JP3148318B2

JP3148318B2 - 反すう動物の飼育方法

Info

Publication number: JP3148318B2
Application number: JP35344191A
Authority: JP
Inventors: 秀志田中; 次夫沖田; 守男二宮
Original assignee: Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
Current assignee: Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
Priority date: 1991-12-17
Filing date: 1991-12-17
Publication date: 2001-03-19
Anticipated expiration: 2016-03-19
Also published as: JPH05168418A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は反すう動物の飼育方法に
関する。さらに詳しくは、飼料と共に家畜に給与せし
め、増体、脂肪交雑、しまり、枝肉格付け等級等の、家
畜の肉質を改善することのできる反すう動物の飼育方法
に関する。

【０００２】

【従来の技術】家畜の健康を維持し、成長を促すために
種々の飼料添加物が用いられている。例えば、通常用い
られている飼料添加物は油粕、魚粉、油脂類、穀物等で
あり、飼料に足りない栄養素を補い、あるいは消化吸収
率を向上させ肥育効果を高めるために用いられている。
また家畜のうち、反すう動物は、第１胃内で飼料を微生
物により分解し、第４胃で消化するが、第１胃内におい
ては微生物の生育を阻害せず、第４胃以降での消化器官
で良好に消化されるような機能性を持たせた飼料添加物
の検討も行われている。

【０００３】この様な飼料添加物として、脂肪酸カルシ
ウム塩による動物の成長促進用飼料添加物又はそれを用
いる飼料（特開昭５８−４７４４２）等が知られてお
り、反すう動物等の家畜の成長を促進し、健康維持に効
果の有ることが報告されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする問題点】諸外国と比べ本邦で
は食肉の嗜好に独特のものがあり、筋肉の中に脂肪が斑
点のように交雑しているいわゆる霜降り肉が好まれる。
この様な肉は柔らかいと同時に適度なしまりも有してい
る。従来知られている飼料添加物は、ただ単に家畜に必
要な栄養素を補助し、あるいは吸収性を高めて家畜の成
長を促すもので、肉質の改善を考慮したものではなかっ
た。例えば従来の飼料添加物では、成長が早く、肉中に
脂肪も蓄積されるが、厚くはっきりとした脂肪の層が現
れ、油身と呼ばれる部分が増加するものであった。脂肪
が蓄積された肉であっても油身は嗜好に合わず、またこ
れが必要以上に現れた肉は、例えば一度冷凍し、再びこ
れを解凍した時に油身の層と筋肉の層とが分離し易くな
るという欠点がある。

【０００５】本発明は上記の点に着目し、なされたもの
で、反すう動物に対し増体効果が有り、脂肪交雑、しま
り、枝肉格付け等を向上し、家畜の肉質を改善する反す
う動物の飼育方法を提供することを目的とする。

【０００６】

【問題点を解決するための手段】本発明者等は上記課題
を解決するため鋭意研究を行った結果、特定の不飽和脂
肪酸の金属塩を、反すう動物に特定期間給与することに
より、反すう動物に増体効果が有ると共に、その肉質を
改善することが出来るを見出し、本発明に至った。

【０００７】即ち本発明は、オレイン酸とリノール酸と
を重量比で、１０〜９０：９０〜１０で含む不飽和脂肪
酸を５５重量％以上含有する高級脂肪酸の金属塩を、月
齢６ヶ月以上の反すう動物に少なくとも３ヶ月間、給与
することを特徴とする反すう動物の飼育方法を要旨とす
るものである。

【０００８】本発明に用いる高級脂肪酸の金属塩として
は、炭素数６〜２２の不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸の金属
塩が挙げられる。不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、
パルミトレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレ
ン酸、リシノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエ
ン酸、ドコサヘキサエン酸、エルカ酸等が挙げられ、飽
和脂肪酸としてはカプロン酸、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられる。

【０００９】本発明において高級脂肪酸の金属塩として
は、反すう動物の肉質を改善するために、重量比にてオ
レイン酸とリノール酸とを１０〜９０：９０〜１０で含
む不飽和脂肪酸を５５重量％以上含有する高級脂肪酸の
金属塩が用いられる。高級脂肪酸の金属塩中の不飽和脂
肪酸の含有量が５５重量％未満の場合、反すう動物に対
してエネルギー源となり肥育効果はあるものの、脂肪交
雑が少なく硬い肉質となり、肉質を改善する効果が期待
できない。高級脂肪酸の金属塩中における不飽和脂肪酸
の含有量は、６５重量％以上であることが好ましく、ま
た不飽和脂肪酸としては、重量比にてオレイン酸とリノ
ール酸とを３０〜７０：７０〜３０で含むものが好まし
く、更に４０〜６０：６０〜４０で含むものがより好ま
しい。

【００１０】高級脂肪酸の金属塩を構成する金属として
はカルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土
類金属が挙げられ、これらのアルカリ土類金属から選ば
れた少なくとも一種が用いられる。本発明に用いる高級
脂肪酸の金属塩はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化
物、または炭酸塩と前記高級脂肪酸とから中和して得ら
れる方法、高級脂肪酸のアルカリ金属塩をアルカリ土類
金属の酸化物、水酸化物、または炭酸塩とで複分解して
得られる方法等の常法に従って製造することができる。
これらの高級脂肪酸の形状は粉状、粒状、ペレット等い
ずれの形状で用いても良く、また高級脂肪酸の金属塩に
他の飼料添加物を配合して用いることもできる。

【００１１】本発明において反すう動物を飼育するに
は、前記高級脂肪酸の金属塩を、月齢６ケ月以上の反す
う動物に少なくとも３ケ月間給与することが好ましく、
さらに反すう動物の仕上期間後期の３ケ月〜１年間給与
することがより好ましくい。この期間に前記高級脂肪酸
の金属塩を給与すると、反すう動物の増体に効果がある
と共に、より肉質の改善に効果が現れ、筋肉部分が柔ら
かで食感が良く、色相、脂肪交雑等の格付け評価が高
く、枝肉部分が増加し、肉質を改善することができる。
反すう動物に対する給与時期が月齢の若い育成期では、
第１胃形成が充分でなく、粗飼料主体の飼料給与が大切
で、本発明品の様な高エネルギーの飼料を給与する必要
は少ない。

【００１２】本発明において反すう動物に前記高級脂肪
酸の金属塩を給与し飼育するには、通常の肥育飼料であ
る、稲ワラ、オーツヘイ、アルファルファ、チモシー等
の乾草類、トウモロコシ、大麦、マイロ、エン麦、ビー
トパルプ、糖蜜、果物、柑橘果実の副産物等の濃厚飼
料、これらを配合した飼料、あるいはこれらにビタミン
類、無機化合物、その他の飼料添加物等を配合した飼
料、市販の配合飼料または混合飼料等に、配合もしくは
振りかけて給与することが好ましい。その給与量は反す
う動物１頭当り、１日に５０〜５００ｇ給与することが
好ましく、５０〜３００ｇがより好ましい。給与量が５
０ｇ未満では本発明の効果が現れるのが少なく、５００
ｇ以上給与しても、増加した量に見合った効果の上昇が
認められず経済的でない。

【００１３】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに
限定されない。

【実施例】

【００１４】実施例１オレイン酸３７％、リノール酸４５％、パルミチン酸９
％及びステアリン酸５％、その他脂肪酸４％から成る高
級脂肪酸（不飽和脂肪酸含量８２％）５００Ｋｇを７０
℃に加熱し、これを１３．３％水酸化カルシウム水溶液
１００Ｋｇに、撹拌下、徐々に滴下し、滴下終了後、液
温５０℃で１時間反応した。反応終了後、濾過し、濾過
物を乾燥して上記高級脂肪酸のカルシウム塩を得た。市
販配合飼料（ＴＤＮ７２％、ＣＰ１０％）９Ｋｇ、乾草
（稲ワラ）２Ｋｇに上記カルシウム塩４００ｇを配合し
たものを１頭１日当りの飼料とし、ホルスタイン種去勢
牛１０頭（月齢１３〜１６ケ月）に９０日間給与し、飼
育した。飼育後、屠殺し、「新しい牛枝肉取引規格」
（昭和６２年４月社団法人日本食肉規格協会発刊）によ
り屠体の肉質を評価し、その結果を表−１に示す。

【００１５】実施例２オレイン酸５３％、リノール酸２８％、パルミチン酸９
％、ステアリン酸５％、及びその他脂肪酸５％から成る
高級脂肪酸（不飽和脂肪酸含量８１％）と水酸化カルシ
ウム水溶液を用いて、実施例１と同様に中和し、分離、
乾燥して高級脂肪酸のカルシウム塩を得た。このカルシ
ウム塩５０％に加熱大豆２０％、トウモロコシ粉末２０
％およびアルファルファミール１０％を配合したものを
成形し、１０〜２０ｍｍ×５ｍｍφのペレットを作製し
た。市販配合飼料（ＴＤＮ７２％、ＣＰ１０％）９Ｋ
ｇ、乾草（オーツヘイ）１．５Ｋｇに上記ペレット６０
０ｇを配合たものを１頭１日当りの飼料とし、ホルスタ
イン種去勢牛１０頭（月齢１３〜１６ケ月）に９０日間
給与し、飼育した。飼育後、屠殺し、実施例１と同様に
屠体の肉質を評価し、その結果を表−１に示す。

【００１６】実施例３オレイン酸４１％、リノール酸３４％、パルミチン酸１
６％、ステアリン酸６％及びその他脂肪酸３％から成る
高級脂肪酸（不飽和脂肪酸含量７５％）を用い、実施例
１と同様に製造し高級脂肪酸のカルシウム塩を得た。市
販配合飼料（ＴＤＮ７２％、ＣＰ１０％）９Ｋｇ、乾草
（稲ワラ）２Ｋｇに上記カルシウム塩２００ｇを配合た
ものを１頭１日当りの飼料とし、ホルスタイン種去勢牛
１０頭（月齢１２〜１５ケ月）に１８０日間給与し、飼
育した。飼育後、屠殺し、実施例１と同様に屠体の肉質
を評価し、その結果を表−１に示す。

【００１７】実施例４オレイン酸４１％、リノール酸２７％、パルミチン酸２
０％、ステアリン酸１０％及びその他脂肪酸２％から成
る高級脂肪酸（不飽和脂肪酸含量６８％）を用い、実施
例２と同様に金属塩化した後ペレット化した。市販配合
飼料（ＴＤＮ７２％、ＣＰ１０％）９Ｋｇ、乾草（オー
ツヘイ）１．５Ｋｇに上記ペレット２００ｇを配合たも
のを１頭１日当りの飼料とし、ホルスタイン種去勢牛１
０頭（月齢１１〜１４ケ月）に２７０日間給与し、飼育
した。飼育後、屠殺し、実施例１と同様に屠体の肉質を
評価し、その結果を表−１に示す。

【００１８】比較例１市販配合飼料（ＴＤＮ７２％、ＣＰ１０％）９Ｋｇに乾
草（稲ワラ）２Ｋｇを配合したものを１頭１日当りの飼
料とし、ホルスタイン種去勢牛１０頭（月齢１３〜１６
ケ月）に９０日間給与し、飼育した。飼育後、屠殺し、
実施例１と同様に屠体の肉質を評価し、その結果を表−
１に示す。

【００１９】比較例２オレイン酸２８％、リノール酸５％、パルミチン酸４５
％、ステアリン酸１８％及びその他脂肪酸４％から成る
高級脂肪酸（不飽和脂肪酸含量３３％）と水酸化カルシ
ウム水溶液を用いて、実施例１と同様に中和し、分離、
乾燥して高級脂肪酸のカルシウム塩を得た。市販配合飼
料（ＴＤＮ７２％、ＣＰ１０％）９Ｋｇ、乾草（オーツ
ヘイ）１．５Ｋｇに上記カルシウム塩３００ｇを配合た
ものを１頭１日当りの飼料とし、ホルスタイン種去勢牛
１０頭（月齢１３〜１６ケ月）に９０日間給与し、飼育
した。飼育後、屠殺し、実施例１と同様に屠体の肉質を
評価し、その結果を表−１に示す。

【００２０】

【表１】

【００２１】

【発明の効果】以上説明した様に、本発明は反すう動物
の飼育方法であり、特定の高級脂肪酸の金属塩を飼料に
配合して、反すう動物に一定期間給与することにより、
反すう動物を増体すると共に、その脂肪交雑、シマリ、
枝肉格付け等級等の肉質を改善し、得られる食肉の価値
を高める等の効果を発揮する。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】オレイン酸とリノール酸とを重量比で、
１０〜９０：９０〜１０で含む不飽和脂肪酸を５５重量
％以上含有する高級脂肪酸の金属塩を、月齢６ヶ月以上
の反すう動物に少なくとも３ヶ月間、給与することを特
徴とする反すう動物の飼育方法。