JP3104806B2 - 量子干渉デバイス及び干渉電流の処理方法 - Google Patents

量子干渉デバイス及び干渉電流の処理方法

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JP3104806B2
JP3104806B2 JP03263263A JP26326391A JP3104806B2 JP 3104806 B2 JP3104806 B2 JP 3104806B2 JP 03263263 A JP03263263 A JP 03263263A JP 26326391 A JP26326391 A JP 26326391A JP 3104806 B2 JP3104806 B2 JP 3104806B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子波の干渉及び干渉電
流の処理に関し、より詳細には、それを利用した、すな
わち、磁場、電場、光(強度、波長)などにより伝えら
れる信号をアハロノフ−ボ−ム効果(A−B効果)や光
シュタルク効果などにより電気信号に変換する量子干渉
デバイス(Quantum Interference
Device,QID)及び干渉電流の処理方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、図11(a)に示す様なQIDの
一種である「光吸収のない光検出器」が提案されてお
り、それは以下の如く動作する。
【0003】図11の左側のソ−ス電極110から注入
された電子は、 波動関数 exp(ik x)φs(z)Y(y) ・・・(1) エネルギ− E=((h/2π)2/2me)k2+Es+EY・・・(2) をもってパス111、112、113(量子井戸構造
(QLS)、量子細線構造(QLS)などで形成され
る)を介して右側のドレイン電極114に向かって走り
始める。ここで、meはx方向の運動の電子の有効質
量、kはx方向の運動の角波数 、Esとφs(z)は、
それぞれ、z方向に関する、電子のサブバンドの基底準
位のエネルギ−と波動関数、EYとY(y)は、それぞ
れ、y方向に関する、電子のサブバンドの基底準位のエ
ネルギ−と波動関数である。
【0004】図11(b)−(d)のバンド構造図のと
ころで示す様に、電子の波動関数は、z方向に関して、
中央部では2つに分かれて、上側のQLS112(狭い
ほう)では、 波動関数 exp(ikNx)φNa(z)Y(y) ・・・(3) エネルギ− E=((h/2π)2/2me)kN+ENa+EY・・・(4) を持ち、下側のQLS113(広いほう)では、 波動関数 exp(ikWx)φWa(z)Y(y) ・・・(5) エネルギ− E=((h/2π)2/2me)kW+EWa+EY・・・(6) を持つ様になる。ただし(3)、(5)式では規格化定
数は省略している。ここで、ENaとφNa(z)は上側の
QLS112での、z方向に関する、サブバンドの電子
の基底準位のエネルギ−と波動関数、EWaとφWa(z)
は下側のQLS113での、z方向に関する、サブバン
ドの電子の基底準位のエネルギ−と波動関数、kNとkW
は上側と下側のQLS112、113でのx方向の運動
の角波数である。
【0005】一般に、ENa≠Esであるので(2)と
(4)式よりkN≠kであり、下側のQLS113につ
いても同様にkW≠kである。しかし、この例では、光
が中央部に当たっていない時にはENa=EWaとなる様に
してあるので(上下のQLS112、113に電子を均
等に分配する為)、kW=kNは成立している。
【0006】ここで、このデバイスの中央部に光を通過
させると、次の如き光シュタルクシフトが起こる。 ENa→ENa−(eμNε)2/δN ・・・(7) EWa→EWa−(eμWε)2/δW ・・・(8) ここで、 (h/2π)ω=ENb−ENa−δN(|δN|<<(h/2π)ω) =EWb−EWa−δW(|δW|<<(h/2π)ω)・・・(9) である。ただしENb、EWbは、それぞれ、上側と下側の
QLS112、113でのz方向に関する2番目の準位
のエネルギ−であり、μN、μWは、それぞれ、上側と下
側のQLS112、113での基底準位から2番目の準
位への遷移の双極子の長さである。
【0007】この時、特に、 EWB−EWa<(h/2π)ω<ENb−ENa ・・・(10) を満たす様に設定すると(図11(c)のバンド図のと
ころ参照)と効果的で、こうすればδN>0、δW<0に
なるので式(7)、(8)より上側のパス112のENa
は低い方に、下側のパス113のEWaは高い方にシフト
する(図11(c)のバンド図のハッチングの矢印参
照)。すると、式(4)、(6)より上側のパス112
のkNは増加し、下側のパス113のkWは減少する。
【0008】このように、上、下側のQLS112、1
13で波数が異なると、x方向に同じ距離だけ電子が各
パス112、113中を走行した時に、上側のQLS1
12を走った電子と下側のQLS113を走った電子と
で位相差が生じる。光が当たっているのが0≦x≦Lの
範囲だとすると、この位相差Δθは、 Δθ=∫L 0(k N−kW)dx ・・・(11) で与えられる。
【0009】例えば、この位相差Δθが丁度πになる
と、図11(a)の右側のパス111で電子の波動関数
が再び1つになる時に、その形は1つになった時の基底
状態であるφsではなく、2番目の状態φAになる。とこ
ろが、エネルギ−としては、φsに対応するエネルギし
か持っていない為に、反射されてしまうことになる。す
なわち、右側のドレイン電極114まで電子は到達でき
ず、ソ−ス電極110とドレイン電極114との間で電
流は流れない。実際には、式(7)、(8)、(11)
などから分かる様に、位相差Δθは光の強度I(ε2
関する)に応じて変化し、右側のドレイン電極114へ
の透過率がcos2(Δθ/2)に比例することから、
電流Jは、 J=J0cos2(Δθ/2) ・・・(12) となる(J0は定数)。
【0010】従って、Jの読み取り値から、(12)式
を用いて、Δθが分かり、Δθと光強度Iの関係、例え
ば、 Δθ=gI+Δθ0 ・・・(13) からIが分かるのである(g、Δθ0は定数)。
【0011】上記の技術については、同一出願人による
特願平2−45085号の明細書に記載がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法で
は、電流値Jから光強度Iを推定する時に誤差が伴う。
換言すれば、同じ光強度Iに対して、Jの測定値が測定
毎にバラつくのである。この原因は、電流の流れがいく
ら制御したつもりでも揺らいでしまって(ミクロなレベ
ルでの電子の衝突、或るエネルギレベルへの電子の捕獲
などによる)、(12)式のJ0が時間的に変動するか
らである。また、ドレイン電極114側で電流が検出さ
れない場合、これが本当に電流がないことによるのか、
電流が反射されてしまったので電流がないのかの区別が
つかない。
【0013】こうしてJ0が不確定な為に測定電流値J
から位相差Δθを推定するところで誤差が出てしまう。
【0014】よって、本発明の第1の目的は、上記の課
題に鑑み、上記誤差を最小限にすることができる構成を
持つ量子干渉デバイスを提供することにある。
【0015】本発明の第2の目的は、上記の課題に鑑
み、量子干渉電流が測定ないし検出されるときの上記誤
差を最小限にすることができる干渉電流処理方法を提供
することにある。
【0016】
【課題を解決する為の手段】本発明は、先ず、量子構造
の複数のパスを伝搬してくる1つの電子波を量子構造の
複数のパスに閉じ込められた複数の電子波に分岐するこ
とで干渉電流を処理することに係わる。分岐電子電流は
合流され、それらの間の位相差に応じて異なるエネルギ
ーレベルを持つ複数種類の電子波が作られる。複数種類
の電子波の電流は検出されて、揺らぎ無しの電流が作成
される。
【0017】本発明による1つの形態の量子干渉素子は
以下のものを有する:電子波を伝搬させる為の量子構造
を有する複数のパス;電子波を複数の量子構造パスに閉
じ込められた複数の電子波に分岐する為の手段;分岐さ
れている複数の電子波を合流して、分岐電子波間の位相
差に応じて夫々異なるエネルギレベルと異なる大きさを
持つ複数種類の電子波を作り出す為の手段;複数種類の
電子波の電流を夫々検出する為の手段;及び電子波の電
流の揺らぎに影響されない揺らぎ無し電流を、検出され
た電流から作成する為の演算手段。
【0018】本発明による1つの形態の干渉電流処理方
法は以下のステップを有する:量子構造を有する複数の
パスを伝搬してくる1つの電子波を複数の量子構造パス
に閉じ込められた複数の電子波に分岐するステップ;分
岐されている複数の電子波を合流して、分岐電子波間の
位相差に応じて夫々異なるエネルギレベルと異なる大き
さを持つ複数種類の電子波を作り出すステップ;複数種
類の電子波の電流を夫々検出するステップ;及び電子波
の電流の揺らぎに影響されない揺らぎ無し電流を、検出
された電流から作成するステップ。
【0019】本発明の原理は次の如きものである。例に
沿って説明する。
【0020】例えば、電子波のモ−ド変換器であるで上
記合成ないし合流手段と測定手段を用いて、上記(1
2)のJの代わりに J+=J0cos2(Δθ/2) ・・・(14a) J-=J0sin2(Δθ/2) ・・・(14b) という2種の電流を測定する。そして、その測定値
+、J-から、 M≡(J+−J-)/(J++J-) ・・・(15) という「規格化された電流M」をオペアンプなどの演算
手段で演算ないし計算して求める。
【0021】すると、(14a)、(14b)、(1
5)式から M=cos(Δθ) ・・・(16) となるので、J0が揺らいでも、J+とJ-の測定値→M
の値→Δθの値→Iの値(上記(13)式参照)という
一連の推定のプロセスにJ0の揺らぎが効いてこなくな
る。よって、本発明のデバイスのSN比が格段によくな
る。
【0022】
【実施例】図1は本発明の第1実施例を示す。同図にお
いて、1、2、3は電子の通り道ないしパス(pat
h)、4はバリア層、5はソ−ス領域、6は2つのドレ
イン領域、7はモ−ド変換器、8は定電流源、9は電流
計、10は演算器である。図111(a)の提案例との
主な違いは、図1右側の部分に電子波のモ−ド変換器7
を付加したことと、それに応じて電流計9がJ+用、J-
用の2つに増えたことである。また、図1では、定電流
源8で駆動する様になっているが、ここは、図11
(a)のように定電圧駆動しても本質的には変わらな
い。ただ、図1の構造では中間部への光の照射状態で電
子電流に対する抵抗が大きく変化し、従って定電圧駆動
とすると電流が大きく変化するので都合が良くない。
【0023】上記モ−ド変換器7は、例えばQLS2、
3を図1に示す様に薄いバリア層4を介して交差させた
構造で実現できる。バリア層4の厚さと組成を調整して
透過率が50%になる様にすることは容易にできる(例
えば、江崎、榊編著「超格子ヘテロ構造デバイス」、工
業調査会参照)。
【0024】2つの電流計9はオペアンプ等でも良いこ
とは勿論である。
【0025】図2(a)はこの実施例の積層構造を示
し、図2(b)はこれのバンド構造を示す。図2(a)
において、GaAs基板11上に、i−GaAsバッフ
ァ層12(厚さ5000Å)、i−GaAs層13(厚
さほぼ1000Å)、i−AlAs層13(厚さほぼ2
0Å)、i−AlGaAs層15(厚さほぼ50Å)、
n−AlGaAs層16(厚さほぼ1000Å、不純物
濃度1×1018)、n−GaAs層17(厚さほぼ20
0Å、不純物濃度1×1018)がこの順序で形成され
る。図2(b)に示すように、2次元電子ガス2DEG
がi−GaAs層13とi−AlAs層14との間に形
成され、電子が層12〜17で画成される面に対して垂
直な方向に閉じ込められる。図2(b)で、Efはフェ
ルミエネルギーを示す。更に、図2(a)において、i
−GaAs層13は2重ヘテロ構造を構成するが、これ
は量子井戸構造で置き換えられてもよい。この場合、井
戸の厚さはほぼ100Åである。i−AlAs層14
は、Al混晶比が0.3〜0.4のi−AlGaAs
(例えば、Al0.3Ga0.7As)で置き換えられてもよ
い。
【0026】QLSまたは電子パスを形成する為の横方
向の閉じ込めは、例えば、RIBE(反応性イオンビー
ムエッチング)で形成されるリッジ構造で行なわれる。
図3(a)のA−A′断面図である図3(b)にこの構
造が示される。デバイスの斜視図である図3(a)にお
いて、z方向の閉じ込めは2重ヘテロ構造または量子井
戸構造で達成され、x方向の閉じ込めは図3(b)のリ
ッジ構造で達成される。
【0027】図3(b)において、エッチングによる空
乏層の幅は、ドーピング量にも依るが、約1000Åで
ある。従って、広いほうのリッジの幅D1はほぼ0.2
1μmと見積もられ、x方向の電子の閉じ込めはほぼ1
00Åとなる。ここで、2つのリッジの幅D1、D2は異
なるように設定され(D1≠D2)、これにより電場ベク
トルEがx方向に振動する光が2つのパス2、3に当て
られるときに、光シュタルク効果ないし光QCSE(q
uantum confinement Stark
effect)により位相差Δθが生じる。
【0028】この構造では、パス1とモード変換器7の
バリアもまた、エッチングに依り形成される空乏層で構
成される。
【0029】デバイス作製の技術については、「Sem
iconductorsandSemimetals,
Vol.24,Academic Press,In
c.1987」などに書かれている。
【0030】本実施例のモ−ド変換器7の動作は以下の
如く行なわれる。
【0031】図1に示す様に、上側のQLS2からex
p(iθN)φNという波動関数、下側のQLS3からe
xp(iθW)φWという波動関数で電子波が入射する
と、合成されて1/√2・(exp(iθN)+exp
(iθW))φ+、1/√2・(exp(iθN)−ex
p(iθW))φ-の波動関数が出射される(ハ−フミラ
−の両側から光が入射して、出射される場合と同じであ
る)。
【0032】従って、J+∝|exp(iθN)+exp
(iθW)|2∝cos2(Δθ/2)、J-∝|(exp
(iθN)−exp(iθW))|2∝sin2(Δθ/
2)となり、上記(14a)、(14b)式に示した通
りとなる(ただし、Δθ=θN−θW)。
【0033】上記実施例では、パスの電子波分岐部や合
流部はエッチングで形成されていたが、これらは直線状
に形成された2重量子井戸構造と複数のゲート電極によ
っても形成される。
【0034】図4は第2実施例を示し、ここでは、2つ
の井戸21、22を有する直線状2重量子井戸構造(D
QWS)が基板20上に形成されている。z方向の電子
の閉じ込めは井戸21、22で行なわれるが、x方向の
閉じ込めはエッチングで形成されたリッジ23で行なわ
れる。リッジ23は、図4に示すように、ソース24と
1対のドレイン25、26の間でy字状に形成されてい
る。更に、複数のゲート電極28、29、30、31、
32も設けられている。第1のゲート28は、順バイア
ス電圧を印加することで、ソース24から伝搬されてき
た電子波を2つの電子波に分岐する働きをする。この分
岐は、DQWSの第1および第2サブバンドより上にフ
ェルミレベルを設定することで行なわれる。第2および
第3ゲート29、30もまた、第1と第2サブバンドを
フェルミレベルより下に持ってくることで、電子波の分
岐状態を維持する。しかし、ゲート電極30の下では、
第1と第2のサブバンドはフェルミレベルに近付き、分
岐電子波の波動関数の合成ないし結合を起こさせる。層
で画成される面に垂直な方向に電場ベクトルEが振動す
る光が、電子波が分岐されている部分に当てられる。
【0035】井戸21、22の厚さは、上部井戸21が
比較的厚く、下部量子井戸22が比較的薄くなってい
る。これで、ゲート電極28、29によって1:1の分
配比で電子波が分岐されることになる。ゲート30の下
では、図5に示すように、位相差Δθに応じて、電子波
は低いエネルギーのボンディング状態か高いエネルギ
ーのアンチボンディング状態かを占める。状態と
の波動関数の偏り程度は、中間部に当てられる光で生じ
させられる(光QCSE)位相差の大きさ2πmおよび
(2m+1)πによって、異なる。
【0036】ゲート31(G1で示す)では、厚い量子
井戸21の第1状態を薄い量子井戸22の第1状態より
下に持ってくるような電圧が印加され、反対に、ゲート
32(G2で示す)では、薄い量子井戸22の第1状態
を厚い量子井戸21の第1状態より下に持ってくるよう
な電圧が印加される。その結果、ドレイン25(D1
示す)では、位相差2mπの成分が検出され、ドレイン
26(D2で示す)では、位相差(2m+1)πの成分
が検出される。これは、前者の電子波成分はゲート30
の下で再結合しゲート31の下の部分を通って伝搬され
るが、後者の電子波はゲート30の下で再結合されゲー
ト32の下の部分を通って伝搬されるからである。
【0037】即ち、図6の斜線部では、バンド構造を示
す図7(a)に示すように、フェルミレベルがアンチボ
ンディング状態のレベルより上にある。そして、ゲー
ト31の下の部分では、順電圧が印加されて、図7
(b)に示すように厚い量子井戸21の第1状態が低く
なり、反対に、ゲート32の下の部分では、逆電圧が印
加されて、図7(c)に示すように薄い量子井戸22の
第1状態が低くなる。
【0038】第2実施例の他の動作は第1実施例と同じ
である。
【0039】このようにして2つの電流の測定値から電
子電流の揺らぎ(J0の揺らぎ)が効かなくなる組み合
わせが演算され、被検出光の強度が良いSN比で検出さ
れる。
【0040】上記実施例では、QIDとして「光吸収の
ない光検出器」の場合を考えたが、上述した様に他のQ
IDとしても構成できる。この場合でも、位相差を持っ
た2つの電子波を合成する部分を上述の「電子波のモ−
ド変換器」に置き換えて、その後段に2つの電流計を設
ければよい。
【0041】更に、上記実施例では、2種類の電流の和
と差や揺らぎのない適当な組み合わせを作り出している
が、2種類の電流を他の方法で処理することも出来る。
例えば、2種類の電流にOR演算処理を施し、このOR
演算の出力と2種類の電流の1つとにAND演算処理を
行なって、揺らぎのない組み合わせを得ることも出来
る。
【0042】上記実施例では、光シュタルク効果を用い
たが、マグネトスタティックなA−B効果やエレクトロ
スタティックなA−B効果なども利用できる。これらの
場合、電子波が分岐されている部分に当てられる入力は
光ではなく、磁束や静電ポテンシャルやゲート電圧であ
る。
【0043】第2実施例ではゲート電極28、29で印
加される電圧は一定に保たれていたが、入力がゲート電
圧である場合は、少なくとも1つの電圧が変調されて上
記位相差を変調する。
【0044】図8は、ゲート電圧が一定に保たれ、磁界
Hが干渉電流を変調するように変調される実施例を示
す。この場合、2つの電子波の間の位相差は上記のデバ
イス43の層21、22を横切って磁界Hを印加するこ
とで制御される。これは、電磁石42により図8の矢印
の方向に磁界を印加することで行なわれる。位相差Δθ
は次式で表わされる。Δθ=2πe/ch・Φここで、
Φは電子波が2つに分岐されてところの層21、22の
部分を透過する磁束であり、eは電子の電荷であり、c
は光の速度であり、hはプランク定数である。
【0045】動作は上記実施例と実質的に同じである。
【0046】上記実施例ではGaAsなどの材料を用い
たが、III−V族の他の材料やII−VI族の材料
(CdTeなど)も同様に用いられる。
【0047】上記量子干渉素子は高速電流変調器として
用いられる。図9は、図1または図4の実施例を光ゲー
トトランジスタに適用した例を示すブロック図である。
図9において、符号58はこのようなデバイスである。
このデバイス58の電極間には、電源59によって電圧
が印加されている。このデバイス58には半導体レーザ
などのレーザ光源61よりゲート光LGが照射される。
この光LGをレーザ駆動回路60からレーザ光源61に
供給する電流iGで変調することによって、デバイス5
8のドレイン電流iDが変調される。ゲート光LGをパル
ス幅1ps以下のパルス光とすると、ドレイン電流iD
をこの速度で変調することができ、高速な電流変調器を
実現することができる。
【0048】図10は、本発明の図1または図4の実施
例の半導体装置を光通信システムの光検出器として用い
た例を説明するブロック図である。図10において、符
号66は光信号を伝送する光ファイバーである。この光
ファイバー66には、光ノード671,672,・・・,
67nを夫々介して、複数のターミナル681,682
・・・,68nが接続されている。夫々のターミナルに
は、キーボード、表示素子などを有する端末装置6
1,692,・・・,69nが接続されている。
【0049】各ターミナルは、変調回路63及びレーザ
光源62から成る光信号送信機を有している。また、各
ターミナルは、光検出器80及び復調回路81から成る
光信号受信機を有している。これら送信機及び受信機
は、端末装置691からの指令に基づいて制御回路64
によって制御される。
【0050】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、複
数の電流の測定値から、電子電流の揺らぎが効かなくな
る組み合わせを求めて検出するので、被検出量のSN比
が格段に良くなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の構造を示す図。
【図2】(a)は第1実施例の積層構造を示す図、
(b)は第1実施例のバンド構造を示す図。
【図3】(a)は第1実施例の概略を示す斜視図、
(b)は線A−A′に沿った図3(a)の断面図。
【図4】本発明の第2実施例の構造を示す斜視図。
【図5】第2実施例のゲート電極30の下の波動関数を
示す図。
【図6】第2実施例の部分図。
【図7】(a)は図6の斜線部分のバンド構造と波動関
数とサブバンドを示す図、(b)と(c)は夫々ゲート
電極31、32の下のバンド構造を示す図。
【図8】本発明の第3実施例の構造を示す斜視図。
【図9】本発明の量子干渉素子が光ゲートトランジスタ
として使用される例を示すブロック図。
【図10】本発明の量子干渉素子が光検出器として使用
される光通信システムの例を示すブロック図。
【図11】(a)は関係する量子干渉素子の構造を示す
図、(b)−(d)は図11(a)のデバイスの各部分
のバンド構造と波動関数を示す図。
【符号の説明】
1、2、3、21、22:パス 4:バリア層 5、24:ソ−ス 6、25、26:ドレイン 7:モ−ド変換器 8:定電流源 9:電流計 10:演算器 28、29、30、31、32:ゲート電極 42:電磁石 60:レーザ駆動回路 61、62:レーザ光源 63:変調回路 64:制御回路 66:光ファイバ 68n:ターミナル 67n:光ノード 69n:端末 80:光検出器 81:復調回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−129477(JP,A) 特開 平3−129881(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/80 H01L 29/06 H01L 29/68

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下のものを有することを特徴とする量
    子干渉デバイス:電子波を伝搬させる為の量子構造を有
    する複数のパス;電子波を複数の量子構造パスに閉じ込
    められた複数の電子波に分岐する為の手段;分岐されて
    いる複数の電子波を合流して、分岐電子波間の位相差に
    応じて夫々異なるエネルギレベルと異なる大きさを持つ
    複数種類の電子波を作り出す為の手段;複数種類の電子
    波の電流を夫々検出する為の手段;及び電子波の電流の
    揺らぎに影響されない揺らぎ無し電流を、検出された電
    流から作成する為の演算手段。
  2. 【請求項2】 更に、分岐電子波間の位相差を変化させ
    る為の手段を有する請求項1記載の量子干渉デバイス。
  3. 【請求項3】 前記位相差変化手段は、光を前記分岐手
    段に導く請求項2記載の量子干渉デバイス。
  4. 【請求項4】 前記位相差変化手段は、磁界を前記分岐
    手段に印加する請求項2記載の量子干渉デバイス。
  5. 【請求項5】 前記位相差変化手段は、電界を前記分岐
    手段に印加する請求項2記載の量子干渉デバイス。
  6. 【請求項6】 前記分岐手段は、前記パス間の距離を大
    きくすることで電子波を分岐する請求項1記載の量子干
    渉デバイス。
  7. 【請求項7】 前記パスは直線状に形成され、前記分岐
    手段はパスのサブバンドをフェルミレベルより下にする
    ことで電子波を分岐する請求項1記載の量子干渉デバイ
    ス。
  8. 【請求項8】 前記合流手段は分岐電子波の和と差を合
    成し、前記演算手段は該和と差から揺らぎ無し電流を作
    成する請求項1記載の量子干渉素子。
  9. 【請求項9】 前記合流手段は分岐電子波からボンディ
    ング状態の電流とアンチボンディング状態の電流を合成
    し、前記演算手段は該ボンディング状態とアンチボンデ
    ィング状態の電流から揺らぎ無し電流を作成する請求項
    1記載の量子干渉素子。
  10. 【請求項10】前記演算手段は前記複数種類の電子波に
    OR演算を施すと共にOR演算の出力と複数種類の電子
    波の1つとにAND演算を施し、揺らぎ無し電流を得る
    請求項1記載の量子干渉素子。
  11. 【請求項11】前記演算手段は前記複数種類の電子波の
    和と差の商を作成して、揺らぎ無し電流を得る請求項1
    記載の量子干渉素子。
  12. 【請求項12】以下のステップを有することを特徴とす
    る干渉電流の処理方法:量子構造を有する複数のパスを
    伝搬してくる1つの電子波を複数の量子構造パスに閉じ
    込められた複数の電子波に分岐するステップ;分岐され
    ている複数の電子波を合流して、分岐電子波間の位相差
    に応じて夫々異なるエネルギレベルと異なる大きさを持
    つ複数種類の電子波を作り出すステップ;複数種類の電
    子波の電流を夫々検出するステップ;及び電子波の電流
    の揺らぎに影響されない揺らぎ無し電流を、検出された
    電流から作成するステップ。
  13. 【請求項13】更に、分岐電子波間の位相差を変化させ
    るステップを有する請求項12記載の干渉電流の処理方
    法。
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