JP3148038B2 - ヘール加工方法および装置 - Google Patents

ヘール加工方法および装置

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JP3148038B2
JP3148038B2 JP04387493A JP4387493A JP3148038B2 JP 3148038 B2 JP3148038 B2 JP 3148038B2 JP 04387493 A JP04387493 A JP 04387493A JP 4387493 A JP4387493 A JP 4387493A JP 3148038 B2 JP3148038 B2 JP 3148038B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワークのヘール加工を
高精度に、かつ自動的に遂行可能なヘール加工方法と装
置に関し、また、そのヘール加工に用いるヘール加工々
具の改良構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、金型等のワークでは平面形状の被
加工面に加えて、直線溝のみならず、閉曲線に沿う溝加
工、或いは下り勾配面を含んだ加工面や隆起した中高曲
面又は窪んだ中低曲面を含んだ複雑な加工面の場合にも
ヘール加工を適用する提案が既に成されている。そし
て、このヘール加工に利用するヘール加工々具として
は、Z軸まわりに回転するC軸を有する工作機械の工具
保持軸に装着されてワークの加工面に切削加工を施す切
削工具として、弾性変形支点を切削刃の上方域に形成す
るスリットを有したヘールバイト形の切削工具が用いら
れる。すなわち、このヘールバイト形切削工具は、C軸
の軸心と一致した軸心を有するホルダと、そのホルダの
先端に上記軸心を含む平面として形成した切削刃の取付
面に所望形状のヘール切削刃を所定の固定手段で固定
し、上述の弾性変形支点は、切削進行方向に見て切削刃
取付面の前方領域に配設し、以て切削反力を弾性的に吸
収することにより、切削加工反力を一定変動内に抑制
し、又かじりや食い込みを防止しつつヘール切削刃を所
定の軌跡に沿ってワークに対して相対的に進行せしめる
ことによって切削加工作用を進行させるように構成され
ており、同ヘールバイト形切削工具が既に、例えば、本
出願人の出願に係る実願平3−74976号において提
案、提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、上述した
ヘールバイト形切削工具を用いてワークのヘール加工を
遂行する過程で、切削加工反力に応じて同工具のホルダ
が弾性変形支点を中心にして弾性変形することにともな
ってヘール切削刃の刃先が変位するために、ワークに対
する実質的な切込み量が不明になる。このために、ワー
クを目標寸法値までヘール加工する過程で、加工深さを
作業者が逐次、測定して切削不足量を再加工する等の人
的介在を伴う補正処理が必要になり、煩瑣であると共に
加工能率の向上が充分に得られない問題点がある。
【0004】また、上述したヘール切削刃の刃先変位
は、ヘール加工々具の送り方向においても、刃先位置の
遅れが発生し、曲線溝の加工等においては、ワーク加工
面上における刃先位置の制御とC軸回転の制御との同期
性にずれが生じて加工精度に影響を与える場合がある。
【0005】更に、ヘール加工過程で、ヘール加工々具
の切削刃に弾性変形では吸収し得ない過負荷が掛かった
とき等の予測不可能な事態が発生したときには、その発
生を迅速に検出して機械側にフィードバックする機能が
未だ備えられていないために究極的にヘール加工々具の
ホルダや切削刃の破損を来す等の不利がある。
【0006】依って、本発明の主たる目的は、上述した
従来のヘール加工にともなう問題点を解消することにあ
る。本発明の他の目的は、ワークのヘール加工における
自動化を図ると共に、加工能率の向上と、加工プログラ
ムに従うヘール加工の高精度化が可能なヘール加工方法
と装置とを提供せんとするものである。
【0007】本発明の更に他の目的は、ヘール加工々具
の構造をより改善することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の発明目的を達成す
るに当たり、本発明は、ヘール加工々具、特に、そのホ
ルダの変形支点を中心とした弾性変形に伴う切削刃、つ
まり、ヘールバイトの刃先の変位またはそれに呼応して
変位するように設けられた部材の変位データ等を常に測
定する測定手段を設け、この測定手段で得た刃先の変位
データからヘール加工々具の切込み方向および切削送り
方向における理論上の刃先位置を演算により求め、こう
して求めた刃先位置と加工プログラムに従う目標の刃先
位置との差に基づいて加工プログラムに従う加工指令値
を補正手段で自動的に補正し、補正後の加工指令値に従
ってヘール加工々具の切削作用を制御することにより、
ヘール加工の自動化と高精度化を図るものである。
【0009】すなわち、本発明によれば、変形支点を中
心に弾性変形可能なホルダと該ホルダに取付けられたヘ
ール切削刃とから成るヘール加工具を用いたヘール加
工方法において、前記ヘール加工工具の弾性変形支点の
位置を予め求め、前記ヘール加工工具によるワークの切
削加工過程に、前記弾性変形支点を中心とした該ヘール
加工工具の弾性変形にともなう前記ヘール切削刃の刃先
変位に対応した所定の変位を測定し、前記予め求めた弾
性変形支点の位置と前記測定した所定の変位とから前記
ヘール加工工具のヘール切削刃の刃先変位量を演算し、
前記演算した刃先変位量に基づいてワーク加工用NCプ
ログラムの加工指令を補正し、前記補正された加工指令
に従って前記ワークのヘール加工を行うようにしたヘー
ル加工方法が提供される。
【0010】また、本発明によれば、上述したヘール加
工方法の直接の実施に用いられるヘール加工装置が提供
される。
【0011】すなわち、本発明によれば、機械の工具保
持軸に装着され、変形支点を中心に弾性変形可能なホル
ダと該ホルダに取付けられたヘール切削刃とから成るヘ
ール加工工具を用いてワークのヘール加工を行うヘール
加工装置において、予め求めた前記ヘール加工工具の弾
性変形支点の位置データを記憶する記憶手段と、前記ヘ
ール加工々具の前記弾性変形支点を中心とした弾性変形
にともなう前記ヘール切削刃の刃先変位に対応した所定
の変位データを測定する変位測定手段と、前記記憶手段
に記憶された弾性変形支点の位置データと前記変位測定
手段で測定された所定の変位データとから前記ヘール加
具のヘール切削刃の刃先変位量を所定の演算式に基
づいて演算する演算手段と、前記演算手段によって演算
した刃先変位量に基づいて、前記機械のワーク加工NC
プログラムに従う加工指令を補正する補正手段と、を具
備して構成され、補正後の加工指令に従って前記機械の
送り機構を介して前記ヘール加工具を制御するヘール
加工装置が提供される。
【0012】
【0013】
【作用】上述の本発明によるヘール加工方法と装置によ
れば、ワークのヘール加工を、弾性変形支点を中心に弾
性変形可能なホルダと該ホルダに取付けられたヘール切
削刃とから成るヘール加工具を用い、NCプログラム
に従う加工指令値に基づいて実行される過程で、ヘール
加工具のヘール切削刃の刃先変位を自動測定し、その
測定値に基づいて加工指令に基づく切込み量と送り量と
を自動的に補正して、目標のワーク加工寸法に達するま
で、ヘール加工が自動的に進行するので高加工能率のも
とで、高精度のヘール加工を実現することができる。
【0014】また、ヘール加工々具は、その軸状ホルダ
に設けられる弾性変形支点、同ホルダの軸線、同ホルダ
に装着されたヘール切削刃の刃先中心との関係が所定の
角度関係および距離寸法を有するように明確に製作条件
を決定可能することが可能であるため、ワークのヘール
加工条件に合致した工具形状を選定、製作することが可
能となるのである。
【0015】以下、本発明の添付図面に示す実施例に従
って更に詳細に説明する。
【0016】
【実施例】図1は、本発明に係るヘール加工方法の実施
に用いられる装置の一実施例における全体的な構成を示
すブロック図、図2は、本発明に係るヘール加工装置に
おいて用いられるヘール加工々具の要部構造を示す断面
図、図3は、本発明に係るヘール加工装置におけるヘー
ル加工々具の刃先中心の変位の測定を、拡大アームを治
具に用いて測定する場合の測定原理を説明する略示機構
の正面図と側面図、図4は、本発明に係るヘール加工々
具の変形支点位置を決定し、かつ、変形支点と刃先中心
までの距離寸法を求める場合の解析原理を説明するため
に同工具の先端部位を誇張して詳示した部分拡大図、図
5は、本発明に係るヘール加工々具とワークとの間の種
々のヘール加工状態を示した略示図、図6は、上記の種
々のヘール加工状態においてヘール加工々具に作用する
モーメントの解析図、図7は、本発明に係るヘール加工
々具における変形支点と刃先中心とを結ぶ直線と工具軸
線との成す角αの変化に応じた刃先変位との関係を計算
に基づいてグラフ化した図である。
【0017】さて、本発明に係るヘール加工方法におい
ては、後で詳述のごとく、ヘール加工々具の刃先変位を
検出して、その検出結果に基づいてヘール加工の加工プ
ログラムによる加工指令を補正し、ワークのヘール加工
々程を、ワークが目標寸法値に達するまで、自動的に進
捗させ得るようにするものであるが、以下においては先
ず、本発明に係るヘール加工方法を実施するための装置
の構成から説明する。
【0018】さて、図1を参照すると、本発明に係るヘ
ール加工方法の実施に用いられる装置は、工作機械MC
の工具保持軸12(図1では点線により後者が前者の要
素であることを示している)に適宜のアーバ14等を介
して装着されるヘール加工々具16を具備している。こ
のヘール加工々具16は、前述した既に提案されている
ヘール加工々具と同様に例えば1つのスリット18が形
成され、弾性変形が可能な軸状ホルダ20と同軸状ホル
ダ20の先端の切削刃取付け面に着脱自在に固定される
ヘール切削刃22を有して構成され、ワークWの加工面
を切り刃の送り移動に伴って切削加工する所謂、ヘール
加工用切削工具として形成されている。このヘール加工
々具16の軸状ホルダ20は実質的に機械の工具保持軸
12の軸心に一致するように装着される中心軸線を有
し、上記スリット18はこの中心軸線を通過して横設さ
れ、かつ、同中心軸線の回りに工具保持軸12からC軸
回転が付与されることにより、ヘール切削刃22はC軸
回転が可能になっている。
【0019】ここで、本発明に係るヘール加工々具16
は更に、ワークWのヘール加工の進行中にヘール切削刃
の刃先に作用する加工反力に従って軸状ホルダ20の軸
線に関してヘール加工の進行方向前方側で同ホルダ20
の内部又は外部にある変形支点Fを中心に上述のごとく
弾性変形を行って切り刃の食い込み等がない安定したヘ
ール加工を遂行するが、このとき、同変形支点Fを中心
にした弾性変形に伴うヘール切削刃22の変位を検出す
る構成を具備しているのである。
【0020】即ち、本発明に係るヘール加工々具16
は、軸状ホルダ20の中心に形成した貫通孔中に挿設し
た検出アーム24を備え、この検出アーム24は下端
が、スリット18を貫通して軸状ホルダ20に一体形成
構造またはねじ係合構造により止着され、また上端は、
同軸状ホルダ20の貫通孔中を延びてアーバ14の下端
に形成された凹孔14a中に突出している。従って、軸
状ホルダ20の弾性変形時には同検出アーム24の上端
も変位し、同検出アーム24の上端に近接したアーバ1
4の部分に取付けられた例えば、近接センサからなる変
位センサ26により上記アーム上端の変位が検出される
構成となっている。つまり、ヘール切削刃22の刃先の
変位を、検出アーム24を介して検出することができる
ようになっており、検出アーム24と変位センサ26と
により、刃先変位検出手段を構成しているのである。
【0021】なお、上記の変位センサ26は、アーバ1
4に取付けられた信号送信器28に適宜の信号線を介し
て接続され、この信号送信器28から送出される検出信
号が機械の工具保持軸12に装着された信号受信器30
に有線または必要に応じて無線で送信され、この送信器
30から更に、外部へ検出信号を送出可能に形成されて
いる。上記の機械の工具保持軸12のC軸回転がヘール
加工上から必須の場合には無線により送受信器28、3
0間を結線し、信号線の絡みの発生を排除する構成とす
ることが望ましい。
【0022】さて、変位センサ26により検出されるヘ
ール加工々具16の切削刃22の刃先変位の検出信号
は、本発明により設けられるヘール加工制御装置32へ
送出される。このヘール加工制御装置32は、メモリ手
段34、演算手段36、制御手段38を具備して構成さ
れ、上記演算手段36は図示されていないインターフェ
ースを介して受信器30に接続され、同様に、制御手段
38は、同じく図示されていないインターフェースを介
して工作機械MCを制御する周知のNC装置NCに接続
されている。そして、上記の刃先変位の検出信号が、演
算手段36に入力されると、メモリ手段34に予め設
定、記憶された後述の既知量と演算式とを用いて演算を
行い、ヘール加工々具16のヘール加工時に加工反力を
受けて同ヘール加工々具16が変形支点Fを中心に弾性
変形をした場合に、ヘール切削刃22の刃先がヘール加
工の送り方向およびワークWへの切り込み方向に夫々変
位した実際の変位量データを演算し、その演算結果の変
位量データを制御手段38へ送出する。
【0023】このとき、制御手段38は、NC装置NC
からヘール加工のNCプログラムに基づいた加工指令デ
ータを導入し、その加工指令データからワークを所望の
加工寸法にヘール加工するための目標値を取り込む。そ
して、同目標値と演算手段36から送入された変位量デ
ータとの差値を求め、同差値を加工指令データに対する
補正データとして、再びNC装置NCに送出する。故
に、NC装置NCは、補正後の加工指令データに基づい
て工作機械MCの送り動作等を制御する。この結果、工
作機械MCの工具保持軸12に装着されたヘール加工々
具16は、補正後の加工指令データによりヘール加工を
遂行する構成となっている。
【0024】ここで、上述の加工指令データから取り込
まれる目標値は、ヘール加工々具16のヘール切削刃2
2の切り込み方向に見た所要加工量データとヘール加工
の送り方向における許容変位量データとを含んでおり、
従って演算手段36から送られた切り込み方向の変位量
データと前者の所要加工量データとの差値から加工残量
を求められ、また送り方向の変位量データと後者の許容
変位量データとの差値からヘール切削刃22に掛かる負
荷が所定の負荷値を越えているか否かを判断するための
限界データを求めることができ、求めた両者の差値から
加工指令データに対する補正データを作成してNC装置
NCへ送出するのである。
【0025】なお、上述した加工指令データの補正は、
ヘール加工々程の間に時々刻々と自動的に繰り返されて
おり、従って、ワークWに対するヘール加工方式による
切削加工が目標加工寸法に向けて自動的に、かつ、継続
的に進行するのである。次に、図2の部分拡大図に説明
の便宜上から実際より誇張して図示した原理図を参照し
て、ヘール加工々具16の刃先が加工反力を受け、変形
支点Fを中心にして弾性変形した場合に発生する刃先の
変位量の検出原理を説明する。
【0026】図2から明らかなように、本発明において
は、刃先変位量の検出を変位センサ26によって、ヘー
ル加工々具16の内部に装着したアーム24の変位量の
検出を介して行う構成が設けられている。即ち、アーバ
14の凹所14a内に突出しているアーム24の上端
は、通常、変位センサ26の検出先端に接近した位置に
配設され、かつ、変位センサ26は、加工反力を受けた
ヘール加工々具16が変形中心Fを中心として弾性変形
すると、アーム24の上端が上記検出先端から遠ざかる
方向に変位するように予め変位センサ26は設けられて
いる。ヘール加工の進行方向は図2に矢印Hで示してあ
る。
【0027】いま、図示のごとく、刃先変位の検出に必
要なパラメータを下記のように定める。 (1) ヘール加工々具16の弾性変形の変形支点Fとア
ーム24の上端の被検出中心までの距離寸法:L (2) ヘール切削刃22の刃先中心から変形支点Fまで
の距離寸法:l (3) 変形支点Fを中心に弾性変形した場合に、ヘール
加工々具16の中心軸線16Aが中心線16Bの位置ま
で変位したときに、アーム24の被検出中心が変位セン
サ26により検出される変位量:δs (4) 上記中心軸線16Aが16Bの位置まで変位した
場合の変位角度:θ (5) ヘール切削刃22の刃先中心と変形支点Fとを結
ぶ直線とヘール加工々具16の中心軸線16Aが成す角
度:α 上述のようにパラメータを設定すると、弾性変形に伴う
ヘール加工々具16の中心軸線16Aの変位角度θは、
次式で表される。
【0028】 θ=tan- 1( δs/L) …………(1) 従って、δsを検出値とし、距離寸法Lが既知データで
あれば、変位角θは、上記の(1)式から求められる。こ
こで、ヘール加工々具16が用いられる際に、各ヘール
加工々具16の弾性変形の変形中心点Fの位置は不明で
あるため、治具を用いることにより、実測データを求
め、該求めた実測データから演算により求めることがで
きる。
【0029】すなわち、図3は、上記の実測治具として
ヘール加工々具16の変位を相似的に拡大して測定可能
な拡大アーム50を用いた例を示している。上記拡大ア
ーム50はL字形に形成された直交配置の2本のアーム
52、54を有しており、実測に当たっては、アーム5
4をヘール加工々具16のヘール切削刃22の正面に当
接させて同切削刃22の変位が拡大アーム50に再現さ
れるように取付け、設定し、また、アーム52はヘール
加工の送り方向に見て後方側に延長するように配置させ
ておく。このような状態でヘール加工々具16のヘール
加工を進捗させると、同工具16が加工反力を受けて弾
性変形することに伴って拡大アーム50も図3(a)に
アーム52、54として示した原位置からアーム5
2’,54’と略示した位置へ変位する(実際の変位量
はミクロン単位の変位に過ぎないが説明の便宜上から誇
張して図示れさている)。
【0030】このとき、拡大アーム50の各アーム5
2、54において、両者の交点DもE点として示す位置
に変位、移動することは言うまでもない。そして、拡大
アーム50の原位置において、両アーム52、54の交
点Dから予め測定された既知寸法位置に配設した、例え
ば、周知の電子マイクロメータ測定装置等からなる変位
検出器PU1,PU2,PU3の3つの検出器を設け、
ヘール加工々具16の弾性変形に伴って変位した拡大ア
ーム50の各アーム52、54における3つの変位デー
タ、つまり、アーム52が52’の位置まで変位した場
合の2点の変位データと同じくアーム54が54’の位
置まで変位した場合の1点の変位データとの合計3つの
変位データを変位検出器PU1,PU2,PU3で実測
すると、原位置における拡大アーム50の直交する両ア
ーム52、54を2次元座標におけるX軸、Z軸とした
場合の同座標系における各アーム52’,54’を表す
直線式を実測データから求めることができる。
【0031】すなわち、図4は、上述した直線式で表さ
れる2つの直線(A),(B)を求め、それらの直線
(A),(B)の式から、弾性変形の変形支点Fの位置
を幾何学的に求め、その求めた変形支点Fと刃先との距
離lを求めるための解析原理図を示している。図4を参
照して説明すると、先ず、直線(A)及び(B)の式
は、変形支点Fを中心にして点Dが点Eに変位した場合
の変位角θ(図2の変位角θと基本的には同じ値であ
る)に関し、 Z=−1/tanθ・X+C …………(2) Z=tanθ・X+B …………(3) と定義される。
【0032】他方、変形支点Fとヘール加工々具16の
刃先までの距離を既述のようにl、また、図2に示した
角度αを導入すると、拡大アーム50の交点Dが変位し
た点Eの座標値E(a,b)は、 a=l〔sin(α+θ) −sinα] …………(4) b=l〔cosα−cos(α+θ) ] …………(5) となることは自明である。
【0033】然るに、点Eは、直線(A),(B)上に
在るから、(4),(5)式の値を、夫々(2)式と
(3)式に導入すると、上記直線(A),(B)が、夫
々、Z軸と交叉する点BおよびCの座標値が得られる。
ここで、実際の切削加工時の刃先の変位量に就いて考え
る。実際の変位角θは非常に微小量であるので、刃先
は、Z軸方向には変位せず、X軸方向にのみ変位したと
近似的に考え、直線(B)のX軸との交点のX座標をX
軸方向の変位量δxとする。同様に、刃先は、X軸方向
には変位せず、Z軸方向にのみ変位したと近似的に考
え、直線(A)のZ軸との交点のZ座標をZ軸方向の変
位量δzとする。つまり、図4において、無負荷時に点
Dにあった刃先は、切削時に点D’で示す位置に変位し
たと考え、その点D’のX座標値δx(送り方向変位)
およびZ座標値δz(切込み方向変位)は下式のように
定義される。 δx=l〔tanθ〔cosα−cos(α+θ)]+sin(α+θ) −sinα〕 ………(6) δz=l〔cosα−cos(α+θ) −tanθ〔sin( α+θ) −sinα〕〕 ………(7)
【0034】ここで、図4を更に詳細に参照すると、ヘ
ール加工々具16が弾性変形の変形支点Fを中心に変位
したとき、拡大アーム50の交点Dが点Eに変位した場
合の変位角θは、結局、同アーム50の一方のアーム5
4(直線Bに相当)が変位した変位角θと同一角度であ
る。故に、幾何学的に図4における点D,E,Cの三点
を通る円上に支点Fは存在することになり、かつ支点F
と点Dおよび点Eとを結ぶ直線は、何れもアーム54に
相当するから、点D,E間を結ぶ直線の二等分線と上記
円との交点が、変形支点Fの位置であると幾何学的に求
めることができる。
【0035】然るに、この場合の拡大アーム50の変位
角θの実際値は、アーム52がアーム52’で示す位置
に変位した際に、変位検出器PU1,PU2で実測した
値、つまり直線(A)の勾配として求めた値が上述した
式(3)の係数tanθに相当することから、この場合
の変位角θはそのtan-1値として実際値を求めること
ができる。
【0036】こうして弾性変形の変形支点Fの位置の実
際値を求めることにより、同変形支点Fとヘール切削刃
22の刃先点との間の距離l、従って角度αの実際値を
得ることができるのである。故に、この実際値l,αを
式(6),(7)に導入すると、ヘール加工々具16の
ヘール切削刃22の刃先変位、つまりヘール加工の送り
方向の変位δxと切込み方向の変位δzとは角度θの関
数として得ることができる。
【0037】ここで、式(1)を参照すると、一般的な
変位角θに関して、角度θ=tan- 1(δs/L) が成
立している。依って、1つのヘール加工々具16の弾性
変形の変形支点Fの位置が上述のように、明らかに成っ
た結果、距離Lは変形支点Fと検出アーム24の上端中
心との間の距離寸法として演算することが可能であるか
ら既知量となり、また、δsは、図2のアーバ14に保
持された変位センサ26の検出値として得られるから、
種々のδsに関して種々の変位角θの値を演算で求める
ことができる。従って、そのようにして演算で求めた変
位角θを都度、式(6),(7)に代入して送り方向の
刃先変位δx、切込み方向の刃先変位δzを演算で求め
ることが可能となる。
【0038】ここで再度、図1を参照すると、ヘール加
工制御装置32の演算手段36にはアーム24の変位検
出値δsが送受信器28、30を介して入力されるの
で、予め、メモリ手段34に上述した演算式(1),
(6),(7)および拡大アーム50を用いて実測する
ことにより得た弾性変形の変形支点Fの位置データ、変
形支点Fとアーム24の上端中心位置との距離L、変形
支点Fとヘール切削刃22の刃先中心との距離l等の既
知データを記憶させておくことにより、同演算手段36
が自動的に演算を実行し、制御手段38において、演算
値と加工指令からの目標値との差値を求めてNC装置N
CのNCプログラムに基づく加工指令データを時々刻々
と補正することができるのである。
【0039】斯くして本発明に係るヘール加工方法およ
び装置は、ワークWのヘール加工過程で時々刻々と加工
プログラムに基づく加工指令データを補正をしながら、
目標のワーク加工寸法が得られるまで繰り返しヘール加
工を遂行するから、作業者による人的な作業の介在がな
いまま、ヘール加工工程が進展し、自動化による加工能
率の向上が得られると同時に、作業者が切込み深さを測
定しながらヘール加工を進捗させる場合に比較して加工
指令データに基づく目標値と、微小な刃先変位を長尺の
変位検出用のアーム24、変位センサ26等を備えた刃
先変位検出手段で一旦、拡大して得た測定データを介す
ることにより高精度化した刃先変位測定データとに基づ
き、しかも自動演算により目標加工寸法に対する差値を
見出しながらワークのヘール加工を遂行するから、加工
精度の著しい向上も達成することができるのである。
【0040】なお、ヘール加工々具16の送り方向にお
ける変位データは、ヘール加工々具16を機械の工具保
持軸12からC軸回転駆動力を得て複雑な軌跡路に沿っ
て溝加工を行う場合等に、ヘール切削刃22の刃先位置
とC軸回転の付与時期とのタイミングを、上記の演算で
求めた送り方向の変位データで補正し、以て、所望の軌
跡路を正確にヘール加工々具16が辿りながらヘール加
工を進展させ得るからC軸回転を含むヘール加工の場合
の精度も高精度化させることが可能となる。しかも、送
り方向の刃先変位は、ヘール切削刃22の先端に掛かる
負荷に応じて変動することから、同刃先変位が所定の許
容変位値まで達したとき、刃先には過負荷が掛けられて
いるものとして、ヘール加工制御装置32の演算手段3
6から得られる演算値に基づき、ヘール加工過程に過負
荷状態が発生したとき、アラーム信号を発し、ランプの
点灯、ブザーの鳴動等により過負荷状態を警報するアラ
ーム処理を行うことも可能である。
【0041】さて、上述のようにワークのヘール加工に
用いられるヘール加工々具16は、図1に図示のごと
く、工作機械の工具保持軸12に装着されてワークWの
加工面をヘール切削刃22が送り方向に進行することに
より、ヘール加工を遂行する。ここで、ワークWのヘー
ル加工に当たっては、加工反力を受けてヘール切削刃2
2が切削作用を行う過程で、その刃先がワークWに食い
込みを起こすような切削作用状態、切り込み時に過大な
食い込み力が作用する状態、加工反力の変化に伴って刃
先が単にワークWの加工面を倣うように移動して切削作
用がなされない状態等は回避されなければならない。つ
まり、ヘール加工々具16が変形支点Fを中心にして弾
性変形をしながら、ヘール加工を進行させる過程で、そ
の弾性変形は、常に、上述の三状態の発生を回避するよ
うに生起しなければならないのである。依って、ヘール
加工々具16の弾性変形の変形支点Fの位置が適正に選
定されなければならないのである。
【0042】ここで、ヘール加工の切削作用工程を更に
詳細に検討すると、ヘール加工々具16のヘール切削刃
22は、加工開始時に、ワークWの加工面に向けて刃先
を押し当てられ、次いで切り込み方向に適正量の送りを
付与され、その後、所望の切削送り方向に送りを与えら
れることによって、ワークWの加工面から切屑を発生さ
せながら切削を行う場合や、加工開始時に、ワークWの
端面に適正量の切り込みを付与された状態で突き当て、
その突き当て状態から切削送り方向へ刃先を送り動作さ
せることによって、同じくワークWの加工面から切屑を
発生させながら切削を行う場合等がある。
【0043】従って、これらのヘール加工の切削作用工
程でヘール切削刃22の刃先に作用する加工反力の作用
状態を分析すると、図5に示すように種々の加工反力作
用状態に分析することができる。すなわち、図5(a)
は、ヘール切削刃22の刃先はワークWの加工面に単に
押し当てられた状態で、この状態では、加工反力Fc
は、刃先押し当て方向と逆向きの反力Fpが作用してい
る。
【0044】図5(b)は、ヘール切削刃22の刃先は
ワークWの加工面に押し当てられ、かつ、切り込み送り
を付与しても切屑を発生させることなく,単に、送り方
向に送り動作している、つまり、実質的には切削がなさ
れず、単に、加工面を倣って滑り移動している場合であ
り、この状態では加工反力Fcは押し当て方向と逆向き
の成分Fpと摩擦力Ff(=μ・Fp,μ:摩擦係数)
との合力として斜め方向に作用している(作用角度θ
a)。
【0045】図5(c)は、ヘール切削刃22は、ワー
クWの加工面を滑ることなく、切屑を発生させながら正
常な切削状態を進行させている状態である。このとき、
ワークWの加工面から作用する加工反力は、上記の図5
(b)のように加工面を倣って移動する場合と異なって
大きな力となり、ヘール切削刃22の送りに伴いワーク
Wの加工面との間には摩擦力も発生しているから、加工
反力Fcは斜め方向に作用する(作用角度θaが大き
い)。
【0046】ここで、図6を参照すると、一般的に、加
工反力Fcがヘール切削刃22の刃先に作用角度θaで
作用する切削状態で、ヘール加工々具16のホルダ20
は変形支点Fを中心に弾性変形をする場合を図示してい
る。このとき、図2と同様に変形支点Fとヘール切削刃
22の刃先中心との距離をl、同工具16の軸線に対し
て支点Fと刃先中心とを結ぶ線が成す角度(変形中心
角)をαとする。この状態下で加工反力Fcが刃先に作
用した場合のモーメントMを考察すると、以下の式が成
立する。
【0047】 M=Fc・l・sin(α+θa) …………(8) この(8)式を前述した図5(a)〜(c)に夫々適用
して作用するモーメントを求めると、図5(a)の状態
のモーメントMa=Fc・l・sinα …(9)、θ
a =0である。
【0048】図5(b)の状態のモーメントMb=Fc
・l・sin(α+θa) …(10)、θa =θf (
θf:摩擦角) である。図5(c)の状態のモーメントM
c=Fc・l・sin(α+θa)…(11)である。
【0049】つまり、いま、変形中心角αの変化に対す
る上記の各モーメントMa,MbおよびMcを考察する
と、図5(a)の押し付け状態では、変形中心角αが大
きい場合には、(9)式からモーメントMa発生してヘ
ール切削刃22は軸状ホルダ20と共に弾性変形をして
衝撃を和らげる作用を行うが、αが限りなくゼロ値に近
づくとモーメントMaは0値に接近する。つまり、加工
反力Fcは押し付け力の増大に伴って、過大な切り刃の
食い込みが生ずると共にそのまま逆向きの反力をヘール
切削刃22に作用させるので、同刃は大きな反力Fcが
所定の限界を越えたとき、破損を起こす危惧がある。つ
まり、変形中心角αが0値より大きな適当な角度を有す
ることが条件となる。
【0050】ここで、ヘール切削刃22を装着した軸状
ホルダ20に就いて種々の変形中心角αに就いて実験を
行ったところ、αは、少なくとも10°より大きく、好
ましくは15°以上が好ましいと言うことが判明した。
また、モーメントMaが生じて弾性変形が生じるために
は、(9)式から適正長さの腕lを有することは必須の
条件である。
【0051】次に、図5(b)の倣い滑り状態を考察す
ると、一般的に、ヘール切削刃22による摩擦角度θa
=θfは、10°〜12°の範囲にあることが実験的に
確認されており、従って変形中心角αがヘール加工々具
16の軸線に関して、同工具の送り方向の前方側にあれ
ば、ゼロ値(α=0)の場合でもモーメントMbが発生
し、ヘール加工々具16は、適宜の腕長さlを有するな
ら、(10)式からモーメントMbが生ずるから、弾性
変形機能を発揮することは自明である。
【0052】同様に、図5(c)の場合には、加工反力
Fcの作用方向の角度θaは、図5(b)の場合よりも
θaの値は大きく、約50°であることが実験的に確認
された。そして、この場合にも、変形中心角αがゼロ値
(α=0)であってもモーメントMcが発生するからヘ
ール加工々具16は弾性機能を呈することができる。上
述の諸状態を考察すると、変形角αは少なくとも10°
以上であることが望ましいことが理解できる。
【0053】ここで、変形中心角αの上限値がどの程度
であれば良いかを、既述の変形支点Fを中心とした弾性
変形に応じてヘール切削刃22に生ずる刃先変位を根拠
に、つまり、既述の送り方向変位δxおよび切り込み方
向の変位δzを示す式(6),(7)に基づいて計算を
行って考察を行った。
【0054】その結果、図7に示すように、変形中心F
と刃先中心との間の距離lを、実用される所定値20ミ
リメートルに選定し、種々の変形中心角αに対して加工
反力Fcを変動させて場合の刃先の変位を求めた所、縦
軸を切り込み方向の刃先変位量、横軸を送り方向の刃先
変位量に取ったグラフ図が得られた。
【0055】図7に示されたグラフから、種々の変形中
心角αに就いて、加工反力Fcの増加に伴って刃先変位
量は直線的に変化することが判明する。然しながら、送
り方向の刃先変位δxと切り込み方向の刃先変位δzに
関して次のことが判明した。すなわち、送り方向の刃先
変位δx、切り込み方向の刃先変位δzの関係は、 (イ)α>45°の範囲: δz/δx>1 とな
る。 (ロ)α=45°のとき: δz/δx=1 とな
る。 (ハ)α<45°の範囲: δz/δx<1 とな
る。
【0056】上記(イ)の場合には、ヘール加工々具1
6のヘール切削刃22は、加工反力Fcを受け、変形支
点Fを中心とした弾性変形に伴って刃先変位が生じたと
き、切り込み方向の刃先変位δzが送り方向の刃先変位
δxを上回ることを示している。故に、ヘール切削刃2
2の刃先変位は、切り込み方向において大きい傾向を有
するため、加工反力Fcの変化に対して、切り込み方向
の刃先変位に対する影響が大きく、ワークWの加工面形
状に倣ってヘール加工が進行する傾向になる。この結
果、エンドミル等の回転系の切削工具で荒削りされた切
削後の削り残しが残存したワーク加工面をヘール加工す
ると、その削り残しを倣ってヘール加工が進行してしま
い、削り残しが却って漸増するため、好ましい傾向とは
言えない。
【0057】上記(ロ)の場合には、ヘール加工々具1
6のヘール切削刃22は、加工反力Fcを受けたとき
に、切り込み方向の刃先変位δzと送り方向の刃先変位
δxとは略同程度で発生することを示している。従っ
て、削り残しを有したワーク加工面では、やはり削り残
しがそのままの高さで残存する傾向を有し、ワーク加工
面の仕上げ加工にヘール加工を適用することに不向きと
なる。
【0058】上記(ハ)の場合には、ヘール加工々具1
6のヘール切削刃22は、加工反力Fcを受け、変形支
点Fを中心とした弾性変形に伴って刃先変位が生じたと
き、切り込み方向の刃先変位δzが送り方向の刃先変位
δxを下回ることを示している。このため、ワーク加工
面に削り残しを有したワークの仕上げ加工にヘール加工
を適用すると、それらの削り残しを漸減させ、平滑な仕
上げ面を得ることが可能となる。
【0059】以上の考察から、本発明に係るヘール加工
方法および装置の実施に用いるヘール加工々具において
は、その弾性変形の変形支点Fの位置に関して、ヘール
加工の進行方向において軸心の前方に配設される共に、
そのとき、同点Fから刃先中心までの距離lは、弾性変
形を可能にする適正なモーメントを発生させる腕長さを
有し、かつ、変形支点Fに関する中心角度αは、実用性
の面から略10°以上55°以下の範囲にあることが適
正であることが判明した。
【0060】上述の説明から明らかなように、本発明に
係るヘール加工方法の実施に用いられるヘール加工々具
は、工作機械の工具保持軸の軸心と同軸に装着される軸
状のホルダと同ホルダの切削刃取付け面に固定されるヘ
ール切削刃からなると共に、上記の軸状ホルダは所定の
変形支点を中心に弾性変形が可能に形成され、かつ、そ
の変形支点はヘール加工の送り方向においてホルダ軸線
の前方側に配設され、かつ、その支点位置とヘール切削
刃の刃先中心とを結ぶ直線がホルダ軸線となす変位中心
角αが所定の範囲内に選定、設定されるように予め製作
すれば、ワーク加工面を高能率で平滑度の高い、かつ、
高精度の切削加工面にヘール加工することができること
が判明したのである。しかも、このように製作されたヘ
ール加工々具は、加工反力に応じて弾性変形可能な弾性
変形特性を有効に活用してビビリ等のない安定なヘール
切削作用を時々刻々遂行することが可能となるのであ
る。つまり、ヘール加工々具の製作基準を確立すること
ができたのである。
【0061】
【発明の効果】以上、本発明を実施例に基づいて詳細に
説明したが、本発明によるヘール加工方法と装置は、ヘ
ール加工々具の刃先変位を時々刻々検出し、検出した刃
先変位に従ってヘール加工の加工プログラムに基づく加
工指令を補正して目標加工寸法までワークのヘール加工
を自動的に、かつ、高精度に進行させることができるの
である。
【0062】しかも、このヘール加工方法の実施に用い
られるヘール加工々具が最適のヘール加工機能を発揮す
る構造を見出し、その製作基準を決定したので、ワーク
のヘール加工が高精度、高加工能率の下に実施できるこ
とと成ったのである。なお、本発明は、請求の範囲に記
載した必須の構成要件の範囲で種々、改変、変形して実
施可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るヘール加工方法の実施に用いられ
る装置の一実施例における全体的な構成を示すブロック
図である。
【図2】本発明に係るヘール加工装置において用いられ
るヘール加工々具の要部構造を示す断面図である。
【図3】(a)および(b)は、夫々、本発明に係るヘ
ール加工装置におけるヘール加工々具の刃先中心の変位
の測定を、拡大アームを治具に用いて測定する場合の測
定原理を説明する略示機構の正面図と側面図である。
【図4】本発明に係るヘール加工々具の変形支点位置を
決定し、かつ、変形支点と刃先中心までの距離寸法を求
める場合の解析原理を説明するために同工具の先端部位
を誇張して詳示した部分拡大図である。
【図5】本発明に係るヘール加工々具とワークとの間の
種々のヘール加工状態を示した略示図である。
【図6】上記の種々のヘール加工状態においてヘール加
工々具に作用するモーメントの解析図である。
【図7】本発明に係るヘール加工々具における変形支点
と刃先中心とを結ぶ直線と工具軸線との成す角αの変化
に応じた刃先変位との関係を計算に基づいてグラフ化し
た図である。
【符号の説明】
12…機械の工具保持軸 14…アーバ 16…ヘール加工々具 16A…軸線 20…軸状ホルダ 22…ヘール切削刃 24…検出アーム 26…変位センサ 28…送信器 30…受信器 32…ヘール加工制御装置 34…メモリ手段 36…演算手段 38…制御手段 F…変形支点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23Q 15/00 - 15/28 B23D 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変形支点を中心に弾性変形可能なホルダ
    と該ホルダに取付けられたヘール切削刃とから成るヘー
    ル加工工具を用いたヘール加工方法において、 前記ヘール加工工具の弾性変形支点の位置を予め求め、 前記ヘール加工工具によるワークの切削加工過程に、前
    記弾性変形支点を中心とした該ヘール加工工具の弾性変
    形にともなう前記ヘール切削刃の刃先変位に対応した所
    定の変位を測定し、 前記予め求めた弾性変形支点の位置と前記測定した所定
    の変位とから前記ヘール加工工具のヘール切削刃の刃先
    変位量を演算し、 前記演算した刃先変位量に基づいてワーク加工用NCプ
    ログラムの加工指令を補正し、 前記補正された加工指令に従って前記ワークのヘール加
    工を行うようにすることを特徴としたヘール加工方法。
  2. 【請求項2】 機械の工具保持軸に装着され、変形支点
    を中心に弾性変形可能なホルダと該ホルダに取付けられ
    たヘール切削刃とから成るヘール加工工具を用いてワー
    クのヘール加工を行うヘール加工装置において、 予め求めた前記ヘール加工工具の弾性変形支点の位置デ
    ータを記憶する記憶手段と、 前記ヘール加工工具の前記弾性変形支点を中心とした弾
    性変形にともなう前記ヘール切削刃の刃先変位に対応し
    た所定の変位データを測定する変位測定手段と、 前記記憶手段に記憶された弾性変形支点の位置データと
    前記変位測定手段で測定された所定の変位データとから
    前記ヘール加工工具のヘール切削刃の刃先変位量を所定
    の演算式に基づいて演算する演算手段と、 前記演算手段によって演算した刃先変位量に基づいて、
    前記機械のワーク加工用NCプログラムに従う加工指令
    を補正する補正手段と、 を具備して構成され、補正後の加工指令に従って前記機
    械の送り機構を介して前記ヘール加工工具を制御するこ
    とを特徴としたヘール加工装置。
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