JP3144627B2 - 光スイッチ及びその組立方法 - Google Patents
光スイッチ及びその組立方法Info
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Description
る光スイッチ及びその組立方法に関する。詳しくは、光
路中に設置された溝(空隙)内で、屈折率整合液体を移
動させ、反射状態、透過状態を切り換えて、以て、光路
を切り換える光スイッチ及びその組立方法に関する。
る光導波路の交差点に溝を設け、溝が空の時にはその溝
の側壁で全反射させて光路を切り替え、屈折率整合液が
満たされたときに光が溝を透過して直進する光スイッチ
が提案されている。
の溝に屈折率整合液を注入し、排出して光路の切り替え
を行う方法が提案されている(電子情報通信学会・予稿
C-191,1992)。
を兼ねた電解液を満たし、電気分解で気泡を発生させ、
溝内の液体を排除、或いは触媒性の電極で再結合させ、
気泡を消滅し、溝内を液体で再度満たすという方法で光
路を切り換える方法が提案されている(United State P
atent 498815)。
ている光スイッチは、次に述べるように、信頼性、製造
性に問題があった。
が注入される溝は外部に解放されており、長期の安定性
を考えると、屈折率整合液体の蒸発や埃の混入によるス
イッチ特性の劣化が懸念される。完全に密封すれば、こ
のような問題はなくなるが、上記のスイッチでは原理上
できない。
も、必要量の屈折率整合液体を溝内に注入し、蓋をして
密封することは製造上困難である。その理由は、第一に
溝の容積がピコリットル程度であるため、液体を計量し
て注入する手段がないことが挙げられる。第二に導波路
基板材料となるガラスは、屈折率整合液体によく濡れ、
溝に注入された液体はすぐに外部に濡れ広がって一所に
留まらない。第三に、ガラス表面に濡れ広がった液体は
蓋をする際に用いる接着剤とガラス表面の濡れを阻害し
安定な接着が実現できなかった。
例として、電気毛細管現象を利用したものが提案されて
いる(特開平6−175052号)。このスイッチ構造
は、上記の問題を解決するため、スイッチ用の溝の回り
を取り囲むように堀状の溝を設け、液体の濡れ広がりを
多少緩和し、同時に接着剤のスイッチ用溝への侵入を防
いでいる。
制御は大変困難である。特に、マトリックス状の光スイ
ッチを作製することを考えると、各スイッチ構造の溝に
個別に液体を計量して注入したり、接着剤を注入するこ
とは極めて困難である。本発明は、上記実情に鑑みてな
されたものであり、長期信頼性に優れ、且つ製造性の高
い光スイッチ及びその製造方法を提供することを目的と
する。
め、本発明の光スイッチは、光導波路基板内で基材上に
互いに交差する光導波路の交差部に設けられた空隙に、
光導波路と屈折率が等しい屈折率整合液体が封入され、
該屈折率整合液体を空隙内で移動させることにより、互
いに交差する光導波路間で光路の切替を行う光スイッチ
において、光導波路基板の基材がシリコンであり、該基
材の上にガラス層を備え、表面に堆積したシリコン層を
備え、上記光導波路の交差部に設けられた空隙が該シリ
コン層と陽極接合されたホウケイ酸低アルカリガラスに
より蓋をされていることを特徴とする。
蓋がホウケイ酸低アルカリガラス或いはホウケイ酸ガラ
スを表面に堆積した石英であることを特徴としても良
い。
光スイッチの組立方法は、上記光スイッチを組み立てる
方法において、蓋が接合された状態で、光導波路の交差
部に設けた間隙が外部に接続するように導波路基板表面
或いは蓋の接合面に溝が設けられており、該溝より屈折
率整合液体を注入することを特徴とする。
屈折率整合液体を液体注入用の該溝へ接触させ、その
後、大気圧に戻すことにより目的とする量の屈折率整合
液体の注入を行うことを特徴とする。
て、屈折率整合液体を注入する前に、蓋が接合された光
導波路基板の表面にシランカップリング剤等の表面処理
剤を塗布し、屈折率整合液体との接触角を有限な値とす
ることを特徴とする。
て、屈折率整合液体の注入後に余分な屈折率整合液体を
除去し、間隙に接続する溝の開口部をエポキシ樹脂、シ
リコン樹脂又はシリコンゴムで封をすることを特徴とす
る。
おいて、光導波路基板表面のシリコンが、光導波路交差
部における空隙の作成後に堆積させられることを特徴と
する。
整合液体を注入した、交差光導波路部に設けた光路切替
用の空隙が陽極接合により蓋をされている。陽極接合で
は、接合部は間隙無く密着して接合するため、空隙に封
入した屈折率整合液体は外部との接触を絶たれ、蒸発や
変質を防ぐことができる利点がある。
ル材として高分子や金属等を挟み込む必要のない直接接
合であるため、微細な加工を施す必要のある光導波路基
板と蓋を接合するために極めて適した接合方法である。
更に、接着剤の変質、接着剤との反応による屈折率整合
液体の変質等の心配がいらないという長所もある。
オンビームスパッタ法或いは電子ビーム蒸着法等で表面
に石英ガラスが堆積されていると、そのままでは、陽極
接合が困難である。そこで、本発明では、その石英層の
表面に接合用のシリコンを堆積させ、且つ、蓋材として
パイレックスガラス(ホウケイ酸低アルカリガラスの商
標名)を用いているため、陽極接合が可能となる。
ている場合にはパイレックスガラスが蓋材として好まし
いが、その他に、ホウケイ酸ガラスも利用できる。或い
は、光導波路の基材が石英である場合、蓋材として同じ
材料である石英ガラスを基材としてその表面にパイレッ
クスガラスやその他のホウケイ酸ガラスを堆積したもの
を用いることにより、陽極接合が行える。導波路と蓋の
基材が同じであれば、温度変化による接合面への歪は生
じないので、信頼性の高い接合が可能となる利点があ
る。
る空隙の蓋がされるが、蓋がされた状態で、空隙が外部
と接続する通り道が存在するように、予め導波路板表面
或いは蓋の接合面に溝を設けてある。陽極接合により蓋
がされると、交差導波路部の空隙はこの穴を残して完全
に密閉される。従って、この穴から必要量の屈折率整合
液体を注入することができる。
入口となり、他方は内部空気の排出口となり、液体の注
入を円滑に行うことができる。また、穴を一箇所のみと
した場合には、減圧状態で屈折率整合液体をその注入口
に接触させるか、或いは、基板全体を屈折率整合液体に
漬け、その後大気圧に戻すことにより、必要量の液体を
空隙に注入することができる。
必要がなく、一括に管理できる圧力で注入量を正確に制
御できる利点がある。この屈折率整合液体を注入する前
に、基板表面をシランカップリング剤等の表面処理剤に
より撥油処理を施すことにより、屈折率整合液体の注入
後の基板表面に付着した余分な屈折率整合液体の除去が
容易となり、信頼性の高い注入口の封が可能となる。
シリコンの堆積を光切替用の空隙の加工の後に行うこと
により、プロセスを簡略化することができる。
に示すように、シリコン基板1の上にガラス層である光
導波路層2が堆積されると共にこの光導波路層2には光
導波路3が埋め込まれている。この光導波路3は、通
常、次のようにして作製される。
と呼ばれるガラス層を堆積させる。ガラス層の堆積は、
火炎堆積法、イオンビームスパッタ法、電子ビームスパ
ッタ法等が用いられる。
ニウム等のドーパントを添加したコア層を堆積させる。
通常、屈折率差の比率は、0.3%程度である。このコ
ア層をフォトリソグラフの手法により必要な部分を残し
て除去し、導波路構造を作製する。一般に、光導波路の
断面寸法は、7〜8μm角である。これは屈折率とも関
係があり、伝播する光のモードフィールドを光ファイバ
と一致させるために、このような寸法となっている。
ラッド層を形成し、埋め込み型の光導波路を完成させ
る。本実施例においては、光導波路3は光導波路層2内
において交差する一組の直線導波路として作製されてい
る。
ソグラフの手法により形成されている。スリット4は、
光導波路層2の上面から彫り込まれており、その底面は
シリコン基板1に達していないが、モードフィールドの
広がりを考慮して下部クラッド層に達している。スリッ
ト4の下側の壁面は、鏡として働く場合に、交差した光
導波路間で光を交換できるように、双方の光導波路3に
対して同一角度となるよう配置されている。更に、スリ
ット壁面は、光導波路の含まれる平面に対して直角であ
る。
しく調整された屈折率整合液体10が約半分程度封入さ
れている。本実施例では、屈折率整合液体10としてシ
リコンオイルが封入されている。ここで、スリット4の
光導波路3の交差部に当たる部分に屈折率整合液体10
が存在するとき、一方の光導波路3に図中矢印A方向か
ら入力された光信号は、スリット4を横切って図中矢印
B方向へ直進する。
交差部に当たる部分に屈折率整合液体10が存在しない
とき、一方の光導波路3に図中矢印A方向から入力され
た光信号は、スリット壁面で全反射し、図中矢印C方向
へ屈折する。この説明では、A方向からB方向へ、ま
た、A方向からC方向へと光信号が伝播する例を挙げた
が、光の性質から、光信号はそれぞれB方向からA方向
へ、また、C方向からA方向へと同時に双方向へ伝える
ことができる。
3からスリット4内へ出射された光フィールドより十分
広い範囲をカバーしている。光のフィールドの広がり
は、光導波路中央から10μm程度なので、光導波路3
の交差角が90°、スリット幅が10μmとすると、ス
リット長は最低でも68μmとなる。スリット4の深さ
は、コア部から更に10μm程度深く掘り下げられてい
る。上部クラッド層の厚さは20μm程度とすると、ス
リット全体の深さは40μm程度となる。
うにヒーター12が形成されている。図2は、スリット
4とヒーター12の位置関係を示している。このヒータ
ー12は、光導波路層2の上に、チタン、クロム等の比
較的高抵抗の金属薄膜をスパッタ法等で堆積させてフォ
トリソグラフにより作製したものである。更に、金属膜
を堆積させヒーター配線13が施される。但し、図1中
では、図を見易くするために、ヒーター12、ヒーター
配線13は省略した。
ど封入されている屈折率整合液体10は、気体との接触
面積を最小にして安定な状態を保つため、必ずスリット
4の片端に寄った形状で存在する。重力の影響によりス
リット4の下半分に溜まることはない。
であるため、重力に比較して、表面張力が数桁大きく支
配的となるためである。スリット4内での屈折率整合液
体10の移動は、次のようにヒーター12への通電によ
り行われる。いま、スリット4の左半分に屈折率整合液
体10が存在していたとすると、その右側には気泡(気
体)11が存在することになる。
ると、左側のヒーター12の温度が上昇し、スリット4
内に温度勾配が生じる。気泡11の表面にも温度勾配が
生じる。屈折率整合液体10と気泡11との界面、即
ち、気泡の表面の表面張力は温度の上昇と共に減少す
る。そのため、気泡の表面で表面張力の勾配を発生し、
気泡表面の液体が温度の低い側へ移動する。結果とし
て、気泡は温度の高い所へ移動し、最終的には屈折率整
合液体10は右端へ移動すると共に気泡11は左端へ移
動する。最初の状態からみると、液体10と気泡11と
が入れ替わったことになる。この入れ替わりは、実施例
の寸法では数秒以下で完了する。
央部分4aは、スリット幅の狭い部分となっている。そ
のため、一旦、右か左の端へ移動した気泡11は毛細管
現象のために、この幅の狭い中央部分4aを越えて移動
できない。当然ながら、スリット4の中央部分4aは、
温度勾配による気泡11の移動には支承のない程度のス
リット幅の変化量としてある。
それぞれ加熱用としてヒーター12を設けているが、ス
リット4の中央付近に追加のヒータを設けて、順次加熱
域を移動させても良い。これにより、液体10の移動速
度を上げることができる。このスリット4は、蓋側基板
5により蓋がされている。この蓋側基板5は、信頼性の
立場から、光導波路側基板と膨張係数の近い材料を用い
ることが望ましい。
コン基板1を用いているので、蓋側基板5としてパイレ
ックスガラスを用いている。蓋側基板5として、基板1
と同じシリコンを用いてもよいが、シリコンは可視光を
透過しないため、蓋をする際の位置合わせを赤外線観察
を用いて行う必要があり、赤外線顕微鏡等の特殊な設備
を必要とする。
であるので、通常の顕微鏡で蓋の位置合わせ、蓋の密閉
性、屈折率整合液体の注入状況等の確認が容易であると
いう利点を持つ。蓋側基板5には、迂回路溝6及び注入
溝7がフォトリソグラフィの手法で形成されている。迂
回路溝6及び注入溝7は、図1に示すように、蓋側基板
5の下面、即ち、導波路基板上面との接合面に接して作
られている。
スリット4の上部、即ち、導波路基板の表面と同一面に
おいて両端を接続され、気泡11(或いは液体10)の
移動に際して、液体10(或いは気泡11)の迂回路と
なる。また、屈折率整合液体10を注入する際の液体1
0の通り道となる。注入溝7は、蓋の端にまで達してお
り、蓋をした状態で、注入口8が蓋の端に開口した状態
となる。
板と接着させる方法として、図3に示す陽極接合を用い
る。図3は、本実施例における光導波路側基板、蓋側基
板の断面構造の概略を示す。図1では簡略化のために省
略しているが、図3に示すように、ヒーター12、ヒー
ター配線13等の金属配線層の上には、ガラスによる絶
縁層15が形成され、更にその上にシリコンの接合層1
6が形成されている。
14の上部には、絶縁層15、接合層16は形成されて
いない。接合層16は、アモルファス、多結晶、単結晶
薄膜の何れであっても構わない。本実施例ではアモルフ
ァスシリコン薄膜である。接合層16の上に位置合わせ
を行って、蓋側基板5となるパイレックスガラスを重ね
る。接合する面は共に鏡面状に平滑でなければならな
い。
発生する場合があり、その際には事前にアモルファスシ
リコン接合層16を研磨する必要がある。或いは、ガラ
ス絶縁層15を厚く堆積させ、シリコン接合層16を堆
積させる前にガラス絶縁層15を研磨するのも良い。こ
れらを重ねた状態で、温度を上げ、アモルファスシリコ
ンである接合層16表面に正極を、パイレックスガラス
である蓋側基板5に負極をそれぞれ接触させ、直流電圧
を付与する。本実施例では、温度450℃、電圧900
Vの条件で接合されている。
め、微細なスリット4等の構造物に影響を与える心配が
なく、極めて密着性が高い、気密性の良い接合が可能で
ある。従来より、シリコン基板とパイレックス基板とを
陽極接合で接合させることは広く行われているが、光導
波路基板のように表面に絶縁層として数十μmの厚さの
ガラス層が存在する場合に、接合することが困難であっ
た。
ラス層だけでなく、更にその上に、ヒーター12、ヒー
ター配線13、更に、ガラス層である絶縁層15を堆積
させてあり、基板がシリコンであっても陽極接合は不可
能であったが、最表面にシリコン層を接合層16として
堆積させることによりこれが可能となった。
液体10を注入口8より注入する。その方法は、注入溝
7、迂回路溝6及びスリット4を合わせた容積と注入し
たい液体10の容積の比から算出した圧力にまで減圧し
た空間で屈折率整合液体10を注入口8に接触させ、そ
の後大気圧へ戻すことにより行う。
内の気体の圧力をP1、容積をV1とする。大気圧をP0
として、注入される液体の量Vは、V=V1(P0−
P1)/P 0となる。残す気体の体積は、V1−Vであ
る。この方法は、複数のスリットがある光スイッチを作
製する際、個別に注入する液量を計測したり、細かな注
入作業が不要であり、一括して行えるため、極めて効率
の良い、且つ、注入液量の制御を確実に行うことができ
る利点がある。
体を注入口8に接触させているが、減圧する前に、即
ち、大気中で液体を注入口8に接触させて、その後減圧
しても同様な効果が得られる。この際は、毛細管現象に
より注入口8に接触した液体は大気圧の状態で僅かに注
入溝7内に侵入するが、スリット4と注入溝7内の気体
の圧力のためそれ以上は侵入しない。減圧することによ
り、内部の気体は注入口8より外部へ放出され、目的の
圧力で数分間放置することにより、スリット内部の圧力
は外部の分圧された圧力と等しくなる。
注入量より多くの液が注入されるように思われるが、最
終的にはスリット内の圧力は大気圧に戻されるため、毛
細管現象により発生する力は、気体の圧縮により発生す
る力に比べて殆ど無視できる。従って、液量の制御は、
圧力の比を考慮するだけで実用上十分である。スリット
4に屈折率整合液体10を注入した後、注入口8を覆う
ようにエポキシ樹脂を塗布、硬化させ、封9により密閉
する。
は外部との接触が絶たれ、長期に渡って安定に液量と品
質を保つことができる。本実施例の光スイッチでは、ス
リット4内の液体10を移動させるためヒーター12に
よる加熱を用いるが、その加熱の際にスリット内の圧力
が上昇する。しかし、注入口8の面積は、数十ミクロン
角と極めて小さいため、封9に加わる圧力は、例えば、
スリット内の圧力が3気圧程度に上昇しても僅かに、1
0mgf程度に過ぎない。
リコンオイルの蒸気圧は極めて低く、このような高い圧
力に達することはない。接着剤とガラスの接着力は数M
Pa程度なので、0.1mm角の接合面積で1gf程度
の接合力を持ち、十分に内圧の上昇に耐えることができ
る。封9の材料としは、エポキシ樹脂以外に、シリコン
樹脂、シリコンゴム等を用いても同じ効果が得られる。
注入した屈折率整合液体が、封材料の接着面に付着して
いると、エポキシ樹脂等が十分な強度で接着しない。本
実施例では、屈折率整合液体としてシリコンオイルを用
いているが、この液体は導波路基板や蓋側基板の材料で
あるガラスに極めて高い濡れ性を持つ。従って、一旦、
ガラス表面がオイルで濡れると樹脂等の接着は殆どでき
なくなる。
導波路基板と蓋側基板の表面を、シランカップリング剤
で表面処理し、オイルの濡れ性を低下させる。シランカ
ップリング剤は、シリコンにアミノ基、エポキシ基、ビ
ニル基等の極性を持つ有機基と、加水分解してシラール
基を形成し重合反応によるガラス表面と化学的に結合す
アルコシシリル基を有するモノマーである。
極性のある有機質表面に改質される。屈折率整合液体と
して用いるシリコンオイルは極性のない液体であり、極
性のない無機質のガラス表面とは極めて良く濡れるが、
シランカップリング剤で改質された極性のある有機質表
面とは濡れ性が低い。
れの接触角が用いられるが、ガラスとシリコンオイルの
場合、シランカップリング剤による改質により、接触角
が0度から30度程度になる。このように、オイルを滴
下する前に、ガラス基板の表面を改質することで、オイ
ルの濡れ広がりを抑制することができ、スリット内への
注入で余った液体を拭き取ったり、ピペット等で吸い取
ることが可能となる。
することができる。但し、この改質により、樹脂の接着
力も無改質のガラス表面に対する値に対して1/10程
度に低下する場合がある。しかし、これでも封には十分
な接着力である。光導波路の交差部に設けるスリット4
は、フォトリソグラフの手法で作製する。例えば、反応
性イオンエッチング、プラズマエッチングなどの方法で
作製される。この種の光スイッチでは、スリットの位置
や壁面の垂直性、平坦性はスイッチの光学特性を決定す
る極めて重要な要素である。
セスの最後に行われる。つまり、ヒーター12等の配
線、絶縁層15の堆積、シリコン層である接合層16の
堆積を完了後、スリット形成が行われる。ところが、接
合用のシリコンと絶縁層や光導波路の石英ガラスは、エ
ッチング速さが大きく異なり、同時に彫り込むことには
困難が伴う。つまり、均一にスリットを形成することが
難しい。
を同時に形成する際には、シリコン層のエッチング速度
が低いと、そのシリコン膜厚の面内不均一性やエッチン
グの面内不均一性がスリット形成の面内不均一性に重大
な影響を与える。そこで、スリットの形成を接合用のシ
リコン層を堆積する前に行うようにすると、スリット形
成は石英ガラスのエッチングのみになり、上記のような
問題も回避できる。
堆積すると、スリット内にもシリコン層が堆積する。し
かし、通信に用いられる光信号の波長は、1.3μmか
ら1.65μmと赤外域にあり、シリコンはこれらの波
長域で透明であるため、スリットの壁面に堆積しても光
学特性への影響は少ない。
面で数百nmであり、スリット壁面にはその数分の一程
度の層としてしか堆積しないので、スリット壁面位置の
変化は無視できる。更に、スリット壁面にシリコンが堆
積することにより、エッチングで発生した壁面の条痕、
即ち、筋状の凹凸が緩和され反射時の光の散乱が抑制さ
れ、切替時の反射損失が減少する効果がある。
に示す。図4は、光導波路側基板と蓋側基板の断面構造
の概略図である。第一の実施例と大きく異なる点は、導
波路側基板にシリコン基板ではなく、石英ガラス基板
1′を用いている点である。シリコンに比較して石英ガ
ラスは、光導波路層と同じ材料なので、光導波路層を形
成後の内部歪が少なく、基板そのものの反り、また、偏
波依存性が軽減されるという長所を有する。
路基板の裏側からもスリット内部の様子を観察すること
が可能であり、製造時の確認検査が容易となるという長
所も持つ。光導波路基板側のその他の層の堆積は、実施
例1と同様である。光導波路基板側に石英ガラスを用い
ると、熱膨張係数の違いのため、パイレックスガラスを
蓋に用いることはできなくなる。蓋側には同じ材料であ
る石英ガラス5′を用いている。
極接合することはできない。これは、パイレックスガラ
スと異なり、接合時の数百℃の温度において電気伝導を
担うアルカリ金属が含有されていないためである。そこ
で、本実施例では、石英ガラスの上に、先ず、クロムの
金属層17を堆積させ、その上にパイレックスガラス層
18をスパッタで堆積させている。接合時は、光導波路
側の接合用シリコン層16と蓋側のパイレックス層18
にそれぞれ、正極、負極の電極を接触させて電圧をかけ
る。
抵抗が金属層の方が低いので、負電極に直接金属層を接
触させなくても、薄いパイレックス層18を通じて金属
層17が負電極に近い電位になり、更に金属層17を通
じて、パイレックス層18とシリコン層16の界面に垂
直に電界がかかり陽極接合が実現される。蓋側のパイレ
ックス層18は接合時に下向き(光導波路基板を下側に
した場合)になるので、負電極を接触させにくいが、光
導波路側の接合用シリコン層16の一部を電気的に分離
するように形成し、その部分が蓋のパイレックス層18
に接触し、且つ、一部が露出するようにさせ、その部分
で負電極を接触させると、容易に負電極を上部より接触
させることができる。
コン層16の電極の部分はパイレックス層18とは接合
しない。
に示す。図5は蓋側基板の断面構造の概略を示すもので
ある。実施例1では、屈折率整合液体の注入口が蓋の側
面にあり、注入溝は蓋の接合面側に彫り込んで形成して
いるが、本実施例では、蓋に垂直に開けられた穴が注入
孔8となっている。
7の配置が面内に場所を占有することなく、高密度にス
イッチを配置することが可能である。特に、複数のスイ
ッチが格子点上に配置されているマトリックススイッチ
を作成する際に有効である。
たように、本発明の光スイッチ及びその製造方法によれ
ば、光導波路の交差部にスリットを設けその中で屈折率
整合液体を移動させて切替を行う光スイッチに高い信頼
性を付与し、かつ、高い製造性を実現できる。特に、光
導波路基板と蓋側基板を陽極接合することにより、気密
性の高い密閉が実現され、屈折率整合液体の長期に渡る
品質の保証が可能となる。更に、樹脂による封を行う前
に基板表面をシランカップリング剤で処理することによ
り、余分な液体を除去しやすくすると共に、樹脂と基板
の接着性を確保して、スリットの密閉を確実なものとす
ることができる。また、圧力制御により、一括して複数
のスリット内への微量な屈折率整合液体の注入を制御性
良く行うことができ、これにより、これまで困難であっ
た微小スリットへの液体注入を容易に行えるようになっ
た。更に、陽極接合のために光をとバス基板表面に堆積
するシリコン層をスリット形成後に堆積させることによ
り、スリットの整合を容易に製造性を高めることができ
る。
図である。
ットとヒーターの位置関係を示す概略図である。
路側基板の断面構造及び蓋側基板の断面構造図である。
路側基板の断面構造及び蓋側基板の断面構造図である。
基板の断面構造図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 光導波路基板内で基材上に互いに交差す
る光導波路の交差部に設けられた空隙に、光導波路と屈
折率が等しい屈折率整合液体が封入され、該屈折率整合
液体を空隙内で移動させることにより、互いに交差する
光導波路間で光路の切替を行う光スイッチにおいて、光
導波路基板の基材がシリコンであり、該基材の上にガラ
ス層を備え、表面に堆積したシリコン層を備え、上記光
導波路の交差部に設けられた空隙が該シリコン層と陽極
接合されたホウケイ酸低アルカリガラスにより蓋をされ
ていることを特徴とする光スイッチ。 - 【請求項2】 請求項1記載の光スイッチにおいて、光
導波路基板の基材が石英であり、蓋がホウケイ酸低アル
カリガラス或いはホウケイ酸ガラスを表面に堆積した石
英であることを特徴とする光スイッチ。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の光スイッチを組み
立てる方法において、蓋が接合された状態で、光導波路
の交差部に設けた間隙が外部に接続するように導波路基
板表面或いは蓋の接合面に溝が設けられており、該溝よ
り屈折率整合液体を注入することを特徴とする光スイッ
チの組立方法。 - 【請求項4】 請求項3記載の光スイッチの組立方法に
おいて、所定の圧力に減圧した減圧容器内で屈折率整合
液体を液体注入用の該溝へ接触させ、その後、大気圧に
戻すことにより目的とする量の屈折率整合液体の注入を
行うことを特徴とする光スイッチの組立方法。 - 【請求項5】 請求項4記載の光スイッチの組立方法に
おいて、屈折率整合液体を注入する前に、蓋が接合され
た光導波路基板の表面にシランカップリング剤等の表面
処理剤を塗布し、屈折率整合液体との接触角を有限な値
とすることを特徴とする光スイッチの組立方法。 - 【請求項6】 請求項5記載の光スイッチの組立方法に
おいて、屈折率整合液体の注入後に余分な屈折率整合液
体を除去し、間隙に接続する溝の開口部をエポキシ樹
脂、シリコン樹脂又はシリコンゴムで封をすることを特
徴とする光スイッチの組立方法。 - 【請求項7】 請求項1又は2記載の光スイッチを組み
立てる方法において、光導波路基板表面のシリコンが、
光導波路交差部における空隙の作成後に堆積させられる
ことを特徴とする光スイッチの組立方法。
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