JP3146759B2 - 金属パターン形成方法 - Google Patents

金属パターン形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、少なくとも表面が金属
よりなる基材表面に任意の金属パタ−ンを形成する方法
に関するものであり、筆記具、時計、化粧品容器などに
装飾を施す際に適したものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属上に金属の各種パタ−ンを形
成し、装飾効果、製品の表示などを目的とした種々の処
理方法が提案され、筆記具、時計、化粧品容器などに用
いられている。これらパタ−ン形成技術は、商品の価値
観、購買意欲を高める上では、重要な技術である。
【0003】従来、金属上に金属の任意のパタ−ンを形
成する方法としては、スクリ−ン印刷法、ホトレジスト
法により、電気絶縁性の高い樹脂層を用い、任意のパタ
−ンを形成後、樹脂層の形成されていない部分(形成し
ようとするパタ−ン)に、電気めっき法、無電解めっき
法により金属を析出し、その後、樹脂層を除去するもの
であった。
【0004】又、透明樹脂成形品上に、カ−ボンブラッ
クを含む塗料により塗膜を形成し、YAGレ−ザを用い
て黒の塗膜を除去して、パタ−ンを形成することも行な
われている(オ−ディオ等のツマミに使用)。このYA
Gレ−ザを用いて黒の塗膜を除去してパタ−ンを形成す
ることができる理由は、カ−ボンブラックがYAGレ−
ザ光を効率良く吸収することができることによるものと
考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】スクリ−ン印刷法は、
平面、或いは、筆記具などの筒状の形状であれば、電気
絶縁性の高い樹脂層を任意のパタ−ンで形成できるもの
の、筆記具の軸に横の微細なパタ−ンを形成しようとす
ると、パタ−ン部がインキの滲みによりつぶれてしまっ
たり、合わせ目がつぶれてしまう等の問題が発生し、
又、曲面状、球面状、或いは万年筆のペン先表面のよう
に、3次元的に湾曲した表面の場合ではパターン形成が
不可能であった。又、ホトレジスト法では、平面のみで
あり、各種の表面形状を有する基材には対応できないの
が現状であった。
【0006】又、金属上にカ−ボンブラックを含む塗料
により塗膜層を形成後、YAGレ−ザで該塗膜層を除去
しパタ−ンを形成する方法においては、塗膜層の除去に
より形成されたパタ−ン部表面には、薄い透明な樹脂層
が残っており、その後このパタ−ン部を電気めっき法或
いは無電解めっき法により処理し金属を析出せんとして
も、金属を析出することができなかったり、不完全であ
ったりすることが判明した。そこでレ−ザ出力を高く
し、処理を行うと、パタ−ン部の一部分においては樹脂
層が除去できるものの、不完全であり、又、下地の金属
表面を溶解し、金属表面が荒れてしまったり、更に、パ
タ−ンの精度は、樹脂層が高熱により溶解したり、剥離
が発生したりするので、低下する等の問題が発生した。
【課題を解決するための手段】
【0007】本発明は、これらの問題に鑑み、検討なさ
れたものであり、各種の表面形状に対して、任意の金属
パタ−ンが精度良く、容易に形成できる方法を提供する
ものであり、基本的には、電気絶縁性の高い特殊な樹脂
層(YAGレ−ザ光を効率良く吸収し、低い出力で除去
できる樹脂層)とYAGレ−ザを用いるものであって、
少なくとも表面が金属からなる基材上に、少なくとも黒
色系油溶染料を含む電気絶縁性の高い樹脂層を形成し、
YAGレ−ザ光を照して該樹脂層を任意の形状に除去
後、該除去部の基材表面を処理し金属を析出させた後、
残りの樹脂層を除去してなる金属パタ−ン形成方法を要
旨とするものである。
【0008】本発明に用いられる少なくとも表面が金属
よりなる基材としては、アルミニウム及びその合金、銅
及びその合金、鉄及びその合金、亜鉛及びその合金、ニ
ッケル及びその合金、錫及びその合金、マグネシウム及
びその合金、ステンレス等が挙げられる。これらの金属
表面には、予め電気めっき法、無電解めっき法、スパッ
タリング法、イオンプレ−ティング法、真空蒸着法など
により、各種金属及び合金が形成されてあっても良いも
のである。又、他の基材材料としては、ガラス、アルミ
ナ、ジルコニア等のセラミクス、ABS、AS、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリプロピレン、P
ET、PBT、ポリカ−ボネ−ト、ポリアセタ−ル、変
性PPO、ポリフェニレンエ−テル、ポリエ−テルスル
ホン樹脂、PEI、PEEK等が用いられ、これらの基
材表面には、無電解めっき法、あるいは無電解めっき後
電気めっき法による金属被覆、スパッタリング、イオン
プレ−ティング法、真空蒸着法などにより各種金属又は
合金を形成する。
【0009】次に電気絶縁性の高い樹脂層について説明
する。樹脂層の形成は、塗装又はスクリ−ン印刷法によ
り形成されるものであり、塗料又はスクリ−ン印刷イン
キの性状であって、常温で乾燥もしくは反応硬化するも
の、加熱して硬化するものであって、具体的には、アク
リル系、ポリエステル系、エポキシ系、ウレタン系、ア
ルキッド系、ビニル系、フェノ−ル系、シリコン系、フ
ッ素系など電気絶縁性の高い樹脂を含むものが用いられ
る。
【0010】前記樹脂層に含有される黒色系油溶性染料
としては、ニグロシン系の黒系染料、具体的には、C.
I.Acid Black2、C.I.Solvent
Black5、C.I.Solvent Black
、C.I.SolventBlack3、C.I.S
olvent Black22、C.I.Solven
t Black23、C.I.Acid Black1
23等であり、市販されているものとしては、Oil
Black BY、Oil Black BS、Oil
Black 803、Oil Black HBB、
スペシャルBlack EB、Spirit Blac
k AB、ニグロシンEX(以上、オリエント化学工業
(株))、Aize Splon Black BH、
Aizen SpilonBlack GSH spe
cial(以上、保土ヶ谷化学工業(株))等が挙げら
れ、その濃度としては塗料又はスクリ−ン印刷インキ樹
脂固形分に対して、5〜40重量%が好ましい。尚、必
要に応じて、1060nm近辺に吸収特性を示す色材を
適宜添加してもよい。
【0011】金属表面上に樹脂層を形成した後は、該樹
脂層上よりYAGレ−ザ光を任意パターンで照射すれ
ば、容易にそのパターンに合致し樹脂が除去され、金属
基材表面が露出するので、この露出部を公知の電気めっ
き法、無電解めっき法により処理すればよい。尚、残り
の樹脂層の除去は、塗膜の種類により選択すればよく、
熱可塑性の場合には酸、アルカリの水溶液、或いは、ト
ルエン、キシレン、トリクロロエチレン、塩化メチレン
等の溶剤を用い、又、熱硬化性の場合には途膜剥離剤、
例えば市販としては太陽化工(株)のサンエーコンR−
42S、グレイトール(株)のR4ZK等を用いて除去
すればよい。
【0012】
【作用】これら黒色系油溶染料を含む塗料又はスクリ−
ン印刷インキを用い、金属上に樹脂層を形成し、その後
YAGレ−ザにより処理することにより、樹脂層はレ−
ザ光を吸収できることから、任意のパタ−ンが形成で
き、又、そのパタ−ン部は、レ−ザ光により完全に除去
でき下地金属を露出させることができるので、露出金属
面を、電気めっき法、無電解めっき法により処理するこ
とにより均一に、且つ、容易に露出金属面に金属を析出
させることができ、その後、膜を除去することにより、
均一な金属パタ−ンを得ることができることから、筆記
具、化粧品容器、時計などに装飾を施すことができ、外
観意匠を向上することができる。
【0013】
【実施例】
実施例1 内径8mm、肉厚0.2mm、長さ100mmの真鍮の
パイプをバフ研磨し、その後、公知のめっき前処理とし
て、浸漬脱脂、陰極電解脱脂を行った。その後光沢ニッ
ケルめっきを10μm行い、クロムめっきを0.1μm
行った。絶縁性を有する樹脂膜は次の方法により形成し
た。塗料としてアクリル系熱硬化型塗料(関西ペイント
(株)マジクロンのクリヤ−)を用い、黒色系油溶染料
は、ニグロシンEX(オリエント化学工業(株)製)を
塗料樹脂固形分に対して、15重量%添加し、溶解分散
した、これを専用シンナ−で2倍に希釈し、スプレ−に
てめっきした真鍮パイプにコ−ティングし、160℃、
20分間乾燥し、10μmの厚さに形成した。次にYA
Gレ−ザ((株)東芝製、LAY−724CB)で出力
28Aで0.1mmの格子パタ−ン状に処理することに
より、0.1mm幅で、塗膜を除去した。次に、35.
5%濃塩酸にレ−ザ加工した真鍮パイプを浸漬し、パタ
−ン部のクロムめっき層を除去後、光沢ニッケルめっき
をパタ−ン部に20μm、その後金めっきを1μm形成
した。その後塗膜を剥離することにより、金の格子パタ
−ンを有するパイプを得た。金のパタ−ンは0.1mm
であり、パタ−ンのつぶれはなかった。
【0014】実施例2 1mm厚さのアルミニウム板(JISH1080)を1
0%NaOH水溶液でエッチングし、その後硫酸15
%、温度20℃、電流密度1.5A/dm2、30分間
陽極酸化しアルマイトを形成した。その後、青の染料で
染色し、乾燥した。 塗料として、フッ素系塗料(旭ガ
ラス(株)製ルミフロンLF200)を用い、塗料樹脂
固形分に対して、黒色系油溶染料Oil Black
BS(オリエント化学工業(株)製)を20重量%添加
し、溶解分散した。専用シンナ−で2倍に希釈し、専用
硬化剤を樹脂固形分に対して5重量%添加し、スプレ−
にて塗布し、100℃、20分間乾燥することにより1
5μmの厚さの樹脂層を形成した。その後、YAGレ−
ザ((株)東芝製、LAY−724CB)で出力30A
でランダムパタ−ンを形成することによりランダムパタ
−ン加工された部分の樹脂層を完全に除去した。次にラ
ンダムパタ−ンが形成されたアルミニウム板を10%N
aOHに浸漬し、パタ−ン部の青に染色されたアルマイ
ト層を除去した。次に公知のジンケ−ト液に浸漬し、亜
鉛置換めっきを行い、その後無電解ニッケルめっきを
1.0μm行ない、光沢ニッケルめっきを20μm、ク
ロムめっきを0.1μm順次行なった。次に塗膜を除去
し、イオン交換水、90℃、20分間処理し、青に染色
したアルマイトを封孔し、青のアルマイトに金属光沢の
あるクロム色のランダムパタ−ンを有したアルミニウム
板を得た。
【0015】実施例3 実施例2で用いたアルミニウム板を実施例2と同様の条
件で青色の染色したアルマイトを形成した。スクリ−ン
印刷インキとしてエポキシ系インキ(セイコ−アドバン
ス(株)セイコ−1300番のメジウム)を用い、黒色
系油溶染料スペシャルBlack EB(オリエント化
学工業(株)製)をインキ樹脂固形分に対して、30重
量%添加し、三本ロ−ルで溶解分散した。青色に染色し
たアルミニウム板にスクリ−ン印刷法により全面に印刷
し、130℃、30分間乾燥し、8μmの印刷層を形成
した。次にYAGレ−ザ((株)東芝製、LAY−72
4CB)で出力32Aで、ラレン状パタ−ンを0.2m
mの幅で形成することにより、ラセン状パタ−ンに樹脂
層を完全に除去した。次に実施例2と同様に亜鉛置換め
っき、無電解ニッケルめっき、光沢ニッケルめっきを1
0μm形成後、金めっきを0.5μm形成した。次に残
りの樹脂層を剥離し、イオン交換水、90℃、20分間
浸漬し、封孔し、青色に染色したアルマイトに、金色の
0.2mmのラセン状パタ−ンを有するアルミニウム板
を得た。
【0016】比較例1 実施例1で用いた塗料をカ−ボンブラックの分散した黒
の塗料(アクリル系熱硬化型塗料、関西ペイント(株)
製)を用い、他は、実施例1と同様に行ったが、レ−ザ
加工されたパタ−ン部には光沢ニッケルめっきが析出し
なかった。
【0017】比較例2 実施例3で用いたスクリ−ン印刷インキをカ−ボンブラ
ックの分散した黒のインキ(セイコ−アドバンス(株)
セイコ−1300番)を用い、他は実施例3と同様に行
ったが、亜鉛置換めっき及び無電解ニッケルめっきは析
出しなかった。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面が金属からなる基材上
    に、少なくとも黒色系油溶性染料を含む電気絶縁性の高
    い樹脂層を形成し、YAGレーザー光を照らして該樹脂
    層を任意の形状に除去後、該除去部の基材表面を電気め
    っき法、無電解めっき法により処理し金属を析出させた
    後、残りの樹脂層を除去してなる金属パターンの形成方
    法。
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