JP3149971B2 - 電子波合流/分岐素子及び量子干渉素子 - Google Patents

電子波合流/分岐素子及び量子干渉素子

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JP3149971B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の導波路を伝搬す
る電子波を1つの電子波に合波したり、逆に、電場で誘
起されるデカップリングを利用して1つの導波路を伝搬
する電子波を複数の電子波に分波したりする素子、更に
は次の様な量子干渉素子に関する。即ち、この量子干渉
素子は、磁場、静電場ポテンシャル、或は光電場による
仮想励起などの外部摂動によって干渉電流が変調される
上記の如き合流及び/又は分岐素子を用いている。
【0002】
【従来の技術】従来、電子波を分波したり、合波したり
する構造を含む素子として、例えば図27に示す様な量
子干渉デバイスがある。このデバイスでは、図の左半分
が電子波の分波器となり、右半分が合波器となってい
る。電極201より注入された電子波は、初めに、2つ
の同一構造の電子波導波路202、203間の距離が電
子波がカップリングする程度に短く構成されている部分
では、1つの電子波として伝搬してデカップリング部
(分波部ないし分岐部)に運ばれる。この分波部は、こ
れの前のカップリング部よりも2つの電子波導波路20
2、203間の距離が離れているので、1つの電子波が
2つに分離される。このカップリング、デカップリング
作用は、実際には、バリア層204であるA1As層の
厚さを変えることで実現されている。
【0003】こうして分波された電子波は、次に、右側
の合波部ないし合流部に来て、ここで再びカップリング
されて1つの電子波となって導波路202、203を伝
搬し、電極205に達する。ただし、このデバイスのデ
カップルして電子波を伝搬する部分には図示の如き方向
の磁場が印加されているので、上下の導波路202、2
03を伝搬する電子波間の位相差がπの奇数倍だけ生じ
る様な大きさの磁場が印加されたときには(導波部20
2、203のバンド構造は、磁場により位相差が生じる
様に構成されている)、右側の合波部で1つになろうと
して干渉する2つの電子波は反射されてしまい電極20
5に達しない。この位相差が2πの整数倍になる様な大
きさの磁場が印加されているときは、1つになった電子
波は右端を通過することができて、入力電流と同じ出力
電流が得られる。こうして、この素子では、印加磁場を
変調することで通過電流が制御されることになる。これ
は、マグネトスタティックなアハロノフ−ボーム(A−
B)効果による。
【0004】この干渉電流は、導波部202、203の
面に垂直に印加される電場を変調することによっても制
御することができる。これは、エレクトロスタティック
なA−B効果による。いずれにせよ、導波部202、2
03はA−B効果により位相差が生じる様に作製されて
いる。
【0005】図27のこの分波部と合波部の間の長さ
(すなわちデカップリングされている長さ)は、電子波
のコヒーレンスが保たれるものでなければならないの
で、現状では、液体ヘリウム(LHe)温度で1μm以
下である必要がある。
【0006】上記素子はA−B効果型電子波干渉素子で
あるが、その他にも、半導体中での電子の干渉性を利用
した素子としては、共鳴トンネリング型、電子波方向性
結合器型等々、種々の構造のものが提案されている。こ
の中で、電子波方向性結合器型の電子波干渉素子は、図
28に示す様に、半導体表面に、エッチング等により、
中央部(結合部)213では結合していてポート部21
5〜218(電極部)では独立である様に分離している
2本の電子波チャンネル211、212を作製し、この
結合部213付近に電極219を作り付けて、2本の電
子波チャンネル211、212の結合度を変化させる構
造を持っている。
【0007】ここで注意しておくべきこととして、電子
波のカップリングとチャネルないし導波路のカップリン
グとは区別される必要がある。例えば、カップルしたチ
ャネルで電子波がデカップルすることもある。
【0008】さて、図28の従来例で、この結合度ない
しカップリング度の変調は、2本チャンネル211、2
12間のポテンシャルバリアの高さを、電極219への
電圧の印加程度を制御して変化させることで行ない、こ
の結合度の変調によって両チャンネル211、212間
の結合長を変化させ、最終的に夫々の電極部ないしポー
ト部215〜218に電子波をスイッチングさせようと
していた。
【0009】
【発明が解決しようとしている課題】しかしながら、こ
れらの素子は以下の如き問題点を有する。
【0010】先ず、図27の素子構成においては、電子
波の位相を乱さない様に分波部及び合波部のバリア層2
04のスロープ部を作製することが極めて困難である。
すなわち、極めて平坦な電子波導波路(厚さの揺らぎが
1原子層以下)を作るだけでも非常に難しいが、更にカ
ップリング部とデカップリング部のスロープ部分も同程
度の加工精度が要求されるので、極めて高精度な素子加
工技術が必要とされるのである。また、図27の如き構
造を作る為には、先ず、2つの導波路202、203の
間にあるA1Asバリア層204まで分子線エピタキシ
ー(MBE)法又は有機金属化学気相堆積(MOCV
D)法などで堆積した後、大気中に取り出してバリア層
204の厚い部分と薄い部分を形成する為にエッチング
を行う必要がある。しかし、この際、表面酸化や不純物
の吸着が避けられない。従って、この上に成長させられ
るGaAs量子井戸などの導波路203は荒れたヘテロ
界面を有し、多くの不純物や欠陥を含むことになる。こ
れにより、この中を走行する電子は散乱され位相を乱さ
れて、干渉電流のオン/オフ比が小さくなってしまうの
である。
【0011】また、上記の様な素子構成では、素子の応
答速度も磁界変調などに係わるRC時定数などに依存し
てしまうという問題もある。
【0012】次に、図28に素子では、電子波の波長が
数百Åで、電子のコヒーレンス長が数μmであることを
考えると、電子波のチャンネル211、212の幅を1
00Å程度、結合部213の長さを1μm程度、電極2
19の幅を数十Å程度にしなければならず、残念ながら
現状の素子加工技術では実現不可能ないし困難な素子構
造であった。また、上記従来例の様に、電子波チャンネ
ル211、212に曲がりを作ることは、電子波が散乱
等によって位相が乱され電子波干渉デバイスの性能が悪
くなることが予想されて好ましいことではなかった。
【0013】従って、本発明の第1の目的は、上記の課
題に鑑み、作製上の困難さを避ける為に、例えば、2重
量子井戸構造において電場で誘起される電子波のデカッ
プリングを用いる電子波分岐及び/又は合流素子を提供
することにある。
【0014】本発明の第2の目的は、上記の課題に鑑
み、比較的作製容易で散乱等による電子波の位相の乱れ
も極力抑えられた構造を有する、上記の電子波分岐及び
/又は合流素子を有する電界効果型トランジスタ、フォ
トン吸収の無い光検出器、量子無破壊型光検出器などの
量子干渉素子を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】第1に、上記目的を達成
する本発明では、電子波を量子構造導波路に閉じ込めら
れた複数の電子波に分岐する電子波分岐素子において:
夫々、少なくとも1つの量子レベルを有する複数の量子
構造導波路;及び該量子構造導波路に電圧を印加する為
の手段;を有し、ここで、量子レベルは、印加電圧を制
御することで変化させられ、それにより電子波を分岐す
る為に低い準位と高い準位の両方の量子レベルがフェル
ミレベルより低くされる。
【0016】第2に、上記目的を達成する本発明では、
量子構造導波路に閉じ込められた複数の電子波を1つの
電子波に合流する電子波合流素子において:夫々、少な
くとも1つの量子レベルを有する複数の量子構造導波
路;及び該量子構造導波路に電圧を印加する為の手段;
を有し、ここで、量子レベルは、印加電圧を制御するこ
とで変化させられ、それにより電子波を合流する為に高
い準位の量子レベルはフェルミレベルより高くされ低い
準位の量子レベルはフェルミレベルより低くされる。
【0017】第3に、上記目的を達成する本発明では、
電子波合流/分岐素子において:夫々、少なくとも1つ
の量子レベルを有する直線的に形成された複数の量子構
造導波路;1つの電子波が前記量子構造導波路に閉じ込
められた複数の電子波に分岐される分岐部を形成するべ
く、該導波路に順方向バイアス電圧を印加する為の手
段;及び前記量子構造導波路に閉じ込められた複数の電
子波が1つの電子波に合流される合流部を形成するべ
く、該導波路に逆方向バイアス電圧を印加する為の手
段;を有する。
【0018】第4に、上記目的を達成する本発明では、
量子干渉素子において:夫々、少なくとも1つの量子レ
ベルを有する直線的に形成された複数の量子構造導波
路;及び1つの電子波が前記量子構造導波路に閉じ込め
られた複数の電子波に分岐される分岐部を形成するべ
く、該複数の量子構造導波路の第1サブバンド及び第2サ
ブバンドが共にフェルミレベルよりも低いエネルギーに
なるように該導波路に順方向バイアス電圧を印加する為
の手段;を有し、ここで、印加される順方向バイアス電
圧は変調されて、アハロノフ−ボーム効果により分岐電
子波間に、変調する位相差が生じさせられ、それにより
前記分岐部の下流で形成される電子波の干渉電流が変調
される。
【0019】第5に、上記目的を達成する本発明では、
量子干渉素子において:夫々、少なくとも1つの量子レ
ベルを有する直線的に形成された複数の量子構造導波
路;1つの電子波が前記量子構造導波路に閉じ込められ
た複数の電子波に分岐される分岐部を形成するべく、該
導波路に一定の順方向バイアス電圧を印加する為の手
段;及び前記量子構造導波路に磁束を印加する為の手
段;を有し、ここで、印加される磁束は変調されて、ア
ハロノフ−ボーム効果により分岐電子波間に、変調する
位相差が生じさせられ、それにより前記分岐部の下流で
形成される電子波の干渉電流が変調される。
【0020】第6に、上記目的を達成する本発明では、
量子干渉素子において:夫々、少なくとも1つの量子レ
ベルを有する直線的に形成された複数の量子構造導波
路;1つの電子波が前記量子構造導波路に閉じ込められ
た複数の電子波に分岐される分岐部を形成するべく、該
導波路に順方向バイアス電圧を印加する為の手段;及び
前記分岐部に光を導く為の手段;を有し、ここで、導波
される光は変調されて、分岐電子波間に、光シュタルク
シフトによる量子準位の変化により変調する位相差が生
じさせられ、それにより前記分岐部の下流で形成される
電子波の干渉電流が変調される。
【0021】第7に、上記目的を達成する本発明では、
量子干渉素子において:夫々、少なくとも1つの量子レ
ベルを有する直線的に形成された複数の量子構造導波
路;前記量子構造導波路に電子波を注入する為のソース
電極手段;前記量子構造導波路から電子波を受入する為
のドレイン電極手段;及び前記量子構造導波路に電界を
印加する為のゲート電極手段;を有し、ここで、前記量
子構造導波路の一部は前記ゲート電極手段の下にあり、
そして該ゲート電極手段は前記ソース電極手段とドレイ
ン電極手段との間に配置され、ゲート電極手段の下で
前記複数の量子構造導波路の第1サブバンド及び第2サブ
バンドが共にフェルミレベルよりも低いエネルギーにな
るようにするか、あるいは第1サブバンドはフェルミレ
ベルよりも低く、且つ第2サブバンドはフェルミレベル
よりも高くなるようにし、前記量子構造導波路の一部の
カップリングの程度が変化させられる。
【0022】
【実施例】図1は本発明の第1実施例のウェハーサンプ
ル構造の伝導帯のバンド構造を示す。同面において、1
はウェハーの平坦性を増す為のノンドープ(i層)のG
aAsバッファ層、2は光導波路のクラッドを形成する
ノンドープのA1GaAs層、3は導波路にキャリアを
供給する為のn−A1GaAs層、4はn−A1GaA
s層3内Siイオンによる伝搬キャリアのクーロン散乱
を避ける為のスペーサ層であるi−A1As層、5は導
波路を形成する量子井戸であるi−GaAs層、6はG
aAs井戸層5、7間に挟まれたi−A1As層で2つ
の井戸5、7がカップリングする程度の厚さ(例えば、
22Å)の層、8はn−A1GaAs層9内のSiイオ
ンによる井戸層7内の伝搬キャリアのクーロン散乱を避
ける為のスペーサ層であるi−A1As層、10はウェ
ハーのトップレイヤーであるn−GaAs層でA1As
層4、6、8の酸化を避ける為の層である。図1には層
厚及びドープ濃度が示されている。この実施例では、下
部井戸層5の厚さ(40Å)が上部井戸層7の厚さ(4
5Å)より小さくされており、こうして非対称2重量子
井戸構造(ADQW)を形成している。
【0023】井戸層5、7の平坦性を高める為に、バッ
ファ層1としてスーパーラティスバッファを用いてもよ
い。上記の層構成において、ドープ量は、2つの量子井
戸層5、7の伝導帯の最低エネルギ準位が共にフェルミ
エネルギよりも低くなる様な大きさにしたり(分波器の
場合)、一方の井戸層5又は7の最低準位がフェルミエ
ネルギより低く他方のものが高くなる様な大きさにする
(合波器の場合)。
【0024】図2は図1の如きエネルギバンド構造のも
のを合波器としたときの概略構成を示し、図3はこの第
1実施例の動作原理を説明する為の各電子波導波路5、
7の最低エネルギ準位と波動関数の様子を示す図であ
る。井戸層5、7はデカップリング部においても平坦
(直線的)に形成されており、図2において、12はト
ップレイヤー10とショットキー接合しているゲート電
極、13はドレイン電極、14はオーミックコンタクト
を取る為のAuGe拡散部、15は電源である。この素
子の左側の部分には、不図示のソース電極からの1つの
電子波を2つの電子波に分岐する手段が作成されてい
る。これについては、図4で説明する構造を参照された
い。
【0025】ゲート電極12に加える電圧により、各井
戸5、7の量子井戸エネルギ準位が変化し、2つの電子
波導波路5、7内のレベルのカップリング(交差)によ
って、電子波導波路5、7の伝導帯の下から2つの最低
エネルギ準位(第1、第2準位、又は第1サブバンド、
第2サブバンドとも呼ぶ)は図3に示す如く変化する。
【0026】動作は以下の如く行なわれる。2つの電子
波導波路5、7の第1サブバンドと第2サブバンドの両
方は、伝搬の初めの部分において図3に示す如くフェル
ミレベルEFより下にある。よって、電子波は2つのサ
ブバンドに適当な比(好ましくは1:1)で分配された
状態で伝搬し始める。ゲート電極12には、逆バイアス
電圧がかけられているので、第2サブバンドはゲート電
極12の下の部分でフェルミレベルを越えるようにな
る。従って、ここに来た電子波は合波して第1サブバン
ドにのみ流れることになって、図2の右方向へ伝搬して
ゆく。
【0027】こうして、第1実施例では、2つの井戸層
5、7は平行に直線的に作成されて合流部を形成してい
る。これは、ゲート電極12に印加される電圧の制御に
よってレベルのカップリングないし交差が行なわれるこ
とに依る。
【0028】図4は図1のエネルギバンド構造のウェハ
ーサンプル構造を分波器とした第2実施例を示す。第2
実施例では、初め電子波はカップリングしている必要が
あるので、井戸5、7は同じ構造の40Å厚のGaAs
層としバリア6は15Å厚のA1As層としている。井
戸5、7内の各エネルギ準位は同じエネルギレベルのも
のがカップリングした状態にしている。フェルミレベル
を図5の如く設定しておくと、当初、ソース電極11か
ら供給された電子波は第1サブバンド(カップリングし
た最低エネルギレベル)にのみ存在して伝搬する。
【0029】この電子波は、ゲートペア12、18によ
りポテンシャルを図5(図3と同様な図)の如く急峻に
変化させている部分(ゲート電極18と12の間)に来
ると、第1サブバンド、第2サブバンドが共にフェルミ
レベルより下にあるので、この準位に各々等しく分離さ
れ、導波路5、7をデカップルされて夫々伝搬する様に
なる。ゲートペア12、18へのポテンシャルの供給は
電圧源17により行なわれる。以上のことは、ゲートペ
ア18、12間長を500Å程にしたとき、100kV
/cmの電界を印加することで実現される。
【0030】導波路5、7間に電子波を等しく(1:1
の分岐ないし分配比)分ける条件は、図6に示す如く、
ゲートペア18、12間の距離をほぼ0.6μmに設定
し、100kV/cmの電圧を印加することである。図
1では導波路5、7の厚さを夫々40Å、45Åとして
いたが、図4の第2実施例では導波路5、7は対称的な
2重量子井戸構造となっているので、数値は上記した
(即ち、500Åと100kV/cm)様に図1のもの
とは少し異なる。
【0031】このように、第2実施例においても、導波
路5、7を構造的に平行に且つ平坦に作製しても、ゲー
ト電圧を制御することで電子波のデカップリング作用を
起こさせることができ、比較的簡単に合波器を構成する
ことができる。
【0032】図7は上記合流及び分岐構造を含む量子干
渉素子の本発明の第3実施例を示す図であり、この実施
例ではGaAs系を材料として用いているが、CdTe
系などのII−VI族などを用いても同様である。同図
において、21、22はGaAs井戸及びAIGaAs
井戸であり各々電子波導波路を構成している。本実施例
では、各井戸21、22の伝導帯の最低エネルギー準位
が図8(a)に示す如くカップリングしている様に、井
戸幅や組成を決めている。図7において、23はノンド
ープ(i層)のA1Asのバリア層、24、25は夫々
AuGe/Auで構成されたソース電極、ドレイン電極
でありオーミックコンタクトになっている。26は両電
極4、5間に形成されたゲート電極であり、幅は1μm
程度で、ショットキーコンタクトになっている。27、
28はオーミックコンタクトをとる為のアロイ時にAu
Geが拡散したAuGe拡散部である。
【0033】更に、29はSiなどのnタイプの不純物
が1018/cm3程度ドープされたnーA1GaAs層
であり、これと量子井戸21との間には伝搬キャリアの
クーロン散乱を避ける為のスペーサ層であるiーA1A
s層(不図示)が100Å程堆積されている。30は,
量子井戸22に近い側から、上記の如きスペーサ層、S
iを1018/cm3程度ドープしたA1GaAs層及び
ノンドープAlGaAs層で構成されている層である。
【0034】図7中の曲線A、B、C、D、は、各々の
位置でフェルミエネルギー以下のレベルの電子の波動関
数の概略を示す。
【0035】図8(a)−(c)は、上記の様に構成さ
れた電子波導波路21、22にゲート電極26により順
方向バイアスをかけたときの電子のエネルギーレベルの
変化を示す。この場合、厚さ15ÅのAIAsバリア2
3により分離された2つの量子井戸21、22(厚さ4
0ÅのGaAs層)は、電圧を印加していないときには
カップリングしており、カップルした第1サブバンドの
みがフェルミレベルEF以下である。或る電圧(順方
向)以上をゲート電極26により印加すると、カップル
していたモードは分離し、分離した2つのモードをフェ
ルミレベルEF以下である様にすることができる(図8
(c)のバンド構造参照)。この条件は、例えばゲート
26、ソース24間距離が500Åのとき、100kV
/cmの電界により満たされる。
【0036】以上の如き構成であるので、電子波は、伝
搬方向の位置の初めにおいて、2つの井戸層21、22
のカップルした第1サブバンド(最低準位)にのみ流れ
ることになって、電子波が1つになって伝搬し始める
(図7のA参照)。次に、ゲート電極26の下の部分で
は、2つの井戸層21、22の第1及び第2サブバンド
(2つの最低準位)が共にフェルミレベルの下にあるの
で電子波は2つの導波路21、22に分けられて伝搬し
(図7のB、C参照)、再び右方に伝搬したところでカ
ップルした第1サブバンドにのみ流されることになって
1つに合波される(図7のD参照)。
【0037】このように、ゲート26により電圧を印加
することで、構造的には平行且つ平坦に走る2つの電子
波導波路21、22にカップリング部とデカップリング
部を作ることができる。
【0038】次に、本実施例の動作について説明する。
ソース24から供給された電子は2つのカップリングし
た導波路21、22を経て、ゲート26で電圧印加され
たデカップリング部に導かれるが、このとき、この印加
電圧を変調することで2つの電子波間の位相差が変化す
る。すなわち、この場合、電圧はデカップリング作用と
共に位相差をも生じさせることになる。
【0039】このデカップル部を通過した後に、電子波
は再びカップリング部を通りドレイン25に達するが、
このカップリング部において2つの電子波の位相差がπ
+2nπであるような電子波はそのエネルギがフェルミ
エネルギよりも大きい為にドレイン25に至ることがで
きない。この位相差が2nπとなる場合には、電子波は
ドレイン25に至る。
【0040】図9は、上述の素子においてゲート電界を
変調することにより、電流値をコントロールする素子の
概略図である。この場合、ゲート電圧VGを図10の如
く100%変調したもので、ゲート電圧VGを変調する
と図10の様に信号(干渉電流値)の変化が生じる。こ
の例では、横方向の閉じ込めの為にリッジ構造32が形
成され、ゲート26に電圧を印加すると電流信号がof
f状態になる様に構成されている。
【0041】A−B効果(electro−stati
cなA−B効果)により2つの電子波間に位相差が生じ
るのであるが、ゲート電圧VGと電流値の関係は図11
に示す様なものとなる。
【0042】この例では、ゲート電圧VGをV0とOの間
で変化させて電流値(信号)をon/offするのであ
る。図11から分かる様に、ゲート電圧VGをV0付近で
微調しても電流値をon/offすることができる。
【0043】図12は、ゲート電圧VGを固定し、磁界
を変調することで電流値(信号)を変調する例を示す。
この例の場合、図12の矢印の方向にデバイス43の層
21、22、及び23を横切って磁界を印加することで
2つの電子波B、C(図9)の間に位相差が生じるが、
この位相差は、2つの電子波が分離している部分を通る
磁束をΦとすると、 θ=2πe/ch・Φ なる大きさとなる。ここで、eは電子の素電荷量、cは
光速、hはプランク定数である。
【0044】この位相差がπの偶数倍になるか奇数倍に
なるかによって、電流値がon/offされる。図11
の関係で言えば、ゲート電圧VGをV0に固定しておい
て、磁界を変調することでこの図11の関係をずらして
電流値を変調することになる。すなわち、図13の如
く、電磁石42に流す電流をonにすると素子43の信
号電流もonになる。
【0045】以上説明した如く、本実施例によれば、平
坦な量子井戸などの電子波導波路とこれに電圧を印加す
る手段を設けるだけで、従来では極めて高度な加工技術
を必要とした電子波のデカップリング部に相当する部分
を構成することができ、量子干渉素子の作製が極めて容
易になった。また、この印加電圧を固定して印加磁界を
変調することで取り出される電流値を変調することがで
き、信号を交換するデバイスなどが構成できる。
【0046】図14は本発明の第4の実施例のウエハー
サンプル構造の伝導帯のバンド構造を示す(図14の右
方向が電子のエネルギーレベルの増加方向である)。
【0047】同図において、51はウエハーの平坦性を
増す為のノンドープのGaAsバッファ層、52は光導
波路のクラッドを形成するノンドープ(i層)のAlA
s層、53はコアを形成するAlGaAs層中のグレー
ディド層(Alの混晶比が1から0.3へと変化してい
る)、54は同じくコアを形成するAlGaAs層中の
層であってGaAs井戸56、58にキャリアを供給す
る為のSiドープされた(ドーピング量1×1018/c
3)Al0.3Ga0.7As層、55はAlGaAs層5
4内のSiイオンによる伝搬キャリアのクーロン散乱を
避ける為のスペーサ層であるi−AlAs層、57はG
aAs井戸56、58間に挟まれたi−AlAs層で2
つの井戸56、58がカップリングする程度の厚さ(例
えば、22Å)の層、59はスペーサ層55と同様なス
ペーサ層、60はSiドープ層54と同様なSiドープ
層、61はグレーディド層53と同様なグレーディド
層、62はi−AlAs層52と同様なi−AlAs
層、そして63はウエハーのトップレイヤーであるn−
GaAs層でAlAs層の酸化を避ける為の層である。
【0048】上記Siドープ層54、60では、そのド
ープ量が、2つの量子井戸56、58の最低準位(第1
サブバンド)がフェルミエネルギよりも低くなる様にす
るとともに第2サブバンド準位がフェルミエネルギより
も高くなる様にするものである。図14には各層の層の
厚さとドープ量が示されている。
【0049】図14において、グレーディド層53の替
わりに井戸層56、58の平坦性を高める為にスーパー
ラティスバッファを用いてもよい。上記構成では、2つ
の量子井戸56、58が電子波導波路を構成している。
【0050】図15は、図14の如きエネルギバンド構
造のものを用いた本実施例の概略構成を示し、図16は
この実施例の動作原理を説明する為に各電子波導波路5
6、58のエネルギレベルと波動関数の様子を示す図で
ある。
【0051】井戸層56、58はカップリング部におい
てもデカップリング部においても平坦ないし直線的にに
形成されており、図15において、64はソース電極、
65、67はオーミック接合しているゲート電極、66
は電子波導波路56、58のカップリング部とデカップ
リング部を図16に示す如く急峻に生じさせ電極65に
より作られた1つのコヒーレントな電子波を2つの電子
波導波路56、58に均等に分配する為の役割をする電
極、68はドレイン電極、69、70は電源、71は光
(TM光)が導波する部分、72はオーミックコンタク
トを取る為のAuGe拡散部である。
【0052】ゲート電極65、67に加える電圧(逆バ
イアス)により、i層のエネルギバンド構造が傾いて各
井戸56、58の量子エネルギ準位が変化し、2つの電
子波導波路56、58内のレベルのカップリングないし
交差によって電子波導波路56、58の下から2つの最
低エネルギ準位(第1、第2サブバンド)は図16に示
す如く変化する。
【0053】ゲート電極65の下のカップリング部で合
波する様にする為に、バリア層57の厚さを22Å、2
つの井戸層56、58の厚さを40Å、45Åとし、電
極65、66間の距離は0.6μmとなっている。光が
導波する部分である光導波路71は、図14で示すウエ
ハーの層61、62、63を、幅約1μmのリッジ部を
残しエッチングして作製されている。
【0054】図15の電子波導波路56、58の電子波
導波方向の位置に対応した電子波のエネルギ状態と電子
波のモードを示したのが図16であるが、図中の破線は
フェルミレベルEFを示し2つの曲線は2つの電子波導
波路56、58内の2つのエネルギ準位を示す。第2サ
ブバンド準位はゲート電極65、67の下の所でフェル
ミレベルEFを越えるので、電子波はここから、第1サ
ブバンド準位にのみ流れる。こうして、ソース64から
の電子波はゲート65と66の間で第2サブバンド準位
と結合して合波し、その後、再び1対1に分離して第1
サブバンド準位と第2サブバンド準位を伝搬する。
【0055】次に、ゲート66と67の間では1対1に
分離していた電子波が干渉することになり、分離してい
た2つの電子波の位相が(2n+1)πずれている場合
には第2サブバンド準位を、2nπずれている場合には
第1サブバンド準位を伝搬する(nは整数)。この場
合、第2サブバンド準位は上記干渉する所でフェルミレ
ベルよりも上にあるので、(2n+1)π位相のずれた
ものは反射されてドレイン68には到達しなく、2nπ
ずれたものは完全にそのままドレイン68に到達する。
【0056】電子波間の位相差は、ゲート65からゲー
ト67の間で制御される。その方法としては、上記した
磁場を変調させる方法などが考えられるが、本実施例で
は光シュタルク効果を用いている。
【0057】光シュタルク効果について述べる。原子な
どにおいて、一般に電子が離散化されたエネルギ準位を
持っている時に、その準位間隔に一致はしないがそれに
近い光子エネルギを持つ光をそこに当てると、電子のエ
ネルギ準位がシフトする。これを光シュタエルク効果と
言う。本実施例の場合、離散化された準位と言うのは井
戸層56、58のサブバンドのエネルギ準位Ea、Eb
であり、ここで言う光シュタルク効果はサブバンド間仮
想遷移による光シュタルク効果と呼ぶべきものである。
【0058】今、電界ベクトルの強度εの光を当てる
と、夫々のサブバンドの準位は Ea→Ea−(eμε)2/δ Eb→Eb+(eμε)2/δ の様にシフトする。ここで、eは電子の素電荷量、μは
エネルギ準位Eaの状態からエネルギ準位Ebの状態へ
の遷移の双極子モーメントの長さ、δはエネルギ準位の
間隔と光子エネルギとの差(離調エネルギ)である。
【0059】本実施例では、サブバンドの量子準位のシ
フト量が井戸56、58で異なる様にして位相差を生じ
る様にしているのである。その為には、光子エネルギは
2つの井戸65、58に共通であるから、井戸56、5
8でのサブバンド間隔又はμを異なる様にすればよい。
最も簡単な方法は井戸層56、58の厚さを異ならせる
ことである。本実施例では、一方の井戸層56又は58
のサブバンド間エネルギよりは大きく、他方の井戸層5
8又は56のそれよりは小さい光子エネルギを有する光
を井戸層56、58の所に導波して励起する方法をとっ
ている。これにより、前者の井戸層では最低エネルギレ
ベルがフェルミレベルEFに近付き(サブバンド間エネ
ルギは小さくなって最低エネルギレベルは上に上がるの
でEFに近付く)、後者の井戸層では最低エネルギレベ
ルがフェルミレベルEFから離れる(サブバンド間エネ
ルギは大きくなって最低エネルギレベルは下に下がるの
でEFから離れる)。
【0060】この時、このエネルギシフト量をΔEとす
ると位相差Δθは次の様になる。	θ=mΔE/h
・(1/k+1/k′)lここで、hはプランク定数、
mは電子の質量、k、k′は電子波の波数ベクトル、l
はゲート65と67間の距離である。エネルギシフト量
ΔEは光の強度に比例するので、光の強度Iとソース6
4、ドレイン68間電流IS→Dの関係は図17の様にな
る。初期位相はゲート65、66、67の電圧を僅かに
変調することでゼロにすることができる。
【0061】図18は量子干渉素子の更なる他の第5実
施例を示す。この例では、異なる電子波導波路ペア5
6、58;74,76が2つある。例えば、AlAs層
73を挟む電子波導波路56、74が同じ構造で、井戸
層58のサブバンド間エネルギはこれらの井戸層56、
74のサブバンド間エネルギよりも小さく、井戸層76
はそれら56、74のサブバンド間エネルギよりも大き
いとすると、電子波導波路56、74を実励起する波長
(光子エネルギ)を除き、本実施例を駆動できる波長範
囲が2倍程度広げられる。即ち、電子波導波路56、7
4のサブバンド間エネルギよりも若干大きい値と若干小
さい値の間の波長(光子エネルギ)範囲の光が用いられ
て、ソース64、ドレイン68間電流を変調することが
できる。
【0062】その他の構成は、図18ではゲート電極6
6が無くそしてゲート電極65、67に負の電圧を印加
する為の電圧源78、79が設けられていることを除い
て、図15の実施例と同じである。動作原理は基本的に
前の実施例と同じである。分離された電子波に位相差を
発生させる為に、光によるサブバンド間の仮想的な励起
を利用するので、サブピコ秒の超高速応答が可能とな
る。
【0063】図19は量子干渉素子の更なる第6実施例
を示す。この実施例では2つの量子井戸が電子波チャネ
ルとして用いられ、基本的には本素子は量子井戸を電子
波チャンネルとした変調ドープFET構造である。本実
施例においては、図19(a)に示す様に、2つの量子
井戸は夫々厚さ70ÅのGaAs81と50ÅのGaA
s82のウェル層から成り、その間のバリア層はGa
0.7A10.3As層83で構成されている。ウェル層8
1、82の外側のバリア層であるn−Ga0.7A10.3
s層84、85は、ウェル層81、82に接している1
00Åの部分はノンドープで他の部分はSiが2×10
18cm-3ドーピングされて変調ドープが施されている。
【0064】ソース電極部86とドレイン電極部87
は、蒸着されたAuGe/Au薄膜を熱拡散して形成さ
れている。ソース電極部86とドレイン電極部87の間
には2つのウェル層81、82を挟む様にゲート電極
(ゲート88aとバックゲート88b)が形成され、バ
ックゲート88bは半絶縁性GaAs基板89とバリア
層85の接合面に形成されている。
【0065】ウェル層81、82から成る電子波チャン
ネルはy方向(紙面垂直方向)に電子が閉じ込められる
構造を有し、ソース電極部86及びドレイン電極部87
においては、図19(b)、(d)に示す様に、2つの
量子井戸81、82に局在化している波動関数φ1、φ2
は夫々独立である(デカップリングしている)。また、
これらの電極部86、87では、フェルミレベルが第1
サブバンド準位E1と第2サブバンド準位E2の中間に来
る様になっている。これは、ソース及びドレイン電極部
86、87のドーピング量でフェルミレベルを制御する
ことで行なう。
【0066】一方、、ゲート電極では、ゲート88aと
バックゲート88bの間に電圧が印加されていて、丁
度、2つの量子井戸81、82の準位E1、E2が略一致
する様に電圧が調整されている(図19(c))。
【0067】今、ソース86・ドレイン87間にVSD
る電圧(通常数mV)を印加したとすると、ソース86
からは70Åのウェル81に波動関数φ1が局在化した
電子波がゲート88aの方向に向かって放出される(電
子波は低い第1サブバンド準位をとってカップリングし
ている)。ゲート88a、88bでは2つの量子井戸8
1、82の量子準位E1、E2が略一致している為に(こ
の様にゲート88a・バックゲート88b間に電圧が印
加されている)、2つの量子井戸81、82間で電子波
のトンネリング確率が増える。この構造では、2つの井
戸81、82に(特に下部の井戸82)適当な電圧が確
実に印加される様にバックゲート88bが必要とされ
る。
【0068】こうして、ゲート部88a、88bでは波
動関数の形は、詳しくは、図20の様になっている。つ
まり、一番目の量子準位E1の波動関数φ1は偶関数に近
い形となり、2番目の量子準位E2の波動関数φ2は奇関
数に近い形となる。また、夫々の準位E1、E2は両井戸
81、82の結合の強さに応じた量だけエネルギ差(△
E)を持っている。△Eは両井戸81、82の間のバリ
ア83の高さ(エネルギの)や幅を変えることにより調
整可能である。本実施例では、バリア83は上記の如く
厚さ35ÅのA10.3Ga0.7Asから成る。
【0069】ゲート部88a、88bでフェルミ準位が
F、第1サブバンド準位、第2サブバンド準位のエネ
ルギが夫々E1、E2であるとし、図19でy方向に電子
が運動エネルギを持っていないとすると、第1サブバン
ド準位、第2サブバンド準位のz方向への波数は、夫
々、 kz1=1/(h/2π)・{2m* (EF−E1)}1/2z2=1/(h/2π)・{2m* (EF−E2)}1/2 と表せる(但し、m* は電子の有効質量、hはプランク
定数)。
【0070】ここで、2つの量子井戸81、82での電
子の存在確率は、夫々1、2次サブバンド準位の波動関
数をφ1(x)、φ2(x)とすれば、 |φ(x,z)|2=1/2・|φ1(x)eik1z+φ2(x)eik2z2 と近似的に表すことが出来る。
【0071】上式から分かる様に、eik1zとeik2zが一
致した時、 |φ(x,z)|2=1/2・|φ1+φ22 となる。つまり、図20から分かる様に、2つの波動関
数がプラスとなる部分である70Åの厚さウェル81に
電子波の存在確率が高くなる。
【0072】一方、eik1z =e-ik2z(つまり、位相が
反転している)のとき、 |φ(x,z)|2=1/2・|φ1− φ22 となって、今度は、厚さ50Åのウェル82にほぼ全て
の波動関数が局在化する。
【0073】この様に、50Å厚のウェル82と70Å
厚のウェル81に交互に局在化しながら電子波がゲート
領域88a,88bを適過した後は、再び、印加電界が
小さくなって両井戸81、82はデカップリングする様
になる。よって、70Å厚のウェル81に波動関数の局
在化した1次サブバンド準位E1か、50Å厚のウェル
82に波動関数の局在化した2次サブバンド準位E2
に、ゲート領域の長さLG 及び両井戸81、82のカッ
プリングの強さ(つまり、k1とk2の差であり、バリア
83の形態、ゲート88aとバックゲート88a間の電
圧により支配される)に応じて、分かれることになる。
【0074】ところが、ドレイン電極87においては、
2次準位E2はフェミレベルより高いエネルギを持って
いるので(図19(d)参照)、2次準位にカップリン
グした電子は全部反射される。以上の如きメカニズム
で、ソース86・ドレイン87間のコンダクタンスは、
電子波がドレイン87で反射される量に応じて変調を受
けることになる。
【0075】図21は、ゲート電圧(V DBG−VDG)に
応じてソース86・ドレイン87間のコンダクタンスが
変化する様子を示す。ここで示す様に、本実施例では、
ゲート88a、88bに印加する電圧を数mV変化させ
るだけでコンダクタンスを大きく変化させられる。
【0076】図22(a)は本発明の量子干渉素子の更
なる実施例を示す構成図である。図19の実施例と異な
るところは、電子波のフィルタリング(第1サブバンド
1のみにカップルした電子波を放出したり、第1サブ
バンドのカップルした電子波だけをドレイン87側に流
すこと)を、ソース86やドレイン電極87で行うので
はなく、サブゲート1(95a)及びサブゲート2(9
5b)を逆バイアスすることにより、図22(b)で示
す様にフェミレベルEFを第1準位E1と第2準位E2
中間に設定することで行っている。
【0077】また、2つの量子井戸81、82の間の結
合度を微調するゲートが、ゲート1(96a)とゲート
2(96b)に分かれている。このゲート1(96a)
及びゲート2(96b)により、夫々、僅かに、2つの
量子井戸の準位が一致している電圧から順バイアス及び
逆バイアス側にずれた電圧が印加されていて、このとき
の量子井戸81、82のポテンシャル形状は図22
(c)、(b)の様になっている。この結果、本実施例
では、サブゲート1、2(95a)、(95b)では、
夫々、片方のウェル(ゲートに近い方のウェルで上側の
ウェル81)に波動関数が局在した最低次準位のみに電
子波が伝搬可能となる。
【0078】つまり、ソース86及びドレイン87とサ
ブゲート電極1、2(95a)、(95b)を設けたこ
とにより、図19の実施例に見られる様に、ソース86
及びドレイン87のドーピングによってフェルミ準位E
Fを調節するのではなく、サブゲート95a、95bに
印加する逆バイアス電圧によって、フェルミレベルを調
節している。従って、第1及び第2サブバンドE1、E2
のエネルギレベルを全体として上下することでフェルミ
レベルEFを1次準位E1と2次準位E2の間に設定する
ので、このことがより簡単になる。
【0079】次に、ゲート電極を2つに(ゲート1(9
6a)、ゲート2(96b))分割したことの利点を述
べる。
【0080】一般に、方向性結合器型の電子波干渉トラ
ンジスタでは、結合前の2つの電子波チャンネル中の電
子波のz方向への波数をβ1、β2として、△β=β1
β2とすれば、図23の様に、模式的に方向性結合器を
表わす。ポート1から入射した電子波が全てポート3に
出射する状態(丸印をつけた=状態と表す)と、ポート
1から入射した電子波が全てポート4に出射する状態
(丸印を付けたx状態と表す)は、△βの大きさや結合
領域の長さL、結合係数κによって決定される。
【0081】結合モード方程式の解によれば、丸印を付
けたx状態は、 κL=(2ν+1)π/2 (νは整数) △β=0 のとき達成され、丸印をつけた=状態は {L/(π/2κ)}2+(△βL/π)2=(2ν)2 であるときに達成される。
【0082】従って、図19の様な構成においては、1
00%の電子波干渉電流のスイッチングを行なう為に
は、△β=0且つL=π/2κ・(2ν+1)となる様
な素子構造を作らなければならなく、△β=0は素子に
印加する電圧を微調することによって達成できるが、こ
の時、結合領域の長さLが上記の値に正確になること
は、素子寸法(L≒1μm)を考えると達成不可能であ
る。図21に示す如く、ゲート電圧に対するコンダクタ
ンスが完全にゼロになっていないのはこの為である。
【0083】これに対して、図22の実施例では、ゲー
ト1、2(96a)、(96b)に印加する電圧を調整
して、ゲート1(96a)の領域では△βが正(又は
負)、ゲート2(96b)の領域ではが負(又は正)と
なる様にし、且つ両者の絶対値が等しくなる様にする。
この調整は、図22の構造では可能である。
【0084】この時、結合モード方程式から丸印を付け
たx状態となるのは、 κ2/{κ2+(△β/2)2}・sin2[L/2・{κ2+(△β/2)21/2 ]=1/2 の時である。この式より、図22の実施例の如き構造で
は、△βを調整することにより、Lがπ/2κ(完全結
合長)より大きい素子寸法であれば必ず丸印を付けたx
状態が達成される。この寸法は容易に実現できるもので
ある。
【0085】また、丸印の付いた=状態となるのは、 {L/(π/2κ)}2+(△βL/π)2=(4ν)2 の時であり、この状態も△βを調整することにより必ず
達成される。つまり、図22の実施例では、△βの大き
さを変えることで量子干渉電流の100%の変調が達成
されることになる。
【0086】図24はゲート1、2(96a)、(96
b)に印加する電圧とソース86・ドレイン87間のコ
ンダクタンスの関係を示した図であり、この実施例にお
いては、コンダクタンスを殆ど完全に0にすることがで
きる。
【0087】以上の実施例によれば、量子井戸間の結合
の度合いを井戸面に垂直な方向に印加した電界ないし静
電ポテンシャルで制御することで方向性結合器型の電子
波チャネルを構成しているので、電子波のコヒーレンス
の保存や作製上の点で優れると共に、電界効果型トラン
ジスタとして動作させる場合にゲートに印加する電圧を
僅か(ほぼmVオーダー)に変化させることでソース・ド
レイン電流を大きく変えられる量子干渉素子が実現され
る。
【0088】上記実施例ではGaAsなどの材料を用い
たが、III−V族の他の材料やII−VI族の材料
(CdTeなど)も同様に用いられる。
【0089】上記量子干渉素子は高速電流変調器として
用いられる。図25は、図15、図18などの実施例を
光ゲートトランジスタに適用した例を示すブロック図で
ある。図25において、符号158はこのようなデバイ
スである。このデバイス158の電極間には、電源15
9によって電圧が印加されている。このデバイス158
には半導体レーザなどのレーザ光源161よりゲート光
Gが照射される。この光LGをレーザ駆動回路160か
らレーザ光源161に供給する電流iGで変調すること
によって、デバイス158のドレイン電流iDが変調さ
れる。ゲート光LGをパルス幅1ps以下のパルス光と
すると、ドレイン電流iDをこの速度で変調することが
でき、高速な電流変調器を実現することができる。
【0090】図26は、本発明の半導体装置を光通信シ
ステムの光検出器として用いた例を説明するブロック図
である。図26において、符号166は光信号を伝送す
る光ファイバーである。この光ファイバー166には、
光ノード1671,1672,・・・,167nを夫々介
して、複数のターミナル1681,1682,・・・,1
68nが接続されている。夫々のターミナルには、キー
ボード、表示素子などを有する端末装置1691,16
2,・・・,169nが接続されている。
【0091】各ターミナルは、変調回路163及びレー
ザ光源162から成る光信号送信機を有している。ま
た、各ターミナルは、光検出器180及び復調回路18
1から成る光信号受信機を有している。これら送信機及
び受信機は、端末装置1691からの指令に基づいて制
御回路164によって制御される。前記光検出器180
として、図15で説明した様な本発明の電子波干渉デバ
イスを好適に用いることができる。
【0092】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、電
子分岐又は合流部を形成するのに曲がった電子波導波路
構造やリング状構造とする必要のない電子波合流ないし
分岐素子や量子干渉素子が実現できる。そこでは、例え
ば、直線的な2重量子井戸構造において、波動関数の形
状やフェルミレベルに対するサブバンドレベルを電界で
制御してしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子波合流素子の実施例のバンド構造
を示す図である。
【図2】図1の実施例の構造を示す図である。
【図3】図1の実施例における電子波伝搬方向に沿った
第1及び第2サブバンドのエネルギーレベル変化を示す
図である。
【図4】本発明の電子波分岐素子の実施例の構造を示す
図である。
【図5】図4の実施例における電子波伝搬方向に沿った
第1及び第2サブバンドのエネルギーレベル変化を示す
図である。
【図6】電極間距離と電子波分岐比との関係を示す図で
ある。
【図7】本発明の量子干渉素子の実施例の構造を示す図
である。
【図8】図7の実施例における第1及び第2サブバンド
と波動関数との変化の様子を示す図である。
【図9】図7の実施例の構造を示す斜視図である。
【図10】ゲート電圧VGと信号との関係を示す図であ
る。
【図11】ゲート電圧VGと干渉電流との関係を示す図
である。
【図12】本発明の量子干渉素子の他の実施例の構造を
示す斜視図である。
【図13】図12の実施例の干渉電流と信号との関係を
示す図である。
【図14】本発明の量子干渉素子の実施例のバンド構造
を示す図である。
【図15】図14の実施例の構造を示す図である。
【図16】図15の実施例における電子波伝搬方向に沿
った第1及び第2サブバンドのエネルギーレベル変化を
示す図である。
【図17】図15の実施例の光強度と干渉電流との関係
を示す図である。
【図18】本発明の量子干渉素子の他の実施例の構造を
示す図である。
【図19】本発明の量子干渉素子の他の実施例の構造及
び波動関数の様子を示す図である。
【図20】図19の実施例のゲート領域における波動関
数を示す拡大図である。
【図21】図19の実施例のゲート電圧とコンダクタン
スの関係を示す図である。
【図22】本発明の量子干渉素子の他の実施例の構造及
び波動関数の様子を示す図である。
【図23】方向性結合器型の電子波干渉トランジスタの
特性を説明する図である。
【図24】図22の実施例の2つのゲートの電圧とコン
ダクタンスとの関係を示す図である。
【図25】本発明の量子干渉素子が光ゲートトランジス
タとして用いられている例を示すブロック図である。
【図26】本発明の量子干渉素子が光検出器として用い
られている光通信システムの例を示すブロック図であ
る。
【図27】従来の量子干渉素子を示す断面図である。
【図28】従来の方向性結合器型の干渉素子を示す斜視
図である。
【符号の説明】
1,51
バッファ 2
i−AlGaAs層 3,9,54,60
n−AlGaAs 4,8,55,59
スペーサ層 5,7,21,22,56,58,74,76,81,
82井戸層 6,23,57,75,83,84,85
バリア層 10,63
n−GaAs層 11,24,64,86
ソース電極 12,18,26,65,66,67
ゲート電極 13,25,68,87
ドレイン電極 14,27,28,72
AuGe拡散部 15,16,17,70,78,79
電源 29,30 A
lGaAs層を含む層 32
リッジ部 42
電磁石 52,62
i−AlAs 53,61
グレーディド層 71
光導波部分 73
AlAs 88a
ゲート 88b
バックゲート 89
基板 95a
サブゲート1 95b
サブゲート2 96a
ゲート1 96b
ゲート2 158
半導体装置 159
電源 160
レーザ駆動回路 161,162
レーザ光源 163
変調回路 164
制御回路 166
光ファイバ 167n
光ノード 168n
ターミナル 169n
端末装置 180
光検出器 181
復調回路
フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平2−253012 (32)優先日 平成2年9月21日(1990.9.21) (33)優先権主張国 日本(JP) (56)参考文献 特開 昭63−93161(JP,A) 特開 平1−129477(JP,A) 特開 平3−129881(JP,A) 特開 平3−263875(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/337 H01L 21/338 H01L 27/095 H01L 29/778 H01L 29/80 - 29/812

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子波を量子構造導波路に閉じ込められた
    複数の電子波に分岐し、以下のものを有することを特徴
    する電子波分岐素子: 夫々、少なくとも1つの量子レベルを有する複数の量子
    構造導波路;及び該量子構造導波路に電圧を印加する為
    の手段; ここで、量子レベルは、印加電圧を制御することで変化
    させられ、それにより電子波を分岐する為に低い準位と
    高い準位の両方の量子レベルがフェルミレベルより低く
    される。
  2. 【請求項2】 前記量子構造導波路は直線的に形成され
    た導波路から成り、前記電圧印加手段は、前記量子構造
    導波路に順方向バイアス電圧を印加する為のゲート電極
    から成る請求項1記載の電子波分岐素子。
  3. 【請求項3】量子構造導波路に閉じ込められた複数の電
    子波を1つの電子波に合流し、以下ものを有することを
    特徴とする電子波合流素子: 夫々、少なくとも1つの量子レベルを有する複数の量子
    構造導波路;及び該量子構造導波路に電圧を印加する為
    の手段; ここで、量子レベルは、印加電圧を制御することで変化
    させられ、それにより電子波を合流する為に高い準位の
    量子レベルはフェルミレベルより高くされ低い準位の量
    子レベルはフェルミレベルより低くされる。
  4. 【請求項4】 前記量子構造導波路は直線的に形成され
    た導波路から成り、前記電圧印加手段は、前記量子構造
    導波路に逆方向バイアス電圧を印加する為のゲート電極
    から成る請求項3記載の電子波分岐素子。
  5. 【請求項5】以下のものを有することを特徴とする電子
    合流/分岐素子: 夫々、少なくとも1つの量子レベルを有する直線的に形
    成された複数の量子構造導波路; 1つの電子波が前記量子構造導波路に閉じ込められた複
    数の電子波に分岐される分岐部を形成するべく、該導波
    路に順方向バイアス電圧を印加する為の手段;及び前記
    量子構造導波路に閉じ込められた複数の電子波が1つの
    電子波に合流される合流部を形成するべく、該導波路に
    逆方向バイアス電圧を印加する為の手段。
  6. 【請求項6】以下のものを有することを特徴とする量子
    干渉素子: 夫々、少なくとも1つの量子レベルを有する直線的に形
    成された複数の量子構造導波路;及び1つの電子波が前
    記量子構造導波路に閉じ込められた複数の電子波に分岐
    される分岐部を形成するべく、該複数の量子構造導波路
    の第1サブバンド及び第2サブバンドが共にフェルミレベ
    ルよりも低いエネルギーになるように該導波路に順方向
    バイアス電圧を印加する為の手段; ここで、印加される順方向バイアス電圧は変調されて、
    アハロノフ−ボーム効果により分岐電子波間に、変調す
    る位相差が生じさせられ、それにより前記分岐部の下流
    で形成される電子波の干渉電流が変調される。
  7. 【請求項7】 前記順方向バイアス電圧は所定値とゼロ
    との間で変調される請求項6記載の量子干渉素子。
  8. 【請求項8】 前記順方向バイアス電圧は所定値のまわ
    りで変調される請求項6記載の量子干渉素子。
  9. 【請求項9】 以下のものを有することを特徴とする量
    子干渉素子:夫々、少なくとも1つの量子レベルを有す
    る直線的に形成された複数の量子構造導波路;1つの電
    子波が前記量子構造導波路に閉じ込められた複数の電子
    波に分岐される分岐部を形成するべく、該導波路に一定
    の順方向バイアス電圧を印加する為の手段;及び前記量
    子構造導波路に磁束を印加する為の手段;ここで、印加
    される磁束は変調されて、アハロノフ−ボーム効果によ
    り分岐電子波間に、変調する位相差が生じさせられ、そ
    れにより前記分岐部の下流で形成される電子波の干渉電
    流が変調される。
  10. 【請求項10】 前記順方向バイアス電圧の方向は前記
    量子構造導波路で画成される平面に対して垂直であり、
    前記磁束の方向は前記量子構造導波路で画成される平面
    に平行である請求項9記載の量子干渉素子。
  11. 【請求項11】以下のものを有することを特徴とする量
    子干渉素子: 夫々、少なくとも1つの量子レベルを有する直線的に形
    成された複数の量子構造導波路; 1つの電子波が前記量子構造導波路に閉じ込められた複
    数の電子波に分岐される分岐部を形成するべく、該導波
    路に順方向バイアス電圧を印加する為の手段;及び前記
    分岐部に光を導く為の手段;ここで、導波される光は変
    調されて、分岐電子波間に、光シュタルクシフトによる
    量子準位の変化により変調する位相差が生じさせられ、
    それにより前記分岐部の下流で形成される電子波の干渉
    電流が変調される。
  12. 【請求項12】 前記光の光子エネルギーは量子レベル
    間のエネルギーから離調され、前記光の電界方向は前記
    量子構造導波路で画成される平面に対して垂直である請
    求項11記載の量子干渉素子。
  13. 【請求項13】 前記量子構造導波路は一対設けられて
    いる請求項11記載の量子干渉素子。
  14. 【請求項14】 前記量子構造導波路は2対設けられて
    いる請求項11記載の量子干渉素子。
  15. 【請求項15】 前記量子構造導波路は、非対称2重量
    子井戸構造を構成すべく、異なる井戸から成り、該量子
    井戸の、前記電圧印加手段から遠い方のものは、前記電
    圧印加手段に近い方のものより小さい厚さを有する請求
    項11記載の量子干渉素子。
  16. 【請求項16】以下のものを有することを特徴とする量
    子干渉素子: 夫々、少なくとも1つの量子レベルを有する直線的に形
    成された複数の量子構造導波路; 前記量子構造導波路に電子波を注入する為のソース電極
    手段; 前記量子構造導波路から電子波を受入する為のドレイン
    電極手段;及び前記量子構造導波路に電界を印加する為
    のゲート電極手段;ここで、前記量子構造導波路の一部
    は前記ゲート電極手段の下にあり、そして該ゲート電極
    手段は前記ソース電極手段とドレイン電極手段との間に
    配置され、ゲート電極手段の下で前記複数の量子構造
    導波路の第1サブバンド及び第2サブバンドが共にフェル
    ミレベルよりも低いエネルギーになるようにするか、あ
    るいは第1サブバンドはフェルミレベルよりも低く、且
    つ第2サブバンドはフェルミレベルよりも高くなるよう
    にし、前記量子構造導波路の一部のカップリングの程度
    が変化させられる。
  17. 【請求項17】 前記量子構造導波路がカップリングし
    た前記一部の長さLGが、以下の関係を満たす請求項1
    6記載の量子干渉素子: LG≧π/(2κ) ここでκは前記量子構造導波路の結合係数である。
  18. 【請求項18】 前記ゲート電極手段はゲートとバック
    ゲートを有し、前記量子構造導波路は該ゲートとバック
    ゲートとの間に配設されている請求項16記載の量子干
    渉素子。
  19. 【請求項19】 前記ゲート電極手段は、電子波伝搬方
    向に沿って隔たった第1ゲートと第2ゲートを有し、前
    記第1ゲートと第2ゲートは独立にバイアスされる請求
    項16記載の量子干渉素子。
  20. 【請求項20】 前記ソース電極手段とゲート電極手段
    との間にサブゲートが設けられ、該サブゲートは、所定
    エネルギーレベルを持つ電子波のみを選択的に透過させ
    る請求項16記載の量子干渉素子。
  21. 【請求項21】 前記ドレイン電極手段とゲート電極手
    段との間にサブゲートが設けられ、該サブゲートは、所
    定エネルギーレベルを持つ電子波のみを選択的に反射さ
    せる請求項16記載の量子干渉素子。
  22. 【請求項22】 前記量子構造導波路は2つの接近した
    量子細線から成る請求項16記載の量子干渉素子。
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