JP3144805B2 - ヒトTh2特異的タンパク質及びこれをコードする遺伝子(B19)並びにこれに関連する形質転換体、組換えベクター及びモノクローナル抗体 - Google Patents

ヒトTh2特異的タンパク質及びこれをコードする遺伝子(B19)並びにこれに関連する形質転換体、組換えベクター及びモノクローナル抗体

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一行 小川
和也 田中
欽也 永田
昇一 高野
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、Th2特異的タンパク質及びこれをコードす
る遺伝子並びにこれに関連する形質転換体、組換えベク
ター及びモノクローナル抗体に関する発明である。
より詳細には、アトピー性疾患の発症,エイズの劇症
化等に深く関わるヘルパーT細胞群におけるバランスの
変化を迅速かつ簡便に特定する手段として用いることが
できる2型ヘルパーT細胞にのみ特異的なタンパク質及
びこれをコードする遺伝子に関する発明である。
また、本発明はこの遺伝子を組み込んだ遺伝子発現用
組換えベクター,このベクターで形質転換した形質転換
体に関する発明である。
さらに、本発明は上記のTh2遺伝子特異的タンパク質
を抗原とするモノクローナル抗体及びこのモノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーマに関する発明である。
背景技術 近年、免疫学は驚くべき進歩を見せ、その医学分野に
おける貢献は多大である。
免疫学は、感染免疫,腫瘍免疫,アレルギー,アナフ
ィラキシー等のどのような免疫反応でも、その促進と抑
制の中心的役割を果たしているのは、マクロファージや
リンパ球等が産生するサイトカインであることを既に明
らかにしている。
MosmannとCoffmanらは、マウス脾細胞から樹立した長
期培養可能なCD4+T細胞クローンを、その産生するサイ
トカインの違いから異なる2つのサブセットに分類した
(Nosmann,T.R.et al.,J.Immunol.,136,2348(198
6))。
すなわち、主にIL−4,IL−5,IL−6,IL−10及びIL−13
を産生する「T−helper2(Th2)」と、主にIL−2,IFN
−γ及びTNF−βを産生する「T−helper1(Th1)」と
に分類した。
ヒトにおいては、当初このようなペルパーT細胞のサ
ブセットの存在は疑問視されていたが、現在ではその存
在が明らかに認められている(Romagnani,S.,Immunolog
y Today 12,256(1991)等)。
現在、これらのマウスやヒトのヘルパーT細胞サブセ
ットTh2,Th1の性状や機能がますます明らかになりつつ
あり、多くの免疫反応の調節にあずかる中心細胞として
の生物的意義が注目されている。
また、多くの感染症や免疫学的疾患では、患者リンパ
球のTh1/Th2サブセットの分布においては、そのいずれ
かに極端に偏る極性化が起こり、この極性化がその疾患
の病勢や病型に反映していることが示唆されている。
例えば、Mycobacterium感染症においては、Mycobac
teriumに対する免疫反応がDTH(遅延型)反応を主とし
た型をとっている場合はTh1優位であり、慢性化し進行
型を呈する場合にはTh2優位になること、HIV感染症に
おいては、Th1型のサイトカインの産生は長期間の非進
行性患者に多く、Th2への極性化が起こると症状は進行
又は劇症化すること及びアトピー性疾患の患者におい
ては、Th2への極性化が起こると症状が悪化すること等
が現在明らかになりつつある。
そこで、本発明が解決すべき課題は、上記のTh1/Th2
サブセットの分布の極性化(以下、Th1/Th2インバラン
スという)における知見に基づいた、免疫関連疾患の病
勢や病型の特定手段を提供することにある。
図面の簡単な説明 第1図は、B19クローンのノーザンブロッティング解
析の結果を示す電気泳動写真像等を示した図面である。
第2図は、インビトロにおける本発明Th2(B19)遺伝
子の翻訳産物の電気泳動写真像等を示した図面である。
第3図は、本発明Th2(B19)遺伝子由来のmRNA発現の
組織特異性を示すノーザンブロッティング解析の結果を
示す電気泳動写真像等を示した図面である。
第4図は、本発明モノクローナル抗体を用いた膜蛍光
抗体法により、Th1クローン及びTh2クローン細胞を染色
後、フローサイトメーターで解析した結果を示した図面
である。
発明の開示 本発明者は、上記課題について鋭意検討を行った。そ
の結果、Thに特異的なタンパク質とこれをコードする遺
伝子及びTh1に特異的なタンパク質及びこれをコードす
る遺伝子をそれぞれ特定,調製することができれば、こ
れを基にして所望する免疫関連疾患の病勢や病型の特定
手段を提供し得ることを見出し本発明を完成した。
本願は、上記遺伝子の内、ヒトTh2に特異的なタンパ
ク質及びこれをコードする遺伝子(B19)に関連するも
のである。
すなわち、本発明者は本願において、以下に掲げる発
明を提供するものである。
第1に、配列番号6で表されるアミノ酸配列のヒトTh
2特異的タンパク質を提供する。
第2に、配列番号6で表されるアミノ酸配列をコード
する塩基配列を含むヒトTh2特異的遺伝子を提供する。
第3に、配列番号5で表される塩基配列のヒトTh2特
異的遺伝子を提供する。
第4に、前記したいずれかのヒトTh2特異的遺伝子を
含有する遺伝子発現用組換えベクターを提供する。
第5に、前記遺伝子発現用組換えベクターで形質転換
され、かつ、この遺伝子発現用ベクターに含まれている
ヒトTh2特異的遺伝子が発現している形質転換体を提供
する。
第6に、前記したヒトTh2特異的タンパク質のいずれ
かの部分を抗原決定基とし、かつ、ヒトTh1特異的タン
パク質との間においては免疫反応性を示さないモノクロ
ーナル抗体を提供する。
第7に、前記モノクローナル抗体を産生するハイブリ
ドーマを提供する。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明におけるヒトTh2に特異的な遺伝子〔以下、本
発明Th2(B19)遺伝子という。この本発明Th2(B19)遺
伝子には、特に断らない限り、本発明の技術的範囲に入
るべき改変ヒトTh2(B19)特異的遺伝子(後述する)が
含まれる。〕の由来となるヒトTh2とは、上記の通り、
ヒトヘルパーT細胞のサブセットの一つである。
このヒトTh2は、以下のような特徴を有するヘルパー
T細胞のサブセットである。
ヒトTh2は、IL−4及びIL−5を産生するが、IFN−γ
及びTNF−βは産生しない。
ヒトTh2は、IL−2及びIL−4に反応して増殖し、IFN
−γの存在により誘導が抑制される〔これに対して、他
方のサブセットのヒトTh1は、同様にIL−2(IL−12に
も)に反応して増殖するが、ヒトTh2とは逆に、IL−4
の存在により誘導が抑制される〕。
ヒトTh2の表面マーカーは、現在ヒトTh1と明確に区別
できる表面マーカーは見出されておらず、ヒトTh2はヒ
トTh1と同様に、CD44bright,CD45RBdull,LECAM−1dull
の表現型を有する。
ヒトTh2は、抗体産生を亢進させる。特に、IgEの産生
を誘導する。
ヒトTh2は、肥満細胞や好酸球の分化や増殖を促進す
る。
ヒトTh2は、抗原特異的DHTを誘起せず、慢性化し進行
型を示す場合に優位となる。
本発明(B19)Th2遺伝子は、例えばこのような特徴を
有するヒトTh2クローンを樹立し、このクローンからヒ
トTh2のcDNAライブラリーを調製して得ることができ
る。
A.ヒトTh2クローンの樹立 所望するヒトTh2クローンを樹立する前提として、こ
のクローンを含むことが知られているCD4+T細胞集団を
調製する。
この調製方法は、通常公知の方法、例えば“Gianfran
co,F.D.P.,et al.,J.Clin.Invest.,88,346(1991)”に
記載されている方法に従って調製することが可能であ
る。
より具体的には、例えばヒトの全血から末梢血単核球
を分離して、これを種々のT細胞活性化因子により刺激
をして、所望するCD4+T細胞集団を調製することができ
る。T細胞活性化因子としては、例えばインゲンマメ由
来の植物凝集素(PHA)等の非特異的T細胞活性化因子;
IL−2,IL−4,IL−12等のサイトカイン;PPD,ダニ抽出液
等の刺激抗原等を挙げることができる。
この調製過程を経た後、後述するCD4+T細胞の単離工
程に先立ち、予めCD4+T細胞以外の要素、例えばCD8+T細
胞等を除去する工程に付することが好ましい。この除去
工程としては、例えば抗CD4抗体を結合した磁気ビーズ
を用いてCD4+T細胞のみを濃縮する方法等を挙げること
ができる。
上記誘導過程を経え後、CD4+T細胞クローンを単離す
る。この単離方法も通常公知の方法、例えば限界希釈法
に従ってこの単離を行うことができる。
より具体的には、例えばPHA及びIL−2を添加した培
地で、細胞をウエル当り0.5〜10細胞となるように96穴
マイクロプレートに播き、3〜4日毎にIL−2添加培地
で培地交換を続け、増殖が認められた(通常2〜4週
間)細胞について表面マーカーを調べ、CD4陽性のクロ
ーンのみを選択して、対象となるCD4+T細胞クローンと
することができる。
このようにして単離したCD4+T細胞クローンの中から
所望のヒトTh2クローンを選択・調製することができ
る。
CD4+T細胞クローンからのヒトTh2クローンの選択は、
既に知られているヒトTh2とヒトTh1の性質の違いに基づ
き行われる。
すなわち、例えば、抗CD3抗体の刺激に応答してIL−
4を産生するがIFN−γを産生しないクローンをヒトTh2
クローンとして選択することができる(これに対して、
逆にIFN−γを産生するがIL−4を産生しないクローン
はヒトTh1として選択される)。
B.ヒトTh2に特異的なcDNAの調製 ヒトTh2のcDNAとヒトTh1のcDNAには、双方に共通する
遺伝子配列と、各々において特異的な遺伝子配列が存在
することが予想される。
このような状況下、所望するヒトTh2に特異的なcDNA
を調製するには、ヒトTh2のcDNA集団からヒトTh1のcDNA
と共通なものを除去する、いわゆるサブトラクション法
を用いるのが有利である。
このサブトラクション法としては、例えばデービスら
の方法(Davis,M.M.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.
A.,81,2194(1984))を挙げることができる。
この方法はサブトラクションの対象となる一方の素材
のcDNAと、他方の素材の大過剰のpoly(A)+RNAをハイ
ブリダイズさせて、ハイブリダイズせずに残ったcDNAを
プローブとして、上記一方の素材のcDNAライブラリーを
スクリーニングすることにより、上記一方の素材に特異
的なcDNAクローンを得る方法である。
この方法は、大量のpoly(A)+RNAを必要とするとい
う点が、poly(A)HRNAの素材を大量に入手することが
困難な場合においては実施することが困難であるという
欠点がある。
そこで、比較的少量のpoly(A)+RNAを出発材料とし
てサブトラクションを行うために、PCR法を導入する方
法も既に報告されている〔例えば、gene expression sc
reen法(Wang,Z.and Brown,D.D.,Proc.Natl.Acad.Sci.
U.S.A.,88,11505(1991))等〕。この方法は、上記の
方法における出発材料のcDNAを一度PCR法で増幅するこ
とを特徴とする方法であるが、上記サブトラクション操
作とPCRによる増幅操作を繰り返すことで稀少なmRNAを
クローニングできるという利点を有する方法である。
本発明においては、一般的に正常のCD4+T細胞クロー
ンの大量培養が困難であり、cDNAの鋳型となるmRNAを大
量に確保することが困難である故、上記のサブトラクシ
ョン法のうち、例えば上記「gene expression screen
法」を用いることが好ましい。
より具体的には、通常公知の方法(例えば、poly
(A)+RNAを鋳型として、逆転写酵素を用いる方法)で
ヒトTh2クローン及びヒトTh1クローン由来のcDNAを調製
して、PCR法を用いてこれらのcDNAを増幅する。
このcDNAの増幅に際しては、PCR法による増幅に適し
た長さのcDNA断片を得るために、予め制限酵素処理や超
音波処理をcDNAに施すことが好ましい。
また、PCR法による増幅に必要なPCRプライマーとし
て、例えば、ヒトTh2及びヒトTh1それぞれに異なった塩
基配列を有する特異的なプライマーを使用することがで
きる。この特異的なプライマーは、通常化学合成により
調製される。このようにすると、サブトラクション操作
の後にヒトTh2由来のcDNAのみが増幅され、微量に混入
し得るヒトTh1由来のcDNAの増幅を最小限に止め得ると
いう点で有利である。
この場合は、予めこのPCR用プライマーがアニールし
得る配列を含んだリンカーを上記cDNA断片の両端に結合
させる必要がある。このため、上記断片化処理において
は、このリンカーが結合し得る末端を有するcDNA断片を
提供する制限酵素を用いることが好ましい。
PCRリンカーを結合した後のヒトTh2クローン及びヒト
Th1クローン由来のcDNA断片群より、ある程度の長さを
有する断片をアガロースゲル電気泳動等の分別手段によ
り選別し、この選別したcDNA断片群をPCR法により増幅
し、この増幅済断片をサブトラクションの出発材料とす
ることができる。
このようにして調製したcDNA断片群のうち、ヒトTh2
クローン由来のcDNA断片群から、ヒトTh2及びヒトTh1に
共通する塩基配列を有するcDNAを除いたcDNA断片群を選
別して、所望する本発明ヒトTh2遺伝子を含んだ遺伝子
ライブラリーを調製することができる。
この選別方法は、例えば一定量のヒトTh2クローン由
来のcDNA断片群に過剰量の標識したヒトTh1クローン由
来cDNA断片群のハイブリダイズさせて、この標識に基づ
いてヒトTh1クローン由来cDNA断片とハイブリダイズし
たcDNAを除去して、残りの断片をヒトTh2にのみ特異的
な遺伝子配列に基づいたcDNA断片として扱う方法を採る
ことができる。
ここで用いる標識は、上記選別方法を行うことが可能
である限り特に限定されないが、可能な限り標識及び除
去が簡便な手段を用いることが好ましいことは勿論であ
る。かかる点より、例えばビオチンでcDNA断片を標識し
て、標識されたcDNA断片をストレプトアビジンに吸着さ
せる手法等を用いることが有利である。
なお、上記の手段により選別されたヒトTh2にのみ特
異的な遺伝子配列に基づいたcDNA断片を、さらにPCR法
によって増幅させて再び上記の選別手段を行う過程を繰
り返すことによって、所望するcDNA断片を濃縮・増幅す
ることができる。
このようにして調製した、cDNA断片を用いて、本発明
Th2(B19)遺伝子を含んだ遺伝子ライブラリーを得るこ
とができる。
かかる遺伝子ライブラリーの調製工程については、通
常公知の方法を用いることができる。
すなわち、上記cDNA断片を適切な遺伝子導入用ベクタ
ーに組み込み、これを選択した遺伝子導入用ベクターに
応じた宿主に導入することにより所望する遺伝子ライブ
ラリーを調製することができる。なお、この遺伝子導入
用ベクターにcDNA断片が組み込まれたか否かは、このベ
クターが保有する,例えばlac Z遺伝子活性によるカラ
ーセレクション等によって確認することができる。
ここで用いる導入用ベクターは、特に限定されず、例
えばプラスミドとしては、pBluescript,pUC18,pBR322,p
BGP120,pPCφ1,pPCφ2,pPCφ3,pMC1403,pLG200,pLG300,
pLG400等を;λファージとしては、λgt10,λZAP II等
を挙げることができるが、取扱いの簡便さから上記lac
Z遺伝子をマーカーとして保有するプラスミドを用いる
ことが好ましい。具体的には、上記導入用ベクターのう
ち、pBluescript,pUC18,pBGP120等を選択することが好
ましい。
なお、この遺伝子ライブラリーの調製工程を市販の遺
伝子ライブラリー調製用キットを用いて行うことも可能
である。
C.本発明Th2(B19)遺伝子の単離 上記のようにして調製した遺伝子ライブラリーから、
直接DNAを抽出して、それらのうちのいくつかの塩基配
列を決定して、それらの塩基配列から本発明Th2(B19)
遺伝子を有するクローンを選別することも可能である
が、予めさらにクローンを選別して確実に本発明Th2(B
19)遺伝子を有するクローンを特定することが好まし
い。
かかる選別方法としては、通常公知の方法を用いるこ
とができる。たとえば、上記のごとく調製した、ヒトTh
2に特異的な遺伝子に基づく遺伝子ライブラリー及び別
に調製したヒトTh1に特異的な遺伝子に基づく遺伝子ラ
イブラリーに由来する遺伝子を調製し、これに標識を施
して標識プローブとして、ヒトTh2に特異的な遺伝子に
基づく遺伝子ライブラリーのレプリカとハイブリダイズ
させて、ヒトTh2に特異的な遺伝子のプローブとはハイ
ブリダイズするが、ヒトTh1に特異的な遺伝子のプロー
ブとはハイブリダイズしないクローンを選別して、この
クローンを本発明ヒトTh2を保有するクローンとして、
後述する本発明Th2(B19)遺伝子の塩基配列を決定する
対象とすることができる。
なお、さらに慎重を期するために、例えばヒトTh2及
びヒトTh1の全RNA又はpoly(A)+RNAを用いたノーザン
ブロッティング法を用いて発現するmRNAのパターンを比
較して、後述する本発明Th2(B19)遺伝子の塩基配列を
決定する対象となるクローンを決定付けることもでき
る。
このようにして調製したクローンにおける本発明Th2
(B19)遺伝子の塩基配列の決定手段は通常公知の方法
を用いて行うことができる。
例えば、マキサム−ギルバート法(Maxam,A.M.,and G
ilbert,W.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,74,560(197
7)),ゲノミック・シークエンス法(Church,G.M.and
Gilbert,W.,Porc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81,1991(198
4)),マルチプレックス法(Church,G.M.and Kieffer
−Higgins,S.,Science,240,185(1988)),サイクルシ
ークエンス法(Murray,V.,Nucleic Acids Res.,17,8889
(1989)),ジデオキシ法(Sanger,F.,et al.,Proc.Na
tl.Acad.Sci.U.S.A.,74,5463(1977))等の方法を用い
て、所望する本発明Th2(B19)遺伝子の塩基配列を決定
することができる。
なお、これらの原理を応用した塩基配列自動解析装置
を用いて、この塩基配列を決定することも勿論可能であ
る。
上記のごとくして決定された本発明Th2(B19)遺伝子
の塩基配列を基にして、この本発明Th2(B19)遺伝子そ
のものを入手することができる。
すなわち、上記と同様に調製した本発明Th2(B19)遺
伝子の出所となるヒトTh2のcDNAを鋳型とし、上記のご
とく決定された本発明Th2(B19)遺伝子の5′末端側と
3′末端側の配列を含むDNA断片をプライマーとして、
前出のPCR法により、本発明Th2(B19)遺伝子を大量に
増幅させて入手することができる。
また、上記のごとく塩基配列を決定したヒトTh2遺伝
子断片そのものをプローブとして、ヒトTh2から作出し
たcDNAの遺伝子ライブラリーから本発明Th2(B19)遺伝
子を有するクローンを選別して、本発明Th2(B19)遺伝
子の全長を入手する伝統的な手法を用いることも可能で
ある。
さらに、ホスファイト−トリエステル法(lkehara,
M.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81,5956(198
4))等の通常公知の方法を用いて本発明Th2(B19)遺
伝子を化学合成することも可能であり、これらの化学合
成法を応用したDNAシンセサイザーを用いて本発明Th2
(B19)遺伝子を合成することも可能である。
なお、このようにして製造する本発明Th2(B19)遺伝
子の塩基配列の一部を改変して、この塩基配列の一部の
塩基が欠失,置換若しくは付加された塩基配列からなる
改変遺伝子〔この本発明Th2(B19)遺伝子(B19)に対
する相同性は、概ね70%以上である〕の存在を本発明者
は認識し、このような改変遺伝子にも本発明の技術的範
囲は及ぶものである。
この本発明の技術的範囲が及び得るヒトTh2遺伝子
は、ストリンジェントな条件下{系におけるDNA同士の
ハイブリッドが形成しにくい条件〔具体的には、系の温
度(高い程ハイブリッドしにくい)や塩濃度(低い程ハ
イブリッドしにくい)、やホルムアミド等の変性剤の濃
度(高い程ハイブリッドしにくい)等に依存する〕のこ
とをいう。}で配列番号5(後述する)で表される塩基
配列のDNAとハイブダイズし、さらに配列番号6(後述
する)で表されるアミノ酸配列を有するヒトTh2(B19)
特異的タンパク質を実質的に同一の生物学的活性を有す
るヒトTh2特異的タンパク質をコードするヒトTh2特異的
遺伝子である。
ここにいう「実質的に同一」とは、その生物学的活性
が比較の対象となるヒトTh2(B19)特異的タンパク質の
生物学的活性と質的及び/又は量的に同一性を有するこ
とを意味する。
具体的なヒトTh2(B19)特異的タンパク質の生物学的
活性については後述する。
この遺伝子改変法として、通常公知の方法、例えばい
わゆるサイト−スペシフィックミュータジェネシス(Si
te−Specific Mutagenesis)(Mark,D.F.,et al.,Proc.
Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81,5662(1984))等の方法を用
いて、所望の遺伝子改変を行うことができる。
このようにして入手した本発明Th2(B19)遺伝子を用
いて、疾患の局所におけるTh1/Th2バランスのチェック
を行うことができる。
すなわち、疾患の局所のmRNAを抽出して、例えばRT−
PCR法(“PCR Protocols,A Guide to Methods and Appl
ications"Innis,M.A.,et al.,ed.,Academic Press,San
Diego,1990)を用いて、この組織における本発明Th2(B
19)遺伝子の発現の程度を測定して、疾患の局所におけ
るTh1/Th1バランスのチェックを行うことができる。
このTh1/Th2バランスをチェックすることにより、上
記従来技術の欄に記載したごとく、Th1/Th2インバラン
スが重大な要素となる疾患、例えばHIV感染症,アレル
ガー疾患,各種の感染症等が症状の推移等をより確実に
把握することができる。
なお、このTh1/Th2バランスのチェックは、後述する
ヒトTh2のポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体
を用いて行うことも勿論可能であるが、ここに示したチ
ェック手段は、これらの抗体を用いることが困難な局
面、例えば目的のタンパク質の発現量が極微量である場
合等に際して有効なチェック手段である。
D.本発明ヒトTh2(B19)タンパク質の製造: さらに、このようにして入手した、本発明Th2(B19)
遺伝子を用いて、組換えヒトTh2特異的タンパク質〔以
下、本発明ヒトTh2(B19)タンパク質という。この本発
明ヒトTh2(B19)タンパク質には、特に断らない限り上
記の改変遺伝子から翻訳され得る改変タンパク質は、改
変されていない本発明ヒトTh2(E26)タンパク質と実質
的に同一の生物学的活性を有する。〕を製造することが
できる。
この本発明ヒトTh2(B19)タンパク質は、上記本発明
Th1(B19)遺伝子を利用して、通常公知の一般的な遺伝
子組換え技術に従って製造することができる。
より具体的には、本発明Th2(B19)遺伝子が発現可能
な形態の遺伝子発現用ベクターに本発明Th2(B19)遺伝
子を組み込み、この遺伝子発現用ベクターの性質に応じ
た宿主にこの組換えベクターを導入して形質転換し、こ
の形質転換体を培養等することにより所望の本発明ヒト
Th2(B19)タンパク質を製造することができる。
ここで用いる遺伝子発現用ベクターは、通常発現しよ
うとする遺伝子の上流域にプロモーター,エンハンサ
ー,及び下流域に転写終了配列等を保有するものを用い
るのが好適である。
また、本発明Th2(B19)遺伝子の発現は、直接発現系
に限らず、例えばβ−ガラクトシダーゼ遺伝子,グルタ
チオン−S−トランスフェラーゼ遺伝子やチオレドキシ
ン遺伝子を利用した融合タンパク質発現系とすることも
できる。
かかる遺伝子発現用ベクターとしては、例えば宿主を
大腸菌とするものとしては、pQE,pGEX,pT7−7,pMAL,pTr
xFus,pET,pNT26C II等を例示することができる。また、
宿主を枯草菌とするものとしては、pPL608,pNC3,pSM23,
pKH80等を例示することができる。
また、宿主を酵母とするものとしては、pGT5,pDB248
X,pART1,pREP1,YEp13,YRpY,YCp50等を例示することがで
きる。
また、宿主を哺乳動物細胞又は昆虫細胞とするものと
しては、p91023,pCDM8,pcDL−SRα296,pBCMGSNeo,pSV2d
hfr,pSVdhfr,pAc373,pAcYM1,pRc/CMV,pREP4,pcDNA I等
を例示することができる。
これらの遺伝子発現ベクターは、本発明ヒトTh2(B1
9)タンパク質を発現させる目的に応じて選択すること
ができる。例えば大量に本発明ヒトTh2(B19)タンパク
質を発現させることを企図する場合には、宿主として大
腸菌,枯草菌又は酵母等を選択し得る遺伝子発現ベクタ
ーを選択するのが好ましく、少量でも確実に活性を有す
るように本発明ヒトTh2(B19)タンパク質を発現させる
ことを企図する場合には、哺乳動物細胞や昆虫細胞を宿
主として選択し得る遺伝子発現ベクターを選択するのが
好ましい。
上記のように既存の遺伝子発現ベクターを選択するこ
とも可能であるが、目的に応じて適宜遺伝子発現ベクタ
ーを作出して、これを用いることも勿論可能である。
なお、これらの遺伝子発現用組換えベクターも本発明
の技術的範囲に入るものである。
本発明Th2(B19)遺伝子を組み込んだ上記遺伝子発現
用ベクターの宿主細胞への導入及びこれによる形質転換
法は、一般的な方法、例えば宿主細胞が大腸菌や枯草菌
である場合には、塩化カルシウム法やエレクトロポレー
ション法等を;宿主が哺乳動物細胞や昆虫細胞の場合は
リン酸カルシウム法,エレクトロポレーション法又はリ
ポソーム法等の手段により行うことができる。
このようにして得られる形質転換体を常法に従い培養
することにより、所望する本発明ヒトTh2(B19)タンパ
ク質が蓄積される(このような形質転換体も本発明の技
術的範囲に含まれる)。
かかる培養に用いられる培地は、宿主の性質に応じて
適宜選択することができるが、例えば宿主が大腸菌であ
る場合には、LB培地やTB培地等が、宿主が哺乳動物細胞
の場合には、RPMI1640培地等を適宜用いることができ
る。
この培養により得られる培養物からの本発明ヒトTh2
(B19)タンパク質の単離及び精製は、常法に従い行う
ことが可能であり、例えば培養物を、本発明ヒトTh2(B
19)タンパク質の物理的及び/又は化学的性質を利用し
た各種の処理操作を用いて行うことが可能である。
具体的には、タンパク沈澱剤による処理,限外濾過,
ゲル濾過,高速液体クロマトグラフィー,遠心分離,電
気泳動,特異抗体を用いたアフィニティクロマトグラフ
ィー,透析法等を単独で又はこれらの方法を組み合わせ
て用いることができる。
このようにして、本発明ヒトTh2(B19)タンパク質を
単離、精製することが可能である。
なお、上記の本発明Th2(B19)遺伝子発現系におい
て、宿主として患者自身から分離したT細胞又は骨髄細
胞等を本発明Th2(B19)遺伝子で形質転換して、この形
質転換体を患者に戻すことにより、いわゆる遺伝子治療
に利用することが可能である。
この場合の発現用ベクターとしては、例えばレトロウ
イルスやアデノウイルス等のウイルスベクター等を挙げ
ることができる。
この形質転換細胞を用いて行う遺伝子治療は、Th1優
位のTh1/Th2インバランスに陥っていることが重大な原
因となる疾病の患者に対して行うことができる。具体的
には、例えば多発性硬化症やリウマチ様関節炎に上記形
質転換細胞を投与して、これによりこれらの疾患の重大
な原因となっているTh1優位のTh1/Th2インバランスを、
投与した形質転換細胞にヒトTh2(B19)タンパク質を患
者の体内で発現させることにより遺伝子治療を行うこと
ができる。
E.本発明ヒトTh2(B19)タンパク質に対する抗体の製
造: 本発明は、上記本発明ヒトTh2(B19)タンパク質に対
する抗体にも関する。
すなわち、本発明ポリクローナル抗体は、ヒトTh2(B
19)タンパク質を免疫抗原として免疫した動物に由来す
る免疫血清から製造することができる。
ここで使用される免疫抗原としてのヒトTh2(B19)タ
ンパク質は、特に限定されるものではなく、上記のごと
く調製される本発明Th2(B19)遺伝子(その塩基配列の
一部を改変したものも含む)がコードする本発明ヒトTh
2(B19)タンパク質を用い得ることは勿論のこと、本発
明Th2(B19)遺伝子の一部断片がコードする本発明ヒト
Th2(B19)タンパク質の断片や本発明ヒトTh2(B19)タ
ンパク質に直接酵素処理等を施して、又は化学合成して
得られる本発明ヒトTh2(B19)タンパク質の部分ペプチ
ドをも本発明ポリクローナル抗体を製造する上での免疫
抗原とすることができる。
また、免疫動物と同種・同系統の動物由来の細胞株
を、ヒトTh2タンパク質〔本発明ヒトTh2(B19)タンパ
ク質を含む〕又はその一部をコードする遺伝子を組み込
んだ発現ベクターを導入して形質転換して、この形質転
換細胞をその免疫動物に移植することにより本発明ポリ
クローナル抗体を調製することができる。すなわち、形
質転換細胞を移植した動物の体内で、持続的に上記ヒト
Th2タンパク質がその形質転換細胞で作られ、それに対
する抗体が産生されて、これを本発明ポリクローナル抗
体とすることもできる(Nemoto,T.,et al.,Eur.J.Immun
ol.,25,3001(1995))。
さらに、上記ヒトTh2タンパク質を発現する発現ベク
ターを直接動物に筋注や皮下注等の手段で投与すること
により、その動物内で上記ヒトTh2タンパク質を継続的
に産生させて、上記の形質転換細胞を移植した場合と同
様に本発明ポリクローナル抗体を製造することができる
(Raz,E.,el al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,91,9519
(1994))。
一方、本発明モノクローナル抗体は、本発明ポリクロ
ーナル抗体の場合と同様の方法で、免疫した動物の免疫
細胞と動物の骨髄腫細胞とのハイブリドーマを作出し、
これによりヒトTh2タンパク質を認識する抗体を産生す
るクローンを選択し、このクローンを培養することによ
り製造することができる。
また、免疫される動物も特に限定されるものではな
く、マウス,ラット等を広く用いることができるが、モ
ノクローナル抗体を製造する場合には、細胞融合に用い
る骨髄腫細胞との適合性を考慮して選択することが望ま
しい。
免疫は一般的方法により、例えば上記免疫抗原の免疫
を対象とする動物に静脈内,皮内,皮下,腹腔内注射等
で投与することにより行うことができる。
より具体的には、上記免疫抗原を所望により通常のア
ジュバントと併用して、免疫の対象とする動物に2〜14
日毎に上記手段により数回投与し、ポリクローナル抗体
製造のために免疫血清又はモノクローナル抗体製造のた
めの免疫細胞、例えば免疫後の脾臓細胞を得ることがで
きる。
モノクローナル抗体を製造する場合、この免疫細胞と
細胞融合する他方の親細胞としての骨髄腫細胞として
は、既に公知のもの、例えばPS2/0−Ag14,P3−NS1−1
−Ag4−1,MPC II−45,6.TG1.7(以上、マウス由来);21
0,RCY.Ag1.2.3(ラット由来);SKO−007,GM15006TG−A1
2(以上、ヒト由来)等を用いることができる。
上記免疫細胞とこの骨髄腫細胞との細胞融合は、通常
公知の方法、例えばケーラーとミルシュタインの方法
(Kohler,G.and Milstein,C.,Nature,256,495(197
5))等に準じて行うことができる。
より具体的には、この細胞融合は、通常公知の融合促
進剤、例えばポリエチレングリコール(PEG),センダ
ウイルス(HVJ)等の存在下において、融合効率を向上
させるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を必要に
応じて添加した通常の培養培地中で行い、ハイブリドー
マを調製する。
所望のハイブリドーマの分離は、通常の選別用培地、
例えばHAT(ヒポキサンチン,アミノプテリン及びチミ
ジン)培地で培養することにより行うことができる。す
なわち、この選別用培地において目的とするハイブリド
ーマ以外の細胞が死滅するのに十分な時間をかけて培養
することによりハイブリドーマの分離を行うことができ
る。このようにして得られるハイブリドーマは、通常の
限界希釈法により目的とするモノクローナル抗体の検索
及び単一クローン化に供することができる(このハイブ
リドーマも本発明の技術的範囲に入るものである。)。
目的とするモノクローナル抗体産生株の検索は、例え
ばELISA法,プラーク法,スポット法,凝集反応法,オ
クタロニー法,RIA法等の一般的な検索法に従い行うこと
ができる。
このようにして得られるヒトTh2タンパク質を認識す
る所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
は、通常の培地で継代培養することが可能であり、さら
に液体窒素中で長時間保存することもできる。
このハイブリドーマからの所望のモノクローナル抗体
の採取は、このハイブリドーマを常法に従って培養し
て、その培養上清として得る方法や、ハイブリドーマを
このハイブリドーマに適合性が認められる動物に投与し
て増殖させ、その腹水として得る方法等を用いることが
できる。
なお、インビトロで免疫細胞をヒトTh2タンパク質又
はその一部の存在下で培養し、一定期間後に上記細胞融
合手段を用いて、この免疫細胞と骨髄腫細胞とのハイブ
リドーマを調製し、抗体産生ハイブリドーマをスクリー
ニングすることで所望するモノクローナル抗体を得るこ
ともできる(Reading,C.L.,J.Immunol.Meth.,53,261(1
982);Pardue,R.L.,et al.,J.Cell Biol.,96,1149(198
3))。
さらに、免疫原として本発明ヒトTh2(B19)タンパク
質を用いることなしに、免疫原として直接本発明Th2(B
19)遺伝子又はその一部を用いて所望するモノクローナ
ル抗体を得ることも可能である。
すなわち、本発明Th2(B19)遺伝子で直接動物を免疫
して(この免疫の際には、この遺伝子を含む遺伝子発現
用組換えベクターを免疫原として用いることができ
る)、その遺伝子免疫動物の免疫細胞又は免疫血清を用
いることによって、ヒトTh2(B19)タンパク質を特異的
に認識するモノクローナル抗体を製造することができ
る。
また、上記で得られるポリクローナル抗体及びモノク
ローナル抗体は、更に塩析,ゲル濾過法,アフィニティ
クロマトグラフィー等の通常の手段により精製すること
ができる。
このようにして得られるポリクローナル抗体及びモノ
クローナル抗体は、ヒトTh2タンパク質に対して特異反
応性を有する抗体である。
上記ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体は、
体内のTh1/Th2バランスをチェックする手段として用い
ることができる。すなわち、上記抗体をELISA,RIA,免疫
組織化学的手法,フローサイトメトリーによる解析,ウ
エスタンブロット法等に用いることによって、検体中の
ヒトTh2量を特定することにより、体内のTh1/Th2バラン
スをチェックして、上記従来技術の欄に記載したごと
く、Th1/Th2インバランスが重大な要素となる疾患、例
えばアトピー性疾患やエイズ等の症状の推移等をより確
実に把握することができる。
また、上記のようにして得られるポリクローナル抗体
及びモノクローナル抗体は、例えばTh2が優位のTh1/Th2
インバランスを是正する抗体として用いることができ
る。
なお、動物由来の抗体においては、そのまま人間に投
与する場合に抗原性が認められ、そのままヒトに投与す
るのには適さない面がある。そのために、動物由来のモ
ノクローナル抗体の遺伝子の可変領域をクローニングし
て、この可変領域の遺伝子とヒト型の抗体の遺伝子の定
常領域の遺伝子と結合させて、この融合遺伝子を発現さ
せて融合抗体を製造することができる(Clackson,T.,et
al.,Nature,352,624(1991))。
この技術の上記モノクローナル抗体について適用する
ことも可能である。すなわち、動物由来の上記モノクロ
ーナル抗体の可変領域とヒト型の抗体の定常領域とが融
合した融合抗体を、例えばTh2が優位のTh1/Th2インバラ
ンスを是正する抗体として用いることもできる。
実施例 以下、実施例等により本発明を具体的に記載するが、
この実施例により本発明の技術的範囲が限定して解釈さ
れるべきものではない。
〔実施例1〕 本発明Th2(B19)遺伝子の製造等 (1)ヘルパーT細胞クローンの調製 健常人の末梢血単核球(PBMC)106細胞/mlに、ヒトTh
1細胞を主に誘導するために、PHA(EYラボラトリーズ社
製)1μg/ml,rIFN−γ(ジエンザイム社製)50ng/ml及
びrIL−12(R&Dシステムズ社製)5ng/mlを添加して
5日間培養した。一方、ヒトTh2を主に誘導するため
に、PBMCにダニ抽出液(鳥居薬品製)2%(v/v),rIL
−4(ジエンザイム社製)20ng/ml及び抗IFN−γ抗体
(ジエンザイム社製)を5μg/mlを添加して5日間培養
した。
5日後、各々の培養にrIL−2(塩野義製薬製)を40U
/ml添加して、さらに7〜10日間培養した。
次に、この培養集団の中から、CD4+T細胞を分離する
ために、抗CD4抗体を結合した磁気ビーズ(ダイナル社
製)を吸着させた後、磁石上でビーズと結合した細胞を
回収した。次に、磁気ビース分離用試薬(ダイナル社
製)で、磁気ビーズからCD4+T細胞を解離させ、CD4+T細
胞を得た。
次いで、この鈍化したCD4+T細胞集団をPHA0.5μg/ml
及びrIL−2を40U/ml添加した。15%牛胎児血清添加RPM
I1640で、細胞をウエル当り0.5細胞となるように96穴マ
イクロプレートに播き、3〜4日毎に上記と同様のIL−
2添加培地で培地交換を続け、増殖が認められた細胞に
ついて表面マーカーを蛍光抗体法を用いて調べ、CD4に
対して陽性のクローンのみを選択して、対象となるCD4+
T細胞クローンとした(Gianfranco,F.D.P.,et al.,J.Cl
in.Invest.,88,346(1991))。
次に、個々のCD4+T細胞クローンの細胞のタイプを調
べるために、上記CD4+T細胞クローン(6×105cells/30
0μl/ウエル)を、抗CD3抗体(OKT3:オーソファーマス
ーティカル社製)をコートした48ウエルプレートで24時
間培養し、その培養上清中のIFN−γ及びIL−4の濃度
をそれぞれのモノクローナル抗体を用いたELISNAで測定
した。
その結果、IL−4を産生するがIFN−γを産生しない
ものをヒトTh2クローンとした。その結果を第1表に示
す。
(2)サブトラクトcDNAライブラリーの調製 上記(1)において得たヒトTh2クローン(2P26)及
びヒトTh1クローン(2P15)よりそれぞれpoly(A)+RN
AをオリゴdTラテックス(日本ロシュ製)を用いて常法
により調製した。次いで、これらのpoly(A)+RNAを鋳
型にして、オリゴ(dT)プライマー(ファルマシア製)
及びMMLV逆転写酵素(ファルマシア製)を用いて、それ
ぞれのcDNAを約300ngを調製した。次に、それぞれのcDN
Aを、PCR法による増幅工程に処するに適した鎖長にする
ために、制限酵素Alu I(東洋紡績製)84U及び同Rsa I
(東洋紡績製)48Uで、37℃で5時間消化し、それぞれ
に異なるPCR用のリンカー(Balzer.H.J.,and Baumlein,
H.,Nucleic Acids Res.,22,2853(1994)): を結合した後に、アガロース電気泳動により分子量が0.
2Kbpから2KbpのcDNA断片のみを分取した。次に、このよ
うにして得られた2P26由来及び2P15由来のcDNA断片を、
それぞれ特有のPCR用プライマー: を用いてPCRにより増幅した(熱サイクル:94℃1分;50
℃1分;72℃2分;を30回)。このPCRにより得られたPC
R産物をサブトラクションの出発材料とした。
すなわち、ヒトTh2(2P26)由来の上記PCR産物(5μ
g)に大過剰量のビオチン標識ヒトTh1(2P15)由来のP
CR産物(100μg)〔DNA(100μg)に光反応性ビオチ
ン(100μg)(ベクターラボラトリーズ社製)を加
え、氷中で冷しながら、160Wサンランプ下約15cmの所に
静置し、15分間照射した。その後、未反応ビオチンをブ
タノール抽出で除去し、この操作を再度繰り返した後、
トリス・EDTA緩衝液(TE)に溶解してゼオチン標識を完
了した。〕を加え、100℃で熱変性してそれぞれを1本
鎖とした後に両者をハイブリダイズさせた。次いで、フ
リーの2P15由来のcDNA及び2P26由来のcDNAとハイブリダ
イズした2P15由来のcDNAを、系にストレプトアビジン
(ライフテクノロジーズ製)を100μg添加して、これ
に吸着させて、フェノール・クロロホルム抽出により除
去した。この操作により、2P26由来のcDNAから2P15由来
のcDNAと共通の塩基配列を持つcDNAが差し引かれ、2P26
に対して特異的なcDNAを濃縮するサブトラクションが完
了した。
次いで、この濃縮した2P26に対して特異的なcDNAにつ
いて、上記のPCR増幅及びサブトラクションを再度繰り
返し、2P26に対して特異的なcDNAをさらに濃縮した後、
再度上記と同様のPCR増幅を行い、約3μgのcDNAを得
た。
このようにして得た2P26に対して特異的なcDNAを、プ
ラスミドpBluescript SK(−)(ストラタジーン社製)
にクローニングしてサブトラクトcDNAライブラリーを調
製した。次いで、このサブトラクトcDNAライブラリーの
一部で大腸菌(E.coli JM109株)を形質転換した。
(3)本発明Th2(B19)遺伝子断片の単離 上記(2)で得た2P26由来のサブトラクトcDNA及び同
様の方法により得られた2P15由来のサブトラクトcDNA
を、それぞれランダムプライミング法を用いた市販の32
P標識用キット(宝酒造製)を用いて標識し、これらを
放射性プローブとした。
一方、上記(2)において調製した2P26由来のcDNAラ
イブラリーの一部で形質転換した大腸菌をプレートに播
き、生育してきたコロニーについて2組のレプリカフィ
ルターを作製した。この2組のレプリカフィルターに対
して、上述の2種の放射性プローブをハイブリダイズさ
せ、0.1×SSCで洗浄後、オートラジオグラフィーでプロ
ーブ中のcDNAと相同なcDNAを含む大腸菌コロニーを同定
した。
この方法で、約3400のコロニーをスクリーニングした
結果、「2P15由来のサブトラクトcDNAプローブでは陽性
シグナルを与えず、2P26由来のサブトラクトcDNAプロー
ブに対してのみ陽性シグナルを与える」コロニーを201
個認めた。この201個のcDNAクローンについて、コロニ
ーハイブリダイゼーション法により、相互の異同を検討
した結果、相互にハイブリダイズしない独立した60個の
クローンを得た。
次に、この60個のクローンについて、全RNAを用いた
ノーザンブロッティングにより、2P26と2P15との間での
mRNAの発現の差を検討した。
その結果、2P15には殆ど発現しておらず、2P26にのみ
発現が顕著であるクローンを13種得た。
次に、この13種のクローンのcDNAについて、さらにヒ
トTh2に対する特異性を確認するために、複数のヒトTh2
クローン細胞及びヒトTh1クローン細胞との間でのmRNA
の発現の差を、上記ノーザンブロッティング法により検
討した。その結果、ヒトTh2クローン細胞にのみ共通に
発現が認められるいくつかのcDNAクローンを得た。その
うちの1つのクローン(B19)の上記ノーザンブロッテ
ィング解析の結果を第1図に示す。
この第1図において、B19mRNAが上記2つのヒトTh2ク
ローン(2P26及びKND4)において発現していることが明
らかになった(レーン3及びレーン4に対応する)。
なお、B19mRNAはヒトTh1クローン(1PO4及び2P15:そ
れぞれレーン1及びレーン2に対応する)には発現して
いなかった。
cDNAクローンB19のDNAの塩基配列の解析を、蛍光ター
ミネーターを用いたジデオキシターミネーション法によ
り(パーキンエルマーシータス社のキットを用いた)行
った。
その結果、クローンB19は、新規の塩基配列を有するD
NAを有していた。
そこで、次にクローンB19が有する上記遺伝子と相同
の塩基配列を含む遺伝子〔本発明Th2(B19)遺伝子〕の
全長についてのクローニングを行った。
(4)本発明Th2(B19)遺伝子のクローニング 所望のcDNAの全長をクローニングするために、B19mRN
Aの発現が高い細胞からλファージcDNAライブラリーを
調製した。
すなわち、上記2P26細胞より全RNAを抽出し、オリゴ
(dT)ラテックス(日本ロシュ製)を用いて、poly
(A)+RNAを常法により精製した。次に、市販のcDNAク
ローニングキット(ライフテクノロジー社製)を用い
て、2本鎖cDNAを合成し、λZAP II(ストラタジーン社
製)のEcoR Iサイトにクローニングした。これに引続
き、市販のキット(ストラタジーン社製)を用いて、イ
ンビトロで上記λファージにおけるパッケージングを完
了した。このパッケージング産物を大腸菌XL1−Blue M
RF′(ストラタジーン社製)に感染させ、約1×105
の組換えλファージを得た。次に、上記(3)により得
た新規のcDNA断片をランダムプライミング法を用いた市
販の32P標識用キット(宝酒造製)を用いて標識し、こ
れを放射性プローブとして、プラークハイブリダイゼー
ション法によりλファージライブラリーのスクリーニン
グを行った。
その結果、42の陽性クローンを見出し、これらの陽性
cDNAクローンのうち、最も長いインサートDNAを持つク
ローン3個について、上記(3)と同様の蛍光ターミネ
ーターを用いたジデオキシターミネーション法による塩
基配列解析の結果、3つの陽性クローンのcDNAの互いに
重複する部分の塩基配列は完全に一致しており、同一の
遺伝子に由来するクローンであることが確認された。
これらの3つの陽性クローンのうち、最も長いcDNAを
有するクローンB19−1をB19と称し、以下に用いた。
(5)本発明Th2(B19)遺伝子の構造 クローンB19に取り込まれたcDNAは291lbpの鎖長であ
り、ノーザンブロッティングで測定されたmRNAの長さ
(約3kbp)に近いものであった。そして、その3′端
に、poly(A)付加シグナル及びpoly(A)の一部
と思われる10個のA(アデニン)を有していた。
また、最も長いオープンリーディングフレームは、
5′端より113番目のATGより始まり、1298番目のTGAで
終わり、395アミノ酸残基よりなるタンパク質をコード
していると予測された。その開始コドン付近の塩基配列
(CCC ACG ATGT)は、Kozakのコンセンサス配列(CCA
(G)CCATGG:Kozak,M.,Nucleic Acids Res.,15,8125
(1987))と類似していた。
以上の点より、クローンB19は、mRNAの3′端から始
まり、コーディング領域全長を経て5′側の非翻訳領域
の一部に達するほぼ全長を含んでいると判断された。
このクローンB19に有するcDNA配列を有する遺伝子を
本発明Th2(B19)遺伝子とし、その配列を配列番号5に
示す。また、この塩基配列がコードすると推定されるア
ミノ酸配列を配列番号6に示す。
なお、このアミノ酸配列を一文字法で表すと以下のよ
うになる。
〔上記アミノ酸配列において、A:アラニン,V:バリン,L:
ロイシン,I:イソロイシン,P:プロリン,F:フェニルアラ
ニン,W:トリプトファン,M:メチオニン,G:グリシン,S:セ
リン,T:トレオニン,C:システイン,Q:グルタミン,N:アス
パラギン,Y:チロシン,K:リシン,R:アルギニン,H:ヒスチ
ジン,D:アスパラギン酸,E:グルタミン酸,をそれぞれ示
す。〕 また、本発明遺伝子を大腸菌(E.coli K12−JM109
株)に組み込んだ形質転換体が、B19cDNAとして、工業
技術院生命工学工業技術研究所(〒305日本国茨城県つ
くば市東1丁目1番3号)に受託番号FERM P−15616
(1996年5月15日付受託)で寄託されている。
(6)インビトロにおける本発明Th2(B19)遺伝子の転
写及び翻訳 市販のキッド(ストラタジーン社製)を用いて、本発
明Th2(B19)遺伝子を鋳型として、T7RNAポリメラーゼ
を用いてRNAを合成した。続いて35Sメチオニンの存在下
に、市販のウサギ網状赤血球抽出物(プロメガ バイオ
テク社製)を用いてインビトロ翻訳を行った。
次いで、その翻訳産物のレムリ(Laemmli)の方法に
従い、SDSポリアクリルアミド電気泳動で分析した。そ
の結果、予測された分子量である43Kdと近似した分子量
を有するタンパク質が作られていることを確認した(第
2図)。
(7)mRNA発現の組織特異性 本発明Th2(B19)遺伝子由来のmRNA発現の組織特異性
を調べるために、種々の組織に由来する細胞株の全RNA
についてのノーザンブロッティング解析を行った。
その結果、用いたいずれの細胞株でも本発明Th2(B1
9)遺伝子由来のmRNAの発現が確認できなかった(第3
図)。
従って、本発明Th2(B19)遺伝子の発現は、Th2細胞
を含む特定の細胞に限定されることが明らかになった。
〔実施例2〕本発明ヒトTh2(B19)タンパク質を抗原と
する抗体の製造 (1)本発明Th2(B19)遺伝子発現ベクターの調製 哺乳動物細胞での導入遺伝子の発現レベルは用いる宿
主細胞と発現ベクターの組み合わせにより大きく違って
くる傾向が強いので予め予測することが困難である。そ
こで高発現が期待される幾つかの発現ベクターに本発明
Th2(B19)遺伝子を組み込んだ。
すなわち、本発明Th2(B19)遺伝子の全長(配列番号
5)を含むプラスミドDNA(pBluescript SK(−),cDNA
クローンB19)から本発明Th2(B19)遺伝子のコード領
域を含むインサートDNAを、目的の発現プラスミドのク
ローニングサイトに合わせた制限酵素により切り出し、
アガロース電気泳動で精製した。
このようにして得た本発明Th2(B19)遺伝子をpRc/CM
V、pcDL−SRα、pREP9等の各クローニングサイトに挿入
し、所望する本発明Th2(B19)遺伝子の哺乳動物細胞用
の発現ベクター(プラスミド)を多種類得た。
(2)本発明Th2(B19)遺伝子発現形質転換細胞の調製
とこの細胞による免疫 (1)において得たそれぞれの本発明ヒトTh2(B19)
タンパク質発現プラスミド50μgをエレクトロポレーシ
ョン法によりJurkat細胞,293細胞(以上ヒトT細胞株及
び腎細胞株)、BW5147(マウスT細胞株)及びTAR−1
(ラットT細胞株)、それぞれ107個の細胞に導入し
た。
形質転換細胞は96ウエルプレートにウエルあたり500
〜1000個の細胞を播き、ゲネチシン(シグマ社製)を含
む培地中で2〜3週間培養し選択した。なお、本発明Th
2(B19)遺伝子の発現のレベルはノーザンブロッティン
グ法により確認した。
多数の形質転換細胞のうち、各細胞株ごとに本発明Th
2(B19)遺伝子の発現レベルの最も高かった細胞を選
び、96ウエルプレートにウエルあたり0.3細胞の割合で
播くクローニング操作を行った。
この結果、本発明Th2(B19)遺伝子を安定に、高レベ
ルで発現している細胞株である、Jurkat/B19,293/B19,B
W/B19及びTART/B19を得た。
このようにして得た本発明Th2(B19)遺伝子の形質転
換細胞のうち、TART/B19細胞107個を8週齢ウィスター
ラット(雌)の腹腔に週に一度、計5回免疫した(Nemo
to,T.,Eur.J.Immunol.,25,3001(1995))。
(3)ハイブリドーマの調製 最終免疫の3日後のラットの脾臓細胞3x108個をマウ
スミエローマ細胞株SP2/0−Ag14の5x107個と混和し、50
%ポリエチレングリコール(平均分子量1500)PBS溶液
(シグマ社製)を用いて細胞融合を行った。処理後の細
胞を96ウエルプレートにウエルあたり1x105個で播き、
翌日よりHAT試薬(シグマ社製)を添加し、10日間選択
培養を行ったところ、ほぼ全ウエルにハイブリドーマの
増殖が認められた。
各ハイブリドーマの培養上清中の本発明ヒトTh2(B1
9)タンパク質に対して特異的なモノクローナル抗体の
存在の有無はTART−1細胞とTART/B19細胞を用いた膜蛍
光抗体法で確認した。
すなわち、TART−1細胞およびTART/B19細胞それぞれ
5x105個にハイブリドーマの培養上清50μlを加え、よ
く混和後、室温で20分反応させた。0.5%BSAを含むPBS
で2回洗浄後、細胞をフィコエリスリン標識ヤギ抗ラッ
トイムノグロブリン抗体(Bio source International社
製)中で室温で20分間反応させた。反応後、再び0.5%B
SA添加PBSで2回洗浄後、細胞を少量の50%グリセリン/
PBS中に浮遊させ、スライドグラスとカバーグラス間に
封じ、蛍光顕微鏡(オリンパス社製)下で細胞膜上の蛍
光の強度を観察した。
その結果、TRAT−1細胞膜には蛍光が認められず、TA
RT/B19細胞膜に対してのみ反応性が認められるものを陽
性サンプルと判定した。
(4)モノクローナル抗体の調製 上記スクリーニング法で陽性であったハイブリドーマ
培養上清については、さらに上述した複数の細胞パネル
で本発明ヒトTh2(B19)タンパク質に対する特異性を確
認した。
すなわち、JurkatとJurkat/B19、293と293/B19、及び
BW5147とBW/B19について、上述したと同様の膜蛍光抗体
法で反応の特異性を確認した。
このようにして全ての細胞パネルにおいて特異性が確
認されたハイブリドーマ細胞について、96ウエルプレー
トにウエルあたり0.3細胞を播くクローニング操作を2
〜3回繰り返し、モノクローナル抗体産生ハイブリドー
マを確立した。
これらのハイブリドーマのうちの1つが、Rat Hybri
doma BM16として、工業技術院生命工学工業技術研究所
(〒305日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号)に受
託番号FERM P−16216(1997年5月8日付受託)で寄
託されている。
このハイブリドーマ(Ret Hybridoma BM16)を用い
て、上述したと同様の膜蛍光抗体法でTh1クローン細
胞、及びTh2クローン細胞を染色し、フローサイトメー
ターで解析した結果を第4図に示す。
第4図において、本発明Th2(B19)遺伝子産物は膜に
発現しており、Th1に比べてTh2細胞に優勢に発現してい
ることが確認された。
産業上の利用可能性 本発明により、上記のTh1/Th2サブセットの分布にお
ける極性化における知見に基づいた、免疫関連疾患の病
勢や病型の特定手段の重要な要素となるヒトTh2特異的
遺伝子及びヒトTh2特異的タンパク質が提供される。
また、本発明によりこのヒトTh2特異的遺伝子を含む
遺伝子発現用組換えベクター、及びこの遺伝子発現用組
換えベクターで形質転換された形質転換体が提供され
る。
さらに、本発明により上記ヒトTh2特異的タンパク質
を抗原とするモノクローナル抗体及びこのモノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーマが提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高野 昇一 埼玉県川越市的場1361番地1 株式会社 ビー・エム・エル 総合研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/09 ZNA C07K 14/435 C12P 21/08 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ MEDLINE(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号6で表されるアミノ酸配列のヒト
    Th2特異的タンパク質。
  2. 【請求項2】配列番号6で表されるアミノ酸配列をコー
    ドする塩基配列を含むヒトTh2特異的遺伝子。
  3. 【請求項3】配列番号5で表される塩基配列のヒトTh2
    特異的遺伝子。
  4. 【請求項4】請求の範囲第2項または第3項に記載され
    たヒトTh2特異的遺伝子を含有する遺伝子発現用組換え
    ベクター。
  5. 【請求項5】請求の範囲第4項の遺伝子発現用組換えベ
    クターで形質転換され、かつ、この遺伝子発現用ベクタ
    ーに含まれているヒトTh2特異的遺伝子が発現している
    形質転換体。
  6. 【請求項6】請求の範囲第1項に記載された、ヒトTh2
    特異的タンパク質のいずれかの部分を抗原決定基とし、
    かつ、ヒトTh1特異的タンパク質との間においては免疫
    反応性を示さないモノクローナル抗体。
  7. 【請求項7】請求の範囲第6項に記載された、モノクロ
    ーナル抗体を産生するハイブリドーマ。
JP50041898A 1996-06-05 1997-06-05 ヒトTh2特異的タンパク質及びこれをコードする遺伝子(B19)並びにこれに関連する形質転換体、組換えベクター及びモノクローナル抗体 Expired - Lifetime JP3144805B2 (ja)

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