JP3136437U - ガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズル - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接ラインや溶接作業を止めることなく、長時間連続して溶接することができるガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズルを提供する。
【解決手段】溶接トーチ本体に、溶接ワイヤーを送出するためのコンタクトチップを囲むように取り付けられるガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズルにおいて、溶接トーチ本体に取り付けられる基部ノズル4と、この基部ノズル4の先端に交換自在に取り付けられるフッ素樹脂製の先端ノズル5とから構成する。なお、先端ノズル5を基部ノズル4の先端に挿入して、先端ノズル5を基部ノズル4に取り付けるように構成することが好ましい。
【選択図】 図1

Description

ガスシールドアーク溶接をする際に用いられるガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズルに関するものである。
従来から、自動車部品等の組立の際に、MAG溶接やMIG溶接等のガスシールドアーク溶接が利用されている。特許文献1には、ガスシールドアーク溶接方法の技術が開示されている。ガスシールドアーク溶接に用いられる溶接トーチは、図2に示されるように、ソリッドワイヤーが送り出されるコンタクトチップ50と、このコンタクトチップ50を保持するチップホルダ51と、コンタクトチップ50を包容するように配設された筒状のシールドノズル52と、シールドノズル52をチップホルダ51に取り付けるノズルホルダ53とから構成されている。ガスシールドアーク溶接は、連続的に送り出されるソリッドワイヤーに、コンタクトチップ51を介して大電流を流して、前記ソリッドワイヤーと被溶接部材との間でアークを発生させ(放電させ)、その際に発生する熱により、前記ソリッドワイヤーや被溶接部材を溶かして、被溶接部材を溶接する溶接方法である。溶接を行う際には、溶接箇所と空気とが接触することによるブローホールの発生を防止するために、チップホルダ2に形成されたガス供給口51aから、シールドノズル52内にCOやアルゴン等の不活性ガスを供給し、シールドノズル52の先端から、溶接箇所に不活性ガスを供給して、溶接箇所と空気との接触を防ぐようにしている。このように、シールドノズル52は、不活性ガスが拡散することを防止し、確実に溶接箇所に不活性ガスを供給するために、溶接トーチに取り付けられている。
溶接時には溶融金属の微粒子であるスパッタが発生して、溶接箇所から飛散する。そこで、従来では、鉄を溶接する場合には、シールドノズル52を、鉄とは性質の異なる金属である銅や銅合金等で構成して、シールドノズル52へのスパッタの付着を抑制していた。しかしながら、この場合であっても、スパッタがシールドノズル52内に付着して蓄積していた。シールドノズル52内に付着したスパッタが蓄積すると、シールドノズル52内の不活性ガスの流れが悪くなり、溶接箇所にブローホールが発生してしまう。そこで、溶接ラインや溶接作業を止めて、作業者が定期的にシールドノズル52内に付着したスパッタを除去していた。被溶接物や溶接条件によって異なるが、従来では30分〜1時間の間隔で、作業者がシールドノズル52内に付着したスパッタを除去していた。このように、シールドノズル52内に付着したスパッタを除去するためには、溶接ラインや溶接作業を止める必要があり、生産効率が悪化してしまうという問題があった。
特開2004−249323
本考案は上記のような溶接工程における問題点を解決し、溶接ラインや溶接作業を止めることなく、長時間連続して溶接することができるガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズルを提供する。
上記課題を解決するためになされた本考案は、溶接トーチ本体に、溶接ワイヤーを送出するためのコンタクトチップを囲むように取り付けられるガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズルにおいて、溶接トーチ本体に取り付けられる基部ノズルと、この基部ノズルの先端に交換自在に取り付けられるフッ素樹脂製の先端ノズルとから構成したことを特徴とする。
なお、先端ノズルを基部ノズルの先端に挿入して、先端ノズルを基部ノズルに取り付けるように構成することが好ましい。
また、先端ノズルの外面及び基部ノズルの内面の断面形状を円形状とするとともに、先端ノズルの外径と基部ノズルの内径とを殆ど同一にすることが好ましい。
また、基部ノズルの先端に外周面と内周面とを連通する取付ネジ穴を形成し、この取付ネジ穴に取付ネジを螺着させて、先端ノズルを基部ノズルに固定することが好ましい。
溶接トーチ本体に、溶接ワイヤーを送出するためのコンタクトチップを囲むように取り付けられるガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズルにおいて、溶接トーチ本体に取り付けられる基部ノズルと、この基部ノズルの先端に交換自在に取り付けられるフッ素樹脂製の先端ノズルとから構成したので、フッ素樹脂と金属が溶解したスパッタとは全く性質の異なる材質であり、また、フッ素樹脂の摩擦係数は極めて低いことから、先端ノズルにスパッタが付着することを完全に防止することが可能となる。このため、溶接ラインや溶接作業を止めることなく、長時間連続して溶接することが可能となる。
なお、先端ノズルを基部ノズルの先端に挿入して、先端ノズルを基部ノズルに取り付けるように構成すると、作業者が交換する先端ノズルを引き抜くだけで、先端ノズルを取り外すことが可能となり、また、先端ノズルを基部ノズルの先端を挿入するだけで、先端ノズルを取り付けることが可能となり、先端ノズルの脱着作業が迅速となり、溶接ラインの停止時間や溶接作業の休止時間が短くなり、生産効率を向上させることが可能となる。
また、先端ノズルの外面及び基部ノズルの内面の断面形状を円形状とするとともに、先端ノズルの外径と基部ノズルの内径とを殆ど同一にすると、簡単な構造で、先端ノズルを基部ノズルに取り付ける構造を実現することが可能となる。
また、基部ノズルの先端に外周面と内周面とを連通する取付ネジ穴を形成し、この取付ネジ穴に取付ネジを螺着させて、先端ノズルを基部ノズルに固定する構造にすると、確実に先端ノズルを基部ノズルに固定することが可能となる。また、取付ネジを取付ネジ穴に螺着させるだけで、先端ノズルを基部ノズルに固定することができ、先端ノズルの脱着作業を迅速に行うことが可能となる。
以下に、図面を参照しつつ本考案のガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズルの好ましい実施の形態を示す。図1はガスシールドアーク溶接トーチの説明図である。図1において、1はコンタクトチップ、2はチップホルダ、3はノズルホルダ、4は基部ノズル、5は先端ノズルである。本考案では、溶接トーチ本体は、チップホルダ2、ノズルホルダ3、コンタクトチップ1とから構成され、前記溶接トーチ本体に取り付けられるシールドノズルは、基部ノズル4と先端ノズル5とから構成されている。
コンタクトチップ1は、図1に示されるように、略砲弾形状をしている。コンタクトチップ1は、導電性に優れた、銅やクロム銅・ベリリウム銅等の銅合金で構成されている。コンタクトチップ1には、軸線方向に向かってワイヤー送出口1aが貫通形成されている。コンタクトチップ1は、パイプ形状をしたチップホルダ2の先端に取り付けられている。
チップホルダ2は、導電性に優れた、銅や銅合金で構成されている。チップホルダ2の基端部分の外周面には、ネジ部2aが螺刻されている。ノズルホルダ3は略円筒形状をしている。ノズルホルダ3の先端部分の外周面は、他の部分に比べて外径が小さくなっていて、取付部3aとなっている。ノズルホルダ3の基端側の内周面には、ネジ部3bが螺刻されている。チップホルダ2がノズルホルダ3内に挿入されるように、ノズルホルダ3のネジ部3bとチップホルダ2のネジ部2aとが螺合して、ノズルホルダ3がチップホルダ2に取り付けられている。
基部ノズル4は、円筒形状をしている。基部ノズル4は、本実施形態では、銅で構成されている。基部ノズル4の内径は、ノズルホルダ3の取付部3aの外径よりも僅かに大きくなっている。ノズルホルダ3の取付部3aを基部ノズル4に挿入するようにして、基部ノズル4がノズルホルダ3の取付部3aに取り付けられている。この状態では、基部ノズル4は、チップホルダ2を囲むようになっている。
ノズルホルダ3を絶縁体であるベークライト等の樹脂等で構成することにより、チップホルダ2と、基部ノズル4を絶縁し、被溶接部材と基部ノズル4とが短絡することを防止している。なお、ノズルホルダ3を、絶縁体を金属部材で挟むように構成しても差し支えない。
先端ノズル5は、円筒形状をしている。先端ノズル5は、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素樹脂製パイプで構成されている。先端ノズル5の外径は、基部ノズル4の内径と殆ど同じ寸法になっている。先端ノズル5の基端を、基部ノズル4の先端内に挿入することにより、先端ノズル5が基部ノズル4に取り付けられている。このように構成することにより、先端ノズル5は交換自在になっている。本実施形態では、先端ノズル5の内径は、基部ノズル4の外径よりも僅かに大きくなっているが、先端ノズル5はフッ素樹脂で構成されているので、先端ノズル5が僅かに内側に撓みながら、基部ノズル4の先端内に挿入され、先端ノズル5の外周面と、基部ノズル4に内周面とが密着して、先端ノズル5が基部ノズル4に対して、ぐらつかないようになっている。基部ノズル4の先端には、基部ノズル4の外周面と内周面とを連通する取付ネジ穴4aが形成されている。この取付ネジ穴4aに、取付ネジ6を螺着させて、取付ネジ6の先端で先端ノズル5の外周面を押圧することにより、先端ノズル5を基部ノズル4に固定している。あるいは、取付ネジ6のネジ部の先端形状を先鋭した形状のものにして、取付ネジ6のネジ部先端を、先端ノズル5にねじ込んで、先端ノズル5を基部ノズル4に固定することとしても差し支えない。
基部ノズル4と先端ノズル5とから構成されるシールドノズルにより、チップホルダ2及びコンタクトチップ3は囲まれている。コンタクトチップ1の先端は、先端ノズル5から突出している。チップホルダ2の基端には、複数の不活性ガス供給口2bが形成されていて、溶接時には、チップホルダ2内にCO2やアルゴン等の不活性ガスを供給して、この不活性ガスが不活性ガス供給口2bからシールドノズル内に供給するようにしている。このように、コンタクトチップ1囲むシールドノズルを溶接トーチ本体に取り付けることにより、不活性ガスを拡散させずに、確実に溶接箇所に供給するようにしている。
チップホルダ2及びコンタクトチップ1のワイヤー送出口1a内に、ソリッドワイヤーが挿通されて、溶接時には、ソリッドワイヤーがコンタクトチップ1のワイヤー送出口1aから順次送出されるようになっている。
(本考案の作用)
ガスシールドアーク溶接をすると、溶融金属の微粒子であるスパッタが溶接箇所から飛散し、先端ノズル5の内周面や外周面と衝突する。しかし、本考案の先端ノズル5は、フッ素樹脂製パイプであり、金属が溶融したスパッタとは全く性質の異なる材質であり、また、フッ素樹脂の摩擦係数は極めて低いことから、スパッタが全く先端ノズル5に付着することはない。
本考案の先端ノズル5はフッ素樹脂製パイプで構成されているので、スパッタが先端ノズル5に衝突すると、衝突した部分が僅かに溶解する。スパッタは、先端ノズル5の特に先端に多く衝突する。溶接をし続けると、先端ノズル5の先端部分が溶解して変形してしまう。具体的には、先端ノズル5の先端が、溶解することにより膨らんだ状態になる。先端ノズル5の先端部分が変形すると、不活性ガスの溶接箇所への供給が不安定になり、ブローホールが発生してしまう。このため、先端ノズル5の先端が変形した場合には、先端ノズル5の先端を約3mm切除して、先端ノズル5の先端形状を変形していない状態に整えることにしている。なお、先端ノズル5の先端を複数回切除することにより、先端ノズル5が短くなった場合には、先端ノズル5を新しい先端ノズル5に交換するようにしている。
従来のシールドノズルは、銅等で構成されていて、所定時間(約30分から1時間)ごとに溶接ラインを停止して、作業者がシールドノズル内に付着したスパッタを除去していた。本考案に使用される先端ノズル5は、前述したように、フッ素樹脂製パイプであり、先端が変形するので、所定時間ごとに溶接ラインを停止して、先端ノズル5の先端を切除して形状を整える必要がある。しかし、本考案のガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズルを使用した場合の先端ノズル5の先端を切除して形状を整える時間の間隔は、従来のシールドノズルを使用して、シールドノズル内に付着したスパッタを除去する時間の間隔に比べて、同じ溶接条件において約5倍となり、長時間連続して溶接することが可能となった。このため、溶接ラインを停止する頻度が、従来に比べて極端に少なくなり、生産性を飛躍的に向上させることが可能となった。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本考案を説明したが、本考案は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる考案の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズルもまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
ガスシールドアーク溶接トーチの説明図である。 従来のガスシールドアーク溶接トーチの説明図である。
符号の説明
1 コンタクトチップ
1a ワイヤー送出口
2 チップホルダ
2a ネジ部
2b ガス供給口
3 ノズルホルダ
3a 取付部
3b ネジ部
4 基部ノズル
4a 取付ネジ穴
5 先端ノズル
6 取付ネジ
50 コンタクトチップ
51 チップホルダ
51a ガス供給口
52 シールドノズル
53 ノズルホルダ

Claims (4)

  1. 溶接トーチ本体に、溶接ワイヤーを送出するためのコンタクトチップを囲むように取り付けられるガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズルにおいて、
    溶接トーチ本体に取り付けられる基部ノズルと、この基部ノズルの先端に交換自在に取り付けられるフッ素樹脂製の先端ノズルとから構成したことを特徴とするガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズル。
  2. 先端ノズルを基部ノズルの先端に挿入して、先端ノズルを基部ノズルに取り付けるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズル。
  3. 先端ノズルの外面及び基部ノズルの内面の断面形状を円形状とするとともに、先端ノズルの外径と基部ノズルの内径とを殆ど同一にしたことを特徴とする請求項2に記載のガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズル。
  4. 基部ノズルの先端に外周面と内周面とを連通する取付ネジ穴を形成し、この取付ネジ穴に取付ネジを螺着させて、先端ノズルを基部ノズルに固定したことを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載のガスシールドアーク溶接トーチのシールドノズル。
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