JP3140995B2 - 液晶表示素子用球状スぺーサー、およびそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子用球状スぺーサー、およびそれを用いた液晶表示素子

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JP3140995B2
JP3140995B2 JP10074893A JP7489398A JP3140995B2 JP 3140995 B2 JP3140995 B2 JP 3140995B2 JP 10074893 A JP10074893 A JP 10074893A JP 7489398 A JP7489398 A JP 7489398A JP 3140995 B2 JP3140995 B2 JP 3140995B2
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実 小原
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子用球
状スペーサーに使用される微球体に関する。さらに詳細
には、液晶表示素子用球状スペーサー及びその液晶表示
素子用球状スペーサーを用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のスペーサーを用いたTN(ツイス
テッドネマチック)モードの液晶表示素子の代表的な例
を図7に示す。この液晶表示素子は、一対の基板37、
39と、該一対の基板37、39のギャップを一定に保
持するために一対の基板37、39の間に配設されたス
ペーサー38及びネマチック液晶41と、一対の基板3
7、39間の周囲に充填されたシール部材30と、各基
板37、39の表面に被覆された偏光シート42、43
とを有している。上記基板37、39は、ガラスからな
る透明基板31、34の片面にITO(Indium−
Tin−Oxide)膜などからなる透明電極32、3
5をパターン形成し、この透明電極32、35および透
明基板31、34の表面にポリイミド膜などからなる配
向制御膜33、36を被覆して構成されている。その配
向制御膜33、36はラビングによって配向制御処理さ
れている。
【0003】上記スペーサー38は、酸化アルミ、二酸
化硅素などを含む無機質材料あるいはベンゾグアナミ
ン、ポリスチレン系ポリマーなどを含む合成樹脂材料か
ら形成されている。無機質材料からなるスペーサーは、
例えば、特開昭63−73225号公報、特開平1−5
9974号公報などに開示されており、合成樹脂材料か
らなるスペーサーは、特開昭60−200228号公
報、特開平1−293316号公報などに開示されてい
る。
【0004】上記構成の液晶表示素子は、通常以下のよ
うにして作製される。上記一方の基板37の配向制御膜
33の上に、スペーサー38を散布し、基板37の周縁
部にシール用の樹脂を印刷で塗布する。次いで、一対の
基板37、39をその配向制御膜33、36同士が対向
するように重ねて加圧する。次に、シール用樹脂を加熱
硬化させることによって、シール部材を形成して、一対
の基板37、39を相互に固着させる。次に、シール部
材に設けた孔部から、一対の基板37、39のギャップ
に、ネマチック液晶41を充填し、その後孔部を閉塞す
る。そして、透明基板31、34の外側面にそれぞれ偏
光シート42、43を積層する。このような液晶表示素
子に使用されるスペーサーとして、着色された球状スペ
ーサーが以下の理由でしばしば使用される。
【0005】液晶表示素子において、透明電極間に電圧
を印加することにより、液晶は、光学的変化を生じて画
像を形成する。しかし、スペーサーは、その電圧印加に
よって光学的変化を示さない。従って、画像を表示させ
た時の画像の暗部において、無着色のスペーサーは、輝
点として視認されることがあり、その結果、画像の表示
のコントラストが低下する。無機質材料からなる着色球
状スペーサーは、特開昭62−66228号公報、特開
昭63−89408号公報、特開昭63−89890号
公報などに開示されており、合成樹脂材料からなる着色
球状スペーサーは、特開平1−20227号公報、特開
平1−2007719号公報、特開平2−214781
号公報に開示されている。
【0006】さらに、接着性を有しないスペーサーは透
明基板に固着されないので以下に示す欠点を有してお
り、従って、接着性球状スペーサーがしばしば使用され
る。 液晶表示セルを組み立てる工程において、基板上への
空気の吹き付けまたは基板上からの空気の吸引が行われ
る。このとき、基板上に配置されたスペーサーが飛散し
て焼失し得る。 液晶表示セルに液晶を注入する工程において、スペー
サーが基板上を移動して、基板上のスペーサーの配置に
偏りが生じ得る。 液晶表示セルを駆動させるときに、電気的、流体力学
的な力により、スペーサーが移動し得る。 液晶表示セルに外部からの機械的振動が作用すると、
スペーサーが移動し得る。このような液晶表示セルの内
部におけるスペーサーの移動は、基板間のギャップ精度
を低下させ、表示画像の画質を著しく低下させる。
【0007】接着性を有する球状スペーサーは、例え
ば、実開昭51−22453号公報、特開昭63−44
631号公報、特開昭63−94224号公報、特開昭
63−200126号公報、特開平1−247154号
公報、特開平1−247155号公報、特開平2−26
1537号公報に開示されている。しかし、液晶表示素
子用のスペーサーとして、上記した従来の無機質材料か
らなるスペーサーあるいは合成樹脂材料からなるスペー
サーを用いた場合には、次に述べるような欠点があっ
た。図8に示すように、無機質スペーサー38を用いて
液晶表示素子を作製した場合には、このスペーサー38
が硬すぎるために、両基板37、39が加圧される際
に、配向制御膜33を傷つける。配向制御膜33の傷付
けられた部分33aでは、液晶41の分子配列を所望の
状態に保つことができなくなるので、例えば、透過形の
液晶表示素子においては、その傷の部分33aが表示欠
陥となって出現する。
【0008】さらに、無機質スペーサー38は変形する
には硬すぎるので、スペーサー38は両基板37、39
の各々の内面に一点で接触することになる。その結果、
スペーサー38は、液晶41の存在するギャップにおい
て重力や微小な振動によって移動しやすくなる。この問
題は、最近急速に普及しつつあるラップトップタイプの
パーソナルコンピュータやワードプロセッサー、壁掛け
テレビなどに用いられる大型の液晶表示素子において
は、その表示面が垂直または斜め状態で使用されるの
で、大変顕著に表れる。例えば、スペーサー38の大部
分が液晶表示素子の下側部分へ移動することにより、液
晶層の厚さに不均一を生じさせ、その結果鮮明な画像を
得ることが困難になる。また、そのスペーサー38の移
動によって配向制御膜33が傷つけられるので、上述し
た画像の表示欠陥を生じさせる。
【0009】他方、軟らかすぎるスペーサーを液晶表示
素子に用いると、次のような不都合を招く。基板37、
39の表面にスペーサー38を散布する際に、スペーサ
ー38を完全に均一に散布することは不可能で、散布密
度にかなりのバラツキを生じる。すると、一対の基板3
7、39を互いに向い合う方向に加圧する際に、スペー
サー38の散布密度の小さい部分では、スペーサー38
の一個当りに受ける圧力が非常に大きくなるので、スペ
ーサー38は、大きく変形する。反対に、スペーサー3
8の散布密度の大きい部分では、スペーサー38の一個
当りに受ける圧力が小さいので、スペーサー38は、ほ
とんど変形しない。このようにして、図9に示すよう
に、スペーサー38の散布密度のバラツキが、一対の基
板37、39間に設けられた液晶層の厚みのムラを生じ
させ、その結果、鮮明な画像が得られなくなる。
【0010】さらに、一対の基板37、39に圧力をか
ける際に、実際には基板37、39全体に均一に圧力を
かけることは不可能で、基板37、39は面の異なる位
置では異なる圧力を受けることになる。従って、軟らか
すぎるスペーサー38を用いた場合には、各々のスペー
サー38が受ける圧力の差によって、スペーサー38の
変形する程度に不均一が生じるために、液晶層の厚みに
ムラが生じる。そのことによって、表示される画像の質
が著しく低下する。
【0011】ところで、エレクトロニクス実装分野にお
いて、一対の微細電極を接続するために、金、銀、ニッ
ケル等の金属粒子とバインダー樹脂とを混合して導電性
ペーストを調製し、このペーストを一対の微細電極間に
充填することにより微細電極間を接続させることが行わ
れる。しかし、このような金属粒子は、形状が不均一で
あり、かつバインダー樹脂に比べて比重が大きいため
に、バインダー樹脂に均一に分散させることが困難であ
った。
【0012】このような欠点を解決するために、特開昭
59−28185号公報には、粒径が比較的揃ったガラ
スビーズ、シリカビーズ、グラスファイバー等の粒子の
表面に、金属メッキ層を設けて導電性微球体を形成する
ことが開示されている。しかしながら、上記公報に開示
された導電性微球体は、その基材微球体が硬すぎるため
に、圧縮変形させることが困難である。そのため、この
導電性微球体を使用して電極間を接続しようとすると、
導電性微球体と電極表面との接触面積が広がらないの
で、接触抵抗値を低減させることが困難となる。
【0013】特開昭62−185749号公報及び特開
平1−225776号公報には、基材微球体として、ポ
リフェニレンスルフィド粒子やフェノール樹脂粒子等を
用いた導電性微球体が開示されている。しかし、このよ
うな合成樹脂粒子を基材微球体として用いた導電性微球
体は、圧縮変形後の変形回復性に乏しい。そのため、該
導電性微球体を使用して電極間の接続を行う際に、両電
極に作用する圧縮荷重を取り除くと、該導電性微球体と
電極表面との界面にわずかなギャップが形成され、その
結果接触不良を起こす。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、液晶
が充填される一対の基板のギャップを規定する球状スペ
ーサーにおいて、硬すぎるスペーサーを用いた際に見ら
れる配向制御膜への傷付きや、柔らかすぎるスペーサー
を用いた際に見られる液晶層ギャップ寸法の乱れ等を解
消することができる球状スペーサーを提供することにあ
る。本発明の他の目的は、そのような球状スペーサーを
用いた液晶表示素子を提供することにある。
【0015】本発明者らは、前記従来技術の問題点を克
服するために鋭意研究した結果、球状スペーサーの10
%圧縮変形における荷重値、圧縮変位及び球状スペーサ
ーの半径から特定の関係式により導き出されるK値と、
圧縮変形後の回復率とを、それぞれ特定の範囲内になる
ように制御することにより、前記目的を達成できること
を見いだした。また、球状スペーサーを着色球状スペー
サーとすること、あるいは接着性球状スペーサーとする
ことにより、好ましい機能が付加された球状スペーサー
の得られることを見いだした。本発明は、これらの知見
に基づいて完成するに至ったものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基材微
球体を含有する液晶表示素子用球状スペーサーであっ
て、下記式
【0017】
【数4】 〔ここに、F及びSは、それぞれ球状スペーサーの10
%圧縮変形における荷重値(kgf)と圧縮変位(m
m)であり、Rは、球状スペーサーの半径(mm)であ
る〕で定義されるKの値が、20℃において250kg
f/mm2〜700kgf/mm2の範囲であり、かつ、
圧縮変形後の回復率が20℃において30%〜80%の
範囲である液晶表示素子用球状スペーサーが提供され
る。また、本発明によれば、着色された基材微球体を含
有する液晶表示素子用着色球状スペーサーであって、下
記式
【0018】
【数5】 〔ここに、F及びSは、それぞれ着色球状スペーサーの
10%圧縮変形における荷重値(kgf)と圧縮変位
(mm)であり、Rは、着色球状スペーサーの半径(m
m)である〕で定義されるKの値が、20℃において2
50kgf/mm2〜700kgf/mm2の範囲であ
り、かつ、圧縮変形後の回復率が20℃において30%
〜80%の範囲である液晶表示素子用着色球状スペーサ
ーが提供される。
【0019】さらに、本発明によれば、基材微球体と、
該基材微球体の表面に設けられた接着層とを含有する液
晶表示素子用接着性球状スペーサーであって、下記式
【0020】
【数6】 〔ここに、F及びSは、それぞれ接着性球状スペーサー
の10%圧縮変形における荷重値(kgf)と圧縮変位
(mm)であり、Rは、接着性球状スペーサーの半径
(mm)である〕で定義されるKの値が、20℃におい
て250kgf/mm2〜700kgf/mm2の範囲で
あり、かつ、圧縮変形後の回復率が20℃において30
%〜80%の範囲である液晶表示素子用接着性球状スペ
ーサーが提供される。本発明によれば、それぞれ前記各
球状スペーサーを用いた液晶表示素子が提供される。
【0021】上記K値は、350〜550kgf/mm
2の範囲が好ましい。上記圧縮変形後の回復率は、20
℃において40〜70%の範囲が好ましい。基材微球体
は、好ましくは、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベ
ンゼン−スチレン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリ
ル酸エステル共重合体、およびジアリルフタレート重合
体からなる群から選ばれた少なくとも一種の樹脂から形
成されたものである。基材微球体は、好ましくは真球状
であり、その直径は、好ましくは0.1〜100μm、
より好ましくは0.5〜50μm、特に好ましくは1.
0〜20μmの範囲である。本発明の液晶表示素子は、
上記各球状スペーサーを用いて作製される。
【0022】なお、微球体の表面に導電層を設けると、
液晶表示素子などの素子の製造に好適な導電性微球体を
得ることができるので、合わせて説明する。この導電性
微球体は、上記微球体と、該微球体の表面に設けられた
導電層とを有する。好ましい実施態様においては、その
導電層がインジウムメッキ層である。
【0023】本発明の球状スペーサーと導電性微球体
は、以下の目的を達成し得る; (1)液晶表示素子の配向制御膜を傷付けて液晶の配向
特性の変調を誘起したり、表示画像の質を低下させるこ
とがない球状スペーサーを提供すること; (2)液晶表示素子の液晶層ギャップの寸法の乱れを生
じさせて表示画像の鮮明度を低下させることのない球状
スペーサーを提供すること; (3)重力や微小な振動によって移動することがない球
状スペーサーとそれを用いた液晶表示素子を提供するこ
と; (4)表示画像の欠陥がなく鮮明な画像が得られる液晶
表示素子を提供すること; (5)適度の圧縮変形性と変形回復性を有する導電性微
球体を提供すること; (6)接続信頼性に優れた導電性微球体を提供するこ
と。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の微球体は、所定範囲のK
値と、所定範囲の圧縮変形後の回復率を有しており、こ
れは液晶表示素子用球状スペーサーとして使用すること
ができる。また、本発明の液晶表示素子用着色球状スペ
ーサーは、所定範囲のK値と、所定範囲の圧縮変形後の
回復率を有し、かつ着色されたものである。本発明の液
晶表示素子用接着性球状スペーサーは、所定範囲のK値
と、所定範囲の圧縮変形後の回復率を有し、かつ加熱に
よって接着性を有するものである。まず、本発明で定義
するK値について説明する。ランダウーリフシッツ理論
物理学教程「弾性理論」(東京図書1972年発行)4
2頁によれば、半径がそれぞれR、R′の二つの弾性球
体が接触した際、hは、次式により与えられる。
【0025】
【数7】
【0026】
【数8】 ここに、hはR+R′と両球の中心間の距離の差、Fは
圧縮力、E及びE′は二つの弾性球体の弾性率、σ及び
σ′は弾性球のポアッソン比を表す。一方、球を剛体の
板の上に置いて、かつ両側から圧縮する場合、R′→
∞、E≫E′とすると、近似的に次式が得られる。
【0027】
【数9】 ここに、Sは、圧縮変形量を表す。この式を変形する
と、容易に次式が得られる。
【0028】
【数10】 よって、K値を表す式:
【0029】
【数11】 が得られる。このK値は、球体の硬さを普遍的かつ定量
的に表すものである。このK値を用いることにより、微
球体またはスペーサー(以下、スペーサー等という)の
好適な硬さを定量的、かつ一義的に表すことが可能とな
る。
【0030】そして、10%圧縮歪におけるK値は、2
50kgf/mm2〜700kgf/mm2の範囲であ
り、この範囲内にあるスペーサー等を用いることによ
り、例えば、液晶表示素子を作製するときに、配向制御
膜をスペーサー等で傷付けるようなことがなく、また、
加圧プレスにより両電極間のギャップ出しを行う際に、
ギャップコントロールを容易に行うことができる。より
好ましい10%圧縮歪におけるK値は350kgf/m
2〜550kgf/mm2である。K値が700kgf
/mm2を超えるスペーサー等を用いると、液晶表示素
子の製造工程において、液晶配向制御膜面に傷を付ける
欠点があり、さらに作製された液晶表示素子において、
温度が低下した際に液晶の収縮に対してスペーサー等の
圧縮変形が生じ難いため液晶セル中に減圧に起因する気
泡が発生する。K値が250kgf/mm2未満のスペ
ーサー等を用いた場合、セルのギャップコントロールが
困難となる。
【0031】ところで、液晶表示素子に用いられるスペ
ーサー等の好適な硬さを規定するだけでは、好適なスペ
ーサー等の材料力学的な性質を完全に表現することはで
きない。もう一つの重要な性質は、スペーサー等の弾性
を示す値である圧縮変形後の回復率が所定範囲内にある
ことである。圧縮変形後の回復率を規定することによっ
て、スペーサー等の弾性ないし塑性を定量的に且つ一義
的に表すことが可能となるのである。本発明のスペーサ
ー等において、スペーサー等の圧縮変形後の回復率は、
20℃において30%〜80%の範囲が好ましい。特に
好ましい圧縮変形後の回復率は40%〜70%である。
回復率が80%を超えるスペーサー等を用いると、液晶
セル製造工程において、加圧プレスにより両基板間のギ
ャップ出しを行った後除圧した際に、圧縮変形されたス
ペーサー等が弾性回復しやすいために、取り出された液
晶セルのギャップが乱れてしまう。回復率が30%未満
のスペーサー等を用いると、加圧プレスにより両基板間
のギャップ出しを行う際に、局部的に圧力が過大に加わ
った場合、スペーサー等が圧縮変形されたままの状態で
あるため、その箇所でギャップが元に戻らず、そのため
にギャップむらを生じる。
【0032】次に、K値ならびに圧縮変形後の回復率の
測定法について説明する。 (A)K値の測定方法及び条件 (i)測定方法 室温において、平滑表面を有する鋼板の上にスペーサー
等を散布し、その中から1個のスペーサー等を選ぶ。次
に、微小圧縮試験機(PCT−200型 島津製作所
製)を用いて、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の
平滑な端面でスペーサー等を圧縮する。この際、圧縮荷
重を電磁力として電気的に検出し、圧縮変位を作動トラ
ンスによる変位として電気的に検出する。そして、図2
に示すような圧縮変位−荷重の関係が求められる。図2
から、スペーサー等の10%圧縮変形における荷重値、
圧縮変位がそれぞれ求められ、これらの値と(5)式と
から、図3に示すようなK値と圧縮歪との関係が求めら
れる。但し、圧縮歪は、圧縮変位をスペーサー等の粒子
径で割った値を%で表したものである。 (ii)圧縮速度 定負荷速度圧縮方式で行った。毎秒の0.27グラム重
(grf)の割合で荷重が増加した。 (iii)試験荷重 最大10grfとした。
【0033】(B)圧縮変形後の回復率の測定方法及び
条件 (i)測定方法 室温において、平滑表面を有する鋼板の上にスペーサー
等を散布し、その中から1個のスペーサー等を選ぶ。次
に、微小圧縮試験機(PCT−200型、島津製作所
製)を用いて、ダイヤモンド製の直径50μmの円柱の
平滑な端面でスペーサー等を圧縮する。この際、圧縮荷
重を電磁力として電気的に検出し、圧縮変位を作動トラ
ンスによる変位として電気的に検出する。そして、図4
に示すように、スペーサー等を反転荷重値まで圧縮した
後(図4中、曲線(a)で示す)、逆に荷重を減らして
いく(図4中、曲線(b)で示す)。この際、荷重と圧
縮変位との関係を測定する。ただし、除荷重における終
点は、荷重値ゼロではなく、0.1g以上の原点荷重値
とする。回復率は、反転の点までの変位L1と反転の点
から原点荷重値を取る点までの変位差L2の比(L2/L
1)を%で表した値で定義する。 (ii)測定条件 反転荷重値 1grf 原点荷重値 0.1grf 負荷および除負荷における圧縮速度 0.029grf
/sec 測定室温度 20℃
【0034】本発明のスペーサー等は、上記K値及び回
復率を満たすものであれば、無機質粒子あるいは合成樹
脂粒子のいずれでも用いることができる。特に、上記K
値及び回復率を上記範囲内に調整することが容易に行え
る点で、合成樹脂製の粒子が好ましく用いられる。スペ
ーサー等を形成するのに適している合成樹脂としては、
以下の各種プラスチック材料を含む。ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、
ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポ
リスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタ
ール等の線状または架橋高分子;エポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジ
ビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共
重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合
体、ジアリルフタレート重合体、トリアリルイソシアネ
ート重合体、ベンゾグアナミン重合体等の網目構造を有
する樹脂。これらの樹脂のうちで、特に好ましいもの
は、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチ
レン共重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル
共重合体、ジアリルフタレート重合体等の網目構造を有
する樹脂である。無機質としては、特に限定するもので
はなく、従来公知のものを使用することができる。
【0035】スペーサー等の形状としては、例えば、球
状のものが好ましい。直径は、好ましくは0.1〜10
0μmの範囲であり、特に好ましい直径は0.5〜50
μmであり、さらに好ましい直径は1〜20μmであ
る。本発明の液晶表示素子用着色球状スペーサーは、着
色されたものである。着色方法は、例えば、染料、顔料
混入、染料モノマーの重合、およびスペーサー上に金属
薄膜を形成してこれを酸化する方法等が挙げられる。着
色方法は、例えば、特開昭57−189117号公報、
特開昭63−89890号公報、特開平1−14402
1号公報、特開平1−144429号公報、特開昭63
−66228号公報、特開昭63−89408号公報、
特開平1−200227号公報、特開平1−20077
19号公報、特開平2−214781号公報などに開示
されており、これらに開示された着色方法を本発明に採
用することができる。
【0036】本発明において、液晶表示素子用スペーサ
ーとして、着色された球状スペーサーを用いることが好
ましい理由は、次の通りである。液晶表示素子におい
て、透明電極間に電圧を印加することにより、液晶は光
学的変化を生じて画像を形成する。これに対し、スペー
サーは、その印加によって光学的変化を示さない。従っ
て、画像を表示させた時の暗部において、無着色のスペ
ーサーは輝点として視認されることがあり、その結果、
画像表示のコントラストを低下させることがあるからで
ある。
【0037】本発明の液晶表示素子用接着性球状スペー
サーは、加熱した際に接着性を有している。スペーサー
に接着性を付与する方法には、基材微球体の表面にポリ
エチレンワックスの層やホットメルト接着剤層、エポキ
シ接着剤層を設ける方法等が含まれる。接着性を付与す
る方法は、例えば、実開昭51−22435号公報、特
開昭63−44631号公報、特開昭63−94224
号公報、特開昭63−200126号公報、特開平1−
247154号公報、特開平1−247155号公報、
特開平2−261537号公報に開示されており、これ
らに開示された方法を本発明に採用することができる。
液晶表示素子用スペーサーとして、接着性を有する球状
スペーサーを用いることにより、前述のような基板のギ
ャップにおいてスペーサーが移動することを防止でき
る。その結果、配向制御膜を傷つけるといった不都合な
現象を積極的に防止して、表示画像の画質を向上し、か
つ基板間のギャップ精度を向上することができる。
【0038】着色された球状スペーサーおよび接着性球
状スペーサーに使われる基材微粒子は、上述のスペーサ
ー等から作製することができる。以上のように、本発明
のスペーサー等は、所定範囲のK値と、所定範囲の圧縮
変形後の回復率を有していることにより、液晶表示素子
のスペーサーとして好適な物性を有している。すなわ
ち、該スペーサーの硬さが適当であるので、液晶表示素
子の製造工程において、基板が加圧されるときに配向制
御膜を傷つけることがない。さらに、スペーサーは、適
度の変形性を有するので、基板をスペーサーとは広い面
積で接触することになる。その結果、スペーサーは、基
板の表面上で重力や微小な振動によって移動し難くな
る。また、そのスペーサーの移動によって配向制御膜を
傷つけるようなことも防ぎ得る。スペーサーは、適度な
硬さを有するので、一対の基板を互いに向い合う方向に
加圧する際に、その加圧力をスペーサーで支持して、基
材間のギャップを一定に保つことができる。従って、液
晶層の厚みのムラを従来に比べて低減することができ
る。
【0039】液晶表示素子 次に、本発明の液晶表示素子の一例を図面を参照して説
明する。本発明の液晶表示素子は、上記球状スペーサー
を用いたこと以外は、図7で示したものと同じ構成とす
ることができる。すなわち、図1に示すように、液晶表
示素子Aは、一対の基板7、9と、該一対の基板7、9
のギャップを一定に保持するために一対の基板7、9の
間に配設されたスペーサー8及びネマチック液晶11
と、一対の基板7、9間の周囲に充填されたシール部材
10と、各基板7、9の表面に被覆された偏光シート1
2、13と、を有している。
【0040】上記基板7、9は、ガラスからなる透明基
板1、4の片面にITO(Indium−Tin−Ox
ide)膜などからなる透明電極2、5をパターン形成
し、この透明電極2、5および透明基板1、4の表面に
ポリイミド膜などからなる配向制御膜3、6を被覆して
構成されている。その配向制御膜3、6は、ラビングに
よって配向制御処理されている。上記スペーサー8は、
上記した所定範囲のK値と、所定範囲の圧縮変形後の回
復率を有しているものである。このスペーサー8は、着
色スペーサーでもよく、および/または接着性スペーサ
ーでもよい。よって、本発明によれば、表示画像の欠陥
がなく鮮明な画像が得られる液晶表示素子を得ることが
できる。
【0041】導電性微球体 本発明の導電性微球体は、上記微球体と、該微球体の表
面に設けられた導電層とを有する。この導電性微球体
は、エレクトロニクス実装分野における微細電極間の導
電接続に用いることができる。この導電性微球体におい
ては、上記したように、10%圧縮歪におけるK値は、
250kgf/mm2〜700kgf/mm2の範囲であ
り、この範囲内にある導電性微球体を用いることによ
り、例えば、一対の電極が導電性微球体で接続されてい
る素子の製造工程において、対向電極面を導電性微球体
で傷付けるようなことがなく、また、加圧プレスにより
両電極間のギャップ出しを行う際に、ギャップコントロ
ールを容易に行うことができる。より好ましい10%圧
縮歪におけるK値は、350kgf/mm2〜550k
gf/mm2である。
【0042】K値が700kgf/mm2を超える場
合、この導電性微球体を二つの電極間に挟んで圧縮荷重
を加えても、導電性微球体は容易に変形せず、その結果
導電性微球体と電極表面との接触面積が広がらず、接触
抵抗値を低減させることが困難となる。また、導電性微
球体を変形させるべく無理に荷重を加えると、導電性微
球体表面の導電層の破れや剥がれが生じたり、素子の製
造工程において、電極面に傷を付けるおそれがある。K
値が250kgf/mm2未満の場合、この導電性微球
体を二つの電極間に挟んで圧縮荷重を加えると、しばし
ば圧縮変形が大きくなるため、導電性微球体表面の導電
層がこの変形に追従できなくなり、その結果、導電層の
破れや剥がれが発生するという危険性がある。また、圧
縮変形量が過大となって導電性微球体が扁平になると、
電極同士が直接に接触し、充分な微細接続ができなくな
るという問題も生ずる。
【0043】さらに、本発明の導電性微球体において、
導電性微球体の圧縮変形後の回復率の範囲は、20℃に
おいて30%〜80%である。特に好ましい圧縮変形後
の回復率の範囲は40%〜70%である。この導電性微
球体の圧縮変形後の回復率が80%を超える場合、この
導電性微球体を分散させた接着剤を二つの電極間に挟ん
で加圧接着し、接着剤が硬化後に除圧すると、圧縮変形
した導電性微球体は弾性回復しやすいため、接着剤層が
電極表面から引き剥されるおそれがある。
【0044】回復率が30%未満の場合、この導電性微
球体を分散させた接着剤を二つの電極間に充填して加圧
接着し、接着剤が硬化後に除圧するという方法で作製し
た素子は、冷熱繰り返しの環境下において接着剤層が収
縮と膨張を繰り返すが、導電性微球体は、圧縮変形され
たままの状態であるため、接着剤層の膨張時に電極表面
との間にギャップを生じ、接触不良を引き起こす。
【0045】本発明の導電性微球体は、上記範囲のK値
及び回復率を満たすものであれば、無機質材料から作ら
れたもの、あるいは合成樹脂から作られたもののいずれ
でも用いることができる。この導電性微球体を形成する
微球体としては、上記スペーサー等と同じものを使用す
ることができる。微球体を形成する好ましい樹脂は、ジ
ビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共
重合体、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル共重合
体、ジアリルフタレート重合体等の網目構造を有する樹
脂である。
【0046】微球体の粒子径の範囲は、0.1〜100
μmが好ましく、特に好ましい直径は0.5〜50μm
であり、さらに好ましい直径は1〜20μmである。ま
た、導電層の厚みは、0.02〜5μmの範囲が好まし
い。導電層の厚みが0.02μm未満の場合、所望の導
電性が得られ難くなり、5μmを超えると微球体と導電
層との熱膨張率との差により導電層が微球体の表面から
剥離しやすくなる。
【0047】導電層に使用される金属としては、例え
ば、ニッケル、金、銀、銅、コバルト錫、インジウム等
あるいはこれらを主成分とする合金があげられる。特に
インジウムが好ましい。上記微球体の表面に金属層を形
成する方法としては、例えば、無電解メッキ(化学メッ
キ法ともいう)による方法;金属微粉を単独あるいはバ
インダーに混ぜ合わせて得られるペーストを微球体にコ
ーティングする方法;真空蒸着、イオンプレーティン
グ、イオンスパッタリング等の物理的蒸着方法などが含
まれる。
【0048】無電解メッキ法による金属層の形成方法
を、金置換メッキの場合を例に挙げて以下に説明する。
この方法は、以下のエッチング工程、アクチベーション
工程、化学ニッケルメッキ工程及び金置換メッキ工程に
分けられる。エッチング工程は、微球体の表面に凹凸を
形成させることによりメッキ層を微球体に付着させる工
程であり、エッチング液としては、例えば、カセイソー
ダ水溶液、濃塩酸、濃硫酸または無水クロム酸が含まれ
る。アクチベーション工程は、エッチングされた微球体
の表面に触媒層を形成させると共に、この触媒層を活性
化させるための工程である。触媒層の活性化により後述
の化学ニッケルメッキ工程における金属ニッケルの析出
が促進される。微球体の表面のPd2+およびSn2+を含
む触媒層を濃硫酸または濃塩酸で処理し、Sn2+のみを
溶解除去してPd2+の金属化を行う。金属化されたパラ
ジウムは、カセイソーダ濃厚溶液等のパラジウム活性剤
により活性化されて増感される。
【0049】化学ニッケルメッキ工程は、触媒層が形成
された微球体の表面に、さらに金属ニッケル層を形成さ
せる工程であり、例えば、塩化ニッケルを次亜リン酸ナ
トリウムによって還元し、ニッケルを微球体の表面に析
出させる。金置換メッキ工程では、このようにしてニッ
ケルが被覆された微球体を金シアン化カリウム水溶液に
入れ、昇温させながらニッケルを溶出させ、金を微球体
表面に析出させる。また、導電層をインジウム−メッキ
層から形成される場合には、その導電層の厚みの範囲
は、0.02〜5μmが特に好ましい。導電層の厚みが
0.02μm未満の場合、所望の導電性が得られ難く、
また、5μmを上回ると、導電性微球体を一対の電極間
に挟んで両電極を加圧する際に、導電性微球体の弾性的
な性質が有効に発現されなくなる。導電層の厚みが5μ
mを超えると導電性微球体同志の凝集が起こり易くな
る。
【0050】インジウムメッキ層を微球体表面に形成す
る方法としては、例えば、以下の方法があげられる。 無電解メッキ法によりインジウムメッキ層を形成する
方法 予め微球体の表面にインジウムよりイオン化傾向の大き
い別の金属(例えば、銅など)の薄膜を形成させた後、
この金属を次式のようにインジウムに置換するメッキ法
である。
【0051】
【化1】
【0052】還元メッキ法 インジウム塩の水溶液に還元剤を添加して還元反応によ
りインジウムを微球体の表面に析出させることにより、
インジウムメッキ層を形成させるメッキ法である。ある
いは、予め微球体表面にニッケルなどの別の金属の薄膜
を形成させた後、この表面にインジウムを還元反応によ
り析出させ、薄膜を形成させることもできる。
【0053】機械的、物理的方法によるインジウムメ
ッキ層の形成方法 微球体とインジウム微粒子とを混ぜ合わせた後、ハイブ
リダイゼーションまたはメカノヒュージョン法によりイ
ンジウム微粒子を微球体表面に衝突させたり、あるいは
微球体表面にインジウム微粒子を擦り付けることにより
インジウム薄膜を微粒子表面に形成させる。あるいは、
微球体とインジウム微粒子とを混ぜ合わせた後、これを
加熱することにより、インジウムを溶融させて微球体表
面にインジウム薄膜を被覆させてもよい。
【0054】このようにして得られた導電性微球体を用
いて、素子を作製することができる。この素子は、例え
ば、次のようにして作製することができる。すなわち、
図5に示すように、絶縁性のバインダー28中に導電性
微球体29を均一に分散したものをスクリーン印刷また
はディスペンサーで一方の電極24上に、塗布する。あ
るいはバインダー28を使用せずに導電性微球体29の
みを電極24上に配置する。後者の場合、導電性微球体
29は、電極24の上方から散布してもよく、あるいは
導電性微球体29を荷電させて静電気的に電極24上に
付着させてもよい。次に、もう一方の電極25を上記電
極24の上に重ね合わせる。この状態で両電極24、2
5を加圧する。ここでは、特に大きな加圧力を必要とし
ない。導電性微球体29と電極24、25面との接触状
態が保たれる程度の圧力でよい。次に、一対の電極2
4、25間に、導電性微球体29が挟持された積層体を
加熱する。加熱方法としてはプレス加熱が好ましい。こ
のようにして、図5に示すような素子Bが得られる。
【0055】上記素子において使用される電極として
は、例えば、ガラス板上にITO薄膜が形成された電
極、ガラス板上にアルミニウム薄膜が形成された電極、
プラスチックフィルム上に銅シートを貼付けこれをエッ
チングして作成された電極、およびフィルム上に銀ペー
スト、カーボンブラックを印刷して作成した電極等が含
まれる。このように、導電性微球体を用いることによ
り、液晶表示素子等の電極間の所定の箇所を電気的に接
続することができる。
【0056】本発明の導電性微球体は、適度に圧縮変形
させることが可能であるため、導電性微球体を使用して
電極間を接続させる際に、導電性微球体と電極表面との
接触面積を拡大して接触抵抗値を低減させることができ
る。さらに、圧縮変形後の変形回復性も適度であるた
め、導電性微球体を使用して電極間の接続を行う工程に
おいて、両電極に作用する圧縮荷重を取り除いた際、該
導電性微球体と電極表面との界面にギャップが形成され
ることもなく、接触不良を起こすこともない。以上のよ
うに、本発明の導電性微粒子は、適度の圧縮変形性と変
形回復性を有するので、二つの電極間に挟んで使用され
た場合、優れた異方導電性能と接続信頼性能を発揮する
ことができ、以下に挙げるような用途に好適である。
【0057】液晶表示素子における上下基板電極間の
電気的接続のためのトランスファー材料。 液晶表示素子におけるLSIとガラス配線基板とのC
OG(チップオングラス)接続用材料。 液晶表示素子におけるガラス配線基板とフレキシブル
プリント回線との電気的接続材料。 板状基板あるいはフィルム状基板とLSIとのCOG
(チップオングラス)あるいはCOF(チップオンフィ
ルム)接続用材料。
【0058】
【実施例】以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。なお、本試験方法は、以下の通りである。 (A)粒子径の測定 コールターカウンターZB/C−1000型粒子サイズ
測定機(コールターエレクトロニクス社製)を使用して
行った。 (B)スペーサーの圧縮試験 微小圧縮試験機(島津製作所(株)製)を使用して行っ
た。 (C)液晶セルの上下基板間のギャップの測定 液晶セルギャップ測定装置(オーク製作所製TFM−1
20AFT型)を使用して行った。 (D)液晶表示素子の表示性能 液晶セルに当てた光の反射光の色調がオリーブ色を呈す
るように、液晶セルの上下の両面に偏光シートを貼付け
る。このとき、偏光シートの背景色に色ムラを観察し
た。さらに、液晶表示素子に電源を接続して点灯させ、
その画像を観察した。
【0059】実施例1 テトラメチロールメタンテトラアクリレートを懸濁重合
させた後、分級により平均粒子径7.03μm、標準偏
差0.27μmのスペーサーを得た。このスペーサーの
圧縮試験を行ったところ、圧縮歪10%におけるK値は
550kgf/mm2であった。また、反転荷重値1g
rfの場合の圧縮変形後の回復率は65%であった。厚
さ0.7mmのガラス板上に低温スパッタ法によって約
500オングストロームの厚さの酸化インジウム−酸化
スズ系の透明導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ
ーにより所定の電極パターンを形成した。次いで、この
上に配向剤を塗布した後、加熱して配向制御膜を形成し
た。次に、このガラス板を5cm×12.5cmの寸法
に裁断して液晶表示素子用のガラス基板を得た。このガ
ラス基板の周囲にスクリーン印刷によりガラスファイバ
ースペーサーを混入させたエポキシ接着剤を幅1mmで
印刷した。ガラス基板を水平に配置した後、上方から該
スペーサーを加圧窒素ガスにより飛散させて均一にガラ
ス基板上に落下させた。ガラス基板上におけるスペーサ
ーの散布濃度が約100個/mm2になるように散布時
間を調整した。別のガラス基板をスペーサーが散布され
た上記ガラス基板上に重ね合わせた後、プレス機により
1kg重/cm2の荷重をガラス基板全体に均一にかか
るように加えた。同時に、このものを160℃の温度で
20分間加熱して周囲のエポキシ接着剤を硬化させた。
このようにして作成したセルの内部を吸引して真空とし
て後、周辺のシール部の一部に設けた孔部から液晶を内
部へ注入した。このようにして作成した液晶セルの上下
基板間のギャップを測定した結果、ギャップ値は6.9
8±0.03μmの範囲であった。液晶セルに当てた光
の反射光の色調がオリーブ色を呈するように、この液晶
セルの上下の両面に偏光シートを貼付けた。この時、こ
のオリーブ色は均一で濃度に色ムラが認められなかっ
た。このようにして作成した液晶表示素子に電源を接続
して点灯させた結果、充分な表示性能が得られた。
【0060】実施例2 テトラメチロールメタンテトラアクリレート75重量%
及びジビニルベンゼン25重量%を懸濁重合させた後、
分級により平均粒子径7.05μm、標準偏差0.25
μmのスペーサーを得た。このスペーサーの圧縮歪10
%におけるK値は、450kgf/mm2であった。ま
た、スペーサーの圧縮変形後の回復率は54%であっ
た。このスペーサーを用いた他は、実施例1と同様にし
て作成した液晶セルのギャップ値は、6.88±0.0
3μmの範囲であった。また、実施例1と同様にして液
晶セルに偏光シートを貼付けた状態での濃度に色むらは
見られず、点灯状態での表示状態も良好であった。
【0061】実施例3 テトラメチロールメタンテトラアクリレート50重量%
及びジビニルベンゼン50重量%を懸濁重合させた後、
分級により平均粒子径7.02μm、標準偏差0.26
μmのスペーサーを得た。このスペーサーの圧縮歪10
%におけるK値は、390kgf/mm2であった。ま
た、スペーサーの圧縮変形後の回復率は50%であっ
た。このスペーサーを用いた他は、実施例1と同様にし
て作成した液晶セルのギャップ値は、6.83±0.0
4μmの範囲であった。また、実施例1と同様にして液
晶セルに偏光シートを貼付けた状態での濃度に色むらは
見られず、点灯状態での表示状態も良好であった。
【0062】実施例4 テトラメチロールメタンテトラアクリレート25重量%
及びジビニルベンゼン75重量%を懸濁重合させた後、
分級により平均粒子径7.03μm、標準偏差0.28
μmのスペーサーを得た。このスペーサーの圧縮歪10
%におけるK値は、380kgf/mm2であった。ま
た、スペーサーの圧縮変形後の回復率は45%であっ
た。このスペーサーを用いた他は、実施例1と同様にし
て作成した液晶セルのギャップ値は、6.80±0.0
3μmの範囲であった。また、実施例1と同様にして液
晶セルに偏光シートを貼付けた状態での濃度に色むらは
見られず、点灯状態での表示状態も良好であった。
【0063】実施例5 ジビニルベンゼンを懸濁重合させた後、分級により平均
粒子径7.05μm、標準偏差0.29μmのスペーサ
ーを得た。このスペーサーの圧縮歪10%におけるK値
は、280kgf/mm2であった。また、スペーサー
の圧縮変形後の回復率は35%であった。このスペーサ
ーを用いた他は、実施例1と同様にして作成した液晶セ
ルのギャップ値は、6.78±0.06μmの範囲であ
った。また、実施例1と同様にして液晶セルに偏光シー
トを貼付けた状態での濃度に色むらは見られず、点灯状
態での表示状態も良好であった。
【0064】比較例1 ベンゾグアナミン重合体からなる平均粒子径6.98μ
m、標準偏差0.25μmのスペーサーを用いた他は、
実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。使用したス
ペーサーの圧縮歪10%におけるK値は、600kgf
/mm2であった。また、スペーサーの圧縮変形後の回
復率は13%であった。このスペーサーを用いた他は、
実施例1と同様にして作成した液晶セルのギャップ値
は、6.92±0.07μmの範囲であった。また、実
施例1と同様にして液晶セルに偏光シートを貼付けたと
ころ、濃度に色むらが認められ、点灯状態での表示状態
は不充分であった。
【0065】比較例2 トリアリルイソシアヌレート30重量%及びジアリルフ
タレート70重量%を懸濁重合させた後、分級により平
均粒子径7.03μm、標準偏差0.26μmのスペー
サーを得た。このスペーサーの圧縮歪10%におけるK
値は、240kgf/mm2であった。また、スペーサ
ーの圧縮変形後の回復率は12%であった。このスペー
サーを用いた他は、実施例1と同様にして作成した液晶
セルのギャップ値は、6.89±0.03μmの範囲で
あった。また、実施例1と同様にして液晶セルに偏光シ
ートを貼付けたところ、濃度に色むらが認められ、点灯
状態での表示状態は不充分であった。
【0066】比較例3 ポリスチレンからなる平均粒子径6.98μm、標準偏
差0.25μmのスペーサーを用いた他は、実施例1と
同様にして球状のスペーサーを得た。このスペーサーの
圧縮歪10%におけるK値は、105kgf/mm2
あった。また、スペーサーの圧縮変形後の回復率は測定
不能であった。このスペーサーを用いた他は、実施例1
と同様にして作成した液晶セルのギャップ値は、6.7
5±0.07μmの範囲であった。また、実施例1と同
様にして液晶セルに偏光シートを貼付けたところ、濃度
に色むらが認められ、点灯状態での表示状態は不充分で
あった。
【0067】比較例4 ベンゾグアナミン重合体からなる平均粒子径7.05μ
m、標準偏差0.25μmのスペーサーを用いた他は、
実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。このスペー
サーの圧縮歪10%におけるK値は、620kgf/m
2であった。また、スペーサーの圧縮変形後の回復率
は13%であった。このスペーサーを用いた他は、実施
例1と同様にして作成した液晶セルのギャップ値は、
6.88±0.05μmの範囲であった。また、実施例
1と同様にして液晶セルに偏光シートを貼付けたとこ
ろ、濃度に色むらが認められ、点灯状態での表示状態は
不充分であった。
【0068】比較例5 二酸化ケイ素からなる平均粒子径7.01μm、標準偏
差0.19μmのスペーサーを用いた他は、実施例1と
同様にして液晶表示素子を得た。このスペーサーの圧縮
歪10%におけるK値は、5000kgf/mm2であ
った。また、スペーサーの圧縮変形後の回復率は、85
%であった。このスペーサーを用いた他は、実施例1と
同様にして作成した液晶セルのギャップ値は6.99±
0.10μmの範囲であった。また、実施例1と同様に
して液晶セルに偏光シートを貼付けたところ、濃度に色
むらが認められ、点灯状態での表示状態は、不充分であ
った。
【0069】実施例6 テトラメチロールメタントリアクリレートを懸濁重合さ
せた後、分級により平均粒子径7.03μm、標準偏差
0.27μmの樹脂微粒子を得た。この微粒子10gに
濃硫酸100gを加え、55℃で6時間反応させた。一
方、塩基性染料カチロンブラックSBH(保土ヶ谷化学
(株)製)6gを300mlの水に溶解し、酢酸を加え
てpH4に調製した染浴を得た。これに上記酸処理微粒
子を加えて、95℃で6時間染色して黒色の球状スペー
サーを得た。この球状スペーサーの平均粒子径は7.3
8μm、標準偏差は0.29μmであった。この着色ス
ペーサーの圧縮歪10%におけるK値は520kgf/
mm2であった。また、この着色スペーサーの反転荷重
値1grfの場合の圧縮変形後の回復率は55%であっ
た。このスペーサーを用いた他は、実施例1と同様にし
て液晶表示素子を得た。液晶セルのギャップ値は6.9
8±0.03μmの範囲であった。また、実施例1と同
様にして液晶セルに偏光シートを貼付けたところ、この
黄緑色の濃度にはまったく濃度に色むらが認められなか
った。このようにして作成した液晶表示素子に、電源を
接続して点灯させた結果、充分な表示性能が得られた。
【0070】実施例7 テトラメチロールメタントリアクリレート75重量%及
びジビニルベンゼン25重量%を懸濁重合させた後、分
級により、平均粒子径7.05μm、標準偏差0.25
μmのスペーサーを得た。このスペーサーを実施例6と
同様に染色して、黒色の球状スペーサーを得た。この球
状スペーサーの平均粒子径は7.04μm、標準偏差は
0.27μmであった。この着色スペーサーの圧縮歪1
0%におけるK値は420kgf/mm2であった。ま
た、圧縮変形後の回復率は51%であった。このスペー
サーを用いた他は、実施例1と同様にして作成した液晶
セルのギャップ値は、7.22±0.03μmの範囲で
あった。また、実施例1と同様にして液晶セルに偏光シ
ートを貼付けた状態での背景色に色むらは全く見られ
ず、点灯状態での表示状態も良好であった。
【0071】実施例8 テトラメチロールメタントリアクリレート50重量%及
びジビニルベンゼン50重量%を懸濁重合させた後、分
級により、平均粒子径7.02μm、標準偏差0.26
μmのスペーサーを得た。このスペーサーを実施例6と
同様に染色して、黒色の球状スペーサーを得た。この球
状スペーサーの平均粒子径は7.47μm、標準偏差は
0.28μmであった。このスペーサーの圧縮歪10%
におけるK値は、370kgf/mm2であった。ま
た、圧縮変形後の回復率は47%であった。このスペー
サーを用いた他は、実施例1と同様にして作成した液晶
セルのギャップ値は6.83±0.04μmの範囲であ
った。また、実施例1と同様にして液晶セルに偏光シー
トを貼付けた状態での背景色に色むらは全く見られず、
点灯状態での表示状態も良好であった。
【0072】実施例9 テトラメチロールメタントリアクリレート25重量%及
びジビニルベンゼン75重量%を懸濁重合させた後、分
級により、平均粒子径7.03μm、標準偏差0.28
μmのスペーサーを得た。このスペーサーを実施例6と
同様に染色して、黒色の球状スペーサーを得た。この球
状スペーサーの平均粒子径は7.45μm、標準偏差は
0.30μmであった。このスペーサーの圧縮歪10%
におけるK値は360kgf/mm2であった。また、
圧縮変形後の回復率は45%であった。このスペーサー
を用いた他は、実施例1と同様にして作成した液晶セル
のギャップ値は6.80±0.03μmの範囲であっ
た。また、実施例1と同様にして液晶セルに偏光シート
を貼付けた状態での背景色に色むらは全く見られず、点
灯状態での表示状態も良好であった。
【0073】実施例10 ジビニルベンゼンを懸濁重合させた後、分級により平均
粒子径7.05μm、標準偏差0.29μmのスペーサ
ーを得た。このスペーサーを実施例6と同様に染色し
て、黒色の球状スペーサーを得た。この球状スペーサー
の平均粒子径は7.40μm、標準偏差は0.30μm
であった。このスペーサーの圧縮歪10%におけるK値
は、270kgf/mm2であった。また、圧縮変形後
の回復率は40%であった。このスペーサーを用いた他
は、実施例1と同様にして作成した液晶セルのギャップ
値は7.12±0.05μmの範囲であった。また、実
施例1と同様にして液晶セルに偏光シートを貼付けた状
態での背景色に色むらは全く見られず、点灯状態での表
示状態も良好であった。
【0074】比較例6 ベンゾグアナミン重合体からなる平均粒子径6.98μ
m、標準偏差0.25μmのスペーサーを、酸性染料で
赤色に染色して着色スペーサーを得た。この着色スペー
サーの平均粒子径は7.01μm、標準偏差0.27μ
mであった。このスペーサーの圧縮歪10%におけるK
値は、580kgf/mm2であった。また、スペーサ
ーの圧縮変形後の回復率は11%であった。このスペー
サーを用いた他は、実施例1と同様にして作成した液晶
セルのギャップ値は、6.96±0.08μmの範囲で
あった。また、実施例1と同様にして液晶セルに偏光シ
ートを貼付けたところ、背景色に色むらが認められ、点
灯状態での表示状態は不充分であった。
【0075】比較例7 トリアリルイソシアヌレート30重量%及びジアリルフ
タレート70重量%を懸濁重合させた後、分級により平
均粒子径7.03μm、標準偏差0.26μmのスペー
サーを得た。このスペーサーを実施例6と同様に染色し
て、赤色の球状スペーサーを得た。この球状スペーサー
の平均粒子径は7.38μm、標準偏差0.27μmで
あった。このスペーサーの圧縮歪10%におけるK値
は、220kgf/mm2であった。また、スペーサー
の圧縮変形後の回復率は12%であった。このスペーサ
ーを用いた他は、実施例1と同様にして作成した液晶セ
ルのギャップ値は7.23±0.04μmの範囲であっ
た。また、実施例1と同様にして液晶セルに偏光シート
を貼付けたところ、背景色に色むらが認められ、点灯状
態での表示状態は不充分であった。
【0076】比較例8 ポリスチレンからなる平均粒子径6.98μm、標準偏
差0.25μmのスペーサーを用いた他は、実施例6と
同様に染色して、黒色の球状スペーサーを得た。この着
色スペーサーの平均粒子径は7.47μm、標準偏差は
0.29μmであった。この着色スペーサーの圧縮歪1
0%におけるK値は、100kgf/mm2であった。
スペーサーの圧縮変形後の回復率は測定不能であった。
このスペーサーを用いた他は、実施例1と同様にして作
成した液晶セルのギャップ値は、6.75±0.07μ
mの範囲であった。また、実施例1と同様にして液晶セ
ルに偏光シートを貼付けたところ、背景色に色むらが認
められ、点灯状態での表示状態は不充分であった。
【0077】比較例9 ベンゾグアナミン重合体からなる平均粒子径7.05μ
m、標準偏差0.25μmのスペーサーを用いた他は、
比較例6と同様に染色して、赤色の球状スペーサーを得
た。この球状スペーサーの平均粒子径は7.08μm、
標準偏差は0.27μmであった。この着色スペーサー
の圧縮歪10%におけるK値は、605kgf/mm2
であり、着色スペーサーの圧縮変形後の回復率は、11
%であった。このスペーサーを用いた他は、実施例1と
同様にして作成した液晶セルのギャップ値は、6.91
±0.08μmの範囲であった。また、実施例1と同様
にして液晶セルに偏光シートを貼付けたところ、背景色
に色むらが認められ、点灯状態での表示状態は不充分で
あった。
【0078】比較例10 二酸化ケイ素からなる平均粒子径7.01μm、標準偏
差0.19μmのスペーサーを塩基性染料で染色して、
青色の球状スペーサーを得た。この着色スペーサーの平
均粒子径は7.04μm、標準偏差は0.21μmであ
った。この着色スペーサーの圧縮歪10%におけるK値
は、5000kgf/mm2であり、またスペーサーの
圧縮変形後の回復率は、85%であった。このスペーサ
ーを用いた他は、実施例1と同様にして作成した液晶セ
ルのギャップ値は、7.00±0.10μmの範囲であ
った。また、実施例1と同様にして液晶セルに偏光シー
トを貼付けたところ、背景色に色むらが認められ、点灯
状態での表示状態は不充分であった。
【0079】実施例11 テトラメチロールメタンテトラアクリレート75重量%
及びジビニルベンゼン25重量%を懸濁重合させた後、
分級により平均粒子径10.00μm、標準偏差0.4
0μmの微粒子を得た。このスぺーサー10gに対し、
テトラプロポキシチタン(日本曹達(株)製、商品名A
−1)0.15gを15mlのn−ヘキサンに溶解させ
た溶液を加え、スパチュラにて良く混合した後、n−ヘ
キサンを蒸発させた。次いで、この混合物を乳鉢にて十
分に練り潰し、塊をなくした。一方、ホットメルト型接
着製樹脂として、ポリエチレンワックス(三洋化成工業
(株)製、商品名サンワックス151−P)2.6gを
トルエン中に加え、80℃温浴中で溶解させた。この溶
液に、上記有機チタン化合物で処理した上記樹脂微粒子
を加え、完全に乳状になるまで分散させた後、90℃、
300mmHg減圧下で加熱乾燥させた。このようにし
て樹脂微粒子をホットメルト型接着性樹脂により被覆し
たものが塊として得られた。次に、この塊にグリセリン
20mlを加え、乳鉢中で十分に塊を練り潰し、さらに
3本ロールに通して塊を完全に分解した。次に、この分
解された塊を1リットルのエタノールを用いてガラスフ
ィルタ上で洗浄した後、エタノール/フレオン113混
合溶液(容積比で2対1)に懸濁させた。次に、この混
合物を15時間静置し、上澄みをデカンテーションする
ことにより、ポリエチレンワックスの微細片を取り除い
た。残った塊を再びガラスフィルターで濾過した後、フ
レオン113にて洗浄した。これを60℃にてギヤオー
ブン中で乾燥させることにより、被覆樹脂微粒子を得
た。この被覆樹脂微粒子の平均粒子径は10.32μ
m、標準偏差は0.43μmであった。この結果より、
ポリエチレンワックスは、平均0.16μmの厚みで樹
脂微粒子の表面に形成されていることがわかった。ま
た、走査型電子顕微鏡により被覆樹脂微粒子の表面を観
察した結果、樹脂微粒子の表面には隙間なくポリエチレ
ンワックスが均一に被覆されていることがわかった。こ
の被覆樹脂微粒子の圧縮歪10%におけるK値は、45
0kgf/mm2であり、また、この微粒子の反転荷重
値1grfの場合の圧縮変形後の回復率は、63%であ
った。この被覆樹脂微粒子をスぺーサーとして用いた他
は、実施例1と同様にして液晶表示素子を得た。液晶セ
ルのギャップ値は9.95±0.03μmの範囲であっ
た。また、実施例1と同様にして液晶セルに偏光シート
を貼付けたところ、この黄緑色の背景色には全く色むら
が認められなかった。このようにして作成した液晶表示
素子に電源を接続して点灯させた結果、良好な表示性能
が得られた。
【0080】実施例12 ジビニルベンゼンを懸濁重合させた後、分級により平均
粒子径9.90μm、標準偏差0.36μmの微粒子を
得た。この微粒子10gに対して、テトラプロポキシチ
タン(日本曹達(株)製、商品名A−1)0.15gを
15mlのn−ヘキサンに溶解させた溶液を加え、スパ
チュラにて良く混合した後、n−ヘキサンを蒸発させ
た。次いで、この混合物を乳鉢にて十分に練り潰し、塊
をなくした。一方、エポキシ当量が480、軟化点が6
8℃の固形エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)
製、商品名エピコート1001)2gをアセトン40m
l中に加え溶解させた後、水6ml、上記微粒子10
g、および硬化剤として、2−エチル−4−メチルイミ
ダゾール2E4MZ 0.4gを添加し十分混合した
後、攪拌しながらアセトンを蒸発させた。それから、乾
燥物を乳鉢で練り潰し、固まりを完全に分解した。この
ようにして得られた被覆樹脂微粒子の平均粒子径は1
0.32μm、標準偏差は0.46μmであった。この
結果より、接着性エポキシ樹脂層の厚みは、0.21μ
mと計算された。また、走査型電子顕微鏡により被覆樹
脂微粒子の表面を観察した結果、樹脂微粒子の表面に
は、隙間なくエポキシ樹脂層が均一に被覆されているこ
とがわかった。この被覆樹脂微粒子の圧縮歪10%にお
けるK値は、420kgf/mm2であり、また、この
微粒子の反転荷重値1grfの場合の圧縮変形後の回復
率は、52%であった。この被覆樹脂微粒子をスぺーサ
ーとして用いた他は、実施例1と同様にして液晶表示素
子を得た。液晶セルのギャップ値は9.83±0.03
μmの範囲であった。また、実施例1と同様にして液晶
セルに偏光シートを貼付けたところ、背景色に色むらが
認められなかった。このようにして作成した液晶表示素
子に電源を接続して点灯させた結果、良好な表示性能が
得られた。
【0081】比較例11 ケイ酸ガラスからなる平均粒子径7.30μm、標準偏
差0.32μmの無機微粒子を得た。この無機微粒子1
0gに対して、テトラプロポキシチタン(日本曹達
(株)製、商品名B−1)0.35gを15mlのn−
ヘキサンに溶解させた溶液を加え、スパチュラにて良く
混合した後、n−ヘキサンを蒸発させた。次いで、この
ものを乳鉢にて十分に練り潰し、塊をなくした。一方、
ホットメルト型接着性樹脂として、カルボキシ基含有エ
チレン−酢酸ビニル共重合体(武田薬品工業(株)製、
商品名デュラミンC−2280)2.9gを用いた。上
記した以外は、実施例11と同様にして被覆無機微粒子
を得た。走査型電子顕微鏡により被覆樹脂微粒子の表面
を観察した結果、被覆無機微粒子上に形成されたホット
メルト型接着剤層の厚みは、0.43μmであることが
わかった。この被覆無機微粒子の圧縮歪10%における
K値は、550kgf/mm2であり、また、この微粒
子の反転荷重値1grfの場合の圧縮変形後の回復率
は、85%であった。この被覆樹脂微粒子をスぺーサー
として用いた他は、実施例1と同様にして液晶表示素子
を得た。液晶セルのギャップ値は、7.25±0.03
μmの範囲であった。また、実施例1と同様にして液晶
セルに偏光シートを貼付けたところ、背景色に色むらが
認められ、点灯状態での表示状態は不十分であった。
【0082】比較例12 固体粒子として、ケイ酸ガラスからなる平均粒子径7.
30μm、標準偏差0.32μmの無機微粒子を得た。
この無機微粒子10gに対して、テトラプロポキシチタ
ン(日本曹達(株)製、商品名B−1)0.35gを1
5mlのn−ヘキサンに溶解させた溶液を加え、スパチ
ュラにて良く混合した後、n−ヘキサンを蒸発させた。
次いで、このものを乳鉢にて十分に練り潰し、塊をなく
した。一方、硬化剤として、ジシアンジアミド(油化シ
ェルエポキシ(株)製、商品名DICY−7)0.2g
及び2−フェニルイミダゾール−4,5−ジイルジメタ
ノール(四国化成工業(株)製、商品名2PHZ)0.
2gを用いた。上記した以外は、実施例12と同様にし
て被覆無機微粒子を得た。走査型電子顕微鏡により被覆
樹脂微粒子の表面を観察した結果、被覆無機微粒子上に
形成された接着製エポキシ樹脂層の厚みは0.41μm
であることがわかった。この被覆無機微粒子の圧縮歪1
0%におけるK値は5300kgf/mm2であり、ま
た、この微粒子の反転荷重値1grfの場合の圧縮変形
後の回復率は87%であった。この被覆樹脂微粒子をス
ぺーサーとして用いた他は、実施例1と同様にして液晶
表示素子を得た。液晶セルのギャップ値は、7.23±
0.03μmの範囲であった。また、実施例1と同様に
して液晶セルに偏光シートを貼付けたところ、背景色に
色むらが認められ、点灯状態での表示状態は不十分であ
った。
【0083】実施例13 テトラメチロールメタンテトラアクリレートを懸濁重合
させた後、分級により平均粒子径6.98μm、標準偏
差0.23μmの微粒子を得た。この微粒子の圧縮歪1
0%におけるK値は、633kgf/mm2であり、反
転荷重値1grfの場合の圧縮変形後の回復率は、63
%であった。この樹脂微粒子に無電解ニッケルメッキを
行った後、金置換反応によりニッケル−金メッキ層が形
成された導電性微粒子を得た。この導電性微粒子を分析
したところ、金含有率は28.0重量%で、ニッケル含
有率は23.8重量%であった。また、平均粒子径は
7.24μm、標準偏差は0.28μmであった。この
導電性微粒子1g及びガラスファイバー(直径5.5μ
m、平均長さ27.5μm)0.5gを、エポキシ樹脂
(吉川化工製、SE−4500)75g及びその硬化剤
25gに混ぜ合わせてペーストを作成した。次に、図6
に示すように、ITO膜が内面に形成されたガラス電極
12上に、上記ペースト13を所定厚みで塗布した後、
別のITO電極14を重ね合わせた。次に、この積層体
をプレス機に挟み、35kg/cm2の圧力、160℃
の温度で30分間加熱圧着した。このようにして作製し
た試験片Cを、高温側が90℃、1時間、低温側が−4
0℃、1時間で作動する熱衝撃試験器(タバイエスペッ
ク(株)製TSV−40型)にセットして、240サイ
クルまで試験した。また、上記と同様にして作成した別
の試験片を、80℃・90%RHの条件で作動する恒温
恒湿器(タバイエスペック(株)、PR−3F型)に入
れ、500時間試験した。この冷熱衝撃試験の前後と、
耐湿試験前後における該2枚の電極間の接触抵抗値を四
端子法により測定したところ、表1に示す結果が得られ
た。この結果から、この導電性微粒子による接続信頼性
は、きわめて優れていることがわかった。
【0084】実施例14 テトラメチロールメタンテトラアクリレート75重量%
及びジビニルベンゼン25重量%を懸濁重合させた後、
分級により平均粒子径7.05μm、標準偏差0.25
μmの微粒子を得た。この微粒子の圧縮歪10%におけ
るK値は527kgf/mm2であり、反転荷重値1g
rfの場合の圧縮変形後の回復率は55%であった。こ
の樹脂微粒子に無電解ニッケルメッキを行った後、金置
換反応によりニッケル−金メッキ層が形成された導電性
微粒子を得た。この導電性微粒子を分析したところ、金
含有率は29.1重量%、ニッケル含有率は23.4重
量%であった。また、平均粒子径は7.29μm、標準
偏差は0.29μmであった。この導電性微粒子を用い
た以外は、実施例13と同様にして試験片を得、この試
験片について、信頼性試験を行ったところ、表1に示す
結果が得られた。この結果から、この導電性微粒子によ
る接続信頼性は、きわめて優れていることがわかった。
【0085】実施例15 テトラメチロールメタンテトラアクリレート50重量%
及びジビニルベンゼン50重量%を懸濁重合させた後、
分級により平均粒子径7.01μm、標準偏差0.25
μmの微粒子を得た。この微粒子の圧縮歪10%におけ
るK値は468kgf/mm2であり、反転荷重値1g
rfの場合の圧縮変形後の回復率は52%であった。こ
の樹脂微粒子に無電解ニッケルメッキを行った後、金置
換反応によりニッケル−金メッキ層が形成された導電性
微粒子を得た。この導電性微粒子を分析したところ、金
含有率は30.5重量%、ニッケル含有率は19.5重
量%であった。また、平均粒子径は7.25μm、標準
偏差は0.29μmであった。この導電性微粒子を用い
た以外は、実施例13と同様にして試験片を得、この試
験片について、信頼性試験を行ったところ、表1に示す
結果が得られた。この結果から、この導電性微粒子によ
る接続信頼性は、きわめて優れていることがわかった。
【0086】実施例16 テトラメチロールメタンテトラアクリレート25重量%
及びジビニルベンゼン75重量%を懸濁重合させた後、
分級により平均粒子径7.03μm、標準偏差0.28
μmの微粒子を得た。この微粒子の圧縮歪10%におけ
るK値は448kgf/mm2であり、反転荷重値1g
rfの場合の圧縮変形後の回復率は52%であった。こ
の樹脂微粒子に無電解ニッケルメッキを行った後、金置
換反応によりニッケル−金メッキ層が形成された導電性
微粒子を得た。この導電性微粒子を分析したところ、金
含有率は27.6重量%、ニッケル含有率は24.3重
量%であった。また、平均粒子径は7.27μm、標準
偏差は0.29μmであった。この導電性微粒子を用い
た以外は、実施例13と同様にして試験片を得、この試
験片について、信頼性試験を行ったところ、表1に示す
結果が得られた。この結果から、この導電性微粒子によ
る接続信頼性はきわめて優れていることがわかった。
【0087】実施例17 ジビニルベンゼンを懸濁重合させた後、分級により平均
粒子径7.05μm、標準偏差0.29μmの微粒子を
得た。この微粒子の圧縮歪10%におけるK値は330
kgf/mm2であり、反転荷重値1grfの場合の圧
縮変形後の回復率は38%であった。この樹脂微粒子に
無電解ニッケルメッキを行った後、金置換反応によりニ
ッケル−金メッキ層が形成された導電性微粒子を得た。
この導電性微粒子を分析したところ、金含有率は25.
6重量%、ニッケル含有率は18.3重量%であった。
また、平均粒子径は7.30μm、標準偏差は0.32
μmであった。この導電性微粒子を用いた以外は、実施
例13と同様にして試験片を得、この試験片について、
信頼性試験を行ったところ、表1に示す結果が得られ
た。この結果から、この導電性微粒子による接続信頼性
はきわめて優れていることがわかった。
【0088】比較例13 ベンゾグアナミン重合体からなる平均粒子径6.98μ
m、標準偏差0.25μmのスペーサーに無電解ニッケ
ルメッキを行った後、金置換反応によりニッケル−金メ
ッキ層が形成された導電性微粒子を得た。この導電性微
粒子を分析したところ、金含有率は30.4重量%、ニ
ッケル含有率は19.6重量%であった。また、平均粒
子径は7.23μm、標準偏差は0.27μmであっ
た。この導電性微粒子の圧縮歪10%におけるK値は6
90kgf/mm2であり、圧縮変形後の回復率は12
%であった。この導電性微粒子をスペーサーとして用い
た以外は、実施例13と同様にして試験片を得、この試
験片について、信頼性試験を行ったところ、表1に示す
結果が得られた。この結果から、この導電性微粒子によ
る接続信頼性は不良であることがわかった。
【0089】比較例14 トリアリルイソシアヌレート30重量%及びジアリルフ
タレート70重量%を懸濁重合させた後、分級により平
均粒子径7.00μm、標準偏差0.28μmの微粒子
を得た。この微粒子の圧縮歪10%におけるK値は、2
45kgf/mm2であり、また、スペーサーの圧縮変
形後の回復率は、12%であった。この微粒子に無電解
ニッケルメッキを行った後、金置換反応によりニッケル
−金メッキ層が形成された導電性微粒子を得た。この導
電性微粒子を分析したところ、金含有率は29.3重量
%、ニッケル含有率は20.9重量%であった。また、
平均粒子径は7.23μm、標準偏差は0.30μmで
あった。この導電性微粒子をスペーサーとして用いた他
は、実施例13と同様にして試験片を得、この試験片に
ついて、信頼性試験を行ったところ、表1に示す結果が
得られた。この結果から、この導電性微粒子による接続
信頼性は不良であることがわかった。
【0090】比較例15 ポリスチレンからなる平均粒子径6.98μm、標準偏
差0.27μmの微粒子に無電解ニッケルメッキを行っ
た後、金置換反応によりニッケル−金メッキ層が形成さ
れた導電性微粒子を得た。この導電性微粒子を分析した
ところ、金含有率は32.2重量%、ニッケル含有率は
18.3重量%であった。また、平均粒子径は7.23
μm、標準偏差は0.29μmであった。この導電性微
粒子の圧縮歪10%におけるK値は116kgf/mm
2であり、圧縮変形後の回復率は測定不能であった。こ
の導電性微粒子をスペーサーとして用いた他は、実施例
13と同様にして試験片を得、この試験片について、信
頼性試験を行ったところ、表1に示す結果が得られた。
この結果から、この導電性微粒子による接続信頼性は不
良であることがわかった。
【0091】比較例16 二酸化ケイ素からなる平均粒子径7.01μm、標準偏
差0.19μmの微粒子を得た。この微粒子の圧縮歪1
0%におけるK値は5100kgf/mm2であり、ま
た、微粒子の圧縮変形後の回復率は85%であった。こ
の微粒子に無電解ニッケルメッキを行った後、金置換反
応によりニッケル−金メッキ層が形成された導電性微粒
子を得た。この導電性微粒子を分析したところ、金含有
率は27.4重量%、ニッケル含有率は19.6重量%
であった。また、平均粒子径は7.25μm、標準偏差
は0.20μmであった。この導電性微粒子をスペーサ
ーとして用いた他は、実施例13と同様にして試験片を
得、この試験片について、信頼性試験を行ったところ、
表1に示す結果が得られた。この結果から、この導電性
微粒子による接続信頼性は不良であることがわかった。
【0092】
【表1】
【0093】実施例18 テトラメチロールメタンテトラアクリレートを懸濁重合
させた後、分級により平均粒子径6.98μm、標準偏
差0.23μmの微粒子を得た。この微粒子の圧縮歪1
0%におけるK値は570kgf/mm2であり、微粒
子の反転荷重値1grfの場合の圧縮変形後の回復率は
63%であった。この樹脂微粒子に無電解銅メッキを行
った後、銅メッキ層を置換反応によりインジウムに置換
させた。この導電性微粒子を分析したところ、インジウ
ムの含有率は、23.4%であった。この導電性微粒子
1g及びガラスファイバー(直径5.5μm、平均長さ
27.5μm)0.5gを、エポキシ樹脂(吉川化学工
業製、SE−4500)75gおよび硬化剤25gに混
ぜ合わせてペーストを作成した。次に、図6に示したよ
うに、ITO膜が内面に形成されたガラス電極12上
に、上記ペースト13を所定厚みで塗布した後、別のI
TO電極14を重ね合わせた。次に、この積層体をプレ
ス機に挟み、35kg/cm2の圧力、160℃の温度
で30分間加熱圧着した。このようにして作製した試験
片Cを、高温側が90℃、1時間、低温側が−40℃、
1時間で作動する熱衝撃試験器(タバイエスペック
(株)製TSV−40型)にセットして、240サイク
ルまで試験した。また、上記と同様にして作成した別の
試験片を、80℃・90%RHの条件で作動する恒温恒
湿器(タバイエスペック(株)、PR−3F型)に入
れ、500時間試験したこの冷熱衝撃試験の前後と、耐
湿試験前後における該2枚の電極間の接触抵抗値を、四
端子法により測定したところ、表2に示す結果が得られ
た。この結果から、この導電性微粒子による接続信頼性
は、きわめて優れていることがわかった。
【0094】実施例19 テトラメチロールメタンテトラアクリレート75重量%
及びジビニルベンゼン25重量%を懸濁重合させた後、
分級により平均粒子径7.05μm、標準偏差0.25
μmの微粒子を得た。この微粒子の圧縮歪10%におけ
るK値は475kgf/mm2であり、この微粒子の反
転荷重値1grfの場合の圧縮変形後の回復率は55%
であった。この樹脂微粒子に無電解銅メッキを行った
後、銅メッキ層を置換反応によりインジウムに置換させ
た。この樹脂微粒子を分析したところ、インジウムの含
有率は19.8%であった。この導電性微粒子を用いた
以外は、実施例18と同様にして試験片を得、この試験
片について、信頼性試験を行ったところ、表2に示す結
果が得られた。この結果から、この導電性微粒子による
接続信頼性はきわめて優れていることがわかった。
【0095】実施例20 テトラメチロールメタンテトラアクリレート50重量%
及びジビニルベンゼン50重量%を懸濁重合させた後、
分級により平均粒子径7.01μm、標準偏差0.25
μmの微粒子を得た。この微粒子の圧縮歪10%におけ
るK値は422kgf/mm2であり、この微粒子の反
転荷重値1grfの場合の圧縮変形後の回復率は52%
であった。この樹脂微粒子に無電解銅メッキを行った
後、銅メッキ層を置換反応によりインジウムに置換させ
た。この樹脂微粒子を分析したところ、インジウムの含
有率は20.3%であった。この導電性微粒子を用いた
以外は、実施例18と同様にして試験片を得、この試験
片について、信頼性試験を行ったところ、表2に示す結
果が得られた。この結果から、この導電性微粒子による
接続信頼性はきわめて優れていることがわかった。
【0096】実施例21 テトラメチロールメタンテトラアクリレートを懸濁重合
させた後、分級により平均粒子径7.53μm、標準偏
差0.28μmの微粒子を得た。この微粒子の圧縮歪1
0%におけるK値は282kgf/mm2であり、この
微粒子の反転荷重値1grfの場合の圧縮変形後の回復
率は58%であった。この樹脂微粒子に無電解銅メッキ
を行った後、銅メッキ層を置換反応によりインジウムに
置換させた。このものを分析したところ、インジウムの
含有率は19.6%であった。この導電性微粒子を用い
た以外は、実施例18と同様にして試験片を得、この試
験片について、信頼性試験を行ったところ、表2に示す
結果が得られた。この結果から、この導電性微粒子によ
る接続信頼性は、きわめて優れていることがわかった。
【0097】比較例17 ベンゾグアナミン重合体からなる平均粒子径6.98μ
m、標準偏差0.25μmの微粒子を得た。この微粒子
の圧縮歪10%におけるK値は620kgf/mm2
あり、反転荷重値1grfの場合の圧縮変形後の回復率
は12%であった。この微粒子に無電解銅メッキを行っ
た後、銅メッキ層を置換反応によりインジウムに置換さ
せた。この微粒子を分析したところ、インジウムの含有
率は22.6%であった。この導電性微粒子を用いた以
外は、実施例18と同様にして試験片を得、この試験片
について、信頼性試験を行ったところ、表2に示す結果
が得られた。この結果から、この導電性微粒子による接
続信頼性は不良であることがわかった。
【0098】比較例18 二酸化ケイ素からなる平均粒子径7.01μm、標準偏
差0.19μmの微粒子を得た。この微粒子の圧縮歪1
0%におけるK値は、4590kgf/mm2であっ
た。また、この微粒子の圧縮変形後の回復率は、85%
であった。この微粒子に無電解銅メッキを行った後、銅
メッキ層を置換反応によりインジウムに置換させた。こ
の微粒子を分析したところ、インジウムの含有率は、
9.8重量%であった。この導電性微粒子を用いた以外
は、実施例18と同様にして試験片を得、この試験片に
ついて、信頼性試験を行ったところ、表2に示す結果が
得られた。この結果から、この導電性微粒子による接続
信頼性は不良であることがわかった。
【0099】
【表2】
【0100】
【発明の効果】本発明によれば、液晶が充填される一対
の基板のギャップを規定する球状スペーサーにおいて、
硬すぎるスペーサーを用いた際に見られる配向制御膜へ
の傷付きや、柔らかすぎるスペーサーを用いた際に見ら
れる液晶層ギャップ寸法の乱れ等を解消することができ
る球状スペーサーが提供される。本発明によれば、その
ような球状スペーサーを用いた液晶表示素子が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の液晶表示素子の一実施例の断
面図である。
【図2】図2は、荷重とスペーサーの圧縮変位との関係
を示すグラフである。
【図3】図3は、K値とスペーサーの圧縮歪みとの関係
を示すグラフである。
【図4】図4は、スペーサーの圧縮変形後の回復率の測
定方法を説明する図である。
【図5】図5は、導電性微球体を用いて得られた素子の
要部の断面図である。
【図6】図6は、実施例13で作製した試験片の断面図
である。
【図7】図7は、一般的な液晶表示素子を示す断面図で
ある。
【図8】図8は、硬すぎる球状スペーサーを用いた場合
の液晶表示素子の断面図である。
【図9】図9は、軟らかすぎるスペーサーを用いた場合
の液晶表示素子の断面図である。
【符号の説明】
1:透明基板 2:透明電極 3:配向膜 4:透明基板 5:透明電極 6:配向膜 7:基板 8:スペーサー 9:基板 10:シール部材 11:ネマチック液晶 12:偏光シート 13:偏光シート 12:(図6)ガラス電極 13:(図6)ペースト 14:ITO電極 21a:電極と導電性微球体との接触部 22:導電層 24:電極 25:電極 26:基板 27:基板 28:絶縁性のバインダー 29:導電性微球体 30:シール部材 31:透明基板 32:透明電極 33:配向膜 33a:配向制御膜の傷付けられた部分 34:透明基板 35:透明電極 36:配向膜 37:基板 38:スペーサー 39:基板 41:ネマチック液晶 42:偏光シート 43:偏光シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平3−104299 (32)優先日 平成3年5月9日(1991.5.9) (33)優先権主張国 日本(JP) (56)参考文献 特開 平1−144429(JP,A) 特開 平1−144021(JP,A) 特開 昭61−277105(JP,A) 特公 平7−95165(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1339 500

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材微球体を含有する液晶表示素子用球
    状スペーサーであって、下記式 【数1】 〔ここに、F及びSは、それぞれ球状スペーサーの10
    %圧縮変形における荷重値(kgf)と圧縮変位(m
    m)であり、Rは、球状スペーサーの半径(mm)であ
    る〕で定義されるKの値が、20℃において250kg
    f/mm2〜700kgf/mm2の範囲であり、かつ、
    圧縮変形後の回復率が20℃において30%〜80%の
    範囲である液晶表示素子用球状スペーサー。
  2. 【請求項2】 着色された基材微球体を含有する液晶表
    示素子用着色球状スペーサーであって、下記式 【数2】 〔ここに、F及びSは、それぞれ着色球状スペーサーの
    10%圧縮変形における荷重値(kgf)と圧縮変位
    (mm)であり、Rは、着色球状スペーサーの半径(m
    m)である〕で定義されるKの値が、20℃において2
    50kgf/mm2〜700kgf/mm2の範囲であ
    り、かつ、圧縮変形後の回復率が20℃において30%
    〜80%の範囲である液晶表示素子用着色球状スペーサ
    ー。
  3. 【請求項3】 基材微球体と、該基材微球体の表面に設
    けられた接着層とを含有する液晶表示素子用接着性球状
    スペーサーであって、下記式 【数3】 〔ここに、F及びSは、それぞれ接着性球状スペーサー
    の10%圧縮変形における荷重値(kgf)と圧縮変位
    (mm)であり、Rは、接着性球状スペーサーの半径
    (mm)である〕で定義されるKの値が、20℃におい
    て250kgf/mm2〜700kgf/mm2の範囲で
    あり、かつ、圧縮変形後の回復率が20℃において30
    %〜80%の範囲である液晶表示素子用接着性球状スペ
    ーサー。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の球状スペーサーを用い
    た液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載の着色球状スペーサーを
    用いた液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 請求項3に記載の接着性球状スペーサー
    を用いた液晶表示素子。
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