JP3143972B2 - ノンレム睡眠増加剤 - Google Patents

ノンレム睡眠増加剤

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JP3143972B2 JP03214182A JP21418291A JP3143972B2 JP 3143972 B2 JP3143972 B2 JP 3143972B2 JP 03214182 A JP03214182 A JP 03214182A JP 21418291 A JP21418291 A JP 21418291A JP 3143972 B2 JP3143972 B2 JP 3143972B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ノンレム睡眠増加剤に
関する。更に詳しくは、種々の睡眠障害を処置するため
の新規有用な医薬品に関する。
【0002】
【従来の技術】今日の社会生活には、ストレス、悩みな
ど睡眠障害の原因となる要因があり、この分野での治療
薬の開発は非常に重要である。特に、睡眠状態には大別
して、レム睡眠、ノンレム睡眠の2種類があり、レム睡
眠は脳の休息の状態であり、ノンレム睡眠は体の休息の
状態である。
【0003】レム睡眠の発現に対して、コリン作動性神
経系が深く関与していることからコリン作動性の睡眠調
整剤として特開昭63年208524号公報、特開昭6
3年209560号公報の記載には、ホスファチジルコ
リン(以下PCと略す)などコリン骨格を有する化合物
およびドコサヘキサエン酸をβ位に有するPCが知られ
ている。しかし、前記特開昭63年208524号公報
の記載にはSnーグリセロールー3ーホスホコリンがノ
ンレム睡眠を増加させることの記載はない。PCはレム
睡眠の出現周期をリズミカルに調整するが、レム睡眠量
の増加はなく、特開平1年第231469号公報、特願
平2年94958号公報の記載には、同じくドコサヘキ
サエン酸をβ位に有するPCはレム睡眠量を増加させ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、ノンレム
睡眠量を増加させるために種々検討した結果、ノンレム
睡眠量を増加させる薬物をポリグラフィーで検討した
所、天然由来のPCの構成成分であるグリセリルホスホ
コリンが有効であることを見出した。本発明は、ノンレ
ム睡眠量の増加に対して長期に投与しても副作用が少な
く、代謝や排泄に問題がなく、生理的範囲内で自然に近
い睡眠をもたらすノンレム睡眠増加剤を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はSnーグリセロ
ールー3ーホスホコリンを有効成分として含有するノン
レム睡眠増加剤である。Snーグリセロールー3ーホス
ホコリン(以下GPCと略す)は生体内脂質の主要構成
リン脂質であるPCの脱アシル体であり、グリセロー
ル、リン酸およびコリン骨格を有する水溶性物質であ
る。特にコリンは神経伝達物質アセチルコリンの前駆体
であり、GPC自体も末梢投与により脳内に移行するこ
とが知られている。また、天然由来のGPCは脳内を含
めて生体内に存在するGPCと同一立体構造である。
【0006】天然由来のGPCは天然PCの化学的加水
分解法によって特開昭64ー61490号公報の記載に
より得ることができる
【0007】GPCはDーアセトングリセロールを出発
原料として、これにキノリン中でモノフェニルホスホリ
ルジクロライドを付加し、次いでピリジン中でコリンク
ロライドを付加し、さらに炭酸ナトリウム溶液中でアン
モニウムライネッケ塩を付加した後に、酸性条件で水溶
液中で炭酸バリウム処理を行って脱アセトン化すること
で合成することができる。得られた合成物のGPCは、
ジャナル,アメリカン,ケミカル,ソサイティ,70,
1394(1948),(J,Am,Chem,So
c,70,1394(1948))の記載によって、L
ーαーGPCの塩化カドミウム複合体による単離法によ
り単離できる。
【0008】このノンレム睡眠増加剤は、経口、非経口
に適した剤型を含めて種々の製薬上許容し得る形で製造
できる。経口投与に適した形態は、錠剤、顆粒、粉末、
カプセル(軟ゼラチンカプセル)、液剤、水剤である。
非経口投与に適した形態は、筋肉注射用アンプル、静脈
点滴注射用アンプル、または点滴瓶または注射器の中に
入れた注射可能な液剤である。
【0009】GPCは毒性の面からも安全であり、マウ
スに対する経口投与のLD50は13,000mg/kg
以上であり、静脈投与のLD50は650mg/kg以上
である。本発明のノンレム睡眠増加剤の投与は、有効成
分であるGPCとして50mg〜10g/体重60kg
/日を経口投与することができる。
【0010】GPCは単独で、あるいは他の薬剤と組み
合せて、経口、腹腔、静脈、直腸からの投与に使用され
る方法を用いて投与することができる。
【0011】
【作用】GPCはそのままで腸管吸収されるか、GPC
ジエステラーゼによってグリセロールー3ーリン酸とコ
リンに加水分解されて門脈経由で肝に運ばれる。このよ
うにGPCは速やかに代謝排泄されるため覚醒時に悪影
響を及ぼしたり、依存が生じる問題はない。
【0012】(実施例)以下実施例により本発明をさら
に詳細に説明する。 GPCの製造 塩化カルシウム管を付した2Lフラスコに大豆リン脂質
(PC純度90%)100gを量り取り、蒸留メタノー
ル500mlを加えて溶解し、次いでナトリウムメチラ
ート0.5gを加えて攪拌下室温で12時間放置した。
反応液中の溶媒を減圧留去してからクロロホルム500
mlを加えて残渣を溶解し−20℃で2時間放置した。
溶媒をデカンテーションし、残渣をメタノール100m
lに溶解してから塩酸で酸性にした。これをクロロホル
ム500mlの入った1Lフラスコ中に攪拌下滴下し−
20℃で2時間放置した。析出物をグラスフィルターで
分離しアセトン洗浄した。洗浄物を減圧乾燥し、デシケ
ーター中で五酸化リンと共に12時間真空乾燥させ、黄
褐色で顆粒のGPC27gを得た。得られたGPCは吸
湿性があり、プロトンNMRおよびFAB・MS([M
+]:258)から構造が同定され、リン含量(バナド
モリブデン酸吸光光度法:10.0%)換算から純度は
98.2%であった。
【0013】GPCの毒性 36%GPC蒸留水溶液を調整し、これを検液として2
0〜24gのddYーN系マウス5週齢雄、雌各10頭
に胃ゾンデにより一回、強制経口投与した。LD50値は
雄13,365mg/kg、雌13,688mg/kg
であった。2%GPC生理食塩液を調整し、これを検液
として、22〜26gのddYーN系マウス5週齢雄、
雌各10頭にツベルクリン用注射筒および1/4注射針
を用いて、尾静脈内に10〜15秒の速度で1回注射し
た。LD50値は雄655mg/kg、雌706mg/k
gであった。
【0014】(実施例1)終夜睡眠ポリグラフィーを用
いた睡眠障害に関する研究では、睡眠にとってより本質
的な部分は徐波睡眠または深睡眠を含むノンレム睡眠で
あり、この睡眠が加齢(老人)や精神分裂病患者で減少
していることが注目されている。このような研究の見地
から実験動物への薬物の脳室内投与法を用いてGPCに
よるノンレム睡眠量の増加を検討した。
【0015】薬理試験例 実験動物は3カ月齢の雄のF344系ラット(体重25
0〜300g)を用いた。ラットは脳波記録開始の10
〜14日以上前に、ネンブタール麻酔下で、脳波記録用
電極(外径1mmの銀ビス電極、ダイヤメデカル社製)
を頭蓋骨に3本、頸背部の抗重力筋に筋電測定用の銀線
1対、側脳室用に薬物投与用のステンレスカニューレ
(29ケージ)1本を慢性留置した。脳波記録用電極に
は約1cmの配線でインピーダンス交換用プリアンプ
(5×10×19mm、特別注文品)を接続し、電極と
共にラット頭上に歯科用印象剤で固定した。
【0016】手術後、ラットは飼育用ケージで飼われ、
記録開始の2日以上前に記録用ケージ(直径40cm、
深さ40cm、網底のステンレス筒)に移し、記録用の
電線と薬物投与用のポリエチレンチューブを接続した。
接続後、側脳室内へ無菌の生理食塩水を20μl/mi
nで連続投与した。実験室の温度は24±1℃で行っ
た。接続後2日以上経ってから24時間の連続記録を始
めた。対照実験は生理食塩水投与時の記録を用いた。対
照実験の記録終了の後、続けてGPCの投与実験を行っ
た。
【0017】投与実験では、1wt%GPC滅菌水溶液
を用いてラット1匹当たり250μgに相当するGPC
量を20μl/minの速度で側脳室内に投与し、投与
開始時から24時間、脳電図、筋電図を連続記録した。
記録用紙の送り速度は0.5cm/secとした。記録
終了後、筋電図と脳電図の記録を目察によりノンレム睡
眠相と覚醒相に分類した。各相の判定基準は下記に従っ
て行った。ノンレム睡眠相(図2)は、脳電図が大振幅
の比較的低周波の除波を示し、かつ筋電図に活動が記録
されていない。レム睡眠相(図1)は、脳電図が小振幅
の速波を示し、かつ筋電図に活動が記録されていない。
覚醒相(図3)は、脳電図が小振幅の速波を示し、かつ
筋電図に活動が記録されている。
【0018】ラットの睡眠は24時間に分散する多相睡
眠型であるので、当初より24時間を記録時間とし、そ
の中の全睡眠量をまとめて解析した。さらにラットは、
基本的に夜行性動物であることから休止期である昼間1
2時間による総睡眠量を解析した。判定結果は表1に対
照群と実験群に関する平均値と標準偏差を記録した。実
験群は対照群に比べて統計的有意差が認められた。統計
的有意差の判定にはステューデントのt−検定を用い
た。
【0019】
【表1】
【0020】表1の結果から、24時間の睡眠および昼
間12時間におけるノンレム睡眠の有意な増加が認めら
れた。以上の結果からGPCは睡眠障害で低下する深睡
眠と深く関連するノンレム睡眠を増加させ治療すること
ができる。
【0021】医薬組成物の例 1)軟カプセル 1粒にGPC400mgを含む軟ゼラチンカプセルとし
た。 2)注射剤 生理食塩水20mlにGPC20mgを分散させて注射
剤とした。 3)点滴用注射剤 GPC3.6gを常法により300mlのバイアル点滴
用注射剤とした。 4)顆粒製剤 GPC0.2g、大豆レシチン0.2g、カカオ脂2g
を常法により顆粒製剤とした。
【0022】
【発明の効果】本発明のノンレム睡眠増加剤は、人の深
睡眠と深く関連する睡眠中のノンレム睡眠を増加させる
ことができる。また、睡眠の質的変化に伴う老人の不眠
症、アルコール中毒症、うつ病、精神分裂症など種々の
睡眠障害の治療への応用が可能である。
【0023】
【図面の簡単な説明】
【図1】投与開始後から記録した脳電図と筋電図から、
レム睡眠相の判定基準に使用した代表的なポリグラフの
チャートである。
【図2】投与開始後から記録した脳電図と筋電図から、
ノンレム睡眠相の判定基準に使用した代表的なポリグラ
フのチャートである。
【図3】投与開始後から記録した脳電図と筋電図から、
覚醒相の判定基準に使用した代表的なポリグラフのチャ
ートである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Snーグリセロールー3ーホスホコリン
    を有効成分として含有するノンレム睡眠増加剤。
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