JP3145515B2 - 低降伏比高靭性シームレス鋼管の製造法 - Google Patents
低降伏比高靭性シームレス鋼管の製造法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低降伏比高靭性シーム
レス鋼管の製造法に関するものである。
レス鋼管の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、エネルギー資源の枯渇化により、
極北でのガス井、油井開発が活発化してきた。このた
め、生産物の輸送用機材としてのシームレス鋼管に対し
て、寒冷地での高圧操業の使用に耐えるため、低降伏比
で且つ高靭性(−60℃保証)、高強度(×52以上)
を兼ね備えた性質が要求されている。高強度材に低降伏
比を付与するには、例えば「鉄と鋼,’87−S131
5」ではC量を増加、焼入後の焼戻し温度を低下するこ
と等が報告されている。しかしながら、C量の増加はラ
インパイプ用鋼の基本的な使用性能である溶接性を著し
く低下させ、その結果、現地溶接前に予熱が必要となる
等ラインパイプ敷設時の作業性を著しく低下させる。一
方、低温焼戻し処理で製造したラインパイプ用鋼は低温
靭性が不安定になるため寒冷地での使用に制約があっ
た。
極北でのガス井、油井開発が活発化してきた。このた
め、生産物の輸送用機材としてのシームレス鋼管に対し
て、寒冷地での高圧操業の使用に耐えるため、低降伏比
で且つ高靭性(−60℃保証)、高強度(×52以上)
を兼ね備えた性質が要求されている。高強度材に低降伏
比を付与するには、例えば「鉄と鋼,’87−S131
5」ではC量を増加、焼入後の焼戻し温度を低下するこ
と等が報告されている。しかしながら、C量の増加はラ
インパイプ用鋼の基本的な使用性能である溶接性を著し
く低下させ、その結果、現地溶接前に予熱が必要となる
等ラインパイプ敷設時の作業性を著しく低下させる。一
方、低温焼戻し処理で製造したラインパイプ用鋼は低温
靭性が不安定になるため寒冷地での使用に制約があっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な処理によることなく、多くの実験を行い検討した結果
に基づき、鋼成分、熱間圧延条件を制御することによっ
て低降伏比高靭性シームレス鋼管を製造する方法を提供
するものである。
な処理によることなく、多くの実験を行い検討した結果
に基づき、鋼成分、熱間圧延条件を制御することによっ
て低降伏比高靭性シームレス鋼管を製造する方法を提供
するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の要旨と
するところは、重量%として C :0.03〜0.20%、 Si:0.01〜
2.5%、Mn:0.15〜2.5%、 P :
0.020%以下、S :0.010%以下、
Al:0.005〜0.1%、Ti:0.005〜
0.1%、 Nb:0.005〜0.1%、N :
0.01%以下 を含有し、さらに必要によっては Cr:0.1〜1.5%、 Mo:0.05〜
0.5%、Ni:0.1〜2.0%、 V :
0.01〜0.1%、B:0.0003〜0.0033
%、希土類元素:0.001〜0.05%、Ca:0.
001〜0.02%、 Co:0.05〜0.5%、
Cu:0.1〜0.5% の1種または2種以上を含有して残部が実質的にFeか
らなる鋼片を1100℃以上に加熱した後、熱間穿孔圧
延した中空素管を最終傾斜圧延機前でAr3 点〜900
℃まで冷却し、その直後の最終傾斜圧延機で肉厚断面減
少率で20〜70%の成形加工を施し、さらに形状矯正
のための熱間連続圧延を行った後Ar1 点〜900℃の
温度まで降下した中空粗管を該温度より高い900〜9
50℃に加熱した後、仕上温度がAr3 点+50℃以上
の熱間仕上圧延を施し、冷却速度10℃/s以下の放冷
処理を行う低降伏比高靭性シームレス鋼管の製造法であ
る。
するところは、重量%として C :0.03〜0.20%、 Si:0.01〜
2.5%、Mn:0.15〜2.5%、 P :
0.020%以下、S :0.010%以下、
Al:0.005〜0.1%、Ti:0.005〜
0.1%、 Nb:0.005〜0.1%、N :
0.01%以下 を含有し、さらに必要によっては Cr:0.1〜1.5%、 Mo:0.05〜
0.5%、Ni:0.1〜2.0%、 V :
0.01〜0.1%、B:0.0003〜0.0033
%、希土類元素:0.001〜0.05%、Ca:0.
001〜0.02%、 Co:0.05〜0.5%、
Cu:0.1〜0.5% の1種または2種以上を含有して残部が実質的にFeか
らなる鋼片を1100℃以上に加熱した後、熱間穿孔圧
延した中空素管を最終傾斜圧延機前でAr3 点〜900
℃まで冷却し、その直後の最終傾斜圧延機で肉厚断面減
少率で20〜70%の成形加工を施し、さらに形状矯正
のための熱間連続圧延を行った後Ar1 点〜900℃の
温度まで降下した中空粗管を該温度より高い900〜9
50℃に加熱した後、仕上温度がAr3 点+50℃以上
の熱間仕上圧延を施し、冷却速度10℃/s以下の放冷
処理を行う低降伏比高靭性シームレス鋼管の製造法であ
る。
【0005】
【作用】以下本発明の製造法について詳細に説明する。
先ず、本発明において上記のような鋼成分に限定した理
由について説明する。C,Mnは、強度の確保のためお
よび細粒化を図るため重要である。少な過ぎるとその効
果がなく、多過ぎると溶接性の低下の原因となるためそ
れぞれ0.03〜0.20%、0.15〜2.5%とし
た。
先ず、本発明において上記のような鋼成分に限定した理
由について説明する。C,Mnは、強度の確保のためお
よび細粒化を図るため重要である。少な過ぎるとその効
果がなく、多過ぎると溶接性の低下の原因となるためそ
れぞれ0.03〜0.20%、0.15〜2.5%とし
た。
【0006】Siは、脱酸剤が残存したもので強度を高
める有効な成分である。少な過ぎるとその効果がなく、
多過ぎると介在物を増加して鋼の性質を低下させるため
0.01〜2.5%とした。
める有効な成分である。少な過ぎるとその効果がなく、
多過ぎると介在物を増加して鋼の性質を低下させるため
0.01〜2.5%とした。
【0007】P,Sは、本発明のなかで靭性の改善のた
めに特に重要な元素である。Pは、粒界偏析を起こして
加工の際き裂を生じ易く有害な成分でありSは、MnS
系介在物を形成して熱間連続圧延で延伸し低温靭性に有
害な成分としてその含有量をそれぞれ0.010%以
下、0.010%以下とした。
めに特に重要な元素である。Pは、粒界偏析を起こして
加工の際き裂を生じ易く有害な成分でありSは、MnS
系介在物を形成して熱間連続圧延で延伸し低温靭性に有
害な成分としてその含有量をそれぞれ0.010%以
下、0.010%以下とした。
【0008】Alは、Siと同様脱酸剤が残存したもの
で、鋼中の不純物成分として含まれるNと結合して結晶
粒の成長を抑えて耐SSC性の向上および低温靭性を改
善する。少な過ぎるとその効果がなく、多過ぎると介在
物を増加して鋼の性質を脆化するため0.005〜0.
1%とした。
で、鋼中の不純物成分として含まれるNと結合して結晶
粒の成長を抑えて耐SSC性の向上および低温靭性を改
善する。少な過ぎるとその効果がなく、多過ぎると介在
物を増加して鋼の性質を脆化するため0.005〜0.
1%とした。
【0009】Ti,Nbは、いずれもシームレス圧延中
の結晶粒径制御元素として本発明の成分の中で最も重要
な元素である。Tiは、鋼中の不純物成分として含まれ
るNと結合して、熱間穿孔圧延中の結晶粒制御および熱
間穿孔圧延した中空素管を最終段の傾斜圧延機前でAr
3 点〜900℃まで冷却し、その直後の最終傾斜圧延機
で肉厚断面減少率で20〜70%の成形加工後の結晶粒
径の粗大化を抑え低温靭性を改善させると共に、脱酸、
脱窒の作用から後述のB焼入性を発揮させ強度を高め
る。少な過ぎるとその効果がなく、多過ぎるとTiCを
析出して鋼を脆化させるため0.005〜0.1%とし
た。
の結晶粒径制御元素として本発明の成分の中で最も重要
な元素である。Tiは、鋼中の不純物成分として含まれ
るNと結合して、熱間穿孔圧延中の結晶粒制御および熱
間穿孔圧延した中空素管を最終段の傾斜圧延機前でAr
3 点〜900℃まで冷却し、その直後の最終傾斜圧延機
で肉厚断面減少率で20〜70%の成形加工後の結晶粒
径の粗大化を抑え低温靭性を改善させると共に、脱酸、
脱窒の作用から後述のB焼入性を発揮させ強度を高め
る。少な過ぎるとその効果がなく、多過ぎるとTiCを
析出して鋼を脆化させるため0.005〜0.1%とし
た。
【0010】一方、Nbは、傾斜圧延中の結晶粒成長抑
制および連続圧延後900℃〜Ar1 点の温度まで降下
した該素管を該温度より高い900〜950℃に加熱し
た場合のγ粒の異常粗大化を抑制する重要な元素であ
る。少な過ぎるとその効果がなく、多過ぎてもその効果
が飽和し、しかも非常に高価であるため0.005〜
0.1%とした。
制および連続圧延後900℃〜Ar1 点の温度まで降下
した該素管を該温度より高い900〜950℃に加熱し
た場合のγ粒の異常粗大化を抑制する重要な元素であ
る。少な過ぎるとその効果がなく、多過ぎてもその効果
が飽和し、しかも非常に高価であるため0.005〜
0.1%とした。
【0011】Nは、Bの効果を低下させる有害な成分と
して、その含有量を0.01%以下とした。
して、その含有量を0.01%以下とした。
【0012】上記の成分組成の鋼でさらに鋼の強度を高
める場合Cr,Mo,Ni,VおよびB等の成分を必要
に応じて選択的に添加する。Cr,Mo,Ni,Vは、
強度を高めるために添加するものである。少な過ぎると
その効果がなく、多過ぎてもその効果が飽和し、しかも
非常に高価であるため、それぞれ0.01〜1.5%、
0.05〜0.5%、0.1〜2.0%、0.01〜
0.1%とした。Bは、フェライトの析出を抑制し強度
を高める。少な過ぎるとその効果がなく、多過ぎても効
果は変わらず、靭性や熱間加工性を劣化させるので0.
0003〜0.003%とした。
める場合Cr,Mo,Ni,VおよびB等の成分を必要
に応じて選択的に添加する。Cr,Mo,Ni,Vは、
強度を高めるために添加するものである。少な過ぎると
その効果がなく、多過ぎてもその効果が飽和し、しかも
非常に高価であるため、それぞれ0.01〜1.5%、
0.05〜0.5%、0.1〜2.0%、0.01〜
0.1%とした。Bは、フェライトの析出を抑制し強度
を高める。少な過ぎるとその効果がなく、多過ぎても効
果は変わらず、靭性や熱間加工性を劣化させるので0.
0003〜0.003%とした。
【0013】さらに本発明は、近年のシームレス鋼管の
使用環境を鑑み上記の成分組成で構成される鋼の耐SS
C性を改善するために希土類元素等の成分を必要に応じ
て選択的に添加する。希土類元素、Caは、介在物の形
態を球状化させて無害化する有効な成分である。少な過
ぎるとその効果がなく、多過ぎると介在物を増加して耐
SSC性を低下させるのでそれぞれ0.001〜0.0
5%、0.001〜0.02%とした。Co,Cuは、
鋼中への水素侵入抑制効果があり耐SSC性に有効に働
く。少な過ぎるとその効果がなく、多過ぎるとその効果
が飽和するためそれぞれ0.05〜0.5%、0.1〜
0.5%とした。
使用環境を鑑み上記の成分組成で構成される鋼の耐SS
C性を改善するために希土類元素等の成分を必要に応じ
て選択的に添加する。希土類元素、Caは、介在物の形
態を球状化させて無害化する有効な成分である。少な過
ぎるとその効果がなく、多過ぎると介在物を増加して耐
SSC性を低下させるのでそれぞれ0.001〜0.0
5%、0.001〜0.02%とした。Co,Cuは、
鋼中への水素侵入抑制効果があり耐SSC性に有効に働
く。少な過ぎるとその効果がなく、多過ぎるとその効果
が飽和するためそれぞれ0.05〜0.5%、0.1〜
0.5%とした。
【0014】次に熱間シームレス圧延条件を上記のよう
に限定した理由について説明する。上記のような成分組
成の鋼は転炉、電気炉等の溶解炉であるいはさらに真空
脱ガス処理を経て溶製され、連続鋳造法または造塊分塊
法で鋼片を製造する。鋼片は、直ちにあるいは一旦冷却
された後高温に加熱し熱間穿孔圧延を行う。加熱温度
は、熱間穿孔圧延を容易にするため十分高くしておかね
ばならない。本発明の成分範囲内であれば1100℃以
上の温度で熱間穿孔圧延上なんら支障が生じないので、
その温度は1100℃以上とした。
に限定した理由について説明する。上記のような成分組
成の鋼は転炉、電気炉等の溶解炉であるいはさらに真空
脱ガス処理を経て溶製され、連続鋳造法または造塊分塊
法で鋼片を製造する。鋼片は、直ちにあるいは一旦冷却
された後高温に加熱し熱間穿孔圧延を行う。加熱温度
は、熱間穿孔圧延を容易にするため十分高くしておかね
ばならない。本発明の成分範囲内であれば1100℃以
上の温度で熱間穿孔圧延上なんら支障が生じないので、
その温度は1100℃以上とした。
【0015】穿孔圧延が行われた中空素管は、最終段の
傾斜圧延機前でAr3 点〜900℃の温度に冷却し、直
ちに鋼管の最終形状に近い外径、肉厚まで粗加工する傾
斜圧延を行う。傾斜圧延機(エロンゲータミル等)は、
シームレス鋼管の圧延に使用される他の圧延機(マンド
レルミル、プラグミル等)や鋼板の圧延機と異なり、剪
断ひずみの成分が非常に大きい。したがって、断面積減
少率から予測されるひずみ量と比べて実質的なひずみ量
は格段に大きい。このため、傾斜圧延機では小さな断面
積減少率の加工であってもオーステナイト組織は大きな
変形を受け、その後のフェライト変態時に微細なフェラ
イト組織が生成される。
傾斜圧延機前でAr3 点〜900℃の温度に冷却し、直
ちに鋼管の最終形状に近い外径、肉厚まで粗加工する傾
斜圧延を行う。傾斜圧延機(エロンゲータミル等)は、
シームレス鋼管の圧延に使用される他の圧延機(マンド
レルミル、プラグミル等)や鋼板の圧延機と異なり、剪
断ひずみの成分が非常に大きい。したがって、断面積減
少率から予測されるひずみ量と比べて実質的なひずみ量
は格段に大きい。このため、傾斜圧延機では小さな断面
積減少率の加工であってもオーステナイト組織は大きな
変形を受け、その後のフェライト変態時に微細なフェラ
イト組織が生成される。
【0016】図1の写真は、同一断面積減少率でエロン
ゲータミルと板圧延機で加工した材料の金属組織を示し
た。エロンゲータミルでは、オーステナイト組織の変形
が板圧延機に比べて大きいことがわかる。すなわち、低
温でのエロンゲータ圧延では、未再結晶オーステナイト
組織に多くの転位が導入され微細なフェライト組織の生
成が促進される。この場合、圧延温度が900℃以上で
は未再結晶オーステナイト組織率が低下し、微細なフェ
ライト組織の生成が抑制され、目的とする細粒フェライ
ト鋼は得られないため圧延温度の上限を900℃とし
た。一方、圧延温度が低くなると圧延負荷の増大により
鋼の成形性が著しく低下し、目標とする外径、肉厚が得
られにくくなるためAr3 点以上とした。中空素管の温
度制御方法は、放冷あるいは強制冷却いずれによっても
良い。また、圧下率は、小さいと微細なフェライト組織
が生成しないため下限を20%とした。一方、圧下率が
余り大きすぎると、圧延が困難になりパイプの成形性や
表面品位の低下が起こるため、上限を70%とした。
ゲータミルと板圧延機で加工した材料の金属組織を示し
た。エロンゲータミルでは、オーステナイト組織の変形
が板圧延機に比べて大きいことがわかる。すなわち、低
温でのエロンゲータ圧延では、未再結晶オーステナイト
組織に多くの転位が導入され微細なフェライト組織の生
成が促進される。この場合、圧延温度が900℃以上で
は未再結晶オーステナイト組織率が低下し、微細なフェ
ライト組織の生成が抑制され、目的とする細粒フェライ
ト鋼は得られないため圧延温度の上限を900℃とし
た。一方、圧延温度が低くなると圧延負荷の増大により
鋼の成形性が著しく低下し、目標とする外径、肉厚が得
られにくくなるためAr3 点以上とした。中空素管の温
度制御方法は、放冷あるいは強制冷却いずれによっても
良い。また、圧下率は、小さいと微細なフェライト組織
が生成しないため下限を20%とした。一方、圧下率が
余り大きすぎると、圧延が困難になりパイプの成形性や
表面品位の低下が起こるため、上限を70%とした。
【0017】最終傾斜圧延終了後、中空粗管をさらに形
状矯正のための連続圧延を行い、Ar1 点〜900℃の
温度まで降下した該粗管は、該温度より高い900〜9
50℃に再加熱する。この再加熱温度が高いと再結晶が
進行し転位密度の低下により微細なフェライト組織が生
成しないため上限を950℃とした。また、低すぎると
再加熱後の最終仕上圧延での圧延温度が低下し形状の確
保が困難となるため下限を900℃とした。
状矯正のための連続圧延を行い、Ar1 点〜900℃の
温度まで降下した該粗管は、該温度より高い900〜9
50℃に再加熱する。この再加熱温度が高いと再結晶が
進行し転位密度の低下により微細なフェライト組織が生
成しないため上限を950℃とした。また、低すぎると
再加熱後の最終仕上圧延での圧延温度が低下し形状の確
保が困難となるため下限を900℃とした。
【0018】再加熱後Ar3 +50℃以上の温度で熱間
最終仕上圧延を行う。圧延温度は、あまり低くなると形
状の確保が困難となるAr3 +50℃以上とした。熱間
最終仕上圧延後に完全γ状態から放冷処理を行う。放冷
開始温度は、均一な組織を確保し必要とする特性を確保
するためAr3 点以上とした。放冷後の組織は、焼入組
織や中間段階組織が出現し降伏比を高めるためフェライ
ト組織が望ましい。よって、放冷時の冷却速度は10℃
/s以下とする。
最終仕上圧延を行う。圧延温度は、あまり低くなると形
状の確保が困難となるAr3 +50℃以上とした。熱間
最終仕上圧延後に完全γ状態から放冷処理を行う。放冷
開始温度は、均一な組織を確保し必要とする特性を確保
するためAr3 点以上とした。放冷後の組織は、焼入組
織や中間段階組織が出現し降伏比を高めるためフェライ
ト組織が望ましい。よって、放冷時の冷却速度は10℃
/s以下とする。
【0019】以上の製造条件で得られる鋼は、低降伏比
で靭性の優れた耐SSC性シームレス鋼管の製造に有効
である。
で靭性の優れた耐SSC性シームレス鋼管の製造に有効
である。
【0020】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。表1
は転炉で溶製し連続鋳造を経て製造された鋼片を熱間シ
ームレス圧延を行って放冷した鋼管の降伏比、靱性、お
よび耐SSC性を示す。耐SSC性は、NACE TM
01−77に従って定荷重方式によるσth(Thre
sholdStress)を求めて評価した。本発明に
よって製造された鋼管は、低降伏比で高靱性が得られ耐
SSC性が向上することがわかる。
は転炉で溶製し連続鋳造を経て製造された鋼片を熱間シ
ームレス圧延を行って放冷した鋼管の降伏比、靱性、お
よび耐SSC性を示す。耐SSC性は、NACE TM
01−77に従って定荷重方式によるσth(Thre
sholdStress)を求めて評価した。本発明に
よって製造された鋼管は、低降伏比で高靱性が得られ耐
SSC性が向上することがわかる。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】上記のような本発明法によって製造され
た鋼管は、低降伏比でさらに細粒であるため低温靭性お
よび耐SSC性が優れ、極北の寒冷地や硫化物応力腐食
環境において使用される。
た鋼管は、低降伏比でさらに細粒であるため低温靭性お
よび耐SSC性が優れ、極北の寒冷地や硫化物応力腐食
環境において使用される。
【図1】(a)は最終段の傾斜圧延後、(b)は板圧延
後における材料の金属組織(未再結晶組織)を示す10
0倍拡大顕微鏡写真。
後における材料の金属組織(未再結晶組織)を示す10
0倍拡大顕微鏡写真。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/00 - 8/10 C22C 1/00 - 49/14
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%として、 C :0.03〜0.20%、 Si:0.01〜2.5%、 Mn:0.15〜2.5%、 P :0.020%以下、 S :0.010%以下、 Al:0.005〜0.1%、 Ti:0.005〜0.1%、 Nb:0.005〜0.1%、 N :0.01%以下 を含有して残部が実質的にFeからなる鋼片を1100
℃以上に加熱した後、熱間穿孔圧延した中空素管を最終
傾斜圧延機前でAr3 点〜900℃まで冷却し、その直
後の最終傾斜圧延機で肉厚断面減少率で20〜70%の
成形加工を施し、さらに形状矯正のための熱間連続圧延
を行った後Ar1 点〜900℃の温度まで降下した中空
粗管を、該温度より高い900〜950℃に加熱した
後、仕上温度がAr3 点+50℃以上の熱間仕上圧延を
施し、冷却速度10℃/s以下の放冷処理を行うことを
特徴とする低降伏比高靭性シームレス鋼管の製造法。 - 【請求項2】 重量%として、 C :0.03〜0.20%、 Si:0.01〜2.5%、 Mn:0.15〜2.5%、 P :0.020%以下、 S :0.010%以下、 Al:0.005〜0.1%、 Ti:0.005〜0.1%、 Nb:0.005〜0.1%、 N :0.01%以下 を含有し、さらに Cr:0.1〜1.5%、 Mo:0.05〜0.5%、 Ni:0.1〜2.0%、 V :0.01〜0.1%、 B :0.0003〜0.0033%の1種または2種
以上 を含有して残部が実質的にFeからなる鋼片を1100
℃以上に加熱した後、熱間穿孔圧延した中空素管を最終
傾斜圧延機前でAr3 点〜900℃まで冷却し、その直
後の最終傾斜圧延機で肉厚断面減少率で20〜70%の
成形加工を施し、さらに形状矯正のための熱間連続圧延
を行った後Ar1 点〜900℃の温度まで降下した中空
粗管を、該温度より高い900〜950℃に加熱した
後、仕上温度がAr3 点+50℃以上の熱間仕上圧延を
施し、冷却速度10℃/s以下の放冷処理を行うことを
特徴とする低降伏比高靭性シームレス鋼管の製造法。 - 【請求項3】 重量%として、 C :0.03〜0.20%、 Si:0.01〜2.5%、 Mn:0.15〜2.5%、 P :0.020%以下、 S :0.010%以下、 Al:0.005〜0.1%、 Ti:0.005〜0.1%、 Nb:0.005〜0.1%、 N :0.01%以下 を含有し、さらに 希土類元素:0.001〜0.05%、 Ca:0.001〜0.02%、 Co:0.05〜0.5%、 Cu:0.1〜0.5%の1種または2種以上 を含有して残部が実質的にFeからなる鋼片を1100
℃以上に加熱した後、熱間穿孔圧延した中空素管を最終
傾斜圧延機前でAr3 点〜900℃まで冷却し、その直
後の最終傾斜圧延機で肉厚断面減少率で20〜70%の
成形加工を施し、さらに形状矯正のための熱間連続圧延
を行った後Ar1 点〜900℃の温度まで降下した中空
粗管を該温度より高い900〜950℃に加熱後、仕上
温度がAr3 点+50℃以上の熱間仕上圧延を施し、冷
却速度10℃/s以下の放冷処理を行うことを特徴とす
る低降伏比高靭性シームレス鋼管の製造法。 - 【請求項4】 重量%として、 C :0.03〜0.20%、 Si:0.01〜2.5%、 Mn:0.15〜2.5%、 P :0.020%以下、 S :0.010%以下、 Al:0.005〜0.1%、 Ti:0.005〜0.1%、 Nb:0.005〜0.1%、 N :0.01%以下 を含有し、さらに Cr:0.1〜1.5%、 Mo:0.05〜0.5%、 Ni:0.1〜2.0%、 V :0.01〜0.1%、 B :0.0003〜0.0033%の1種または2種
以上と、さらにまた 希土類元素:0.001〜0.05%、 Ca:0.001〜0.02%、 Co:0.05〜0.5%、 Cu:0.1〜0.5%の1種または2種以上 を含有して残部が実質的にFeからなる鋼片を1100
℃以上に加熱した後、熱間穿孔圧延した中空素管を最終
傾斜圧延機前でAr3 点〜900℃まで冷却し、その直
後の最終傾斜圧延機で肉厚断面減少率で20〜70%の
成形加工を施し、さらに形状矯正のための熱間連続圧延
を行った後Ar1 点〜900℃の温度まで降下した中空
粗管を該温度より高い900〜950℃に加熱後、仕上
温度がAr3 点+50℃以上の熱間仕上圧延を施し、冷
却速度10℃/s以下の放冷処理を行うことを特徴とす
る低降伏比高靭性シームレス鋼管の製造法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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CN108796362B (zh) * | 2017-04-26 | 2020-12-22 | 宝山钢铁股份有限公司 | 具有优异低温抗动态撕裂性能的x70管线钢及其制造方法 |
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