JP3130288B2 - 延伸方法および延伸物 - Google Patents

延伸方法および延伸物

Info

Publication number
JP3130288B2
JP3130288B2 JP10154242A JP15424298A JP3130288B2 JP 3130288 B2 JP3130288 B2 JP 3130288B2 JP 10154242 A JP10154242 A JP 10154242A JP 15424298 A JP15424298 A JP 15424298A JP 3130288 B2 JP3130288 B2 JP 3130288B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
stretched
fiber
stretching
pressurized water
water tank
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10154242A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11350283A (ja
Inventor
信次 太田
弘文 矢代
祐樹 目黒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube-Nitto Kasei Co Ltd
Original Assignee
Ube-Nitto Kasei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP10154242A priority Critical patent/JP3130288B2/ja
Application filed by Ube-Nitto Kasei Co Ltd filed Critical Ube-Nitto Kasei Co Ltd
Priority to US09/424,717 priority patent/US6203902B1/en
Priority to DK99901114T priority patent/DK0987356T3/da
Priority to PCT/JP1999/000178 priority patent/WO1999050490A1/ja
Priority to KR10-1999-7011144A priority patent/KR100394131B1/ko
Priority to TW088100827A priority patent/TW436415B/zh
Priority to CNB998008710A priority patent/CN1160492C/zh
Priority to EP99901114A priority patent/EP0987356B1/en
Priority to DE69941418T priority patent/DE69941418D1/de
Publication of JPH11350283A publication Critical patent/JPH11350283A/ja
Priority to US09/699,492 priority patent/US6544462B1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3130288B2 publication Critical patent/JP3130288B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29KINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES B29B, B29C OR B29D, RELATING TO MOULDING MATERIALS OR TO MATERIALS FOR MOULDS, REINFORCEMENTS, FILLERS OR PREFORMED PARTS, e.g. INSERTS
    • B29K2023/00Use of polyalkenes or derivatives thereof as moulding material
    • B29K2023/10Polymers of propylene
    • B29K2023/12PP, i.e. polypropylene

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は延伸方法,延伸物お
よび前記の延伸物の加工品に係り、特に、結晶性高分子
製の延伸物を得るうえで好適な延伸方法および当該方法
によって製造された延伸物、ならびに、前記の延伸物の
1つであるポリプロピレン繊維を材料繊維とするポリプ
ロピレン繊維加工品に関する。
【0002】
【従来の技術】合成繊維,樹脂フィルム,樹脂シート等
の結晶性高分子製品の物性は、その内部構造(結晶性高
分子の微細構造)の影響を強く受け、当該内部構造は延
伸や熱処理によって比較的容易に変化する。そして、未
延伸物よりも延伸物の方が実用上好ましい物性を有して
いることが多く、より高倍率で延伸した方が強度,ヤン
グ率等の物性に優れた延伸物が得られる。このため、結
晶性高分子製品、特に合成繊維,樹脂フィルム,樹脂シ
ート等を得る場合には、通常、延伸処理が施される。ま
た、延伸処理後に必要に応じて熱処理が施される。
【0003】結晶性高分子製品を得る際の延伸方法とし
ては種々の方法が知られているが、例えば合成繊維を得
る際には、金属加熱ロールや金属加熱板等を用いての接
触加熱延伸、あるいは温水,常圧〜2kg/cm2 程度
の水蒸気,遠赤外線等を用いての非接触加熱延伸等の延
伸方法が適用されている。
【0004】ところで、結晶性高分子の微細構造の変化
は延伸条件に大きく左右され、その結果として結晶性高
分子製品の物性もまた延伸条件に大きく左右されるわけ
であるが、無理に延伸しようとすると延伸切れ等の不具
合が生じる。例えば、ポリプロピレン(以下「PP」と
略記する。)繊維では、未延伸糸を樹脂(PP)の融点
未満のなるべく高い温度下、低変形速度で高倍率に延伸
する程その繊維強度が向上するが、高変形速度で高倍率
に延伸しようとすると容易に延伸切れが生じる。このた
め、工業的(商業的)に生産し得るPP繊維の繊維強
度、すなわち、概ね50m/分以上の速度で生産し得る
PP繊維の繊維強度は10g/d程度である(例えば特
許第2537313号公報参照)。
【0005】ただし、生産性を無視して極めて低い変形
速度の下に延伸すればより繊維強度の高いPP繊維を得
ることができる。例えば『高分子論文集』(Vol.54, N
o.5,May, 1997)の第351〜358頁には、連続ゾー
ン延伸法によって製造された繊維強度13.4g/d程
度のPP繊維が記載されているが、当該PP繊維を得る
際の連続ゾーン延伸工程における繊維の送り出し速度は
僅かに0.5m/分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、結晶
性高分子の微細構造の変化は延伸条件に大きく左右さ
れ、その結果として結晶性高分子製延伸物の物性もまた
延伸条件に大きく左右されるわけであるが、無理に延伸
しようとすると延伸切れ等の不具合が生じる。このた
め、従来の延伸方法を利用して工業的に得ることができ
る結晶性高分子製延伸物の物性値には、当該結晶性高分
子製延伸物の材質に応じた上限がある。しかしながら、
結晶性高分子製品は種々の分野において利用されてお
り、その需要の増加に伴って当該結晶性高分子製品につ
いては物性の向上が常に求められている。
【0007】本発明の目的は、より好ましい物性を有し
ている延伸物を工業的に得ることが容易な延伸方法、お
よび、より好ましい物性を有しているものを工業的に得
ることが容易な延伸物、ならびに、前記の延伸物の1つ
であるポリプロピレン繊維を材料繊維とするポリプロピ
レン繊維加工品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成する本
発明の延伸方法は、被延伸物を内部に送り込むための被
延伸物導入孔と内部に送り込まれた前記の被延伸物が延
伸されたことによって生じた延伸物を引き出すための延
伸物引き出し孔とを有する気密性の容器内に、延伸媒体
として絶対圧が2.0kg/cm2 以上の加圧飽和水蒸
気を充填して延伸槽とし、該延伸槽における前記の被延
伸物導入孔および前記の延伸物引き出し孔から加圧飽和
水蒸気が漏出することをそれぞれ加圧水を利用して防止
するとともに、前記の被延伸物導入孔から加圧飽和水蒸
気が漏出することを防止している加圧水中に被延伸物を
導き、被延伸物の表面に水分が付着した後、該被延伸物
を前記の被延伸物導入孔から延伸槽内に導いて延伸し、
その後、前記の延伸物引き出し孔から引き出された延伸
物を、前記の延伸物引き出し孔から加圧飽和水蒸気が漏
出することを防止している加圧水中に導いて冷却する、
ことを特徴とするものである。
【0009】また、上記の目的を達成する本発明の延伸
物は、被延伸物を上記本発明の方法によって延伸して得
たものであることを特徴とするものである。
【0010】そして、上記の目的を達成する本発明のポ
リプロピレン繊維加工品は、上記本発明の延伸物の1で
あるポリプロピレン繊維を材料繊維とし、フィラメン
ト,ショートカットチョップおよびステープルファイバ
ーのいずれかの繊維形態を有することを特徴とするもの
である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。まず、本発明の延伸方法について説
明する。本発明者らは、結晶性高分子をより高速で高度
に変形させるための方法について鋭意研究した結果、結
晶性高分子製の被延伸物の表面に水分を付着させ、高圧
の加圧飽和水蒸気を延伸媒体とする延伸槽を用いて当該
被延伸物を延伸することにより、従来の延伸方法による
場合よりも被延伸物を大きく変形させることが可能にな
り、また、被延伸物の変形量が同じである場合には従来
の延伸方法によるものよりも実用上より好ましい物性を
有する延伸物が得られることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0012】上記の知見に基づく本発明の延伸方法で
は、前述したように特定の延伸槽を利用し、この延伸槽
は絶対圧が2.0kg/cm2 以上の加圧飽和水蒸気を
延伸媒体として用いたものである。したがって、当該延
伸槽の容器は前記の加圧飽和水蒸気が漏出しないように
気密性を高めたものである必要があるが、その一方で、
前記の容器には被延伸物を当該容器内(延伸槽内)に導
入するための被延伸物導入孔および延伸物を容器内(延
伸槽内)から引き出すための延伸物引き出し孔を設ける
必要がある。このため、前記の被延伸物導入孔および延
伸物引き出し孔からは必然的に加圧飽和水蒸気が漏出す
ることになる。
【0013】しかしながら、延伸槽内の加圧飽和水蒸気
の絶対圧は所望値に維持する必要がある。このため、当
該延伸槽には前記の被延伸物導入孔および延伸物引き出
し孔から加圧飽和水蒸気が漏出することを防止するため
の漏出防止手段を設けることが好ましい。
【0014】従来より、加圧蒸気の漏出防止手段として
はラビリンスシール方式が知られている。これは、フィ
ンを用いて狭い流路を多段に形成し、当該流路を延伸媒
体(加圧蒸気)が流通する際に生じる圧力損失を利用し
て延伸槽内の延伸媒体の圧力を保つ(延伸媒体の漏出を
防止する)手法であるが、被延伸物と構造上不可欠なフ
ィンとの接触機会が多数あることから、被延伸物とフィ
ンとが接触してトラブルを起こしやすいという難点を有
している。さらに、理論上、ラビリンス内で被延伸物が
昇温して軟化し始める、すなわち、延伸槽に入る前に被
延伸物が昇温して軟化し始めるため、被延伸物とフィン
とが接触した場合のトラブル発生頻度が増大しやすい。
同様に、延伸直後においても延伸物が直ちには冷却され
ないため、延伸物とフィンとの接触によるトラブルが多
発しやすい。また、延伸槽内の延伸媒体の圧力を十分に
保つためには「狭い流路」の数(フィンの数)を増やさ
なければならないことから、前記の接触機会が更に増え
ることに加えて装置が大型化するという難点も有してい
る。
【0015】このため本発明の方法で用いる延伸槽にお
いては、加圧水を利用した新たな漏出防止手段によって
被延伸物導入孔からの加圧飽和水蒸気の漏出を防止す
る。当該加圧水を利用した漏出防止手段を用いれば、前
記の加圧水中に被延伸物を導くことが可能になるので、
これにより、(a) 延伸槽に入る前に被延伸物が昇温して
軟化し始めるのを抑制すること、(b) 被延伸物と漏出防
止手段との接触機会を低減させること、および、(c) 被
延伸物の表面に水分を付着させること、をそれぞれ容易
に図ることができる。このとき、被延伸物が水中を通過
するのに要する時間は概ね0.1秒以上とすることが好
ましい。
【0016】また、本発明の方法で用いる延伸槽におい
ては、延伸物引き出し孔からの加圧飽和水蒸気の漏出に
ついても、加圧水を利用した新たな漏出防止手段によっ
て防止する。この漏出防止手段を用いれば、延伸直後に
当該漏出防止手段中(加圧水中)に延伸物を導いて速や
かに冷却することが可能になるので、延伸物と漏出防止
手段との接触によるトラブルを容易に低減させることが
できる。このとき、延伸物が水中を通過するのに要する
時間は概ね0.2秒以上とすることが好ましい。さら
に、加圧水を利用した上記の漏出防止手段(被延伸物導
入孔側および延伸物引き出し孔側の計2つ)を用いれ
ば、絶対圧が高い加圧飽和水蒸気に対しても当該漏出防
止手段の小型化を容易に図ることができる。
【0017】上述した延伸槽を利用する本発明の方法に
よって延伸しようとする被延伸物は、目的とする製品を
得るにあたって延伸することが望まれる結晶性高分子製
のものであればよく、その形態の具体例としては、合成
繊維用の未延伸糸,未延伸フィルム,未延伸シート,梱
包用バンドの未延伸物,梱包用テープの未延伸物等が挙
げられる。
【0018】また、当該被延伸物の材質は結晶性高分子
であれば特に制限されず、その具体例としては、PP,
ポリエチレン,ポリ4−メチルペンテン−1,ポリオキ
シメチレン等のホモポリマーや、PPとαオレフィン
(例えばエチレン,ブテン−1等)との共重合体,ポリ
エチレンとブテン−1との共重合体等の共重合体が挙げ
られる。
【0019】加圧飽和水蒸気中での被延伸物の延伸は、
被延伸物を単品毎に延伸するものであってもよいし、例
えば被延伸物が合成繊維用の未延伸糸である場合には所
望本数の未延伸糸を集めて繊維束としたものを延伸する
ものであってもよい。また、延伸倍率は、被延伸物の材
質,使用する加圧飽和水蒸気の温度および絶対圧,目的
とする延伸物に求められる物性,目的とする延伸物の用
途等に応じて適宜選択可能である。
【0020】ただし、加圧飽和水蒸気の絶対圧について
は前記のように2.0kg/cm2(この加圧飽和水蒸
気の温度は120℃である。)以上とすることが好まし
い。絶対圧が2.0kg/cm2 未満の加圧飽和水蒸気
は温度が概ね120℃未満と低いので、このような加圧
飽和水蒸気を延伸媒体として用いた場合には高倍率延伸
を行うことが困難になり、実用上より好ましい物性を有
している延伸物を工業的に生産することが困難になる。
生産速度を低下させてもよいのであれば、絶対圧が2.
0kg/cm2 未満の加圧飽和水蒸気を用いることも可
能である。
【0021】加圧飽和水蒸気の温度および絶対圧は、被
延伸物が軟化しない範囲内でできるだけ高温,高圧にす
ることが基本的に好ましいが、加圧飽和水蒸気の温度が
高ければ高い程その絶対圧も高くなり、これに伴って当
該加圧飽和水蒸気を延伸媒体とする延伸槽の設計が困難
になる。したがって、使用する加圧飽和水蒸気の温度お
よび絶対圧は、被延伸物の材質,延伸物の生産性,延伸
装置の製造コスト等を勘案して選定することが好まし
い。
【0022】例えば被延伸物がPPホモポリマー製であ
る場合には、加圧飽和水蒸気の絶対圧を2.0kg/c
2 (温度は120℃)以上3.0kg/cm2 (温度
は133℃)未満とするよりも、3.0kg/cm2
(温度は133℃)〜5.0kg/cm2 (温度は15
1℃)とする方が好ましく、3.5kg/cm2 (温度
は139℃)〜4.5kg/cm2 (温度は148℃)
とすることがより好ましい。
【0023】なお、前記の加圧飽和水蒸気の温度および
絶対圧があまりにも高いと被延伸物が軟化し、延伸して
も分子鎖の配向が進行せずにむしろ緩和による物性低下
を生じるようになることから、より好ましい物性を有し
ている延伸物を得ることが困難になる。
【0024】本発明の方法では、表面に水分が付着した
状態の被延伸物を加圧飽和水蒸気中で延伸するので、延
伸時の被延伸物の表面には当然のことながら前記の水分
(以下、この水分を「持ち込み水分」という。)が存在
している。また、水蒸気中の被延伸物表面での熱交換に
よって、当該被延伸物の表面には結露が生じる。そし
て、これらの水分(前記の持ち込み水分および前記の結
露による水分)が被延伸物の表面に存在している状態下
で当該被延伸物を延伸するので、ドラフト変形によって
内部発熱が生じても被延伸物の表面の温度が加圧飽和水
蒸気の温度より高温になることが抑制され、被延伸物の
表面が溶融状態になりにくい。
【0025】このため、従来の延伸方法による場合より
も被延伸物を大きく変形させることが可能になり、これ
によって従来よりもより好ましい物性を有している延伸
物を得ることが可能になる。さらに、被延伸物を従来と
同量変形させた場合でも、より好ましい物性を有してい
る延伸物を得ることが可能になる。そして、上記のよう
な高温・高圧の加圧飽和水蒸気中で延伸を行うので、被
延伸物内部の温度を短時間のうちに所望温度にまで昇温
させることが可能になり、その結果として、目的とする
延伸物を工業的な生産速度の下に容易に得ることが可能
になる。
【0026】本発明の方法によって被延伸物を延伸した
場合に、当該被延伸物を従来の延伸方法によるよりも大
きく変形させることが可能になる理由、および、被延伸
物の変形量が従来と同量であってもより好ましい物性を
有している延伸物が得られる理由は定かではないが、次
の差異に原因があるものと推察される。
【0027】すなわち、本発明の方法では被延伸物は延
伸槽の入口まで水によって冷却されており、かつ、当該
被延伸物は表面に水分(前記の持ち込み水分および前記
の結露による水分)が付着した状態下において高温・高
圧の加圧飽和水蒸気中で延伸され、延伸物は延伸後に加
圧水中に導かれ、速やかに冷却されるのに対し、金属加
熱ロールや金属加熱板等を用いた従来の接触加熱延伸、
あるいは温水,常圧〜2kg/cm2 程度の水蒸気,遠
赤外線等を用いた従来の非接触加熱延伸等では、(1) 被
延伸物の表面に水分が存在しない状態下で当該被延伸物
を延伸する(接触加熱延伸や遠赤外線を用いた非接触加
熱延伸の場合)、(2) 延伸時に被延伸物の周囲に水分が
存在しているが、延伸媒体が高温・高圧ではない(温水
を用いた非接触加熱延伸の場合)、(3) 延伸槽に入る前
に結露によって被延伸物の表面に水分が不可避的に付着
することがあるが、後述する本願発明における作用・効
果を得るには少なすぎる(常圧〜2kg/cm2 程度の
水蒸気を用いた非接触加熱延伸の場合)、(4) 延伸前に
被延伸物が昇温,軟化してその形状保持が不安定な状態
下で当該被延伸物が装置の一部と接触するか、延伸物が
十分に冷却されずにその形状保持が不安定な状態下で当
該延伸物が装置の一部と接触する(従来の全ての延伸方
法)、という差異に原因があるものと推察される。
【0028】本発明の方法では、前述した持ち込み水分
および結露によって表面に水分が存在している状態の被
延伸物を高温・高圧の加圧飽和水蒸気中で延伸するの
で、被延伸物表面での温度上昇が防止されて当該表面の
温度が加圧飽和水蒸気の温度より高温になるということ
が従来の延伸方法におけるよりも抑制される一方で、被
延伸物の内部では変形発熱が生じることとなる。その結
果、被延伸物の内部において従来とは異なる何らかの構
造変化が進行して、従来の延伸方法によるよりも大きく
変形させることが可能になるとともに、被延伸物の変形
量が従来と同量であってもより好ましい物性を有してい
る延伸物が得られるものと推察される。延伸時に従来と
は異なる構造変化が進行するとの推察は、本発明の方法
によって例えばPP繊維を得た場合に、延伸の後期にお
いて重量デニールが低下する一方で繊維外径の変化が非
常に小さくなるという現象が認められることからも支持
される。
【0029】前述した利点を有する本発明の方法を実施
するためには、被延伸物の表面に水分を付着させるため
の水分付着手段と、特定の加圧飽和水蒸気を延伸媒体と
して用いた延伸槽と、当該延伸槽から加圧飽和水蒸気が
漏出することを防止するための漏出防止手段とを備えた
延伸装置が必要となる。当該延伸装置の構造は特に限定
されるものではないが、前述したように漏出防止手段と
して加圧水を利用したものを用いれば、当該漏出防止手
段に前記の水分付着手段を兼ねさせること等が可能にな
るので好適である。
【0030】上記の延伸装置のうちで一軸延伸用のもの
の具体例としては、例えば以下の構造のものが挙げられ
る。すなわち、被延伸物を内部に送り込むための被延伸
物導入孔および内部に送り込まれた前記の被延伸物が延
伸されたことによって生じた延伸物を引き出すための延
伸物引き出し孔を有する気密性の容器内に延伸媒体とし
ての加圧飽和水蒸気が充填されている延伸槽部と、当該
延伸槽部における前記の被延伸物導入孔側に密接配置さ
れている第1の加圧水槽部と、前記の延伸槽部における
延伸物引き出し孔側に密接配置されている第2の加圧水
槽部と、前記第1の加圧水槽部の外側から当該第1の加
圧水槽部内,前記の被延伸物導入孔,前記の延伸槽部
内,前記の延伸物引き出し孔および前記第2の加圧水槽
部内を経由して前記第2の加圧水槽の外へ被延伸物乃至
は延伸物を導くことができるように前記第1の加圧水槽
部および前記第2の加圧水槽部それぞれに形成されてい
る透孔と、前記第1の加圧水槽部内に被延伸物を送り込
むための被延伸物送出手段と、当該被延伸物送出手段に
よる被延伸物の送り込み速度よりも高速で前記第2の加
圧水槽部から延伸物を引き出すための延伸物引き出し手
段とを有している延伸装置が挙げられる。
【0031】上記の延伸槽部は、加圧飽和水蒸気を延伸
媒体とする従来の延伸槽と同様に、所望の絶対圧(2.
0kg/cm2 以上)を有する加圧飽和水蒸気を延伸媒
体として使用し得るだけの気密性および強度を有し、か
つ、所望の大きさ(長さ)を確保できるものであればよ
い。また、上記第1の加圧水槽部は、延伸槽部に形成さ
れている被延伸物導入孔から加圧飽和水蒸気が延伸槽部
の外に漏出するのを防止するためのものであると同時
に、被延伸物を加圧水中に導いて当該被延伸物の表面に
水分を付着させるためのものであり、当該第1の加圧水
槽部には延伸槽部内の加圧飽和水蒸気と同等乃至は僅か
に高い絶対圧を有する加圧水が貯留される。一方、上記
第2の加圧水槽部は、前記の延伸物引き出し孔から加圧
飽和水蒸気が延伸槽部の外に漏出するのを防止するため
のものであると同時に、延伸物引き出し孔から引き出さ
れた延伸物を加圧水中に導いて冷却するためのものであ
り、当該第2の加圧水槽部内にも延伸槽部内の加圧飽和
水蒸気と同等乃至は僅かに高い絶対圧を有する加圧水が
貯留される。これら第1の加圧水槽部および第2の加圧
水槽部は、それぞれ延伸槽部の外側に配置されている。
【0032】延伸槽部,第1の加圧水槽部および第2の
加圧水槽部は、それぞれ別個に形成されたものをこれら
が所定の関係となるように密接配置したものであっても
よいし、単一の容器または筒体を所定間隔で仕切ること
によって形成されたものであってもよい。また、延伸槽
部と第1の加圧水槽部とは、これらの間の隔壁を共有す
るものであってもよい。同様に、延伸槽部と第2の加圧
水槽部とは、これらの間の隔壁を共有するものであって
もよい。
【0033】被延伸物は、第1の加圧水槽部の外側から
当該第1の加圧水槽部内を経由して上記の被延伸物導入
孔から延伸槽部内に入る。したがって、第1の加圧水槽
部の容器壁の所望箇所には、被延伸物を第1の加圧水槽
部内に引き込むための透孔(以下「透孔A」という。)
および被延伸物を第1の加圧水槽部から引き出すための
透孔(以下「透孔B」という。)が設けられている。
【0034】同様に、延伸槽部内に送り込まれた延伸物
が延伸されたことによって生じた延伸物は、延伸槽部に
設けられている上記の延伸物引き出し孔から第2の加圧
水槽部内を経由して当該第2の加圧水槽部の外へ引き出
されなければならないので、第2の加圧水槽部の容器壁
の所望箇所には、前記の延伸物を延伸槽部内から第2の
加圧水槽部内に引き込むための透孔(以下「透孔C」と
いう。)および前記の延伸物を第2の加圧水槽部内から
引き出すための透孔(以下「透孔D」という。)が設け
られている。
【0035】上記の被延伸物導入孔,延伸物引き出し
孔,透孔A,B,C,D、特に透孔B,Cは、これらの
孔を被延伸物または延伸物が通過する際に当該被延伸物
または延伸物と容器壁との接触が起こらないように形成
されていると共に配置されていることが好ましく、ま
た、これらの孔から延伸槽部内の加圧飽和水蒸気ができ
るだけ噴出しないように設計されていることが好まし
い。
【0036】上記の延伸装置を構成している被延伸物送
出手段は、被延伸物を第1の加圧水槽部内へ一定の速度
で送り込むためのものであり、当該被延伸物送出手段は
第1の加圧水槽部の外側に設けられている。また、延伸
物引き出し手段は、第2の加圧水槽部を経由してきた延
伸物を被延伸物送出手段による被延伸物の送り込み速度
より高速で第2の加圧水槽部から一定の速度の下に引き
出すためのものであり、これによって、主として延伸槽
部内で被延伸物が延伸される。当該延伸物引き出し手段
は第2の加圧水槽部の外側に設けられている。
【0037】被延伸物送出手段による被延伸物の送り込
み速度と延伸物引き出し手段による延伸物の引き出し速
度とは、所望の生産速度の下に所定の延伸倍率の延伸物
が得られるように適宜選択される。被延伸物送出手段お
よび延伸物引き出し手段としては、従来より延伸に使用
されている各種のローラを用いることができる。
【0038】本発明の方法に基づいて延伸物を製造する
にあたって上述した延伸装置を用いれば、目的とする一
軸延伸物を工業的に容易に得ることができる。なお、上
述した延伸装置を構成している第1の加圧水槽部に形成
されている前記の透孔Aから当該第1の加圧水槽部内の
加圧水が漏出することを抑制するうえからは、透孔Aを
水没させることによって当該透孔Aからの漏水を緩和さ
せる緩衝水槽部を第1の加圧水槽部の外側に設けること
が好ましい。同様に、第2の加圧水槽部に形成されてい
る前記の透孔Dから当該第2の加圧水槽部内の加圧水が
漏出することを抑制するうえからは、透孔Dを水没させ
ることによって当該透孔Dからの漏水を緩和させる緩衝
水槽部を第2の加圧水槽部の外側に設けることが好まし
い。
【0039】本発明の方法は、前述したように、目的と
する製品を得るにあたって延伸することが望まれる結晶
性高分子製の被延伸物を延伸する際に適用することがで
き、延伸条件は目的とする延伸物の材質(被延伸物の材
質),延伸物に求められる物性,生産性等を勘案して適
宜選択可能である。
【0040】例えば、本発明の方法によって繊維強度の
高いPP繊維を得ようとする場合には、PP繊維の未延
伸糸、特に溶融紡糸糸を被延伸物として用い、当該未延
伸糸を絶対圧が3.0〜5.0kg/cm2の加圧飽和
水蒸気中で6倍以上に延伸することが好ましい。そし
て、加圧飽和水蒸気の絶対圧は3.5〜4.5kg/c
2とすることがより好ましく、延伸倍率は7倍以上と
することがより好ましい。上記の未延伸糸は、PPホモ
ポリマーからなるものであってもよいし、PPとαオレ
フィン(例えばエチレン,ブテン−1等)との共重合体
からなるものであってもよい。PPホモポリマーからな
る未延伸糸としてはアイソタクチックPPからなるもの
が好ましく、当該アイソタクチックPPは結晶性の高い
もの、特にアイソタクチックペンタッド分率(IPF)
が95%以上であるものが好ましい。
【0041】アイソタクチックPPからなる未延伸糸を
本発明の方法によって延伸してPP繊維を得た場合、当
該PP繊維は、偏光下、クロスニコルの状態で観察した
ときに、繊維内部が暗部として視認される。この暗部
は、一様な暗さを呈するものではなく、周囲よりも一段
と暗い線状部分が繊維軸方向に幾本も認められるもので
ある。そして、当該暗部は、繊維の内部構造が変化した
領域(以下、この領域を「構造変化領域」という。)で
あると推察される。
【0042】なお、合成繊維を偏光下、クロスニコルの
状態で観察すると、多くの場合においては、繊維外周部
が連続した明部として視認される。したがって、本明細
書でいう「繊維内部」(偏光下、クロスニコルの状態で
観察したときの「繊維内部」)とは、偏光下、クロスニ
コルの状態で観察しときに「連続した明部として視認さ
れる繊維外周部」を除いた領域を意味する。
【0043】アイソタクチックPPからなる未延伸糸を
本発明の方法によって延伸して得たPP繊維における上
記の構造変化領域(暗部)は、繊維軸方向の全域に亘っ
て連続的に視認されるものではなく、当該構造変化領域
を横断するようにして繊維径方向に伸びている線状の明
部が断続的に視認される。そして、前記線状の明部は、
その全てが上記の構造変化領域を繊維径方向に完全に横
断しているように視認されるというものではなく、例え
ば図2に示すように、1本のPP繊維1においても、構
造変化領域2を繊維径方向に完全に横断しているように
視認されるもの3aや、構造変化領域2を繊維径方向の
一方の端からその途中までしか横断していないように視
認されるもの3b、あるいは、構造変化領域2内を繊維
径方向に部分的にしか横断していないように視認される
もの3c等、種々の形態のものが視認される。なお、図
2中の符号4は連続した明部として視認される繊維外周
部を示している。
【0044】したがって、本明細書でいう「暗部(構造
変化領域)を横断するようにして繊維径方向に伸びてい
る線状の明部が断続的に視認される」とは、(a) 暗部
(構造変化領域)を完全に横断するようにして繊維径方
向に伸びている線状の明部、(b) 暗部(構造変化領域)
を繊維径方向の一方の端からその途中までしか横断して
いないような線状の明部、または(c) 暗部(構造変化領
域)内を繊維径方向に部分的にしか横断していないよう
な線状の明部、が視認されることを意味する。
【0045】上記の特徴を有するPP繊維は、本発明の
方法によって繊維強度およびヤング率が高いものを工業
的な生産速度、すなわち50m/分以上の生産速度の下
に容易に得ることができるものである。例えば、当該P
P繊維を偏光下、クロスニコルの状態で観察したときに
暗部として視認される繊維内部の全長をSとし、繊維長
をLとしたときに、前記の繊維長Lに占める前記暗部と
して視認される繊維内部の全長Sの百分率(S/L)×
100(%)(以下、この百分率を「構造変化領域の長
さ分率fc」という。)を60%以上とすれば、繊維強
度が概ね11g/d以上でヤング率が概ね600kg/
mm2 以上のものが得られる。
【0046】ここで、本明細書でいう上記構造変化領域
の長さ分率fcとは、以下のようにして求めたものを意
味する。まず、偏光下、クロスニコルの状態で上記のP
P繊維を顕微鏡観察し、当該PP繊維から計40箇所の
測定箇所を任意に抽出して、それぞれの測定箇所の拡大
顕微鏡写真を撮影する。このとき、測定箇所1箇所当た
りの繊維長は0.25mm以上とする。
【0047】次に、測定箇所の写真毎に、図3(a)に
示すように、構造変化領域2を横断するようにして繊維
径方向に伸びている線状の明部3a,3bまたは3c全
てについて、その繊維軸方向の最大幅に相当する領域A
1 ,A2 ,A3 ,…An を暗部2の繊維径方向に沿って
画定する。そして、これらの領域A1 ,A2 ,A3 ,…
n に隣接している暗部2の繊維軸方向の長さL1 ,L
2 ,L3 ,L4 ,…LN を測定する。
【0048】また、図3(b)に示すように、前記の領
域A1 ,A2 ,A3 ,…An それぞれについて、繊維径
方向に沿って10箇所の計測点を等間隔で設定して各計
測点における暗部2の繊維軸方向の長さl1 ,l2 ,l
3 ,…l10を測定し、これらの平均値をとる。そして、
前記の平均値をもって各領域A1 ,A2 ,A3 ,…An
における暗部2の長さLA1,LA2,LA3,…LAn とす
る。
【0049】この後、前記の長さL1 ,L2 ,L3 ,L
4 ,…LN および前記の長さLA1,LA2,LA3,…LAn
の総和を測定箇所毎に求め、この値を各測定箇所(全4
0箇所)における暗部2の全長とみなして測定箇所毎に
測定全長(測定箇所の繊維長)に占める暗部2の全長の
長さ分率を求め、これら40箇所の平均値をとることに
よって、繊維長Lに占める暗部(構造変化領域)の全長
Sの百分率、すなわち「構造変化領域の長さ分率fc」
とする。なお、図3(a)〜図3(b)に示した各部の
うちで図2に示したものと共通するものについては、図
2と同じ符号を付してある。
【0050】アイソタクチックPPからなる未延伸糸
(溶融紡糸糸)のなかでも、IPFが95〜100%、
好ましくは97〜100%のアイソタクチックPPから
なる未延伸糸を被延伸物として用いた場合には、高温環
境下においても高い物性値を示すPP繊維を容易に得る
ことができ、Q値が4未満のアイソタクチックPPから
なる未延伸糸を被延伸物として用いた場合には、容易に
高倍率延伸を行うことが可能になり、高倍率で延伸する
ことに伴って繊維の分子配向が促進され、また結晶化度
が高まるのでよりヤング率の高いPP繊維を容易に得る
ことが可能になる。
【0051】例えば、IPFが95〜100%、好まし
くは97〜100%で、Q値が4未満であるアイソタク
チックPPからなる未延伸糸を被延伸物として用い、延
伸媒体としての加圧飽和水蒸気の絶対圧を2.0〜5.
0kg/cm2 にした場合には、延伸倍率を7.5倍以
上、望ましくは10倍以上にすることによって、常温時
のヤング率が概ね800kg/mm2 以上で、120℃
における熱収縮率が概ね5%未満のPP繊維を工業的に
容易に得ることができ、また、120℃におけるヤング
率が概ね500kg/mm2 以上のPP繊維を工業的に
容易に得ることができる。当該PP繊維の繊維強度は概
ね11.5g/d以上と高く、その構造変化領域の長さ
分率fcは概ね65%以上である。なお、上記の場合に
得られるPP繊維の120℃における熱収縮率は、延伸
倍率が概ね6倍程度までは延伸倍率の増大に伴って増大
するが、それ以降は延伸倍率の増大に伴って減少すると
いう特異な振る舞いを示す。
【0052】さらに、延伸媒体としての加圧飽和水蒸気
の絶対圧を概ね3.8kg/cm2(温度は概ね140
℃)以上にしてアイソタクチックPPからなる未延伸糸
を高倍率で延伸することにより、キシレン,トルエンお
よびモノクロロベンゼンのいずれかの芳香族有機溶剤に
対して、当該芳香族有機溶剤の液温100℃,浸漬時間
15分の条件の下に浸漬しても溶解せずに繊維形態を維
持しているだけの耐薬品性を有しているPP繊維を容易
に得ることが可能になる。
【0053】ここで、本明細書でいう「溶解せずに繊維
形態を維持している」とは下記(1)または(2) の状態を
意味している。 (1) 溶剤に実質的に溶解せず、かつ、収縮による形状の
変化も実質的に起こしていない状態 (2) 部分的に溶解するが、分断や、収縮による形状の変
化は実質的に起こしていない状態 (3) 収縮を起こして形状が変化するが、それでもなお、
繊維形状を呈している状態
【0054】上記の耐薬品性を有しているPP繊維を得
るうえからは、IPFが概ね95以上、好ましくは95
〜97で、Q値が概ね3.6〜6.0、好ましくは3.
6以上4.0未満で、メルトインデックス(MI)が概
ね3〜30、好ましくは15〜25であるアイソタクチ
ックPPを原料として用いて得た溶融紡糸糸(未延伸
糸)を被延伸物として用いることが好ましく、上記の加
圧飽和水蒸気の絶対圧は、概ね4.2kg/cm2 (温
度は概ね145℃)以上にすることが好ましい。延伸倍
率については、得られるPP繊維の耐薬品性が使用原料
および延伸条件それぞれの影響を受ける他に、未延伸糸
の繊度や紡糸条件の影響をも受けるので、一概に規定す
ることはできない。しかしながら、得られるPP繊維の
結晶化度が高いほど前記の耐薬品性も向上する傾向があ
ることから、当該結晶化度が高くなるように、延伸倍率
はできるだけ高倍率(例えば9倍以上)とすることが好
ましい。前記の結晶化度が概ね70%以上となるように
原料,紡糸条件,未延伸糸の繊度,延伸条件を選択すれ
ば、キシレン,トルエンおよびモノクロロベンゼンのい
ずれの芳香族有機溶剤に対しても、当該芳香族有機溶剤
の液温100℃,浸漬時間15分の条件の下に浸漬して
も溶解せずに繊維形態を維持しているだけの耐薬品性を
有しているPP繊維を容易に得ることが可能になる。
【0055】一方、前述した共重合体からなる未延伸糸
を本発明の方法によって延伸してPP繊維を得た場合に
は、当該PP繊維を偏光下、クロスニコルの状態で観察
しても前述した構造変化領域(暗部)が認められない場
合がある。しかしながら、本発明の方法によって前記共
重合体からなる未延伸糸を延伸すれば、得られたPP繊
維に前記の構造変化領域(暗部)が認められるか否かに
拘わらず、繊維強度およびヤング率が高いものを工業的
な生産速度、すなわち50m/分以上の生産速度の下に
容易に得ることができる。
【0056】本発明の方法によってPP繊維を得るよう
にすれば、前述したように繊維強度およびヤング率が高
いPP繊維、例えば繊維強度が11g/d以上でヤング
率が600kg/mm2 以上であるPP繊維を工業的に
容易に得ることができ、しかも、このようなPP繊維の
熱収縮率は120℃において概ね0.5〜8%と比較的
低い。さらに、本発明の方法によって特定のアイソタク
チックPPからなるPP繊維を得るようにすれば、上述
したように繊維強度およびヤング率が高く120℃にお
ける熱収縮率が概ね5%未満と低いPP繊維や、120
℃という高温下においてもヤング率が概ね500kg/
mm2 以上と高いPP繊維、あるいは耐薬品性が更に向
上したPP繊維を工業的に容易に得ることができる。
【0057】したがって、上記のPP繊維はその繊度
(重量デニール)を目的とする用途に応じて概ね1〜3
0dの範囲内で適宜選択することにより、ロープ,安全
ネット,ベルトストリング等用の材料繊維、各種ケーブ
ル,セメント,ゴム等用の補強繊維、織布や不織布の材
料繊維、フィルター用繊維等、種々の用途に利用するこ
とができる。
【0058】次に本発明の延伸物について説明する。本
発明の延伸物は、前述したように、被延伸物を上述した
本発明の延伸方法によって延伸して得たものである。
【0059】本発明の延伸方法についての説明の中で述
べたように、当該延伸方法は目的とする延伸物を工業的
な生産速度の下に容易に得ることが可能な方法である。
そして、この延伸方法によれば、従来の延伸方法による
場合よりも被延伸物を大きく変形させることが可能にな
り、これによって従来よりもより好ましい物性を有して
いる延伸物を得ることが可能になる。また、被延伸物を
従来と同量変形させた場合でも、より好ましい物性を有
している延伸物を得ることが可能になる。
【0060】したがって、本発明の延伸物は、より好ま
しい物性を有しているものを工業的に得ることが容易な
延伸物である。延伸物の具体例および当該延伸物の材料
となる被延伸物については、本発明の延伸方法について
の説明の中で既に述べてあるので、ここではその説明を
省略する。
【0061】次に、本発明のPP繊維加工品について説
明する。本発明のPP繊維加工品は、前述したように、
本発明の延伸物の1つであるPP繊維を材料繊維とし、
フィラメント,ショートカットチョップおよびステープ
ルファイバーのいずれかの繊維形態を有するものであ
る。
【0062】ここで、本明細書でいう「フィラメント」
とは、機械的に巻き取ることができる長い繊維(長繊
維)を意味し、当該「フィラメント」は単繊維(モノフ
ィラメント)であってもよいし、複数本の単繊維が集合
したマルチフィラメントであってもよく、捲縮の有無は
問わない。また、本明細書でいう「ショートカットチョ
ップ」とは、長さが20mm未満の繊維を意味し、捲縮
の有無は問わない。そして、本明細書でいう「ステープ
ルファイバー」とは、捲縮を有する長さ20mm以上の
繊維を意味する。上記いずれかの繊維形態を有する本発
明のPP繊維加工品は、前述した本発明の延伸物の1つ
であるPP繊維を材料繊維として用いて、常法により所
望の繊維形態に加工することにより得ることができる。
【0063】本発明のPP繊維加工品の繊維形態をフィ
ラメントとした場合、このPP繊維加工品は、例えば織
布タイプのフィルター(濾材),筒体ケースに繊維を直
接ワインディングしたカートリッジタイプのフィルター
(濾材),編み加工したネット(建築用),織り加工し
たシート(建築用シート基材),ロープ,ベルト等の材
料繊維として利用することができる。また、PP繊維加
工品の繊維形態をショートカットチョップとした場合、
このPP繊維加工品は、例えば自動車タイヤ用補強繊
維,抄紙不織布用繊維等として利用することができる。
そして、PP繊維加工品の繊維形態をステープルファイ
バーとした場合、このPP繊維加工品は、例えば自動車
用フロアーカーペット,2次電池用のセパレータ,フィ
ルター(濾材)等として使用される不織布の材料繊維と
して利用することができる。
【0064】特に、120℃における熱収縮率が概ね5
%未満のPP繊維または120℃におけるヤング率が5
00kg/mm2 以上のPP繊維を材料繊維とするPP
繊維加工品は、上記の各種フィルター(濾材)用の材料
繊維,自動車タイヤ用補強繊維,自動車用フロアーカー
ペットの材料繊維,2次電池用のセパレーターの材料と
して好適である。
【0065】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 (1)被延伸物(溶融紡糸糸)の作製 アイソタクチックペンタッド分率(以下「IPF」と略
記する。)が97%、Q値が3.6、メルトインデック
ス(MI)が22であるアイソタクチックPP(日本ポ
リケム社製のSA1HA)を原料として用い、ホール径
が0.5mmφ、ホール数が120である紡糸ノズルを
備えた溶融紡糸装置によって紡糸温度260℃,紡糸速
度600m/分の条件の下に溶融紡糸を行って、単糸デ
ニールが25dの溶融紡糸糸(未延伸糸)を得た。
【0066】(2)PP繊維(延伸糸)の製造 まず、中央部に透孔を有するシリコーンゴムパッキンを
筒体の両端および内部(それぞれ4箇所)に配置するこ
とによって延伸槽部(全長12.5m),第1の加圧水
槽部および第2の加圧水槽部が形成されており、第1の
加圧水槽の外側に未延伸糸送出手段としてのローラが、
また第2の加圧水槽の外側に繊維引き出し手段としての
ローラがそれぞれ配設されている延伸装置を用意した。
【0067】この延伸装置を用いて未延伸糸を延伸する
にあたり、延伸槽部に絶対圧が4.2kg/cm2 の加
圧飽和水蒸気(温度145℃)を充填し、当該延伸槽部
の内圧よりわずかに高い圧力の高圧水を第1の加圧水槽
部および第2の加圧水槽部にそれぞれ貯留させた後、前
記(1)で得た未延伸糸を延伸倍率が11.5倍,繊維
引き出し手段による延伸糸の引き出し速度が50m/分
となるようにして当該延伸装置によって延伸して、目的
とするPP繊維を得た。
【0068】このようにして得たPP繊維を偏光下、ク
ロスニコルの状態で顕微鏡観察し、その拡大顕微鏡写真
(×400倍)を撮影した。この写真の写しを図1に示
す。図1に示したように、このPP繊維の外周部は明部
として視認され、繊維内部は暗部として視認される。そ
して、前記の暗部(構造変化領域)を横断するようにし
て繊維径方向に伸びている線状の明部が断続的に視認さ
れる。
【0069】実施例2 実施例1(1)と同条件で未延伸糸を作製し、加圧飽和
水蒸気の絶対圧を3.0kg/cm2 (温度は133
℃),延伸倍率を8倍とした以外は実施例1(2)と同
条件で当該未延伸糸を延伸して、目的とするPP繊維を
得た。このPP繊維を偏光下、クロスニコルの状態で顕
微鏡観察したところ、実施例1で得たPP繊維と同様の
形態を示していた。
【0070】実施例3 実施例1(1)と同条件で未延伸糸を作製し、加圧飽和
水蒸気の絶対圧を5.0kg/cm2 (温度は151
℃),延伸倍率を11.5倍とした以外は実施例1
(2)と同条件で当該未延伸糸を延伸して、目的とする
PP繊維を得た。このPP繊維を偏光下、クロスニコル
の状態で顕微鏡観察したところ、実施例1で得たPP繊
維と同様の形態を示していた。
【0071】実施例4 実施例1(1)と同条件で未延伸糸を作製し、延伸倍率
を6倍とした以外は実施例1(2)と同条件で当該未延
伸糸を延伸して、目的とするPP繊維を得た。このPP
繊維を偏光下、クロスニコルの状態で顕微鏡観察したと
ころ、実施例1で得たPP繊維と同様の形態を示してい
た。
【0072】実施例5 (1)被延伸物(溶融紡糸糸)の作製 アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が95%、
Q値が6.7、メルトインデックス(MI)が0.65
であるアイソタクチックPP(日本ポリケム社製のEA
9)を原料として用い、更に、分子量調整剤として過酸
化物(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペル
オキシ)ヘキサン)を500ppm用いて、ホール径が
0.4mmφ、ホール数が500である紡糸ノズルを備
えた溶融紡糸装置によって、紡糸温度300℃,紡糸速
度200m/分の条件の下に溶融紡糸を行って、単糸デ
ニールが10dの溶融紡糸糸(未延伸糸)を得た。
【0073】(2)PP繊維(延伸糸)の製造 延伸倍率を7倍とした以外は実施例1と同条件で上記
(1)で得た未延伸糸を延伸して、目的とするPP繊維
を得た。このPP繊維を偏光下、クロスニコルの状態で
顕微鏡観察したところ、実施例1で得たPP繊維と同様
の形態を示していた。
【0074】比較例1 実施例1(1)と同条件で未延伸糸を作製し、この未延
伸糸を槽長2m,温度145℃のシリコーンオイルバス
中で8m/分の延伸速度の下に11.5倍に延伸して、
PP繊維を得た。このPP繊維を偏光下、クロスニコル
の状態で顕微鏡観察したところ、暗部(構造変化領域)
は視認されなかった。
【0075】比較例2 実施例1(1)と同条件で未延伸糸を作製し、この未延
伸糸を150℃の金属ロールと板状ヒータとを用いた接
触加熱延伸によって延伸速度5m/分の下にその可能延
伸倍率(6.3倍)まで延伸して、PP繊維を得た。な
お、「可能延伸倍率」とは、延伸切れが生じない最大延
伸倍率を意味する(以下同じ。)。上記のPP繊維を偏
光下、クロスニコルの状態で顕微鏡観察したところ、暗
部(構造変化領域)は視認されなかった。
【0076】比較例3 実施例1(1)と同条件で未延伸糸を作製し、加圧飽和
水蒸気の絶対圧を1.65kg/cm2 (温度は115
℃),延伸倍率を6.8倍とした以外は実施例1(2)
と同条件で当該未延伸糸を延伸して、PP繊維を得た。
このPP繊維を偏光下、クロスニコルの状態で顕微鏡観
察したところ、暗部(構造変化領域)は視認されなかっ
た。
【0077】物性値等の測定I 実施例1〜実施例5および比較例1〜比較例3でそれぞ
れ得たPP繊維について、その繊度(重量デニール),
繊維強度,ヤング率,伸度および120℃における熱収
縮率を測定した。また、本発明でいう構造変化領域の長
さ分率fcを求めた。これらの結果を表1に示す。な
お、上記の繊度,繊維強度,ヤング率,伸度および12
0℃における熱収縮率は、それぞれJIS L 101
3に基づいて下記のようにして測定した。
【0078】(1) 繊度 簡便法により測定した。 (2) 繊維強度,ヤング率,伸度 つかみ間隔20mm,引張速度20mm/分の条件で単
繊維について引張破断試験を行って測定した。 (3) 120℃における熱収縮率 120℃のオーブンを用い、マルチフィラメントについ
て乾熱収縮率(B法)を測定した。
【0079】
【表1】
【0080】表1に示したように、溶融紡糸糸を本発明
の方法によって延伸して得た実施例1〜実施例5の各P
P繊維は、偏光下、クロスニコルの状態で観察したとき
に、繊維内部が暗部として視認されると共に当該暗部
(構造変化領域)を横断するようにして繊維径方向に伸
びている線状の明部が断続的に視認されるものであり、
これらのPP繊維は、50m/分という引き取り速度の
下に得たものであるにも拘わらず、11.3〜13.3
g/dという高い繊維強度を有している。また、これら
のPP繊維はヤング率が630〜1300kg/mm2
と高く、120℃における熱収縮率が0.3〜8.0%
と小さいものである。
【0081】これに対し、比較例1〜比較例3で得られ
た各PP繊維は、いずれも偏光下、クロスニコルの状態
で観察したときに暗部(構造変化領域)が認められない
ものであり、これらのPP繊維の繊維強度は7.4〜
9.4g/dと実施例1〜実施例5で得た各PP繊維の
繊維強度よりも大幅に低い値であった。
【0082】実施例6 紡糸速度を300m/分とした以外は実施例1(1)と
同条件で未延伸糸を作製し、延伸倍率を11倍,延伸速
度(繊維引き出し手段による延伸糸の引き出し速度を意
味する。以下同じ。)を100m/分とした以外は実施
例1(2)と同条件で当該未延伸糸を延伸して、目的と
するPP繊維を得た。このPP繊維を偏光下、クロスニ
コルの状態で顕微鏡観察したところ、実施例1で得たP
P繊維と同様の形態を示していた。
【0083】実施例7 実施例6と同条件で未延伸糸を作製し、延伸倍率を8倍
とした以外は実施例6と同条件で当該未延伸糸を延伸し
て、目的とするPP繊維を得た。このPP繊維を偏光
下、クロスニコルの状態で顕微鏡観察したところ、実施
例6で得たPP繊維と同様の形態を示していた。
【0084】実施例8 実施例6と同条件で未延伸糸を作製し、加圧飽和水蒸気
の絶対圧を2.0kg/cm2 (温度は120℃),延
伸倍率を10倍とした以外は実施例6と同条件で当該未
延伸糸を延伸して、目的とするPP繊維を得た。なお、
このときの可能延伸倍率は10.5倍であった。上記の
PP繊維を偏光下、クロスニコルの状態で顕微鏡観察し
たところ、実施例6で得たPP繊維と同様の形態を示し
ていた。
【0085】実施例9 実施例6と同条件で未延伸糸を作製し、加圧飽和水蒸気
の絶対圧を4.9kg/cm2 (温度は150℃),延
伸倍率を11.5倍とした以外は実施例6と同条件で当
該未延伸糸を延伸して、目的とするPP繊維を得た。な
お、このときの可能延伸倍率は11.5倍であった。上
記のPP繊維を偏光下、クロスニコルの状態で顕微鏡観
察したところ、実施例6で得たPP繊維と同様の形態を
示していた。
【0086】実施例10 実施例6と同条件で未延伸糸の作製および当該未延伸糸
の延伸をそれぞれ行い、さらに、延伸に引き続いて油剤
処理および乾燥処理を順次行った後、ロータリーカッタ
ーを用いて繊維長5mmに切断して、ショートカットチ
ョップを得た。このとき、操業上、何等問題は生じなか
った。なお、上記のショートカットチョップは本発明の
PP繊維加工品の1である。
【0087】実施例11 (1)被延伸物(溶融紡糸糸)の作製 IPFが97%、Q値が3.2、MIが14であるアイ
ソタクチックPP(日本ポリケム社製のSA2D)を原
料として用い、ホール径が0.5mmφ、ホール数が1
20である紡糸ノズルを備えた溶融紡糸装置によって紡
糸温度250℃,紡糸速度200m/分の条件の下に溶
融紡糸を行って、単糸デニールが90dの溶融紡糸糸
(未延伸糸)を得た。
【0088】(2)PP繊維(延伸糸)の製造 上記(1)で得た未延伸糸を36本合糸して繊維束を
得、実施例1(2)で用いたのと同様の延伸装置によっ
て前記の繊維束をトータルデニール30240dにまで
延伸した。このとき、加圧飽和水蒸気の絶対圧は4.2
kg/cm2 (温度は145℃)とし、延伸倍率は13
倍とし、延伸速度は60m/分とした。
【0089】(3)PP繊維加工品の製造 上記(1)で得た延伸糸を繊維束のまま更に搬送し、途
中、静電気の発生を防止するために仕上げ油剤を付与
し、水蒸気加熱によって80℃に加熱した後ただちに幅
10mmのスタフィングボックス型クリンパーで捲縮加
工を施した。そして、捲縮加工を施した後の繊維束をロ
ータリーカッターによって所定長に切断し、当該切断に
よって得られた短繊維を100℃で乾燥して、繊維長が
64mmのステープルファイバーを得た。このステープ
ルファイバーは本発明のPP繊維加工品の1つである。
【0090】参考例1 実施例6と同条件で未延伸糸を作製し、延伸倍率を5.
5倍とした以外は実施例6と同条件で当該未延伸糸を延
伸して、目的とするPP繊維を得た。上記のPP繊維を
偏光下、クロスニコルの状態で顕微鏡観察したところ、
暗部(構造変化領域)は殆ど認められなかった。
【0091】比較例4 実施例6と同条件で未延伸糸を作製し、加圧飽和水蒸気
の絶対圧を1.6kg/cm2 (温度は115℃),延
伸倍率を9.5倍とした以外は実施例6と同条件で当該
未延伸糸を延伸して、目的とするPP繊維を得た。な
お、このときの可能延伸倍率は10倍であった。上記の
PP繊維を偏光下、クロスニコルの状態で顕微鏡観察し
たところ、暗部(構造変化領域)は殆ど認められなかっ
た。
【0092】物性値等の測定II 実施例6〜実施例11,参考例1および比較例4でそれ
ぞれ得たPP繊維またはPP繊維加工品について、その
繊度(重量デニール),繊維強度,伸度,常温における
ヤング率,120℃におけるヤング率および120℃に
おける熱収縮率を前記「物性値等の測定I」におけるの
と同様にして測定した。これらの結果を、繊維原料とし
て用いたPPの物性値ならびに延伸媒体として用いた加
圧飽和水蒸気の温度および延伸倍率ととともに、表2に
示す。
【0093】
【表2】
【0094】表2に示したように、実施例6〜実施例9
で得た各PP繊維および実施例10〜実施例11で得た
各PP繊維加工品は、50m/分よりも速い延伸速度の
下に得たものであるにも拘わらず、常温におけるヤング
率が850〜1300kg/mm2 と高く、かつ、12
0℃における熱収縮率が0.5〜3.4%と低い。さら
に、これらのPP繊維およびPP繊維加工品は、120
℃という高温下においても510〜680kg/mm2
という高いヤング率を有しており、その繊維強度は1
1.6〜13.2g/dと高い。
【0095】参考例1で得たPP繊維は、本発明の延伸
方法によって得られたものの1つではあるが、比較例2
で得たPP繊維との比較から明らかなように、物性の向
上は実質的に認められない。これは、延伸倍率が5.5
倍と低い(比較例2では6.3倍)ことに起因している
ものと推察される。しかしながら、実施例4から類推さ
れるように、延伸倍率を高めれば当該PP繊維の物性は
飛躍的に向上する。したがって、本発明の方法によって
物性が向上した延伸物を得るためには、被延伸物の材質
に応じて延伸倍率を適宜所定の値より大きくすることが
必要である。
【0096】また、比較例4で得たPP繊維は比較的高
い繊維強度を有してはいるものの、実施例1〜実施例1
1で得た各PP繊維と比べるとその値はまだまだ低い。
9.5倍という比較的高い延伸倍率で延伸しているにも
拘わらず繊維強度の向上が小さいのは、延伸温度が11
5℃と低いことに起因しているものと推察される。
【0097】実施例12 実施例1(1)と同条件で未延伸糸を作製し、加圧飽和
水蒸気の絶対圧を5.7kg/cm2 (温度は155
℃),延伸倍率を8倍,延伸糸の引き出し速度(延伸速
度)を420m/分とした以外は実施例1(2)と同条
件で当該未延伸糸を延伸して、目的とするPP繊維を得
た。
【0098】実施例13 延伸倍率を9倍,延伸糸の引き出し速度(延伸速度)を
200m/分とした以外は実施例12と同条件の下に、
目的とするPP繊維を得た。
【0099】物性値等の測定III 実施例12〜実施例13でそれぞれ得たPP繊維につい
て、その繊度(重量デニール),繊維強度,常温におけ
るヤング率,伸度および120℃における熱収縮率を前
記「物性値等の測定I」におけるのと同様にして測定し
た。これらの結果を表3に示す。
【0100】
【表3】
【0101】表3に示したように、実施例12〜実施例
13では延伸媒体として155℃という高温の加圧飽和
水蒸気を用いたので、これらの実施例で得たPP繊維
は、420m/分または200m/分という極めて速い
延伸速度の下に得たものであるにも拘わらず、11.0
g/dまたは12.1g/dという高い繊維強度を有し
ていると共に、650kg/mm2 または830kg/
mm2 という高いヤング率を有している。また、これら
のPP繊維は、120℃における熱収縮率が1.0%ま
たは0.8%と小さいものである。
【0102】実施例14〜実施例17 実施例1で用いたアイソタクチックPPと同じアイソタ
クチックPPを繊維原料として用い、表4に示した紡糸
条件で当該アイソタクチックPPを溶融紡糸して繊度が
52dの未延伸糸を作製した後、延伸倍率を表4に示す
倍率とした以外は実施例1(2)と同条件で前記の未延
伸糸を延伸して、目的とするPP繊維を実施例毎に得
た。
【0103】実施例18〜実施例20 実施例1で用いたアイソタクチックPPと同じアイソタ
クチックPPを繊維原料として用い、表5に示すように
当該アイソタクチックPPを実施例1(1)と同じ条件
で溶融紡糸して繊度が25dの未延伸糸を作製した後、
延伸倍率を表5に示す倍率とした以外は実施例1(2)
と同様にして前記の未延伸糸を延伸して、目的とするP
P繊維を実施例毎に得た。なお、実施例20で得たPP
繊維は、実施例1で得たPP繊維と同じものである。
【0104】比較例5 実施例14〜実施例17と同条件で溶融紡糸を行って繊
度が52dの未延伸糸を作製した後、120℃に加熱し
た熱ロールを用いて前記の未延伸糸を6倍に延伸して、
PP繊維を得た。
【0105】比較例6 実施例1と同条件で溶融紡糸を行って繊度が25dの未
延伸糸を作製した後、120℃に加熱した熱ロールを用
いて前記の未延伸糸を4倍に延伸して、PP繊維を得
た。
【0106】物性値等の測定IV 実施例14〜実施例20および比較例5〜比較例6でそ
れぞれ得たPP繊維について、その繊度(重量デニー
ル),繊維強度,伸度,常温におけるヤング率,および
120℃における熱収縮率を前記「物性値等の測定I」
におけるのと同様にして測定した。また、140℃のオ
ーブンを用いた以外は前記「物性値等の測定I」におけ
るのと同様にして140℃における熱収縮率を測定し
た。
【0107】さらに、各PP繊維について以下の要領で
結晶化度および110面の結晶サイズを測定した。 (a) 結晶化度 X線回折装置(島津製作所社製のXD−3A型、X線
管:Cu陽極)を用いて、走査範囲26〜10°(2
θ),走査速度1/4°min-1 ,時定数10sec ,試料
の回転速度57rpm,チャートスピード5mm/min
の条件の下にX線回折曲線を作製し、このX線回折曲線
から作図法によって回折ピークの山分けをした後、ナッ
タ(Natta)の方法によって結晶化度を算出した。 (b) 110面の結晶サイズ 半価幅法によって求めた。上記の物性値等の測定結果
を、表4または表5に併記する。
【0108】耐薬品性の評価 実施例14〜実施例20および比較例5〜比較例6でそ
れぞれ得たPP繊維から長さ40mm以上の試料を切り
出し、液温を100°に保った所定の芳香族有機溶剤、
すなわち、キシレン,トルエン,モノクロルベンゼン,
o−ジクロルベンゼンまたは1,2,4−トリクロルベ
ンゼンに前記の試料を15分間浸漬した後にその形態を
目視により観察して、当該試料の耐薬品性を評価した。
また、参考として、61%硝酸水溶液,30%過酸化水
素水,次亜塩素酸ソーダ溶液および市販の食用油(菜種
油と大豆油の混合物)に対する耐薬品性も評価した。こ
れらの評価結果を表4または表5に併記する。
【0109】
【表4】
【0110】
【表5】
【0111】表4または表5に示したように、実施例1
4〜実施例20で得た各PP繊維は高い繊維強度を有す
ると共に高いヤング率を有している。さらに、これらの
PP繊維は、液温100℃という高温度環境下において
も前述した芳香族有機溶剤に対して高い耐薬品性を有し
ている。一方、未延伸糸を熱ロール法によって延伸する
ことにより得た比較例5〜比較例6の各PP繊維は、実
施例14〜実施例20で得たいずれのPP繊維と比べて
も繊維強度に劣ると共に、そのヤング率も小さい。さら
に、これらの比較例で得た各PP繊維は、キシレン,ト
ルエンおよびモノクロルベンゼンそれぞれに対する耐薬
品性が実施例14〜実施例20で得た各PP繊維に比べ
て大幅に劣る。
【0112】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の延伸方法
によれば従来の延伸方法による場合よりも被延伸物を大
きく変形させることが可能になり、これによって従来よ
りもより好ましい物性を有している延伸物を得ることが
可能になる。また、被延伸物を従来と同量変形させた場
合でも、より好ましい物性を有している延伸物を得るこ
とが可能になる。したがって、本発明によれば信頼性や
耐久性等が向上した延伸物を工業的に生産することが容
易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得たPP繊維を偏光下、クロスニコ
ルの状態で観察したときの拡大顕微鏡写真(×400
倍)の写しである。
【図2】本発明の延伸物の1つであるPP繊維について
本明細書でいう「暗部を横断するようにして繊維径方向
に伸びている線状の明部」の形態を説明するために、当
該PPを模式的に示している図である。
【図3】本発明の延伸物の1つであるPP繊維について
本明細書でいう「構造変化領域の長さ分率fc」の測定
方法を説明するために、当該PP繊維を模式的に示して
いる図である。
【符号の説明】
1…PP繊維、 2…暗部(構造変化領域)、 3a,
3b,3c…暗部を横断するようにして繊維径方向に伸
びている線状の明部、 4…繊維外周部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−49113(JP,A) 特開 平9−157938(JP,A) 特開 昭60−259614(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01D 10/00 D01F 6/06

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被延伸物を内部に送り込むための被延伸
    物導入孔と内部に送り込まれた前記の被延伸物が延伸さ
    れたことによって生じた延伸物を引き出すための延伸物
    引き出し孔とを有する気密性の容器内に、延伸媒体とし
    て絶対圧が2.0kg/cm2 以上の加圧飽和水蒸気を
    充填して延伸槽とし、 該延伸槽における前記の被延伸物導入孔および前記の延
    伸物引き出し孔から加圧飽和水蒸気が漏出することをそ
    れぞれ加圧水を利用して防止するとともに、 前記の被延伸物導入孔から加圧飽和水蒸気が漏出するこ
    とを防止している加圧水中に被延伸物を導き、被延伸物
    の表面に水分が付着した後、該被延伸物を前記の被延伸
    物導入孔から延伸槽内に導いて延伸し、 その後、前記の延伸物引き出し孔から引き出された延伸
    物を、前記の延伸物引き出し孔から加圧飽和水蒸気が漏
    出することを防止している加圧水中に導いて冷却する、 ことを特徴とする延伸方法。
  2. 【請求項2】 被延伸物を内部に送り込むための被延伸
    物導入孔および内部に送り込まれた前記の被延伸物が延
    伸されたことによって生じた延伸物を引き出すための延
    伸物引き出し孔を有する気密性の容器内に延伸媒体とし
    ての加圧飽和水蒸気が充填されている延伸槽部と、該延
    伸槽部における前記の被延伸物導入孔側に密接配置され
    ている第1の加圧水槽部と、前記の延伸槽部における延
    伸物引き出し孔側に密接配置されている第2の加圧水槽
    部と、前記第1の加圧水槽部の外側から該第1の加圧水
    槽部内,前記の被延伸物導入孔,前記の延伸槽部内,前
    記の延伸物引き出し孔および前記第2の加圧水槽部内を
    経由して前記第2の加圧水槽の外へ被延伸物乃至は延伸
    物を導くことができるように前記第1の加圧水槽部およ
    び前記第2の加圧水槽部それぞれに形成されている透孔
    と、前記第1の加圧水槽部内に被延伸物を送り込むため
    の被延伸物送出手段と、該被延伸物送出手段による被延
    伸物の送り込み速度よりも高速で前記第2の加圧水槽部
    から延伸物を引き出すための延伸物引き出し手段とを有
    している延伸装置を用いる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載されている延伸装置にお
    ける第1の加圧水槽部および第2の加圧水槽部それぞれ
    の外側に、前記第1の加圧水槽部に形成されている透孔
    または前記第2の加圧水槽部に形成されている透孔を水
    没させることによって該透孔から前記第1の加圧水槽部
    内または前記第2の加圧水槽部内の水が漏出することを
    緩和させるための緩衝水槽部が設けられている延伸装置
    を用いる、請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 被延伸物として結晶性高分子製の未延伸
    物を用い、該未延伸物を延伸して延伸物を得る、請求項
    1〜請求項3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 被延伸物としてポリプロピレン繊維の未
    延伸糸を用い、該未延伸糸を延伸してポリプロピレン繊
    維を得る、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 絶対圧が3.0〜5.0kg/cm2
    加圧飽和水蒸気中で延伸する、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 被延伸物を6倍以上に延伸する、請求項
    5または請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 アイソタクチックポリプロピレンからな
    るポリプロピレン繊維の未延伸糸を延伸して、偏光下、
    クロスニコルの状態で観察したときに、繊維内部が暗部
    として視認されると共に該暗部を横断するようにして繊
    維径方向に伸びている線状の明部が断続的に視認される
    ポリプロピレン繊維を得る、請求項5〜請求項7のいず
    れか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 偏光下、クロスニコルの状態で観察した
    ときに暗部として視認される繊維内部の全長をSとし、
    繊維長をLとしたときに、前記の繊維長Lに占める前記
    暗部として視認される繊維内部の全長Sの百分率(S/
    L)×100(%)が60%以上であるポリプロピレン
    繊維を得る、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 繊維強度が11g/d以上でヤング率
    が600kg/mm2以上のポリプロピレン繊維を得
    る、請求項5〜請求項9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 常温時のヤング率が800kg/mm
    2 以上で、120℃における熱収縮率が5%未満のポリ
    プロピレン繊維を得る、請求項8〜請求項10のいずれ
    か1項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 120℃におけるヤング率が500k
    g/mm2 以上のポリプロピレン繊維を得る、請求項8
    〜請求項11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 被延伸物を請求項1〜請求項12のい
    ずれかに記載の方法によって延伸して得たものであるこ
    とを特徴とする延伸物。
  14. 【請求項14】 ポリプロピレン繊維である、請求項1
    3に記載の延伸物。
  15. 【請求項15】 アイソタクチックポリプロピレンから
    なり、偏光下、クロスニコルの状態で観察したときに、
    繊維内部が暗部として視認されると共に該暗部を横断す
    るようにして繊維径方向に伸びている線状の明部が断続
    的に視認されるポリプロピレン繊維である、請求項14
    に記載の延伸物。
  16. 【請求項16】 偏光下、クロスニコルの状態で観察し
    たときに暗部として視認される繊維内部の全長をSと
    し、繊維長をLとしたときに、前記繊維長Lに占める前
    記暗部として視認される繊維内部の全長Sの百分率(S
    /L)×100(%)が60%以上のポリプロピレン繊
    維である、請求項15に記載の延伸物。
  17. 【請求項17】 繊維強度が11g/d以上でヤング率
    が600kg/mm2以上のポリプロピレン繊維であ
    る、請求項14〜請求項16のいずれか1項に記載の延
    伸物。
  18. 【請求項18】 アイソタクチックペンダント分率が9
    5〜100%でQ値が4未満であるアイソタクチックポ
    リプロピレンからなり、常温時のヤング率が800kg
    /mm2 以上で120℃における熱収縮率が5%未満の
    ポリプロピレン繊維である、請求項15〜請求項17の
    いずれか1項に記載の延伸物。
  19. 【請求項19】 アイソタクチックペンダント分率が9
    5〜100%でQ値が4未満であるアイソタクチックポ
    リプロピレンからなり、120℃におけるヤング率が5
    00kg/mm2 以上のポリプロピレン繊維である、請
    求項15〜請求項18のいずれか1項に記載の延伸物。
  20. 【請求項20】 アイソタクチックポリプロピレンから
    なり、キシレン,トルエンおよびモノクロロベンゼンの
    いずれかの芳香族有機溶剤に対し、該芳香族有機溶剤の
    液温100℃,浸漬時間15分の条件の下に浸漬しても
    溶解せずに繊維形態を維持しているだけの耐薬品性を有
    している、請求項14に記載のポリプロピレン繊維。
  21. 【請求項21】 結晶化度が70%以上である、請求項
    20に記載のポリプロピレン繊維。
  22. 【請求項22】 請求項14〜請求項21のいずれかに
    記載のポリプロピレン繊維を材料繊維とし、フィラメン
    ト,ショートカットチョップおよびステープルファイバ
    ーのいずれかの繊維形態を有することを特徴とするポリ
    プロピレン繊維加工品。
JP10154242A 1997-10-24 1998-06-03 延伸方法および延伸物 Expired - Fee Related JP3130288B2 (ja)

Priority Applications (10)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10154242A JP3130288B2 (ja) 1997-10-24 1998-06-03 延伸方法および延伸物
DE69941418T DE69941418D1 (de) 1998-03-31 1999-01-20 Ziehvverfahren
PCT/JP1999/000178 WO1999050490A1 (fr) 1998-03-31 1999-01-20 Procede d'etirage et materiau etire
KR10-1999-7011144A KR100394131B1 (ko) 1998-03-31 1999-01-20 연신방법 및 연신물
TW088100827A TW436415B (en) 1998-03-31 1999-01-20 Drawing method and drawn material
CNB998008710A CN1160492C (zh) 1998-03-31 1999-01-20 拉伸方法和拉伸产物
US09/424,717 US6203902B1 (en) 1998-03-31 1999-01-20 Drawing method and drawn material
DK99901114T DK0987356T3 (da) 1998-03-31 1999-01-20 Fremgangsmåde til trækning
EP99901114A EP0987356B1 (en) 1998-03-31 1999-01-20 Drawing method
US09/699,492 US6544462B1 (en) 1998-03-31 2000-10-31 Drawing method

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29274597 1997-10-24
JP10-85584 1998-03-31
JP8558498 1998-03-31
JP9-292745 1998-03-31
JP10154242A JP3130288B2 (ja) 1997-10-24 1998-06-03 延伸方法および延伸物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11350283A JPH11350283A (ja) 1999-12-21
JP3130288B2 true JP3130288B2 (ja) 2001-01-31

Family

ID=27304905

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10154242A Expired - Fee Related JP3130288B2 (ja) 1997-10-24 1998-06-03 延伸方法および延伸物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3130288B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008123173A1 (ja) 2007-03-26 2008-10-16 Kuraray Co., Ltd. ポリプロピレン繊維、その製造方法およびその使用
EP2716799A1 (en) * 2011-05-30 2014-04-09 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha High-strength polypropylene fiber and method for producing same
KR101463638B1 (ko) * 2007-03-29 2014-11-19 도레이 카부시키가이샤 여과재 및 필터 유닛
US10493702B2 (en) 2015-06-29 2019-12-03 Hyundai Motor Company Thermoplastic resin composite and method of preparing the same

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4540083B2 (ja) * 2000-10-04 2010-09-08 宇部日東化成株式会社 ポリプロピレン系延伸繊維の製造方法
JP4544600B2 (ja) * 2000-12-14 2010-09-15 宇部日東化成株式会社 延伸複合繊維
JP4641367B2 (ja) * 2001-08-03 2011-03-02 宇部日東化成株式会社 結晶性高分子延伸物の製造方法
JP2005502577A (ja) * 2001-09-10 2005-01-27 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 強化された繊維補強セメント複合材
JP3960100B2 (ja) * 2002-03-29 2007-08-15 チッソ株式会社 高強度ポリオレフィン繊維及びこれを用いたコンクリート成形体
JP2003328233A (ja) * 2002-05-08 2003-11-19 Ube Nitto Kasei Co Ltd ポリオレフィン系延伸複合繊維及びそれから得られた不織布
US7074483B2 (en) * 2004-11-05 2006-07-11 Innegrity, Llc Melt-spun multifilament polyolefin yarn formation processes and yarns formed therefrom
WO2007086425A1 (ja) * 2006-01-26 2007-08-02 Mitsui Chemicals, Inc. 接着剤およびそれを用いた積層体
JP4820836B2 (ja) * 2007-03-27 2011-11-24 株式会社クラレ ポリプロピレン繊維
CN105358746B (zh) * 2013-06-21 2018-02-23 三菱化学株式会社 碳纤维前体丙烯腈纤维束的制造方法及蒸汽拉伸装置
JP6709554B2 (ja) * 2016-06-02 2020-06-17 株式会社プライムポリマー ポリプロピレン製延伸繊維
WO2020100654A1 (ja) 2018-11-13 2020-05-22 日本バイリーン株式会社 不織布及び電気化学素子用セパレータ
WO2023074268A1 (ja) * 2021-10-28 2023-05-04 東洋紡株式会社 高強度高伸度ポリプロピレン繊維及びその製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008123173A1 (ja) 2007-03-26 2008-10-16 Kuraray Co., Ltd. ポリプロピレン繊維、その製造方法およびその使用
KR101463638B1 (ko) * 2007-03-29 2014-11-19 도레이 카부시키가이샤 여과재 및 필터 유닛
EP2716799A1 (en) * 2011-05-30 2014-04-09 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha High-strength polypropylene fiber and method for producing same
EP2716799A4 (en) * 2011-05-30 2014-10-29 Toyota Motor Co Ltd HIGH-STRENGTH POLYPROPYLENE FIBER AND METHOD OF MANUFACTURING THEREOF
US10493702B2 (en) 2015-06-29 2019-12-03 Hyundai Motor Company Thermoplastic resin composite and method of preparing the same
US11478996B2 (en) 2015-06-29 2022-10-25 Hyundai Motor Company Thermoplastic resin composite and method of preparing the same

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11350283A (ja) 1999-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3130288B2 (ja) 延伸方法および延伸物
EP0636716B1 (en) Water soluble polyvinyl alcohol-based fiber
CN1065009C (zh) 一种高强超细纤维结构及其制造方法和该高强共轭纤维的制造方法
EP0205960B1 (en) Very low creep, ultra high moduls, low shrink, high tenacity polyolefin fiber having good strength retention at high temperatures and method to produce such fiber
JP2004218189A (ja) ポリケトン処理コードおよびその製造方法
EP0213208A1 (en) Polyethylene multifilament yarn
US3608024A (en) Method for producing crimped conjugated split fiber
WO1996010662A1 (fr) Fibre de polytetrafluoroethylene, article analogue au coton obtenu de cette fibre et son procede de production
KR100394131B1 (ko) 연신방법 및 연신물
JP3704015B2 (ja) ポリケトン繊維およびその製造方法
JP4544600B2 (ja) 延伸複合繊維
US7108912B2 (en) Polytetrafluoroethylene fiber and method for manufacturing the same
JP2003268622A (ja) ポリオレフィン系延伸繊維およびその製造方法
US5024797A (en) Processes for the production of mono- and multifilaments and staple fibers based on polyarylene sulfides
JP4266247B2 (ja) ポリプロピレン繊維の製造方法
JPS6241341A (ja) ゲル繊維の高速延伸方法
JP2003328233A (ja) ポリオレフィン系延伸複合繊維及びそれから得られた不織布
JP2002180347A (ja) 結晶性高分子延伸物の製造方法
US5215819A (en) Processes for the production of mono- and multifilaments and staple fibers based on kolyarylene sulfides and high-strength polyarylene sulfide fibers
JP2004052173A (ja) 高強度ポリエステルモノフィラメント及びその製造方法
JP2730193B2 (ja) ポリアミドモノフィラメント及びその製造方法
JPS61108712A (ja) 高強度・高弾性率ポリビニルアルコ−ル系繊維の製造方法
JPH1181036A (ja) 高強度ポリプロピレン繊維及びその製造方法
JP4330497B2 (ja) 交絡されたポリオレフィン系マルチフィラメントの製造方法、交絡されたポリオレフィン系マルチフィラメントおよびフィルタークロス
JPH09275881A (ja) 防虫網およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20001023

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081117

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081117

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091117

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091117

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 10

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 10

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 10

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 10

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 10

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 10

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111117

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111117

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121117

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131117

Year of fee payment: 13

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees