JP3133813U - 和傘及び和傘を用いた装飾具 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の和傘にはない構成を備えることによって、従来にはない装飾性が付与された和傘、及び該和傘を用いた装飾具を提供する。
【解決手段】軸部、軸部に摺動自在に外挿された手元ろくろ、軸部の頭部端部にそれぞれの一端が軸支されると共に放射状に展設された複数本の親骨3、及び、親骨3の中途部にそれぞれの一端が連結されると共に、それぞれの他端が手元ろくろに対して放射状に展設された複数本の子骨によって開閉可能に構成され、隣接する親骨3の軒先端部3cを連結する軒糸を被覆する軒紙7、及び、軒紙7に重畳すると共に親骨間に張設された傘地10を備えた和傘1であって、軒紙7は、染色または印刷によって和紙に模様が施された模様和紙が、剥離によって薄層化された薄層模様和紙で構成されている。
【選択図】図2

Description

本考案は、和傘及び和傘を用いた装飾具に関するものである。
古くより、竹を細く削った複数本の骨を放射状に組み付け、その骨に傘地として和紙を張り、油引きをして防水性を持たせた和傘が使用されている。また、傘地を張り付ける長い親骨と、親骨の中途部に一端が結び付けられた短い子骨とで骨を構成させ、子骨の他端が挿し込まれた円筒状のろくろ(手元ろくろ)を軸柄に沿ってスライドさせることにより、開閉を可能とした現在の形の和傘は、江戸時代に広く普及したと言われている。
しかしながら、洋傘の普及や、和服を着用する機会の減少に伴って、和傘を利用する人は急激に減少している。最近では、和服を着用する際でも和傘を利用する人は稀となり、和傘が利用される場面も限定されて来ている。
本考案者は、古くからの日本の伝統文化の一つである和傘を伝え、伝統に立脚しつつ、現代に適合する新しさを備えた和傘の開発を、かねてより進めている。そして、本考案者は、「デニムに和傘」をコンセプトに、“和傘は和装に”という従来の固定観念にとらわれることなく、現代の人々の服装にも似合い、現代の街並みにも映える和傘を、種々提案したいと考える。
従来の和傘は、伝統的な構成がそのまま踏襲されて来ており、デザインも画一的なものであった。そこで、現代に適合する和傘とするためには、新規な構成を備えさせることによって、従来の和傘にはない装飾性を付与することが必要であると考える。また、従来にはない装飾性を付与することにより、従来にはない用途に和傘を用いることも、可能となると考える。
そこで、本考案は上記の実情に鑑み、従来の和傘にはない構成を備えることによって、従来にはない装飾性が付与された和傘、及び該和傘を用いた装飾具の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本考案に係る和傘は、「軸部、該軸部に摺動自在に外挿された手元ろくろ、前記軸部の頭部端部にそれぞれの一端が軸支されると共に放射状に展設された複数本の親骨、及び、該親骨の中途部にそれぞれの一端が連結されると共に、それぞれの他端が前記手元ろくろに対して放射状に展設された複数本の子骨によって開閉可能に構成され、隣接する前記親骨の軒先端部を連結する軒糸を被覆する軒紙、及び、該軒紙に重畳すると共に前記親骨間に張設された傘地を備えた和傘であって、前記軒紙は、染色または印刷によって和紙に模様が施された模様和紙が、剥離によって薄層化された薄層模様和紙で構成されている」ものである。
「軸部」は、一端(頭部端部)で「親骨」を支持すると共に、他端側は把持部となる。また、「手元ろくろ」は筒状に形成され、軸部を挿通させることにより、軸部に対して摺動自在となる。一般的に、手元ろくろと対をなす有底筒状の頭ろくろが、軸部の頭部端部に挿し込まれ、この頭ろくろの外周面に、それぞれの親骨の一端が差し込まれることにより、親骨は頭ろくろを介して軸部に軸支される。また、それぞれの親骨の長手方向の中途部には、親骨と同数で親骨より短い「子骨」の一端が回動自在に連結され、他端は手元ろくろの外周面に挿し込まれる。このような構成により、親骨及び子骨は、軸部の軸心周りにそれぞれ放射状に展設され、手元ろくろを軸部に沿って摺動させると、子骨の軸部に対する回動が親骨に伝達されて、親骨が軸部に対して回動し、傘が開閉する。なお、親骨及び子骨の本数は特に限定されず、例えば、40本、44本、48本とすることができる。
「軒先端部」は、それぞれの親骨において、軸部に支持された端部と反対側の端部であり、「軒糸」は、放射状の親骨が展開された状態(傘が開かれた状態)で、隣接する親骨の軒先端部どうしをつなぐように結び付けられる。
「和紙」は、コウゾ、ミツマタ、ガンピ等の靭皮繊維を主原料とし、針葉樹・広葉樹の木質部を主原料とした“洋紙”に比べて、繊維が長い紙を指している。なお、古くからの製法である流し漉きの手法による手漉きの和紙の他、手漉きの風合いを持たせることを意図しつつ、機械漉きで製造された和紙をも含む意で用いている。
「模様和紙」は、染色または印刷によって模様が形成された和紙を総称する意で用いており、友禅紙、総柄友禅紙、更紗紙、江戸千代紙、京千代紙等を例示することができる。
従来の和傘にはない新しい魅力を求める過程で、本考案者は、「軒紙」と呼ばれる構成に着目した。ここで、軒紙とは、放射状に展設された親骨の先端を連結した「軒糸」を、包み込むように張られる和紙である。このようにして軒紙を張ることにより、親骨の間隔が固定されると共に、“軒先”と称される傘の周縁部が補強される。ところで、開閉可能な構成の傘の場合、閉じられる際に傘地が折り畳まれるため、傘地には、折り畳まれ易いことが要請される。特に、傘地が外側に折り畳まれる洋傘とは異なり、和傘では傘地が内側に折り畳まれるため、折り畳まれたときに傘地が嵩張らず、隣接する親骨の間にすっきりと収容される必要がある。そのため、和傘に使用される和紙は、丈夫で、しかも薄い紙が選択される。
更に、軒先では、軒紙自体が軒糸を包み込むように折り重ねられて二重となることに加え、軒紙に傘地が重畳して張られるため、その部分は傘地の他の部分より厚くなる。従って、傘の開閉に支障をきたさず傘地が折り畳まれるためには、軒紙として使用できる紙の厚さには、自ずから制約がある。そのため、軒紙としては、古くから現在に至るまで、伝統的に軒紙用として使用されてきた薄い和紙が、画一的に選択され続けている。そして、従来より、軒紙には傘地と同系色の単色のものが使用され、目立たないように傘地でほぼ被覆されるのが通常である。すなわち、従来の和傘では、軒紙はなるべく目立たせたくない部分であった。
本考案では、そのような軒紙を敢えて和傘を装飾する構成として捉え、軒紙として上記の模様和紙を用いることとした。しかしながら、模様和紙は、染色や印刷によって鮮明かつ繊細な模様を形成するために、厚い和紙が選択され加工されている。また、模様和紙は、和紙人形などの紙細工を主な用途としているため、ハンドリングのし易さや、作品の出来上がり状態が考慮され、この点からも厚い模様和紙が製造されている。そのため、仮に、模様和紙をそのまま軒紙として使用したとすれば、軒糸を包み込むように被覆することで二重となる上に、傘地とも重畳することで更に厚くなり、傘地の周縁部がごわついて、嵩張るものとなる。その結果、傘を閉じようとした際に、傘地が折り畳まれにくいものとなり、隣接する親骨間に傘地がすっきりと収容されず、傘の開閉に支障をきたす恐れがある。
そこで、本考案では、剥離によって薄層化された薄層模様和紙を軒紙として用いる。ここで、「剥離」は、模様和紙の繊維が展延する方向に、紙の繊維を剥ぐことを意味している。例えば、薄層模様和紙は、剥離されていない和紙に比べて、約1/4〜3/4の厚さとすることができる。
上記の構成により、本考案によれば、開閉可能な構成の和傘であるため、軒紙には薄いことが要請されるところ、薄い和紙でありながら模様を有する薄層模様和紙で軒紙を構成させることにより、開閉に支障をきたす恐れなく、模様和紙の模様を活かして和傘を装飾することができる。特に、もともと薄い和紙に繊細かつ鮮明な模様を施す加工を行うことは困難であるが、本考案では、厚手の和紙にいったん模様が施された模様和紙を、剥離して薄くした薄層模様和紙を用いることにより、繊細かつ鮮明な模様で和傘を装飾することができる。
加えて、従来は和傘を装飾する要素として扱われてこなかった軒紙を、和傘を装飾する構成とすることにより、従来にない新しい装飾性の付与された和傘となる。そして、友禅和紙、更紗和紙など非常に種類が多い模様和紙を利用し、また、模様のない和紙と様々に組み合わせることにより、和傘に多様な装飾を施すことができ、和傘を通して多様な表現をすることが可能となる。
なお、傘地は軒紙の外側に重畳して張られるものであり、従来では、傘地の周縁から軒紙が露呈しないように、傘地で軒紙が被覆されるのが通常であった。本考案では、傘地の外側の周縁に沿って、敢えて軒紙が露呈するように傘地を張ることとすれば、傘地の外側の周縁を模様を有する軒紙によって縁取ることができ、好適である。あるいは、軒紙がほぼ被覆されるように傘地を張れば、傘地の内側の周縁のみが軒紙の模様で縁取られることとなり、主に使用者側の視点で装飾された和傘となる。また、傘地から露呈させる軒紙の面積を変えることによって、軒紙による装飾の程度を変化させることができる。
本考案に係る和傘は、「前記傘地は、白色系の単色の和紙に墨書画が施された墨書画部を備える」ものとすることができる。
「墨書画」は、墨書(墨による文字)、墨絵、水墨画を総称する意で用いている。また、「墨書画部」には、墨書、墨絵、水墨画の全てが施されている必要はなく、例えば、墨書のみ、墨絵のみであっても良い。ここで、「白色系の単色の和紙」とは、上記の墨書画に通常用いられている、白色、黄味がかった白色、うす茶がかった白色等の和紙を指している。
上記の構成により、モノクロに近く色数の少ない墨書画部を備えた傘地が、色彩の華やかな模様和紙によって装飾される。特に、軒紙を傘地から露呈させた場合であっても、その面積は傘地の面積に比べて非常に小さいため、墨書画の有する渋さや端整さを損なうことなく、控えめな装飾を施こすことができ、墨書画が一層引き立つものとなる。また、模様を有する軒紙に縁取られることによって、あたかも、額装された墨書画や、表装された掛軸のような、整えられた印象を有するものとなる。
次に、本考案に係る和傘を用いた装飾具は、「上記に記載の和傘と、該和傘を、開かれた状態で建物の側面に前記頭部端部を向けて取り付ける固定具とを備え、前記固定具は、一端に前記頭部端部を掛止する第一掛止部が設けられていると共に、他端が建物の側面または天井に取り付けられる線状の第一固定部材、及び、一端に、前記軸部の両端部のうち前記頭部端部と反対側の手元端部を掛止する第二掛止部が設けられていると共に、他端が建物の側面または天井に取り付けられる線状の第二固定部材を具備する」ものである。
「建物の側面」は、壁、柱、障子、窓、襖、扉等、建物における略鉛直な構成を総称する意味で用いている。
「第一掛止部」及び「第二掛止部」は、それぞれ軸部の頭部端部及び手元端部を挿通させて掛止する環状・筒状の構成とすることができる。例えば、第一掛止部は、和傘に隠れて鑑賞者からは見えない部分となるため、ある程度重みのある筒状とすれば、その自重により、建物の側面または天井から垂下された状態が安定する。また、第二掛止部は、鑑賞者の目に付き易いため、幅の小さい環状とすることができる。あるいは、両掛止部の少なくとも何れかを、軸部の端部を引き掛けて掛止するフック状の構成とすることができる。特に、頭部端部において、合羽と称される小さな布・和紙が被せられている場合は、合羽を留めるために頭部端部に紐が巻き付けられているのが通常であるため、この紐を利用して、フック状の掛止部で引き掛け掛止することができる。
線状の「第一固定部材」及び「第二固定部材」は、共に、長尺の紐、糸、ワイヤ、鎖等で構成させることができる。例えば、第二固定部材にテグスを用いれば、目立ちにくく好適である。なお、第一固定部材は和傘に隠れる部分が多く目立ちにくいため、剛性を有するワイヤ等を使用することもできる。また、第一固定部材及び第二固定部材の長さを調節可能なアジャスターを、更に備えるものとすれば、和傘のバランスをとり易く、種々のサイズの和傘に適用し易くなり、好適である。
なお、第一掛止部及び第二掛止部は、それぞれ第一固定部材及び第二固定部材に一体的に設けられる構成であっても良い。例えば、第二掛止部は鑑賞者の目に付き易いため、テグスで構成させた第二固定部材の端部を環状に結び、これを第二掛止部とすることができる。
また、第一固定部材及び第二固定部材は、他の部材を介して建物の側面または天井に取り付けられるものとすることができる。例えば、両固定部材において、建物の側面または天井に取り付けられる側の端部が、共に一つの基体に取り付けられている構成とすれば、基体を建物の側面または天井に取り付けるのみで、第一固定部材及び第二固定部材を同時に建物の側面等に取り付けることができる。
上記の構成により、本考案によれば、頭部端部を建物の側面に向けた状態で和傘が固定され、和傘が開かれた状態では傘地はドーム状となるため、軒紙で縁取りをされた傘地の周縁部が鑑賞者の側に向けられることとなる。これにより、薄層模様和紙で構成させた軒紙が発揮する装飾性を、装飾具として活かすことができる。特に、内側では軒紙は傘地に全く被覆されることなく露呈しているため、傘地の内側を鑑賞の対象とすることにより、軒紙が有する模様による装飾性をより活かした装飾具となる。
また、従来の和傘は、鑑賞の対象とされる場合であっても、外側からの視点によるものであり、傘地の周縁部を積極的に鑑賞させるという発想も、傘の内側を積極的に鑑賞させるという発想もなかった。これに対し、本考案では、従来では目立たないように処理されていた軒紙を、敢えて装飾のための構成とすることにより、伝統的な素材である和傘が、傘地の周縁部を鑑賞させる装飾具、及び、傘を内側から鑑賞させる装飾具という、非常に斬新な用途に用いられるものとなる。
更に、本考案の装飾具は、薄層模様和紙の模様と、傘地の色彩や模様とを組み合わせることによって、多様な装飾性を持たせることができるため、装飾具の取り付けられる場所や使用者の好みに適合した雰囲気を、自在に演出することができる。また、装飾具として和傘を用いることにより、和傘を差して出歩かなくとも、和傘をより身近で親しみ易いものとして、生活の中で楽しむことができる。
なお、傘の内側が鑑賞の対象となるため、子骨に沿って「糸かがり」を施すことにより、装飾具としての装飾性を更に高めることができる。更に、本考案では、軸部が鑑賞者の側に向けられるため、軸部に漆塗りを施して蒔絵仕上げをし、あるいは、革紐など着色された紐を巻回させることによって、より装飾性を高めることもできる。
以上のように、本考案の効果として、従来の和傘にはない構成を備えることによって、従来にはない装飾性が付与された和傘、及び該和傘を用いた装飾具をを提供することができる。
以下、本考案を実施するための最良の一実施形態である和傘について、図1乃至図7に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の和傘の構成を示す底面図(内側から見た図)であり、図2は図1のA範囲を説明する拡大図であり、図3は図1の和傘を外側から見た写真であり、図4乃至図7は図1の和傘のバリエーションを示す写真である。
本実施形態の和傘1は、図1及び図2に示すように、軸部2、軸部2に摺動自在に外挿された手元ろくろ6、軸部2の頭部端部にそれぞれの一端が軸支されると共に放射状に展設された複数本の親骨3、親骨3の中途部にそれぞれの一端が連結されると共に、それぞれの他端が手元ろくろ6に対して放射状に展設された複数本の子骨4によって開閉可能に構成され、隣接する親骨3の軒先端部3cを連結する軒糸を被覆する軒紙7、及び、軒紙7に重畳すると共に親骨3間に張設された傘地10を備えた和傘であって、軒紙7は、染色または印刷によって和紙に模様が施された模様和紙が、剥離によって薄層化された薄層模様和紙で構成されているものである。
より詳細に説明すると、軸部2は丸棒状に形成され、その端部に、略円筒状の頭ろくろ(図示しない)が差し込まれている。この頭ろくろの外周面には、親骨3の数と同数の溝が形成されており、この溝に親骨3の一端が挟み込まれることにより、親骨3は頭ろくろを介して軸部2に軸支されると共に、軸部2の軸心周りに放射状に展設されている。
また、頭ろくろと対をなす略円筒状の手元ろくろ6が、軸部2を挿通させることにより、軸部2に対して摺動自在となっている。そして、親骨3と同数で親骨3より短い子骨4が、それぞれの一端が親骨3の長手方向の中途部に糸で連結されると共に、他端が手元ろくろ6の外周面に設けられた溝(図示しない)に挟み込まれ、手元ろくろ6を介して軸部2に軸支されている。これにより、手元ろくろ6を軸部2に沿って摺動させると、子骨4の軸部2に対する回動が親骨3に伝達されて、親骨3が軸部2に対して回動し、親骨3に張設された傘地10が開閉される。
それぞれの親骨の軒先端部3cには孔(図示しない)が穿設されており、この孔に軒糸(図示しない)を通して親骨3に結び付けることにより、隣接する親骨3が軒糸によって連結されている。更に、細長い略長方形に形成された軒紙7を、長手方向に沿って二つ折りにしつつ、その間に軒糸を挟み込むように接着することにより、軒紙7によって軒糸が被覆されている。そして、親骨3に傘地10が張られる際、本実施形態では、軒紙7の一部のみと傘地10を重畳させ、傘地10の外側の周縁に沿って、敢えて軒紙7を露呈させている。
本実施形態の軒紙7は、模様和紙を剥離によって薄層化した薄層模様和紙で構成される。そのため、模様和紙に繊細かつ鮮明に施された模様は、薄層模様和紙にそのまま維持されている。なお、本実施形態では、傘地10として、模様のない単色の和紙を使用した場合を例示する。
本実施形態の和傘1を外から見た場合は、図3に示すように、模様のない単色の傘地10によって、落ち着いたシンプルな印象を与えると共に、傘地10に比べてごく小さな面積ではあるが、色彩鮮やかな模様を有する軒紙7によって縁取りがされることにより、華美になり過ぎない装飾性が付与されている。また、傘地に同一の和紙を用いた複数の和傘であっても、軒紙7に用いる薄層模様和紙を異ならせることにより、全く別の印象を与える和傘とすることができる。
上記では、傘地10には模様が施されない場合を例示したが、図4乃至図6に例示するように、染色または印刷によって形成された模様が施された模様和紙を、傘地10に用いることもできる。ここで、図4は、更紗紙を円環状に用いた模様部21と、模様のない単色の無模様部30とで傘地10を構成させた場合、図5は、友禅和紙を長方形の形状のまま用いた模様部21と、単色の無模様部30とで傘地10を構成させた場合、図6は傘地10の全体を模様和紙で構成させて模様部21とした場合である。
上記のように、傘地10にも模様和紙を用いる場合、軒紙7を構成させる薄層模様和紙は、傘地10に用いたものと同一の模様和紙を薄層化したものであっても、傘地10に用いたものとは異なる模様を有する模様和紙を薄層化したものであっても良い。
また、図7に例示するように、傘地10を、白色系の単色地に墨書26及び墨絵27が施された、墨書画部25を有するものとすることができる。このような墨書画部25は、モノクロに近く色数の少ないものであるが、傘地10に比べて面積は小さいが、色彩の華やかな模様を有する軒紙7によって縁取りがなされることにより、墨書26や墨絵27の有する渋さや端整さが損なわれることなく、控えめな装飾が施され、墨書26や墨絵27が一層引き立つものとなる。また、模様を有する軒紙7で縁取られることによって、あたかも、額装された墨書画や、表装された掛軸のような、整えられた印象を与えるものとなる。加えて、使用者自身の墨書画の作品を傘地として用いれば、その和傘を差して出歩くことにより、街を展覧会場として、さりげない自己表現をすることもできる。
なお、図7では、傘地10の全体を墨書画部25で構成している場合を例示したが、これに限定されず、傘地10に対して部分的に墨書画部25が設けられるものとすることもできる。
以上のように、上記の実施形態によれば、従来では、目立たないよう傘地と同色とされて傘地で覆い隠されていた軒紙7を、敢えて和傘を装飾する部分として用い、模様を備える構成としたことにより、和傘1に多様な装飾性を付与することができる。また、軒紙7は傘地10に対して面積が非常に小さいため、華美になり過ぎない控えめな装飾を和傘1に施すことが可能となる。加えて、薄層模様和紙で軒紙7を構成させることにより、開閉に支障をきたさないための薄さを備えると共に、繊細かつ鮮明な模様で和傘を装飾することができる。
次に、本考案を実施するための最良の一実施形態である和傘を用いた装飾具(以下、単に「装飾具という)について、図8乃至図10に基づいて説明する。ここで、図8は本実施形態の装飾具における固定具の構成を示す(a)正面図、及び(b)側面図であり、図9は本実施形態の装飾具の使用状態を説明する斜視図であり、図10は本実施形態の装飾具の一例について、内側部分を拡大した写真である。
本実施形態の装飾具50は、上記の実施形態の和傘1と、固定具55とを具備し、固定具55は、共に線状の第一固定部材51及び第二固定部材52を備えている。より詳細に説明すると、図8(a),(b)に示すように、第一固定部材51の一端には、軸部2の頭部端部2aを掛止する略円筒状の第一掛止部51bが設けられており、他端は略板状の基体53に取り付けられている。また、第二固定部材52の一端には、軸部2の両端部のうち頭部端部2aと反対側の手元端部2bを掛止する円環状の第二掛止部52bが設けられていると共に、他端は上記の基体53に取り付けられている。そして、基体53には、基体53を建物の側面や天井に留め付けるための釘やビスを挿通させる孔部54が穿設されている。
装飾具50の使用にあたっては、まず、基体53を建物の側面または天井に留め付ける。本実施形態の装飾具50は、頭部端部2aを建物の側面に向けて固定されるものであるが、建物の側面が窓や障子など基体53が取り付けにくい場所である場合や、基体53が鑑賞者の視野に入らないようにしたい場合等は、基体53を天井に取り付けることができる。このようにして基体53が建物の側面等に取り付けられると、第一掛止部51b及び第二掛止部52bが、それぞれ基体53の下方に垂下された状態となる。
そして、第一掛止部51bに頭部端部2aを挿通させ、頭部端部2aを建物の側面60に向けた状態で、第二掛止部52bに手元端部2bを挿通することにより、図9に示すように、装飾具50が固定された状態となる。なお、図9では、基体53を建物の側面60に取り付け、建物の側面60が壁である場合を例示している。ここで、第一固定部材51及び第二固定部材52の線状の長さは、予め和傘1のサイズに合わせて設定しておくことができる。あるいは、長さを調節可能なアジャスターを備える構成とし、種々のサイズの和傘に適用し易いものとすることもできる。
上記のように、頭部端部2aを建物の側面60に向けた状態で装飾具50が取り付けられると、軒紙7で縁取られた傘地10の周縁部が鑑賞者の側に向けられることとなる。これにより、軒紙7を構成する薄層模様和紙によって発揮される装飾性を、装飾具50として活かすことができる。
なお、和傘1の内側が鑑賞の対象となるため、本実施形態では、図10に示すように、手元ろくろ6の近傍に、複数段にわたって糸かがり65を施し、更に装飾性を高めている。この糸かがり65は、一つ網、二つ網、一目置山、くさり、一目置くさり、小千鳥などの多種のパターンを組み合わせ、また、色の異なる糸を組み合わせて、極めて複雑かつ繊細に構成されている。
加えて、図示は省略するが、本実施形態では、鑑賞者の目に付き易い軸部2を、漆蒔絵仕上げとし、更に装飾性を高めている。また、装飾具50が取り付けられる場所や、使用者の好みにより、手元端部2b側にカラフルな紐を巻回したり、高級感を感じさせる革紐を巻回させることもできる。
以上のように、本実施形態によれば、和傘1の有する装飾性、特に、傘地10の周縁部に施された装飾、及び傘地10の内側に施された装飾が活かされた、従来にない装飾具50となると共に、和傘1を差して出歩かなくとも、和傘1をより身近で親しみ易いものとして、生活の中で楽しむことができる。
加えて、本実施形態では、和傘1に対して着脱自在な固定具55を有していることにより、容易に建物に取り付けて鑑賞することができると共に、固定具55を容易に取り外し、すぐに和傘1として使用することができる。これにより、実用的な和傘1としての機能を、兼ね備えた装飾具50となる。
以上、本考案について好適な実施形態を挙げて説明したが、本考案はこの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本考案の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、糸かがり、軸部の蒔絵仕上げ、軸部への革紐等の巻回による装飾を、装飾具に用いられる和傘に施す場合を例示したが、もちろん実用的に使用する和傘についても、これらの装飾を施すことができる。
また、本実施形態の装飾具では、実用的な和傘をそのまま装飾具に用いる場合を例示したが、これに限定されず、主に装飾具に用いる和傘として、通常のサイズより全体的に小さいサイズとしたり、親骨の長さに対する軸部の長さの割合を小さい設定とすることができる。
本実施形態の和傘の構成を示す底面図(内側から見た図)である。 図1のA範囲を説明する拡大図である。 図1の和傘を外側から見た写真である。 図1の和傘のバリエーションを示す写真である。 図1の和傘のバリエーションを示す写真である。 図1の和傘のバリエーションを示す写真である。 図1の和傘のバリエーションを示す写真である。 本実施形態の装飾具における固定具の構成を示す(a)正面図、及び(b)側面図である。 本実施形態の装飾具の使用状態を説明する斜視図である。 本実施形態の装飾具の一例について、内側部分を拡大した写真である。
符号の説明
1 和傘
2 軸部
2a 頭部端部(軸部)
2b 手元端部(軸部)
3 親骨
3c 軒先端部
4 子骨
6 手元ろくろ
7 軒紙
10 傘地
25 墨書画部
50 装飾具(和傘を用いた装飾具)
51 第一固定部材
51b 第一掛止部(第一固定部材)
52 第二固定部材
52b 第二掛止部(第二固定部材)
55 固定具
60 建物の側面

Claims (3)

  1. 軸部、該軸部に摺動自在に外挿された手元ろくろ、前記軸部の頭部端部にそれぞれの一端が軸支されると共に放射状に展設された複数本の親骨、及び、該親骨の中途部にそれぞれの一端が連結されると共に、それぞれの他端が前記手元ろくろに対して放射状に展設された複数本の子骨によって開閉可能に構成され、隣接する前記親骨の軒先端部を連結する軒糸を被覆する軒紙、及び、該軒紙に重畳すると共に前記親骨間に張設された傘地を備えた和傘であって、
    前記軒紙は、染色または印刷によって和紙に模様が施された模様和紙が、剥離によって薄層化された薄層模様和紙で構成されていることを特徴とする和傘。
  2. 前記傘地は、白色系の単色の和紙に墨書画が施された墨書画部を備えることを特徴とする請求項1に記載の和傘。
  3. 請求項1または請求項2に記載の和傘と、
    該和傘を、開かれた状態で建物の側面に前記頭部端部を向けて取り付ける固定具とを備え、
    前記固定具は、
    一端に前記頭部端部を掛止する第一掛止部が設けられていると共に、他端が建物の側面または天井に取り付けられる線状の第一固定部材、及び、
    一端に、前記軸部の両端部のうち前記頭部端部と反対側の手元端部を掛止する第二掛止部が設けられていると共に、他端が建物の側面または天井に取り付けられる線状の第二固定部材を具備する
    ことを特徴とする和傘を用いた装飾具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114128965A (zh) * 2021-12-14 2022-03-04 湘潭沛国堂工艺品有限公司 一种工艺伞生产用伞骨加工用固定装置
TWI768811B (zh) * 2021-04-07 2022-06-21 國立勤益科技大學 摺收傘

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