JP3135706B2 - 内燃エンジンの制御装置 - Google Patents

内燃エンジンの制御装置

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JP3135706B2
JP3135706B2 JP04275403A JP27540392A JP3135706B2 JP 3135706 B2 JP3135706 B2 JP 3135706B2 JP 04275403 A JP04275403 A JP 04275403A JP 27540392 A JP27540392 A JP 27540392A JP 3135706 B2 JP3135706 B2 JP 3135706B2
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義和 大嶋
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    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃エンジンの制御装置
に関し、特に、燃料タンクから発生する蒸発燃料を吸気
系にパージ(放出)して蒸発燃料の大気への放出を抑止
するようにした蒸発燃料処理系を備えた内燃エンジンの
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、燃料タンクと、該燃料タンク
から発生する蒸発燃料を吸着貯蔵するキャニスタと、該
キャニスタと内燃エンジンの吸気系とを接続するパージ
通路と、該パージ通路に介装された流量計と、該流量計
の下流側のパージ通路に介装されたパージ制御弁とを有
する蒸発燃料処理系を備えた内燃エンジンの制御装置は
広く知られている(例えば、特開昭62−26361号
公報;以下、「第1の従来例」という)。
【0003】該第1の従来例によれば、燃料タンクから
発生する蒸発燃料がキャニスタに一時貯蔵され、この貯
蔵された蒸発燃料が燃焼成分としてエンジンの吸気系に
パージされ、燃料噴射弁からの噴射燃料と共に燃焼室内
にて燃焼される。また、該第1の従来例においては、パ
ージ通路に介装されたパージ制御弁により吸気系に供給
されるパージ流量を制御することにより、燃焼室内にお
ける混合気の空燃比を所望空燃比に制御して有害成分の
大気への排出を抑止している。
【0004】また、第2の従来例としては、空燃比セン
サの出力値に基づいて算出された要求燃料噴射量をエン
ジン1回転当たりのパージ燃料量で減算補正し、この減
算補正結果に基づいて燃料噴射量を制御するようにした
内燃エンジンも既に提案されている(例えば、特開平2
−245441号公報;以下、「第2の従来例」とい
う)。
【0005】該第2の従来例によれば、要求燃料噴射量
をパージ燃料量で減算補正しているので、エンジン回転
数が急変しても混合気の空燃比が所望空燃比から過渡的
に偏移するのを防止することが或る程度可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、噴射燃料で
あるガソリンと蒸発燃料の主成分であるブタンとはその
理論空燃比が異なることから(ガソリンの理論空燃比≒
14.6、ブタンの理論空燃比≒15.5)総燃料量に
対する蒸発燃料の占める割合(蒸発燃料率)に応じて、
最適点火時期が異なることが知られている。
【0007】図43は、蒸発燃料をブタン100%とし
た場合の蒸発燃料率(ブタン1(ブタン+ガソリン))
と最適点火時期θIGとの関係の一例を示した図であっ
て、実線はエンジン冷却水温が87℃、一点鎖線はエン
ジン冷却水温が33℃のときのものである。
【0008】この図43から明らかなように、蒸発燃料
率が増加するに伴い、最適点火時期は遅角方向に偏移
し、かかる最適点火時期の偏移度合はエンジン冷却水温
に応じても若干異なる。
【0009】しかしながら、上記従来例(第1及び第2
の従来例)においては、上記蒸発燃料率を考慮した点火
時期制御が何らなされていないため、キャニスタからの
蒸発燃料が増大すると点火時期が最適点火時期から進角
方向にずれる結果となり、このため排気効率の低下や運
転性態の悪化を招来するという問題点があった。
【0010】本発明は、このような問題点に鑑みなされ
たものであって、大量の蒸発燃料が吸気系にパージされ
ても排気効率の低下や運転性能の悪化を回避することが
できる内燃エンジンの制御装置を提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、燃料タンクと、該燃料タンクから発生する
蒸発燃料を吸着貯蔵するキャニスタと、該キャニスタと
内燃エンジンの吸気系とを接続するパージ通路と、パ
ジ制御弁とを有する蒸発燃料処理系を備えた内燃エンジ
ンの制御装置において、前記エンジンに供給される総燃
料量の内、燃料噴射弁から噴射される噴射燃料量の比率
を算出する噴射燃料率算出手段と、少なくともエンジン
冷却水温を含む運転状態を検出する運転状態検出手段
と、前記噴射燃料率算出手段の算出結果と前記運転状態
検出手段の検出結果とに基づいて点火時期を制御する点
火時期制御手段とを有していることを特徴としている。
【0012】また、好ましくは、前記運転状態検出手段
が、エンジン回転数を検出する回転数検出手段と、エン
ジンの負荷状態を検出する負荷状態検出手段とを含むと
共に、前記運転状態検出手段の検出結果に基づきエンジ
ンに供給されるべき総燃料量を算出する総燃料量算出手
段と、エンジンに吸入される蒸発燃料量を算出する蒸発
燃料量算出手段と、該蒸発燃料量算出手段の算出結果に
基づいて前記燃料噴射弁から噴射される要求燃料量を決
定する要求燃料量決定手段とを有し、前記噴射燃料率算
出手段が、前記総燃料量算出手段の算出結果と前記要求
燃料量決定手段の決定結果とに基づいて前記比率を算出
することを特徴としている。
【0013】
【作用】上記構成によれば、総燃料量に対する噴射燃料
量の比率及び少なくともエンジン冷却水温を含む運転状
態に応じた点火時期の制御がなされる。
【0014】また、前記比率は総燃料量と燃料噴射弁か
ら噴射される要求燃料量に基づき決定される。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳説す
る。
【0016】図1は本発明に係る内燃エンジンの制御装
置の一実施例を示す全体構成図である。
【0017】図中、1は各シリンダに吸気弁及び排気弁
(図示せず)とを各1対宛設けたDOHC直列4気筒の
内燃エンジン(以下、単に「エンジン」という)であっ
て、該エンジン1は、吸気弁及び排気弁のバルブタイミ
ング(開弁時期及び弁リフト量)が、エンジンの高速回
転領域に適した高速バルブタイミング(高速V/T)
と、低速回転領域に適した低速バルブタイミング(低速
V/T)との2段階に切換可能に構成されている。
【0018】また、エンジン1の吸気ポ−トに接続され
た吸気管2の途中にはスロットルボディ3が設けられ、
その内部にはスロットル弁3′が配されている。また、
スロットル弁3′にはスロットル弁開度(θTH)セン
サ4が連結されており、該スロットル弁3′の開度に応
じた電気信号を出力して該電気信号を電子コントロ−ル
ユニット(以下、「ECU」という)5に供給する。
【0019】燃料噴射弁6は、エンジン1とスロットル
弁3′との間且つ吸気管2の図示しない吸気弁の少し上
流側に各気筒毎に設けられている。また、各燃料噴射弁
6は燃料供給管7を介して燃料ポンプ8に接続されると
共にECU5に電気的に接続され、該ECU5からの信
号により燃料噴射の開弁時間が制御される。
【0020】吸気管2のスロットル弁3′の稍下流側に
はパージ管9が分岐して設けられ、該パージ管9は後述
する蒸発燃料処理系10に接続されている。
【0021】また、吸気管2のパージ管9の下流側には
分岐管11が設けられ、該分岐管11の先端には絶対圧
(PBA)センサ12が取付けられている。該PBAセ
ンサ12はECU5に電気的に接続されており、吸気管
2内の絶対圧PBAは前記PBAセンサ12により電気
信号に変換されてECU5に供給される。
【0022】また、分岐管11の下流側の吸気管2の管
壁には吸気温(TA)センサ13が装着され、該TAセ
ンサ13により検出された吸気温TAは電気信号に変換
され、ECU5に供給される。
【0023】エンジン1のシリンダブロックの冷却水が
充満した気筒周壁にはサ−ミスタ等からなるエンジン水
温(TW)センサ14が挿着され、該TWセンサ14に
より検出されたエンジン冷却水温TWは電気信号に変換
されてECU5に供給される。
【0024】また、エンジン1の図示しないカム軸周囲
又はクランク軸周囲にはクランク角度(CRK)センサ
15及び気筒判別(CYL)センサ16が取付けられて
いる。
【0025】CRKセンサ15はエンジン1のクランク
軸の1/2回転(180°)より短い一定のクランク角
周期(例えば、30°周期)でもって所定のクランク角
度位置で信号パルス(以下、「CRK信号パルス」とい
う)を出力し、CYLセンサ16は特定の気筒の所定の
クランク角度位置で信号パルス(以下、「CYL信号パ
ルス」という)を出力し、これらCRK信号パルス及び
CYL信号パルスはECU5に供給される。
【0026】また、エンジン1の各気筒の点火プラグ1
7は、ECU5に電気的に接続され、ECU5により点
火時期が制御される。さらに、大気圧(PA)センサ1
8がエンジン1の適所に配設されると共に、該PAセン
サ18はECU5に電気的に接続され、その検出信号を
ECU5に供給する。
【0027】また、ECU5の出力側には、前記バルブ
タイミングの切換制御を行うための電磁弁19が接続さ
れ、該電磁弁19の開閉動作がECU5により制御され
る。電磁弁19は、バルブタイミングの切換を行う切換
機構(図示せず)の油圧を高/低に切換えるものであ
り、該油圧の高/低に対応してバルブタイミングが高速
V/Tと低速V/Tに切換えられる。前記切換機構の油
圧は、油圧(POIL)センサ20によって検出され、
その電気信号がECU5に供給される。
【0028】前記エンジン1の排気ポ−トに接続された
排気管21の途中には触媒装置(三元触媒)22が介装
されており、該触媒装置22により排気ガス中のHC、
CO、NOx等の有害成分の浄化作用が行なわれる。
【0029】また、触媒装置22の周壁にはサ−ミスタ
等からなる触媒温度(TC)センサ23が挿着され、該
TCセンサ23により検出された触媒床温度TCは電気
信号に変換されてECU5に供給される。
【0030】さらに、排気管21の途中であって且つ触
媒装置22の上流側には広域酸素濃度センサ(以下、
「LAFセンサ」という)24が設けられている。該L
AFセンサ24は、排気ガス濃度に略比例する電気信号
を出力して該電気信号をECU5に供給する。
【0031】しかして、前記蒸発燃料処理系10は、燃
料給油時に開蓋されるフィラーキャップ25を備えた燃
料タンク26と、吸着剤としての活性炭27が内蔵され
て燃料タンク26からの蒸発燃料を吸着貯蔵するキャニ
スタ28と、該キャニスタ28と前記燃料タンク26と
を接続する蒸発燃料流通路29と、該蒸発燃料流通路2
9に介装された正圧バルブと負圧バルブとからなる2方
向弁30とを備えている。
【0032】さらに、前記蒸発燃料処理系10は、熱線
式流量計(以下、単に「流量計」という)31がキャニ
スタ28近傍のパージ管9途中に介装され、さらに前記
流量計31の下流側のパージ管9途中にはパージ制御弁
32が介装されている。
【0033】前記流量計31は、電流を通して加熱され
た白金線が気流にさらされていると温度が低下してその
電気抵抗が減少することを利用したものであって、その
出力特性は蒸発燃料の濃度、流量等に応じて変化し、こ
れらの変化に応じた出力信号をECU5に供給する。
【0034】また、前記パージ制御弁32は、パージ管
9が連通可能となるように上下方向に可動自在に配設さ
れた楔形状の弁体33と、該弁体33が内有されるケー
シング34と、弁体33を上下方向に駆動させる常開型
の電磁弁35と、弁軸36を介して弁体33に接続され
た弁開度(リフト)センサ(以下、「PRG用Lセン
サ」という)37とを備えている。そして、電磁弁35
はECU5に電気的に接続され、ECU5からの電気信
号に基づき弁体33の上下方向への弁リフト量をデュー
ティ制御する。また、PRG用Lセンサ37は、弁体3
3の弁リフト量を検出してその電気信号をECU5に供
給する。
【0035】流量計31とパージ制御弁32との間のパ
ージ管9にはパージ温度(TP)センサ38が挿着され
ている。該TPセンサ38はECU5に電気的に接続さ
れ、TPセンサ38により検出されたパージ温度TPは
ECU5に供給される。
【0036】しかして、ECU5は、上述の各種センサ
からの入力信号波形を整形して電圧レベルを所定レベル
に修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する
等の機能を有する入力回路5aと、中央演算処理回路
(以下「CPU」という)5bと、該CPU5bで実行
される各種演算プログラムや後述する各種マップ及び演
算結果等を記憶するROM及びRAMからなる記憶手段
(リングバッファを含む)5cと、前記燃料噴射弁6、
点火プラグ17、燃料ポンプ8、電磁弁19,35等に
駆動信号を供給する出力回路5dとを備えている。
【0037】図2は、CRKセンサ15から出力される
CRK信号パルス及びCYLセンサ16から出力される
CYL信号パルスの発生タイミング、及び燃料噴射弁の
噴射タイミングを示すタイムチャートである。
【0038】CRK信号パルスは、各気筒(#1〜#4
CYL)のピストン上死点を基準にクランク軸が2回転
する間に等間隔で例えば24個の信号パルス、すなわ
ち、例えば30°のクランク角周期で信号パルスを発生
する。そして、ECU5は、各気筒のピストン上死点で
発生するCRK信号パルスに対してTDC判別信号を出
力する。すなわち、TDC判別信号は各気筒の基準クラ
ンク角度位置を表わすものであって、クランク軸の18
0°回転毎に発生する。また、ECU5は、CRK信号
パルスの発生時間間隔を計測してCRME値を算出し、
さらに前記CRME値をTDC判別信号の発生時間間隔
に亘って加算してME値を算出し、該ME値の逆数であ
るエンジン回転数NEを算出する。
【0039】CYL信号パルスは、特定の気筒(例え
ば、#1CYL)の圧縮行程終了を示すTDC判別信号
発生位置よりも前の所定クランク角度位置(例えば、9
0°BTDC)で発生し、CYL信号パルス発生直後の
TDC判別信号発生に対して特定の気筒番号(例えば、
#1CYL)をセットする。
【0040】また、ECU5は、TDC判別信号、CR
K信号パルスに基づき各気筒の基準クランク角度位置か
らのクランク角度ステージ(以下、「ステージ」とい
う)を検出する。すなわち、TDC判別信号発生時に検
出されるCRK信号パルスC1がCYL信号パルスによ
り判別される圧縮工程終了時のTDC位置で発生した場
合、ECU5は該CRK信号パルスC1により#1CY
Lの#0ステージを検出し、さらにその後に出力される
CRK信号パルスにより#1ステージ、#2ステージ、
…、#23ステージを順次検出する。
【0041】また、燃料噴射を開始すべき噴射ステージ
は、エンジンの運転状態等に基づいて設定され、具体的
には図示省略の噴射ステージ決定ルーチンを実行して決
定され、さらに燃料噴射弁6の開弁時間(燃料噴射時間
TOUT)はステータス番号(SINJ(K))の設定
状態により制御される。
【0042】すなわち、ステータス番号SINJ(K)
は、燃料噴射弁6の開弁期間中は「2」にセットされ、
噴射終了と同時に「3」にセットされる。そして、ステ
ータス番号SINJ(K)は爆発行程突入と同時に
「0」にリセットされて噴射待機状態とされ、その後所
定の噴射ステージ(例えば、#13ステージ)に達する
と、ステータス番号SINJ(K)が「1」にセットさ
れて所定の噴射遅延時間が経過した後、再びステータス
番号SINJ(K)は「2」にセットされ、燃料噴射弁
6から燃料が噴射される。そして、燃料噴射が終了した
後はステータス番号SINJ(K)が再び「3」にセッ
トされ、爆発行程の突入と同時「0」にリセットされ
る。また、本実施例では後述するように(図37参照)
SINJ(K)=3のとき吸気管内の付着燃料量TWP
が算出され、かかる付着燃料量TWPを考慮して燃料噴
射時間TOUTが算出される。尚、燃料噴射の開始に噴
射遅延時間(SINJ(K)=1に相当する時間)を設
けているのは燃料噴射の噴射終了時期とCRK信号パル
スの発生とが同期するように噴射タイミングが制御され
ているためであり、かかる噴射遅延時間により噴射タイ
ミングの終了時期を制御するためである。
【0043】次に本実施例の燃料量制御と点火時期制御
の制御手順を詳述する。
【0044】[I]燃料量制御 本実施例ではキャニスタ28からパージされる蒸発燃料
量を正確に算出すると共に、該蒸発燃料量を考慮して燃
料噴射弁6から供給されるべき要求燃料量を算出し、さ
らに吸気管2の壁面に付着する付着燃料量TWPを考慮
して前記燃焼室に供給されるべき最終噴射燃料量の決定
がなされる。
【0045】また、本実施例では、エンジンの運転状態
に応じて燃料噴射量と蒸発燃料量との比率を算出し、該
比率に応じてパージ制御弁32の弁リフト指令値LPU
CMDが決定される。
【0046】以下、上記燃料量の制御を蒸発燃料処理と
壁面付着補正処理とに分け、JISX 0128のプロ
グラム表記法、すなわちSPD(Structured Programmi
ngDiagrams)表記法によるフローチャートに基づいて詳
述する。
【0047】[A]蒸発燃料処理 図3は蒸発燃料処理の制御手順を示すメインルーチンの
フローチャートである。
【0048】まず、ステップS1ではパージ領域判別ル
ーチンを実行してエンジンの運転状態がパージ領域にあ
るか否かを判別する。また、該パージ領域判別ルーチン
においては、少なくともパージ領域にあると判別された
ときは、キャニスタ28からパージされる蒸発燃料の重
量演算モードに設定される。ここで、キャニスタ28か
らパージされる蒸発燃料は殆どブタンであることが知ら
れており、本実施例ではパージガス中の蒸発燃料を全て
ブタンとみなして一連の処理を行っている。すなわち、
上述の如くエンジン状態が少なくともパージ領域にある
と判別されたときはフラグFBCALを「0」にセット
してブタン重量演算モードに設定する。
【0049】次に、ステップS2では前記フラグFBC
ALが「1」にセットされているか否かを判別する。そ
して、FBCAL=1のときはブタン重量演算モード以
外の状態に設定されているときであり、ステップS3に
進み、零点調整ルーチンを実行して流量計31とパージ
制御弁32の弁体33の作動位置の零点調整を行った
後、ステップS7に進む。
【0050】一方、ステップS2でフラグFBCALが
「1」でないとき、すなわちFBCAL=0のときは、
ブタン重量演算モードに設定されているときであり、ス
テップS4〜ステップS6でQVAPER算出ルーチ
ン、DVAPER算出ルーチン及びTREQ算出ルーチ
ンを夫々実行した後ステップS7に進む。すなわち、Q
VAPER算出ルーチンでは所定期間内におけるパージ
体積(空気+ブタン)QHWDとパージ流量中のブタン
濃度CBUを算出し、DVAPER算出ルーチンでは後
述するパージガスの動特性に基づき今回サイクルの吸入
行程で吸入されるブタン質量PGIN等を算出し、さら
にTREQ算出ルーチンでは今回サイクルの吸入行程に
おいて燃料噴射弁6が開弁すべき要求開弁時間TREQ
を算出し、ステップS7に進む。
【0051】しかして、ステップS7ではVPR算出ル
ーチンを実行し、蒸発燃料に起因する燃料噴射量の燃料
減量係数KPUNをエンジンの運転状態に応じて算出す
ると共に、流量計31の目標出力電圧VHCMDを算出
する。そして、最後にステップS8でLPUCMD算出
ルーチンを実行し、パージ制御弁32の弁体33のリフ
ト指令値LPUCMDを算出して本プログラムを終了す
る。
【0052】以下、ステップS1〜S8の各処理ステッ
プ(サブルーチン)について順次詳述する。
【0053】パージ領域判別(図3、ステップS1) 図4はパージ領域判別ルーチンのフローチャートであっ
て、本プログラムはTDC判別信号の発生と同期して実
行される。
【0054】まず、ステップS11ではフラグFSMO
Dが「1」か否かを判別し、エンジンが始動モードにあ
るか否かを判断する。ここで、始動モードにあるか否か
は、例えば、図示しないエンジンのスタータスイッチが
オンで且つエンジン回転数が所定の始動回転数(クラン
キング回転数)以下か否かにより判断する。
【0055】フラグFSMODが「1」にセットされて
いるときはエンジンが始動モードにあると判断し、フラ
グFCPCUTを「1」にセットする。すなわち、電磁
弁35をONしてパージ制御弁32を閉弁し、パージカ
ット条件に設定する(ステップS12)。そして、フラ
グFBCALを「1」にセットしてブタン重量演算を禁
止し(ステップS13)、本プログラムを終了してメイ
ンルーチン(図3)に戻る。
【0056】一方、フラグFSMODが「0」、すなわ
ちエンジンが基本モードにあるときは、ステップS14
に進み、フラグFFCが「1」にセットされてエンジン
がフューエルカット状態にあるか否か、又はリーン化補
正係数KLSが「1」以外の所定値であるか否か、ある
いはパージ制御弁32の弁リフト指令値LPUCMDが
「0」か否かを判別する。ここで、エンジンがフューエ
ルカット状態にあるか否かは、エンジン回転数NEやス
ロットル弁3′の弁開度θTHに基づいて判断され、具
体的にはフューエルカット判別ルーチン(図示せず)の
実行により判別される。また、リーン化補正係数KLS
は、空燃比がリーン状態以外のときは「1」に設定さ
れ、空燃比がリーン状態のときはそのリーン化状態に応
じた「1」以下の所定値に設定される。さらに、弁リフ
ト指令値LPUCMDはステップS8で実行されるLP
UCMD算出ルーチン(図24参照)により算出され
る。そして、これら3条件の内、いずれの条件も充足し
ないとき、すなわち、FFC=1又はKLS≠1又はL
PUCMD=0の内のいずれの条件をも充足しないとき
はステップS20に進んで、フラグFCPCUTを
「0」にセットし、電磁弁35をOFFしてパージ制御
弁32を開弁し、蒸発燃料の吸気管2へのパージが可能
な状態とした後、ステップS21に進む。ステップS2
1ではフラグFBCALを「0」にセットしてブタン重
量演算モードに設定し、次いでブタン重量算出用ディレ
ーカウンタ(第1のディレーカウンタ)のカウント値n
BCALを所定値N1(例えば、16)に設定し(ステ
ップS22)、本プログラムを終了する。この第1のデ
ィレーカウンタは、エンジンの基本モード中においてパ
ージカット条件(FCPCUT=1)が成立してもパー
ジ流量が即座に「0」とはならないため、かかる系の追
従遅れを補填するためのものである。すなわち、その後
のループにおいてステップS14で前記3条件のうちの
いずれか1つの条件を満たすときはステップS15に進
みフラグFCPCUTを「1」にセットして系をパージ
カット条件に設定し、次いで第1のディレーカウンタの
カウント値nBCALが「0」か否かを判別する(ステ
ップS16)。そして、第1のディレーカウンタのカウ
ント値nBCALが「0」でないときはステップS18
に進んで第1のディレーカウンタのカウント値nBCA
Lを「1」だけディクリメントし、フラグFBCALを
「0」にセットしてブタン重量の演算モードに設定し
(ステップS19)、本プログラムを終了する一方、そ
の後のループで前記カウント値nBCALが「0」にな
るとフラグFBCALを「1」にセットしてブタン重量
の演算を禁止し(ステップS17)、本プログラムを終
了してメインルーチン(図3)に戻る。
【0057】このように、フラグFCPCUTが「1」
に設定され、パージカット条件が成立した場合であって
も、その後所定期間ブタン重量の演算を継続して実行す
ることにより系の追従遅れ(応答遅れ)にも対処するこ
とができ、制御性の向上を図ることができる。
【0058】零点調整(図3、ステップS3) 図5は零点調整ルーチンのフローチャートであって、本
プログラムはECU5に内蔵されたタイマにより、例え
ば10msec毎に発生する似信号パルスと同期して実
行される。
【0059】まず、ステップS31ではフラグFCPC
UTが「1」か否かを判別し、パージカット状態にある
か否かを判断する。そして、フラグFCPCUTが
「1」でないとき、すなわちパージ中のときはステップ
S40に進んで後述する零点学習値演算用ディレーカウ
ンタ(第2のディレーカウンタ)のカウント値nLPD
を所定値N2(例えば、4)に設定して本プログラムを
終了する一方、ステップS31でフラグFCPCUTが
「1」にセットされていると判別されたときはパージカ
ット中でありステップS32に進んで、第2のディレー
カウンタのカウント値nLPDが「0」か否かを判別す
る。そして、最初のループでは前記カウント値nLPD
は「0」ではないので、ステップS39に進み前記カウ
ント値nLPDを「1」だけデクリメントして本プログ
ラムを終了する。一方、その後のループで前記カウント
値nLPDが「0」になったときはステップS33に進
んでVHW0算出ルーチンを実行し、流量計31の零点
調整を行う。
【0060】すなわち、図6のフローチャートに示すよ
うに、まず数式(1)により零点学習値VHW0REF
を算出する(ステップS41)。
【0061】
【数1】 ここで、CREFは流量計31の内部温度等に応じて1
〜65536の範囲で適切な値に設定される変数、VH
W0REF(n−1)は零点学習値VHW0REFの前
回算出値であり、流量計31の出力電圧VHWを前回学
習値VHW0REF(n−1)でもって学習演算するこ
とにより、零点学習値VHW0REFが更新される。し
たがって、該零点学習値VHW0REFは経時変化に対
する平均値を示すものである。
【0062】次いで、ステップS42〜S46で前記零
点学習値VHW0REFのリミットチェックを行い、流
量計31の零点調整を終了する。すなわち、ステップS
42で前記零点学習値VHW0REFが所定上限値VH
W0HLより大きいか否かを判別し、VHW0REF>
VHW0HLが成立するときは流量計31の零点VHW
0を前記所定上限値VHW0HLに設定する一方(ステ
ップS43)、VHW0REF≦VHW0HLのときは
ステップS44に進んで前記零点学習値VHW0REF
が所定下限値VHW0LLより小さいか否かを判別す
る。そして、VHW0REF<VHW0LLが成立する
ときは前記零点値VHW0を前記所定下限値VHW0L
Lに設定する一方(ステップS45)、VHW0REF
=VHW0LLのときは前記零点値VHW0を数式
(1)により算出された零点学習値VHW0REFに設
定して流量計31の零点調整を終了し、図5の零点調整
ルーチンに戻る。
【0063】次に、ステップS34(図5)に進み、P
RG用Lセンサ37の現在の弁リフト値(検出リフト
値)LPLIFTをPRG用Lセンサ37の零点値LP
0に設定する。次いでステップS35〜S38では前記
零点値LP0のリミットチェックを行い、PRG用Lセ
ンサ37の零点調整を終了する。すなわち、ステップS
35では前記零点値LP0が所定上限値LP0HLより
大きいか否かを判別する。そして、LP0>LP0HL
が成立するときは前記零点値LP0を前記所定上限値L
P0HLに設定する一方(ステップS36)、LP0≦
LP0HLのときはステップS37に進み、前記零点値
LP0が所定下限値LP0LLより小さいか否かを判別
する。そしてLP0<LP0HLが成立するときは前記
零点値LP0を所定下限値LP0LLに設定してPRG
用Lセンサ37の零点調整を終了し(ステップS3
8)、本プログラムを終了してメインルーチン(図3)
に戻る。
【0064】QVAPER算出(ブタン濃度CBU及
びパージ体積QHWDの算出)(図3、ステップS4) 図7はQVAPER算出ルーチンのフローチャートであ
って、本プログラムはTDC判別信号の発生と同期して
実行される。
【0065】まず、ステップS51ではエンジン回転数
NE、吸気管内絶対圧PBA、大気圧PA、パージ温度
TP、PRG用Lセンサ37の検出リフト値LPLIF
T、流量計31の出力電圧VHW等のエンジンパラメー
タ情報を読み込み、記憶手段5cに記憶する。
【0066】次に、ステップS52ではPRG用Lセン
サ37の実リフト値LPACT(=LPLIFT−LP
0)を算出し、次いでステップS53では流量計31の
実出力電圧VHACT(=VHW−VHW0)を算出す
る。
【0067】次にステップS54ではQBEマップを検
索して第1の基本流量値QBEMを算出する。
【0068】QBEマップは、具体的には図8に示すよ
うに、大気圧PAと吸気管内絶対圧PBAとの差である
吸気管内負圧(ゲージ圧)PBG00〜PBG15及び
PRG用Lセンサ37の実リフト値LPACT00〜L
PACT15に対してマトリックス状にマップ値QBE
M(00,00)〜QBEM(15,15)が与えられ
ている。すなわち、第1の基本流量値QBEMは周知の
ベルヌーイの式に基づき数式(2)により吸気管内負圧
PBGと実リフト値LPACTに基いて算出され、かか
る吸気管内負圧PBGと実リフト値LPACTに応じて
マップ値QBEMが与えられている。
【0069】
【数2】 ここで、Aはパージ制御弁32の開口面積であって、実
リフト値LPACTの関数として表される。また、ρは
流体密度である。第1の基本流量値QBEMはこのQB
Eマップを検索することにより読み出され、或いは補間
法により算出される。
【0070】次に、ステップS55ではQHWテーブル
を検索して第2の基本流量値QHWを算出する。
【0071】QHWテーブルは、具体的には図9に示す
ように、流量計31の実出力電圧VHACT0〜VHA
CT15に対してテーブル値QHW0〜QHW15が与
えられている。すなわち、第2の基本流量値QHWは周
知のキングの式に基づき数式(3)により実出力電圧V
HACTに基づいて算出され、かかる実出力電圧VHA
CTに応じてテーブル値QHWが与えられている。
【0072】
【数3】 ここで、A′はパージ管9の管径、Rは電気抵抗、B,
Cは流体の温度、性質、線の大きさ等によって定まる定
数である。そして、第2の基本流量値QHWはこのQH
Wテーブルを検索することにより読み出され、或いは補
間法により算出される。
【0073】次に、ステップS56に進み、KTPテー
ブルを検索して第1の基本流量値QBEMの水温補正係
数KTPを算出する。
【0074】KTPテーブルは、具体的には図10に示
すように、パージ温度TP0〜TP5に対してテーブル
値KTP0〜KTP5が与えられており、前記水温補正
係数KTPは該KTPテーブルを検索することにより読
み出され、或いは補間法により算出される。
【0075】次に、ステップS57に進み、KPAPテ
ーブルを検索して第1の基本流量値QBEMの大気圧補
正係数KPAPを算出する。
【0076】KPAPテーブルは、具体的には図11に
示すように、大気圧PA0〜PA5に対してテーブル値
KPAP0〜KPAP5が与えられており、大気圧補正
係数KPAPは該KPAPテーブルを検索することによ
り読み出され、或いは補間法により算出される。
【0077】次に、ステップS58に進み、数式(4)
に基づき第1の流量値QBEを算出し、さらにステップ
S59では数式(5)に基づき第2の流量値QHWと第
1の流量値QBEとの比、すなわち流量比KQを算出す
る。
【0078】 QBE=QBEM×KTP×KPAP …(4) KQ=QHW/QBE …(5) 次いで、ステップS60ではCBUテーブルを検索して
パージガス中の主蒸発燃料であるブタン濃度CBUを算
出する。
【0079】CBUテーブルは、具体的には図12に示
すように、流量比KQ0〜KQ7に対してテーブル値C
BU0〜CBU7が与えられており、ブタン濃度CBU
は該CBUテーブルを検索することにより読み出され、
或いは補間法により算出される。すなわち、第1の流量
値QBEはベルヌーイの式を基本とした前記数式(2)
により算出され、第2の流量値QHWはキングの式を基
本とした前記数式(3)により算出されるが、第2の流
量値QHWは流量計31の実出力電圧VHACTに基づ
いて算出される一方、流量計31の実出力電圧VHAC
Tは上述したように蒸発燃料であるブタン濃度CBUに
応じて変化する構造となっているため、第1の流量値Q
BEと第2の流量値QHWとはブタン濃度CBUに応じ
て異なる値を示すこととなる。そこで、かかる流量比K
Qとブタン濃度CBUとの関係をCBUテーブルとして
予め記憶手段5cに記憶させておき、該CBUテーブル
を検索してブタン濃度CBUを算出する。
【0080】そして、最後に数式(6)に基づき、TD
C判別信号の発生間隔におけるパージ体積QHWDを算
出して本プログラムを終了する。
【0081】QHWD=QHW×ME …(6) これにより、所定期間内におけるパージ制御弁32を通
過するパージ体積QHWDを正確が算出される。
【0082】DVAPER算出(ブタン質量の算出)
(図3、ステップS5) 図13はパージガスの動特性を考慮してブタン質量を算
出するDVAPER算出ルーチンのフローチャートであ
って、本プログラムはTDC判別信号の発生と同期して
実行される。
【0083】まず、ステップS71〜ステップS79に
おいてはパージ体積QHWD(i)、ブタン濃度CBU
(i)、ME(i)値、吸気管内絶対圧PBA(i)を
順次各気筒毎に算出し、リングバッファに記憶する。す
なわち、リングバッファBPSには番号i(i=0〜n
(例えば、n=15))が付されており、リングバッフ
ァBPSの番号iに対応してパージ体積QHWD
(i)、ブタン濃度CBU(i)、ME(i)値、吸気
管内絶対圧PBA(i)を算出する。具体的には、ステ
ップS71ではリングバッファBPSの番号iが「0」
か否かを判別し、i=0のときはステップS72〜ステ
ップS75に示すように、パージ体積QHWD、ブタン
濃度CBU、ME値、吸気管内絶対圧PBAの今回値を
i=0のバッファ領域に記憶し、i=0以外のときはス
テップS76〜ステップS79に示すように、1個前の
リングバッファ番号に記憶されているパージ体積QHW
D(i)、ブタン濃度CBU(i)、ME(i)値、吸
気管内絶対圧PBA(i)を夫々リングバッファ番号i
(i=1〜n)のバッファ領域に記憶する。
【0084】次に、キャニスタ28からパージされたブ
タンがエンジン1の燃焼室に到達するまでの遅延時間τ
pを算出する。
【0085】遅延時間τpはパージ管9内を通過する吸
入空気量の関数として与えられる。具体的にはτpマッ
プは、図14に示すように、吸入空気量を示す2つのパ
ラメータ、すなわち吸気管内絶対圧PBA0〜PBA7
及びエンジン回転数の逆数であるME0〜ME7に対し
てマップ値τp(0,0)〜τp(7,7)がマトリッ
クス状に与えられており、該遅延時間τpは前記τpマ
ップを検索することにより読み出され、或いは補間法に
より算出される。
【0086】次に、ステップS81ではBaマップを検
索して遅延時間τp時のブタン直接率Baを算出する。
【0087】Baマップは、具体的には図15に示すよ
うに、吸気管内絶対圧PBA0〜PBA7及びエンジン
回転数の逆数であるME0〜ME7に対してマトリック
ス状にマップ値Ba(0,0)〜Ba(7,7)が与え
られている。ここで、ブタン直接率Baとは今回サイク
ル時にキャニスタ28から吸気管2に吸入される蒸発燃
料としてのブタンの内、エンジン1の燃焼室に直接吸入
される割合をいい、かかるブタン直接率Baは前記Ba
マップを検索することにより読み出され、或いは補間法
により算出される。
【0088】次に、ステップS82ではBbマップを検
索して遅延時間τp時のブタン持ち去り率Bbを算出す
る。
【0089】Bbマップは、具体的には図16に示すよ
うに、Bbマップと同様、吸気管内絶対圧PBA0〜P
BA7及びエンジン回転数の逆数であるME0〜ME7
に対してマトリックス状にマップ値Bb(0,0)〜B
b(7,7)が与えられている。ここで、ブタン持ち去
り率Bbとは前回サイクル時までに吸気管2内などで滞
留等している蒸発燃料としてのブタンの内、今回サイク
ル時にエンジン1の燃焼室に吸入される割合をいい、か
かるブタン持ち去り率Bbが前記Bbマップを検索する
ことにより読み出され、或いは補間法により算出され
る。
【0090】次に、ステップS83では数式(7)に基
づき前記遅延時間τp時におけるパージ制御弁32を通
過するパージガス中のブタン質量PGTを算出する。
【0091】 PGT=QHWD(τp)×CBU(τp)×DBU …(7) ここで、DBUは標準状態(0℃、1気圧)におけるブ
タン密度(=2.7kg/m3)である。このようにパージ
体積QHWDにブタン濃度CBUとブタン密度DBUを
乗算してパージガス中の総ブタン質量PGTが算出され
る。
【0092】次いでステップS84では数式(8)に基
づいてエンジン1の燃焼室に流入する流入ブタン質量P
GINを算出する。
【0093】 PGIN=Ba×PGT+Bb×PGC …(8) ここで、PGCは吸気管2などに滞留している滞留ブタ
ン質量を示し、初期値は「0」に設定される。右辺第1
項は今回サイクルでパージされたブタンの内、直接燃焼
室に吸入されるブタン質量を示し、右辺第2項は前回サ
イクル時までに吸気管2等に滞留しているブタンの内、
今回サイクル時に燃焼室に吸入されるブタン質量を示
し、両者を加算することにより、今回サイクル時に燃焼
室に吸入される流入ブタン質量PGINが算出される。
【0094】そして、最後に数式(9)に基づいて滞留
ブタン質量PGCを算出し、本プログラムを終了してメ
インルーチン(図3)に戻る。
【0095】 PGC=(1−Ba)×PGT+(1−Bb)×PGC …(9) 右辺第1項は今回サイクルでパージされたブタンの内、
吸気管2等に滞留するブタン質量を示し、右辺第2項は
前回サイクルまでに吸気管2内に滞留しているブタンの
内、今回サイクルにおいても吸気管2内に滞留している
ブタン質量を示し、両者を加算することにより滞留ブタ
ン質量PGCが算出される。
【0096】燃料噴射弁の要求開弁時間(要求燃料噴
射時間)TREQの算出(図3、ステップS6) 図17はTREQ算出ルーチンのフローチャートであっ
て、本プログラムはTDC判別信号の発生に同期して実
行される。
【0097】まず、ステップS91では前記流入ブタン
質量PGINが所定下限値PGINLMより小さいか否
かを判別する。そして、PGIN<PGINLMが成立
するときは、前記流入ブタン質量PGINが零とみなせ
る場合であると判断し、数式(10)に基づき燃料噴射
弁6から噴射すべき要求燃料噴射時間(燃料室に吸入さ
れるべき要求ガソリン量)TREQ(k)を各気筒毎
(#1CYL〜#4CYL)に順次算出する(ステップ
S92)。
【0098】 TREQ(k)=Ti×KTOTAL(k) …(10) Tiは基本モード時の基本燃料噴射時間であって、エン
ジン回転数NEと吸気管内絶対圧PBAとに応じて設定
されるTiM値に排気還流による燃料量補正係数KEG
Rを乗算することにより算出される。ここで、燃料量補
正係数KEGRは、不図示の排気還流系に設けられた排
気還流弁(EGR弁)作動時に燃料量を補正するための
係数であって、EGR弁の弁開度に応じた所定値に設定
される。また、前記TiM値を決定するためのTiMマ
ップとして、低速V/T用と高速V/T用の2つのマッ
プが記憶手段5c(ROM)に記憶されている。
【0099】また、KTOTAL(k)はエンジンの運
転状態に応じて設定される各種補正係数(水温補正係数
KTA、始動後補正係数KAST、目標空燃比係数KC
MD等)を乗算したものであって、各気筒毎に所定値に
設定される。
【0100】一方、PGIN≧PGINLMのとき、す
なわち燃焼室に吸入されるブタン質量が零とはみなせな
いときはステップS93に進み、数式(11)に基づき
今回サイクルの吸入行程で吸入される総空気質量GAI
RTを算出する。
【0101】 GAIRT=(α×Ti+β)×AFG×KTA …(11) Ti(=TiM×KEGR)は上述と同様基本モード時
における基本燃料噴射時間、α,βは定数、AFGはガ
ソリンの理論空燃比(≒14.6)、KTAは水温補正
係数である。また、数式(11)においては燃料噴射量
Yと基本燃料噴射時間Tiとが直線で近似できるものと
して前記総空気質量GAIRTを算出している。すなわ
ち、燃料噴射量YがY=α×Ti+βで表されるものと
して総空気質量GAIRTが算出される。
【0102】次に、ステップS94以降の各ステップで
はブタン燃焼のために消費される空気質量(以下、「ブ
タン用空気質量」という)GAIRB、ガソリン燃焼に
必要な空気質量(以下、「ガソリン用空気質量」とい
う)GAIRG及び要求燃料噴射時間TREQ(k)を
各気筒毎に演算する。
【0103】すなわち、ステップS94では数式(1
2)に基づきブタン用空気質量GAIRBを算出する。
【0104】
【数4】 ここでMAIRは空気の分子量(=28.8)、MBU
Tはブタンの分子量(=57)、AFBはブタンの理論
空燃比(≒15.5)、(1/KTOTAL(k))は
空気過剰率λである。
【0105】右辺第1項は流入ブタン質量PGINに同
伴する空気質量、右辺第2項はブタンの燃焼に必要な空
気質量を示し、両者を加算することによりブタン燃焼に
より消費されるブタン用空気質量GAIRBが算出され
る。
【0106】また、ステップS95では数式(13)に
示すように、総空気質量GAIRTから前記ブタン用空
気質量GAIRBを減算してガソリン用空気質量GAI
RGを算出する。
【0107】 GAIRG=GAIRT−GAIRB …(13) そして、最後にステップS96で要求燃料噴射時間TR
EQ(k)を算出し、本プログラムを終了してメインル
ーチン(図3)に戻る。
【0108】すなわち、要求燃料噴射時間TREQ
(k)と燃料噴射弁6から噴射される要求ガソリン量Y
REQ(k)とは略比例関係にあると考えられるため、
ステップS93と同様にして要求ガソリンを燃焼するの
に必要な空気量GAIRGは数式(14)で示される。
【0109】 GAIRG=(α×TREQ(k)+β)×AFG …(14) したがって、数式(13)に数式(12)を代入して得
られた式と、数式(14)とを等置して整理すると数式
(15)に示す如く要求燃料噴射時間TREQ(k)を
算出することができる。
【0110】
【数5】 これにより、今回サイクル時に燃焼室に供給すべき要求
燃料噴射量が燃料噴射時間の関数として求められる。
【0111】VPR算出(燃料減量係数KPUN及び
流量計31の目標出力電圧VHCMDの算出)(図3、
ステップS7)。
【0112】図18はVPR算出ルーチンのフローチャ
ートであって、本プログラムはTDC判別信号の発生に
同期して実行される。
【0113】ステップS101〜S105では燃料減量
係数KPUNを算出する。該燃料減量係数KPUNは、
蒸発燃料であるブタンがキャニスタ28から吸気管2に
パージされることを考慮して燃料噴射弁6から噴射され
る燃料量(ガソリン量)を減量するためのものであり、
まずステップS101ではKPUマップを検索して基本
燃料減量係数KPUMを算出する。
【0114】KPUマップは、具体的には図19に示す
ように、吸気管内絶対圧PBA00〜PBA16及びエ
ンジン回転数の逆数であるME00〜ME19に対して
マトリックス状にマップ値KPUM(00,00)〜K
PUM(16,19)が与えられており、基本燃料減量
係数KPUMは該KPUマップを検索することにより読
み出され、或いは補間法により算出される。尚、該基本
燃料減量係数KPUMは、フラグFBCALが「1」に
設定されてブタン重量の演算が禁止されているときは
「1」に設定される。
【0115】次に、ステップS102ではKPUTWテ
ーブルを検索して水温補正係数KPUTWを算出する。
【0116】KPUTWテーブルは、具体的には図20
に示すように、エンジン冷却水温TW0〜TW4に対し
てテーブル値KPUTW0〜KPUTW2が与えられて
いる。
【0117】すなわち、KPUTWテーブルは、エンジ
ンの低温始動時に大量のパージガスが燃焼室に流入可能
となるようにエンジン冷却水温TWが低い程KPUTW
値が大きく設定されており、前記水温補正係数KPUT
Wは該KPUTWテーブルを検索することにより読み出
され、或いは補間法により算出される。尚、該水温補正
係数KPUTWもFBCAL=1のときは「1」に設定
される。
【0118】次に、ステップS103ではKPUAST
テーブルを検索して始動後補正係数KPUASTを算出
する。
【0119】KPUASTテーブルは、具体的には図2
1に示すように、始動後増量係数KAST0〜KAST
4に対してテーブル値KPUAST0〜KPUAST2
が与えられている。ここで、始動後増量係数KASTは
エンジン始動直後における燃料を増量させるための係数
であって、始動後の経過時間と共に徐々に小さい値に設
定され、定常運転時には「1.0」に設定される。この
図21から明らかなように、前記始動後増量係数KAS
Tが大きいとき、すなわち、燃料噴射時間が始動時に比
べ長いときは、始動後補正係数KPUASTは大きく設
定されており、前記始動後補正係数KPUASTは該K
PUASTテーブルを検索することにより読み出され、
或いは補間法により算出される。尚、該始動後補正係数
KPUASTもFBCAL=1のときは「1」に設定さ
れる。
【0120】次いで、ステップS104ではKPUTC
テーブルを検索して触媒床温度補正係数KPUTCを算
出する。
【0121】KPUTCテーブルは、具体的には図22
に示すように、触媒床温度TC0〜TC4に対してテー
ブル値KPUTC0〜KPUTC2が与えられている。
すなわち、KPUTCテーブルは触媒床温度TCが上昇
して触媒床の活性化が促進される程小さな値に設定され
ており、前記触媒床温度補正係数KPUTCは該KPU
TCテーブルを検索することにより読み出され、或いは
補間法により算出される。尚、触媒床温度補正係数KP
UTCもFBUCAL=1のときは「1」に設定され
る。
【0122】そして、ステップS105では、数式(1
6)に示すように、基本燃料減量係数KPUM、水温補
正係数KPUTW、始動後補正係数KPUAST、触媒
床温度補正係数KPUTCを乗算して燃料減量係数KP
UNを算出する。
【0123】 KPUN=KPUM×KPUTW×KPUAST×KPUTC …(16) これにより、フラグFBCALが「1」に設定されてい
る場合、すなわちブタン重量演算が禁止されている場合
を除いてエンジンの低温始動直後においては、水温補正
係数KPUTW、始動後補正係数KPUAST及び触媒
床温度補正係数KPUTCは、いずれも定常運転時に比
べて大きな値に設定されることとなり、エンジンの低温
始動直後は軽質分のブタンを主成分とする大量のパージ
ガスを燃焼室に供給することができ、低温時の燃焼性を
良好なものとすることができ、排気効率の向上を図るこ
とができる。
【0124】次に、ステップS106では燃料噴射弁6
から噴射されるガソリン量のリミットチェックを1番気
筒(#1CYL)で代表して行う。すなわち、ステップ
S105で算出された燃料減量係数KPUNを乗算して
得られる燃料噴射弁6の開弁時間が所定下限値より小さ
いか否かを数式(17)が成立するか否かにより判別す
る。
【0125】 Ti×KTOTAL(1)×KPUN<Be×TWP(1) +Ae×TiLIM …(17) 左辺は蒸発燃料を加味して所定の燃料減量を行った場合
の燃料噴射時間を示し、右辺第1項は付着燃料量TPW
の内、今回サイクル時に燃焼室に持ち去られる燃料量
を、右辺第2項は今回サイクルで燃料噴射されたものの
うち直接燃焼室に吸入される最低燃料量を夫々示してい
る。ここで、Beは噴射燃料であるガソリンの最終持ち
去り率であって、吸気管2等の管壁に付着している燃料
量(ガソリン量)の内、今回サイクル時に燃焼室に吸入
される燃料割合をいう。また、Aeは噴射燃料であるガ
ソリンの最終直接率であって、今回サイクル時に燃料噴
射弁6が噴射されたガソリン量の内、今回サイクル時に
直接燃焼室に吸入される燃料割合をいう。そして、これ
ら最終持ち去り率Be及び最終直接率Aeは後述する付
着パラメータ決定ルーチン(図28)により算出され
る。また、付着燃料量TWPは後述するTWP算出ルー
チン(図37)により算出される。また、TiLIMは
所定下限値であって、燃料噴射量Yとの関係で線形性を
保持することができる下限値に設定される。すなわち、
燃料噴射時間は通常は燃料噴射量と線型性を有する関係
にあるが、燃料噴射時間が極端に短くなると前記線型性
を保てなくなり、燃料噴射時間によっては燃料噴射量を
制御できなくなる虞がある。そこで、所定下限値TiL
IMは燃料噴射量Yの制御限界である前記線型性を保持
し得る下限値に設定することとした。
【0126】そして、前記数式(17)が成立するとき
は数式(18)により燃料減量係数KPUNの下限値を
設定する(ステップS107)。
【0127】
【数6】 次に、ステップS108では燃料減量係数KPUNが
「1」か否かを判別する。そして、燃料減量係数KPU
Nが「1」のときはフラグFBCALが「1」に設定さ
れてブタン重量の演算が禁止されている場合であり、目
標ブタン流量QBUCMDを「0」に設定してステップ
S111に進む。
【0128】一方、燃料減量係数KPUNが「1」以外
の値を有するときはステップS110に進み、数式(1
9)に基づいて蒸発燃料であるブタンの目標流量、すな
わち単位時間当たりの目標ブタン流量QBUCMDを算
出する。
【0129】 QBUCMD=(Ti×α+β)×KTOTAL(1)×(1−KPUN) ×(AFG/AFB)×(1/ME)×(1/DBU) …(19) 次いで、ステップS111ではVHCMDテーブルを検
索して流量計31の目標出力電圧VHCMDを算出す
る。
【0130】VHCMDテーブルは、具体的には図23
に示すように、目標ブタン流量QBUCMD0〜QBU
CMD15に対してテーブル値VHCMD0〜VHCM
D15が与えられており、前記目標出力電圧VHCMD
は該VHCMDテーブルを検索することにより読み出さ
れ、或いは補間法により算出される。
【0131】これにより前記目標出力電圧VHCMDに
基づきパージ流量をフィードバックすることにより、キ
ャニスタ28の過飽和状態等を招来することもなく、キ
ャニスタ28は所望の吸着能力を保持することが可能と
なる。
【0132】LPUCMD算出(パージ制御弁32の
リフト指令値)(図3、ステップS8) 図24はLPUCMD算出ルーチンのフローチャートで
あって、本プログラムはTDC判別信号の発生と同期し
て実行される。
【0133】まず、ステップS121ではVPR算出ル
ーチンで算出された目標出力電圧VHCMD(図18、
ステップS111)と流量計31により検出された出力
電圧(検出出力電圧)VHACTとの偏差ΔVHを算出
する。次いで、ステップS122に進み、前記偏差ΔV
Hが「0」より小さいか否かを判別する。
【0134】これはパージ流量をフィードバック制御す
る場合、パージ制御弁32の弁体33を開弁方向に弾発
付勢しているばね(不図示)に起因して、パージ流量を
増加させる場合と減少させる場合とで弁開度特性が異な
るためであり、前記偏差ΔVHにより、流量増加の場合
と流量減少の場合とで異なる変化速度(ゲイン速度)を
算出し、パージ流量をフィードバック制御するためであ
る。
【0135】すなわち、偏差ΔVHが「0」より小さい
とき、すなわち流量を減少させる場合は、ステップS1
23で、KVPDマップ、KVIDマップ、KVDDマ
ップを検索して流量フィードバック制御の変化速度、す
なわち比例項(P項)係数KVPD、積分項(I項)係
数KVID、微分項(D項)係数KVDDの算出を行な
う。KVPDマップ、KVIDマップ、KVDDマップ
は、エンジン回転数NE及び吸気管内絶対圧PBAに基
づき所定のマップ値が与えられており、これらのマップ
検索によりエンジンの運転状態に応じたマップ値が読み
出され、あるいは補間法により算出される。
【0136】次に、ステップS124〜S126では、
夫々数式(20)〜(22)に基づいて、各補正項すな
わちP項、I項、D項の目標補正値VHP(n)、VH
I(n)、VHD(n)を算出する。
【0137】 VHP(n)=ΔVH(n)×KVPD …(20) VHI(n)=ΔVH(n)×KVID+VHI(n−1) …(21) VHD(n)=(ΔVH(n)−ΔVH(n−1))×KVDD…(22) 一方、偏差ΔVHが「0」より大きいときはステップS
127に進み、KVPUマップ、KVIUマップ、KV
DUマップを検索して流量フィードバック制御の変化速
度、すなわち比例項(P項)係数KVPU、積分項(I
項)係数KVIU、微分項(D項)係数KVDDの算出
を行なう。KVPUマップ、KVIUマップ、KVDU
マップは、上記KVPDマップ等と同様、エンジン回転
数NE及び吸気管内絶対圧PBAに基づき所定のマップ
値が与えられており、これらのマップ検索によりエンジ
ンの運転状態に応じたマップ値が読み出され、あるいは
補間法により算出される。
【0138】次に、ステップS128〜S130では、
夫々数式(23)〜(25)に基づいて、各補正項すな
わちP項、I項、D項の目標補正値VHP(n)、VH
I(n)、VHD(n)を算出する。
【0139】 VHP(n)=ΔVH(n)×KVPU …(23) VHI(n)=ΔVH(n)×KVIU+VHI(n−1) …(24) VHD(n)=(ΔVH(n)−ΔVH(n−1))×KVDU…(25) 次に、ステップS131では数式(26)に基づき、こ
れら各補正項を加算して流量フィードバックにおける出
力電圧の目標補正値VH0BJ(n)を算出する。
【0140】 VH0BJ(n)=VHP(n)+VHI(n)+VHD(n)…(26) 次に、ステップS132に進んでQPUCMDテーブル
を検索し、目標パージ流量QPUCMDを算出する。
【0141】QPUCMDテーブルは、具体的には図2
5に示すように、前記目標補正値VH0BJ0〜VH0
BJ15に対してテーブル値QPUCMD0〜QPUC
MD15が与えられており、前記目標パージ流量QPU
CMDは該QPUCMDテーブルを検索することにより
読み出され、或いは補間法により算出される。
【0142】次いで、ステップS133ではLPUCM
Dマップを検索してパージ制御弁32の弁リフト指令値
LPUCMDを算出し、本プログラムを終了する。
【0143】LPUCMDマップは、具体的には図26
に示すように、吸気管内絶対圧PBA00〜PBA15
及び目標パージ流量QPUCMD00〜QPUCMD1
5に対してマトリックス状にマップ値LPUCMD(0
0,00)〜LPUCMD(15,15)が与えられて
おり、弁リフト指令値LPUCMDは該LPUCMDマ
ップを検索することにより読み出され、或いは補間法に
より算出される。
【0144】これにより、所望のパージ流量QPUCM
Dに基づいて弁リフト指令値LPUCMDが算出され、
該弁リフト指令値LPUCMDに応じて弁体33は開弁
し、所望のパージ流量をエンジン1に吸入することがで
きる。
【0145】[B]壁面付着補正処理 上述した蒸発燃料処理により算出された要求燃料噴射時
間TREQ(k)(図17参照)は、噴射燃料であるガ
ソリンの吸気管2内における壁面付着を考慮しておら
ず、目標燃料噴射時間TNET(k)はかかる壁面付着
を考慮して算出する必要がある。
【0146】以下、壁面付着補正処理について詳述す
る。
【0147】図27は壁面付着補正ルーチンのフローチ
ャートであって、本プログラムはTDC判別信号の発生
と同期して実行される。
【0148】まず、ステップS141では、フラグFV
TECが「0」か否かを判別し、バルブタイミングが低
速V/Tに設定されているか否かを判断する。そして、
FVTEC=0、すなわち、バルブタイミングが低速V
/Tに設定されていると判断されたときはLPARA決
定ルーチンを実行して、低速V/T時の付着パラメー
タ、すなわち噴射燃料であるガソリンの最終直接率Ae
と最終持ち去り率Beとを決定する。
【0149】しかして、図28は前記付着パラメータを
決定するLPARA決定ルーチンのフローチャートであ
って、本プログラムはTDC判別信号の発生と同期して
実行される。
【0150】まず、ステップS151ではAマップを検
索して基本直接率Aを算出する。
【0151】Aマップは、具体的には図29に示すよう
に、吸気管内絶対圧PBA0〜PBS6及びエンジン冷
却水温TW0〜TW6に対してマトリックス状にマップ
値A(0,0)〜A(6,6)が与えられており、基本
直接率Aは前記Aマップを検索することにより読み出さ
れ、或いは補間法により算出される。
【0152】次に、ステップS152ではBマップを検
索して基本持ち去り率Bを算出する。
【0153】Bマップは、具体的には図30に示すよう
に、Aマップと同様、吸気管内絶対圧PBA0〜PBA
6及びエンジン冷却水温TW0〜TW6に対してマトリ
ックス状にマップ値B(0,0)〜B(6,6)が与え
られており、基本持ち去り率Bは前記Bマップを検索す
ることにより読み出され、或いは補間法により算出され
る。
【0154】次に、ステップS153ではKAテーブル
を検索して最終直接率Aeの回転数補正係数KAを算出
する。
【0155】KAテーブルは、具体的には図31に示す
ように、エンジン回転数NE0〜NE4に対してテーブ
ル値KA0〜KA4が与えられており、前記回転数補正
係数KAは該KAテーブルを検索することにより読み出
され、或いは補間法により算出される。
【0156】次に、ステップS154ではKBテーブル
を検索して最終持ち去り率Beの回転数補正係数KBを
算出する。
【0157】KBテーブルは、具体的には図32に示す
ように、前記KAテーブルと同様、持ち去り率の回転数
補正係数NE0〜NE4に対してテーブル値KB0〜K
B4が与えられており、前記回転数補正係数KBは該K
Bテーブルを検索することにより読み出され、或いは補
間法により算出される。
【0158】次に、ステップS155に進み、フラグF
EGRが「1」にセットされているか否かを判別し、エ
ンジンの運転状態がEGR作動領域にあるか否かを判別
する。ここでEGR作動領域にあるか否かは、例えばエ
ンジン冷却水温TWが所定温度以上となってエンジンの
暖機が終了したか否かにより判別され、具体的には図示
省略のEGR作動領域判別ルーチンを実行して判断され
る。そして、FEGR=1、すなわちエンジンがEGR
作動領域にあると判断されたときは、ステップS156
に進み、KEAマップを検索して最終直接率AeのEG
R補正係数KEAを算出する。
【0159】KEAマップは、具体的には図33に示す
ように、吸気管内絶対圧PBA0〜PBA6及び燃料量
補正係数KEGR0〜KEGR4に対してマトリックス
状にマップ値KEA(0,0)〜KEA(6,4)が与
えられており、前記EGR補正係数KEAは前記KEA
マップを検索することにより読み出され、或いは補間法
により算出される。
【0160】次に、ステップS157ではKEBマップ
を検索して最終持ち去り率BeのEGR補正係数KEB
を算出する。
【0161】KEBマップは、具体的には図34に示す
ように、KEAマップと同様吸気管内絶対圧PBA0〜
PBA6及びエンジン燃料量補正係数KEGR0〜KE
GR4に対してマトリックス状にマップ値KEB(0,
0)〜KEB(6,4)が与えられており、前記EGR
補正係数KEBはKEBマップを検索することにより読
み出され、或いは補間法により算出される。
【0162】一方、FEGR=1、すなわちエンジンが
EGR非作動領域にあるときはステップS158及びス
テップS159で前記EGR補正係数KEA,KEBを
夫々「1.0」に設定する。
【0163】次に、ステップS160に進み、フラグF
BCAL「0」か否かを判別し、ブタン重量演算モード
にあるか否かを判別する。そして、FBCAL=0のと
き、すなわちブタン重量演算モードにあるときはパージ
管9を介して蒸発燃料としてのブタンが吸気管2に供給
される場合であり、ステップS161に進み、数式(2
7)の演算を行い、パージ流量が「0」のときに要求さ
れる燃料の噴射時間(=Ti×KTOTAL)に対する
前記要求燃料噴射時間TREQの比率、すなわち噴射燃
料率KPUGを算出する。
【0164】
【数7】 尚、数式(27)中、(1)は#1CYLのみ演算を行
うことにより、KPUG値を#1CYLで代表させるこ
とを意味する。
【0165】次に、ステップS162,S163では最
終直接率Ae及び最終持ち去り率Beのブタン補正係数
KVA,KVBを算出する。すなわち、吸気管2内には
空気以外にブタンが混入しているため、流体物性が変化
すると考えられ、かかるブタンによる噴射燃料(ガソリ
ン)の動特性補正を行う。
【0166】具体的には、ステップS162ではKVA
テーブルを検索して最終直接率Aeのブタン補正係数K
VAを算出する。
【0167】KVAテーブルは、図35に示すように、
噴射燃料率KPUG0〜KPUG4に対してテーブル値
KVA0〜KVA4が与えられており、前記ブタン補正
係数KVAは該KVAテーブルを検索することにより読
み出され、或いは補間法により算出される。
【0168】次に、ステップS163ではKVBテーブ
ルを検索して最終持ち去り率Beのブタン補正係数KV
Bを算出する。
【0169】KVBテーブルは、図36に示すように、
KVAテーブルと同様、噴射燃料率KPUG0〜KPU
G4に対してテーブル値KVB0〜KVB4が与えられ
ており、前記ブタン補正係数KVBは該KVBテーブル
を検索することにより読み出され、或いは補間法により
算出される。
【0170】一方、フラグFBCALが「1」にセット
されているときは、ブタン重量演算禁止モードにあり、
ブタンが吸気管2にパージされないときであり、ステッ
プS164及びステップS165で前記ブタン補正係数
KVA,KVBを夫々「1.0」に設定する。
【0171】次いで、ステップS166及びステップS
167では、数式(28),(29)に基づき最終直接
率Ae及び最終持ち去り率Beを算出し、本プログラム
を終了してメインルーチン(図27)に戻る。
【0172】 Ae=A×KA×KEA×KVA …(28) Be=B×KB×KEB×KVB …(29) 次に、図27のステップS141において、フラグFV
TECが「1」のときはステップS143に進み、HP
ARA決定ルーチンを実行して高速V/T用の付着パラ
メータ(最終直接率Ae及び最終持ち去り率Be)を算
出する。すなわち、LPARA決定ルーチンと略同様の
HPARA決定ルーチン(図示せず)を実行して前記付
着パラメータを決定する。
【0173】次に、ステップS144に進み、フラグF
SMODが「1」か否かを判別する。そして、FSMO
D=1のときは始動モードにあると判断してステップS
145に進み、数式(30)に基づき始動モード時の最
終燃料噴射時間TOUTを算出する。
【0174】 TOUT=TiCR×K1+K2 …(30) TiCRは始動モード時の基本燃料噴射時間であって、
上述したTiM値と同様、エンジン回転数NEと吸気管
内絶対圧PBAに応じて設定され、該TiCR値を決定
するためのTiCRマップが記憶手段5c(ROM)に
記憶されている。
【0175】K1及びK2は夫々各種エンジンパラメー
タ信号に応じて演算される補正係数及び補正変数であっ
て、各気筒毎にエンジンの運転状態に応じた燃費特性や
加速特性等の諸特性の最適化が図られるような所定値に
設定される。
【0176】一方、フラグFSMODが「0」のとき、
すなわち、基本モードのときはステップS146以降の
各ステップを各気筒毎(#1CYL〜#4CYL)に実
行する。
【0177】すなわち、ステップS146ではまず#1
CYLについて数式(31)に基づき、目標燃料噴射時
間TNET(k)を算出する。
【0178】 TNET(k)=TREQ(k)+TTOTAL−Be×TWP(k) …(31) ここで、TTOTALは各種センサからのエンジン運転
信号に基づいて算出される全ての加算補正項(例えば大
気圧補正項TPA等)の和である。ただし、燃料噴射弁
6の所謂無効時間TVは含まない。TWP(k)は後述
する図37のフローチャートによって算出される吸気管
付着燃料量(予測値)であり、(Be×TWP(k))
は、吸気管付着燃料が燃焼室に持ち去られる持ち去り燃
料量に相当する。持ち去り燃料量分は、新たに噴射する
必要がないので、式(31)において減算される。
【0179】ステップS147では、数式(31)によ
って算出したTNET値が「0」より小さいか否かを判
別し、TNET≦0のときには、最終燃料噴射時間TO
UTを0として燃料を強制的に供給停止し(ステップS
148)、本プログラムを終了する。TNET>0のと
きには、数式(32)により、最終燃料噴射時間TOU
Tを算出する。
【0180】 TOUT(k)=TNET(k)/Ae×KLAF+TV …(32) ここでKLAFは、LAFセンサ24の出力に基づいて
算出される空燃比補正係数であり、TVは前述した燃料
噴射弁6の無効時間である。
【0181】数式(32)によって算出された最終燃料
噴射時間TOUTだけ燃料噴射弁6を開弁することによ
り、燃焼室には(TNET(k)×KLAF+Be×T
WP(k))に相当する量の燃料が供給される。
【0182】このように#1CYLの燃料噴射時間を算
出した後、#2CYL〜#4CYLについても同様にス
テップS146〜S149を実行して各気筒毎に燃料噴
射時間TOUTが算出される。
【0183】図37は、付着燃料量TWPを算出するT
WP算出ルーチンのフローチャートであって、本プログ
ラムは所定クランク角毎(例えば、30°毎)に各気筒
毎に実行される。
【0184】まず、ステータス番号SINJ(k)(図
2参照)が噴射終了を示す「3」にセットされているか
否かを判別する(ステップS171)。
【0185】そして、ステータス番号SINJ(k)が
「3」以外の番号にセットされているときはステップS
183に進み、演算開始許可フラグFCTWPを「0」
に設定して次回ループでの付着燃料量TWPの演算開始
を許可する一方、SINJ(k)が「3」にセットされ
ているときはフラグFCTWPが「0」か否かを判別し
(ステップS172)、フラグFCTWP(k)が
「0」のときはステップS173に進んで最終燃料噴射
時間TOUT(k)が無効時間TVより小さいか否かを
判別する。そして、TOUT(k)≦TVが成立すると
きは燃料が噴射されないときであり、フラグFTWPR
が「0」か否かを判別し、付着燃料量TWP(k)が
「0」とみなせないか否かを判断する。そして、フラグ
FTWPRが「0」にセットされて付着燃料量TWPが
「0」とみなせないときはステップS175に進み、数
式(33)に基づいて今回ループにおける付着燃料量T
WP(k)を算出する。
【0186】 TWP(k)=(1−Be)×TWP(k)(n−1) …(33) ここで、TWP(K)(n−1)は前回ループ時までの
付着燃料量である。
【0187】次に、ステップS176では、付着燃料量
TWP(k)が微小所定値TWPLGより小さいか否か
を判別する。そして、TWP(k)≦TWPLGが成立
するときは、付着燃料量TWPを零とみなしてTWP
(k)=0とし(ステップS177)、さらに、フラグ
FTWPRを「1」に設定する(ステップS178)。
次いでステップS179に進み、フラグFCTWPを
「1」に設定して(ステップS179)付着燃料量TW
Pの演算終了を指示し、本プログラムを終了する。一
方、ステップS173でTOUT(k)>TVが成立す
るときは燃料が噴射される場合であり、ステップS18
0に進み、前記付着燃料量TWP(k)を数式(34)
により算出する。
【0188】 TWP(k)=(1−Be)×TWP(k)(n−1) +(1−Ae)×(TOUT(k)−TV) …(34) ここで、TWP(k)(n−1)はTWP(k)の前回
値である。また、右辺第1項は、前回付着していた燃料
のうち、今回も持ち去られずに残った燃料量を示し、右
辺第2項は今回噴射された燃料のうち、新たに吸気管に
付着した燃料量を示している。
【0189】次いで、フラグFTWPRを「1」に設定
して付着燃料量TWPが存することを示し(ステップS
181)、さらにまたフラグFCTWPを「1」に設定
して付着燃料量TWPの演算終了を指示して(ステップ
S182)本プログラムを終了する。
【0190】[II]点火時期制御 [発明が解決しようとする課題]の項で述べたように、
最適点火時期が蒸発燃料率、つまり噴射燃料率KPUG
に応じて変動するため、本実施例ではかかる噴射燃料率
KPUGに応じた点火時期の制御を行なっている。
【0191】図38は点火時期算出ルーチンのフローチ
ャートであって、本プログラムはTDC判別信号の発生
と同期して実行される。
【0192】まず、ステップS191ではフラグFVT
ECが「0」か否かを判別し、バルブタイミングが高速
V/Tに設定されているか低速V/Tに設定されている
かを判断する。そして、フラグFVTECが「0」、す
なわち、低速V/Tに設定されているときはステップS
192に進み、低速V/T用θIGマップを検索して低
速V/T時の基本点火時期θIGMを算出し、一方フラ
グFVTECが「1」、すなわち、高速V/Tに設定さ
れているときはステップS193に進み、高速V/T用
θIGマップを検索して高速V/T時の基本点火時期θ
IGMを算出する。すなわち、基本点火時期θIGMを
決定するためのθIGマップとして、低速V/T用(θ
IGMLマップ)と高速V/T用(θIGMHマップ)
の2つのマップが記憶手段5c(ROM)に記憶されて
おり、基本点火時期θIGMはθIGマップを検索する
ことにより読み出され、或いは補間法により算出され
る。
【0193】次にステップS194ではθIGPUテー
ブルを検索して噴射燃料率補正係数θIGPUTを算出
する。
【0194】θIGPUテーブルは、具体的には図39
に示すように、噴射燃料率KPUG0〜KPUG4に対
してテーブル値θIGPUT0〜θIGPUT4が与え
られている。
【0195】すなわち、θIGPUテーブルは、噴射燃
料率KPUGが高くなる程、θIGPUT値が小さくな
るように設定されており、噴射燃料率補正係数θIGP
UTは該θIGPUテーブルを検索することにより読み
出され、或いは補間法により算出される。
【0196】これにより、噴射燃料率KPUGが小さ
く、したがって蒸発燃料の割合が高いときはθIGPU
T値は大きく設定され、遅角補正量は大きくなる。
【0197】次に、ステップS195ではKIGRTW
テーブルを検索して水温補正係数KIGRTWを算出す
る。
【0198】KIGRTWテーブルは、具体的には図4
0に示すように、エンジン冷却水温TW0〜TW7に対
してテーブル値KIGRTW0〜KIGRTW5が与え
られている。
【0199】すなわち、KIGRTWテーブルは、エン
ジン冷却水温TWが高い程KIGRTW値が小さく設定
されており、前記水温補正係数KIGRTWは該KIG
RTWテーブルを検索することにより読み出され、或は
補間法により算出される。
【0200】これにより、エンジン冷却水温TWが低い
ときはKIGRTWは大きく設定され、低温時には遅角
補正量は大きくなる。
【0201】次に、ステップS196ではKIGRPB
テーブルを検索して吸気圧補正係数KIGRPBを算出
する。
【0202】KIGRPBテーブルは、具体的には図4
1に示すように、吸気管内絶対圧PBA0〜PBA3に
対してテーブル値KIGRPB0〜KIGRPB1が与
えられており、前記吸気圧補正係数KIGRPBは該K
IGRPBテーブルを検索することにより読み出され、
或いは補間法により算出される。
【0203】ステップS197では数式(35)に基づ
いて遅角補正値θIGPURを算出する。
【0204】 θIGPUR=θIGPUT×KIGRTW×KIGRPB …(35) 次に、ステップS198では進角補正値等その他の補正
係数θIGCRを算出し、最後にステップS199で数
式(36)に基づき点火時期θIGを算出し、本プログ
ラムを終了する。
【0205】 θIG=θIGM+θIGCR−θIGPUR …(36) これにより、少なくとも噴射燃料率KPUG及びエンジ
ン冷却水温TWに応じて点火時期は遅角補正され、かか
る遅角補正された最適点火時期でもって点火時期が制御
され、大量の蒸発燃料がエンジン1の燃焼室に吸入され
ても排気効率の低下及び運転性能の悪化を回避すること
ができる。
【0206】図42は本実施例の排気特性を従来例との
比較において示したものである。
【0207】この図42から明らかなように、従来例に
おいてはNOxの排出率がappmのときはHCの排出率
がbppmであったのに対し、本実施例ではcppmまで低減
することができる。また、HCの排出率がdppmのとき
は従来例ではNOxの排出率がeppmであったのに対
し、本実施例ではfppmまで低減することができ、本実
施例により排気効率の向上を図ることができる。
【0208】尚、本発明は上記実施例に限定されるもの
ではなく、要旨を逸脱しない範囲において変更可能なこ
とはいうまでもない。例えば、上記実施例では各補正項
θIGPUT,KIGRTW,KIGRPB,θIGC
Rを低速V/Tと高速V/Tとで共通としたが、必要に
応じてバルブタイミングの設定状態に応じ夫々算出して
も良い。
【0209】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係る内燃エ
ンジンの制御装置は、前記エンジンに供給される総燃料
量の内、燃料噴射弁から噴射される噴射燃料量の比率を
算出する噴射燃料率算出手段と、少なくともエンジン冷
却水温を含む運転状態を検出する運転状態検出手段と、
前記噴射燃料率算出手段の算出結果と前記運転状態検出
手段の検出結果とに基づいて点火時期を制御する点火時
期制御手段とを有しているので、常に最適点火時期で点
火することが可能となり、大量の蒸発燃料がエンジンの
燃焼室に流入しても排気効率の低下や運転性能の悪化が
招来するのを回避することができる。
【0210】また、前記噴射燃料率算出手段と、前記総
燃料量算出手段の算出結果と前記要求燃料量決定手段の
決定結果に基づいて前記比率を算出することにより、上
記効果を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の係る内燃エンジンの制御装置の一実施
例を示す全体構成図である。
【図2】CYL信号パルス、CRK信号パルス等の発生
タイミング及び燃料噴射タイミングを示すタイムチャー
トである。
【図3】蒸発燃料処理ルーチンのフローチャートであ
る。
【図4】パージ領域判別ルーチンのフローチャートであ
る。
【図5】零点調整ルーチンのフローチャートである。
【図6】VHW0算出ルーチンのフローチャートであ
る。
【図7】QVAPER算出ルーチンのフローチャートで
ある。
【図8】QBEマップである。
【図9】QHWテーブル図である。
【図10】KTPテーブル図である。
【図11】KPAPテーブル図である。
【図12】CBUテーブル図である。
【図13】DVAPER算出ルーチンのフローチャート
である。
【図14】τpマップである。
【図15】Baマップである。
【図16】Bbマップである。
【図17】TREQ算出ルーチンのフローチャートであ
る。
【図18】VPR算出ルーチンのフローチャートであ
る。
【図19】KPUマップである。
【図20】KPUTWテーブル図である。
【図21】KPUASTテーブル図である。
【図22】KPUTCテーブル図である。
【図23】VHCMDテーブル図である。
【図24】LPUCMD算出ルーチンのフローチャート
である。
【図25】QPUCMDテーブル図である。
【図26】LPUCMDマップである。
【図27】壁面付着補正ルーチンのフローチャートであ
る。
【図28】LPARA決定ルーチンのフローチャートで
ある。
【図29】Aマップである。
【図30】Bマップである。
【図31】KAテーブル図である。
【図32】KBテーブル図である。
【図33】KEAマップである。
【図34】KEBマップである。
【図35】KVAテーブル図である。
【図36】KVBテーブル図である。
【図37】TWP算出ルーチンのフローチャートであ
る。
【図38】点火時期算出ルーチンのフローチャートであ
る。
【図39】θIGPUテーブル図である。
【図40】KIGRTWテーブル図である。
【図41】KIGRPBテーブル図である。
【図42】本発明の排気特性を従来例との比較において
示した図である。
【図43】蒸発燃料率と点火時期との関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 内燃エンジン 2 吸気管(吸気系) 5 ECU(噴射燃料率算出手段、点火時期制御手段、
総燃料量算出手段、蒸発燃料量算出手段、要求燃料量決
定手段) 6 燃料噴射弁 9 パージ管(パージ通路) 10 蒸発燃料処理系 12 PBAセンサ(運転状態検出手段) 14 TWセンサ(運転状態検出手段) 15 CRKセンサ(運転状態検出手段) 26 燃料タンク 28 キャニスタ 31 熱線式流量計(流量計) 32 パージ制御弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 町田 圭 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−41642(JP,A) 実開 昭62−56769(JP,U) 実開 昭61−3940(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 25/08 F02D 41/00 - 45/00 395

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料タンクと、該燃料タンクから発生す
    る蒸発燃料を吸着貯蔵するキャニスタと、該キャニスタ
    と内燃エンジンの吸気系とを接続するパージ通路と、パ
    ージ制御弁とを有する蒸発燃料処理系を備えた内燃エン
    ジンの制御装置において、 前記エンジンに供給される総燃料量の内、燃料噴射弁か
    ら噴射される噴射燃料量の比率を算出する噴射燃料率算
    出手段と、少なくともエンジン冷却水温を含む運転状態
    を検出する運転状態検出手段と、前記噴射燃料率算出手
    段の算出結果と前記運転状態検出手段の検出結果とに基
    づいて点火時期を制御する点火時期制御手段とを有して
    いることを特徴とする内燃エンジンの制御装置。
  2. 【請求項2】 前記運転状態検出手段が、エンジン回転
    数を検出する回転数検出手段と、エンジンの負荷状態を
    検出する負荷状態検出手段とを含むと共に、 前記運転状態検出手段の検出結果に基づきエンジンに供
    給されるべき総燃料量を算出する総燃料量算出手段と、
    エンジンに吸入される蒸発燃料量を算出する蒸発燃料量
    算出手段と、該蒸発燃料量算出手段の算出結果に基づい
    て前記燃料噴射弁から噴射される要求燃料量を決定する
    要求燃料量決定手段とを有し、 前記噴射燃料率算出手段が、前記総燃料量算出手段の算
    出結果と前記要求燃料量決定手段の決定結果とに基づい
    て前記比率を算出することを特徴とする請求項1記載の
    内燃エンジンの制御装置。
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