JP3132516B2 - 太陽電池用透明導電性基体およびこれを用いた太陽電池 - Google Patents

太陽電池用透明導電性基体およびこれを用いた太陽電池

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JP3132516B2 JP03254556A JP25455691A JP3132516B2 JP 3132516 B2 JP3132516 B2 JP 3132516B2 JP 03254556 A JP03254556 A JP 03254556A JP 25455691 A JP25455691 A JP 25455691A JP 3132516 B2 JP3132516 B2 JP 3132516B2
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    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透光性基体(以下、単
に基体ともいう)上に酸化錫を主成分とする透明導電性
薄膜が形成された太陽電池用透明導電性基体および該基
体の透明導電膜上に薄膜半導体、裏面電極を順次形成し
てなる薄膜太陽電池の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】透光性基体上に、薄膜太陽電池の受光側
電極として、酸化錫を主成分とする透明導電膜(以下
導電膜ともいう)を作成する手法は広く用いられてい
るが、膜の微細構造を検討し導電膜を最適化した提案
しては、特開昭60−240166号および特開昭61
−115354号が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開昭60−2401
66号によれば、導電膜を受光面(本発明における透光
性基体の面)に垂直に起立した柱状結晶により形成する
ことにより9〜9.6%の変換効率を持った非晶質シリ
コン太陽電池が作成可能であるとされている。また、特
開昭61−115354号によれば、X線回折パタンが
(200)面に極めて強く配向した膜を用いることによ
り、非晶質シリコン太陽電池の変換効率が9.2%程度
まで向上するとされている。
【0004】導電膜上に形成された非晶質シリコン太陽
電池の変換効率が7〜8%程度である従来技術と比較す
れば、これらの提案には明らかに技術的進歩が認められ
るが、本発明はさらに高い変換効率が得られる太陽電池
用透明導電性基体を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、透光性基体上
に酸化錫を主成分とする透明導電膜が形成された太陽電
池用透明導電性基体であって、該透明導電膜はそのX線
回折パタンにおいて、(200)面および(110)面
による回折ピークを有し、(200)面による回折強度
を100とした場合に、(110)面による回折強度が
20以上120以下であり、最強回折角度におけるX線
散乱強度が、その近傍のバックグラウンドにおけるX線
散乱強度の10倍以上であり、前記透明導電膜は2層か
らなっており、透光性基体に近い方の第1の透明導電膜
はそのX線回折パタンにおいて(110)面による回折
強度が最も強く、基体から遠い方の第2の透明導電膜は
そのX線回折パタンにおいて(200)面による回折強
度が最も強いことを特徴とする、太陽電池用透明導電性
基体を、提供するものである。
【0006】本発明における導電膜は、酸化錫を主成分
とし、比例計数管等を用いて測定したX線回折パタンに
おいて、最強回折角度におけるX線散乱強度(ピークの
高さ)が、その近傍のバックグラウンドにおけるX線散
乱強度の10倍以上であるようなX線回折パタンを有す
ものであり、以下の実施例が示すように、30倍以上
好ましい。
【0007】種々の導電膜を作成し、そのX線回折パタ
ンを測定したときに、最強回折角度(本実施例では(2
00)面の回折角度)での散乱強度比(最強回折角度近
傍のバックグラウンドにおけるX線散乱強度に対する最
強回折角度におけるX線散乱強度の比)が約10倍とな
った導電膜上に太陽電池を作成し、その特性を測定した
結果を例1に、約30倍以上となった導電膜上に太陽電
池を作成した結果を例2、3に、逆に散乱強度比が約3
倍となった導電膜上に太陽電池を作成した結果を例を
にそれぞれ示す。
【0008】太陽電池の変換効率は例13((200)
面に強く配向した導電膜を用いた基体上に作成した太陽
電池による結果であり詳細は後述する)を100とした
相対値で示してある。例1、2、3は例13に対して太
陽電池の変換効率がそれぞれ約10%、20%、15%
ほど向上する。これに対して例7は例13に対して80
%程度に低下してしまうことがわかる。
【0009】さらに、膜のX線回折パタンを、回折ピー
クの高さと半値幅の積により定義される回折強度により
評価した場合、(200)面による回折強度を100と
したときに、(110)面による回折強度が20以上か
つ120以下である30以上かつ100以下であれば
さらに好ましい。
【0010】1、2、3はいずれもこのような条件を
みたす例であり、いずれも本発明の太陽電池用透明導電
基体として好ましい態様である。これに対して、
8、9、10に示すように、導電膜の(110)面から
の回折強度が120になると、この上に太陽電池を形
成しても、本発明透明導電性基体上に太陽電池を形成
した場合(例1、2、3)に比べて良好な電池特性を得
ることはできない。また(110)面からの回折強度が
20未満となる導電膜上に太陽電池を形成した場合に
も、例6に示すように、本発明透明導電基体を用い
た結果に比べると好ましい結果は得られない。
【0011】本発明における導電膜は2層からなってお
り、基体に近い方の第1透明導電膜(以後下層膜と
いう)はそのX線回折パタンにおいて(110)面によ
る回折強度が最も強く、基体から遠い方の第2の透明導
電膜(以後上層膜ともいう)はそのX線回折パタンにお
いて(200)面による回折強度が最も強いことが好ま
しい。
【0012】「作用」の項において詳細理由を記述す
るが、第1および第2の透明導電膜の膜厚は、下層膜の
膜厚が500Å以上5000Å以下であり、上層膜の膜
厚が000Å以上1000Å以下であることが好ま
しく、下層膜の膜厚が1000Å以上4000Å以下で
あり、上層膜の膜厚が3000Å以上6000Å以下で
あればさらに好ましい。
【0013】本発明における基体には、ガラス、プラス
チック等を使用できる。基体がソーダライムガラスのよ
うに、その成分としてアルカリ金属を含む場合には、基
体から導電膜へのアルカリ金属の拡散を防止するため
に、基体と導電膜の間にSi、Al、Zr等の金属の酸
化物を主成分とする下地層を形成することがより好まし
い。
【0014】電膜の形成方法に関しては特に限定され
ないが、基体がガラス等の高温に耐える材料である場合
には、スプレー法、常圧CVD法等の化学蒸着法による
方が、スパッタ法等の物理蒸着法によるよりも良好な導
電膜特性が得られる。さらに、導電膜を明瞭に2層に分
離して成膜することが好ましく、化学蒸着法のなかでも
2段の成膜室を持った常圧CVD法によることが特に好
ましい。
【0015】
【作用】透光性基体上に導電膜、薄膜半導体、裏面電極
順次形成されてなる薄膜太陽電池に用いられる透明導
電性基体としては、導電膜の抵抗が低く、光透過率が高
いことが第一の要件である。しかしそれに加えて、導
膜を構成する粒子に粒界等がある場合、これを起点とし
てその上に形成される太陽電池層内に欠陥が発生し、結
果として太陽電池の変換効率が低下することが想像され
るため、その導電膜が粒界等の少ない、言い換えれば、
粒子を十分に成長させた膜であることが好ましい。
【0016】一方、ガラス等の基体の上に膜を成長させ
る場合には、基体に接触している膜の粒子は大きく成長
せず、また電気的、光学的性能に乏しい膜が成長しやす
いため、このような目的にかなう膜を作成する手法とし
て、基体と成長させたい膜の界面に適切な下地層をさし
挟む等の対策が一般的に行われている。
【0017】本発明は、このような公知の技術に加え
て、導電膜の成長過程を詳細に検討することにより、低
抵抗、高透過率を保ちながら適切な粒子構造を実現し、
太陽電池用としてより好ましい透明導電性基体を提供す
るものである。
【0018】詳細な実験を行った結果、酸化錫膜の場
合、厳密な理由は明らかでないが、ガラス等の基体面か
ら膜を成長させるときには、(110)面に配向(以
下、単に(110)配向ともいう。(200)配向につ
いても同様。)した膜を堆積した場合に、膜を構成する
結晶の粒子が最も大きく成長し、さらにその比抵抗が他
の面に配向した膜と比べて最も低下することがわかっ
た。このような膜の例を例4に示す。
【0019】しかし膜が単層構造の場合には、基体上に
適当な下地層を形成しても膜の結晶粒子の成長には限度
があり、単層構造を用いて太陽電池用として好ましい、
結晶粒子が十分に大きな膜を得ることは困難であること
がわかった。本発明は導電膜を2層構造とすることによ
り、太陽電池層と接触する上層膜の粒子を十分に成長さ
せ、この問題を解決しようとするものである。
【0020】一連の実験結果から、酸化錫膜(第1の透
明導電膜)上に酸化錫を再積層すると、再積層した上層
膜(第2の透明導電膜)の結晶は単層膜のときよりも成
長し、しかも、上層膜の結晶の成長は下層膜の結晶状態
と密接な関係を持っており、下層膜の結晶状態が良好で
あるほど上層膜も結晶が成長する傾向にあることがわか
った。
【0021】すなわち本発明の場合にも、(110)面
に配向した酸化錫を下層膜として用いた場合に、その上
に積層する酸化錫膜の粒子が最も良好に成長した。ま
た、これも詳細理由は明らかでないが、(110)配
向の下層膜の上に上層膜を堆積する場合には、該上層膜
を(200)配向とすると上層膜の結晶が最も良好に成
長することがわかった。さらに、このような膜構成とす
ることにより、導電膜全体の光透過率を変化させること
なく、導電膜の比抵抗を低下させることもわかった。
【0022】上記検討結果をまとめると、高透過率、低
抵抗を実現し、かつ、粒界等の少ない、言い換えれば、
粒子を十分に成長させた導電膜を作成するためには、
(110)配向の下層膜上に(200)配向の上層膜を
形成することが好ましく、導電膜をこのような構造とす
ることにより、この上に作成される太陽電池は高い変換
効率を示しうるようになると判断された。
【0023】なお導電膜の粒成長という観点から下層膜
の膜厚を検討した結果によれば、(110)に配向し
た下層膜の膜厚を500Å未満にすると上層膜は十分に
粒成長せず、下層膜の膜厚を5000Åより大きくして
も粒成長の促進効果が飽和してしまうことから、下層膜
としての有効膜厚範囲は500Å以上、5000Å以下
であることがわかった。
【0024】一方導電膜の比抵抗から下層膜を検討する
と、下層膜の膜厚が1000Å未満の場合には導電膜全
体の比抵抗が十分に低下しない。この原因としては結晶
粒子の成長度が低いことに加えて、より低比抵抗である
(110)配向の下層膜が薄いことも影響しているもの
と推定している。下層膜の膜厚と、導電膜全体の比抵抗
およびヘイズ率(粒成長の程度と相関がると推定され
る)の関係を図16に示す。これらの検討を通じて、下
層膜の好ましい膜厚、1000Å以上、5000Å以
下であることがわかった。
【0025】さらに上層膜自体にも、粒成長が生じるた
めにはある程度の膜厚が必要であることがわかった。上
層膜の膜厚が2000Å未満の場合には、1000Å以
上の下層膜があっても上層膜にほとんど粒成長が認めら
れない。一方他の薄膜と同様、酸化錫膜も膜厚の増加に
ともなって粒子は成長するが、膜厚の増加により光吸収
量も増加するため、太陽電池用導電膜の場合には全体の
膜厚の上限を15000Å程度とすることが望ましい。
すなわち上層膜の膜厚の好ましい範囲としては、200
0Å以上、14000Å以下といる。
【0026】実験結果によれば、上層膜の膜厚が300
0Å以上あれば、結晶が太陽電池用基体として十分に機
能する大きさに成長することから、上層膜による導電膜
の光吸収を最小限にとどめる意味で、上層膜の膜厚を3
000Å以上、6000Å以下程度とすることはさらに
好ましい選択である。
【0027】
【実施例】SnCl4 、CH3 OH、HF、H2 Oを原
料とし、基板温度を540℃に設定した常圧CVD法に
より、約500ÅのSiO2をコートしたソーダライム
ガラス基板上に、各種の導電膜を積層した。例5、6、
13においては同様の方法により、ソーダライムガラス
基板上に導電膜を積層した。導電膜のX線回折測定は、
銅のKα線を使用し、比例計数管を用いたレートメータ
ーにより行った。結果を表1及び表2に示す。
【0028】表中の原料組成のSnCl4 、CH3
H、HFの欄に記入した数字は、各原料を装置に送り込
むためのキャリヤガス量を示している。ただしH2 Oに
関しては、実際に装置に供給した水の量を測定し、その
値を記入してある。またX線強度は、(200)面によ
る回折強度を100としたときの相対強度比を示してい
る。
【0029】例1〜3は実施例、例4〜13は比較例に
相当する。以下、番号に従って説明する。本発明におけ
導電膜の下層膜として好ましい膜の例を例4に、好ま
しくない膜の例を例5に示す。例4に示した膜が強く
(110)面に配向しているのに対して例5に示した膜
は強く(200)に配向している。下層膜の(11
0)配向が強い程、上層膜を積層した太陽電池基板とし
ては好ましい結果を与える傾向が高く、さらに下層膜の
(110)面への配向度が強いほど導電膜自体の電気抵
抗が低下することは「作用」の項に記した通りである。
なお、導電膜の配向と膜の光吸収量との間には直接の相
関はなかった。
【0030】太陽電池用透明導電性基体としての性能を
評価するために、実施例として挙げた各導電膜上にp、
i、n各タイプのa−Si(合計約4000Å)および
銀裏面電極(約3000Å)を順に積層して太陽電池を
作成し、変換効率を測定した。
【0031】表中の例13は、例5と同様にして形成し
た下層膜上に表中の原料比にて上層膜を積層したもので
あり、特開昭61−115354号に示されているよう
な、(200)面に極めて強く配向した導電膜の例であ
る。以後説明する例における電池変換効率とは、この
13に示す導電膜上に作成した太陽電池の変換効率を1
00として各例での変換効率を相対値で示したものであ
る。
【0032】1、2、3は例4と同様にして形成した
膜を下層膜として、その上に表中に示す原料比による上
層膜を積層した結果である。例4の下層膜では、(20
0)面の回折強度に対する(110)面の回折強度の比
(以後強度比という)が約350あるのに対して、上
層膜を積層した後の強度比は約40〜80となってい
る。
【0033】例6例5と同様にして形成した下層膜上
に表中の原料比にて上層膜を積層した結果である。この
場合の強度比は約13となり(200)配向の強い膜が
得られる。評価結果から直ちにわかるように、(20
0)配向の強い下層膜を用いた場合には、電池の変換効
率は例13と同等またはそれ以下となる。なお、例6
おけるX線回折の強度比が20より小さくなっている点
にも留意する必要がる。
【0034】例7は、例4と同様にして形成した下層膜
上に表中の原料比で上層膜を積層したものであり、「課
題を解決するための手段」の項にも記したように、最強
回折角度での散乱強度がバックグラウンドの強度の約3
倍しかない導電膜の例である。導電膜の比抵抗が十分低
いにもかかわらず、このような導電基体を用いて太陽電
池を作成すると電池性能は大幅に低下する。
【0035】例8、9、10も、例4と同様にして形成
した下層膜上に表中の原料比で上層膜を積層したもので
あり、「課題を解決するための手段」の項で記述した例
である。これらの例のように強度比が120を越える導
電膜を用いた基体上に電池を作成しても変換効率は改善
されない。
【0036】例11、12例4と同様にして形成した
膜を下層膜とし、表中の原料比で上層膜を積層して導電
膜を作成し、積層する上下の膜厚配分を変化させた例で
ある。例11のように下層膜を厚く、上層膜を薄くして
も、例12のように下層膜を薄く、上層膜を厚くして
も、電池変換効率は低下することがわかる。
【0037】なお、本発明における導電膜において、上
層膜を積層することによって下層膜の配向が変化するこ
とはい。本発明による2層構造の導電膜を作成し、
(このX線回折パタンを図14に示す)、その後、その
表面をダイヤモンドペーストを用いて研磨し、上層膜を
除去した導電膜のX線回折パタンを測定した結果を図1
5に示す。研磨により上層膜を除去した導電膜のX線回
折パタンが下層膜単独のパタンと良く一致することか
ら、上層膜を積層しても下層膜には何等変化が生じない
ことがわかる。
【0038】また、表1および表2には(211)面お
よび(101)面による回折強度(X線強度)も併記し
たが、これらの回折強度が(200)面による強度の2
0%程度以下であれば、これらの回折強度と太陽電池の
性能の間には直接の相関はなかった。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】特開昭61−115354号に開示され
る、スプレー法による導電膜の成長温度は400〜45
0℃と一般的なスプレー法による導電膜の成長温度より
も低温であり、このような低い温度で膜を成長させるこ
とは、膜の成長速度の観点から判断すれば明らかに不利
な方法である。実際、上記公知例に開示してあるよう
に、これらの導電膜の成長速度は10〜30Å/秒と工
業的応用の観点から問題点を有していた。
【0042】本発明における導電膜の場合、下層膜と基
体の界面に例えばSiO2 アンダーコート(下地層)を
さし挟むことにより、導電膜の堆積温度を500℃以上
に上昇させることができる。公知の常圧CVD法を用い
て、500℃以上の十分に高い温度で成膜すれば、導電
膜の成長速度を数100Å/秒以上に向上させることも
できるため、本発明は適切な下地層と組合わせることに
より、実用的な成膜速度で膜を成長できるという効果も
有している。
【0043】なお、一般に導電膜を高温で成膜した場合
には、基体の成長表面に微小な欠陥が存在すると、膜の
粒子が異常成長するために良質の導電膜が得られないこ
ともあるが、適当な下地層(Si、Al、Zr等の酸化
物が好ましい)を用いることにより、このような問題点
も同時に解決することができる。
【0044】粒子が異常成長した導電膜の上に太陽電池
を積層した場合、巨大な粒子が電池の欠陥になることは
容易に想像できるから、高い変換効率を実現するために
は、導電膜を均質な粒子により構成することが極めて重
要であると推定される。本発明透明導電性基体を用い
た太陽電池安定して高い変換効率を示すことから、本
発明における導電膜は数100Å/秒以上の膜成長速度
を有しながらも、極めて均質な粒子によって膜が構成さ
れているものと推定される。
【0045】本発明における導電膜は、そのX線回折パ
タンからも想像されるように、膜表面を構成する結晶の
粒子の大きさと方位が揃っていることが特徴である。こ
のような膜を断面方向から観察すると、結晶粒子はピラ
ミッド状をなし、その頂点はほぼ90〜120度の交差
角度を持っていることが指摘できる。この交差角度は、
例えば特開昭60−240166号において推奨されて
いる膜の頂角に比較すると明らかに交差角度がゆるやか
である。
【0046】一方本発明における導電膜の結晶粒子は、
粒子表面が平面で構成されているため、特開昭61−2
1689号において示されているように、頂部に丸みが
つけられた膜とも異なった構造である。本発明における
導電膜上に太陽電池を形成した場合に良好な特性が得ら
れる原因は、頂角の交差角度がゆるやかなために、太陽
電池層に構造的な欠陥が発生しにくいことに加えて、導
電膜の頂部に丸みが無いため、十分な光閉込め効果を
確保できるためと想像される。
【0047】さらに、本発明における導電膜が、十分に
成長し、かつ粒径が均一な粒子によって構成されている
ことは、X線回折図からも理解することができる。すな
わち、(200)面に関する回折パタンの半値幅(回折
ピーク強度の半分の値での回折角度2θの幅)は例3の
場合には約0.2度であるのに例7の場合には約0.7
度〜1度である。
【0048】X線回折パタンの広がりに関する一般的な
理論に従えば、例3の膜は例7の膜の数倍〜数十倍の粒
径を持っているものと考えられる。すなわち、導電膜が
約90〜120度の頂角を持ち、十分に成長した均一で
欠陥の少ない粒子により構成されていることが、薄膜太
陽電池の変換効率を向上させるうえで最も効果がるも
のと推定される。
【0049】このような透明導電性基体は、単に薄膜太
陽電池の受光側の電極として効果があるだけではなく、
このような基体を裏面電極として太陽電池を堆積し、本
発明とは逆の構成の太陽電池(この場合、光透過型の太
陽電池となる)を作成する場合にも好ましい効果が期待
できる。
【0050】さらに、本発明における導電膜の表面が太
陽電池用として好ましい頂角(90〜120度)で構成
されている点を利用し、本発明の透明導電性基体の表面
に銀やステンレス等の金属薄膜を堆積し、これを裏面電
極として用いて太陽電池を作成することもできる。すな
わち、本発明の透明導電性基体を加工すれば、良好な光
込め効果を持ち、裏面の防食封止が不要太陽電池
用金属電極として利用することもできる。
【0051】本発明の透明導電性基体は単に太陽電池用
としてのみならず、他の導電基板用途(例えば表示素子
や発熱体)にも十分に使用できる
【図面の簡単な説明】
【図1】1のX線回折パタンを示す図
【図2】2のX線回折パタンを示す図
【図3】3のX線回折パタンを示す図
【図4】例4のX線回折パタンを示す図
【図5】例5のX線回折パタンを示す図
【図6】例6のX線回折パタンを示す図
【図7】例7のX線回折パタンを示す図
【図8】例8のX線回折パタンを示す図
【図9】例9のX線回折パタンを示す図
【図10】例10のX線回折パタンを示す図
【図11】例11のX線回折パタンを示す図
【図12】例12のX線回折パタンを示す図
【図13】例13のX線回折パタンを示す図
【図14】本発明における2層構造の導電膜のX線回折
パタンを示す図
【図15】図14の導電膜の上層膜を除去した導電膜の
X線回折パタンを示す図
【図16】下層膜の膜厚と積層後の導電膜の比抵抗
(ρ)およびヘイズ率との関係を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−231773(JP,A) 特開 昭61−115354(JP,A) 特開 昭63−89436(JP,A) 特開 平4−282871(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 31/04 - 31/078 H01B 5/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性基体上に酸化錫を主成分とする透明
    導電膜が形成された太陽電池用透明導電性基体であっ
    て、該透明導電膜はそのX線回折パタンにおいて、(2
    00)面および(110)面による回折ピークを有し、
    (200)面による回折強度を100とした場合に、
    (110)面による回折強度が20以上120以下であ
    り、最強回折角度におけるX線散乱強度が、その近傍の
    バックグラウンドにおけるX線散乱強度の10倍以上で
    り、 前記透明導電膜は2層からなっており、透光性基体に近
    い方の第1の透明導電膜はそのX線回折パタンにおいて
    (110)面による回折強度が最も強く、基体から遠い
    方の第2の透明導電膜はそのX線回折パタンにおいて
    (200)面による回折強度が最も強い ことを特徴とす
    る、太陽電池用透明導電性基体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の太陽電池用透明導電性基
    体の透明導電膜上に、光電変換層、裏面電極を順次形成
    してなる太陽電池。
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