JP3147482B2 - エポキシ化ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents

エポキシ化ポリエステル及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カチオン重合性樹脂、
紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂等の構成成分及び塩化ビ
ニル樹脂用安定剤等に適したエポキシ化ポリエステル並
びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】脂環式エポキシ基を有する化合物は、オ
レフィン系エポキシ基やグリシジル型エポキシ基に比較
してカチオン重合性が高く、カチオン重合性樹脂やカチ
オン重合性の紫外線硬化樹脂に適した材料である。又、
このものは、酸無水物系硬化剤やアミン系硬化剤との反
応性を有することからエポキシ樹脂希釈剤としても広く
使用されている。更には塩化ビニル樹脂の安定剤として
も使用されている。
【0003】かかる脂環式エポキシ基を有する化合物と
しては、これまでにブタジエン、シクロヘキセンカービ
ノール、シクロヘキセンジカービノール、シクロヘキセ
ニルアルデヒド、シクロヘキセンカルボン酸、テトラヒ
ドロ無水フタル酸、ジシクロペンタジエン、シクロペン
タジエン等を原料として様々な化合物が考案されている
が、ほとんどの化合物が1分子中に有する脂環式エポキ
シ基の数は2個以下であり、その分子量は1,000未
満である。
【0004】上記のような脂環式エポキシ化合物は、低
分子量であるために粘度が低く、エポキシ樹脂の希釈剤
として用いた場合に良好な希釈性能を発揮するものの、
得られた硬化物が脆いという欠点がある。又、カチオン
重合性の樹脂原料やカチオン重合性の紫外線硬化樹脂原
料として用いた場合も、分子量が低く1分子中の脂環式
エポキシ基の数が少ないために硬化物が脆く、可撓性に
優れる硬化物が得られないという欠点を有し、硬化物の
耐水性も不十分である。又、塩化ビニル樹脂の安定剤と
して使用したときには、分子量が低いために溶剤抽出性
や移行性が高いという問題がある。更に、かかる化合物
が上記用途に供される場合には屋外で使用される場合も
多く、この場合、材料となる脂環式エポキシ化合物に対
しても耐候性が要求される。しかしながら、これらの問
題を解決できる脂環式エポキシ化合物は今まで知られて
おらず、その出現が強く求められていた。
【0005】一方、本発明者らは、かかるエポキシ化ポ
リエステルの製造方法についても検討を重ねた。これま
でに知られたエポキシ化剤としては過酸化水素がある
が、過酸化水素による高分子量ポリエステルの工業的な
エポキシ化技術は知られていない。これは、(1)過酸
化水素による反応が不均一反応であり、過酸化水素水溶
液層と原料油層との接触が律速となるため、粘度の高い
高分子量のポリエステルでは反応が遅く、(2)通常、
適用される過酸化水素は取扱いの安全対策上、最高濃度
で60%の水溶液であるため、エポキシ化速度が遅い場
合、生成したエポキシ基への水、触媒、助触媒の付加等
の副反応が増大して選択率が低下し、反応系の増粘やゲ
ル化を招来し、(3)水の分層性が低下することにより
水洗等の後処理操作が困難となる等の問題が生じるため
と考えられる。これらの傾向は水酸基を有するポリエス
テルの方が強く、水酸基含有ポリエステルのエポキシ化
は、更に困難とされていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解消し、カチオン重合性樹脂、紫外線硬化性樹脂、エ
ポキシ樹脂及び塩化ビニル樹脂等の構成成分として新規
有用なエポキシ化ポリエステル並びにそれらの工業的な
製造方法を確立することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、特定の構造を有するエ
ポキシ化ポリエステルが所期の目的を達成し得るもので
あることを見い出した。 更に、本発明者らは、かかる
エポキシ化ポリエステルが(1)特定の構造を有するポ
リエステルを(2)特定の溶剤を使用し、特定の弱塩基
性化合物の存在下でエポキシ化する、又は(3)非水系
で過酢酸によりエポキシ化することにより工業的に製造
できることを見い出した。本発明は、かかる知見に基づ
いて完成するに至ったものである。
【0008】本発明に係るエポキシ化ポリエステルは、
一般式(1)で表される二官能性基(以下「エポキシシ
クロヘキサン基」という。)の1種以上を分子内に3個
以上含み、数平均分子量が約1,000〜約10,000
であることを特徴とする。
【化3】 [式中、R1、R2は、同一又は異なって、水素原子又は
炭素数1〜5のアルキル基又はエンドメチレン基を表
す。]
【0009】本発明に係るエポキシ化ポリエステル中に
含まれるエポキシシクロヘキサン基は、1分子内に3個
以上であり、好ましくは3〜50個、より好ましい範囲
は3〜30個の範囲である。3個未満では、このものを
各種の樹脂成分、具体的にはカチオン重合性樹脂組成
物、カチオン重合性光硬化樹脂、エポキシ樹脂組成物等
を構成する成分として適用した場合、その硬化性が不十
分であり、又、塩化ビニル樹脂に対して十分な安定効果
が得られない。
【0010】当該エポキシ化ポリエステルの分子量は、
約1,000〜約10,000、好ましくは約1,000
〜約5,000程度である。1,000未満では光硬化、
酸無水物硬化等の各種の硬化性は良好であるが、得られ
る硬化物は脆く、可撓性が充分ではない。又、塩化ビニ
ル系樹脂組成物の成分として用いた場合において、ブリ
ードや溶剤抽出性や移行性が高く好ましくない。一方、
10,000を越える場合には調製される樹脂組成物の
粘度が高く、溶剤への溶解性が低下し、作業性が低下す
る。
【0011】更に、当該エポキシ化ポリエステルのヨウ
素価は4以下であることが推奨され、より好ましくは
2.5以下である。ヨウ素価が4より大きいエポキシ化
ポリエステルを適用してなるカチオン重合性樹脂、紫外
線硬化樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂用安定剤を
屋外で使用したとき、材料が黄変し耐候性が低下する傾
向がある。
【0012】又、本エポキシ化ポリエステルのオキシラ
ン酸素濃度は、0.5〜10重量%程度であることが好
ましい。
【0013】本発明に係るエポキシ化ポリエステルは、
一般式(2)で表される二官能性基(以下「シクロヘキ
セン基」という。)の1種以上を分子内に3個以上含
み、数平均分子量が約1,000〜約10,000のポリ
エステル(以下「本ポリエステル」という。)をエポキ
シ化することにより、工業的に製造することができる。
【化4】 [式中、R1、R2は、一般式(1)と同じである。]
【0014】上記の本ポリエステルは、シクロヘキセン
基を有する二塩基酸又はその酸無水物(以下「主酸成
分」という。)と多価アルコールとのポリエステル化で
得られる。
【0015】主酸成分としては、一般式(3)で表され
る脂環式二塩基酸及びそれらの酸無水物が挙げられ、具
体的にはΔ4−テトラヒドロフタル酸、3−メチル−Δ4
−テトラヒドロフタル酸、4−メチル−Δ4−テトラヒ
ドロフタル酸、Δ4−ナジック酸、メチル−Δ4−ナジッ
ク酸及びそれらの酸無水物等が例示される。
【化5】 [式中、R1、R2は、一般式(1)と同じである。]
【0016】多価アルコールとしては、炭素数2〜55
の二価アルコール又は炭素数3〜24の三価以上のアル
コールが挙げられる。
【0017】かかる二価のアルコールとしては、例え
ば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレグリコール、プロピレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、キシリレングリコール、ビスフェ
ノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA
のエチレングリコール付加物、水素化ビスフェノールA
のエチレングリコール付加物、ビスフェノールF等が例
示される。
【0018】三価以上のアルコールとしては、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、
ペンタエリスリット、ジペンタエリスリット、ソルビッ
ト、フェノールとホルマリンの低縮合物、クレゾールと
ホルマリンの低縮合物等が例示される。
【0019】又、硬化物の物性を向上させるために他の
二塩基酸、三価以上の多塩基酸及びその酸無水物(以下
「副酸成分」という。)を併用してポリエステル化する
ことも可能であり、更には分子末端の水酸基やカルボン
酸基を封止するために一価の有機酸や一価のアルコール
を併用してポリエステル化することも可能である。
【0020】副酸成分としては、以下の芳香族多価カル
ボン酸及びそれらの酸無水物、並びに脂肪族多価カルボ
ン酸及び脂環式多価カルボン酸及びそれらの酸無水物が
例示され、特に耐候性を重視する用途では飽和脂肪族多
価カルボン酸及び脂環式多価カルボン酸及びそれらの酸
無水物が好ましい。
【0021】かかる芳香族多価カルボン酸は、例えば、
一般式(4)又は(5)で表される。
【化6】 [式中、mは2〜4の整数である。]
【化7】 [式中、l、pは同一又は異なって1〜2の整数であ
り、Xは直接結合するか又は−O−、−S−、−SO
−、−SO2−CH2−、−C(CH32−、−CO
−で表される基を示す。]
【0022】具体的な化合物としては、フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリッ
ト酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ベンゾフェノ
ンジカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン
酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ビフェニルテト
ラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエ
ーテルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボ
ン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホキ
サイド、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
プロパン及びそれらの酸無水物等が例示される。
【0023】脂肪族及び脂環族多価カルボン酸は、例え
ば、一般式(6)で表される。
【化8】 [式中、nは2〜4の整数、R3は炭素数1〜10のア
ルキル基、水酸基、ハロゲン原子を有していても良い、
炭素数1〜36の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素残基
又は炭素数4〜30の飽和の脂環式炭化水素残基を表
す。]具体的な化合物としては、マレイン酸、フマル
酸、マロン酸、コハク酸、ドデセニルコハク酸、グルタ
ル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、ブラシル酸、ドデカン二酸、クエン
酸、イソクエン酸、アコニット酸、酒石酸、ヘキサヒド
ロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキ
サンテトラカルボン酸、トリカルボキシシクロペンチル
酢酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロブタン
テトラカルボン酸、3,5,6−トリカルボキシノルボル
ナン−2−酢酸無水物、ヘット酸、テトラブロモフタル
酸、トリカルバリル酸、ブタンテトラカルボン酸、及び
それらの酸無水物等が例示される。
【0024】一価のアルコールとしては、炭素数1〜2
4のアルコールが例示され、具体例としてはブタノー
ル、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノ
ール、デカノール、イソデカノール、ラウリルアルコー
ル、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ス
テアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられ
る。
【0025】一価の有機酸としては、炭素数1〜24の
カルボン酸が例示され、具体例としてはカプロン酸、カ
プリル酸、2ーエチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オ
レイン酸、リノール酸等が挙げられる。
【0026】必須の構成成分である主酸成分(a)と多
価アルコール(d)、及び必要に応じて併用される副酸
成分(b)、一価の有機酸(c)又は一価のアルコール
(e)の代表的な配合比(モル基準)は、以下のとおり
である。(b)、(c)、(e)の各成分を併用するこ
とにより、生成したエポキシ基に対する水、触媒、助触
媒の付加等の副反応を抑え、更に後処理の水洗工程での
水の分層性低下等の問題を回避することができる。この
ことは、特に水酸基を有するエポキシ化ポリエステルに
おいて重要である。 (a):(b)=100:0〜40:60 [(a)+(b)]:(c)=100:0〜30:70
(好ましくは100:0 〜50:50) (d):(e)=100:0〜20:80(好ましくは
100:0〜40:60) (a):(b)が40:60より低下すると分子中のエ
ポキシシクロヘキサン基の数が低下するため、カチオン
重合性樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニ
ル樹脂用安定剤等に適用した時の性能が低下し問題とな
る。一方、成分(a)、(b)及び(c)に含まれるカ
ルボキシル基に対する成分(b)、(d)及び(e)に
含まれる水酸基は、0.8〜1.5倍当量、好ましくは
0.9〜1.4倍当量である。
【0027】[本ポリエステルの製造:ポリエステル化
工程]当該ポリエステル化は、無触媒でも、又、一般に
使用される適当なエステル化触媒の存在下で行うことも
できる。
【0028】かかるエステル化触媒としては、パラトル
エンスルフォン酸、リン酸、硫酸等のプロトン酸やゼオ
ライト、シリカ、アルミナ等の固体酸、酸化第一錫、有
機錫エステル等の錫化合物、チタネート化合物、アルミ
ニウムアルコラート化合物、酸化亜鉛、酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウム等の塩基性無機化合物等が例示さ
れ、通常、原料の合計重量に対して0.01〜3重量%
程度用いられる。
【0029】エステル化条件としては、所定の効果が得
られる限り特に限定されないものの、通常、反応温度と
しては100〜300℃で、常圧又は減圧下に脱水す
る。脱水に際しては窒素ガスや炭酸ガス等の不活性ガス
を通気するか、キシレン、トルエン、ヘキサン等の共沸
溶剤の還流下で脱水を促進して行うことができる。触媒
を除去してエポキシ化の原料とすることも、触媒を除去
をせずにエポキシ化の原料とすることもできる。
【0030】反応圧力は、他の条件にもよるが、常圧か
ら10mmHgの範囲で行うことが好ましい。
【0031】反応は、通常2〜20時間継続し、所定の
分子量とする。
【0032】本ポリエステルの酸価は、50以下、好ま
しくは30以下であり、ヨウ素価は8〜130程度であ
る。
【0033】本ポリエステルの中でも、特に分子中に水
酸基を有するポリエステルを原料とするエポキシ化ポリ
エステルを適用することにより、カチオン硬化性樹脂、
紫外線硬化性樹脂、エポキシ樹脂に使用した場合、金属
やプラスチックとの接着性が改良され、更にこれらの樹
脂に充填剤や顔料等を使用する場合、その分散性が改良
される。又、顔料や充填剤と樹脂との接着性が改良され
る結果、チョーキングが低減されることにより耐候性が
改良される。又、エポキシ樹脂に用いた場合には硬化性
が改良される。
【0034】一方、分子中に水酸基を有するポリエステ
ルを原料とするエポキシ化ポリエステルは、水酸基と反
応する硬化剤、例えばイソシアネートやシラノールを含
む化合物等を併用する場合にも有効である。
【0035】かかるエポキシ化ポリエステルの原料とな
る水酸基含有ポリエステルは、水酸基当量をカルボキシ
ル基当量より過剰になるように原料組成を選択して仕込
み、上記と同様にエステル化することにより容易に製造
することができる。当該水酸化含有ポリエステルの水酸
基価は、10〜150程度、より好ましくは40〜12
0程度である。
【0036】[エポキシ化工程1:過酸化水素によるエ
ポキシ化工程(過酸化水素法)]上記の工程により得ら
れた本ポリエステルを炭化水素系溶剤及び/又はエステ
ル系溶剤に溶解し、弱塩基性化合物の存在下、エポキシ
化触媒、同助触媒を用いて過酸化水素によりエポキシ化
する。
【0037】上記の溶剤としては、水との相溶性に乏し
いものが好ましく、具体的には、当該溶剤に対する水の
溶解度が20g/100g以下、特に5g/100g以
下であることが望ましい。20g/100gを越える
と、生成したエポキシ基に対する水の付加等の副反応が
増大し好ましくない。
【0038】かかる溶解度を有する溶剤としては、ベン
ゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロ
ピルベンゼン等の炭素数6〜15の芳香族系炭化水素
類、シクロヘキサン、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、
ケロシン等の炭素数4〜30の脂肪族系の鎖状又は環状
炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセ
テート、カルビトールアセテート、アセト酢酸メチル、
アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、フタル酸ジメ
チル、フタル酸ジエチル等の炭素数3〜15のエステル
系溶剤が例示される。
【0039】溶剤の使用量は、本ポリエステルの粘度に
もよるが、通常、本ポリエステルに対して5〜300重
量%程度が好ましい。5重量%未満では高粘度のため反
応速度が充分でなく、300重量%を越えると原料ポリ
エステル濃度の低下により反応速度が低下し、製造コス
トも上がるため好ましくない。
【0040】弱塩基性化合物としては、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリ
ウム等の炭酸塩、メタリン酸、オルソリン酸、ピロリン
酸、ポリリン酸、次亜リン酸のナトリウム塩又はカリウ
ム塩等のリン酸塩、オルソケイ酸、メタケイ酸のナトリ
ウム塩又はカリウム塩等のケイ酸塩、酢酸ソーダ、酢酸
カリウム等の酢酸塩が例示される。
【0041】弱塩基性化合物の添加量としては、原料ポ
リエステルに対して0.05〜3重量%程度が推奨され
る。0.05重量%未満では生成したエポキシ基への水
の付加等による副反応の抑制効果が低く、3重量%を越
えると反応速度が低下するためにヨウ素価の低下が不十
分となり好ましくない。
【0042】エポキシ化触媒としては、蟻酸、タングス
テン酸アルカリ、モリブデン酸アルカリ、Δ1−テトラ
ヒドロ無水フタル酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、モノク
ロル酢酸等が例示される。特に、蟻酸、タングステン酸
ナトリウム、Δ1−テトラヒドロ無水フタル酸等を用い
た場合には副反応を抑え、反応速度を高めることができ
る。
【0043】触媒量は、本ポリエステル中のシクロヘキ
セン基の合計モル数に対して、通常、5〜100モル
%、特に5〜50モル%が好ましい。5モル%未満では
反応速度が遅く、100モル%を越えると生成したエポ
キシ基への水の付加や触媒、助触媒の付加等の副反応が
多くなり好ましくない。
【0044】助触媒の例としては、リン酸、亜リン酸、
次亜リン酸、ホウ酸、硫酸等の鉱酸類、パラトルエンス
ルホン酸、メタンスルホン酸等の有機プロトン酸類、カ
チオン交換型のイオン交換樹脂、酸性ゼオライト等の固
体酸類等が掲げられる。副反応を抑え反応速度を高める
ためには、リン酸、ホウ酸、カチオン交換型のイオン交
換樹脂が好ましい。又、前記した助触媒と前記した弱塩
基性無機化合物とを予め反応して得られる塩を助触媒と
して使用することも可能である。
【0045】かかる助触媒の添加量は、本ポリエステル
中のシクロヘキセン基の合計モル数に対して、通常、
0.3〜10モル%が好ましい。0.3モル%未満では反
応速度が遅く、10モル%を越えると生成したエポキシ
基への水の付加や助触媒の付加等の副反応が多くなり好
ましくない。
【0046】過酸化水素としては市販のものなら何れで
も良いが、濃度は高い方が良く、通常は60%水溶液を
使用するのが好ましい。
【0047】過酸化水素の使用量は、本ポリエステル中
のシクロヘキセン基の合計モル数に対し100〜300
モル%程度が好ましい。100モル%以下ではヨウ素価
が4以下まで低下しにくく、300モル%以上では製造
コストが上昇し不利である。
【0048】弱塩基性化合物、触媒、助触媒及び過酸化
水素の添加の順序は、特に限定されるものではないが、
弱塩基性化合物、触媒、助触媒を添加後、過酸化水素を
滴下して仕込むか又は同時に仕込む方法がよい。
【0049】反応温度としては、40〜90℃程度が好
ましい。40℃以下では反応性が低く、90℃を越える
と生成したエポキシ基への水、触媒、助触媒の付加等の
副反応が多くなり、又、過酸化水素の分解速度も速くな
るため好ましくない。
【0050】反応は、通常、常圧で行うが、必要に応じ
て減圧下又は加圧下で行っても良い。
【0051】反応時間は、通常、1〜15時間程度であ
る。
【0052】反応終了後の後処理は、特に限定されるも
のではないが、例えば、水洗、中和して残存する過酸化
水素を分解後、更に水洗するか、水洗を繰り返した後、
溶剤を留去してエポキシ化ポリエステルを製造すること
ができる。溶剤の除去が必要でない場合には、溶剤で共
沸下脱水することで製品とすることも可能である。又、
必要に応じて濾過を施しても良い。
【0053】水酸基を含む本ポリエステルのエポキシ化
は、基本的に上記方法で可能である。
【0054】[エポキシ化工程2:過酢酸によるエポキ
シ化工程(過酢酸法)]本発明に係るエポキシ化ポリエ
ステルは、本ポリエステルを非水系で過酢酸によりエポ
キシ化することによっても製造できる。具体的には、本
ポリエステルをケトン系溶剤、炭化水素系溶剤、エステ
ル系溶剤及び氷酢酸から選ばれる溶剤に溶解後、過酢酸
によりエポキシ化する。
【0055】当該反応に適用する過酢酸は、いずれの製
造法で製造されたものでもよく、具体的には、AMP
法、気相法、液相法等のアセトアルデヒドの酸化による
過酢酸、過酸化水素のアセチル化による過酢酸等が挙げ
られる。
【0056】過酢酸の使用量は、本ポリエステル中のシ
クロヘキセン基の合計モル数に対し100〜300モル
%が好ましい。100モル%以下ではヨウ素価が4以下
まで低下しにくく、300モル%以上では製造コストが
上昇し不利である。
【0057】更に必要に応じて、本ポリエステルを予め
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン等の炭素数3〜10のケトン系溶剤、前記した炭化水
素系溶剤、前記したエステル系溶剤及び氷酢酸の単独又
は2種以上を適宜組み合わせてなる、好ましくは5〜3
00重量%程度の量の溶剤に溶解した後にエポキシ化を
行う。
【0058】反応温度としては、0〜100℃が好まし
い。0℃以下では反応速度が遅く、エポキシ化ポリエス
テルのヨウ素価を4以下に低下することが困難で、10
0℃以上では副生した酢酸のエポキシ基への付加等の副
反応や過酢酸の分解が多くなるため好ましくない。
【0059】反応は、通常、常圧で行うが、必要に応じ
て減圧下又は加圧下で行っても良い。
【0060】反応時間は、通常、1〜15時間程度であ
る。
【0061】反応方式としては、バッチ法でも多段式連
続法でも適用可能である。
【0062】後処理方法は、特に限定されるものではな
く、一例として減圧蒸留により副生した酢酸や溶剤等の
低揮発分を除去する方法が挙げられる。
【0063】本発明のエポキシ化ポリエステルは、酸無
水物系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物等
の各種硬化剤と硬化可能なエポキシ樹脂の他、カチオン
重合性樹脂、カチオン重合性の紫外線硬化樹脂、塩化ビ
ニル樹脂用安定剤等に適した材料であり、このものは、
良好な耐候性を具備することから屋外用途にも適した材
料となる。
【0064】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。尚、各例における目的物の数平均分子量(Mn)
は、GPCにより求めた測定結果を解析し、ポリスチレ
ン換算により表わしたものである。又、1分子中に含ま
れるシクロヘキセン基の数(X)及びエポキシシクロヘ
キサン基の数(Z)及びエポキシ化時のシクロヘキセン
基の転化率及びエポキシシクロヘキサン基への選択率は
次式に従って算出した。
【0065】
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】 上記各式における記号は、以下のとおりである。 IV[PE] :ポリエステルのヨウ素価 IV[EPE] :エポキシ化ポリエステルのヨウ素価 IV[THPA] :テトラヒドロ無水フタル酸類のヨウ素価 Mn[PE] :ポリエステルの数平均分子量 Mn[EPE] :エポキシ化ポリエステルの数平均分子量 Mw[THPA] :テトラヒドロ無水フタル酸類の分子量 OX-OX :オキシラン酸素
【0066】更に、エポキシ化ポリエステルの特性を以
下の方法により評価した。 [酸無水物による硬化特性]硬化条件 :エポキシ化ポリエステルのエポキシ基に対
し、0.9当量に相当する4−メチルヘキサヒドロ無水
フタル酸を加え、硬化助触媒としてオクチル酸錫をエポ
キシ化ポリエステルに対し1重量配合し、脱泡後、その
20gをJIS2号M16のバネ座金を中央にいれた5
0cm3のポリプロピレン製ビーカー中に入れ、130℃
で10時間、更に150℃で10時間硬化した。Tg :DSCにより測定した。可撓性 :上記硬化物を−20℃のドライアイス−メタノ
ール中にいれた後の剥離、又は亀裂の有無を目視により
観察した。
【0067】[紫外線硬化物の特性]硬化条件 :エポキシ化ポリエステルの50重量%アセト
ン溶液に光硬化のカチオン重合触媒としてトリフェニル
スルホニウムヘキサフルオロフォスフェートをエポキシ
基に対して1モル%溶解し、150×50×0.3mmの
標準試験板(JIS G-3303(SPTE))に50μmの厚さで塗
布し、50℃、3mmHgで2時間乾燥後、紫外線硬化用照
射器(UE011-227-01、アイグラフィックス社製)を用
い、高圧水銀ランプ(1Kw/12.5cm)で4cmの距離で
1分間照射した。ゲル化性 :上記の硬化試験板を50mlのクロロフォルム
に24時間浸漬し、残存する硬化物の程度により評価し
た。耐候性試験 :硬化板をウエザオメーターで500時間テ
スト後の塗膜の黄変の程度を判定した。
【0068】 [軟質塩化ビニル用(PVC)添加剤特性] ポリ塩化ビニル(ゼオン101EP、日本ゼオン社製) 100重量部 ジオクチルフタレート 50重量部 ステアリン酸カルシウム 0.3重量部 ステアリン酸亜鉛 0.2重量部 エポキシ化ポリエステル 3重量部試験片の調製 :上記成分を配合し、二本ロールを用いて
165℃で4分間混練した後、同温度で100Kg/cm2
で10分間プレスして厚さ1mmの無色透明の塩化ビニル
軟質シートを作成した。熱安定性 :上記の試験片を170℃、1時間放置した後
の着色の程度を目視にて観察した。耐ブリード性 :上記の試験片を流水中に浸漬した後の白
化の程度を目視にて観察した。
【0069】製造例1 Δ4−テトラヒドロフタル酸無水物(以下「THPA」
と略記する。)608g(4モル)、1,4−ブタンジ
オール270g(3モル)、2−エチルヘキサノール2
86g(2.2モル)に触媒として酸化第一錫を原料の
総重量に対し0.05重量%、キシレン3重量%をフラ
スコに仕込み、160から210℃までキシレンの共沸
脱水下、760〜450mmHgの条件で10時間反応し、
酸価0.5のポリエステルを得た。キシレンを留去後、
水酸化ナトリウムで中和し、水洗、脱水、濾過の工程を
経て酸価0.1、水酸基価10、ヨウ素価91.5、Mn
1,200のポリエステルを得た。このもののXは、4.4個
であった。
【0070】実施例1 製造例1で得たポリエステル100gをキシレン50g
に溶解し、65℃に昇温後、蟻酸5g、アンバーリスト
15(カチオン交換型イオン交換樹脂;ローム・アンド
・ハース・ジャパン社製)1.9g、酢酸ソーダ0.1g
を攪拌下添加し、60%過酸化水素水溶液36.8g
(対応するシクロヘキセン基に対するモル%(以下
「A」という。)=180モル%)を滴下した後、65
℃で6時間保持してエポキシ化を行った。反応粗物を水
洗後、5重量%炭酸ソーダでpH8まで中和後、更に水
洗後、キシレンと水を留去して高粘度液状のエポキシ化
ポリエステル(オキシラン酸素:4.7重量%、ヨウ素
価:1.8、Mn:1,300、Z:3.9個、反応率98.0
%、選択率87.8%)を得た。更に、赤外分光分析で
1730cm-1にエステル基の、860cm-1と780cm-1
にエポキシ基の特性吸収が検知された。反応時のゲル化
及び後処理工程中でのゲル化や水洗時の分層性の低下等
はなく、作業性は良好であった。このものの特性は以下
のとおりであった。 酸無水物硬化特性:可撓性良好、Tg:145℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性良好 PVC添加物特性:熱安定性良好、耐ブリード性良好
【0071】実施例2 製造例1で得たポリエステル100gをキシレン50g
に溶解し、65℃に昇温後、蟻酸5g、リン酸1g、炭
酸ソーダ0.1gを攪拌下に添加し、60%過酸化水素
水溶液40.8g(A=200モル%)を滴下した後、
65℃で6時間保持してエポキシ化を行った。以下、実
施例1と同様にして高粘度液状のエポキシ化ポリエステ
ル(オキシラン酸素:5.0重量%、ヨウ素価:2.8、
Mn:1,300、Z:4.1個、反応率96.9%、選択率
94.4%)を得た。更に、赤外分光分析で1730cm
-1にエステル基の、860cm-1と780cm-1にエポキシ
基の特性吸収が検知された。反応時のゲル化及び後処理
工程中でのゲル化や水洗時の分層性の低下等はなく作業
性は良好であった。このものの特性は以下のとおりであ
った。 酸無水物硬化特性:可撓性良好、Tg:147℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性良好 PVC添加物特性:熱安定性良好、耐ブリード性良好
【0072】実施例3 製造例1で得たポリエステル100gをキシレン50g
に溶解し、65℃に昇温後、蟻酸7g、リン酸一水素ナ
トリウム1g、炭酸ソーダ0.05gを攪拌下添加し、
60%過酸化水素水溶液40.8g(A=200モル
%)を滴下した後、65℃で6時間保持してエポキシ化
を行った。以下、実施例1と同様にして高粘度液状のエ
ポキシ化ポリエステル(オキシラン酸素:4.6重量
%、ヨウ素価:2.8、Mn:1,300、Z:3.8個、反
応率96.9%、選択率86.9%)を得た。更に、赤外
分光分析で1730cm-1にエステル基の、860cm-1
780cm-1にエポキシ基の特性吸収が検知された。反応
時のゲル化及び後処理工程中でのゲル化や水洗時の分層
性の低下等はなく作業性は良好であった。このものの特
性は以下のとおりであった。 酸無水物硬化特性:可撓性良好、Tg:144℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性良好 PVC添加物特性:熱安定性良好、耐ブリード性良好
【0073】実施例4 製造例1で得たポリエステル100gをキシレン50g
に溶解し、65℃に昇温後、蟻酸6g、ホウ酸0.63
g、メタ珪酸ソーダ0.54gを攪拌下添加し、60%
過酸化水素水溶液40.8g(A=200モル%)を滴
下した後、65℃で6時間保持してエポキシ化を行っ
た。以下、実施例1と同様にして高粘度液状のエポキシ
化ポリエステル(オキシラン酸素:4.9重量%、ヨウ
素価:1.9、Mn:1,300、Z:4.0個、反応率97.
9%、選択率91.6%)を得た。更に、赤外分光分析
で1730cm-1にエステル基の、860cm-1と780cm
-1にエポキシ基の特性吸収が検知された。反応時のゲル
化及び後処理工程中でのゲル化や水洗時の分層性の低下
等はなく作業性は良好であった。このものの特性は以下
のとおりであった。 酸無水物硬化特性:可撓性良好、Tg:145℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性良好 PVC添加物特性:熱安定性良好、耐ブリード性良好
【0074】実施例5 製造例1で得たポリエステル100gをキシレン50g
に溶解し、65℃に昇温後、Δ1−テトラヒドロ無水フ
タル酸6.6g、リン酸1g、炭酸ソーダ0.3gを攪拌
下添加し、60%過酸化水素水溶液40.8g(A=2
00モル%)を滴下した後、65℃で5時間保持してエ
ポキシ化を行った。以下、実施例1と同様にして高粘度
液状のエポキシ化ポリエステル(オキシラン酸素:4.
8重量%、ヨウ素価:1.4、Mn:1,300、Z:3.9
個、反応率98.5%、選択率89.3%)を得た。更
に、赤外分光分析で1730cm-1にエステル基の、86
0cm-1と780cm-1にエポキシ基の特性吸収が検知され
た。反応時のゲル化及び後処理工程中でのゲル化や水洗
時の分層性の低下等はなく作業性は良好であった。この
ものの特性は以下のとおりであった。 酸無水物硬化特性:可撓性良好、Tg:144℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性良好 PVC添加物特性:熱安定性良好、耐ブリード性良好
【0075】製造例2 THPA532g(3.5モル)、イソフタル酸249
g(1.5モル)、トリメチロールプロパン269.4g
(2モル)、1,4−ブタンジオール450g(5モ
ル)、2−エチルヘキサン酸360g(2.5モル)に
触媒としての酸化亜鉛を原料の総重量に対し0.1重量
%、キシレン3重量%をフラスコに仕込んで、160℃
から220℃までキシレンの共沸脱水下昇温し、常圧、
窒素ガス通気の条件で7時間反応をして酸価1.2のポ
リエステルを得た。エステル化反応後、キシレンを加熱
減圧下に留去した。得られたポリエステルの品質は、酸
価1.2、水酸基価60、ヨウ素価57.0、Mn2,00
0、Xは4.5であった。
【0076】実施例6 製造例2で得たポリエステル100gを酢酸ブチル50
gに溶解し、65℃に昇温後、蟻酸5g、リン酸1g、
炭酸ソーダ0.2gを攪拌下添加し、60%過酸化水素
水溶液22.9g(A=180モル%)を滴下した後、
65℃で7時間保持してエポキシ化を行った。以下、実
施例1と同様にして高粘度液状のエポキシ化ポリエステ
ル(オキシラン酸素:2.1重量%、ヨウ素価:1.7、
Mn:2,400、Z:3.1個、反応率97.0%、選択率
62.3%)を得た。更に、赤外分光分析で1730cm
-1にエステル基の、860cm-1と780cm-1にエポキシ
基の特性吸収が検知された。反応時のゲル化及び後処理
工程中でのゲル化や水洗時の分層性の低下等はなく作業
性は良好であった。このものの特性は以下のとおりであ
った。 酸無水物硬化特性:可撓性良好、Tg:105℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性良好
【0077】実施例7 炭酸ソーダ3.5gを適用した他は実施例6と同様にし
て高粘度液状のエポキシ化ポリエステル(オキシラン酸
素:2.2重量%、ヨウ素価:10.0、Mn:2,300、
Z:3.2個、反応率82.5%、選択率76.4%)を
得た。更に、赤外分光分析で1730cm-1にエステル基
の、860cm-1と780cm-1にエポキシ基の特性吸収が
検知された。反応時のゲル化及び後処理工程中でのゲル
化や水洗時の分層性の低下等はなく作業性は良好であっ
た。このものの硬化特性は実施例6で得られたポリエス
テルと同等であったものの、その光硬化物の耐候性は、
やや劣るものであった。
【0078】製造例3 THPA608g(4モル)、アジピン酸146g(1
モル)、トリメチロールプロパン269.4g(2モ
ル)、1,6−ヘキサンジオール118g(1モル)、
エチレングリコール62g(1モル)、2−エチルヘキ
サノール390g(3モル)に触媒としての酸化亜鉛を
原料の総重量に対し0.1重量%、キシレン3重量%を
フラスコに仕込んで、160から220℃までキシレン
の共沸脱水下、常圧、窒素ガス通気の条件で7時間反応
をして酸価0.6のポリエステルを得た。エステル化反
応後、キシレンを加熱減圧下に留去してエポキシ化の原
料とした。得られたポリエステルの品質は、酸価0.
6、水酸基価73.5、ヨウ素価68.5、Mn1,600、
Xは4.3個であった。
【0079】実施例8 製造例3で得た原料ポリエステル100gを酢酸ブチル
50gに溶解し65℃に昇温後、蟻酸5g、リン酸1
g、炭酸ソーダ0.3gを攪拌下添加し、60%過酸化
水素水溶液30.6g(A=200モル%)を滴下した
後、65℃で7時間保持してエポキシ化を行った。以
下、実施例1と同様にして高粘度液状のエポキシ化ポリ
エステル(オキシラン酸素:3.1重量%、ヨウ素価:
3.1、Mn:1,800、Z:3.4個、反応率95.5%、
選択率78.3%)を得た。更に、赤外分光分析で17
30cm-1にエステル基の、860cm-1と780cm-1にエ
ポキシ基の特性吸収が検知された。反応時のゲル化及び
後処理工程中でのゲル化や水洗時の分層性の低下等はな
く作業性は良好であった。このものの特性は以下のとお
りであった。 酸無水物硬化特性:可撓性良好、Tg:110℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性良好
【0080】実施例9 製造例3で得たポリエステル100gを酢酸ブチル10
0gに溶解し65℃に昇温後、タングステン酸ソーダ
0.7g、リン酸1g、炭酸ソーダ0.2g及び塩化セチ
ルピリジニウム0.2gを攪拌下に添加し、60%過酸
化水素水溶液30.6g(A=200モル%)を滴下し
た後、65℃で7時間保持してエポキシ化を行った。以
下、実施例1と同様にして高粘度液状のエポキシ化ポリ
エステル(オキシラン酸素:3.3重量%、ヨウ素価:
2.2、Mn:1,700、Z:3.5個、反応率96.8%、
選択率82.3%)を得た。更に、赤外分光分析で17
30cm-1にエステル基の、860cm-1と780cm-1にエ
ポキシ基の特性吸収が検知された。反応時のゲル化及び
後処理工程中でのゲル化や水洗時の分層性の低下等はな
く作業性は良好であった。このものの特性は以下のとお
りであった。 酸無水物硬化特性:可撓性良好、Tg:112℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性良好
【0081】実施例10 製造例3で得たポリエステル100gをアセトン30g
に溶解し40℃に昇温後、過酢酸の25%アセトン溶液
103.7g(A=150モル%)を滴下した後、40
℃で7時間保持しエポキシ化を行った後、揮発成分を留
去して高粘度液状のエポキシ化ポリエステル(オキシラ
ン酸素:3.4重量%、ヨウ素価:1.1、Mn:1,70
0、Z:3.6個、反応率98.4%、選択率83.4%)
を得た。更に、赤外分光分析で1730cm-1にエステル
基の、860cm-1と780cm-1にエポキシ基の特性吸収
が検知された。反応時のゲル化はなく作業性は良好であ
った。このものの特性は以下のとおりであった。 酸無水物硬化特性:可撓性良好、Tg:108℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性良好
【0082】製造例4 THPAの代わりに3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無
水フタル酸581g(3.5モル)を用いた他は製造例
2に準じて反応し、酸価5.3、水酸基価64、ヨウ素
価49.5、Mn2,200、Xが4.3個のポリエステルを
得た。
【0083】実施例11 製造例4で得たポリエステル100gを酢酸ブチル50
gに溶解し、65℃に昇温後、蟻酸5g、リン酸1g、
炭酸ソーダ0.2gを攪拌下添加し、60%過酸化水素
水溶液22.1g(A=200モル%)を滴下した後、
65℃で7時間保持してエポキシ化を行った。以下、実
施例1と同様にして高粘度液状のエポキシ化ポリエステ
ル(オキシラン酸素:2.2重量%、ヨウ素価:1.9、
Mn:2,600、Z:3.6個、反応率96.2%、選択率
75.5%)を得た。更に、赤外分光分析で1730cm
-1にエステル基の、860cm-1と780cm-1にエポキシ
基の特性吸収が検知された。反応時のゲル化及び後処理
工程中でのゲル化や水洗時の分層性の低下等はなく作業
性は良好であった。このものの特性は以下のとおりであ
った。 酸無水物硬化特性:可撓性良好、Tg:106℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性良好
【0084】製造例5 イソフタル酸代わりにアジピン酸219g(1.5モ
ル)を用いた他は製造例2に準じて反応し、酸価1.
0、水酸基価57.2、ヨウ素価58.0、Mn2,100、
Xが4.8個のポリエステルを得た。
【0085】実施例12 製造例2で得たポリエステルの代わりに製造例5で得た
ポリエステルを用いた他は実施例6に準じてエポキシ化
し、高粘度液状のエポキシ化ポリエステル(オキシラン
酸素:2.4重量%、ヨウ素価:1.4、Mn:2,400、
Z:3.6個、反応率97.6%、選択率69.7%)を
得た。更に、赤外分光分析で1730cm-1にエステル基
の、860cm-1と780cm-1にエポキシ基の特性吸収が
検知された。反応時のゲル化及び後処理工程中でのゲル
化や水洗時の分層性の低下等はなく作業性は良好であっ
た。このものの特性は以下のとおりであった。 酸無水物硬化特性:可撓性良好、Tg:103℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性良好
【0086】製造例6 THPA760g(5.0モル)、トリメチロールプロ
パン202.1g(1.5モル)、1,6−ヘキサンジオ
ール236g(2モル)、2−エチルヘキサノール39
0g(3.0モル)を用いた他は製造例2に準じて反応
し、酸価1.8、水酸基価45.9、ヨウ素価88.0、
Mn1,300、Xは4.5個のポリエステルを得た。
【0087】実施例13 製造例6で得たポリエステル100gをトルエン100
gに溶解し、65℃に昇温後、蟻酸10g、リン酸0.
45g、リン酸二水素ナトリウム・二水塩0.45gを
攪拌下添加し、60%過酸化水素水溶液43.2g(A
=220モル%)を滴下した後、65℃で7時間保持し
てエポキシ化を行った。以下、実施例1と同様にして高
粘度液状のエポキシ化ポリエステル(オキシラン酸素:
4.8重量%、ヨウ素価:1.3、Mn:1,400、Z:4.
2個、反応率98.5%、選択率92.6%)を得た。更
に、赤外分光分析で1730cm-1にエステル基の、86
0cm-1と780cm-1にエポキシ基の特性吸収が検知され
た。反応時のゲル化及び後処理工程中でのゲル化や水洗
時の分層性の低下等はなく作業性は良好であった。この
ものの特性は以下のとおりであった。 酸無水物硬化特性:可撓性良好、Tg:145℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性良好
【0088】比較例1 実施例2のエポキシ化条件でキシレンをアセトンに変え
た以外は同様の条件でエポキシ化し、後処理は水洗を行
わず、中和、濾過した後、揮発成分を留去して高粘度液
状のエポキシ化ポリエステル(オキシラン酸素:0.5
重量%、ヨウ素価:2.5、Mn:1,600、Z:0.5
個、反応率97.3%、選択率9.4%)を得た。更に、
赤外分光分析で1730cm-1にエステル基の特性吸収が
検知されたが、860cm-1と780cm-1のエポキシ基の
特性吸収は不明確であった。このものの酸無水物による
硬化特性を評価したところ、ゲル化が不十分でTg及び
可撓性の評価ができなかった。
【0089】比較例2 実施例2で炭酸ソーダを添加しなかった以外は同様の条
件で、エポキシ化を行った。しかし、反応4時間目で反
応液は高粘度ゲル状となり攪拌不能となった。
【0090】比較例3 THPA152g(1モル)、アジピン酸584g(4
モル)、1,4−ブタンジオール450g(5モル)に
触媒としての酸化亜鉛を原料の総重量に対し0.1重量
%、キシレン5重量%をフラスコに仕込んで、160か
ら220℃までキシレンの共沸脱水下昇温し、常圧、窒
素ガス通気の条件で20時間反応をした。以下、製造例
2と同様に処理してポリエステル(酸価:6.2、水酸
基価:3.2、ヨウ素価:28.1、Mn:12,000、X:
13.3個)を得た。
【0091】上記ポリエステル100gを酢酸ブチル2
00gに溶解した他は実施例6に準じてエポキシ化し
た。反応粗物を1000gのメタノール中で再沈澱を2
回行い、減圧乾燥して、室温で固体のエポキシ化ポリエ
ステル(オキシラン酸素:0.8重量%、ヨウ素価3.
9、Mn16,000、Zは8.0個、反応率86.1%、選択
率53.2%)を得た。更に、赤外分光分析で1730c
m-1にエステル基の、860cm- 1と780cm-1にエポキ
シ基の特性吸収が検知された。このものは4−メチルヘ
キサヒドロ無水フタル酸と相溶せず、硬化不十分であっ
た。又、アセトン溶剤にも不溶で紫外線硬化特性の評価
ができなかった。
【0092】比較例4 本発明に係るエポキシ化ポリエステルに代えて2個のエ
ポキシシクロヘキサン基を有する代表的な化合物である
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキ
シシクロヘキサンカルボキシレートの諸特性を評価した
したところ、以下のとおりであった。 酸無水物硬化特性:可撓性不良、Tg:148℃ 紫外線硬化特性 :ゲル化性良好、耐候性:やや不良 PVC添加物特性:熱安定性良好、耐ブリード性不良
【0093】
【発明の効果】本発明に係るエポキシ化ポリエステル
は、カチオン重合性樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹
脂等に適用したとき、作業性に優れ、優れた硬化性を発
揮し、可撓性に優れた硬化物を与え、塩化ビニル樹脂用
安定剤に用いたときには優れた熱安定性と耐ブリード
性、耐移行性、耐抽出性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−142870(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で表される二官能性基の1
    種以上を分子内に3個以上含み、数平均分子量が約1,
    000〜約10,000であることを特徴とするエポキ
    シ化ポリエステル。 【化1】 [式中、R1、R2は、同一又は異なって、水素原子又は
    炭素数1〜5のアルキル基又はエンドメチレン基を表
    す。]
  2. 【請求項2】 一般式(2)で表される二官能性基の1
    種以上を分子内に3個以上含む数平均分子量が約1,0
    00〜約10,000のポリエステルを炭化水素系溶剤
    及び/又はエステル系溶剤に溶解し、弱塩基性化合物の
    存在下で過酸化水素によりエポキシ化することを特徴と
    する請求項1に記載のエポキシ化ポリエステルの製造方
    法。 【化2】 [式中、R1、R2は、一般式(1)と同じである。]
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のポリエステルを、非水
    系で過酢酸によりエポキシ化することを特徴とする請求
    項1に記載のエポキシ化ポリエステルの製造方法。
JP10602392A 1991-03-29 1992-03-30 エポキシ化ポリエステル及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3147482B2 (ja)

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