JP3140599B2 - プレス用カバー - Google Patents

プレス用カバー

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JP3140599B2
JP3140599B2 JP05049486A JP4948693A JP3140599B2 JP 3140599 B2 JP3140599 B2 JP 3140599B2 JP 05049486 A JP05049486 A JP 05049486A JP 4948693 A JP4948693 A JP 4948693A JP 3140599 B2 JP3140599 B2 JP 3140599B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プレス用カバーに関
し、詳しくは、各種衣料製品の仕上げ加工などに用いら
れるプレス装置において、衣料製品などに接触して圧力
をかける加圧部材、具体的にはコテ等と呼ばれる部材の
表面を覆う布状物すなわちプレス用カバーに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】衣料製品にプレス加工を行うためのプレ
ス装置では、衣料製品を上下一対のコテで挟んで加圧と
同時に加熱して、衣料製品を所定のプレス形状に成形す
る。加熱は、コテにヒータを内蔵させておいたり、加熱
蒸気を供給したりして行われている。また、衣料製品の
プレス成形状態を良好に固定化させるには、プレス終了
段階で、衣料製品を急速に冷却すればよいことが知られ
ている。そのために、コテの背面から真空吸引して、コ
テおよび衣料製品の熱を急速に奪い去って冷却すること
が行われている。
【0003】通常は金属で形成されているコテが、衣料
製品の表面に直かに接触すると、衣料製品を傷めること
になる。そこで、コテの表面にキャンバス地からなるカ
バーを張って、コテの表面をカバー生地で覆い、コテが
直に衣料製品に接触するのを防いでいる。このようなプ
レス用カバーとしては、加熱時に100℃近い温度ある
いはそれ以上の高熱を受けたり、加熱後に真空吸引で急
速冷却されたり、強い圧力を受けたりし、しかも、これ
らの負荷が繰り返し作用することになるので、高い耐熱
性や機械的強度、耐久性が要求される。
【0004】従来、上記のような要求を満たす材料とし
て、カバーの生地には、綿メリヤス地や合繊混生地が使
用されていた。また、プレス装置のコテは、処理する衣
料製品の着用形態などに合わせて、複雑な曲面形状や凹
凸形状に形成されている。そこで、カバーの生地として
は、コテの立体的な曲面形状にぴったりと沿って覆うこ
とができるように、適度な伸縮性を備えていることが好
ましい。
【0005】しかし、前記した綿メリヤス地を構成する
綿糸などは、本来あまり伸縮性がないので、生地に伸縮
性を付与するには、メリヤス地などの編織構造を種々に
工夫したりして対応していた。なお、プレス用カバー
は、前記したような過酷な環境条件あるいは荷重条件で
使用されるため、いくら耐熱性や機械的強度に優れた生
地を使用していても、長期間使用し続けることは難し
い。そのため、従来は、取り替え用のプレス用カバーを
用意しておき、短い周期でプレス用カバーを張り替える
ことが行われていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のプレ
ス用カバーは、加圧部材であるコテの複雑な曲面形状に
ぴったりと沿わせて張るのが難しく、シワやたるみ、細
かな凹凸等が生じてしまうという問題があった。プレス
用カバーにシワ等があると、このプレス用カバーが接触
する衣料製品にも、シワ等が形成されたり、衣料製品に
加わる圧力にムラが生じたりして、プレス加工の品質性
能を低下させてしまうことになる。
【0007】これは、前記したように、従来は、カバー
生地として、綿糸のように、耐熱性や機械的強度には優
れるが伸縮性はあまりない糸材料で編織されたものを用
いていたので、加圧部材の複雑な曲面形状にぴったりと
沿わせて張ることが難しかったことに原因がある。この
ような従来におけるプレス用カバーの欠点を解消するに
は、綿糸等よりも伸縮性の高い糸材料を用いればよいと
考えられる。
【0008】ところが、伸縮性の高い糸材料を用いてカ
バー生地の伸縮性を向上させると、加圧部材の表面が三
次元的な曲面形状を有するものの場合などは、却って張
りつけ作業が難しくなるのである。これは、伸縮性の高
いカバー生地は、たてよこ何れかの一方向に引き伸ばし
たときに、このときに加えた力で、引き伸ばした方向と
直交する方向にシワが生じてしまうのである。そのた
め、加圧部材の表面に対して、プレス用カバーを、ま
ず、たてよこの一方向にぴったりと張り付くように引き
伸ばした後、これと直交する方向についても同じよう
に、加圧部材の表面にぴったりと沿うように引き伸ばそ
うとすると、先にぴったりと張り付けた方向にシワやた
るみが生じてしまう。したがって、たてよこ両方向の何
れにもにぴったりと張り付けるのが、非常に難しいので
ある。また、プレス用カバーを張った加圧部材で、衣料
製品などのプレス処理を施す被処理物に圧力を加えたと
きに、プレス用カバーが、たてよこに伸び過ぎると、被
処理物が大きく変形あるいは移動してシワやたるみが生
じ易くなる。
【0009】プレス用カバーの伸縮性を改善するため
に、糸の太さやカバー生地の編織組織を改良することも
考えられた。一般的には、糸の太さが細く糸同士の間隔
があいているような組織であれば、生地が柔軟に変形で
きると考えられる。ところが、このように、糸の間隔が
あいて、隙間が多くあいていると、プレス用カバーの通
気性が高くなり過ぎる。
【0010】プレス用カバーの通気性が高すぎると、た
とえば、前記した真空吸引による強制冷却を行ったとき
に、プレス用カバーを通じて外部の空気が加圧部材の背
面空間へと流れ込み、加圧部材の背面空間を高い真空状
態に維持することができなくなる。良好な真空状態が維
持できなければ、冷却効果が低くなり、冷却時間が長く
かかったり、真空吸引のためのエネルギーが余分に消費
されたり、プレス加工の品質性能が低下したりすること
になる。このことは、加圧部材の背面空間に加熱蒸気を
供給して加熱する場合の加熱効果についても、同様の問
題を生じることになる。すなわち、加熱蒸気が、加圧部
材や被処理物を十分に加熱する前に、外部空間に逃げだ
してしまっては、加熱エネルギーが無駄になる。
【0011】そこで、この発明の課題は、従来のプレス
用カバーが有する欠点を解消して、加圧部材の曲面形状
に沿って、シワや凹凸が生じることなく、ぴったりと張
りつけられ、しかも、張りつけ作業が容易に行えるとと
もに、真空吸引による強制冷却や加熱蒸気による加熱の
効果を良好に発揮させることもできるプレス用カバーを
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する、こ
の発明にかかるプレス用カバーは、プレス装置の加圧部
材表面を覆うカバーであって、少なくとも一部が耐熱性
弾性糸で構成された弾性糸混キャンバス地からなり、た
てよこ両方向のうち一方向の伸度が65%以上、他方向
の伸度が40%以下であり、通気性が70cm3/cm2 sec
以下である。
【0013】この発明のプレス用カバーを取り付けるプ
レス装置は、従来、各種衣料製品のプレス加工に使用さ
れていたような、通常の各種プレス装置が用いられる。
プレス装置には、一対の加圧部材の間に衣料製品などを
挟んで、加圧および加熱によるプレス加工を施すことが
できれば、加圧部材の形状や構造、加圧および加熱のた
めの機構構造については、プレス加工の目的や処理する
衣料製品などの被処理物の種類、形状などに合わせて、
自由に設定できる。
【0014】加圧部材は、通常、熱伝導性の良い金属材
料などで形成されている。加圧部材には、被処理物の形
状に合わせて、平坦面、円筒面、球面その他任意の平面
および曲面が組み合わせられた加圧面を備えている。加
圧部材には、ヒータ等の加熱手段を内蔵していてもよい
し、加熱空気や加熱蒸気などの加熱媒体を導入可能な加
熱空間を、加圧面の背面に備えていてもよい。加圧部材
は、真空吸引による強制冷却のための構造を備えていて
もよい。この場合、加圧面の背面空間に、真空吸引装置
につながる配管などを連結しておく。ひとつの加圧部材
の背面空間が、蒸気などの加熱媒体の導入と、真空吸引
とを、切り換えられるようになっていてもよい。加熱媒
体の導入や真空吸引は、一対の加圧部材のうち、両方に
設けておいてもよいし、片方のみに設けておいてもよ
い。
【0015】プレス用カバーは、上記のような加圧部材
の加圧面を覆うように取り付けられる。プレス用カバー
は、加圧部材に接着などの手段で永久的に固定されても
よいが、通常は、周辺部のみを金具などで加圧部材に取
り付けられ、容易に取り替えられるようにしておく。ひ
とつの加圧部材を、1枚のプレス用カバーで覆ってもよ
いし、複数枚のプレス用カバーを組み合わせて覆うよう
にしてもよい。加圧部材の加圧面に、直接プレス用カバ
ーを取り付けてもよいが、耐熱性のスポンジ材などを介
して、プレス用カバーを取り付ければ、衣料製品などに
対する当接が柔軟になる。
【0016】上記したようなプレス装置の基本的構造
は、従来のプレス装置などにおける通常の構成を、自由
に組み合わせて構成することができる。この発明では、
プレス用カバーを、少なくとも一部に耐熱性弾性糸を含
む弾性糸混キャンバス生地で構成する。耐熱性弾性糸と
は、良好な弾性を有するとともに、プレス加工における
加熱に耐える程度の耐熱性を有する糸である。耐熱性と
しては、少なくとも90℃程度の加熱に耐えるものが必
要である。蒸気加熱のみであれば、比較的耐熱性が低く
てもよいが、接触加熱を行う場合などは、150℃程度
の温度まで耐える必要がある場合もある。
【0017】耐熱性弾性糸の具体例としては、ポリウレ
タン弾性糸、ポリエステル弾性糸、ポリアミド弾性糸な
どが挙げられる。このうち、ポリウレタン弾性糸(一般
名スパンデックス)が、繰り返しの熱セットに対する耐
久性に優れている点で好ましい。カバー生地の材料に、
耐熱セット性に優れた弾性糸を用いれば、プレス装置の
使用時に、加熱が繰り返されても、硬化したり弾力性が
低下したりする心配がない。ポリウレタン弾性糸のなか
では、ポリエステル系の糸よりもポリエーテル系の糸の
ほうが、耐熱性の点で優れている。弾性糸の耐光性や耐
黄化性を向上させるために、弾性糸の材料に酸化チタン
やガス変色防止剤、活性剤などの添加剤を含有させてお
くこともできる。
【0018】弾性糸の太さは、通常は太いほうが好まし
い。一般的には、105デニール以上あればよく、特
に、140〜560デニール程度の範囲のものが好まし
い。なお、この発明において、弾性糸とは、弾性フィラ
メントなどの弾性材料のみからなる、いわゆるベア弾性
糸すなわち狭義の弾性糸だけでなく、前記した良好な弾
性を有する糸材料であれば、弾性フィラメントを、非弾
性短繊維やフィラメントなどの別の材料で被覆した被覆
弾性糸などをも含む広義の弾性糸を意味する技術用語と
して用いている。
【0019】被覆弾性糸の具体例としては、弾性糸を芯
糸にして、その外周に非弾性糸をコイル状に巻きつけた
シングルカバードヤーン(以下、「SCY」と呼ぶ)や
ダブルカバードヤーン(以下、「DCY」と呼ぶ)、さ
らには、弾性糸に紡績糸を撚糸してなるツイステッドヤ
ーン(以下、「STY」と呼ぶ)などがある。被覆弾性
糸を構成するための被覆材料の具体例としては、ナイロ
ン、ポリエステル、レーヨン等が挙げられる。なお、被
覆材料としては、耐熱性が高いもの、熱セット性の少な
いもの、滑りの良いものなどが好ましい。被覆材料に、
耐熱性などに優れた材料を用いた場合、芯糸の弾性糸に
は、これらの性能が比較的劣る材料を用いても、実用上
十分な性能が発揮できるようになり、芯糸の選択の幅が
拡がる。被覆材料に、芯糸の弾性糸よりも軽量の材料を
用いれば、被覆弾性糸の重量を軽減できる。
【0020】このような観点から、たとえば、ナイロン
フィラメント糸が被覆材料として好ましいものとなる。
ナイロンフィラメント糸のトータルデニールは、40デ
ニール以上あるのが好ましい。同様に、綿糸も、被覆材
料として好ましい条件を備えている。綿糸の好ましい太
さは、綿番手10/2〜30/2程度である。以上に説
明したように、この発明で用いる弾性糸としては、良好
な弾性とプレス用カバーとして必要な各種特性を備えて
いれば、従来各種生地の材料として使用されていた糸そ
の他の弾性糸材料を、目的に合わせて自由に選択して用
いることができる。
【0021】カバー生地は、いわゆるキャンバス地であ
れば、織物および編物の何れでもよい。キャンバス地と
は、比較的太い糸を用いて、密に編織された布地を意味
している。この発明では、これらの編織生地を構成する
糸の少なくとも一部に、前記した弾性糸を用いればよ
い。カバー生地を、弾性糸のみで構成することも可能で
あるが、後述する、たてよこ両方向の伸度設定を適切に
行うには、弾性糸と非弾性糸とを組み合わせるほうのが
好ましい。
【0022】弾性糸と非弾性糸を交編織する場合、非弾
性糸の材料および太さは、前記した被覆弾性糸に用いる
非弾性材料と同様の条件が好ましいものとなる。カバー
生地が織物の場合、その製造方法や構造は自由に選択で
きるが、通常の条件では、タテ糸を整経したタテストレ
ッチ織物(タテ伸び織物)が、ヨコストレッチ織物(ヨ
コ伸び織物)よりも、ストレッチ性すなわち伸縮性のバ
ランスが良好になるので好ましい。
【0023】ここで、タテストレッチ織物のタテ糸とし
ては、弾性糸の構造として、ベア弾性糸の芯糸に対する
非弾性糸の被覆割合が多い被覆弾性糸が好ましい。具体
的には、前記SCYよりも、DCYやSTYが好まし
い。また、製織中の糸切れの際における、タテ糸同士の
寄付きや絡み合いからの修復作業性の点で、旋回力の小
さなDCYが、STYよりも好ましい。さらに、精紡機
で紡出されるコアスパーンヤーンは、弾性糸である芯糸
の太さに制約され、例えば140デニール程度のものが
好ましく、280デニールから560デーニルへと太く
なる程、紡績糸の均質性を阻害したり、製織性に問題が
多く発生することになり、使用し難くなる。ヨコ糸は、
前記SCYやDCY、STYの何れを用いてもよい。比
較的ハイパワーでハイストレッチの糸を得るには、より
数は比較的多いほうが好ましい。
【0024】タテ糸密度とヨコ糸密度の密度バランス
は、密度バランス=タテ糸密度/ヨコ糸密度で表した数
値を、1.1〜1.3程度に設定しておくのが好まし
い。この密度バランスが1.1未満では、ストレッチの
バランスが崩れ、タテストレッチがヨコストレッチより
も大きな生地が得られ難くなったり、ストレッチ性の低
いものになり易い。密度バランスが1.3を超えると、
目ズレが発生し易くなる。
【0025】織組織としては、綾織や朱子織に比べて、
平織が好ましく、特に、フラットなマットウースが好ま
しい。つぎに、カバー生地が編物の場合にも、その製造
方法や構造は自由に選択できるが、通常の条件では、ラ
ッセル経編地が、トリコット経編地などに比べて、適度
な通気性を有し、よこ方向のストレッチ性が、たて方向
のストレッチ性よりも小さくなるので好ましい。また、
編組織としては、チュールネット柄やパワーネットなど
に比べて、サテン系の4コースサテンが好ましい。
【0026】経編地の場合、経編ランナー比は、通常の
ラッセル編地などと同様の条件で設定すればよい。具体
的には、ポリウレタン弾性糸とナイロン糸の交編生地の
場合、ランナー比の設定を、0.1≦弾性糸ランナー/
ナイロン糸ランナー≦0.3程度にしておくのが望まし
い。このランナー比が0.3を超えると、弾性糸の編目
がよろける編地になって編目が汚くなる。また、ランナ
ー比が0.1未満では、編成が困難である。より好まし
いランナー比は、0.13〜0.25の範囲である。
【0027】上記のような構成を備えたストレッチ織物
あるいはラッセル経編地などの編織生地は、製織、製編
された後、リラックス工程から精錬工程が施され、つぎ
に出来れば中間セット工程を行った後、染色工程、乾燥
工程、仕上げセット工程が順次施される。これらの工程
の具体的処理条件は、通常の編織生地の場合と同様でよ
い。
【0028】このようにして得られた弾性糸混キャンバ
ス生地は、たてよこ両方向のうち、何れか一方の方向の
伸度が65%以上で、これとは直交する他方の方向の伸
度が40%以下であり、さらに、通気性が70cm3/cm2
sec 以下であるものを用いる。なお、伸度および通気性
の定義もしくは数値条件は、該当するJISに準拠して
決められる。具体的には、後述する具体的実施例の説明
個所に記載されている方法が適用される。
【0029】これらの条件は、前記した製織時のタテ糸
およびヨコ糸の組み合わせおよび織組織、製編時の使用
糸材料および編組織などの条件設定によって、調整され
る。すなわち、この発明では、弾性糸混キャンバス生地
の具体的材料や編織構成がどうであれ、上記したような
伸度および通気性の条件を満足するものであれば使用す
ることができる。
【0030】たてよこ両方向の伸度は、生地が一方の方
向のみに良好に伸縮して、他の方向にはあまり伸縮しな
いようになっていればよいのであり、前記した編織時に
おける、たてよこの糸の選択および編織組織の組み合わ
せによって、たて方向およびよこ方向の何れが、良好に
伸縮する方向であっても構わない。良好に伸縮する方向
すなわち高伸縮方向の伸度が65%未満では、プレス用
カバーとして十分なストレッチ性が発揮できない。より
好ましい、高伸縮方向の伸度は、70%以上である。高
伸縮方向の伸度が大きいほど、ストレッチ性は高まる
が、あまり伸縮しない方向すなわち低伸縮方向の伸度と
のバランス、および、通気性や耐久性、製造コストなど
の他の条件も考慮して、具体的な伸度条件を設定すれば
よい。通常は、高伸縮方向の伸度を、70〜100%程
度の範囲に設定しておくのが好ましい。
【0031】低伸縮方向の伸度が40%を超えると、加
圧部材の表面を覆う作業が困難になる。但し、低伸縮方
向の伸度が小さ過ぎると、プレス用カバー全体のストレ
ッチ性が劣るものとなり、加圧部材の表面をぴったりと
覆うことができない。したがって、通常は、低伸縮方向
の伸度を、30〜40%程度の範囲に設定しておくのが
好ましい。
【0032】また、たてよこ両方向の伸度の差あるいは
比率によっても、加圧部材に対する被覆作業性や被覆品
質が影響される。通常の条件では、たてよこ両方向の伸
度の差が大きい程よいが、実用的には、高伸縮方向の伸
度/低伸縮方向の伸度=1.5〜3.5程度に設定して
おくのが好ましい。通気性は、70cm3/cm2 sec を超え
ると、真空吸引による強制冷却や、加熱蒸気による加熱
の効率が悪くなり、エネルギーの無駄が多くなる。但
し、通気性が全く無かったり小さすぎても、実用上好ま
しくない。そこで、通気性の好ましい範囲は、20〜6
0cm3/cm2 sec である。
【0033】弾性糸混キャンバス生地は、プレス装置の
加圧部材の形状構造に合わせて、適宜寸法に裁断されて
プレス用カバーとなり、このプレス用カバーが加圧部材
の表面を覆うように張りつけられる。プレス用カバーを
加圧部材に張りつける手段や方法は、通常のプレス装置
の場合と同様である。このとき、プレス用カバーは、主
に、前記した生地の高伸縮方向に伸ばすようにして張り
つけるのが好ましい。具体的には、高伸縮方向に約25
%程度伸ばした状態になるようにして、加圧部材に張り
つけるのが好ましい。なお、低伸縮方向に生地を伸ばす
ようにして張ることもできるが、この場合には、高伸縮
方向に縮みが出易くなる。この縮みを抑えるためには、
低伸縮方向に加えた力の約1/4の力を、高伸縮方向に
加えるようにすればよい。
【0034】この発明にかかるプレス用カバーを取り付
けるプレス装置の諸元あるいは作動条件は、通常のプレ
ス装置の場合と同様でよい。たとえば、一般的なプレス
装置では、全幅トータルで約50〜70kgのシリンダー
推力で加圧部材が駆動され、蒸気圧力は約4〜6kg/cm2
程度、加圧圧力は約7kg/cm2程度に設定される。また、
加熱蒸気の温度は、通常95℃程度であり、一般のスー
ツやズボンのプレス加工は、120℃以下程度で行わ
れ、真空吸引による強制冷却で50℃程度まで冷却され
る。但し、蒸気による加熱を行わず、ヒータ等による加
圧部材の接触加熱、いわゆるアイロン乾熱では、約15
0℃程度まで採用される。
【0035】
【作用】この発明にかかる前記プレス用カバーは、前記
したような構成を備えていることにより、以下に説明す
る作用が達成される。まず、少なくとも一部に耐熱性弾
性糸を含む弾性糸混キャンバス生地からなるプレス用カ
バーは、通常の綿糸などに比べて吸湿性の少ない弾性糸
を用いているので、プレス装置の作動に伴って蒸気加熱
を繰り返しても、織目や編目が拡大されたままにならな
い。
【0036】これは、従来における綿糸等で形成された
プレス用カバーでは、蒸気加熱による吸湿で拡大した織
目もしくは編目が、蒸気加熱を終えた後も拡大したまま
になり、その結果、プレス用カバーにシワが生じること
がある。しかし、吸湿性の少ない弾性糸を含むプレス用
カバーであれば、吸湿による織目や編目の拡大は生じ難
い。なお、この場合も、プレス処理する衣料製品などの
吸湿に伴って、ある程度は、織目や編目が拡大する可能
性があるが、プレス処理が終了すれば、弾性糸の弾力的
復元力によって、織目や編目は迅速に元の状態に戻る。
【0037】つぎに、カバー生地に弾性糸が含まれてい
ると、たて方向、および、よこ方向の伸度を容易に調整
できる。綿糸等の被弾性糸だけで形成されたプレス用カ
バーは、その編織組織を如何に工夫しても、伸度を調整
できる範囲すなわち調整幅は小さく、後述するような適
切な伸度範囲内に設定することは出来ない。また、たて
方向の伸度と、よこ方向の伸度に、大きな差をつけるこ
とも難しい。しかし、カバー生地に含ませる弾性糸の太
さや比率などの条件を、前記編織組織の設定と同時に、
適切に設定すれば、たてよこ両方向の伸度を任意に調整
することができる。
【0038】この発明では、たてよこの何れか一方の方
向の伸度を65%以上、他方向の伸度を40%以下に設
定しておくことにより、複雑な三次元曲面形状を有する
加圧部材の表面にも、プレス用カバーをぴったりと沿わ
せて張りつけることができる。すなわち、生地がひとつ
の方向には大きく伸縮し、他の方向にはあまり伸縮しな
いので、プレス用カバーを主に、高伸縮方向に伸ばし
て、加圧部材の表面形状に対応させることになる。プレ
ス用カバーを、高伸縮方向に伸ばしても、これと直交す
る他の方向にはあまり伸縮しないので、従来のプレス用
カバーのように、一方の方向を伸ばしたときに、これと
直交する他の方向に伸縮してシワやたるみを生じるとい
う問題が生じないのである。加圧部材に張りつけられた
状態では、この状態からさらに伸びることのできる割合
は、既に大きく伸ばされている高伸縮方向と、低伸縮方
向とで、適度なバランスが取られることになるので、加
圧時に、被処理物を1方向のみに変形させたり移動させ
たりすることがない。
【0039】さらに、この発明では、通気性を70cm3/
cm2 sec 以下に設定しておくことにより、真空吸引によ
る強制冷却および蒸気による加熱などの効果が良好に発
揮される。すなわち、通気性が低く抑えられていれば、
真空吸引時に、プレス用カバーを通して加圧部材の背面
空間に空気が侵入して真空度が低下することが防げる。
その結果、真空吸引による強制冷却の効果を高め、真空
吸引に要するエネルギーの消費も削減できるのである。
また、蒸気加熱時にも、プレス用カバーを通して外部空
間に蒸気が逃げだし難いので、加熱効率が向上し、加熱
エネルギーの無駄も防ぐことができる。
【0040】カバー生地に弾性糸が含まれていると、前
記した伸度の条件と通気性の条件とを同時に達成した
り、前記条件内で、たてよこ方向の伸度や通気性を調整
するのが容易になる。これは、たとえば、従来の非弾性
糸のみからなるプレス用カバーで、通気性を低くしよう
とすれば、編織組織を構成する糸の隙間を少なく密度を
高くする必要がある。しかし、糸の密度が高くなれば、
伸び難くなり、高伸縮方向の伸度を高めることができな
い。また、たて方向とよこ方向の伸度に差を付けるため
に、タテ糸とヨコ糸の密度に差を付ければ、密度の小さ
い方向で糸の間隔が広くなって、通気性が高くなってい
まう。これに対し、この発明では、通気性を低くするた
めに、糸の密度を高めても、弾性糸の弾力性によって、
十分な伸びが発揮できる。また、弾性糸の材料および太
さ、被覆材料との組み合わせ方などを調整すれば、たて
方向およびよこ方向の伸度を、それぞれ独自かつ自由に
設定できるのである。
【0041】
【実施例】ついで、この発明の実施例について、図面を
参照しながら以下に説明する。図1は、この発明にかか
るプレス用カバーを取り付けたプレス装置の概略構造を
表している。プレス装置は、上下一対の加圧部材10、
20からなり、固定設置された下側の加圧部材10に対
して、上側の加圧部材20が昇降作動して、加圧部材1
0の上面に被さったり、加圧部材10から離れたりす
る。上側の加圧部材20が、一辺を中心にして旋回作動
するようにしておいてもよい。
【0042】下側の加圧部材10は、上面がプレス処理
に適した曲面状をなす加圧面11となる。加圧面11に
は、背面空間12に通じる通気孔13が多数貫通形成さ
れている。背面空間12は、外部の真空吸引装置につな
がっている。加圧面11の上面には、スポンジ材14を
介して、加圧面11の曲面形状に沿って加圧面11の側
面までを覆うように、プレス用カバー30が張られてい
る。
【0043】上側の加圧部材20は、基本的な構造は下
側の加圧部材10と同様である。加圧部材20の下面
は、前記下側の加圧部材10の加圧面11に対応する曲
面形状の加圧面21となり、加圧面21には背面空間2
2に通じる通気孔23が貫通形成されている。この背面
空間22は、外部の蒸気供給源につながっている。前記
同様のプレス用カバー30が、スポンジ材24を介し
て、加圧面21の側面まで覆うように張られている。
【0044】上下の加圧部材10、20の間に、衣料製
品などのプレス処理を施す被処理物Wを置き、上側の加
圧部材20を降下させて、下側の加圧部材20に被せ
る。上側の加圧部材20に蒸気を供給して被処理物Wを
加熱するとともに、加圧部材20で圧力をかけて、被処
理物Wに所定のプレス処理を施す。プレス処理が終わる
と、下側の加圧部材10から真空吸引して、被処理物W
を強制冷却する。冷却が終了すれば、加圧部材20を上
方に開いて被処理物Wを取り出せばよい。
【0045】なお、図示した実施例では、下側の加圧部
材10に、温度センサ50を取り付けており、この温度
センサ50で検知された温度情報をもとにして、真空吸
引による強制冷却や蒸気加熱の開始終了などを制御す
る。プレス用カバー30として、この発明の実施例とな
る生地および比較例となる生地を具体的に製造し、その
性能を評価した。
【0046】性能評価試験は、以下の条件で行った。 〔伸 度〕プレス用カバー30から、幅40cm、長さ4
0cmの試料を裁断した。試料の中央に20cm×20cmの
測定面を残して、四方の端辺を、丸棒を通す筒状部分が
出来るように、それぞれ縫い合わせた。
【0047】試料に丸棒を通して、伸度試験に供した。
具体的には、試料に対して8kgの荷重を5分間加えたと
きの、原長(20cm)に対する伸度%を測定した。たて
方向、および、よこ方向について測定した。 〔通気性〕JIS−L1018フラジール形法に準じ
て、通気性(cm3/cm2 sec )を測定した。 〔プレス試験および張りつけ作業性試験〕プレス装置と
して、仕上げプレス機(AEGP155/156、AE
GP168−1/168−2:何れもアサヒ繊維機械工
業製)を用いた。固定側の加圧部材に、試験に供するプ
レス用カバーを取り付けた。取付時には、プレス用カバ
ーを25%程度伸ばした状態で、加圧部材にぴったりと
沿うように張りつけた。
【0048】この張りつけ作業の作業性を評価した。張
りつけ作業時に、シワやたるみが生じず容易に完了した
場合を「良好」と、プレス用カバーが伸び難かったり、
シワやたるみが生じ易かったり、作業時間が長くかかっ
た場合を「不良」と評価した。可動側の加圧部材を閉じ
て蒸気加熱を行い、温度センサで検出された温度が、5
0℃から70℃まで上昇するのに要した時間(上昇時間
sec)を測定した。その後、蒸気加熱を停止し、固定側
の加圧部材から真空吸引による強制冷却を行い、温度が
100℃から50℃まで下降するのに要した時間(下降
時間 sec)を測定した。 〔生地目テスト〕上記プレス試験と同じプレス装置を用
いて、礼服ズボンにプレス処理を施した。処理後の礼服
ズボンに対して、股下の縫合部に、プレス用カバーの生
地目が写っているか否かを評価した。 〔耐久性試験〕前記プレス試験と同じプレス装置および
処理条件で、実際のプレス加工に使用し、プレス用カバ
ーの交換が必要になるまでの処理回数を測定した。その
際の使用条件は、300〜450着/日程度であった。
その結果から、プレス用カバーを交換するまでの処理回
数が、15000回未満の場合を不良(×)、1500
0〜40000回の場合をやや良(△)、40000回
を超える場合を良(○)と評価した。
【0049】各試験に供したプレス用カバーは、下記の
ようにして製造した。 −実施例1− この実施例では、3枚サテン編地を使用する。ポリウレ
タン弾性糸210デニール、タイプ127(東レ・デュ
ポン株式会社製、登録商標「オペロン」)をバック(L
−3)に、ナイロン糸40デニール、13フィラメン
ト、タイプ7109(東レ株式会社製、登録商標「パレ
ル」)をフロント(L−1)およびミドル(L−2)に
用い、48ゲージのラッセル経編機(RSE4N、日本
マイヤー社製)を使用して、下記編成組織の編地を製造
した。 〔編成組織〕 フロント(ナイロン糸) L−1:20/46// ミドル(ナイロン糸) L−2:24/20// バック(ポリウレタン弾性糸) L−3:66/00// 図2に編成組織を図示している。
【0050】得られた編地を60℃でリラックスおよび
精錬処理した後、170℃で20秒のヒートセット処理
を行った。ついで、ウインス染色機を用いて、96℃で
45分間の染色処理を行い、最後に、165℃で25秒
の仕上げセット処理を行った。 −実施例2− この実施例では、斜子織地(マットウース)を使用す
る。タテ糸として、ポリウレタン弾性糸280デニー
ル、タイプ127(前記「オペロン」)と綿糸20/2
から作製されたSTYを用いた。STYの作製条件は、
通常のリング撚糸機を用いて、より数450T/M 、ドラ
フト比3.5倍であった。また、ヨコ糸には、綿糸20
/3を用い、より数350T/M 、ドラフト比2.5倍で
撚糸したものを用いた。これらのタテ糸およびヨコ糸を
用いて、通常の織成条件で、斜子織地(マットウース)
を得た。
【0051】得られた生機を、80℃でリラックスおよ
び精錬処理した後、170℃で30秒の中間セット処理
を行った。ついで、ウインス染色機を用いて、96〜9
8℃で60分間の染色処理を行い、最後に、165℃で
25秒の仕上げセット処理を行った。 −比較例1〜3− 比較例1では、丸編地を使用する。ポリエステル55
%、綿45%の混紡糸30sを用い、20ゲージ・イン
ターロック編で編地を製造し、通常の染色処理を施し
た。
【0052】比較例2では、ヨコストレッチ織地を使用
する。ポリウレタン弾性糸210デニール、タイプ12
7(前記「オペロン」)と綿糸20/2を、リング撚糸
してSTYを作製した。このSTYをタテ糸に、綿糸2
0/2をヨコ糸に打ち込んで織地を製造し、通常の晒加
工を施した。比較例3では、トリコット経編地を使用す
る。ポリウレタン弾性糸40デニール、タイプ127c
(前記「オペロン」)と、ナイロン糸50デニール、1
7フィラメント(前記「パレル」)を用い、28ゲージ
のシングルトリコット経編機(KS3、日本マイヤー社
製)で編成した。得られた編地を、通常の水着用に採用
されている染色処理を施した。但し、樹脂加工について
は省いた。表1、2には、各実施例および比較例の生地
の構成と、その評価結果を示している。
【0053】
【表1】 ───────────────────────────────── 実施例1 実施例2 ───────────────────────────────── 生地の構成 弾性糸 オペロン オペロン 210D T-127 280D T-127 交編織糸 ナイロン 綿20/2×オペロン280D(タテ) 70D/36F T-204 綿20/3×オペロン280D(ヨコ) 編織組織 4コースサテン 斜子織(マットウース) (パワーネット) 編織地 ラッセル経編地 斜子織地 ───────────────────────────────── 生地の特性・評価 伸度% たて 210 100 よこ 20 35 厚さ mm 0.67 1.25 目付 g/m2 325 370 張りつけ作業性 良好 良好 プレス試験 上昇時間 sec 26 28 下降時間 sec 10 11 生地目試験 写らない 写らない 通気性 24.6 28.5 cm3/cm2 sec 耐久性試験 ○ ○ ─────────────────────────────────
【0054】
【表2】 ────────────────────────────────── 比較例1 比較例2 比較例3 ────────────────────────────────── 生地の構成 弾性糸 無 し オペロン オペロン 210D T-127 40D T-127c 交編織糸 混紡糸 綿20/2 ナイロン T55C 30S 50D/17F T-204 編織組織 インターロック 平織(ヨコ伸び)ハーフ(2-WAY トリコット) 編織地 丸編地 ヨコ伸び平織地 トリコット経編地 ────────────────────────────────── 生地の特性・評価 伸度% たて 45 20 210 よこ 60 45 235 厚さ mm 0.72 0.85 0.69 目付 g/m2 235 325 237 張りつけ作業性 不良 不良 不良 プレス試験 上昇時間 sec 24 32 29 下降時間 sec 9 24 12 生地目試験 写らない 写る 写らない 通気性 107.9 30.4 81.2 cm3/cm2 sec 耐久性試験 × △ × ────────────────────────────────── 上記試験結果によれば、各実施例では、よこ方向の伸度
は小さく、それに比べて、たて方向の伸度が格段に大き
いため、加圧部材への張りつけ作業は、主にたて方向に
伸ばすようにして行うことで、極めて容易かつ短時間で
行え、シワやたるみが生じることもなかった。また、過
大な通気性を有さず、プレス試験、生地目試験の結果も
良好であった。
【0055】これに対し、比較例1では、たてよこ両方
向の伸度にあまり違いがなく、特に高伸縮方向の伸度が
小さいため、加圧部材の張りつけ作業時が難しく、シワ
やたるみを完全になくすのに長い時間がかかった。ま
た、プレス試験を繰り返すと、プレス用カバーにシワや
たるみが早期に生じ、被処理物にもシワの発生が認めら
れた。各実施例では、同じ回数の試験を繰り返しても、
何ら問題はなかった。
【0056】比較例2では、たてよこ両方向の伸度が何
れも小さく、加圧部材への張りつけ作業は極めて困難で
あった。また、プレス処理の加圧時における伸びが少な
いため、被処理物のシワのばしや折り目の形成作用が十
分に発揮されず、プレス加工の仕上がりが劣るものであ
った。生地目試験では、プレス用カバーの生地目が写っ
てしまった。これは、生地の伸びが少ないために、張り
つけ時に織目が拡げられてしまい、生地の表面に織目の
凹凸が大きく表れており、この大きな凹凸がそのまま被
処理物の表面に写ったものと考えられる。また、加熱時
の温度上昇時間および冷却時の温度下降時間が長くかか
っているため、その間にプレス用カバーの生地目が被処
理物の表面に写ってしまったものと考えられる。
【0057】比較例3では、たて方向の伸度は十分であ
るが、よこ方向の伸度が、それよりもさらに大きいた
め、加圧部材への張りつけ作業時に、一方向に伸ばすと
これと直交する方向にシワが生じるなどして、張りつけ
作業が行い難かった。
【0058】
【発明の効果】以上に述べた、この発明にかかるプレス
用カバーは、少なくとも一部に耐熱性弾性糸を含む弾性
糸混キャンバス生地からなり、たてよこの何れか一方の
方向の伸度を大きく、これと直交する他の方向の伸度を
小さく設定していることにより、プレス用カバーをプレ
ス装置の加圧部材に張りつける作業が、非常に行い易く
なる。
【0059】また、通気性を低く設定しておくことによ
り、真空吸引による強制冷却あるいは蒸気加熱の効率が
向上し、エネルギー消費を抑えることができ、作業能率
の向上および作業コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施例を示すプレス装置の概略構
造図
【図2】 編地の1例を表す編成組織図
【符号の説明】
10、20 加圧部材 30 プレス用カバー W 被処理物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06F 83/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレス装置の加圧部材表面を覆うカバー
    であって、少なくとも一部に耐熱性弾性糸を含む弾性糸
    混キャンバス生地からなり、たてよこ両方向のうち一方
    向の伸度が65%以上、他方向の伸度が40%以下であ
    り、通気性が70cm3/cm2 sec 以下であることを特徴と
    するプレス用カバー。
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