JP3146155B2 - 目標追尾装置 - Google Patents

目標追尾装置

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JP3146155B2
JP3146155B2 JP13200296A JP13200296A JP3146155B2 JP 3146155 B2 JP3146155 B2 JP 3146155B2 JP 13200296 A JP13200296 A JP 13200296A JP 13200296 A JP13200296 A JP 13200296A JP 3146155 B2 JP3146155 B2 JP 3146155B2
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gate
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信吾 辻道
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Mitsubishi Electric Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーダ等のセンサ
から得られた観測ベクトルから、複数の目標の航跡を推
定する目標追尾装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】センサによって得られる観測ベクトルか
ら航跡を求めるために、既存の航跡に対して追尾フィル
タをかけることによって、現在時刻における目標の存在
予測位置を算出し、その予測位置範囲(以後、この領域
をゲートと呼ぶ)と実際の観測ベクトルとの相関処理に
よって現在時刻における目標の航跡を推定している。
【0003】ここで、複数の目標が狭い領域に存在する
場合には、一つの航跡のゲート内に複数の目標が存在す
る場合がある。このような状況においても正しい追尾を
続ける為には、一目標の追尾の場合以上に、航跡と観測
ベクトルの相関を精度良く行う必要がある。
【0004】従来この要求に応えるものとして、図7に
示すような複数目標追尾方式が提案されている。この図
7は特願平7−73911号に示された目標追尾装置の
全体構成図である。図において、1は装置に入力した観
測ベクトル全体から各航跡のゲートに含まれる観測ベク
トルを選択する観測ベクトル選択部である。2は目標追
尾装置内全体のクラスタの状態を示すシステム内クラス
タ表である。3は観測ベクトル選択部の出力とシステム
内クラスタ表に示された既存のクラスタの関係から既存
のクラスタを統合し、また、新しいクラスタを作成しク
ラスタ内観測ベクトル表を作成する、クラスタ新設、統
合部である。4はクラスタ内に含まれる観測ベクトルの
全体を示すクラスタ内観測ベクトル表である。5はクラ
スタ内観測ベクトル表とクラスタ内の仮説の状況を示す
データ群を入力とし、クラスタ内のゲート内判定行列を
算出し誤信号がない場合に処理を簡略化する機能を持っ
たゲート内判定行列算出部である。6はクラスタ内の観
測ベクトルと航跡の関係を示すクラスタ内ゲート内判定
行列である。7はクラスタ内ゲート内判定行列を入力と
しクラスタ内の航跡相関行列を算出し誤信号がない場合
に処理を簡略化する機能を持った航跡相関行列算出部で
ある。8はクラスタ内で仮説の拡張可能性を示すクラス
タ内航跡相関行列である。9は前時刻までの観測ベクト
ルによる仮説の状況とクラスタ内航跡相関行列から現時
刻に入力した観測ベクトルに対応して仮説を更新する仮
説更新部である。10はクラスタ内仮説状況データ群で
ある。11はクラスタ内にある全ての仮説を示したクラ
スタ内仮説表である。12は各仮説ごとに仮説内にある
全ての航跡を示した仮説内航跡表である。13はクラス
タ内にある全ての航跡に対して航跡を構成する観測ベク
トルを示したクラスタ内航跡−観測ベクトル表である。
14はクラスタ内にある全ての航跡に対して次の観測ベ
クトル入力時刻における存在予測位置範囲を算出する、
ゲート算出部である。15はクラスタ内に複数の仮説が
存在する場合に、その中から最善の仮説を1つ選択して
目標の数とその航跡を決定する航跡決定部である。16
は目標追尾装置である。17は空間中の目標を観測して
観測ベクトルを得るためのセンサである目標観測装置で
ある。18はディスプレイ上に航跡を表示し目標の状態
を使用者に示す目標表示装置である。34は使用者が誤
信号有無判定部に動作を指示する動作指示装置である。
35は観測ベクトルに誤信号が含まれるかどうかを目標
観測装置17及び動作指示装置34からの信号によって
判断する誤信号有無判定装置である。
【0005】次に従来例の動作を説明する。図8(a)
に示すように、今、仮に空間内を2つの目標が移動して
いるとする。これらの目標をセンサによって観測した場
合に、センサは離散的に動作し、目標の観測ベクトルは
離散的に得られる。また、目標以外の誤信号が入力する
こともあるし、逆に目標の観測に失敗し、目標からの観
測ベクトルが得られないこともある。例えば、図8
(b)のような観測ベクトルが得られる。以下、図8の
時刻t1 とt2 の状況で従来例の動作を説明する。説明
はまず誤信号が存在する一般の場合について説明し、そ
の後で誤信号が無い場合の簡略処理について説明する。
【0006】初めに誤信号が存在する場合について説明
する。まず、時刻t1 の観測ベクトルZ1,1 が入力す
る。この状況では既存のクラスタ、仮説や航跡が存在し
ないので、観測ベクトル選択部1はZ1,1 を既存のクラ
スタとは関係しない独立した観測ベクトルとしてクラス
タ新設、統合部3に送る。
【0007】次に、クラスタ新設、統合部3はZ1,1
含むクラスタ1を新設し、システム内クラスタ表2に定
義すると共に、クラスタ1のクラスタ内観測ベクトル表
4にZ1,1 を書き込む。ここで、このクラスタ内観測ベ
クトル表4には現時刻の観測ベクトルのみが記載され
る。
【0008】次に、ゲート内判定行列算出部5が、クラ
スタ内の今回の観測ベクトル全てと航跡の相関可能性を
示す、ゲート内判定行列を算出する。
【0009】一般に時刻tk におけるゲート内判定行列
は、tk での観測ベクトル数がmk、tk での既追尾目
標数(すなわち、tk-1 での追尾目標数)がNk-1 、t
k での追尾目標数がNk =Nk-1 +mk の時に、次のよ
うに定義される。
【0010】
【数1】
【0011】ここで、行はtk での観測ベクトルZk,j
(j=1,2...,mk )に対応し、列は航跡に対応
する。また、各要素はそれぞれの観測ベクトルがそれぞ
れの航跡のゲート内にあるか否かを示す。
【0012】具体的には次のように各要素を設定する。
まず、t=0の列は観測ベクトルが誤信号である場合を
示す。実際に全ての観測ベクトルは誤信号である可能性
があるので
【0013】
【数2】
【0014】とする。次に、(1≦t≦Nk −mk
の列は既追尾目標である航跡Tt に対応する。すなわ
ち、観測ベクトルZk,j (j=1,2...,mk )が
航跡Tt のゲート内に含まれる場合に式(3)含まれな
い場合に式(4)とする。
【0015】
【数3】
【0016】次に、(Nk −mk +1≦t≦Nk )の列
は新目標である航跡Tt に対応する。これは、全ての観
測ベクトルがそれぞれ新目標である可能性を表現するた
めのもので、1個の観測ベクトルが1本の航跡に対応す
る。すなわち、(j=t−Nk +mk )の場合は式
(5)、逆に(j≠t−Nk +mk )の場合は式(6)
とする。
【0017】
【数4】
【0018】以上のように定義されたゲート内判定行列
を図3の例に適用すると以下のようになる。ここでは、
観測ベクトルmk は1、既追尾航跡Nk-1 は0、追尾航
跡Nk は1となるので、以下の1行2列のゲート内判定
行列が生成される。
【0019】
【数5】
【0020】この行列表現により観測ベクトルZ1,2
誤信号である可能性と、新目標である航跡T1 に対応す
る可能性が示されている。
【0021】次に、航跡相関行列算出部7がゲート内判
定行列から全ての航跡相関行列を算出する。航跡相関行
列は、実際に仮説として取り得る観測ベクトルと航跡の
相関関係を示すものである。一般に時刻tk における航
跡相関行列はゲート内判定行列から次のように定義され
る。
【0022】
【数6】
【0023】ここで、ゲート内相関行列と同様に、行は
k での観測ベクトル、列は航跡に対応し、また、各要
素はそれぞれの観測ベクトルがそれぞれの航跡と相関し
ているかどうかを示す。具体的には次のように各要素を
設定する。すなわち、観測ベクトルZk,j (j=1,
2...,mk )が航跡Tt (t=0,1,...,N
k )と相関がある場合に式(9)、相関がない場合に式
(10)とする。
【0024】
【数7】
【0025】ゲート内判定行列から航跡相関行列を作成
する際には、次の3つの基準に従い、3者を同時に満た
す全ての組み合わせを、それぞれ別の航跡相関行列とし
て表現する。 (ア)ゲート内判定行列において1である要素に対応す
る航跡相関行列の要素のみが1とでき、その他の要素は
0とする。 (イ)航跡相関行列のt=0の列以外の全ての列では、
高々1つの要素のみを1とし他の要素は0とする。 (ウ)航跡相関行列の全ての行では、必ず一つの要素を
1とし他の要素は0とする。 以上のように定義された航跡相関行列を図3の例に適用
すると以下のようになる。
【0026】
【数8】
【0027】この2つの行列表現により観測ベクトルZ
1,2 を誤信号であるとする仮説と、新目標である航跡T
1 に対応するとする仮説が共に作成可能であることが示
されている。
【0028】次に、仮説更新部9において、これまでの
仮説に先ほど算出した航跡相関行列を組み合わせて、仮
説を現在の状況に対応したものに更新する。ここで、航
跡相関行列において観測ベクトルと相関があるとされて
いる既追尾航跡が仮説内に追尾航跡として含まれない場
合は、両者を組み合わせることはできない。その他の全
ての組み合わせにより、既追尾航跡に新しい観測ベクト
ルを追加し航跡をのばすこと、新しい航跡を新目標とし
て追加すること、ある観測ベクトルを誤信号として扱う
ことで仮説が更新される。こうして、多くの場合1つの
仮説が複数の航跡相関行列と組み合わされて、複数の仮
説に更新されるので、仮説を更新する度に仮説数は増加
する。
【0029】図8の例では、組み合わせるべき既存の仮
説は存在しないので、航跡相関行列から新しく仮説を作
成する。まずΩ(H1,1 )からは、観測ベクトルZ1,1
を誤信号と考え、航跡が存在しない仮説X1,1 が生成さ
れる。これを次のように表記する。
【0030】
【数9】
【0031】次にΩ(H1,2 )からは、観測ベクトルZ
1,1 を新目標からの信号と考え、航跡T1 を新しく開始
する仮説X1,2 が生成される。また、ここで航跡T1
式(14)と記述する。
【0032】
【数10】
【0033】最後に航跡決定部15では要求があったと
きに、何らかの手法で仮説のうちの1つを選択し、目標
数と航跡を一意に決定する。
【0034】次に、以上の状態において時刻がt2 に進
み、新たに観測ベクトルZ2,1 とZ2,2 が入力した場合
の装置の動作を説明する。
【0035】まず、ゲート算出部14では、クラスタ内
の全ての航跡に対して、時刻t2 における予測存在範囲
であるゲートを算出する。今の場合は、クラスタ内に存
在する唯一の航跡であるT1 に対してゲートを算出す
る。
【0036】次に、観測ベクトル選択部1で上記算出さ
れたゲートと観測ベクトルの関係を調査し、その結果、
ここではZ2,1 とZ2,2 の両方が航跡T1 のゲートの中
に入っていたとする。次に、クラスタ新設、統合部3で
あるが、ここでは新たなクラスタは発生せず、また、ク
ラスタの統合も起こらない。その結果、今、説明の対象
としているクラスタの中に観測ベクトルZ2,1 とZ2,2
が存在することが確定した。しかし、仮に別のクラスタ
が存在し、そこに含まれる航跡のゲートにもZ2,1 また
はZ2, 2 が含まれるならば、両方のクラスタは統合され
る。
【0037】次にゲート内判定行列算出部5で時刻t2
におけるゲート内判定行列を、次の式(15)の通り算
出する。
【0038】
【数11】
【0039】ここで第1行が観測ベクトルZ2,1 、第2
行がZ2,2 に対応する。また、第1列が誤信号、第2列
が既存航跡T1 、第3列が新航跡T2 、第4列が新航跡
3に対応する。先に述べたように全ての観測ベクトル
は誤信号である可能性を持つので、第1列は共に値1を
入れる。また、この例では両方の観測ベクトルが航跡T
1 のゲートに入っているので第2列も共に値1を入れ
る。
【0040】次に航跡相関行列算出部7で時刻t2 にお
ける航跡相関行列を、次の式(16)の通り可能性のあ
るものを算出する。
【0041】
【数12】
【0042】次に、仮説更新部9で仮説を更新する。ま
ず、仮説X1,1 を更新する。ここで、既追尾航跡T1
存在を仮定している航跡相関行列は使用できないので、
4個の航跡相関行列により仮説を更新することになる。
結果を次の式(17)に示す。次に、仮説X1,2 を更新
する。ここでは8個の航跡相関行列全てを使用して仮説
を更新することになる。結果を次の式(18)に示す。
【0043】
【数13】
【0044】以上まとめると、t1 における2個の仮説
が更新されて、t2 において12個の仮説が生成され
た。また、その結果、このクラスタの中には5本の航跡
が存在する。
【0045】以下、時刻が進み、新しい観測ベクトルが
入力する度に以上の作業を繰り返す。
【0046】次に誤信号が存在しない場合の簡略処理に
ついて説明する。以下の説明は誤信号がある場合と同じ
状況で、誤信号が無い場合の装置の動作を、相違点に重
点をおいて説明する。
【0047】まず、ゲート内判定行列算出装置までの動
作は誤信号がある場合と同様である。次に、ゲート内判
定行列算出部5が誤信号有無判定装置35の判定結果を
受けて処理内容を変える。ゲート内判定行列の構成の定
義は誤信号が無い場合もある場合と同様であるが、第1
列の誤信号である可能性を示す列を、誤信号がある場合
では必ず1にしたのに対して、誤信号が無い場合は逆に
必ず0にする。以上のように定義されたゲート内判定行
列を図8の例に適用すると以下のようになる。
【0048】
【数14】
【0049】
【課題を解決するための手段】この発明に係る目標追尾
装置は、複数のセンサからの観測データをセンサと時間
とを統合して識別子と共に取り入れるセンサデータ統合
手段と、クラスタ内仮説表に含まれる既存の航跡から識
別子対応の観測ベクトルの可能な物理領域を得るゲート
算出手段と、センサデータ統合部出力の観測データをゲ
ート算出部出力の領域で各クラスタ毎に切り出された観
測ベクトルに対し、必要に応じて新クラスタを生成し、
または既存クラスタに統合して、これらの新・既存クラ
スタ毎に観測ベクトルが誤信号・既存航跡・新目標であ
る各可能性を全て包含するゲート内判定行列を算出する
ゲート内判定行列算出手段と、このゲート内判定行列か
ら各仮説の拡張方法を示す航跡相関行列を算出する航跡
相関行列算出手段と、既存の航跡とこの航跡相関行列
出手段で得られた上記あり得る航跡とを組合せて新しい
仮説を生成して識別子付でクラスタ内仮説表を更新する
仮説更新手段と、このクラスタ内仮説表の複数の仮説か
ら目標の航跡を決める航跡決定装置を備えた。
【0050】
【数15】
【0051】この行列表現により観測ベクトルZ1,2
新目標である航跡T1 に対応するとする仮説が作成可能
であることが示されている。次の、仮説更新部9の構造
は誤信号がある場合と同様でありΩ(H1,1 )から観測
ベクトルZ1,1 を新目標からの信号と考え、航跡T1
新しく開始する仮説X1,1 が式(21)の通り生成され
る。また、ここで航跡T1 を式(22)と記述する。
【0052】
【数16】
【0053】最後に航跡決定部15も誤信号がある場合
と同様である。
【0054】次に、以上の状態において時刻がt2 に進
み、新たに観測ベクトルZ2,1 とZ2,2 が入力した場合
の装置の動作を説明する。まず、ゲート算出部14で
は、誤信号がある場合と同様に、クラスタ内に存在する
唯一の航跡であるT1 に対してゲートを算出する。次
に、観測ベクトル選択部1とクラスタ新設、統合部3は
誤信号がある場合と同様である。次にゲート内判定行列
算出部5で時刻t2 におけるゲート内判定行列を、次の
通り算出する。
【0055】
【数17】
【0056】ここで第1行が観測ベクトルZ2,1 、第2
行がZ2,2 に対応する。また、第1列が誤信号、第2列
が既存航跡T1 、第3列が新航跡T2 、第4列が新航跡
3に対応する。先に述べたように全ての観測ベクトル
は誤信号でないとされているので、第1列は共に値0を
入れる。また、この例では両方の観測ベクトルが航跡T
1 のゲートに入っているので第2列も共に値1を入れ
る。次に航跡相関行列算出部7で時刻t2 における航跡
相関行列を、次の式(23)の通り算出する。
【0057】
【数18】
【0058】次に、仮説更新部9で仮説X1,1 を更新す
る。ここでは3個の航跡相関行列全てを使用して仮説を
更新することになる。結果を次に示す。
【0059】
【数19】
【0060】以上まとめると、t1 における1個の仮説
が更新されて、t2 において3個の仮説が生成された。
また、その結果、このクラスタの中には5本の航跡が存
在する。これを誤信号がある場合と比較すると、航跡の
5本は変わらないが、仮説が12個から3個に減り、誤
信号が無い状況に対応することで、処理量、データ量が
大幅に減ったことがわかる。
【0061】以下、時刻が進み、新しい観測ベクトルが
入力する度に以上の作業を繰り返す。
【0062】
【発明が解決しようとする課題】従来の目標追尾装置は
以上のように構成されており、単一のセンサで観測され
た観測ベクトルを利用することを前提としており、同一
の目標群に対して複数のセンサから観測ベクトルが得ら
れる状況に対応していないという課題があった。
【0063】この発明は、上記のような課題を解消する
ためになされたもので、複数センサからの場合によって
は同時刻での複数入力に対応した目標追尾装置を得るこ
とを目的としている。また更に、それぞれのセンサに固
有の観測誤差から生じるセンサ間の相対的な観測誤差を
補正して、これをゼロに近づけるセンサデータ統合装置
を得ることを目的とする。
【0064】また更に、複数センサから同一時刻に観測
した観測ベクトルに対応し、かつ、仮説数を縮小して演
算規模を少なくしたり、または可能であればクラスタ分
離を行う目標追尾装置を得ることを目的とする。
【0065】
【課題を解決するための手段】この発明に係る目標追尾
装置は、複数のセンサからの観測データをセンサ別と時
間とを統合して識別子と共に取り入れるセンサデータ統
合手段と、外部からの指示信号と上記観測データからセ
ンサデータ統合手段出力に含まれる誤信号の有無を判定
する誤信号有無判定手段と、クラスタ内仮説表に含まれ
る既存の航跡から識別子対応の観測ベクトルの可能な物
理領域を得るゲート算出手段と、センサデータ統合部出
力の観測データをゲート算出部出力の領域で各クラスタ
毎に切り出された観測ベクトルに対し、必要に応じて新
クラスタを生成し、または既存クラスタに統合して、誤
信号有無判定手段出力により誤信号の有無を判定し、そ
の結果に応じて新・既存クラスタ毎に観測ベクトルが誤
信号・既存航跡・新目標である各可能性を全て包含する
ゲート内判定行列を算出するゲート内判定行列算出手段
と、このゲート内判定行列から各仮説の拡張方法を示す
航跡相関行列を算出する航跡相関行列算出手段と、この
航跡相関行列と既存の航跡から上記あり得る航跡を付加
して新しい仮説を生成して識別子付でクラスタ内仮説表
を更新する仮説更新手段と、このクラスタ内仮説表の複
数の仮説から目標の航跡を決める航跡決定装置を備え
た。
【0066】また更に、センサデータ統合手段は複数の
センサからの観測データを1つの観測データとし、同時
刻の観測データに対しては優先度の高い観測データを時
刻マーカと共に取り入れるようにして、以降のゲート算
出手段、ゲート内判定行列算出手段、航跡相関行列算出
手段、仮説更新手段は、上記時刻の新旧の順に観測ベク
トルを取り扱うようにした。
【0067】また更に、センサデータ統合手段は予め既
知目標を観測して各センサの固有誤差を知り、複数セン
サからの観測データの統合に際してはこの固有誤差の補
正をして、必要に応じてはデータ形式をそろえるように
した。
【0068】また更に、既存の仮説の数を削減する仮説
縮小手段を付加した。
【0069】また更に、クラスタの分離が可能なら仮説
の数を削減する際にクラスタを分離するクラスタ分離手
段を付加した。
【0070】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.複数のセンサにより、入力データの信頼
性が向上する。このためセンサデータを統合する要素を
設け、複数入力データを統合し、1時刻1入力データと
して以後の処理を行う。図1はこの発明の実施の形態1
における目標追尾装置の全体構成図である。図1におい
て、17は空間中の目標を観測して観測ベクトルを得る
ためのセンサである目標観測装置である。従来例では単
一の目標観測装置を想定していたが、ここでは複数の目
標観測装置を想定している。19bは複数の目標観測装
置からの観測ベクトルを統合して、以下の目標追尾処理
を目標観測装置が単一の場合と同様に実行できる形に整
えるセンサデータ統合部である。その他は従来例と同様
の構成となっている。また、図2は、図1に示すセンサ
データ統合部の動作を示すフローチャートである。ここ
で、センサデータ統合部は図2に示すステップS20〜
S26を実行する手段を備え、特にステップS24で、
同時刻入力に対しては優先度の高い観測データのみを後
段に出力する。
【0071】次に上記構成の装置の動作を説明する。従
来例では、単一の目標観測装置17からの観測ベクトル
が直接観測ベクトル選択部1に送られていた。それに対
し、本実施の形態では複数の目標観測装置17を想定し
ており、それらの目標観測装置17からの観測ベクトル
をまずセンサデータ統合部19bに集める。センサデー
タ統合部19bは、観測ベクトル選択部1以降が、従来
例の単一目標観測装置17を仮定している場合と同様に
動作できるように、各目標観測装置17からの観測ベク
トルを整理統合した後、その結果の観測ベクトルを観測
ベクトル選択部1に送る。
【0072】次に、図2によりセンサデータ統合部19
bの動作を説明する。まず、ステップS20では目標観
測装置17からのセンサデータ入力処理を実行するかど
うかを判断する。次に、ステップS21では入力された
観測ベクトルの観測時刻と、現在処理中、すなわち前回
観測ベクトル選択部1に送った観測ベクトルの観測時刻
を調査する。次に、ステップS22ではステップS21
で調査した観測時刻を比較する。次に、ステップS23
では、目標観測装置17からの観測ベクトルの観測時刻
が現在処理中の観測ベクトルの観測時刻と同じか、また
はそれよりも過去のデータであった場合に入力された観
測ベクトルを棄てる。
【0073】次に、ステップ24では、目標観測装置1
7からの観測ベクトルの観測時刻が現在処理中の観測ベ
クトルの観測時刻以降の場合に入力された観測ベクトル
をバッファに格納する処理を行う。但し、その際にバッ
ファ中にまだ観測ベクトル選択部1に送られていないデ
ータがあり、そのデータの観測時刻が今回格納しようと
しているデータの観測時刻と一致している場合は、あら
かじめ定義した優先度に従い、片方のデータを棄てる。
また、目標観測装置17が異なる場合にはデータのフォ
ーマットなどが異なる場合もあるので、データ格納時に
はデータフォーマットを標準形式にそろえる。
【0074】次に、ステップS25では観測ベクトル選
択部1へのセンサデータ出力処理を実行するかどうかを
判断する。最後に、ステップS26ではセンサデータ出
力処理を実行する場合に、バッファ中のデータから、観
測時刻が最も古いデータを選択して出力する。以上でセ
ンサデータ統合処理を終わる。
【0075】センサデータ統合部19bの出力は観測ベ
クトル選択部1と誤信号有無判定部35に送られる。誤
信号有無判定部35は従来と同様の動作で誤信号の有無
を検出し、ゲート内判定行列算出部5aと航跡相関行列
算出部7aに結果を出力する。以上説明したセンサデー
タ統合部19bの動作により、複数の目標観測装置から
の観測ベクトルは1つの系列に統合されて、観測ベクト
ル選択部1aと誤信号有無判定部35a以降の各部は、
目標観測装置が複数存在することを全く意識すること無
く、従来と全く同じ動作で目標追尾処理を実行する。
【0076】実施の形態2.本実施の形態の目標追尾装
置の構成は図1に示すものと同じである。ただしセンサ
データ統合部はその内部動作が少し異なる。図3はこの
発明によるセンサデータ統合部19cが目標観測装置1
7に固有の誤差を補正する手段の一実施例の動作を示す
フローチャートである。ここで、センサデータ統合部1
9cの誤差補正手段は図4に示すステップS29〜S3
1を実行する手段を備えている。ステップS30の具体
的方法は各種あるが、ここでは詳細記述を省略する。本
実施の形態の特徴は、ステップS31の固有誤差の補正
をしていることである。これにより識別子を別にすれ
ば、以降のデータの取扱いをあたかも1つのセンサから
の入力と同様な取扱いができる。
【0077】次に上記装置の動作を説明する。まずステ
ップS29では現在着目している観測ベクトルを観測し
た目標観測装置17に固有の観測誤差およびその観測誤
差に基づく誤差補正法が算出済みかどうかを判断する。
【0078】次にステップS30では現在着目している
目標観測装置17に固有の観測誤差およびその観測誤差
に基づく誤差補正法を算出する。ここで重要なのは、真
に正しい観測結果を得ることではなく、複数の観測装置
それぞれの観測結果の相対的な差をゼロに近づけること
である。そこで、誤信号が無く、また、目標が近接して
存在しないような、良好な条件下で、同一の目標を複数
のセンサで観測して、その観測結果を比較することによ
り相対的な観測誤差を知ることができる。
【0079】最後にステップS31では現在着目してい
る観測ベクトルを補正して、目標観測装置17に固有の
誤差を取り除く。
【0080】以上の固有誤差補正は実施の形態1または
後述の実施の形態3で示したセンサデータ統合部の処理
フローにおいて、ステップS24またはS27の観測ベ
クトル格納時、若しくはステップS26またはS28の
観測ベクトル出力時に実施することができる。また、各
センサからの入力のデータフォーマット(形式)の違い
を吸収し、同一形式として出力する。
【0081】実施の形態3.図1はこの発明の実施の形
態1における目標追尾装置の全体構成図である。図1に
おいて、17は空間中の目標を観測して観測ベクトルを
得るためのセンサである目標観測装置である。従来例で
は単一の目標観測装置を想定していたが、ここでは複数
の目標観測装置を想定している。19aは複数の目標観
測装置からの観測ベクトルを統合して、以下の目標追尾
処理を目標観測装置が単一の場合と同様に実行できる形
に整えるセンサデータ統合部である。また、1aは装置
に入力した観測ベクトル全体から各航跡のゲートに含ま
れる観測ベクトルを選択する観測ベクトル選択部であ
る。2aは目標追尾装置内全体のクラスタの状態を示す
システム内クラスタ表である。3aは観測ベクトル選択
部の出力とシステム内クラスタ表に示された既存のクラ
スタの関係から既存のクラスタを統合し、また、新しい
クラスタを作成しクラスタ内観測ベクトル表を作成す
る、クラスタ新設、統合部である。4aはクラスタ内に
含まれる観測ベクトルの全体を示すクラスタ内観測ベク
トル表である。5aはクラスタ内観測ベクトル表とクラ
スタ内の仮説の状況を示すデータ群を入力とし、クラス
タ内のゲート内判定行列を算出するゲート内行列算出部
である。6aはクラスタ内の観測ベクトルと航跡の関係
を示すクラスタ内ゲート内判定行列である。7aはクラ
スタ内ゲート内判定行列を入力としクラスタ内の航跡相
関行列を算出する航跡相関行列算出部である。8aはク
ラスタ内で仮説の拡張可能性を示すクラスタ内航跡相関
行列である。
【0082】9aは前時刻までの観測ベクトルによる仮
説の状況とクラスタ内航跡相関行列から現時刻に入力し
た観測ベクトルに対応して仮説を更新する仮説更新部で
ある。10aはクラスタ内仮説状況データ群である。1
1aはクラスタ内にある全ての仮説を示したクラスタ内
仮説表である。12aは各仮説ごとに仮説内にある全て
の航跡を示した仮説内航跡表である。13aはクラスタ
内にある全ての航跡に対して航跡を構成する観測ベクト
ルを示したクラスタ内航跡−観測ベクトル表である。1
4aはクラスタ内にある全ての航跡に対して次の観測ベ
クトル入力時刻における存在予測位置範囲を算出する、
ゲート算出部である。15aはクラスタ内に複数の仮説
が存在する場合に、その中から最善の仮説を1つ選択し
て目標の数とその航跡を決定する航跡決定部である。3
5aは誤信号有無判定部で、センサデータ統合部19a
と外部の動作指示装置34からの入力により、観測ベク
トルに誤信号が含まれるかどうかを判断する。その他は
従来例と同様の構成となっている。図4は本実施の形態
におけるセンサデータ統合部19aの動作を示すフロー
チャートである。ここで、センサデータ統合部19aは
図4に示すステップ20〜23、25、27、28を実
行する手段を備えており、図2の動作をするデータ統合
部19bとは少し異なっている。ここで、ステップ27
は図2のステップ24を置き換えたものであり、ステッ
プ28は図2の26を置き換えたものである。その他の
ステップは図2と同様である。また図1の16の点線内
に示される各要素は、従来の時刻を唯一のマーカとして
演算を行っていたのに対し、センサ対応の識別子も含め
たマーカで演算を取扱う。
【0083】次に上記構成の装置の動作を説明する。従
来例では、単一の目標観測装置17からの観測ベクトル
が直接観測ベクトル選択部1に送られていた。それに対
し、本実施の形態では複数の目標観測装置17を想定し
ており、それらの目標観測装置17からの観測ベクトル
をまずセンサデータ統合部19aに集める。センサデー
タ統合部19aは、観測ベクトル選択部1以降が、従来
の単一目標観測装置17を仮定している場合と同様に動
作できるように、各目標観測装置17からの観測ベクト
ルを整理統合した後、その結果の観測ベクトルを観測ベ
クトル選択部1に送る。本実施の形態では、複数の目標
測定装置からデータは同一の目標をほぼ同一の出力とフ
ォーマットで得られて、これらを時刻が重なる場合も含
めて拡張して追尾処理をするものである。従って、先の
実施の形態1においては追尾装置の基本部分16は時刻
マーカtk に対応したデータ列のみとしたので、特願平
7−73911号での対応部分と全く同じ形態でよかっ
た。しかし、本実施の形態では同一時刻の異なる目標観
測装置からの入力は、定まった順序で異なるデータとし
て取扱うので、時刻マーカtk を内部に含む新しい識別
子列lk を生成し、以後このlk 毎の観測データをtk
系列に替わるものとして取扱うようにしている。ゲート
算出部14a、航跡決定部15a等は出力に時刻の要因
を含める必要があり、従ってこれらの部分は上記の識別
子列lk から時刻マーカtk を取り出して、これに基づ
いて処理をしている。
【0084】本実施例では、センサデータ統合部19a
の機構により、観測データを識別する識別子として、従
来の、時刻に基づいて観測データを区別する識別子tk
の他に、時刻とセンサの両者から観測データを区別する
識別子lk を設定する。これら2種類の識別子を以降の
各ブロックに伝え、各ブロックの処理目的に応じて、こ
れらの識別子を使い分けることにより、複数の目標観測
装置17から同じ観測時刻の観測ベクトルが入力された
場合に、それら全てを利用するようにしている。
【0085】次に、図4によりセンサデータ統合部19
の動作を説明する。まず、ステップS20からステップ
S23までは実施の形態1と同じ動作をする。次に、ス
テップ27は図2のステップS24に変わるものであ
る。ここでは、目標観測装置17からの観測ベクトルの
観測時刻tk が現在処理中の観測ベクトルの観測時刻以
降の場合に入力された観測ベクトルをバッファに格納す
る処理を行う。その際に複数の目標観測装置17から同
じ観測時刻の観測ベクトルが入力された場合にそれぞれ
を区別できるように、観測装置と観測時刻が異なる全て
の観測ベクトルにユニークな識別番号lk を付加する。
また、目標観測装置17が異なる場合にはデータのフォ
ーマットなどが異なる場合もあるので、データ格納時に
はデータフォーマットを標準形式にそろえる。
【0086】次に、ステップS25では観測ベクトル選
択部1へのセンサデータ出力処理を実行するかどうかを
判断する。最後に、ステップS28は実施の形態1のス
テップS26に代わるもので、ここではセンサデータ出
力処理を実行する場合に、バッファ中のデータから、観
測時刻が最も古いデータを選択して出力する。また、観
測時刻が同じデータがあった場合は、識別番号lk が最
も古いデータを選択して出力する。以上でセンサデータ
統合処理を終わる。
【0087】以上説明したセンサデータ統合部19aの
作用により、目標追尾装置16は観測時刻および観測セ
ンサの等しい一群のデータに対して、観測ベクトル選
択、仮説更新、ゲート算出といった一連の処理を実施す
る。逆に言えば、従来同様、時刻が異なれば処理のルー
プは異なるし、更に同時刻でも観測センサが異なれば別
のデータ群として別の処理ループで処理される。誤信号
有無判定部35aの動作に関してもlk の扱いはセンサ
データ統合部19aと同じである。即ち、動作指示装置
からの時刻マーカtk 付の情報と、センサデータ統合部
19aからのtk を内部に含む新しい識別子列lk 付の
観測ベクトルとから、誤信号、既存航跡、新目標の全て
の可能性を列挙するゲート内判定行列算出部5aと、こ
れ等からあり得る航跡を抽出する航跡相関行列算出部7
aとに識別子列lk に基づく観測ベクトルの抽出を指示
する。ここで、複数の目標観測装置からの観測ベクトル
を統合したことにより、本実施例では同じ観測時刻の観
測ベクトル群が連続して観測ベクトル選択部1a以降の
各部に送られる場合が生じる。ここで、観測ベクトル選
択部1a以降の各部は、それぞれの観測ベクトルを時刻
差が0の別時刻の観測ベクトルと考えて動作する。
【0088】従来例では、各ベクトルは時刻を識別する
k によって1回分の処理を切り分けていたが、本実施
の形態では、先に述べたように、センサデータ統合部1
9aから時刻tk と識別番号lk とtk の両識別子が渡
され、各部はそれを以降のブロックに伝えながら、必要
に応じて両者を使い分ける。まず、従来例で時刻tk
用いて明示的に説明されていた処理は、本実施例では全
てtk をlk に読み替えた処理を実行する。即ち、観測
ベクトル選択、仮説更新、ゲート算出といった一連の処
理ループは識別番号lk が進む度に次のループに進む。
このように仮説に関する処理では、データ群相互の順序
関係は重要であるが、時刻の進行は必須ではなく、一定
時刻間隔で進行する必要もない。
【0089】また、具体的な処理内容を明示していない
が、ゲート算出部における予測計算では、データの順序
だけでなく、時間差が重要な情報となるので、従来と同
様に時刻マーカtk を利用して前の処理データからの時
間差を算出する。また、それ以前のブロックでも、仮説
や航跡の信頼度を算出するためには時刻の情報が必要で
あり、その算出には時刻マーカtk を利用する。
【0090】実施の形態4.上記実施の形態で仮説に基
づいて演算を行う部分があり、この仮説数が増加すると
演算数が加速度的に増加する。ここではこの仮説数を減
らして演算規模を小さくする場合を説明する。図5は実
施の形態4における目標追尾装置の全体構成図である。
図5において、32aは仮説に対して何らかの評価を行
い、その結果によって一部の仮説を削除することによっ
て仮説数を縮小する仮説縮小部である。その他の構成は
実施の形態1で説明した図1の目標追尾装置と同じであ
る。
【0091】次に上記構成の装置の動作を説明する。実
施の形態3と同様の動作をすることにより仮説の構築を
繰り返すと、仮説数は急激に増加する。例えば従来例で
もt1 で2個だった仮説数がt2 では12個に増加して
いる。更に、実施の形態1では複数センサからの観測ベ
クトルを扱うことから、従来例以上に単位時間当たりに
扱う観測ベクトル量が増加することが予想される。この
ように、実施の形態1の基本構成で仮説の構築を続ける
と仮説構築に伴う処理量とデータ量が非常に大きくな
り、装置の性能限界を越えてしまう可能性がある。
【0092】仮説縮小部32aは任意の時点でクラスタ
内仮説状況データ群を入力し、何らかの方式で仮説のも
っともらしさの評価を行い、評価の低い仮説、すなわ
ち、ありそうもない仮説を削除し、その結果を戻すもの
である。具体的な手法としては、例えば以下に示すもの
が利用できる。 (1)最も信頼度の高い仮説のみを残す。 (2)信頼度がある基準値以下の仮説はすてる。 (3)過去N時刻分の内容が同一の仮説を統合する。 (4)航跡数が同じで、各航跡の内容(位置、速度な
ど)がほぼ同一の仮説を統合する。ここで例示した手法
における信頼度の算出には、多くの場合、時刻tk と識
別番号lk を使い分ける必要がある。また、例えば
(4)の手法では、各航跡の全般的な類似性を識別子l
k 毎の観測データの同一性の度合いで評価し、更に観測
データが異なっている部分については、その部分の位置
や速度を比較して、より詳細な類似性チェックを行う。
ここで速度を求める為には上記の識別子lk から時刻マ
ーカtk を取り出して、これに基づいて処理をする必要
がある。以上のように、任意の時点で仮説の縮小を行う
ことにより、装置の性能限界を超えることなく仮説構築
などの追尾処理を続けることができる。
【0093】実施の形態5.仮説の削減と共に、別のグ
ループのものかどうかを判断して目標群が条件に合致す
るとクラスタを分離して別目標とし、従って演算規模を
更に小さくする場合を説明する。図6は実施の形態5に
おける目標追尾装置の全体構成図である。図6において
33aは仮説を縮小した際にクラスタを分離できるかど
うかを評価し、クラスタが分離できる場合にそれぞれの
クラスタの仮説を再構成するクラスタ分離装置である。
その他の構成は実施の形態4で説明した図5の目標追尾
装置と同じである。
【0094】次に上記構成の装置の動作を説明する。実
施の形態3と同様の動作をすることにより仮説の構築を
繰り返すと、その過程において2つのクラスタが共通の
観測ベクトルと相関を持つことにより統合されることが
ある。しかし、仮説構築の基本動作を繰り返す限りにお
いて、原理上クラスタの分離は起こらない。
【0095】しかし、実施の形態4で説明した仮説の縮
小を行った場合はクラスタの分離が起こり得る。クラス
タを分離するとそれぞれの仮説の規模が縮小し、装置全
体として仮説の更新に必要な処理量を削減することがで
きる。そこで、本実施の形態においては、仮説縮小後の
任意の時点において、クラスタ分離装置33によって、
クラスタの分離判定と実際のクラスタ分離処理を行う。
このクラスタ分離装置33ではクラスタの定義を装置内
の全航跡の関係を用いて以下のように行い、それを条件
にしてクラスタ分離の処理を行う。
【0096】すなわち、航跡Ti とTj が少なくとも1
つの観測ベクトルを共有する場合に限り、航跡Ti とT
j を類似航跡と呼び Ti 〜Tj (19) と書く。航跡Ti とTj において Ti =Ti1〜Ti2〜…〜Tin=Tj (20) となるTi1,Ti2,…Tinが存在する場合に限り式(2
1)と定義する。 Ti ≡Tj (21) この関係は、反射律、対称律、推移律を満足しており、
すなわち同値関係にある。任意の時刻において、全航跡
は同値関係により分類することができ、複数の互いに素
な類に分けることができる。この類のことをクラスタと
呼ぶ。
【0097】本目標追尾装置は従来例で説明したよう
に、航跡を前面に出して仮説構築処理を行っており、ク
ラスタ内仮説状況データ群に、以上の条件判定に必要な
情報が存在する。クラスタ分離部33はこの情報からク
ラスタの分離判定を行い、次にクラスタの分離と仮説の
再構築を行いクラスタ内仮説状況データ群を更新する。
【0098】以上の説明は誤信号がある場合について行
ったが、誤信号が無い場合にはクラスタの分離と仮説の
再構築の作業を簡略化することができる。
【0099】実施の形態6.図6は実施の形態6の目標
追尾装置の全体構成図である。本実施の形態においてセ
ンサデータ統合部aは図3、図4のフローチャートで示
す動作をする。
【0100】次に上記装置の動作を説明する。ここで示
す目標追尾装置は先の実施の形態で示した全ての処理を
実施するものである。即ち、センサデータ統合部19a
は複数の目標観測装置からのデータを統合し、その際
に、同じ時刻に別の目標観測装置が観測した観測ベクト
ルを時刻差0の別時刻の観測ベクトルとして扱い、かつ
それぞれの目標観測装置に固有の観測誤差を補正する。
また、仮説縮小部32aはクラスタ内仮説状況データ群
を入力データとして受け取り、このデータを用いて一部
の仮説を削除し、結果を戻す。更に、仮説縮小後の任意
の時点において、クラスタ分離装置33aによって、ク
ラスタの分離判定と実際のクラスタ分離処理を行う。そ
の他の部分の動作は実施の形態3と同様である。
【0101】
【発明の効果】以上のように、この発明の目標追尾装置
はセンサデータ統合装置を備えたので、複数の目標観測
装置に対応した目標追尾を場合によっては時刻差0でも
できる効果がある。
【0102】また更に、仮説縮小装置またはクラスタ分
離装置を備えたので、複数の目標観測装置に対応し、か
つ、仮説数を縮小し、またはクラスタ数を分離し、演算
規模を小さくする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1ないし3における目標
追尾装置の全体構成図である。
【図2】 実施の形態1におけるセンサデータ統合装置
の動作を示すフローチャート図である。
【図3】 実施の形態2におけるセンサデータ統合装置
の動作を示すフローチャート図である。
【図4】 実施の形態3におけるセンサデータ統合装置
の動作を示すフローチャート図である。
【図5】 実施の形態4における目標追尾装置の全体構
成図である。
【図6】 実施の形態5における目標追尾装置の全体構
成図である。
【図7】 従来の目標追尾装置の例を示す全体構成図で
ある。
【図8】 目標の移動と目標追尾装置に入力する観測ベ
クトルの発生状況を示す図である。
【符号の説明】
1a 観測ベクトル選択部、3a クラスタ新設、統合
部、5a ゲート内判定行列算出部、7a 航跡相関行
列算出部、9a 仮説更新部、14a ゲート算出部、
15a 航跡決定部、19a,9b,19c センサデ
ータ統合部、32a 仮説縮小部、33a クラスタ分
離部、34 動作指示装置、35a 誤信号有無判定
部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−94830(JP,A) 特開 平8−105965(JP,A) 特開 平7−306263(JP,A) 特開 平5−288840(JP,A) 特開 平9−318741(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 7/00 - 7/42 G01S 13/00 - 13/95

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のセンサからの観測データをセンサ
    と時間を統合して識別子と共に取り入れるセンサデータ
    統合手段と、 後述のクラスタ内仮説表に含まれる既存の航跡から識別
    子対応の観測ベクトルの可能な物理領域を得るゲート算
    出手段と、 上記センサデータ統合部出力の観測データを上記ゲート
    算出部出力の領域で各クラスタ毎に切り出された観測ベ
    クトルに対し、必要に応じて新クラスタを生成し、また
    は既存クラスタに統合して、これらの新・既存クラスタ
    毎に観測ベクトルが誤信号・既存航跡・新目標である各
    可能性を全て包含するゲート内判定行列を算出するゲー
    ト内判定行列算出手段と、 上記ゲート内判定行列からあり得る航跡を抽出する航跡
    相関行列を算出する航跡相関行列算出手段と、既存の航跡と 上記航跡相関行列算出手段で得られた上記
    り得る航跡とを組合せて新新しい仮説を生成し、識別
    子付でクラスタ内仮説表を更新する仮説更新手段と、 上記クラスタ内仮説表の複数の仮説から目標の航跡を決
    める航跡決定装置を備えた目標追尾装置。
  2. 【請求項2】 センサデータ統合手段は、複数のセンサ
    からの観測データを1つの観測データとし、同時刻の観
    測データに対しては優先度の高い観測データを時刻マー
    カと共に取り入れるようにし、 以降のゲート算出手段、ゲート内判定行列算出手段、航
    跡相関行列算出手段、仮説更新手段は、上記時刻の新旧
    の順に観測ベクトルを取り扱うようにしたことを特徴と
    する請求項1記載の目標追尾装置。
  3. 【請求項3】 センサデータ統合手段は、予め既知目標
    を観測して各センサの固有誤差を知り、複数センサから
    の観測データの統合に際しては上記固有誤差の補正をし
    て、必要に応じてはデータ形式をそろえるようにしたこ
    とを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。
  4. 【請求項4】 既存の仮説の数を削減する仮説縮小手段
    を付加したことを特徴とする請求項1記載の目標追尾装
    置。
  5. 【請求項5】 クラスタの分離が可能なら仮説の数を削
    減する際にクラスタを分離するクラスタ分離手段を付加
    したことを特徴とする請求項4記載の目標追尾装置。
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