JP3132457U - 加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 所定の容器に充填され加圧・加熱・殺菌された調理済み食品を、加水型発熱剤を使用して、単純な機構で且つ100%の確率をもって喫食可能に加熱する。
【解決手段】 展開したときに底部を形成することができる、耐熱性で水蒸気非透過性の折りたたみ可能な袋状容器と、前記袋状容器を展開したときに形成される底部の対向する壁面間距離のうち、短い壁面間距離に対応する長さの第1の辺部と、長い壁面間距離よりも短い長さの第2の辺部とを有し、前記第1の辺部が前記短い壁面間距離の軸線と平行になるように前記底部に配置される水透性袋に充填された加水型発熱剤とからなる加熱装置。
【選択図】 図2
【解決手段】 展開したときに底部を形成することができる、耐熱性で水蒸気非透過性の折りたたみ可能な袋状容器と、前記袋状容器を展開したときに形成される底部の対向する壁面間距離のうち、短い壁面間距離に対応する長さの第1の辺部と、長い壁面間距離よりも短い長さの第2の辺部とを有し、前記第1の辺部が前記短い壁面間距離の軸線と平行になるように前記底部に配置される水透性袋に充填された加水型発熱剤とからなる加熱装置。
【選択図】 図2
Description
本考案は加熱装置に関する。更に詳細には、本考案は携行型食品加熱装置に関する。一層詳細には、本考案は、水と発熱反応を起こす発熱剤と、完全調理済み食品を所定の容器に充填し、密封し、加圧加熱殺菌した物品を収容し、水を添加することにより短時間で熱効率よく食品を喫食可能に加熱することができる携行型食品加熱装置に関する。
従来から、水と反応させて発生する熱を利用する、いわゆる「加水型発熱剤」が各種利用されている。
加水型発熱剤の代表的なものは、粉体酸化カルシウム(CaO)と水との発熱反応を利用したもの、或いは粉体酸化カルシウム(CaO)と粉体アルミニウム(Al)との混合物と水との発熱反応を利用したものがある。
そして、耐熱容器に加水型発熱剤と調理済み食品を組み込んだ、携行可能な加熱装置付き食品が各種提案されている。
たとえば、特許文献1は、概略、調理済み固形食品と調理済み固形食品を再加熱するのに必要な量の水を内容器に収容し、内容器を収容する外容器から成り、内容器の底と外容器の底の間隙に加水発熱剤を載置し、水を添加して前記調理済み固形食品を再加熱するための水を100℃近傍に加熱して前記調理済み固形食品を加熱するタイプの携行可能な再加熱調理食品を開示している。
特許文献2、3および4は、概略、被加熱食品を収容するトレーを食品加熱保温容器に収容し、トレーと食品加熱保温容器の間に加水型発熱剤を載置し、食品加熱保温容器に外部から水を添加するタイプ、あるいは加水型発熱剤の上に引き裂き紐を付けた水袋を置き、食品加熱保温容器の外側から引き裂き紐を引き水袋を開裂するタイプの携行可能な加熱装置付き食品を開示している。
ところで、一口に携行可能な加熱装置付き食品と言っても、多様なタイプがある。その代表的なものは駅弁である。駅弁の場合は、被加熱食品はレトルト食品や冷凍食品ではなく、主として前日に調理した食品が対象であること、購入者が購入してから喫食に至るまでの時間が長くても30分間程度であること、すなわち、購入者が購入してから長時間保存することがないこと、手近に水を正確に秤量する手段がないこと、購入者が比較的丁寧に扱うなどの理由から、特許文献2および3等に記載されたタイプの発熱剤と水袋を同時に収容し、食品加熱保温容器の外側から引き裂き紐を引き水袋を開裂するタイプが好ましい。
また、釣り、キャンプ、登山等アウトドアースポーツに携帯する携行可能な加熱装置付き食品があるが、この場合も前記駅弁に関して説明したと同じ理由により、特許文献2および3等に記載されたタイプが好ましい。
然しながら、加熱装置付き調理済み食品の重要な用途として、地方公共団体や企業等が緊急災害に備えて備蓄する備蓄資材としての用途、あるいは特殊な用途として、自衛隊や軍隊で使用する戦闘糧食がある。これらの場合は、長期間保存が要求されるので、食品は、完全調理済み食品を気密性容器に充填し加圧加熱殺菌したものである。また、緊急災害避難中や戦闘訓練中の野営地などの悪条件下で喫食するので、加熱機構は複雑なものではなく、100%の確率で発熱する簡便且つ確実なものでなくてはならない。この理由から、発熱剤と水袋を容器に内蔵し、水袋を容器の外から開裂するタイプの加熱装置付き食品は難点がある。
さらに、戦闘糧食は自衛隊員や兵隊が背嚢に入れたまま、落下傘で降下したり、戦闘訓練を行うなど激しい環境下で使用されるものである。従って、強度を重視した耐久性が優れたものでなくてはならない。この点から、従来のような発熱剤と水袋を内蔵し、水袋を容器の外から開裂する複雑なタイプで、一部の機構が破損しただけで全体が使用不能になるようなものは難点がある。
さらに、戦闘糧食は、氷点下でも速やかに食品を喫食可能に熱効率よく加熱することができるような構造でなければならない。
戦闘糧食、緊急災害時に備えて備蓄する備蓄資材あるいは釣り、キャンプ、登山等アウトドアースポーツ用の携行型食品加熱装置は、携行および貯蔵・保管という観点からは、携帯が容易なこと、および保管・貯蔵上の経済性等の観点から、調理済み米飯、同副食、加水型発熱剤、および加熱加温容器がそれぞれ別々に分離できることが好ましい。この理由は、調理済み米飯、同副食および加水型加熱剤を加熱加温容器(袋)に詰めて1製品とした場合は、携帯、貯蔵・保管にも相当な面積、容積を必要とするが、それぞれ別々に分離できれば、ザックの空きスペ−スに入れたり、別の荷物の間に押し込んで携行することができるからである。
戦闘糧食、緊急災害時に備えて備蓄する備蓄資材あるいは釣り、キャンプ、登山等アウトドアースポーツ用の携行型食品加熱装置は、幼少年、青壮年者、中高年、老年とあらゆる世代が使用する。従って、食品の量は、栄養、エネルギーを考慮して、体力およびエネルギーを消耗する青壮年者のそれに合わせて、たとえば、1個200gのレトルト白飯2個、同200gのレトルト副食2個を完全に加熱すること、即ち、最大量として白斑400gおよび副食400gを同時に完全に加熱する能力があることが好ましい。
従って、前記特許文献1〜4に記載された発明は、緊急災害時の備蓄用資材あるいは戦闘糧食に使用するには欠点がある。
特開2000−107038号公報
特開昭64−43594号公報
特開昭64−43216号公報
特開平11−292155号公報
考案が解決すべき課題は、所定の容器に充填され加圧・加熱・殺菌された調理済み食品を、水と反応する発熱剤を使用して、単純な機構で且つ100%の確率をもって喫食可能に加熱することがきる携行型食品加熱装置を提供することである。
考案が解決すべき別の課題は、耐熱性外袋と、水透性袋に充填された加水型発熱剤および所定の容器に充填され加圧・加熱・殺菌された調理済み食品を、それぞれ独立した物品として分離することができるようにし、使用時に組合わせることが可能な構造にすることにより、緊急災害時の備蓄用資材あるいは戦闘糧食としても、貯蔵経済性を向上させることである。
本考案によると、上記課題は、次のようにして解決される。
1.展開したときに底部を形成することができる、耐熱性で水蒸気非透過性の折りたたみ可能な袋状容器と、前記袋状容器を展開したときに形成される底部に配置され、該底部の形状に対応する外形を有する水透性袋に充填された加水型発熱剤とからなる加熱装置。
1.展開したときに底部を形成することができる、耐熱性で水蒸気非透過性の折りたたみ可能な袋状容器と、前記袋状容器を展開したときに形成される底部に配置され、該底部の形状に対応する外形を有する水透性袋に充填された加水型発熱剤とからなる加熱装置。
2.展開したときに底部を形成することができる、耐熱性で水蒸気非透過性の折りたたみ可能な袋状容器と、前記袋状容器を展開したときに形成される底部の対向する壁面間距離のうち、短い壁面間距離に対応する長さの第1の辺部と、長い壁面間距離よりも短い長さの第2の辺部とを有し、前記第1の辺部が前記短い壁面間距離の軸線と平行になるように前記底部に配置される水透性袋に充填された加水型発熱剤とからなる加熱装置。
3.前記袋状容器において、展開したときに形成される底部に、前記加水型発熱剤の配置箇所を示すエリアマーキングが印刷されている請求項2記載の加熱装置。
1.請求項1に記載した考案によれば、水透性袋に充填された加水型発熱剤の形状および寸法を、耐熱性で水蒸気非透過性の折りたたみ可能な袋状容器を展開したときに形成される底部の形状および寸法に対応させることにより、袋状容器の底部に加水型発熱剤を配置したとき、加水型発熱剤が袋状容器の底部にぴったりと収まり、使用時に加水型発熱剤が袋状容器の底部を前後左右に不規則に移動したりするような不都合な事態の発生を抑止することができ、更に、加水型発熱剤の上に完全調理済み食品を所定の容器に充填・密封・加圧加熱殺菌した物品を載置することにより加水型発熱剤が袋状容器の底部にしっかりと固定され、使用中の加水型発熱剤の不規則移動の発生が完全に抑止されるので、下記に例示する顕著な作用効果が奏される。
A.(イ)展開したときに底部を形成することができる、耐熱性で水蒸気非透過性の折りたたみ可能な袋状容器と、(ロ)前記袋状容器を展開したときに形成される底部に配置され、該底部の形状に対応する外形を有する水透性袋に充填された加水型発熱剤と(ハ)前記加水型発熱剤の上に載置される完全調理済み食品を所定の容器に充填・密封・加圧加熱殺菌した物品を、それぞれ独立した部品としたので、貯蔵等非使用時には、それぞれ3つの部品毎に分離して貯蔵し、使用するときに3つの部品をセットすればよいので、使い勝手がよくなり、貯蔵経済性が向上し、食品の種類等に関して使用者の選択の幅が広がるので、マーチャンダイジングおよびマーケッティングの観点からも、新規なマーケットが創成される。
B.水透性袋に充填された加水型発熱剤の形状および寸法を、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器の展開底部の形状および寸法に対応させることにより、携行型食品加熱装置を使用中に、加水型発熱剤が袋状容器の展開底部の面上を前後左右に不規則に移動しないようにしたので、熱効率が格段に向上する。
C.完全調理済み食品を所定の容器に充填・密封・加圧加熱殺菌した物品を加水型発熱剤の上に直接載置するので、発熱剤と水との反応によって発生する熱が伝導により食品に直接伝わる伝導伝熱と、同時に、発生する水蒸気の対流による対流伝熱を利用でき、熱効率がよく、被加熱食品が加速度的に加熱される。
2.請求項2に記載した考案によれば、水透性袋に充填された加水型発熱剤の辺部を、前記袋状容器を展開したときに形成される底部の対向する壁面間距離のうち短い壁面間距離に対応する長さの第1の辺部と、長い壁面間距離よりも短い長さの第2の辺部とから構成し、当該加水型発熱剤を袋状容器の展開底部に配置する際、前記第1の辺部を前記短い壁面間距離の軸線と平行に載置することにより、前記段落0019〜0023で述べた作用効果の他に、下記に例示する顕著な作用効果が奏される。
加水型発熱剤の形状および寸法を耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器の展開底部の形状および寸法に対応させる請求項1の考案に比べて、加水型発熱剤の全体形状が小型化されるので、発熱剤、不織布等の使用量を低減することができ、システム全体のコストダウンにつながる。
3.請求項3に記載した考案によれば、展開底部の形状と異なる外形形状を有する加水型発熱剤を袋状容器の展開底部の所定箇所に正確かつ迅速に配置することができる。
以下、添付図を参照して本考案を実施するための最良の形態を具体的に説明する。図1は、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の斜視図である。袋状容器1は自立性であることが好ましいが、非自立性であってもよい。本考案の携行型食品加熱装置は、緊急災害時の備蓄用資材あるいは戦闘糧食として厳しい環境や激しい使用状況下で使用することが想定され、かつ個装カートンなしで使用することが多いので、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1には、通常のものよりも大きな強度が要求される。
従って、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の材料は、たとえば、ポリエステル/アルミ箔/ポリオレフィン、2軸延伸ナイロン/アルミ箔/ポリエチレン等3層ラミネートフィルム、あるいはポリエステル/アルミ箔/衝撃吸収層/ポリオレフィン、ポリエステル/アルミ箔/衝撃吸収層/特殊ポリプロピレン、ポリエステル/アルミ箔/衝撃吸収層/特殊ポリエステル、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/ポリプロピレン等の4層ラミネートフィルムもしくは2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/低密度ポリエチレン/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/エチレン−酢酸ビニル共重合体の5層ラミネート等が好ましい。耐熱性で水蒸気非透過性であれば、これら以外の材料も当然使用できる。
耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1は、底端部をヒートシールし、底端部から連続して側壁3を立設して両側端8をヒートシールして上方開口にした構造で、非使用時には、平板状に折り畳まれるようになっている。使用に際して、側壁3を展開すると底部2を有する有底容器となる。この袋状容器1を展開したときに形成される底部2の対向する壁面間距離は、各壁面の略中央部において、長い距離のL1と短い距離のL2から構成される。図示された展開底部2の形状は舟形、あるいは異形楕円形状であるが、言うまでもなく、袋状容器1の展開時の底部2の形状は図示された形状に限定されない。長方形又は正方形など矩形状底部も使用できる。従って、袋状容器1を作製する際のヒートシール態様も図示された実施態様に限定されない。このような有底の折り畳み可能な袋状容器1を作製する方法自体は当業者に公知の任意の方法を使用することができる。
図2は、不織布等透水性の袋に充填された加水型発熱剤4を、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の展開底部2に収容した状態を示す透視斜視図である。
加水型発熱剤4としては、従来から粉体酸化カルシウム(CaO)、或いは粉体酸化カルシウム(CaO)と粉体アルミニウム(Al)との混合物が使用されている。本考案では発熱剤には特段に限定されない。発熱剤は、通常、先ず、粉体酸化カルシウム(CaO)、或いは粉体酸化カルシウム(CaO)と粉体アルミニウム(Al)との混合物を透水性の不織布、和紙、合成紙等の袋に充填した後、さらに粉体酸化カルシウムが空気中の水分を吸収して失活するのを防止するために、アルミ箔製等の非透水性の外装容器に包装している。従って、本考案を使用するに際しては、使用直前にアルミ箔製等の非透水性の外装容器を開封し、透水性の不織布、和紙、合成紙等の袋に充填した加水型発熱剤を耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の展開底部2に配置するのが好ましい。その際、加水型発熱剤4を袋状容器1の展開底部2の所定箇所に正確かつ迅速に配置可能にするため、展開底部2に加水型発熱剤4の配置箇所を示すエリアマーキングを印刷しておくこともできる。マーキングは枠線の他、例えば、「発熱剤配置箇所」とか、「発熱剤をこの方向に配置して下さい」などの文字を併用することもできる。
耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の展開底部2の寸法と加水型発熱剤4の外形寸法の関係を説明する。耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の展開底部2の対向する壁面間距離は長い距離のL1と短い距離のL2とからなる。矩形形状に成形された加水型発熱剤4の第1の辺部の長さL3又は第2の辺部の長さL4のいずれかの長さを、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の展開底部2の短い壁面間距離のL2と対応させる。図2では、矩形形状に成形された加水型発熱剤4の第1の辺部の長さL3を、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の展開底部2の短い壁面間距離L2の長さに対応させて成形してある。
1例として、加水型発熱剤4は、発熱剤60gを、67.5mm(幅)×145mm(長さ)の不織布製の袋に充填、密封し、さらに、90mm(幅)×195mm(長さ)のアルミラミネートフィルム防湿性外装袋に入れてある。従って、加水型発熱剤4がこの形状の場合、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器の展開底部2の短い壁面間距離L2の長さは、不織布製袋の長辺である145mm、あるいは短辺である67.5mmとほぼ同じに成形すればよい。この場合、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の展開底部2の長い壁面間距離L1の長さは特段に限定されないが、加水型発熱剤4の片面面積が、底部2の面積よりも常に小さくなるように、L1の値を選択しなければならない。
本考案では、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の展開底部2の短い壁面間距離L2を、加水型発熱剤4のいずれかの一辺の長さL3又はL4とほぼ同じにしたので、加水型発熱剤4が、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1に立設される側壁3と当接し、さらに加水型発熱剤4の上に完全調理済み食品を所定の容器に充填・密封・加圧加熱殺菌した物品を載置することにより、それらの質量が加重されて、使用中に加水型発熱剤4が移動しなくなる(この点に関しては後述する)。
図3は、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の展開底部2に加水型発熱剤4を配置し、加水型発熱剤4の上に、直接、レトルト白飯5(200g)2個,およびレトルトビーフカレー6(200g)2個を載置した状態を示す透視斜視図である。
図4は、図3のI−II線に沿った断面図である。
図3および4で示した実施例では、2個のレトルト白飯5を中央に置いて、それらをサンドイッチ状に挟むように、両脇にレトルトビーフカレー6が置いてある。
図4を参照すれば、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の展開底部2に配置した加水型発熱剤4の上に、2個のレトルト白飯5および2個のレトルトビーフカレー6がクロスした状態で載置されていることが分かる。また、加水型発熱剤4の端部が、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の側壁3と当接しているので、加水型発熱剤4が、加水型発熱剤4の長手方向(図4を正面に見て、上下方向)に移動できない状態であることが分かる。
また、加水型発熱剤4の上には、2個のレトルト白飯5および2個のレトルトビーフカレー6が置いてある。その総質量は、約800gとなるので、加水型発熱剤4は、加水型発熱剤4の幅方向(図4を正面に見て、左右方向)にも移動できない。
他方、数百回に及ぶ試験の結果、加水型発熱剤4の上に、加水型発熱剤4の長手方向と、レトルト白飯5およびレトルトビーフカレー6の長手方向を一致させて、レトルト白飯5およびレトルトビーフカレー6を置いた場合、加水型発熱剤4がレトルト白飯5およびレトルトビーフカレー6の下で移動して熱効率が悪くなることが分かった。
図4を参照すると、加水型発熱剤4の上に2個のレトルト白飯5が空隙S1をもって対向して載置されており、2個のレトルトビーフカレー6が、空隙S2をもってレトルト白飯5に対向して載置されていることが分かる。このように、加水型発熱剤4の上に、被加熱食品を置く場合、食品同士の間に空隙を持たすと、水蒸気の対流効果がよいので、食品の加熱時間が短縮される。
本考案では被加熱食品としてレトルト食品を対象としているが、必ずしもそれに限定されない。レトルト食品とは、完全調理済み食品を合成樹脂やフィルムやアルミ箔をラミネ−トした袋(パウチ)または成形容器に充填して、密封し、加圧加熱殺菌した製品である。また、レトルト食品は、日本農林規格では遮光性の容器に充填した製品に限定して規格化されており、レトルトパウチ食品とも呼称されている。また、食品衛生法では、容器包装詰め加圧加熱殺菌食品として規格化されており、米飯類のように、油脂の変敗のおそれのない品目で透明容器入りのレトルト食品も含まれている。したがって、本考案でもその定義、用法に従う。
レトルト食品と同じように、完全調理済み食品を加圧加熱殺菌して缶詰にした食品もあるが、本考案では当然缶詰食品、あるいは瓶詰食品を対象にすることもできる。
図5は、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器1の展開底部2に加水型発熱剤4を配置し、加水型発熱剤4の上に被加熱食品であるレトルト白飯5、5とそれらに対向してレトルトビーフカレー6,6を載せてセットし、発熱反応用水を水袋7から添加する状態を示している。
図5では、所定量の発熱反応用水を予め袋に充填したものを使用しているが、本考案では、必ずしも、所定量の発熱反応用水を予め袋に充填したものを使用する必要はない。ただし、添加する水の量は、発熱剤の質量に応じて異なるので、袋状容器1の表面に印刷する使用手順、使用上の注意、使用後の処理方法、製造業者の免責条項等の中に添加すべき水の量を明記しておけばよい。
図5に示したように、袋状容器1の開口部から所定量の発熱反応用水を添加すると、直ちに発熱反応が開始して100℃近傍の水蒸気が発生し、上昇してくるので、袋状容器1の側壁3を任意の箇所で折り曲げてヒートシール部8で、クリップ等の締結具で締結し、水蒸気の漏出を防止する。
前述したように、袋状容器1の材料は、柔軟性があるアルミ箔ラミネートなので、任意の箇所で自在に折り曲げることができる。袋状容器1を折り曲げる箇所は、被加熱食品の大きさ、形状、量によって決定される。
本考案によると、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器、袋状容器の展開底部に配置される長手方向断面が矩形の水透性袋に充填された加水型発熱剤と、加水型発熱剤の上に載置される完全調理済み食品を所定の容器に充填し、密封し、加圧加熱殺菌した物品から成る携行型食品加熱装置において、水透性袋に充填された加水型発熱剤の形状および寸法を、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器の展開底部の形状および寸法に対応させるか、または加水型発熱剤の何れかの辺部の長さを、耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器の底部の短い壁面間距離面に対応させ、更に、加水型発熱剤の上に完全調理済み食品を所定の容器に充填・密封・加圧加熱殺菌した物品を載置することにより加水型発熱剤を固定して、使用中に加水型発熱剤が、袋状容器の展開底部で、加水型発熱剤の長手方向および幅方向に移動しないようにしたので、下記に例示する効果を奏する。
1.耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器と、袋状容器の展開底部に配置される加水型発熱剤と、加水型発熱剤の上に載置される完全調理済み食品を所定の容器に充填・密封・加圧加熱殺菌した物品を、それぞれ独立した部品としたので、貯蔵等非使用時には、それぞれ3つの部品毎に分離して貯蔵し、使用するときに3つの部品をセットすればよいので、使い勝手がよくなり、貯蔵経済性が向上し、食品の種類等に関して使用者の選択の幅が広がるので、マーチャンダイジングおよびマーケッティングの観点からも、新規なマーケットが創成される。
2.使用中に加水型発熱剤が移動しなくなり、かつ完全調理済み食品を所定の容器に充填・密封・加圧加熱殺菌した物品を加水型発熱剤の上に直接載置するので、加水型発熱剤と水との反応によって発生する熱が伝導により食品に直接伝わる伝導伝熱と、同時に、発生する水蒸気の対流による対流伝熱を利用でき、熱効率がよく、被加熱食品が加速度的に加熱される。
3.特に、従来の加熱装置付き食品に比べて、構造が極めて簡単で、100%の確率で発熱反応を起こすことができるので、緊急災害避難所や戦闘糧食等非日常的な厳しい環境下での使用に特段に適している。
本考案の加熱装置を食品加熱のための用途を中心に説明してきたが、本考案の加熱装置の用途は食品加熱用に限定されない。100℃近い高温を長時間維持する必要のある加熱用途であれば、全ての用途に使用することができる。例えば、野戦医療分野において、医療用具などの簡易加熱消毒器としても使用できるし、あるいは、極寒地における内燃機関類の保温具として使用することもできる。
1 耐熱性・水蒸気非透過性の袋状容器
2 袋状容器1を展開したときに形成される底部(展開底部)
3 容器1の側壁
4 加水型発熱剤
5 レトルト白飯
6 レトルトビーフカレー
7 水袋
8 ヒートシール部
L1 袋状容器1の展開底部2の対向する壁面間距離のうち長い壁面間距離
L2 袋状容器1の展開底部2の対向する壁面間距離のうち短い壁面間距離
L3 加水型発熱剤の第1の辺部の長さ
L4 加水型発熱剤の第2の辺部の長さ
S1 レトルト白飯5同士の空隙
S2 レトルト白飯5とレトルトビーフカレー6の空隙
2 袋状容器1を展開したときに形成される底部(展開底部)
3 容器1の側壁
4 加水型発熱剤
5 レトルト白飯
6 レトルトビーフカレー
7 水袋
8 ヒートシール部
L1 袋状容器1の展開底部2の対向する壁面間距離のうち長い壁面間距離
L2 袋状容器1の展開底部2の対向する壁面間距離のうち短い壁面間距離
L3 加水型発熱剤の第1の辺部の長さ
L4 加水型発熱剤の第2の辺部の長さ
S1 レトルト白飯5同士の空隙
S2 レトルト白飯5とレトルトビーフカレー6の空隙
Claims (3)
- 展開したときに底部を形成することができる、耐熱性で水蒸気非透過性の折りたたみ可能な袋状容器と、前記袋状容器を展開したときに形成される底部に配置され、該底部の形状に対応する外形を有する水透性袋に充填された加水型発熱剤とからなる加熱装置。
- 展開したときに底部を形成することができる、耐熱性で水蒸気非透過性の折りたたみ可能な袋状容器と、前記袋状容器を展開したときに形成される底部の対向する壁面間距離のうち、短い壁面間距離に対応する長さの第1の辺部と、長い壁面間距離よりも短い長さの第2の辺部とを有し、前記第1の辺部が前記短い壁面間距離の軸線と平行になるように前記底部に配置される水透性袋に充填された加水型発熱剤とからなる加熱装置。
- 前記袋状容器において、展開したときに形成される底部に、前記加水型発熱剤の配置箇所を示すエリアマーキングが印刷されている請求項2記載の加熱装置。
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JP2015536282A (ja) * | 2012-10-19 | 2015-12-21 | ハーベスト チャームフーズ カンパニー リミテッドHarvest Charmfoods Co., Ltd. | 直立型パウチ |
JP2016067386A (ja) * | 2014-09-26 | 2016-05-09 | 高木 毅 | 包装容器 |
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2007
- 2007-03-30 JP JP2007002207U patent/JP3132457U/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015536282A (ja) * | 2012-10-19 | 2015-12-21 | ハーベスト チャームフーズ カンパニー リミテッドHarvest Charmfoods Co., Ltd. | 直立型パウチ |
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