JP3136686B2 - 熱電素子及び光・熱発電装置 - Google Patents

熱電素子及び光・熱発電装置

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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

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  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱電素子及びこの熱電
素子を使用した光・熱発電装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱電素子は、p型半導体とn型半導体を
接合させてそのゼーベック効果を利用し、熱エネルギを
電気エネルギに変換するものとしてよく知られている。
この熱電素子を製造するには、溶解法のほか、粉末焼結
法によって成形する方法(例えば「熱電気変換素子の製
造方法」,特開昭61−65487号公報)、溶射膜を
適宜重ね合わせる方法(例えば「熱発電素子の製造方
法」,特開昭60−126878号公報)などが提案さ
れている。
【0003】またこの熱電素子に、光エネルギを電気エ
ネルギに変換する光電変換素子を複合させた装置も提案
されており、自然エネルギ(太陽光線など)の光及び熱
を有効に利用するものとして注目すべきものである
(「半導体光電池・熱発電器複合素子」,特開昭57−
115877他)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで熱電素子は、
その高温端(p−n接合部)が高温に触れたときに直ぐ
に昇温するという、熱感応速度が大きなものであること
が求めらる。また実用上その起電力が大きいことが必要
であり、そのためにp−n接合部における界面積が大き
く、且つ低温端との温度差を大きくできることが理想で
ある。
【0005】しかしながら、これらの要件を全て満たす
ことは難しかった。例えば前記溶解法もしくは粉末焼結
法によるバルク(かたまり)形状の熱電素子では、高温
端と低温端との温度差はある程度得られるが、高温端全
体が速やかに昇温し難いと共に、界面積もその形状(断
面積)で略決定してしまう。また薄膜で構成された熱電
素子は、高温端はすぐに昇温するが、熱容量が小さいた
めに全体も直ぐに昇温してしまい、低温端との温度差が
大きく取れないという問題があった。
【0006】一方、熱電素子に光電変換素子を複合させ
た装置においては、構造が複雑で全体の高さ(厚み)が
大きくなりがちであり、その製造が困難であると共に、
設置場所など取り扱いに制限があるという問題があっ
た。
【0007】そこで本発明は、上記事情に鑑み、熱感応
速度が大きく、且つ起電力が大きい熱電素子を、また構
造が簡単で汎用性に富む光・熱発電装置を提供すべく創
案されたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、p型半導体シ
ート及びn型半導体シートの端部同士が接合され、且つ
これらシートと同物質であってシート表面にそれぞれ付
着された粉体同士が接合されて成るp−n接合部を備え
たものである。
【0009】また本発明は、上記構成を利用した装置で
あり、p型半導体シート及びn型半導体シートの端部同
士が接合され、且つこれらシートと同物質であってシー
ト上面にそれぞれ付着された粉体同士が接合されて成る
p−n接合部を有した熱電素子と、この熱電素子の上面
側に重ねられ赤外線よりも短波長側の光エネルギを電気
エネルギに変換すると共にそれ以外の長波長側の光線を
透過させる半導体薄膜で成る光電変換素子とを備えたも
のである。
【0010】
【作用】上記構成によって、p−n接合部は表面積の実
質的な拡張により高温に触れたときに直ぐに昇温し、熱
エネルギを電気エネルギに変換する。その界面積は大き
くなり、さらに低温端となるシートの他端側との温度差
も大きくなる。
【0011】また上記装置によって、光電変換素子は赤
外線よりも短波長側の光エネルギを電気エネルギに変換
し、熱電素子が光電変換素子を透過した長波長側の光線
の熱エネルギを電気エネルギに変換する。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に従って説
明する。
【0013】図1は、本発明に係わる熱電素子の一実施
例を示したものである。この熱電素子は、そのp−n接
合部1が、p型半導体シート2とn型半導体シート3と
の端部同士が接合されて形成されていると共に、これら
シート2,3の表面に、p型半導体シート2にはp型半
導体の粉体4が、またn型半導体シート3にはn型半導
体の粉体5がそれぞれ付着されている。そしてこれら粉
体4,5同士も端部位置にて互いに接合されている。ま
た低温端6,7となるシート2,3の他端側は適宜延長
され、p−n接合部1が凸となるようにU字状に形成さ
れていると共に、p−n接合部1以外の区間のシート表
面側には、それぞれ同物質のバルク材8,9が接合され
ている。すなわちp−n接合部1の粉体4,5は、両側
からバルク材8,9で挟まれるように保持されている。
また低温端には負荷10が結線されて、所定の起電力を
得るようになっている。
【0014】この熱電素子を製造するに際しては、図2
に示すように、まずp型半導体シート2の一端側に、適
宜な区間に亘ってp型半導体の粉体4を付着させる。こ
の付着は、例えばp型半導体シート2の表面に接着剤を
塗布しておき、p型半導体の粉体4をこれに散布して隙
間無く並べ、余った粉体4を払い出すようにすればよ
い。この付着が不充分である場合は、プラズマ焼結法、
スポット溶接法、加圧(かしめ)、ロー付け、超音波接
合、拡散接合などの接合工程を付加する。またn型半導
体シート3にも同様にして、n型半導体の粉体5を付着
させる。
【0015】次に図3に示すように、両シート2,3の
一端側を突き合わせて、粉体4,5同士及びシート2,
3の端部同士を接合させる。そして図4に示すように、
それぞれのシート2,3の他端側に、p型半導体のバル
ク材8及びn型半導体のバルク材9をそれぞれ接合す
る。その後これらシート2,3をバルク材8,9ごと折
り曲げて、所定の形状にする。なお前記接合の順序とし
ては、先にシート2,3同士を接合させ、その後に粉体
4,5及びバルク材8,9を載置させてもよい。
【0016】このように構成することで、p−n接合部
1の界面積が大きくなる。すなわち、図5(A)に示す
ように、バルク法(粉末焼結法,溶解法)により成形し
たp−n接合部11では、微視的にみても、p型半導体
12の端面とn型半導体13の端面とが直線状に接合し
ているので、その端面積がそのまま接合界面(図中破線
Qにて位置を示す)となるが、図5(B)の本発明の構
成では、接合端部付近の粉体4,5の個々の粒子の表面
全体が界面(図中破線R)となって複雑に入り組むこと
となり、単位体積当りの界面積が大きくなる。従ってキ
ャリア(電子及び正孔)の移動速度が大となり、起電力
を大きなものにできる。そしてp−n接合部に、図5中
矢印Hにて示したような熱が作用したときに、バルク形
状のものは熱に晒されている側の表面だけが加熱される
ことになるが、本発明のものは熱が粒子と粒子の間の隙
間を通って反対側の面まで直ちに到達して、高温に晒さ
れる面が実質的に拡大されることとなり、熱感速度が大
になる。このことは、熱電素子を熱センサとして使用す
る場合に特に有効である。そして図1で示した低温端側
6,7は、シート2,3を適宜延長することで高温端
(p−n接合部1)との温度差が得られるものであり、
本実施例ではバルク材8,9を付設したことで、さらに
温度差の確保及び構造強度の向上を図ることができる。
【0017】次に図6によって、本発明に係わる光・熱
発電装置の一実施例を説明する。この装置は、前記実施
例の熱電素子の上面側(粉体4,5側)に、光エネルギ
を電気エネルギに変換する半導体薄膜21で成る光電変
換素子が積層されて構成されている。この種の半導体
は、各々禁制帯幅(エネルギーギャップ)以上のエネル
ギーを有する波長の光のみ吸収し、光電変換機能を発揮
するものである。すなわち、ある波長より長い波長の光
はその半導体にとってエネルギが小さいため、光電変換
に寄与しない。例えば可視光線を対象とする半導体素材
としては、Si,Ge,CdCe,GaAs,CdSな
どがあり、近赤外線(波長0.8 〜2 μm)のものはIn
GaAs,InGaAsPなど、中赤外線(波長2 〜8
μm)のものはPbS,InSb,InAsなど、さら
に遠赤外線(波長8 μm以上)のものはHgCdTe,
Ge(Au),Ge(Hg),Si(Ga)などがあ
る。本発明の半導体薄膜21は、赤外線よりも短波長側
の光エネルギを電気エネルギに変換し、それ以外の長波
長側の光線を透過させるものであって、設置条件などに
より、上記半導体素材のうちから適宜選択されるもので
ある。
【0018】この半導体薄膜21には負荷22が結線さ
れていると共に、本実施例にあっては、半導体薄膜21
と粉体4,5との間に、半導体薄膜21を透過した赤外
線を吸収するための集熱板23が介設されている。この
集熱板23は、例えば高分子物質にて成形することがで
きる。
【0019】このように構成したことにより、太陽光線
に上面が向くように設置されると、まず半導体薄膜21
が太陽光線のうちの赤外線よりも短波長側の光エネルギ
を電気エネルギに変換する。そして半導体被膜21を透
過した長波長側の光線により集熱板が加熱され、その熱
が熱電素子のp−n接合部1に伝達されて、所望の発電
が為される。
【0020】従って光の対象波長範囲を広範なものにで
き、太陽エネルギを有効に利用することができる。な
お、禁制帯幅Egより大きなエネルギーの光(Egに相
当する波長より小さな波長の光)のエネルギーからEg
を引いた分が、余って(光電効果に寄与せず)太陽電池
自体を昇温させる。この熱も熱電素子が利用する。即
ち、太陽電池の昇温をおさえる役目(ヒートシンク)も
果す。これを図7で示すと、ゾーンが本発明の太陽電
池の光電変換の使われるエネルギーであり、ゾーンが
太陽電池自体の発熱に使われるエネルギーである。そし
てゾーンと、ゾーンの一部が熱電素子の熱電変換に
使われるエネルギーである。これは太陽電池の発熱分が
全部熱伝素子へ伝わらないからである。なお一般の太陽
電池の場合は、光電変換がゾーン、太陽電池の発熱が
ゾーン+、熱電変換がゾーン+の一部である。
【0021】そして本発明の構成は極めて簡単なもので
あり、フレキシブルであるために、例えばビルディング
の外表面など、大面積の或いは曲面(凹凸面)のある場
所にも容易に設置でき、汎用性の向上が達成されるもの
である。またビル壁に設置した場合、低温端6,7を室
内に延出させることができるため、低温端6,7を室内
温度に保つことで外方の高温端側との温度差を得ること
ができる。さらに製造工程も、薄膜法で作られたフィル
ム状の光電変換素子の裏側に粉体シート型熱電素子を貼
り合わせるだけでよく、簡易なものとすることができ
る。
【0022】なお以上実施例では熱電素子の具体的な素
材については省略したが、シート状に成形可能な公知の
p型及びn型半導体から選択すればよく、例えばBi−
Te系の半導体を採用することができる。
【0023】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、次のよう
な優れた効果を発揮する。
【0024】(1) 請求項1記載の構成によれば、熱感応
速度を大きく、且つ起電力を大きくすることができ、素
子性能向上が達成される。
【0025】(2) 請求項2記載の構成によれば、極めて
簡単でフレキシブルな構造にて、広範囲な波長域の太陽
光線の有効利用が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる熱電素子の一実施例を示した側
面図である。
【図2】図1の製造工程を説明するための側面図であ
る。
【図3】図2の次の工程を示した側面図である。
【図4】図3の次の工程を示した側面図である。
【図5】図1の作用効果を説明するためのp−n接合部
の拡大概念図であり、(A)は従来の熱電素子を示した
図、(B)は本発明の熱電素子を示した図である。
【図6】本発明に係わる光・熱発電装置の一実施例を示
した側面図である。
【図7】図6の作用を説明するための光の波長と光のエ
ネルギーとの関係図である。
【符号の説明】 1 p−n接合部 2 p型半導体シート 3 n型半導体シート 4 p型半導体の粉体 5 n型半導体の粉体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 35/04 H01L 31/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 p型半導体シート及びn型半導体シート
    の端部同士が接合され、且つこれらシートと同物質であ
    って該シート表面にそれぞれ付着された粉体同士が接合
    されて成るp−n接合部を備えたことを特徴とする熱電
    素子。
  2. 【請求項2】 p型半導体シート及びn型半導体シート
    の端部同士が接合され、且つこれらシートと同物質であ
    って該シート上面にそれぞれ付着された粉体同士が接合
    されて成るp−n接合部を有した熱電素子と、該熱電素
    子の上面側に重ねられ赤外線よりも短波長側の光エネル
    ギを電気エネルギに変換すると共にそれ以外の長波長側
    の光線を透過させる半導体薄膜で成る光電変換素子とを
    備えたことを特徴とする光・熱発電装置。
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