JP3139641B2 - 情報記録媒体およびこれを用いる情報記録再生方法 - Google Patents

情報記録媒体およびこれを用いる情報記録再生方法

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JP3139641B2 JP04179559A JP17955992A JP3139641B2 JP 3139641 B2 JP3139641 B2 JP 3139641B2 JP 04179559 A JP04179559 A JP 04179559A JP 17955992 A JP17955992 A JP 17955992A JP 3139641 B2 JP3139641 B2 JP 3139641B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ディスク等の情報記
録媒体およびこれを用いる情報記録再生方法に係り、特
に多層膜構造を用いた波長多重情報記録媒体を用いて、
光学的分解能以下の記録密度で記録された情報を再生可
能な情報記録媒体およびそれを用いた情報記録再生方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光ディスク装置において、再生限
界以下の微小な信号を再生する技術としては、テクニカ
ルダイジェスト・オブ・オプティカル・データ・ストレ
ッジ・トピカル・ミーティング 1991 ボリューム5 (T
echnical Digest of OpticalData Storage 1991 V
olume 5)pp.112-115(講演番号TuB−3)および同pp.
116-119(講演番号TuB−4)に示される方式がある。
これは 複数層の光磁気記録膜を用い、情報記録層以外
に周囲の情報を「マスク」する層を設けていることに特徴
がある。再生光照射により温度が上昇した部分に、情報
記録層に記録されている情報(ビット)が現われるので、
記録密度が高くなった場合においても隣接するビットと
の干渉が抑制され、光学的分解能が向上することにな
る。一方、高密度化の手段としては、「S.Arakawa et
al,CLEO'86,F13,SanFrancisco,1986)Technical
Digest pp.358」にあるように、記録再生媒体を多層構
造にし、各層に光スポットを照射することで、各層で記
録再生を行い、多重記録する方式が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術のうち前
者では、記録媒体が光磁気ディスクに限定されている。
また、「マスク」の層に現われた情報は、再生スポットが
通過した後も残っているため、隣接するビットのうち、
再生前のビットの影響は抑制できるものの、再生後のビ
ットの影響は依然として残ることになる。これに対して
は、本出願人が、先に特願平3-199084号「情報記録媒体
およびそれを用いた情報記録再生装置」に提案した如
く、可飽和吸収媒体等の 光入射強度に対して非線形な
透過率特性を有する非線形透過層を記録再生媒体の光入
射側に設けるという解決方法がある。また、上記従来技
術のうち後者では、焦点位置を変更して、異なる波長の
光による多重記録を行うようにしているが、現実問題と
しては、焦点位置の調整には難かしさがあって、光学的
分解能の向上が要望されている。本発明は上記事情に鑑
みてなされたもので、その目的とするところは、従来の
技術における上述の如き問題を解消し、波長多重多層記
録において、再生前後両方のビットの影響を抑制し、更
に光学的分解能を向上させることが可能な情報記録媒体
およびこれを用いる情報記録再生方法を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、異
なる波長λi(i=1,2,・・・・n)に対して記録再生を行
う記録再生層をn層に多層構造にした情報記録媒体であ
って、該情報記録媒体は、前記各波長λiについて、入
射光強度に対して非線形な透過率特性を有する非線形透
過層を含むことを特徴とする情報記録媒体、および、上
述の情報記録媒体を用いる情報記録再生方法であって、
該情報記録媒体の前記各記録再生層に、当該記録再生層
に対応する異なる波長λiの光を照射して情報記録を行
い、前記情報記録媒体の前記各記録再生層に、当該記録
再生層に対応する異なる波長λiの光を照射し、その反
射光または透過光により記録情報の再生を行うことを特
徴とする情報記録再生方法によって達成される。
【0005】
【作用】非線形光透過材料には、照射光強度またはエネ
ルギー密度が一定値以上になると吸収係数が減少し、光
を透過させる性質を有する吸収型材料と、照射光強度ま
たはエネルギー密度が一定値以上になると屈折率が変化
することで透過率が増加する分散型材料の2種類があ
る。本発明に係る情報記録媒体(以下、「波長多重多層情
報記録媒体」ともいう)においては、この非線形光透過材
料から成る非線形光透過層を、波長多重多層情報記録媒
体の各層の情報記録層近傍に配置する。この非線形光透
過層は、各層に対応した波長の光に対して非線形透過特
性を持ち、他の層についての波長の光を透過するので、
他の層の記録再生には影響を与えることがない。上述の
如く構成された波長多重多層情報記録媒体においては、
非線形光透過層を通して情報記録層に光を照射すると、
ある層において、照射光強度が一定値以下の領域は光が
透過しないため、情報記録層の情報は記録または再生さ
れない。そして、照射光強度が一定値以上になると照射
光は非線形光透過媒体を透過するため、情報記録層の情
報が再生されることになる。上述の非線形光透過層の振
舞いは、主に照射される光強度によって起きるため、光
強度が一定値以下の領域、また、光の照射されない領域
は光学的に不透明となる。従って、本発明によれば、各
層について、情報再生のために光を照射した部分のみ情
報記録層の情報を読み出すことになり、波長多重を行
い、かつ、光学的分解能以下の微小信号を記録および再
生することが可能になる。
【0006】
【実施例】以下、非線形光透過による高分解能に関して
図面に基づいて説明した後、本発明の実施例を詳細に説
明する。高分解能読み出しの原理は 前述の先願(特願平
3-199084号)の明細書および図面に記載されている通り
である。図2に、上記先願中に示されている情報記録媒
体1および情報信号再生方法の例を示す。ここでは、記
録媒体基板上に上述の非線形光透過材料の吸収型の一つ
である可飽和吸収膜2,情報記録層3および保護層(図
示されていない)を積層した構成をとっている。図示さ
れていない光源からの光束は、絞り込みレンズ4によっ
て記録媒体基板側から可飽和吸収膜2を通して、情報記
録層3に絞り込まれ、情報の記録が行われる。
【0007】次に、情報信号再生方法について説明す
る。なお、情報記録層3には、情報記録トラック中心に
沿って、情報ピット5nが記録されているものとする。
光源からの光束は、絞り込みレンズ4により情報記録層
3に絞り込まれる。このとき、絞り込まれたスポット分
布6スポット径Dは、一般に、次式で表わされる。な
お、ここで、上記スポット分布6スポット径Dは、光強
度最高値に対してスポット強度が1/e2となるスポッ
ト直径を示すものである。 D=λ/NA 但し、λは照射光波長、NAは絞り込みレンズ4の開口
数である。従来の再生方法では、情報ビットの間隔がス
ポット径の約1/2になると情報ビットは分解されなく
なる。
【0008】ここで、可飽和吸収体の一例として、図3
に示すような吸収スペクトルを持った色素:Oxazine75
0を示す。この色素では、波長670nm付近に吸収のピーク
を持ち、入射強度があるレベルを超えると、吸収係数が
図のように減少する。この関係を入射光強度と出射(透
過)光強度の関係に表わしたものを図4に示す。上述の
非線形光透過特性は、光束が可飽和吸収膜2を透過し、
情報記録膜3に絞り込まれると、情報記録層3およびそ
の付近の光強度Iは、図4に示すようないわゆるガウス
型に近い分布7をとる。本発明によれば、光強度が一定
の値Ith以下の領域では、可飽和吸収膜2によって光が
吸収される。また、光強度が一定の値Ith以上の領域で
は、光が可飽和吸収膜2を透過する。このため、光照射
領域の中央に検出可能領域が発生し、この部分にある情
報記録層3の情報ビットのみが検出可能となる。すなわ
ち、実効的光スポット径が、DからD'に小さくなる。
【0009】上述の閾値Ithは、可飽和吸収膜2の厚
さ,材質およびその濃度等を調整することにより、適当
な値に設定可能である。従って、光照射領域よりも充分
小さい検出可能領域を形成することができる。これによ
り、従来、高密度記録時に問題となっていた前後ビット
の影響を除去し、光学的分解能以下の微小ビットを再生
することが可能となる。図1に、本発明の第1の実施例
としての、波長多重記録媒体の各層について実効的スポ
ットを小さくし、高密度記録を可能とする方法を示す。
ここでは、波長多重記録媒体の1例として、2波長多重
を行うために、前述の「マスク」14,15用の材料とし
て、2種の可飽和吸収体を用いた。なお、図1(a)は、
本実施例に係る情報記録媒体の構成を示す要部断面図、
同(b)および(c)は、上述の2種の可飽和吸収体の飽和
前後の吸収スペクトルを示した。
【0010】また、図1中の記録層12,13用のフォ
トクロミック材料の吸収スペクトルを、図5,図6に示
す。まず、図5に示すフォトクロミック材料は、スピロ
ピラン化合物であり、水銀ランプ等の紫外線照射によっ
て初期化され、示されるように 波長700nm付近に吸収ピ
ークを持つ。ここで、680nmの波長の 半導体レーザを用
い、記録再生を行う。記録時は強く照射することによっ
て、吸収スペクトル8は吸収スペクトル9のように変化
し、吸収更には反射率の変化によって、データの有無を
記録する。再生時は微弱光を照射し、吸収または反射率
の変化を検出する。一方、図6に示す媒体は、ジアリー
ルエテンであり、Arレーザの波長488nmの光照射によっ
て初期化され、波長600nmに吸収ピークを持つ 吸収スペ
クトル10が得られる。
【0011】ここで、YAGレーザの第2次高調波光で
ある波長532nmの光源を用い、記録再生を行う。記録時
は強く照射することによって、吸収スペクトル10は吸
収スペクトル11のように変化し、吸収更には反射率の
変化によって、データの有無を記録する。また、再生時
は、微弱光を照射し、吸収または反射率の変化を検出す
る。この2種の媒体を、例えば、二酢酸セルロースをバ
インダとして、図1に示すように(スピンコート法によ
って)、基板上に記録層12,13を 200nmの膜厚で積
層する。また、図1に示すように、各波長λ1=532nm,
λ2=680nmにおいて、非線形光透過特性を示す材料、例
えば、前者の波長に対してはローダミン6G,後者に対
しては銅フタロシアニンを用い、バインダとして二酢酸
セルロースを用いる。
【0012】これらを、スピンコート法によって、各記
録層12,13の光入射側に非線形透過層14,15と
して、膜厚200nmで塗布する。このような 多層構造にす
ることで、2波長2多重記録を行い、かつ、各層面で、
光学的分解能以上の高分解能読み出しが可能となった。
次に、本発明の第2の実施例を、図7に示す。本実施例
は、各波長に対応した非線形透過材料を混合して、一つ
の層16として、図で記録層12,13の積層の上に、
スピンコート法で塗布する。この場合、記録層12,1
3と非線形透過層16の厚さの和は、読み出しスポット
の焦点深度内であることが望ましい。第2の実施例の特
徴は、層数が減り、ディスク構造を簡易にできることで
ある。
【0013】次に、第3の実施例を、図8に示す。本実
施例においては、記録層とその下の記録層の非線形透過
層を1つの層にすることで、ディスク構造を簡易にする
ものである。ここでは、波長λ=532nmに対する記録媒
体である ジアリールエテンと第3層19の記録層に対
する非線形透過材料である銅フタロシアニンとを、二酢
酸セルロースをバインダとして混合し、スピンコート法
で塗布した。このように、お互いの波長領域に大きい吸
収のない材料を適宜混合することにより、個々の特性を
保持しつつ、各記録層での高分解能再生を、簡易なディ
スク構造で達成することができた。
【0014】なお、上記各実施例はいずれも本発明の一
例を示すものであり、本発明はこれらに限定されるべき
ものではないことは言うまでもないことである。例え
ば、可飽和吸収体としては、C.C.Lenzoff.et,al.,
「Phthalocyanines Propertiesand Application」(V.
C.H.Publishers,Inc.,N.Y.1989年刊行)や、J.
A.Armstrong,「Saturatable Optical Absorption
in Phthalocynine Dyes」(J. of Applied Physics
,vol.36,No.2,1965)に示される材料を使用すること
できる。
【0015】
【発明の効果】以上、詳細に説明した如く、本発明によ
れば、波長多重多層記録において、再生前後両方のビッ
トの影響を抑制し、更に光学的分解能を向上させること
が可能な情報記録媒体およびこれを用いる情報記録再生
方法を実現できるという顕著な効果を奏するものであ
る。
【0016】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る情報記録媒体の構
成を示す図である。
【図2】非線形透過光記録再生方法の原理を説明するた
めの図である。
【図3】可飽和吸収体の吸収スペクトルの例を示す図で
ある。
【図4】非線形応答特性による情報再生方法を説明する
図である。
【図5】スピロピラン化合物の吸収スペクトルを示す図
である。
【図6】ジアリーエテンの吸収スペクトルを示す図であ
る。
【図7】本発明の第2の実施例に係る情報記録媒体の構
成を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施例に係る情報記録媒体の構
成を示す図である。
【符号の説明】
1:記録媒体、2:可飽和吸収体、3:記録層、4:絞
り込みレンズ、5:情報ピット、6:入射面スポット分
布、7:出射面スポット分布、8〜11:吸収スペクト
ル、12,13,17〜19:記録層、14〜16:非線
形透過層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 正彦 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 若林 康一郎 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 平3−292632(JP,A) 特開 平3−125348(JP,A) 特開 昭63−214937(JP,A) 特開 平2−96926(JP,A) 特開 昭59−210543(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/24 G11B 7/004

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる波長λi(i=1,2,・・・・n)に対
    して記録再生を行う記録再生層をn層に多層構造にした
    情報記録媒体であって、該情報記録媒体は、前記各波長
    λiについて、入射光強度に対して非線形な透過率特性
    を有する非線形透過層を含むことを特徴とする情報記録
    媒体。
  2. 【請求項2】 前記非線形透過層を、それぞれの層が前
    記各波長λi(i=1,2, ・・・・ n)に対応するn個の層で
    構成するとともに、前記各波長λi(i=1,2, ・・・・ n)
    に対応する非線形透過層を、同じ波長λi(i=1,2,
    ・・・ n)に対応する記録再生層の光入射側に挿入した構造
    とすることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記非線形透過層を、前記各波長λi
    (i=1,2, ・・・・ n)に対応する非線形透過材料を混合し
    材料で構成したことを特徴とする請求項1記載の情報
    記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記n層の記録再生層のうち、光入射側
    からi番目の記録再生層に用いる材料が、(i+1)番
    目の記録再生層の波長λ(i+1)に対して非線形な透
    過率特性を有することを特徴とする請求項1記載の情報
    記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の情報記
    録媒体を用いる情報記録再生方法であって、該情報記録
    媒体の前記各記録再生層に、当該記録再生層に対応する
    異なる波長λi(i=1,2,・・・・n)の光を照射して情報
    記録を行い、前記情報記録媒体の前記各記録再生層に、
    当該記録再生層に対応する異なる波長λiの光を照射
    し、その反射光または透過光により記録情報の再生を行
    うことを特徴とする情報記録再生方法。
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