JP3144619B2 - 水滴検出装置 - Google Patents

水滴検出装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波を利用して
板体の表面に付着した水滴を検出する水滴検出装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、水滴検出装置として、図4に示す
ような光学的手段によるものが種々提案されている。例
えば、特開昭59−44641号公報に開示された水滴
検出装置は、図4に示すように、発光素子aと受光素子
bとを透明板cの被検出面dと反対側の面に配置し、被
検出面dに水滴が付着していないときに、発光素子aの
発した光が透明板c内で全反射して受光素子bに入射す
るように構成されている。そして、被検出面dに水滴が
付着すると、水滴付着部分で発光素子aからの光の反射
が変化し、受光素子bに入射する光量が減少して受光レ
ベルが低下する。この受光レベルの低下から、水滴の付
着を検出することができる。
【0003】また、図示は省略するが、上記の構成にお
いて発光素子aおよび受光素子bを超音波素子で代替
し、超音波を透明板c内を伝播させることによっても同
様に水滴の付着を検出することもでき、例えば特開平5
−142356号に開示されている。このように検出媒
体として超音波を用いることで、上記の光学方式を適用
できなかった非透明部材(例えば鏡や金属板等)にも適
用可能となり、その用途が広範になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の水滴検
出装置では、発光素子a(または超音波素子)と受光素
子b(または超音波素子)とを厳密に位置調整して配置
する必要があり、更に光学方式のものは、透明板にしか
適用できないこと、外乱(周囲の光)による影響が大き
いこと、等の問題があった。
【0005】本発明は、上記事情を考慮し、透明板以外
にも適用でき、光等の外乱の影響を受けにくく、厳密な
調整の不要な、簡単な構造の水滴検出装置を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明の水滴検出装置
は、板体の表面に付着した水滴を検出する装置であっ
て、前記板体の裏面に取り付けられ、前記表面に向けて
垂直に超音波を送波し、かつ前記板体内を繰り返し反射
する反射波を受信する超音波送受信手段と、前記反射波
の反射毎の受信強度を監視するとともに、所定回数反射
後の反射波の受信強度を基準値と比較して演算結果を出
力する演算手段とを備え、前記基準値を複数段に設定し
て前記水滴の大きさの判定を行うことを特徴とする。
【0007】
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
基づいて説明する。この実施例の水滴検出装置は、図1
に示すように、板体1中へ垂直に超音波を入射すること
によって生じる反射波(以下、「エコー」という)の減
衰の程度を監視することで、板体1の表面1Aに付着し
た水滴Wの検出を行うものである。図示されるように、
板体1の裏面1Bに貼り付けられ板体1の表面1Aに対
して裏側から垂直に超音波を発射し、かつその反射波を
受信する超音波送受信手段(例えば圧電セラミックス)
2と、超音波送受信手段2に接続された送受信回路3
と、反射波を監視して基準値と比較演算する演算制御回
路4と、演算制御回路4が水滴の付着を検出した際に発
する制御信号に応じて作動する水滴除去装置5とから構
成されている。
【0009】以下、板体1がガラス板の場合を例にし
て、上記水滴検出装置の検出原理について説明する。超
音波送受信手段2から板体1中に裏面1Bから表面1A
に向かって垂直に入射された超音波は、板体1内、即ち
表面1Aと裏面1Bとの間で全反射を繰り返すため、送
受信回路3で検出する波形には、図2に示すような多重
エコー(エコー群)Eが観測される。これは、空気とガ
ラスとでは、音響インピーダンス(密度とその媒質にお
ける音速との積)が大きく異なり、それゆえガラス中か
ら空気中へは超音波が放出されないためである。図2に
おいて、縦軸は超音波の送信波Nおよびエコー群Eの個
々のエコーの強度を電圧で表示し、横軸は時間を示す。
各エコーは、超音波の路程すなわち板体1の板厚に対応
し、時間軸上で常に等間隔かつ同じ位置で観測される。
また、反射波は反射の都度減衰するため、エコー群E
は、図示されるように時間の経過とともにピーク高さが
逓減する右下がりの外観を呈する。
【0010】ところが、音響インピーダンスが空気に比
べ、よりガラスに近い水滴Wがガラスの表面に存在する
と(図1参照)、超音波の一部が水中に漏洩してガラス
表面での反射超音波量が減少する。この場合、超音波の
路程は水滴Wの有無に関わらず不変であるため、各エコ
ーの時間軸上の位置は変わらず、ピーク高さだけが低下
する。即ち、エコー群Eは、位置不変のまま全体として
低下することになる。本発明は、このエコーのピークの
低下を監視することを検出原理とするものであるが、そ
の際、エコー群Eの中で特定のエコーを選択し、その強
度を基準値と比較することを特徴とする。この比較は、
演算制御回路4で行われる。ここで、反射回数の少ない
エコー(時間軸上でより左側)はピークが高いため、水
滴Wが付着してピークが低下したとしても、その低下率
は小さく、他方反射回数が多すぎても(時間軸上でより
右側)、水滴Wの付着の有無に関わらずピークが低いた
め、何れの場合も基準値との比較において好ましくな
い。従って、前記の特定エコーとして、適当な回数反射
されて適当量減衰されたピークのものを選択することが
好ましい。
【0011】演算制御回路4は、前記特定エコーの強度
を基準値と比較するゲート回路を含み、そのゲート回路
の判定結果を出力する。例えば、図3に示すように、ゲ
ート回路には2つの基準値G1、G2(G1<G2)が
その高さ(強度)を変えて定められており、図3(a)
のように、特定エコーの高さが基準値G2より高い時
は、超音波の減衰が無い(若しくは極く僅か)として、
水滴無しと判断し、図3(b)のように、特定エコーの
高さが基準値G1より低い時は、超音波の減衰が大きい
ので、大きな水滴Wあるいは多量の水滴Wが付着してい
ると判断し、図3(c)のように、特定エコーの高さが
基準値G1より高くかつ基準値G2より低い時は、超音
波の減衰が中程度であるので、霧状の小さな水滴Mが付
着していると判断し、これらの判断結果に応じた信号を
水滴除去装置5に出力する。このように、特定エコーの
高さを基準値と比較することにより、水滴Wの有無のみ
ならず、水滴Wの大きさや付着量までも判別することが
できる。このことは、例えば自動車において、降雨を検
知して自動的にワイパーを作動させたり、ウインドーの
曇りを検知して自動的にヒータを作動させる等、水滴の
状態に応じて各種の水滴除去装置5を自動的に切り換え
て作動させることを可能にする。
【0012】尚、上記の実施例においては、電圧の異な
る2種類の基準値を設定したが、水滴Wの付着状態(大
きさや付着量)に応じて、より多様な水滴除去装置5を
作動させたい場合には、基準値を三つ以上設定すればよ
い。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように、発明の水滴検出装
置は、超音波を利用して水滴の検出を行うので、材料が
透明体であるか否かに拘らず、水滴の検出が可能であ
る。また、超音波を板体に対して垂直に入射して、その
エコーの減衰を監視するものであるから、簡単な構造
で、位置調整が不要で、外乱にも強く、信頼性の高い水
滴検出が可能である。しかも、エコーの減衰レベルを判
定する基準値を複数段に設定することにより、水滴の付
着状態に応じて水滴除去装置の最適な制御を自動的に実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の概略構成図である。
【図2】同実施例の観測波形の説明図である。
【図3】同実施例における水滴の有無および水滴の大小
による観測波形の違いを示す説明図である。
【図4】従来の水滴検出装置の断面図である。
【符号の説明】
1 板体 1A 表面 1B 裏面 2 超音波送受信手段 4 演算制御回路 W 水滴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 29/00 - 29/28

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板体の表面に付着した水滴を検出する装置
    であって、前記板体の裏面に取り付けられ、前記表面に
    向けて垂直に超音波を送波し、かつ前記板体内を繰り返
    し反射する反射波を受信する超音波送受信手段と、 前記反射波の反射毎の受信強度を監視するとともに、所
    定回数反射後の反射波の受信強度を基準値と比較して演
    算結果を出力する演算手段とを備え 前記基準値を複数段に設定して前記水滴の大きさの判定
    を行う ことを特徴とする水滴検出装置。
JP27929795A 1995-10-26 1995-10-26 水滴検出装置 Expired - Fee Related JP3144619B2 (ja)

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