JP3142503B2 - 追尾型アンテナ装置 - Google Patents

追尾型アンテナ装置

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JP3142503B2
JP3142503B2 JP09169891A JP16989197A JP3142503B2 JP 3142503 B2 JP3142503 B2 JP 3142503B2 JP 09169891 A JP09169891 A JP 09169891A JP 16989197 A JP16989197 A JP 16989197A JP 3142503 B2 JP3142503 B2 JP 3142503B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工衛星、航空機
等の目標から無線送信される信号を、車両等の移動体に
搭載される指向性アンテナによって、継続的に捕捉受信
させるための追尾型アンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】人工衛星等の目標から無
線送信される信号を車両等の移動体に搭載された指向性
アンテナにて好適に受信し続けられるようにするため
に、目標に対する移動体の相対移動及び移動体の傾斜に
抗して常に目標を指向し続けるよう、即ち目標を追尾す
るよう、指向性アンテナのビーム方向を逐次変化させる
装置、即ち追尾型アンテナ装置が開発されている。追尾
型アンテナを実現する方法の一つに、方位(AZ)軸及
び仰角(EL)軸を有するマウントによってこの指向性
アンテナを移動体上に支持し、移動体の移動や傾斜に応
じて、指向性アンテナのビームを機械的又は電子的な方
位軸回り及び仰角軸回りで回転させる、という方法があ
る。この種のマウントはAZ−ELマウントと呼ばれ、
構造が簡素である等の特徴を有している。このAZ−E
Lマウントでは、方位軸及び仰角軸という2本の軸が制
御対象となっている。従って、その制御に際しては、方
位軸及び仰角軸各々について制御角を決定する必要があ
る。
【0003】更に、目標をより精度よく追尾できるよう
にする方法として、従来からステップトラックが用いら
れている。ステップトラックは、指向性アンテナが衛星
を捕捉している状態から、指向性アンテナのビーム方向
を試行錯誤的に微小角度変化させその変化の前後の信号
受信状態例えば受信レベルを比較することにより、指向
性アンテナのビーム方向をどちら回りに変化させればよ
りよい信号受信状態となるかを判断し、その結果に応じ
て指向性アンテナのビーム方向を変えていく、という方
法である。前述のように、AZ−ELマウントを有する
追尾型アンテナ装置では方位軸制御角及び仰角軸制御角
を共に決定しなければならないため、従来は、ステップ
トラックも方位及び仰角双方について個別に実行されて
いた。即ち、指向性アンテナのビーム方向を方位軸回り
で試行錯誤的に微小角度変化させその変化の前後の信号
受信状態の比較結果に基づき指向性アンテナのビーム方
向を方位軸回りでどちらかに変化させるという方位ステ
ップトラックと、指向性アンテナのビーム方向を仰角軸
回りで試行錯誤的に微小角度変化させその変化の前後の
信号受信状態の比較結果に基づき指向性アンテナのビー
ム方向を仰角軸回りでどちらかに変化させるという仰角
ステップトラックとを、共に行っていた。
【0004】
【発明の概要】本発明の目的の一つは、従来から行われ
ていた方位ステップトラック及び仰角ステップトラック
に代えて、無線信号の受信状態を頼りに移動体方位デー
タの値を試行錯誤的に修正していくという新しい考え
(以下、これを移動体方位ステップトラックと呼ぶ)を
導入することにより、その出力たる移動体方位データ又
はこれに変換可能な移動体方位角速度データに無視し得
ない誤差が含まれる(しかし比較的安価な)慣性測定装
置(IMU)を使用して、従来に比べ高精度で信頼性が
高く、かつ走行中の移動体のようにその傾斜が時々刻々
変動する場合でも優れた追尾性能を有する追尾型アンテ
ナ装置を実現することにある。本発明の目的の一つは、
本願出願人が特願平7−192772号(特開平9−4
6122号)にて提案した仮想移動体方位法による目標
サーチと、本願にて新たに提案する移動体方位ステップ
トラックとの併用により、目標サーチ及びステップトラ
ックを共に移動体方位により実行できるようにし、ひい
ては目標サーチ及びステップトラックを効率化すると共
に装置の構成(特にレジスタ類の個数・種類)を簡素化
することにある。本発明の目的の一つは、AZ−ELマ
ウントやAZ−XEL(X)−EL(Y)マウント等の
ように少くとも方位軸と仰角軸とを有し陸上移動体への
搭載に適する追尾型アンテナ装置、特に、建物や樹木等
の電波障害物の多い状態でもより信頼度の高い追尾を行
える追尾型アンテナ装置を実現することにある(尚、以
下の説明では、代表的なマウントであるAZ−ELマウ
ントへの本発明の適用例を述べるが、本発明の適用対象
マウントはこれには限定されない)。
【0005】本発明の目的の一つは、仮想移動体方位法
による目標サーチ及び移動体方位ステップトラックを実
行するに際して必要となる移動体方位データについて、
適当な条件下で補正を施すことにより、比較的安価なI
MUを使用しつつも従来以上の精度を有しかつ従来より
安価な追尾型アンテナ装置を実現することにある。本発
明の目的の一つは、IMU以外の資源例えばGPS受信
機から得た方位データや、この方位データとIMUから
得た移動体方位データ(又はIMUからの移動体方位角
速度データから得た移動体方位データ)とを結合して得
たデータを、移動体の移動中に移動体方位データを補正
する際及び目標サーチの開始に当たって移動体方位デー
タを初期設定する際に利用することにより、より精度と
信頼性の高い追尾型アンテナ装置を実現することにあ
る。
【0006】本発明の目的の一つは、IMUやGPS受
信機から得た移動体方位データを所定時間に亘り監視し
た結果に基づき移動体が直進しているか否かを判断し、
直進又は停止していると判断したときのみ移動体方位デ
ータの補正やブロッキング/オフビーム判定を実行する
ようにすることにより、移動体方位データの補正やブロ
ッキング/オフビーム判定の精度を高くすることにあ
る。本発明の目的の一つは、他の資源例えばGPS受信
機から得られる方位データを利用してブロッキング/オ
フビーム判定を行い、オフビームと判定されたときに目
標サーチを(或いはこれに先立ち移動体方位データの補
正を)行わせることにより、無線信号受信状態の劣化に
より好適に対処できるようにすることにある。本発明の
目的の一つは、移動体方位ステップトラックに加え仰角
ステップトラックを実行することにより、更に精度の高
い追尾型アンテナ装置を実現することにある。
【0007】このような目的を達成するため、本発明に
係る追尾型アンテナ装置は、指向性アンテナ、方位軸仰
角軸制御手段、制御角決定手段、仮想移動体方位法目標
サーチ手段及び移動体方位ステップトラック手段を備え
る。本発明における指向性アンテナは、人工衛星等の目
標から送信される無線信号を受信すべく車両等の移動体
に搭載されており、そのビーム方向を方位軸回り及び仰
角軸回りで制御可能なアンテナである。また、方位軸仰
角軸制御手段は、方位軸制御角及び仰角軸制御角に従い
上記指向性アンテナのビーム方向を方位軸回り及び仰角
軸回りで制御する手段であり、例えば、各軸を制御する
モータ(機械軸の場合)若しくは可変移相器(電子軸の
場合)やその駆動回路を含む。
【0008】制御角決定手段は、追尾すべき目標の位置
を示す目標位置データ、搭載に係る移動体の位置を示す
移動体位置データ、上記移動体の傾斜角を示す移動体傾
斜角データ、及びIMUの出力に基づき得られ上記移動
体の進行方位を示す移動体方位データに基づき、方位軸
制御角及び仰角軸制御角を決定する。ここでいう“移動
体の進行方位”は、水平真北座標系X000では図1
中のφvである。“目標の位置”は、目標が人工衛星で
ある場合にはその軌道情報を構成する緯度、経度及び高
度である(静止衛星の場合は経度のみ)。“移動体の位
置”は、移動体の現在位置の緯度、経度等で表現できる
データであり、例えばGPS受信機から与えられ又は使
用者により設定される。“移動体の傾斜角”は、図1中
ではロール角r及びピッチ角pで表されている。
【0009】これらのうち“目標の位置”及び“移動体
の位置”がわかれば、水平真北座標系X000におい
て移動体の位置Oから見た目標の方向T、即ち目標の方
位φt h及び仰角εth(又は俯角θth)がわかる。ここで
は導出過程は省略するが、水平真北座標系X000
おける目標の方位φth、仰角εth及び俯角θthは、近似
的には
【数1】 φth=arcsin{sinθt・sin(φvqtq)/(1-cos2θx)1/2} εth=arctan{|cosθx-R/(R+H)|/(1-cos2θx)1/2} θth=π/2-εth 但し、cosθx=cosθt・cosθv+sinθv・sinθt・cos(φ
vqtq) θt=π/2[rad]-目標の緯度 θv=π/2[rad]-移動体の緯度 φtq=目標の経度 φvq=移動体の経度 R=地球の半径 H=目標体の高度 となる。
【0010】更に、特願平7−192772号に記載し
たように、図1中の移動体座標系XYZで表した目標方
向の単位ベクトル[X Y Z]Tは、水平真北座標系X00
0で表した目標方向の単位ベクトル[X0 Y0 Z0]Tに、移動
体の進行方位φvによる変換、ピッチ角pによる変換及
びロール角rによる変換を順に施して得られる次の値
【数2】 である。目標方向を示す単位ベクトル[X0 Y0 Z0]Tは次
の式
【数3】 に示されるように目標の方位φth及び俯角θthにより表
すことができ、同様に、移動体座標系XYZにおける目
標の方位及び俯角は
【数4】 φ=arctan(Y/X) θ=arccos(Z) と表せるから、“移動体の進行方位”及び“移動体の傾
斜角”がわかれば方位軸制御角及び仰角軸制御角を決め
ることができる。
【0011】本発明の最大の特徴に係る処理は、仮想移
動体方位法目標サーチ手段及び移動体方位ステップトラ
ック手段にて実現されている。まず、目標を指向性アン
テナが捕捉していないと見なせるときには、仮想移動体
方位法目標サーチ手段が、移動体方位データにより目標
サーチを実行する。即ち、移動体方位データをその初期
値から徐々に変化させつつ制御角決定手段を動作させる
と同時に、目標からの無線信号受信状態を監視すること
により、無線信号受信状態が良好になるビーム方向をサ
ーチする。このように移動体方位という1種類の角度に
て目標サーチを実行することにより、方位及び仰角とい
う2種類の角度にて目標サーチを実行する場合に比べ迅
速に、目標をサーチすることができる。
【0012】そして、この目標サーチに成功した後は、
目標サーチによって得られた移動体方位を初期値とし
て、移動体方位ステップトラック手段が、移動体方位に
よるステップトラックを実行する。即ち、移動体方位ス
テップトラック手段は、移動体方位データを試行錯誤的
に微小角度変化させつつ制御角決定手段を動作させ、こ
の試行錯誤的な変化の前後の無線信号受信状態を比較し
た結果に基づき無線信号受信状態がより良好になるよう
に移動体方位データを変化させるという処理を、繰返し
実行する。
【0013】このように、方位及び仰角に代えて移動体
方位(及び仰角)にてステップトラックを行っているた
め、従来に比べ精度の高いステップトラックが可能であ
る。即ち、従来のように方位及び仰角ステップトラック
を行うのでは、制御角を求める際に使用する移動体方位
データに誤差が生じていてもその誤差が移動体から見た
目標の相対方位の誤差として扱われてしまい、従って、
移動体の傾斜が大きいとき等には当該移動体方位データ
の誤差を正確に補償するのは難しい。これに対し、本発
明のように移動体方位ステップトラックを行うようにす
れば、移動体方位データの誤差を正確に補償することが
できるため、従来より精度及び信頼性の高いステップト
ラックを実現できる。従って、ある程度の誤差特に積分
誤差を含む移動体方位データを出力する比較的安価なI
MUを移動体方位データの供給源として採用しつつも、
高い精度を得ることができる。また、この効果は、特
に、目標及び移動体の位置が十分正確にわかっていると
きに現れる。このような状況は、目標例えば人工衛星の
経度乃至軌道を予めデータとして蓄えておくか逐次入力
するようにすると共に、GPS受信機等を利用して移動
体の位置に関するデータを逐次入力するようにすること
で、実現できる。更に、仮想移動体方位法による目標サ
ーチと移動体方位ステップトラックとを併用しているた
め、目標サーチ及びステップトラックを共に移動体方位
により実行でき、従ってこれらの効率化を達成できる。
また、これらはいずれも移動体方位レジスタ上のデータ
の操作により実現できるため、実現するために必要な装
置構成は簡素である。
【0014】本発明においては、更に、仮想移動体方位
法による目標サーチ及び移動体方位ステップトラックを
実行するに際して必要となる移動体方位データについ
て、適当な条件下で補正を施すようにしている。例え
ば、制御角決定手段では専らIMUにて生成された方位
データを制御角決定のための移動体方位データとして用
いる一方で、IMU以外の資源例えばGPS受信機から
も方位データを入力する。更に、移動体が直進している
ときに、GPS受信機から入力した方位データを利用し
て、移動体方位データをプリセットする。より具体的に
は、GPS受信機から入力した方位データ或いはこれに
加工・修正を施した方位データを、移動体方位レジスタ
上に書き込み、それ以後は、IMUからの方位データの
増分値を、移動体方位レジスタ上のデータに積算してい
く。制御角決定手段では、移動体方位レジスタ上のデー
タを、制御角の決定に使用する。このようにすることに
より、いわば複数の資源からの方位データを有効活用で
き、安価なIMUを用いつつも従来以上の精度を実現す
ることができる。
【0015】本発明においては、更に、移動体が停止又
は直進しておりかつ目標からの無線信号受信状態がオフ
ビームにより所定程度以下まで劣化したと見なせるとき
に、そのときの移動体方位データ(移動体方位レジスタ
上のデータ)若しくはGPS受信機から入力した方位デ
ータ又はこれらを結合して生成した方位データを、移動
体方位データの初期値として、仮想移動体方位法目標サ
ーチ手段を動作させる。このように、複数の資源からの
方位データを有効活用して、オフビーム判定直後に実行
する目標サーチの初期値を設定することにより、より精
度と信頼性の高い追尾型アンテナ装置を実現できる。ま
た、オフビーム判定に応じ仮想移動体方位法目標サーチ
手段を動作させるのに先立ち、GPS受信機から入力し
た方位データを利用して移動体方位データ(移動体方位
レジスタ上のデータ)をプリセットするようにしてもよ
い。この場合、その後も無線信号受信状態が十分回復し
ないときには、そのときの移動体方位データ(移動体方
位レジスタ上のデータ)若しくはGPS受信機から入力
した方位データ又はこれらを結合して生成した方位デー
タを移動体方位データの初期値として、仮想移動体方位
法目標サーチ手段を動作させる。このように一旦移動体
方位データのプリセットを行うようにすれば、目標サー
チに移行する頻度が低くなる。
【0016】本発明においては、無線信号受信状態が所
定程度以下まで劣化したとき、上述のブロッキング/オ
フビーム判定を、目標の方位とGPS受信機から入力し
た方位データとに基づき行う。ここで用いる目標の方位
は、制御角決定手段にて求めたものを用いることができ
る。本発明においては、このような形でも、複数の資源
を有効活用している。また、本発明においては、移動体
方位データ又はGPS受信機からの方位データが所定の
監視期間内に所定程度を下回るばらつきを呈したとき
に、移動体が直進していると判定する。前述のように、
直進していると判定されたときには移動体方位データの
補正やブロッキング/オフビーム判定が実行される。従
って、このように複数の資源を有効活用した直進/変針
判定によって、移動体方位データの補正やブロッキング
/オフビーム判定の精度が高くなる。
【0017】そして、本発明においては、移動体方位の
みならず仰角についても、ステップトラックを実行す
る。即ち、仰角軸制御角に与えるバイアスを試行錯誤的
に微小角度変化させつつ方位軸仰角軸制御手段を動作さ
せ、この試行錯誤的な変化の前後の無線信号受信状態を
比較した結果に基づき無線信号受信状態がより良好にな
るように上記バイアスを変化させるという処理を、繰返
し実行する。このようにすることによって、機械軸の歪
みその他の要因による追尾誤差をも低減できる。
【0018】以下、本発明の好適な実施形態に関し説明
する。尚、本願では本発明を「追尾型アンテナ装置」に
係る発明であると記しているが、本願の開示内容を参照
した当業者であれば、本発明を例えば「ステップトラッ
ク方法」「移動体方位データ処理方法」等としても把握
できる。また、以下の説明ではブロック図を使用する
が、これは、本発明の機能的構成がより明瞭になるよう
にとの意図によるものであり、本発明をハードウエア的
にしか実施できないことを示すものではない。また、本
発明を実施するに際しては、本質を逸脱しない範囲での
変形が可能である。例えば、ビット誤り率BERを同期
信号Syncの代わりに用いることも可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
(1)全体構成 図2に、本発明の好適な実施形態に係る追尾型アンテナ
装置の全体構成を示す。この図の装置では、AZ−EL
マウントにより指向性アンテナ10を車両等の移動体上
に支持している。指向性アンテナ10にて受信された信
号は、受信機及び周波数変換器12により増幅されまた
中間周波数へ変換され、更に中間周波数増幅器14によ
り増幅され、復調器16に供給される。指向性アンテナ
10が人工衛星、航空機等の追尾目標を好適に追尾して
いる状態では、復調器16は、受信信号からデータ乃至
信号を復調できる。復調器16は、更に、受信信号と同
期したときその旨を示す同期信号Syncを出力し、ま
た、受信信号のレベルを示す受信レベル信号RLevを
逐次出力する。これら同期信号Sync及び受信レベル
信号RLevは、後述する目標サーチやステップトラッ
ク等の際に利用される。
【0020】他方、指向性アンテナ10の方位軸回りビ
ーム方向及び仰角軸回りビーム方向を制御するため、A
Z−ELマウントの方位軸構造物18及び仰角軸構造物
20にはそれぞれ方位軸モータ22及び仰角軸モータ2
4が設けられており、更にはこれらに対応する駆動回路
26及び28並びにポテンショメータ30及び32が設
けられている。駆動回路26及び28は、AZ−EL制
御演算記憶回路34から与えられる方位軸制御角及び仰
角軸制御角に応じて対応するモータ22又は24を駆動
する。ポテンショメータ30及び32は、対応する構造
物18若しくは20又は対応するモータ22若しくは2
4の角度位置を検出し、その結果をそれぞれ方位軸角度
データ又は仰角軸角度データとしてAZ−EL制御演算
記憶回路34にフィードバックする。このように、本実
施形態では、指向性アンテナ10の方位軸回り及び仰角
軸回りビーム方向についてサーボループが形成されてい
る。なお、本発明を実施するに際しては、機械的な軸に
代えて電子的な軸例えばフェーズドアレイを用いても構
わない(特に仰角軸)。
【0021】AZ−EL制御演算記憶回路34は、方位
軸制御角及び仰角軸制御角を決定するために、ポテンシ
ョメータ30及び32の出力等の他に、移動体に搭載さ
れている各種の装置からデータ入力部44を介し各種の
計測データを入力している。計測データの供給元となる
装置としては、慣性測定装置(IMU)36、GPS受
信機38、磁気コンパス40、移動体速度センサ42等
がある。
【0022】これらの装置のうちIMU36は、移動体
の傾斜に応じて傾斜する座標系例えば移動体座標系XY
Zにおける移動体の方位角速度を検出し、スケール変換
(増幅)、傾斜補正、積分等の処理を施すことにより基
準座標系例えば水平真北座標系X000における移動
体の進行方位を求め、これを移動体方位データφvIMU
して出力する。IMU36は、更に、移動体のロール角
・ピッチ角を検出し、その結果を移動体傾斜角データ即
ちロール角データr及びピッチ角データpとして出力す
る。また、水平真北座標系X000における移動体の
方位角速度を示すデータ即ち移動体方位角速度データω
vを出力するIMUを、図中のIMU36として用いる
こともできる。GPS受信機38は、地球周回軌道上に
あるGPS衛星から受信した信号に基づき搭載に係る移
動体の位置、進行方位、速度等を検出し、その結果を移
動体位置データPvGPS・移動体方位データφvGPS・移動
体速度データVvGPSとして出力する。磁気コンパス40
は、地磁気の方位を検出しその結果を移動体方位データ
φvMAGとして出力する。移動体速度センサ42は、移動
体の速度を例えば車輪の回転数等から検出し、その結果
を移動体速度データVvREVとして出力する。
【0023】図2の装置は、更に、移動体位置データの
初期値等の手動入力や各種データの表示に用いられる操
作表示部48を有している。初期設定の際には、AZ−
EL制御演算記憶回路34は、データ入力部44を介し
移動体位置データの初期値等を受け取る(図上はデータ
入力部44が介在していないが、実際には介在する)。
また、移動体データ及び目標データ記憶回路46は、各
種の移動体位置データ、移動体方位データ、目標位置デ
ータ、サーチ範囲等の情報を記憶する。記憶回路46に
記憶されるデータのうち、目標位置データとは、指向性
アンテナ10が追尾すべき目標の位置を示すデータであ
り、各時点における目標の緯度、経度及び高度を組み合
わせた軌道データである。但し、目標が静止衛星である
場合には、緯度、経度及び高度はほぼ一定であるので、
静止衛星毎に異なる値である経度のみを記憶しておけば
よい。目標位置データは、予め記憶回路46に記憶させ
ておき、可能であれば逐次更新する。また、サーチ範囲
とは、後述する移動体方位による目標サーチの際にサー
チ対象とする方位角度範囲をさす。
【0024】(2)AZ−EL制御演算記憶回路及びそ
の周辺の回路構成 図2に示す装置における特徴的な処理は、AZ−EL制
御演算記憶回路34にて行われている。図3〜図5に、
AZ−EL制御演算記憶回路34及びその周辺の回路の
機能構成の例を、それぞれ第1〜第3実施形態として示
す。これらいずれの実施形態でも、AZ−EL制御演算
記憶回路34の中心的な機能即ち方位軸制御角及び仰角
軸制御角を演算決定する機能は、AZ−EL制御演算回
路50により担われている。AZ−EL制御演算回路5
0は、データ入力部44を介しAZ−EL制御演算記憶
回路34に与えられるデータのうち、移動体速度センサ
42からの移動体速度データVvREV、IMU36からの
ロール角データr及びピッチ角データp、操作表示部4
8からの移動体位置データPvSET、並びにGPS受信機
38からの移動体位置データPvGPS、移動体方位データ
φvGPS及び移動体速度データVvGPSを適宜取り込んでい
る。AZ−EL制御演算回路50は、その他、同期信号
Syncや受信レベル信号RLevも取り込んでいる。
更に、いずれの実施形態でも、直進/変針判定やブロッ
キング/オフビーム判定のためのデータを記憶する区間
データ記憶回路54を、設けている。なお、各図におい
て移動体速度センサ42からの移動体速度データVvREV
がIMU36に入力されているのは、IMU36として
移動体速度データVvREVを要求する仕様のものを用いて
いるためである。
【0025】これら3個の実施形態の間の相違は、主
に、用いているIMU36のタイプの相違によって、生
じている。即ち、第1実施形態でIMU36として用い
ているのは相対方位出力タイプ、第2実施形態で用いて
いるのは角速度出力タイプ、第3実施形態で用いている
のは絶対方位出力タイプのIMUである。また、IMU
36の出力からより正確な移動体方位データφvIMUを得
るための回路や、移動体方位データφvIMUによりサーチ
やステップトラックを行うための回路にも、これに伴う
相違がある。
【0026】ここで、本願でいうところのIMUは、内
蔵する角速度検出器にて移動体座標系XYZ(又は移動
体の傾斜にともない傾斜する座標系)における移動体の
進行方位角速度を検出し、更にこれを傾斜補正及び積分
することにより水平真北座標系X000における移動
体の進行方位を検出する装置である。この装置を実現す
る際に角速度検出器として比較的安価なもの、例えば振
動ジャイロや低グレードのファイバージャイロを用いれ
ば、IMUを安価にすることができる。しかしながら、
振動ジャイロや低グレードのファイバージャイロの出力
は、通常は、直流オフセット(直流バイアス)/ドリフ
トと呼ばれる誤差を含んでいる。この誤差を抑えるため
に、従来から、傾斜補正のための座標変換やスケール変
換(増幅)等の処理と共に、オフセットをキャンセルす
る処理を、角速度検出器出力に施してはいるけれども、
温度変化によるドリフトもあるため、直流バイアスを完
全に除去することはできない。更には、角速度検出器の
感度の非線形性による誤差もある。
【0027】IMUは、このような誤差を含む角速度検
出器出力を積分して方位を得る装置であるから、IMU
にて得られる移動体方位データφvIMUには積分された誤
差が含まれるのが一般的である。特に、直流バイアスの
残留分を積分することにより生じる方位誤差は、時間と
共に増大する傾向を示す。第1実施形態で使用している
相対方位出力タイプのIMUは、このような積分誤差を
含む移動体方位データφvIMUを出力するものである。こ
れに対し、第3実施形態で使用している絶対方位出力タ
イプは、指北機能を有し水平真北座標系X000で測
った真北基準の移動体方位データφvIMUを出力できるよ
り高精度の(しかし高価な)タイプである。第2実施形
態で使用している角速度出力タイプは、積分前の信号即
ち移動体方位角速度データωvを出力するタイプであ
り、一般に、その出力には積分された誤差は含まれてい
ないが直流バイアスの残留分等の誤差は含まれている。
【0028】このように、第1実施形態では、積分され
た誤差を伴う移動体方位データφvI MUを出力するタイプ
のIMU36が用いられている。そこで、第1実施形態
では、IMU36からの移動体方位データφvIMUを所定
時間遅延させる遅延レジスタ56と、遅延レジスタ56
の入力から出力を減ずる加算器58とを設け、これらに
よって、IMU36からの移動体方位データの増分(移
動体方位増分)ΔφvI MUを求めている。これによって、
IMU36での積分の影響を低減している。第1実施形
態では、更に、移動体方位レジスタ60の内容にこの移
動体方位増分ΔφvIMUを加算するための加算器62を設
けている。移動体方位レジスタ60上のデータは、移動
体方位データφvIMUとしてAZ−EL制御演算回路50
に供給される。なお、第1実施形態では、移動体方位レ
ジスタ60上における移動体方位増分ΔφvIMUの積算に
先立ち初期値を与えるため、移動体方位レジスタ60上
のデータを所定条件下で所定値φvIMU0にプリセットす
る必要がある。次に、第2実施形態では、第1実施形態
における遅延レジスタ56及び加算器58に代えて、I
MU36からの移動体方位角速度データωvにサンプル
間隔Tを乗じて角度の次元に変換する掛算器66を設
け、これによって移動体方位増分ΔφvIMUを求めてい
る。以後は第1実施形態と同様である。そして、第3実
施形態では、第1実施形態における遅延レジスタ56、
加算器58及び62に代えて、IMU36からの移動体
方位データφvIMUを取り込む真北基準移動体方位レジス
タ64を設け、真北基準移動体方位レジスタ64上のデ
ータを移動体方位レジスタ60に転送している。この実
施形態では移動体方位レジスタ60への初期値φvIMU0
のプリセットは必要でない。
【0029】また、移動体方位レジスタ60上に移動体
方位増分ΔφvIMUを積算して移動体方位データφvIMU
得る第1及び第2実施形態では、移動体方位バイアスレ
ジスタ68と遅延レジスタ及び差分演算回路70とを、
サーチのために用いている。即ち、AZ−EL制御演算
回路50から与えられるサーチ角φvIMUbiasを移動体方
位バイアスレジスタ68に格納し、遅延レジスタ及び差
分演算回路70が移動体方位バイアスレジスタ68上の
サーチ角φvIMUbiasを所定時間遅延させてその前後での
サーチ角φvIMUbiasの増分ΔφvIMUbiasを求め、得られ
た増分ΔφvIMU biasを加算器62に与えて移動体方位レ
ジスタ60上の移動体方位データφvIMUを変化させてい
る。また、これらの実施形態では、AZ−EL制御演算
回路50から加算器62にステップ角を与えることによ
り、ステップトラックに関わる回路を構成している。他
方、移動体方位レジスタ60の内容を積算によらず逐次
更新していく第3実施形態では、真北基準移動体方位レ
ジスタ64と移動体方位レジスタ60の間に加算器72
を設けている。即ち、AZ−EL制御演算回路50から
移動体方位サーチ用バイアスレジスタ74を介して加算
器72に増分ΔφvI MUbiasを与えることにより、サーチ
に関わる回路を、またAZ−EL制御演算回路50から
のサーチ角を加算器76によって移動体方位ステップト
ラック用バイアスレジスタ78上に積算しその結果を加
算器72に与えることにより、ステップトラックに関わ
る回路を、それぞれ構成している。
【0030】(3)装置動作…電源投入直後の目標サー
チ 次に、第1〜第3実施形態の動作に関し、装置実使用の
流れに沿って説明する。基本的な流れとしては、電源投
入直後に目標サーチを行い、これによって目標を捕捉す
るに至ったときはステップトラックによる目標追尾に移
り、追尾がはずれた(オフビームした)可能性があると
きには条件付きで目標サーチに移行する、という流れで
ある。この流れの中で、目標サーチについては、本願出
願人が特願平7−192772号にて提案した移動体方
位法、即ち移動体方位データφvI MUに変化を与えて目標
を探索する方法を採用している。また、ステップトラッ
クについては、移動体方位データφvIMUにステップ的変
化を与える移動体方位ステップトラックを行うこととし
ている。
【0031】目標のサーチに先だって、AZ−EL制御
演算回路50は、まず、GPS受信機38から移動体位
置データPvGPSを入力する一方で記憶回路46から最近
の目標位置データPtSETを入力し、両者に基づいてX0
00における目標の方位φt h及び仰角εth(又は俯角
θth)を求める。もし、ブロッキングその他の理由でG
PS受信機38から移動体位置データPvGPSが得られな
いのであれば、操作表示部48の操作にて設定される又
は記憶回路46に格納されている移動体位置データP
vSETを入力し、これと目標位置データPtSETとに基づき
方位φth及び仰角εth(又は俯角θth)を求める。移動
体位置データPvGPS又はPvSETと目標位置データPtSET
とに基づき方位φth及び仰角εth(又は俯角θth)を求
める式については、前述の通りである。第1及び第2実
施形態では、方位φth及び仰角εth(又は俯角θth)を
求めるのと同時に又は相前後して、AZ−EL制御演算
回路50が移動体方位データφvIMUの初期値φvIMU0
移動体方位レジスタ60にプリセットする。初期値φ
vIMU0としては、例えば、記憶回路46上に格納されて
いる過去の移動体方位データφvIMUの中で最近のもの、
磁気コンパス40からの移動体方位データφvMAG、操作
表示部48にて設定される移動体方位データφvS ETを用
いることができる。第3実施形態では、初期値φvIMU0
の設定は不要である。
【0032】この後、いずれの実施形態においても、A
Z−EL制御演算回路50は、方位軸制御角及び仰角軸
制御角を演算決定し駆動回路26及び28に与える動作
を開始する。即ち、AZ−EL制御演算回路50は、移
動体方位レジスタ60上の移動体方位データφvIMU、I
MU36からのロール角データr及びピッチ角データ
p、並びに先だって求めた方位φth及び仰角εth又は俯
角θth)に基づき、方位軸制御角及び仰角軸制御角を決
定する。
【0033】電源投入直後においては、このようにして
決定された方位軸制御角及び仰角軸制御角に基づき方位
軸及び仰角軸を制御したとしても、一般に、指向性アン
テナ10にて目標を直ちに捕捉することはできない。そ
こで、AZ−EL制御演算回路50は、同期信号Syn
cが生じているか否かの判定(及び/又は受信レベルが
所定レベルを超えたか否かの判定)を行い、判定が成立
していないのであれば指向性アンテナ10にて目標を捕
捉してはいないと見なす。捕捉してないと見なしたと
き、AZ−EL制御演算回路50は、バイアスφ
vIMUbiasを移動体方位バイアスレジスタ68に(第1及
び第2実施形態)又はその増分ΔφvIMUbiasを移動体方
位サーチ用バイアスレジスタ74に(第3実施形態)与
え、移動体方位レジスタ60上の移動体方位データφ
vIMUを変化させる。以後は、同期信号Syncが生じて
いるか否かの判定(及び/又は受信レベルが所定レベル
を超えたか否かの判定)が成立するに至るまで、方位軸
制御角及び仰角軸制御角の決定及び出力、信号受信状態
の判定、並びに移動体方位データφvIMUの操作を繰り返
す。但し、この繰返しは、記憶回路46から又は操作表
示部48から与えられるサーチ範囲を限度として行い、
このサーチ範囲内で上述の判定が成立しないのであれ
ば、AZ−EL制御演算回路50は、サーチ不成功であ
る旨を表示操作部48を介して使用者に報知すると共
に、次回のサーチを自動的に開始させるためのタイマを
セットする。このタイマが計時を終了した時点で、目標
のサーチに係る手順が再実行される。
【0034】(4)装置動作…ステップトラック及び移
動体方位データφvIMUの更新 サーチの結果同期信号Syncが生じているとの判定
(及び/又は受信レベルが所定レベルを超えたとの判
定)が成立するに至ったとき、AZ−EL制御演算回路
50は、移動体方位データφvIMUによるステップトラッ
クを開始する。即ち、加算器62(第1及び第2実施形
態)又は76(第3実施形態)に正負いずれかの符号を
有するステップ角を与えることにより移動体方位データ
φvIMUをわずかに変化させてみて、その結果受信レベル
が上昇したのであれば同じ符号のステップ角を加算器6
2又は76に与え、下降したのであれば異なる符号のス
テップ角を加算器62又は76に与える、という手順
で、指向性アンテナ10の指向誤差を低減していく。
尚、機械軸の歪み等に対処するため、仰角軸に関しても
ステップトラックを行うのが好ましい。その際には、正
負いずれかの符号を有するステップ角を加えることによ
り仰角軸制御角のバイアス角又は仰角εthをわずかに変
化させてみて、その結果受信レベルが上昇したのであれ
ば同じ符号のステップ角を加え、下降したのであれば異
なる符号のステップ角を加える、という手順を、AZ−
EL制御演算回路50が実行する。
【0035】また、その出力に直流バイアスやそれを積
分した誤差等が含まれているIMU36を用いる第1及
び第2実施形態では、前述のように、移動体方位増分Δ
φvI MUを求めこれを移動体方位レジスタ60上で積算す
ることにより、IMU36出力の誤差に対策している。
第1及び第2実施形態では、更に、移動体方位データφ
vIMUによるステップトラックを行っているときに適宜移
動体方位データφvGPSを利用して移動体方位レジスタ6
0上の移動体方位データφvIMUを更新することにより、
誤差の更なる低減を図っている。即ち、移動体方位レジ
スタ60上の移動体方位データφvIMUが時間的な変動を
示しているか否かを判定し、示していないと判定された
ときには移動体方位データφvGPSに基づき算出した初期
値φvIMU 0を移動体方位レジスタ60にセットする、と
いう手順を実行する。ここに、移動体方位データφvIMU
自体は積分による誤差を含むとしてもその時間変化自体
は比較的信頼できる。従って、移動体方位レジスタ60
上の移動体方位データφvI MUの時間的変動に関し判定を
実行することにより、移動体が直進しているか否かを比
較的正確に知ることができる。移動体が直進しているの
であれば、移動体方位データφvGPSの値は比較的安定し
て一定値をとっているはずである。そこで、第1及び第
2実施形態では、AZ−EL制御演算回路50がそのと
きの移動体方位データφvGPSに基づき初期値φvIMU0
算出し、その結果得られた初期値φvIM U0を移動体方位
レジスタ60にセットすることにより、移動体方位デー
タφvIMUに含まれる誤差をリセットしている。
【0036】尚、移動体方位レジスタ60上の移動体方
位データφvIMUの時間的変動は、例えば、所定長(例え
ば5〜10秒)の監視期間に亘って移動体方位レジスタ
60上の移動体方位データφvIMUの|最大値−最小値
|、分散等を監視することにより検出する。監視期間の
最初又は最後で移動体が急変針しているときに直進と判
定してしまうことがないようにするには、|最大値−最
小値|を判定の指標とした方がよい。また、監視期間
は、経時的に移動していく移動期間であってもよいし、
ある時点からある時点までというように固定されている
固定期間であってもよい。前述の区間データ記憶回路5
4は、この監視期間において収集した移動体方位データ
φvIMUや移動体方位データφvGPSを記憶する。AZ−E
L制御演算回路50は、記憶回路54上の情報に基づ
き、上述の直進/変針判定を事後判定として、即ち対応
する監視期間の終了後に行う。直進と判定されたときに
初期値φvIMU0として用いられるのは、監視期間中に収
集したφvGPSの中で最新の値や、同監視期間中に収集し
た移動体方位データφvGPSの平均値であってもよいが、
この種の値に更に、監視期間終了後初期値φvIMU0を移
動体方位レジスタ60にセットする直前までの移動体方
位データφvIMUの変化量を加算した値にするのが好まし
い。更に、同時に移動体方位データφvGPSについてもそ
の時間的変動を監視及び検出し、時間的変動が大きいと
きには移動体方位データφvGPS又はこれに基づき生成し
たデータによる初期値φvIMU0のプリセットをやめるよ
うにするのが、より好ましい。
【0037】(5)装置動作…ブロッキング/オフビー
ム判定と目標サーチへの移行 移動体方位データφvIMUによるステップトラックを行っ
ている状態で、あるとき同期信号Syncが消失した
(又は受信レベルが顕著に落ちた)とする。このような
状況が生じるのは、建物等の遮蔽物により目標からの無
線信号が遮蔽されているとき(ブロッキング時)や、何
らかの現象により指向性アンテナ10のビーム方向が目
標からはずれてしまったとき(オフビーム時)である。
ブロッキングであれば、指向性アンテナ10の現在のビ
ーム方向をそのまま維持しておいても、移動体の移動に
よっていずれ目標を再捕捉できるのに対し、オフビーム
では一般にはそうはならない。そこで、第1〜第3実施
形態では、次のような手順を実行している。
【0038】即ち、AZ−EL制御演算回路50は、ま
ず、同期信号Syncが消失している(又は受信レベル
が所定レベル以下に落ちている)状態が生じたときに
は、とりあえず所定時間(例えば5分)経過するのを待
つ。移動体方位データφvIMUにおける積分誤差の増大は
穏やかであるので、この程度の時間であれば、無視する
ことができる。この所定時間以内に同期信号Syncが
消失している(又は受信レベルが所定レベル以下に落ち
ている)状態が解消したのであれば、AZ−EL制御演
算回路50は、前述したようなステップトラックを続け
る。逆に、この所定時間を経過してもそのような状態が
続いているのであれば、AZ−EL制御演算回路50
は、オフビームが生じているかもしれないとみなし、移
動体が停止しているのか否かを移動体速度データVvREV
に基づき判定する。移動体が停止しているのであれば、
AZ−EL制御演算回路50は、現時点での移動体方位
データφvIMUの周辺で目標をサーチする。その手順は前
述のものと同じである。尚、移動体が停止しているとの
判定の下に目標サーチを実行している間に移動体が移動
し始めたとしても、IMU36からの移動体方位データ
φvIMUがこの移動に応じて変化して行くから、目標のサ
ーチは継続できる。
【0039】移動体が停止していないと判定されたとき
には、AZ−EL制御演算回路50は、移動体が直進し
ているのかそれとも変針中であるのかを判定する。例え
ば、移動体方位レジスタ60上の移動体方位データφ
vIMUが時間的な変動を示しているか否かを移動体方位レ
ジスタ60上の移動体方位データφvIMUの|最大値−最
小値|、分散等の監視結果に基づき事後的に判定する、
という手順にて、直進/変針判定を行う。この監視につ
いては、移動体方位レジスタ60上の移動体方位データ
φvIMUを補正乃至プリセットするときの監視手順と同様
の手順とすることができる。
【0040】その結果直進と判定されたときには、AZ
−EL制御演算回路50は、移動体方位データφ
vGPS(又はφvMAG)のばらつきをその|最大値−最小値
|、分散等から検出し、検出したばらつきが所定程度以
下であるときには目標方位φthと移動体方位データφ
vGPS(又はφvMAG)の差が所定程度以下であるか否かを
判定する。所定程度以下ならばブロッキングであると見
なせるため、AZ−EL制御演算回路50は、現在の制
御状態を維持する。逆に、目標方位φthと移動体方位デ
ータφvGPS(又はφvMAG)の差が所定程度以下でないの
であれば、オフビームであると見なせる。
【0041】第1及び第2実施形態の場合、オフビーム
であると判定したときには、AZ−EL制御演算回路5
0は、現時点における移動体方位データφvGPSに基づき
算出した初期値φvIMU0を移動体方位レジスタ60にセ
ットする。即ち、ステップトラック中に直進と判定され
たときと同様、移動体方位レジスタ60上の移動体方位
データφvIMUを、より正確であろう値にプリセットして
いる。この補正に関しても、初期値φvIMU0として用い
られるのは、監視期間中に収集した移動体方位データφ
vGPSの中で最新の値や、同監視期間中に収集した移動体
方位データφvG PSの平均値であってもよいが、監視期間
終了後移動体方位データφvIMU0を移動体方位レジスタ
60にセットする直前までの移動体方位データφvIMU
変化量を加算した値にするのが好ましい。この補正によ
っても同期信号Sync(又は受信レベル信号RLe
v)が回復しなかったときには、現時点における移動体
方位データφvIMU、φvGPS若しくはφvMAG又はこれらを
結合させた値(平均値等)を始点として、前述の目標サ
ーチ手順を実行する。第3実施形態の場合、オフビーム
であると判定したときには、初期値φvIMU0を移動体方
位レジスタ60にセットするステップを省略し、現時点
における移動体方位データφvIMUを始点として前述の目
標サーチ手順を実行する。
【0042】他方、変針と判定されたときには、AZ−
EL制御演算回路50は、所定時間を限度として、直進
との判定が成立するのを待つ。この所定時間が経過して
も直進との判定が成立するに至らなかったときは、AZ
−EL制御演算回路50は、オフビームと判定されたと
きと同様、前述の目標サーチ手順を実行する。なお、移
動体方位データφvGPSが得られないときには、AZ−E
L制御演算回路50は、移動体方位データφvMAGや移動
体方位データφvIMUに基づき、直進/変針判定及びブロ
ッキング/オフビーム判定を行う。
【図面の簡単な説明】
【図1】 座標系の関係を示す図である。
【図2】 本発明の好適な実施形態の全体構成を示すブ
ロック図である。
【図3】 本発明の第1実施形態の要部構成を示すブロ
ック図である。
【図4】 本発明の第2実施形態の要部構成を示すブロ
ック図である。
【図5】 本発明の第3実施形態の要部構成を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
000 基準座標系(水平真北座標系)、XYZ
移動体座標系、r ロール、p ピッチ、φv 移動体
方位、φththth 目標の方位、仰角、俯角、Sy
nc 同期信号、RLev 受信レベル信号、10 指
向性アンテナ、34 AZ−EL制御演算記憶回路、3
6 慣性測定装置(IMU)、38 GPS受信機、4
4 データ入力部、46 移動体データ及び目標データ
記憶回路、48 操作表示部、50 AZ−EL制御演
算回路、54 区間データ記憶回路、60 移動体方位
レジスタ、62,72 加算器。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 3/00 - 3/74 H01Q 3/00 - 3/20

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人工衛星等の目標から送信される無線信
    号を受信すべく車両等の移動体に搭載され、そのビーム
    方向を方位軸回り及び仰角軸回りで制御可能な指向性ア
    ンテナと、 方位軸制御角及び仰角軸制御角に従い上記指向性アンテ
    ナのビーム方向を方位軸回り及び仰角軸回りで制御する
    方位軸仰角軸制御手段と、 上記目標の位置を示す目標位置データ、上記移動体の位
    置を示す移動体位置データ、上記移動体の傾斜角を示す
    移動体傾斜角データ、及び慣性測定装置の出力をもとに
    得られ上記移動体の進行方位を示す移動体方位データに
    基づき、方位軸制御角及び仰角軸制御角を決定する制御
    角決定手段と、 上記目標を上記指向性アンテナが捕捉していないと見な
    せるときに、上記移動体方位データをその初期値から徐
    々に変化させつつ上記制御角決定手段を動作させ、同時
    に上記目標からの無線信号受信状態を監視することによ
    り、当該無線信号受信状態が良好になるビーム方向をサ
    ーチする仮想移動体方位法目標サーチ手段と、 上記移動体方位データを試行錯誤的に微小角度変化させ
    つつ上記制御角決定手段を動作させ、この試行錯誤的な
    変化の前後の無線信号受信状態を比較した結果に基づき
    無線信号受信状態がより良好になるように上記移動体方
    位データを変化させるという処理の繰返しを、上記仮想
    移動体方位法目標サーチ手段によるサーチに成功した後
    そのときの移動体方位データを初期値として開始する移
    動体方位ステップトラック手段と、 を備え、上記移動体方位データにより上記目標のサーチ
    及びステップトラックを実行することを特徴とする追尾
    型アンテナ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の追尾型アンテナ装置にお
    いて、 上記移動体が直進しているときに、GPS受信機から入
    力した方位データを利用して上記移動体方位データをプ
    リセットする移動体方位補正手段を備えることを特徴と
    する追尾型アンテナ装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の追尾型アンテナ装置にお
    いて、 上記移動体が停止又は直進しておりかつ上記目標からの
    無線信号受信状態がオフビームにより所定程度以下まで
    劣化したと見なせるときに、そのときの移動体方位デー
    タ若しくはGPS受信機から入力した方位データ又はこ
    れらを結合して生成した方位データを上記移動体方位デ
    ータの初期値として、上記仮想移動体方位法目標サーチ
    手段を動作させるオフビーム時目標サーチ移行手段を備
    えることを特徴とする追尾型アンテナ装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の追尾型アンテナ装置にお
    いて、 オフビーム時目標サーチ移行手段が、上記移動体が直進
    しておりかつ上記目標からの無線信号受信状態がオフビ
    ームにより所定程度以下まで劣化したと見なせるとき
    に、まず、GPS受信機から入力した方位データを利用
    して上記移動体方位データをリセットし、その後も無線
    信号受信状態が十分回復しないときに、そのときの移動
    体方位データ若しくはGPS受信機から入力した方位デ
    ータ又はこれらを結合して生成した方位データを上記移
    動体方位データの初期値として、上記仮想移動体方位法
    目標サーチ手段を動作させることを特徴とする追尾型ア
    ンテナ装置。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載の追尾型アンテナ装
    置において、 無線信号受信状態が所定程度以下まで劣化したとき、そ
    の劣化がブロッキングによるものなのかそれともオフビ
    ームによるものなのかを、上記目標の方位とGPS受信
    機から入力した方位データとに基づき判定するブロッキ
    ング/オフビーム判定手段を備えることを特徴とする追
    尾型アンテナ装置。
  6. 【請求項6】 請求項2乃至5記載の追尾型アンテナ装
    置において、 上記移動体方位データ又はGPS受信機からの方位デー
    タが所定の監視期間内に所定程度を下回るばらつきを呈
    したときに、上記移動体が直進していると判定する直進
    /変針判定手段を備えることを特徴とする追尾型アンテ
    ナ装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6記載の追尾型アンテナ装
    置において、 上記仰角軸制御角に与えるバイアスを試行錯誤的に微小
    角度変化させつつ上記方位軸仰角軸制御手段を動作さ
    せ、この試行錯誤的な変化の前後の無線信号受信状態を
    比較した結果に基づき無線信号受信状態がより良好にな
    るように上記バイアスを変化させるという処理を、繰返
    し実行する仰角ステップトラック手段を備えることを特
    徴とする追尾型アンテナ装置。
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