JP3147731B2 - 回転電機及びその回転子 - Google Patents

回転電機及びその回転子

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JP3147731B2 JP23643295A JP23643295A JP3147731B2 JP 3147731 B2 JP3147731 B2 JP 3147731B2 JP 23643295 A JP23643295 A JP 23643295A JP 23643295 A JP23643295 A JP 23643295A JP 3147731 B2 JP3147731 B2 JP 3147731B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は回転電機及びその回転子
に係り、特に短絡環の外周部に保持環を有する回転電機
及びその回転子に関する。
【0002】
【従来の技術】回転電機の回転子の一つであるかご形回
転子は、周方向に所定の間隔をもって配置され、かつ、
軸方向に連続的に形成された複数のスロットを外周部に
設けた回転子鉄心を備え、前記複数のスロットには、棒
状の絶縁しない回転子導体が挿入されている。スロット
内に挿入されている複数の回転子導体間は、その両端部
において、短絡環により電気的に接続されている。
【0003】ところで、かご形回転子には、運転時に発
生する熱や回転子の回転による遠心力により生じた歪み
や応力によって回転子鉄心と短絡環との間に径方向の相
対的な変位が生じ、回転子導体に径方向外向きの曲げ応
力が生じることから、従来より、短絡環の外周部に保持
環を設けたり、或いは、生じようとする変位を強制的に
拘束したりして、前記変位を緩和させていた。
【0004】尚、この種の従来の技術としては、特開昭
53−110010号,実開昭56−149535号等に記載されたもの
が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、回転子
鉄心と短絡環との間に生じる径方向の相対的な変位を強
制的に拘束しようとするものでは、回転子の端部に機械
的強度を持つL字状の構造物を追設するため、冷却ファ
ンにより発生した冷却風が短絡環,回転子導体,回転子
鉄心に送風されにくくなり、冷却性能を低下させてい
た。これにより、過大な熱応力が回転子導体に生じてる
という問題があった。また、L字状の構造物の追設によ
って回転電機の構造を複雑なものとし、回転電機の製造
を難化なものとするという問題があった。
【0006】この点、前述した短絡環の外周部に保持環
を設けるものは、上記の問題を生じることがないので、
変位を緩和させるものとして有効である。
【0007】しかし、この手段では、保持環が予め短絡
環に締代によって嵌合され予圧があたえられるので、遠
心力とは逆向きの曲げ応力(径方向内向きの曲げ応力)
が回転子導体に生じてしまう。また、回転電機の停止時
には、短絡環と保持環の荷重により遠心力とは逆向きの
曲げ応力が回転子導体に生じてしまう。
【0008】本発明は、上記の点に鑑みなされたもので
あって、その目的とするところは、回転子鉄心と短絡環
との間に生じる径方向の相対的な変位を緩和させるため
に設けられた保持環によって回転子導体に生じる遠心力
とは逆向きの曲げ応力を緩和できる信頼性の高い回転電
機及びその回転子を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、軸方向
に連続するスロットが周方向に複数形成された回転子鉄
心と、複数のスロットに挿入された回転子導体と、複
の回転子導体間を電気的に接続する短絡環と、短絡環の
外周部に設けられた保持環とを備えてなると共に、回
子導体に生じる互いに異なる方向の応力を緩和させる緩
和手段を回転子導体に設けた回転子を備えたことにあ
【0010】
【0011】ここで、緩和手段は、回転子導体に生じる
回転子の径方向外向きの応力を緩和させる第1の切欠部
と、回転子導体に生じる回転子の径方向内向きの応力を
緩和させる第2の切欠部からなり、第1の切欠部は回転
子導体の外周部、第2の切欠部は回転子導体の内周部に
設けられている。第1及び第2の切欠部は、傾斜面部及
びこの傾斜面部から短絡環の回転子鉄心側端部まで至る
平面部からなる。
【0012】平面部の寸法は50mm乃至150mmに設定
されている。好ましくは50mm乃至100mmに設定され
ている。
【0013】回転子導体に設けられた切欠部は、回転子
鉄心に設けられたスロット内部まで及んでいる。回転子
導体の回転子鉄心の端部から短絡環の回転子鉄心側端部
までの長さは25mm乃至75mmに設定されている。すな
わち平面部の半分の寸法に設定されている。
【0014】また、前記回転子導体に生じる前記回転子
の径方向外向きの応力を緩和させる第1の切欠部と、前
記回転子導体に生じる前記回転子の径方向内向きの応力
を緩和させる第2の切欠部との大きさが異なる。
【0015】
【作用】回転子導体に生じる互いに異なる方向の応力を
緩和させる緩和手段、即ち傾斜面部、及び、平面部とか
らなると共に、前記回転子導体に生じる前記回転子の径
方向外向きの応力を緩和させる第1の切欠部と、前記回
転子導体に生じる前記回転子の径方向内向きの応力を緩
和させる第2の切欠部とからなる緩和手段を、回転子導
体の外周側と内周側に設けることにより、回転機の運転
時に発生する熱や回転による遠心力によって回転子導体
に生じる径方向外向きの曲げ応力と共に、保持環の予圧
や荷重によって回転子導体に生じる径方向内向きの曲げ
応力を緩和させることができる。具体的には、回転子導
体の外周側に設けた第1の切欠部により回転機の運転時
に発生する熱や回転による遠心力によって回転子導体に
生じる径方向外向きの曲げ応力を緩和し、回転子導体の
内周側に設けた第2の切欠部により保持環の予圧や荷重
によって回転子導体に生じる径方向内向きの曲げ応力を
緩和させることができる。
【0016】また、第1,第2の切欠部の平面部を50
mm乃至150mmの寸法で形成したので、回転子導体に生
じる径方向の曲げ応力を8kgf/mm2 以下とすることが
できる。また、平面部の寸法を50mm乃至100mmの範
囲で設定することにより、回転子導体に生じる径方向の
曲げ応力をさらに小さくすることができる。
【0017】また、回転子導体に設けられた切欠部を回
転子鉄心の外周部に設けられたスロット内部まで及ばせ
てるので、回転子導体の周方向の剛性を高めることがで
き、慣性力によるねじり応力に対する強度を高めること
ができる。
【0018】また、回転子導体の回転子鉄心の端部から
短絡環の回転子鉄心側端部までの長さを25mm乃至75
mmとしているので、回転の慣性力やトルク脈動による回
転子導体のねじり振動の固有振動数を上昇させ、ねじり
振動の振幅を小さくすることができる。
【0019】また、回転子鉄心の端部から短絡環の回転
子鉄心側端部までの長さが小さくできるので、回転機自
身のサイズも低減させることができる。
【0020】また、回転子導体に生じる回転子の径方向
外向きの応力を緩和させる第1の切欠部と、回転子導体
に生じる回転子の径方向内向きの応力を緩和させる第2
の切欠部との大きさが異なるので、例えば、短絡環自体
がある程度の強度を持ち保持環への依存が少なく、径方
向外向きの曲げ応力が回転子導体に支配的に働く場合に
は、回転子導体の外周部に設けた切欠部を内周部に設け
た切欠部1よりも長くし、短絡環の強度が小さく保持環
への依存が大きく、径方向内向きの曲げ応力が回転子導
体に支配的に働く場合には、回転子導体の外周側に設け
た切欠部を内周側に設けた切欠部よりも短くすることに
より、効果的に曲げ応力を緩和できる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を用いて
説明する。
【0022】図1は本発明の回転電機である誘導電動機
の縦断面を示した断面図、図2,図3は図1の回転子の
端部付近を拡大した拡大図である。
【0023】図面において、1は上部に冷却通風箱5を
固定した固定子枠4に嵌合された固定子であり、固定子
巻線3を巻回してなる固定子鉄心2を備えている。6は
固定子1の内周部に所定の間隙を介して固定子1と同心
状に配設され、その同心軸上で回転自在な回転子であ
る。回転子6はベアリング13,ブラケット14を介し
て固定子枠4に支持されている回転子軸12に嵌合さ
れ、両側からロータークランプ18により押えられた回
転子鉄心7を備えている。
【0024】回転子鉄心7は、その外周部に、周方向に
所定の間隔をもって配置され、かつ、軸方向に連続的に
形成された複数のスロット8を設けており、この複数の
スロット8には、棒状の絶縁しない回転子導体9が挿入
されている。複数のスロット8内に挿入されている複数
の回転子導体9は、その両端部において、短絡環10に
より電気的に接続されている。
【0025】短絡環10の外周部には、回転機の運転時
に発生する熱や回転による遠心力によって回転子鉄心7
と短絡環10との間に生じる径方向の相対的な変位を緩
和させる保持環11が設けられている。尚、図中符号1
5は、回転子軸12に嵌合された冷却ファンであり、回
転子6の両側に配設され、回転子軸12の回転により回
転し、冷却風を発生させる。
【0026】本実施例の誘導電動機は概略以上のように
構成されており、次に、回転子6の端部付近の構造、特
に回転子導体9の形状について説明する。
【0027】前述したように、短絡環10の外周部に設
けられている保持環11は、回転電機の運転時に発生す
る熱や遠心力によって回転子鉄心7と短絡環10との間
に生じる径方向の相対的な変位を緩和させるために設け
られているが、保持環11は予め短絡環に締代によって
嵌合され予圧があたえられているので、遠心力とは逆向
きの曲げ応力(径方向内向きの曲げ応力)を回転子導体
9に生じさせてしまう。また、回転電機の停止時には、
短絡環10と保持環11の荷重により遠心力とは逆向き
の曲げ応力を回転子導体9に生じさせてしまう。
【0028】このようなことから、本実施例において
は、回転機の運転時に発生する熱や回転による遠心力に
よって回転子導体9に生じる径方向外向きの曲げ応力と
共に、保持環11の予圧や荷重によって回転子導体9に
生じる径方向内向きの曲げ応力を緩和させるために、応
力緩和手段を回転子導体9に設けている。具体的には、
回転子導体9の外周側(固定子1側、又は、回転子鉄心
7の外周側)に回転機の運転時に発生する熱や回転によ
る遠心力によって回転子導体9に生じる径方向外向きの
曲げ応力を緩和させる切欠部16を設け、回転子導体9
の内周側(回転子軸12側)に保持環11の予圧や荷重
によって回転子導体9に生じる径方向内向きの曲げ応力
を緩和させる切欠部17を設けている。
【0029】また、切欠部16,17は、平面状、或い
は、曲面状、或いは、平面と曲面の組み合わせた形状の
いずれかより形成された傾斜面部19と、傾斜面部19
から短絡環10の回転子鉄心7側端部まで連続的に平面
で形成された平面部20とから構成されており、それぞ
れ所定の寸法によって機械加工により形成されている。
【0030】ここで、本実施例においては、所定の寸法
として、傾斜面部19の寸法を20mm、平面部20の寸
法を50mm乃至150mmの範囲に設定した。この寸法は
以下のようにして決定した。
【0031】この点について図4乃至図6を用いて説明
する。図4は回転子導体9に生じる応力を測定するため
の条件図であり、平面部20の寸法をL、傾斜面部19
の寸法をL1 としている。この条件図において、回転子
導体9のつけね部21,つけね部22に作用する応力を
測定するために、まず、つけね部21(回転子導体9と
回転子鉄心7との接触点),つけね部22(回転子導体
9と短絡環10との接触点)の各々の部分にストレンゲ
ージを貼り付ける。そして、傾斜面部19の寸法L1
一定(20mm)にして、平面部20の寸法Lを変化させ
ながら遠心力による曲げ応力、短絡環10の熱延びによ
る曲げ応力を与え、つけね部21に作用する応力(σ
a)、つけね部22に作用する応力(σb)を測定す
る。尚、回転子導体9には、銅材、又は、銅合金材を使
用している。
【0032】このようにして測定した結果、図5及び図
6に記載された曲げ応力の測定図が得られた。図5は回
転子導体9に作用した遠心力による曲げ応力の変化を示
した測定図、図6は回転子導体9に作用した短絡環10
の熱延びによる曲げ応力の変化を示した測定図である。
これら測定図から、遠心力による曲げ応力(図5)は、
平面部20の寸法Lが増大するにつれて増大し、これに
相反して、短絡環10の熱延びによる曲げ応力(図6)
は、平面部20の寸法Lが増大するにつれて減少、換言
すれば、平面部20の寸法Lが減少するにつれて増大す
ることが判った。つまり、平面部20の寸法Lが大きす
ぎても小さすぎても回転子導体9に作用する曲げ応力が
大きくなることが判った。
【0033】本実施例においては、図5,図6の測定
図、及び、銅材、又は、銅合金材により形成された回転
子導体9の発生応力を8kgf/mm2 以下にする必要性か
ら、平面部20の寸法Lを50mm乃至150mmの範囲に
設定した。また、回転子導体9に作用する曲げ応力を緩
和させるためには、引張り応力、即ち前述した測定図の
プラスの応力が決め手となることから、回転子導体9に
生じる曲げ応力を緩和させるためには、平面部20の寸
法Lを50mm乃至100mmの範囲に設定するのが好まし
い。
【0034】また、回転子導体9の外周側と内周側とに
設けられた切欠部16,17は、回転子鉄心7の外周面
部に設けたスロット8の内部まで及んでおり、回転子鉄
心7の端部から軸方向に突出している回転子導体9の部
分、即ち回転子導体9の回転子鉄心7の端部から短絡環
10の回転子鉄心7側端部までの部分が所定の寸法にな
るように設定されている。
【0035】ここで、本実施例においては、所定の寸法
として、回転子導体9の回転子鉄心7の端部から短絡環
10の回転子鉄心7側端部までの寸法を、25mm乃至7
5mmの範囲、即ち平面部20の寸法の半分に設定してい
る。このように設定したのは、回転の慣性力やトルク脈
動による回転子導体9のねじり振動(軸方向)の固有振
動数を上昇させ、ねじり振動の振幅を小さくするためで
ある。この点について図7を用いて説明する。
【0036】図7は図4の条件図において回転子鉄心7
の端部から短絡環10の回転子鉄心7側端部までの寸法
をlとし、この寸法lを変化させていった場合における
回転子導体9のねじり振動の固有振動数を示す図面であ
って、横軸に回転子鉄心7の端部から短絡環10の回転
子鉄心7側端部までの寸法l、縦軸にねじり振動の固有
振動数をとっている。この図から、回転子鉄心7の端部
から短絡環10の回転子鉄心7側端部までの寸法が大き
くなるにつれて、回転子導体9のねじり振動の固有振動
数が小さくなっていることが判るであろう。
【0037】従って、回転子導体9のねじり振動の固有
振動数を上昇させるためには、回転子導体9の外周側及
び内周側に設けた切欠部16,17を回転子鉄心7の外
周部に設けたスロット8の内部まで及ばせ、回転子鉄心
7の端部から短絡環10の回転子鉄心7側端部までの寸
法lを小さくすることがよく、本実施例においては、回
転子鉄心7の端部から短絡環10の回転子鉄心7側端部
までの寸法lを回転子導体9のねじり振動の固有振動数
の上昇が著しい25mm乃至75mmの範囲、即ち平面部2
0の寸法の半分に設定した。
【0038】また、本実施例においては、回転子導体9
の外周側に設けた切欠部16と、回転子導体9の内周側
に設けた切欠部17との長さが、図2,図3に示してい
るように、外周側と内周側とで異なっている。
【0039】このうち、図2のものは、回転子導体9の
外周側に設けられた切欠部16が回転子導体9の内周側
に設けられた切欠部17よりも長くなっている。このよ
うな場合は、短絡環10自体がある程度の強度を持ち保
持環11への依存が少なく、径方向外向きの曲げ応力が
回転子導体9に支配的に働く場合に有効である。
【0040】つまり、短絡環10自体がある程度の強度
を持ち保持環11への依存が少ないと保持環11による
予圧が小さくて済み、回転子導体9の初期応力である径
方向内向きの曲げ応力は小さい値となるが、回転子導体
9の径方向外向きの曲げ応力は、回転機の運転時に生じ
る変位に伴って増大し、径方向内向きの曲げ応力よりも
大きな値となる。この2つの応力を緩和させるために
は、大きな曲げ応力値をもつ径方向外向きの曲げに対し
ては、梁として働く部分を長くし、小さな曲げ応力値の
径方向内向きの曲げに対しては、梁として働く部分を短
くすればよい。
【0041】従って、回転子導体9の外周側に設けられ
た切欠部16を回転子導体9の内周側に設けられた切欠
部17よりも長くすればよい。
【0042】一方、図3のものは、回転子導体9の外周
側に設けられた切欠部16が回転子導体9の内周側に設
けられた切欠部17よりも短くなっている。このような
場合は、短絡環10の強度が小さく保持環11への依存
が大きく、径方向内向きの曲げ応力が回転子導体9に支
配的に働く場合に有効である。
【0043】つまり、短絡環10の強度が小さく保持環
11への依存が大きいと保持環11による十分な予圧が
必要となり、予圧による径方向内向きの変位も大きいも
のとなる。これにより、回転子導体9のの径方向内向き
の曲げ応力は大きい値となる。一方、回転機の運転時に
は、保持環11の予圧の効果により径方向外向きの変位
が小さく抑えれ、回転子導体9に生じる径方向外向きの
曲げ応力は小さな値となる。よって、径方向内向きの曲
げ応力は径方向外向きの曲げ応力よりも大きい値とな
る。この2つの応力を緩和するためには、前述と同様
に、大きな曲げ応力値をもつ径方向外向きの曲げに対し
ては、梁として働く部分を長くし、小さな曲げ応力値の
径方向内向きの曲げに対しては、梁として働く部分を短
くすればよい。
【0044】従って、回転子導体9の外周側に設けられ
た切欠部16を回転子導体9の内周側に設けられた切欠
部17よりも短くすればよい。
【0045】以上本実施例によれば、回転子導体9の外
周側と内周側に切欠部16,17を設けたので、回転機
の運転時に発生する熱や回転による遠心力によって回転
子導体9に生じる径方向外向きの曲げ応力と共に、保持
環11の予圧や荷重によって回転子導体9に生じる径方
向内向きの曲げ応力を緩和させることができる。具体的
には、回転子導体9の外周側に設けた切欠部16により
回転機の運転時に発生する熱や回転による遠心力によっ
て回転子導体9に生じる径方向外向きの曲げ応力を緩和
し、回転子導体9の内周側に設けた切欠部17により保
持環11の予圧や荷重によって回転子導体9に生じる径
方向内向きの曲げ応力を緩和させることができる。
【0046】しかも、切欠部16,17を構成する傾斜
面部19の寸法を20mm、平面部20の寸法を50mm乃
至150mmの範囲に設定したので、回転子導体9に生じ
る径方向の曲げ応力を8kgf/mm2 以下とすることがで
きる。また、平面部20の寸法を50mm乃至100mmの
範囲で設定することにより、回転子導体9に生じる径方
向の曲げ応力をさらに小さくすることができる。
【0047】また、本実施例によれば、回転子導体9の
外周側と内周側に設けられた切欠部16,17が、回転
子鉄心7の内部まで及んでいるので、回転子導体9の周
方向の剛性を高めることができる。これにより、慣性力
によるねじり応力に対する強度を高めることができ、本
実施例では回転子導体9の径方向及び周方向の両方向の
強度を高めることができる。
【0048】尚、本実施例においては、回転子導体9の
外周側と内周側に設けた切欠部16,17が回転子鉄心
7の内部まで及んでいるので、回転子導体9と回転子鉄
心7の外周部に設けられたスロット8との間に空隙が形
成されるが、この空隙は、短絡環10の変位によって回
転子導体9が曲げられても回転子導体9の外周側と内周
側に設けた切欠部16,17と回転スロット8の外周側
と内周側に接しない必要十分な空隙幅となっている。
【0049】また、本実施例によれば、回転子導体9の
外周側と内周側に設けられた切欠部16,17が回転子
鉄心7の内部まで及ばせ、回転子鉄心7の端部から短絡
環10の回転子鉄心7側端部までの寸法lを25mm乃至
75mmの範囲、即ち平面部20の寸法の半分に設定した
ので、回転の慣性力やトルク脈動による回転子導体9の
ねじり振動の固有振動数を上昇させ、ねじり振動の振幅
を小さくすることができる。
【0050】また、回転子鉄心7の端部から短絡環10
の回転子鉄心7側端部までの寸法lを小さくさせている
ので、回転機自身のサイズも低減させることができる。
【0051】また、本実施例によれば、回転子導体9の
外周側に設けられた切欠部16と、回転子導体9の内周
側に設けられた切欠部17との長さを異ならせているの
で、例えば、短絡環10自体がある程度の強度を持ち保
持環11への依存が少なく、径方向外向きの曲げ応力が
回転子導体9に支配的に働く場合には、回転子導体9の
外周面部に設けられた切欠部16を回転子導体9の内周
面部に設けられた切欠部17よりも長くし、短絡環10
の強度が小さく保持環11への依存が大きく、径方向内
向きの曲げ応力が回転子導体9に支配的に働く場合に
は、回転子導体9の外周側に設けられた切欠部16を回
転子導体9の内周側に設けられた切欠部17よりも短く
する等、効果的に回転子導体9に生じる径方向の曲げ応
力を緩和させることができる。
【0052】
【発明の効果】以上本発明によれば、回転子鉄心と短絡
環との間に生じる径方向の相対的な変位を抑制するため
に設けた保持環によって回転子導体に生じる遠心力とは
逆向きの曲げ応力を緩和できる信頼性の高い回転電機及
びその回転子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の回転電機である誘導電動機の
縦断面を示した断面図。
【図2】図1の回転子端部の部分を拡大したものであっ
て、回転子導体に設けられた切欠部を説明するための
図。
【図3】図1の回転子端部の部分を拡大したものであっ
て、回転子導体に設けられた切欠部を説明するための
図。
【図4】回転子導体に生じる応力を測定するための条件
図。
【図5】遠心力により回転子導体に作用する曲げ応力を
示した測定図。
【図6】短絡環の熱延びにより回転子導体に作用する曲
げ応力を示した測定図。
【図7】回転子導体のねじり振動の固有振動数を示した
測定図。
【符号の説明】
1…固定子、2…固定子鉄心、3…固定子巻線、4…固
定子枠、5…冷却通風箱、6…回転子、7…回転子鉄
心、8…スロット、9…回転子導体、10…短絡環、1
1…保持環、12…回転子軸、13…ベアリング、14
…ブラケット、15…冷却ファン、16,17…切欠
部、18…ロータークランプ、19…傾斜面部、20…
平面部、21,22…つけね部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長島 英明 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (72)発明者 平田 東助 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (56)参考文献 実開 昭62−159160(JP,U) 実開 平4−35666(JP,U) 実開 昭57−115542(JP,U) 実開 昭57−89349(JP,U) 実開 昭64−2570(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02K 17/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸方向に連続するスロットが周方向に複数
    形成された回転子鉄心と、前記複数のスロットに挿入さ
    れた回転子導体と、前記複数の回転子導体間を電気的に
    接続する短絡環と、前記短絡環の外周部に設けられた保
    持環とを備え、前記回転子導体は、前記回転子鉄心の径
    方向外向きの応力を緩和させると共に前記スロット内部
    まで及ぶ第1の切欠部と、前記回転子鉄心の径方向内向
    きの応力を緩和させると共に前記スロット内部まで及ぶ
    第2の切欠部とを有し、前記第1,第2の切欠部は、前
    記スロット内の傾斜面部及び該傾斜面部から前記短絡環
    の前記回転子鉄心側端部まで至る平面部から構成される
    と共に、前記回転子導体の前記回転子鉄心の端部から前
    記短絡環の前記回転子鉄心側端部までの寸法が前記平面
    部の半分の寸法に設定されていることを特徴とする回転
    電機の回転子。
  2. 【請求項2】軸方向に連続するスロットが周方向に複数
    形成された回転子鉄心と、前記複数のスロットに挿入さ
    れた回転子導体と、前記複数の回転子導体間を電気的に
    接続する短絡環と、前記短絡環の外周部に設けられた保
    持環とを備え、前記回転子導体は、前記回転子鉄心の径
    方向外向きの応力を緩和させると共に前記スロット内部
    まで及ぶ第1の切欠部と、前記回転子鉄心の径方向内向
    きの応力を緩和させると共に前記スロット内部まで及ぶ
    第2の切欠部とを有し、前記第1,第2の切欠部は、前
    記スロット内の傾斜面部及び該傾斜面部から前記短絡環
    の前記回転子鉄心側端部まで至る平面部から構成される
    と共に、前記平面部の寸法が50mm乃至150mmに設定
    され、かつ前記回転子導体の前記回転子鉄心の端部から
    前記短絡環の前記回転子鉄心側端部までの寸法が25mm
    乃至75mmに設定されていることを特徴とする回転電機
    の回転子。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、前記第1の切欠
    部は前記回転子導体の外周部に設けられ、前記第2の切
    欠部は前記回転子導体の内周部に設けられていることを
    特徴とする回転電機の回転子。
  4. 【請求項4】請求項1又は2において、前記第1の切欠
    部と前記第2の切欠部の大きさを異ならせたことを特徴
    とする回転電機の回転子。
  5. 【請求項5】固定子と、該固定子の内周部に所定の間隙
    を介して該固定子と同心状に配設された請求項1乃至4
    いずれかに記載の回転子とを有することを特徴とする回
    転電機。
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