ン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、N,N-ジ
メチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどの
アミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類
などが挙げられ、使用する成分に応じて、それらを溶解
するように1種もしくは2種以上の溶媒を選択する。溶
媒の量は、塗布に適した粘度の組成物が得られるような
量であればよく、特に制限されない。
【0024】本発明の透明導電膜形成用組成物におい
て、組成物のpHは 7.0〜2.0 の範囲内であり、各成分
の添加量は、導電性微粉末に対する重量%で、膜形成剤
のうち2−アルコキシエタノールが10〜900 %、β−ジ
ケトンが 0.2〜500 %、アルキルアセテートが 0.2〜50
0 %、低ヘーズ化剤 (カップリング剤) が5%以下、低
抵抗化剤 (金属塩) が 0.2〜15%である。組成物のpH
および各成分の添加量がこの範囲外であると、目的とす
る優れたヘーズおよび導電性を確保することが困難とな
る。なお、膜形成剤を2種以上使用する場合には、各群
の化合物の量が上記範囲内の量であればよいが、合計量
があまりに多量にならないようにすることが好ましい。
【0025】好ましくは、組成物のpHが 3.0〜6.5 の
範囲内であり、各成分の添加量は、2−アルコキシエタ
ノールが15〜200 %、β−ジケトンが 0.4〜100 %、ア
ルキルアセテートが 0.4〜 100%、低ヘーズ化剤が 3.5
%以下、低抵抗化剤が 0.5〜10%である。
【0026】本発明の透明導電膜形成用組成物は、上記
の各成分を単に混合することにより調製できる。混合
は、従来より塗料の調製に利用されてきた方法により行
えばよい。必要であれば、この組成物に上記以外の任意
添加成分 (ただし、バインダーを除く) をさらに含有さ
せることもできる。このような添加成分の例には、界面
活性剤 (カチオン系、アニオン系、ノニオン系) 、pH
調整剤 (有機酸又は無機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロ
ピオン酸、塩酸、硝酸、過塩素酸等) がある。
【0027】本発明の透明導電膜形成用組成物を基体に
塗布し、大気中または他の雰囲気中(例、不活性もしく
は還元性雰囲気中) で加熱して塗膜を焼付けると、透明
導電膜が形成される。透明導電膜の好ましい膜厚は、0.
02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μmである。必要
であれば、塗布を焼付けを反復することにより、膜厚を
増大させることができる。
【0028】焼付け温度は一般に 150〜500 ℃の範囲内
である。後述するように、焼付け時の温度や雰囲気によ
って得られる導電膜の特性、特に導電性が変化するの
で、用途に応じて必要な特性の透明導電膜が得られるよ
うに焼付け条件を設定することができる。得られた透明
導電膜は、一般に1%未満、好ましくは0.5 %以下のヘ
ーズと、 101〜105 Ω/□、好ましくは 101〜103 Ω/
□のオーダーの表面抵抗値とを有している。
【0029】膜形成剤として、上記に記載した重合性
を持たない非ポリマー型有機化合物を使用するにもかか
わらず、これが導電性微粉末の結合剤として機能して透
明導電膜が形成される理由は解明されていない。現状で
は、この有機化合物中の極性官能基 (水酸基、アルコキ
シル基、ケトン基、エステル基、ケト−エノール基)が
導電性微粉末および基体の表面に存在する極性基 (水酸
基、酸素基) に作用して、焼付け中に縮合により導電性
微粉末の最密充填が起こり、粉末間および粉末−基体間
を結合させるのではないかと推測される。このようにし
て膜形成剤が結合作用を発揮できる。
【0030】また、低ヘーズ化剤として上記のカップリ
ング剤を添加すると、膜構造に二次凝集群を形成せず、
均一な最密充填化と表面の平滑精度が一層高まるため、
ヘーズが低下するものと推測される。低抵抗化剤につい
ては、使用する金属塩の拡散作用により導電性粒子の界
面に高導電性物質の生成が起こるか、或いは焼結反応の
促進によるバルク化のために導電性が高まると考えられ
る。
【0031】上記の組成を有する、溶媒と導電性微粉
末と非ポリマー型膜形成剤とからなる基本組成物から形
成された透明導電膜は、一般に0.5 μm以下の薄膜であ
れば、ヘーズ1%未満の優れた透明性を示す。この基本
組成物に低ヘーズ化剤 (カップリング剤) を添加した上
記の組成物では、0.5 μm以上の厚膜でも1%未満の
ヘーズの透明導電膜を形成することができる。また、基
本組成物に低抵抗化剤(金属塩) を添加したの組成物
では、表面抵抗値が50Ω/□以下という一層の低抵抗化
と、基体への密着性の向上を図ることができる。もちろ
ん、低ヘーズ化剤と低抵抗化剤を一緒に添加すれば、上
記の作用を同時に得ることができる。
【0032】本発明の透明導電膜形成用組成物は、透明
導電膜を必要とするあらゆる用途に利用できる。その際
に、用途に応じて要求される導電性およびヘーズを満た
すように、必要であれば、基本組成物に低ヘーズ化剤お
よび/または低抵抗化剤を含有させて、上記および/
またはの組成物とすればよい。
【0033】例を挙げると、帯電防止性および電磁波シ
ールド性が要求されるブラウン管などの画像表示面に透
明導電膜を形成する場合には、上記の基本組成物、ま
たはさらに低ヘーズ化剤を添加したの組成物が適して
いる。この組成物をスプレー、スピンコートなどの塗布
手段でブラウン管表面に塗布した後、 150〜250 ℃程度
の低温で焼付けをすることにより、ヘーズが0.5 %以下
で、表面抵抗値が103Ω/□のオーダーという、上記用
途に要求される高透明性 (低ヘーズ) と導電性を備えた
透明導電膜を形成することができる。焼付けは大気中で
十分であるが、他の雰囲気中でもよい。必要に応じて、
有機樹脂塗料またはエチルシリケートを加水分解したゾ
ル液等を用いて上塗りを行い、保護膜を形成することに
より、表面硬度を高めてもよい。
【0034】また、液晶用の透明電極や透明面発熱体等
に用いる透明導電膜には、ヘーズが1%以下で、表面抵
抗値が50Ω/□以下という低抵抗性 (高導電性) が要求
され、同時に基体の透明シリカ基板に対する十分な密着
性も必要である。このような用途には、基本組成物にさ
らに低抵抗化剤を含有する上記の組成物が適してい
る。この場合には、塗布後の焼付けを 300〜500 ℃の不
活性または還元性雰囲気中で行うことが好ましく、それ
により低抵抗化の目的を確実に達成できる。また、上記
またはの組成物を使用する場合でも、焼付けを400
℃以上の還元性雰囲気中で行うことによって、上記の低
抵抗特性を備えた透明導電膜を得ることができる。この
ようにして、塗布法により、従来は気相法でしか得られ
なかったような低抵抗でヘーズの小さい透明導電膜を形
成することが可能となる。
【0035】また、ヘーズが1%以下で、表面抵抗値が
50〜103 Ω/□の範囲内の透明導電膜を用いる用途に対
しては、上記またはの組成物を用い、焼付けを250
℃以上の大気中または不活性もしくは還元性雰囲気中で
行うことによって、必要な特性を備えた透明導電膜を形
成できる。
【0036】さらに、本発明の透明導電膜は、その導電
性を生かした用途以外に、導電性微粉末が有する他の特
性を生かした用途にも使用できる。例えば、使用する導
電性微粉末が近赤外線をカットオフする機能を有するI
TO微粉末または近紫外線をカットオフする機能を有す
る酸化亜鉛系微粉末である場合には、本発明の透明導電
膜形成用組成物から形成された透明導電膜は、それぞれ
可視光に対して低ヘーズで高透明性を保持した近赤外線
カットオフ膜または近紫外線カットオフ膜として有用で
ある。この場合も、従来の塗料から形成したものに比べ
て、カットオフ効果が高い透明導電膜を得ることができ
る。
【0037】
【実施例】
[透明導電膜形成用組成物の調製]下記の成分 (表1に
は、< >内の番号または記号で記載) を使用して、透明
導電膜形成用組成物を調製した。これらの成分を表1に
示す割合で、合計量を60gとして100 ccのガラス瓶中に
入れ、直径0.3 mmのジルコニアビーズ (ミクロハイカ、
昭和シェル石油製) 100 gを用いてペイントシェーカー
で6時間分散することにより、各透明導電膜形成用組成
物を得た。
【0038】溶媒 (1) イソプロパノール <IPA> (2) イソプロパノール/エタノール/N,N-ジメチルホル
ムアミドの混合溶媒(重量比4:2:1) <混合1> (3) イソホロン/キシレンの混合溶媒 (重量比4:1) <混
合2>導電性微粉末 (いずれも平均粒径は 0.025μm) (1) Sn:5原子%を含有するITO微粉末 <ITO> (2) Sb:10原子%を含有するATO微粉末 <ATO> (3) Al:5原子%を含有する酸化亜鉛微粉末 <AZO> (4) Fe:2原子%とAl:1原子%とを含有する酸化亜鉛微粉
末 <F-AZO> (5) Ti:2原子%とCo:1原子%とを含有する酸化亜鉛微粉
末 <T-CZO> (6) In:4原子%を含有する酸化亜鉛微粉末 <IZO> (7) Sn:3原子%を含有する酸化亜鉛微粉末 <TZO>膜形成剤 (1) 2-エトキシエタノールと2,4-ペンタンジオンの混合
液 (重量比2:1) <a> (2) 2-(メトキシメトキシ) エタノールと3-メチル-2,
4-ペンタンジオンとメチルアセテートの混合液 (重量比
1:1:1) <b> (3) 2,4-ペンタンジオン <c> (4) 2-n-ブトキシエタノールと3-イソプロピル-2, 4-ペ
ンタンジオンの混合液(重量比1:1) <d> (5) 2,2-ジメチル-3, 5-ヘキサンジオンとイソプロピル
アセテートの混合液(重量比1:1:) <e> (6) 2-イソブトキシエタノールと2-ヘキシルオキシエタ
ノールとn-プロピルアセテートの混合液 (重量比4:1:1)
<f> (7) 2-イソプロボキシエタノールとエチルアセテートの
混合液 (重量比1:1)<g> (8) 2-n-プロポキシエタノール <h>低ヘーズ化剤 前記の式(1) 〜(7) のアルミニウム系またはチタネート
系カップリング剤<(1)〜(7)>低抵抗化剤 (1) 酢酸ニッケルと塩化第二鉄の混合物 (重量比1:1) <
A> (2) ナフテン酸亜鉛 <B> (3) オクチル酸錫と塩化アンチモンの混合物 (重量比1:
1) <C> (4) 硝酸インジウムと酢酸鉛の混合物 (重量比1:1) <D> (5) アセチル酢酸チタンとオクチル酸コバルトの混合物
(重量比1:1) <E>バインダー (1) アクリル樹脂溶液 (固形分38重量%: LR980 、三菱
レーヨン製) [透明導電膜の作製]各透明導電膜形成用組成物を、傾斜
させたガラス板 (厚さ2mm、可視光透過率91%、ヘーズ
0.0 %) にフローコートし、表1に記載した温度および
雰囲気で焼付けを1時間行って、透明導電膜をガラス板
上に形成した。得られた透明導電膜の表面抵抗値を四探
針法 (ロレスタAP: 三菱油化) により、ヘーズをヘーズ
メーター (HGM-3D: スガ試験機) により測定した。測定
結果も表1に併せて示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明の透明導電膜形成用組成物によ
り、膜形成剤としてバインダーを用いた従来の透明導電
膜形成用組成物 (塗料) に比べて、低ヘーズかつ低抵抗
を示す透明性と導電性に優れた透明導電膜を得ることが
できる。また、低ヘーズ化剤および低抵抗化剤の配合の
有無や焼付け条件 (温度と雰囲気) の調整により、同じ
基本組成の組成物を利用してヘーズと特に表面抵抗値を
大きく変化させることができ (試験No. 5〜8) 、この
ような調整により、用途に応じた要求特性を満たす透明
導電膜を提供できる。表1の比較例は、請求項3に規定
された低ヘーズ化剤の量(0.800重量%) が導電性微粉末
に対して5重量%以下という上限 (導電性微粉末が15重
量%であるので上限は0.75重量%になる) を超えた例を
示す。低ヘーズ化剤を添加する場合、その添加量が多す
ぎると、透明導電膜の特性が劣化することがわかる。
【0041】特に、低抵抗化剤を含有させ、焼付けを不
活性または還元性雰囲気で比較的高温で行うことによ
り、表面抵抗値が50Ω/□以下という気相法で形成され
た透明導電膜に迫るような導電性を備えた透明導電膜を
得ることができる。従って、本発明の透明導電膜形成用
組成物により、塗布法という簡便かつ効率的な方法を利
用して、高性能の透明導電膜を安価に形成することが可
能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 13/00 C09D 5/24 H01B 5/14 H01B 1/22

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性微粉末、溶媒、および非ポリマー
    型の膜形成剤からなる、ポリマー系バインダーを含まな
    い透明導電膜形成用組成物であって、前記膜形成剤が、
    前記導電性微粉末の重量に対して10〜900 %の量の2−
    アルコキシエタノール、 0.2〜500 %の量のβ−ジケト
    ン、および 0.2〜500 %の量のアルキルアセテートより
    なる群から選ばれた1種または2種以上からなり、組成
    物のpHが 7.0〜2.0 の範囲内であることを特徴とす
    る、透明導電膜形成用組成物。
  2. 【請求項2】 前記導電性微粉末が、Snを含有する酸化
    インジウム微粉末、Sbを含有する酸化錫微粉末、ならび
    にAl、Co、Fe、In、SnおよびTiから選ばれた1種もしく
    は2種以上の金属を含有する酸化亜鉛微粉末、よりなる
    群から選ばれた1種または2種以上である、請求項1記
    載の透明導電膜形成用組成物。
  3. 【請求項3】 さらに低ヘーズ化剤として、アセトアル
    コキシ基を含有するアルミネート系カップリング剤、な
    らびにジアルキルパイロホスフェート基もしくはジアル
    キルホスファイト基を含有するチタネート系カップリン
    グ剤よりなる群から選ばれた1種もしくは2種以上を、
    前記導電性微粉末に対して5重量%以下の量で含有す
    る、請求項1または2記載の透明導電膜形成用組成物。
  4. 【請求項4】 さらに、低抵抗化剤として、Co、Fe、I
    n、Ni、Pb、Sn、Ti、およびZnの鉱酸塩および有機酸塩
    よりなる群から選ばれた1種もしくは2種以上を、前記
    導電性微粉末に対して 0.2〜15重量%の量で含有する、
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の透明導電膜形
    成用組成物。
JP15711494A 1994-07-08 1994-07-08 透明導電膜形成用組成物 Expired - Lifetime JP3152070B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15711494A JP3152070B2 (ja) 1994-07-08 1994-07-08 透明導電膜形成用組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15711494A JP3152070B2 (ja) 1994-07-08 1994-07-08 透明導電膜形成用組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0822722A JPH0822722A (ja) 1996-01-23
JP3152070B2 true JP3152070B2 (ja) 2001-04-03

Family

ID=15642533

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15711494A Expired - Lifetime JP3152070B2 (ja) 1994-07-08 1994-07-08 透明導電膜形成用組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3152070B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4485794B2 (ja) 2001-11-09 2010-06-23 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 酸素イオン伝導性セラミック材およびその利用
KR100586659B1 (ko) * 2004-04-01 2006-06-07 주식회사 디피아이 솔루션스 유기 전극 코팅용 조성물 및 이를 이용한 고투명성 유기전극의 제조방법
JP2006012783A (ja) * 2004-05-21 2006-01-12 Tdk Corp 透明導電材料、透明導電ペースト、透明導電膜及び透明電極
US8921688B2 (en) 2007-09-12 2014-12-30 Mitsubishi Materials Corporation Composite film for superstrate solar cell having conductive film and electroconductive reflective film formed by applying composition containing metal nanoparticles and comprising air pores of preset diameter in contact surface
JP2010087479A (ja) * 2008-08-08 2010-04-15 Mitsubishi Materials Corp サブストレート型太陽電池用の複合膜及びその製造方法
JP2012190856A (ja) * 2011-03-08 2012-10-04 Mitsubishi Materials Corp 太陽電池向け透明導電膜用組成物および透明導電膜
KR101699645B1 (ko) * 2012-12-21 2017-01-24 페르녹스 가부시키가이샤 도전성 페이스트

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0822722A (ja) 1996-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100236154B1 (ko) 투명 도전막 형성용 도포액, 이것을 이용한 투명 도전막 및 그 형성 방법
JP3129110B2 (ja) 透明導電膜およびその形成方法
JP3152070B2 (ja) 透明導電膜形成用組成物
JP3473146B2 (ja) 導電膜形成用組成物と透明導電膜被覆ガラス板の製造方法
EP1079413B1 (en) Transparent conductive layered structure and method of producing the same, coating liquid useful therefor, and display that uses transparent conductive layered structure
JPH09263716A (ja) 導電性に優れた透明導電膜用オーバーコート組成物
US6846566B2 (en) Transparent conductive layer composition, transparent conductive layer formed of the composition, and image display having the transparent conductive layer
JPH08143792A (ja) 導電膜形成用組成物と導電膜の形成方法
JP3367241B2 (ja) 低反射性・電磁シールド性透明導電膜とその形成用塗料
KR20010016614A (ko) 투명 필름 형성용 코팅 액제, 투명 필름으로 코팅된 기재및 디스플레이 장치
JP3399268B2 (ja) 透明黒色性導電膜
JP3338970B2 (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液及び低反射透明導電膜
JP5187990B2 (ja) 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材ならびに表示装置
JPH10283847A (ja) 透明導電膜
JPH05314820A (ja) 透明導電膜形成用組成物と透明導電膜形成方法
KR100420049B1 (ko) 투명 도전막의 보호막 형성용 조성물 및 이를 이용하여 제조되는 보호막의 제조방법
US6881357B2 (en) Transparent conductive layer and image display device employing the same
JP3451808B2 (ja) 低反射性透明導電膜とその形成方法
JP2005166350A (ja) フラットパネルディスプレイ用透明電極、透明導電膜形成用塗布液および透明電極の形成方法
KR100378019B1 (ko) 투명 도전막의 보호막 형성용 조성물 및 이로부터 투명도전막을 제조하는 방법
KR100432647B1 (ko) 투명 도전막의 보호막 형성용 조성물 및 이로부터 보호막을 제조하는 방법
KR100708634B1 (ko) 투명 도전막 형성용 조성물, 이로부터 형성된 투명 도전막및 이를 채용하고 있는 표시장치
JPH07102177A (ja) 導電膜形成用組成物
KR100514346B1 (ko) 투광성 전도막, 전도성 보호층의 조성물 및 그 제조방법
JP2007053042A (ja) 透明導電膜形成用塗料及び透明導電膜並びに透明導電膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20001226

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080126

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090126

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090126

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100126

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100126

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100126

Year of fee payment: 9

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110126

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120126

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130126

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term