JP3131954U - 導管式魚道 - Google Patents

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【課題】 本考案は既存の魚道のない堰やダム堰堤に対し、簡易に設置可能な魚道を提供する。
【解決手段】 本考案は円形の導管1内に、ロープ2で連結され、複数の隔壁板3および隔離管6によって構成された魚類の休息室を具備する魚道である。隔壁板3には、切り欠き孔4もしくは、隔壁板3の外周と導管1との間に隙間を設けることによって、アユなどの魚類の通過の便が図られる。
【選択図】図2

Description

本考案は、魚道のない既存の河川堰やダム堰堤に対し、簡易に設置することのできる導管式魚道に関する。
河川やダムに設置された堰や堰堤は,利水上必要不可欠な設備であるが、アユ、ウナギ、モクズガニなどの水生生物が遡上したり降下するときの妨げになっていることが多く、通常、魚道が設置される。魚道には堰などの落差を緩和するための階段状の水路を設けたり、石組や木組み、杭などの水流の障害物を設けて魚群の遡上を幇助していた。
魚道を設置するに際し、必要な用地の確保や、現場施工のための高価な工事費用のなどのため、魚道の普及には限りがあった。また、デニール型の魚道では水路に上砂が堆積しやすく、土砂等の除去費用や維持管理の手間が必要である。なお、流路に人工的な障害物を設ける方式は、河川の流れが変わったり、堤防壁を洗掘するおそれのある場合は施工できない。
近年、水生生物の生息領域が著しく制限され,種の存続も危ぶまれたり、内水面漁業の衰退も著しく、河川水系の自然環境保全が叫ばれて久しい。河川に生息する生物の多くが、その成長時期や季節に応じて遡上や降下を繰り返しているため、それを阻害する堰などの設立は水生生物の生息域を狭め、生態系を著しく損ねることになる。この堰などの生態系に対する悪影響を緩和するため、簡易に取り付けることのできる魚道が望まれていた。
本考案は、上記課題を解決するための手段として、給排水などに用いられる導管内に、ロープで連結した隔壁板と隔離管によって形成される魚類等の休息室を設ける事により、簡易に魚道を提供するものである。導管には、ポリエチレン製のコルゲート管や上下水道用塩化ビニル管,消火用のゴム引き布製ホースなどの既製の導管、スプリング鋼材を内蔵した透明の塩化ビニルパイプやポリエチレンパイプを用いることができる。ロープは防水加工された綿製や合成繊維製のものが用いられるが、ステンレス製のチェーンや鋼鉄製のワイヤーロープであってもよい。隔壁板は硬質の塩化ビニル板、木製板、ステンレス鋼板、ポリエチレン製板などが用いられる。また、隔離管には、肉厚の塩化ビニル管、ステンレス鋼管やポリエチレン製管が適している。
魚道内に魚類の休息室を形成するため、複数の隔壁板と複数の隔離管とを、それぞれの中心部分に存在する孔にロープを通して、交互に連結するが、留め具はそのロープの両端に設置される隔壁板をロープに固着するためのもので、水流によって負荷のかかったロープと隔壁板とを支えるための補助ロープとともにステンレス製の棒や管など、十分に強度を有するものが用いられる。この隔壁板と隔離管との、ロープによって連結されたジュズ状のものを、予め導管内に設置して用いてもよいが、導管のみを現場に投入してから水量や流水状況を確認して、最も適した隔壁板を選んでジュズとし、それを管内へ流し込む方法をとってもよい。隔壁板および隔離管をロープで交互に連結して成る魚類の休息室は、導管直径が50cmであれば1m長を目安として構成される。また、この導管式魚道の長さは、設置する堰の高さの2倍を目安とし、傾斜角30度の勾配が好ましく、通常、下流側の河床に立設した架台によって保持される。因みに、本魚道は、河川の両岸に固定されている支持体からワイヤーロープなどによって牽引される。
このような構成とすれば、遡上中の魚は、導管から排出される水流に導かれて導管内に進入し、前方の隔壁板と導管との隙間、もしくは隔壁板の切り欠き孔をすばやく通り抜けて遡上を行う。なお、魚は次の跳躍などを行うため、途中の隔壁板と隔離管で形成される休息室で気息を整えることができるが、この休息室を欠く導管では、いうまでもなく水流に押し流されて遡上することはできない。また、管内を流下してきた土砂は隔壁板の下部の欠落部もしくは導管内壁との隙間を通り抜けて、ほとんど滞留することはない。一方、降下時の魚類は、降雨で水かさの増した時期を狙って降下するため、堰の上流から下流へは押し流されて、容易にその目的を達している。したがって、秋の主な魚類の降下期は、わが国では台風襲来期でもあるため、本魚道は撤去して保管し、翌年の遡上期に備えるべきである。
特許文献1は、半円形コルゲート管または角型U字溝の溝に、脱着可能な隔壁を差し込むことにより、流れを蛇行流として流下させ、隔壁間に魚類が休息できるスペースを形成する魚道を提唱している。従来の魚道に比べれば格段に安価かつ簡便に施工可能となったが、土砂の滞留防止効果は十分ではなく、また、半円型もしくはU字型で上部が開いており、魚の飛び出しや鳥類などによる食害被害が発生する恐れがあるため、その防止作業を要する。
特許文献2は、円筒形の導管の内面に、せき板を内壁360度円周上に配置することにより上下左右とも自由な魚道を構築することを可能にするものであると提唱している。しかしながら導管へのせき板の取り付け方法の開示が十分でないこと、本魚道底部には土砂滞留の可能性が高いことが問題である。
特開2006−233468号 特開2007−2410号
給排水などに用いられる直径50cm程度の導管の中に、複数の隔壁板と複数の隔離管とを防水性のロープを用いて交互に直線状に連結したジュズ状物を入れ込んで魚類の休息室と成したもので、簡易に設置可能な魚道である。隔壁板は、円形もしくは角形であり、いずれも平板もしくは、凸面を有するレンズ状もしくは傘状板で、その外周は導管内壁に対し0.5〜1mm程度小さいものを用いる。また、魚類の通過と土砂堆積防止のため、円形板ではその外周の一部に欠落部や切り欠き孔を設けるが、角型板には設けない。
なお、長時間の遡上行動に疲れている魚群や、遊泳力の弱い魚種を対象とする場合は、本考案の隔壁板のうち、レンズ状もしくは傘状の、円形板もしくは角型板が好ましく、凸面を上流側に向けて、隔壁の下流側に水の滞留域を作り出し、休息室における下降水流圧を弱めて、魚類が流されまいとして遊泳するためのエネルギー消費を緩和してやることが可能となった。また、導管内の水流調節のため、凸面を下流側に向けた隔壁板を適宜用いてもよい。
以下に導管式魚道の一実施例を図1及び図2について説明する。
導管1内にロープで連結された隔壁板3と隔離管6を交互に配置し、ロープ両端を留め具2bによって固定することによって成る、複数の魚類休息室を具備する魚道である。河川は図面右側より、左側に流下し、魚道10内を通る河川の水位は各々の隔壁板3上部の 欠落部5(角型では導管1との隙間)で徐々に低下し、下流部の水位に達する。河川の水量が少なく、堰8の上端より上位に位置している導管1に水位が達しない場合は、導管1の両側に土嚢とブルーシートなどで仮設の堰を築いて集水し、導管1に流入する河川の水量を上げることにより、魚類は迷うことなく導管1に達し、管内を通って遡上することができる。一方、河川の水量が十分多い場合は、魚類は導管1内の水流に逆らって遡上し、堰を越えることができる。
なお、シラスウナギ、ヨシノボリ、モクズガニなどの遡上幇助を目的とした本考案の導管式魚道の斜視図を図3示す。本例は、ダム堰堤に設置した例で、導管内の水はサイホンの原理に従って湖水面より上位に位置している堰堤を越流して流れるが、魚類は導管内の水流に導かれて遡上することができる。
図4および図5は、それぞれ隔壁板3の正面図と斜視図であるが、左側の円形板は導管1内壁より0.5〜1mm程度小さく、その中心にロープを通すための欠き孔、外周の上部および下部には欠落部5を有する。上部の欠落部5は、主にアユやオイカワなどの、下部の欠落部5は、シラスウナギやヨシノボリなどの遡上を助け、砂の堆積を防止するためのものである。また、比較的大型の魚類のコイ、フナ、ナマズなどの通過を助けるための切り欠き孔4が適宜設けられる。
右側の角型板には、ロープを通すための欠き孔のみで、外周には欠落部5を設けない。本角型板はその4辺の角と円形の導管1内壁との間を0.5〜1mm程度空けるように作製されるが、外の円形導管と中の角形板との間に生じた間隙は、魚類の通過と土砂の堆積防止に利用される。なお、以上の隔壁板3は、いずれも平板のみを示したが、凸面板を含むものとする。
図6は、隔壁板3と隔離管6との交互連結を容易ならしめるために提案する3通りの方法の概念図である。左図は、一対の隔壁板3と隔離管6とをねじ込みで連結する方式、中央図は、両者を一体に成型するか溶接接着した方式、右図は、隔壁板3と、フランジ付の隔離管6との組み合わせ方式である。
図7は、隔壁板3の実施態様を説明するための側面図で、左図は平板、中央図はレンズ状に中央が厚くなった凸面板、右図は傘状に開いた凸面板である。
考案の効果
本考案は、以上説明したように構成された魚道であるから、従来の魚道に比べ著しく安価に製造することができ、容易に持ち運ぶことが可能であり、設置のみならず撤去も容易である。山間僻地の河川・ダムにおける距離的・工事条件的制約、都市河川における敷地確保の困難さ、工事費の少なからぬ負担など、魚道設置の普及を妨げていた課題がほとんど解決され、河川生物の生態系の回復に著しく貢献するものと思はれる。
本考案の一実施例を一部断面で示した側面図である。 図1のうちの魚道を示す斜視図である。導管内において、ロープによって隔壁板3および隔離管6が連結され、魚の休息室を形成している状態を示す。 図2とは異なった例を示す斜視図である。下流側の魚道と堰堤の一部を省略した。 図1のうちの隔壁板3の正面図である。 図4の斜視図である。 一対の隔壁板3と隔離管6の3通りの組み合わせを示す模式図である。 隔壁板3の側面図である。左より、平板、レンズ状板、傘状板を模式的に示した。
符号の説明
1 導管
2 ロープ
2a 補助ロープ
2b 留め具
3 隔壁板
4 切り欠き孔
5 欠落部
6 隔離管
7 河川の水位
8 堰
9 ダム堰堤
10 魚道

Claims (3)

  1. 円形の導管1内に複数の隔壁板3と複数の隔離管6がロープで交互に連結して形成される魚類の休息室を具備することを特徴とする導管式魚道。
  2. 請求項1記載の隔壁板3が平板もしくは、凸面を有するレンズ状もしくは傘状の円形板で、切り欠き孔4もしくはその外周に欠落部5を有することを特徴とする導管式魚道。
  3. 請求項1記載の隔壁板3が平板もしくは、凸面を有するレンズ状もしくは傘状のの角型板であることを特徴とする導管式魚道。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016027224A (ja) * 2014-06-30 2016-02-18 服部 宏之 魚道

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