JP3129142B2 - パルス圧縮超音波探傷方法 - Google Patents

パルス圧縮超音波探傷方法

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JP3129142B2 JP07083835A JP8383595A JP3129142B2 JP 3129142 B2 JP3129142 B2 JP 3129142B2 JP 07083835 A JP07083835 A JP 07083835A JP 8383595 A JP8383595 A JP 8383595A JP 3129142 B2 JP3129142 B2 JP 3129142B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、広くは超音波を用い
た非破壊検査技術に関し、特に周波数変調波を用いたパ
ルス圧縮処理によりSN比と分解能を向上させたパルス
圧縮超音波探傷方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超音波探傷技術は、鉄鋼材料の非破壊検
査をはじめとして広く用いられており、一般的な従来技
術は、次のような原理になっている。まず、パルス状の
送信波を超音波探触子に加え、超音波パルスを材料中に
入射する。次に、この超音波探触子と同じ(送受信共
用)かまたは異なる(受信専用の)超音波探触子を用い
て、材料から反射してくる超音波エコーを受信する。そ
して、この受信波を増幅器で増幅し、判定部にて様々な
評価を行なう。例えば、厚みは、材料の表面で反射して
きたSエコーと材料の底面で反射してきたBエコーとの
時間差から求められる。また、欠陥は、本来エコーのあ
るべきではない時間位置からのエコーの有無から検出で
きる。
【0003】さて、このような従来の超音波探傷方法は
以下の問題があった。すなわち、送信波がパルス状なの
でエネルギーが低く、受信波が弱くなってしまう。この
ため、例えば工場内などのように様々な電気機器からの
ノイズが多い環境下では、必要なSN比が得られない場
合やノイズによる誤指示が発生して超音波探傷の信頼性
が失われてしまう場合があった。この問題を解決するた
めの従来技術としては、パルス圧縮処理が良く知られて
いる。この技術は、従来のパルス状の送信波の代わりに
時間幅を長くしたバースト波状の送信波を用いてSN比
を高め、さらに受信波については、送信波を参照波とし
た相関演算によりバースト波状のエコーの時間幅を短く
パルス状に圧縮し、波形の分解能は劣化させずにSN比
を高めるようにしたものである。ここで、送信波には、
周波数変調波(以下、FM信号という)や位相変調波が
提案されており、主にこの送信波の周波数変化率や位相
変化率によって圧縮処理後のパルス波形が決定される。
【0004】従来のパルス圧縮処理技術を適用した超音
波探傷装置としては、一般にFM信号を送信波として用
い、そのFM信号の時間幅、周波数変化率及び振幅変化
率をそれぞれ材料や用途に応じて様々に変化できるよう
に、各種パラメータを可変として、FM信号を発生でき
る手段と受信信号と相関演算を行うための参照信号を発
生できる手段とを設けているものが多い。そして上記の
装置によって、超音波探傷技術にFM信号によるパルス
圧縮処理が使えるようになったので、SN比の問題はか
なり改善されたが、まだ満足すべきものではなく、以下
に述べる二つの問題があった。
【0005】一番目の問題は、圧縮処理前の受信波形は
送信波とは等しくならず、送信波の始端部と終端部の両
端が低下したような波形となってしまうために、SN比
が悪化してしまう問題がある。これは、超音波探触子な
どの周波数特性が中心周波数を中心に山形の特性をして
いるため、帯域外の部分でFM信号が減衰してしまうた
めに起こるものである。二番目の問題は、圧縮処理後の
エコー波形がパルス状にならず、波数の多い分解能の悪
い波形になってしまう問題である。これは、圧縮処理後
のエコー波形は、送信波の時間幅、周波数変化率及び振
幅変化率だけでなく、超音波探触子などの周波数帯域に
よっても影響されるためである。
【0006】一番目の問題に対処するための従来技術と
しては、FM信号の周波数遷移帯域を超音波探触子の周
波数帯域に応じて最適化する方法がある。例えば、「T
heoptimum bandwidth of ch
irp signalsin ultrasonic
applications, Ultrasonics
Vol.31 No.6 P417−420(199
3)」では、探触子の周波数特性がcos関数形で表さ
れる場合、図17の(a)に示す如く、周波数遷移帯域
Bを探触子の周波数特性F(jω)におけるピークレベ
ルから−6dBの帯域幅BT の1.14倍に設定すると
最もSN比が良くなるとされている。次に、二番目の問
題に対処する方法としては、圧縮後のエコー波形に対し
て、図17の(b)に示すごとく、探触子の周波数特性
F(jω)の逆フィルタをかける処理がある。この方法
は、デコンボリューション処理と呼ばれ、「日本機械学
会編:非破壊計測技術P109−112 朝倉書店(1
990)」などにその内容は記述されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の文
献に示されたこれらの方法を用いるためには、探触子の
周波数特性を知らなければならない。探触子の周波数特
性は、理論的には、探触子にインパルスを加えた場合の
応答として求められるので、送信波にパルス波を用いて
被検体からのエコーを得れば良い。しかしながら実際に
超音波探傷を行う工場内などでは、前述の通り様々な電
気機器からのノイズが多いため十分なSN比が得られな
い場合が多いので、実際には探触子の周波数特性を知る
ことが困難であり、このため送信波の周波数遷移帯域を
最適に設定をすることができないという問題点があっ
た。また、できる限り周波数帯域の広い超音波探触子を
用いることも一つの方法だが、超音波探触子は一般に圧
電素子の厚み共振を利用することにより実用的な感度を
得ているため、広帯域化にも限界がもたらされていた。
従って現状では、超音波探傷技術のSN比と分解能には
限界があり、必ずしも満足できるものではなかった。本
発明は上記のような問題点を解決するためになされたも
ので、パルス圧縮処理を用いた超音波探傷技術におい
て、探触子や被検体などの周波数特性が変わっても常に
高いSN比と分解能の得られるパルス圧縮超音波探傷方
法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
パルス圧縮超音波探傷方法は、被検体に対して探触子を
介して所定パルス幅の周波数変調波による超音波の送受
信を行い、その受信信号に対して参照信号を用いてパル
ス圧縮処理を施した信号によって被検体を探傷するパル
ス圧縮超音波探傷方法において、初回の周波数遷移帯域
の下限周波数を0Hz、上限周波数を前記探触子の公称
周波数の2倍以上に設定した周波数変調波を送信波st
(t)として探触子を介して被検体に送受信を行い、そ
の受信信号に対してパルス圧縮処理を施してエコー波形
sr(t)を生成し、次に、前記送信波st(t)とエ
コー波形sr(t)とから探触子を含む超音波伝送路の
周波数特性F(jω)を求め、次に、前記求めた周波数
特性F(jω)に基づき、前記エコー波形sr(t)の
SN比が最適化されるように、次回の送信波の周波数遷
移帯域を再設定するようにしたものである。
【0009】本発明の請求項2に係るパルス圧縮超音波
探傷方法は、前記請求項1に係るパルス圧縮超音波探傷
方法において、前記求めた超音波伝送路の周波数特性F
(jω)に基づき、前記F(jω)の絶対値スペクトル
のピークレベルからそれぞれ約−6dBの位置にある下
側周波数f1 及び上側周波数f2 並びに前記約−6dB
の位置からさらに減少して最初の極小レベルの位置にあ
る下側周波数f10及び上側周波数f20を求め、次回の送
信波の周波数遷移帯域の下限周波数を前記f10とf1
の間から選択し、また上限周波数を前記f2 とf20との
間から選択して再設定するようにしたものである。
【0010】本発明の請求項3に係るパルス圧縮超音波
探傷方法は、被検体に対して探触子を介して所定パルス
幅の周波数変調波による超音波の送受信を行い、その受
信信号に対して参照信号を用いてパルス圧縮処理を施し
た信号によって被検体を探傷するパルス圧縮超音波探傷
方法において、所定周波数遷移帯域の周波数変調波によ
る送信波st(t)を探触子を介して被検体に送受信を
行い、その受信信号に対してパルス圧縮処理を施してエ
コー波形sr(t)を生成し、次に、前記送信波st
(t)とエコー波形sr(t)とから探触子を含む超音
波伝送路の周波数特性F(jω)を求め、次に、前記求
めた周波数特性F(jω)の絶対値スペクトルの零レベ
ルまたはピークレベルから減少して最初の極小レベルの
位置にある下側周波数f10及び上側周波数f20を求める
と共に、このf10とf20の間の周波数範囲を持った前記
エコー波形sr(t)の理想波su(t)を求め、次
に、前記エコー波形sr(t)を前記理想波su(t)
に変換するフィルタ特性H(jω)を求め、このH(j
ω)によるフィルタ処理を前記エコー波形sr(t)に
施すようにしたものである。
【0011】本発明の請求項4に係るパルス圧縮超音波
探傷方法は、被検体に対して探触子を介して所定パルス
幅の周波数変調波による超音波の送受信を行い、その受
信信号に対して参照信号を用いてパルス圧縮処理を施し
た信号によって被検体を探傷するパルス圧縮超音波探傷
方法において、所定周波数遷移帯域の周波数変調波によ
る送信波st(t)を探触子を介して被検体に送受信を
行い、その受信信号に対してパルス圧縮処理を施してエ
コー波形sr(t)を生成し、次に、前記送信波st
(t)とエコー波形sr(t)とから探触子を含む超音
波伝送路の周波数特性F(jω)を求め、次に、前記求
めた周波数特性F(jω)の絶対値スペクトルの零レベ
ルまたはピークレベルから減少して最初の極小レベルの
位置にある下側周波数f10及び上側周波数f20を求める
と共に、このf10とf20の間の周波数範囲を持った前記
エコー波形sr(t)の理想波su(t)を求め、次
に、前記エコー波形sr(t)を前記理想波su(t)
に変換するフィルタ特性H(jω)を求めると共に、前
記送信波st(t)の周波数特性St(jω)を求め、
次に、前記送信波の周波数特性St(jω)とフィルタ
特性H(jω)とからSh(jω)=St* (jω)・
H(jω)で得られる周波数特性を逆フーリエ変換して
得た波形sh(t)を前記参照信号の波形として受信信
号とのパルス圧縮処理を施すようにしたものである。
【0012】
【作用】本請求項1及び2に係る発明においては、探触
子を含む超音波伝送路の周波数特性を知るために、パル
ス波を使わず、(1)最初は、周波数遷移帯域を広くと
ったFM信号を送信波st(t)として探触子を介して
被検体に送受信を行い、その受信信号に対してパルス圧
縮処理を施してエコー波形sr(t)を生成し、(2)
次に、送信波st(t)とエコー波形sr(t)とから
探触子を含む超音波伝送路の周波数特性F(jω)を求
め、(3)次に、前記周波数特性F(jω)に基づき、
パルス圧縮処理後のエコー波形sr(t)のSN比が最
適化されるように、FM信号の周波数遷移帯域を再設定
し直してから実用に供するという点が最大の特徴であ
り、以下、その作用を説明する。
【0013】本発明のFM信号によるパルス圧縮超音波
探傷法では、まず、FM信号の周波数遷移帯域の下限周
波数を0Hz、上限周波数を探触子の公称周波数(一般
に市販の探触子には、その最大感度の得られる周波数を
公称周波数として明記してある)の2倍以上に設定した
FM信号を送信波st(t)として、探触子を介して被
検体に送受信を行い、被検体からの受信信号に対してパ
ルス圧縮処理を施してエコー波形sr(t)を得る。こ
のパルス圧縮処理を施したエコー波形sr(t)を得る
過程において、エコー波形sr(t)は超音波探触子や
被検体など伝播途中の伝送路の周波数特性F(jω)の
影響を受ける。この影響を考慮すると、エコー波形は以
下の(1)式で表すことができる。なお、以下、大文字
は信号の周波数特性であり、* は複素共役を表す。 Sr(jω)=St(jω)・F(jω)・St* (jω) …(1) ここで、初回の送信波の周波数遷移帯域は、その下限周
波数を0Hz、上限周波数を探触子の公称周波数の2倍
以上としているが、この理由は、この範囲であれば超音
波探触子の周波数帯域よりも広い範囲となるためであ
り、その結果として、以下の(2)式により伝送路の周
波数特性F(jω)を求めることができる。 F(jω)=Sr(jω)/[St(jω)・St* (jω)] …(2)
【0014】この初回の手順においては、必ずしも最適
な周波数遷移帯域ではないが、送信波にパルス波ではな
くFM信号を用いることにより、パルス波を用いる場合
よりも良いSN比のエコー波形が得られる。その結果、
工場などノイズの多い環境下でも超音波探触子を含む伝
送路の周波数特性を測定することができる。次に、上記
のように求めた超音波伝送路の周波数特性F(jω)を
基に、前記エコー波形sr(t)のSN比が最適化され
るように、次回の送信波の周波数遷移帯域を最適な値f
1 〜f2 に再設定する。そしてこの次回以降の送信波の
周波数遷移帯域を最適値のf1 〜f2 に再設定すること
により、エコー波形のSN比がさらに向上するから、工
場内の電気的雑音の多い環境下にあっても、超音波探傷
の信頼性を高めることができるようになる。
【0015】本請求項2に係る発明においては、前記次
回のFM信号の周波数遷移帯域は、下記のように再設定
する。即ち、前記求めた超音波伝送路の周波数特性F
(jω)基づき、前記F(jω)の絶対値スペクトルの
ピークレベルからそれぞれ約−6dBの位置にある下側
周波数f1 及び上側周波数f2 並びに前記約−6dBの
位置からさらに減少して最初の極小レベルの位置にある
下側周波数f10及び上側周波数f20を求め、次回の送信
波の周波数遷移帯域の下限周波数を前記f10とf1 との
間から選択し、また上限周波数を前記f2 とf20との間
から選択して再設定する。この請求項2のように次回以
降のFM信号の周波数遷移帯域を再設定する理由は、超
音波探触子の周波数特性は、必ずしもcos関数形(単
峰波形)で表されるだけでなく、多峰波形や偏った形も
多く存在するので、上記の範囲から上限及び下限周波数
を選択することにより、ほとんどの超音波探触子に対し
て最適な周波数遷移帯域を選択することができるからで
ある。
【0016】さらに、本発明の方法を用いれば、超音波
探触子の周波数範囲を知ることができるので、デコンボ
リューション後の波形を限られた周波数帯域内で最も鋭
い波形となるようにフィルタ処理することができる。即
ち本請求項3に係る発明においては、請求項1又は2と
同様の方法により、超音波伝送路の周波数特性F(j
ω)を求め、次に、前記求めた周波数特性F(jω)の
絶対値スペクトルの零レベルまたはピークレベルから減
少して最初の極小レベルの位置にある下側周波数f10
び上側周波数f20を求めると共に、このf10とf20の間
の周波数範囲を持った前記エコー波形sr(t)の理想
波su(t)を設定する。次に、前記エコー波形sr
(t)を前記理想波su(t)に変換するフィルタ特性
H(jω)を次の(3)式のように求める。 H(jω)=Su(jω)/Sr(jω)、(但しf:f10〜f20) …(3) そしてこのH(jω)によるフィルタ処理を前記パルス
圧縮処理後のエコー波形sr(t)に施すことにより、
超音波探触子の周波数特性に応じて、最適に波形を鋭く
し、分解能を高めることができる。従来のデコンボリュ
ーション処理では、超音波探触子の周波数特性の零レベ
ル近傍の周波数で、H(jω)が非常に大きくなってし
まい、ノイズの影響を受け易かったが、本発明の方法で
は超音波探触子の上記f10〜f20の範囲だけでH(j
ω)を定めているので、そのような問題も発生しない。
【0017】さらに本請求項4に係る発明においては、
前記請求項3と同様な方法により、パルス圧縮処理後の
エコー波形sr(t)を前記理想波su(t)に変換す
るフィルタ特性H(jω)を求めると共に、前記送信波
st(t)の周波数特性St(jω)を求め、次に、前
記送信波の周波数特性St(jω)とフィルタ特性H
(jω)とからSh(jω)=St* (jω)・H(j
ω)で得られる周波数特性を逆フーリエ変換して得た波
形sh(t)を前記参照信号の波形として受信信号との
パルス圧縮処理を施すようにしている。この請求項4の
ようにすると、パルス圧縮処理とH(jω)のフィルタ
処理を一つの相関器で行なうことができるので、経済的
なパルス圧縮超音波探傷装置を構成することができる。
【0018】
【実施例】本発明は、被検体に対して探触子を介して所
定パルス幅の周波数変調波による超音波の送受信を行
い、その受信信号に対して参照信号を用いてパルス圧縮
処理を施した信号によって被検体を探傷するパルス圧縮
超音波探傷方法に係るものであり、以下、本発明の実施
例を図面を用いて説明する。図1は本発明に係るFM信
号の周波数遷移帯域設定順序を示すフローチャートであ
る。なお、図のSに続く数値はステップ番号を示す。ま
ず、図1の送信波初期値ルーチンS1では、初回の周波
数遷移帯域の下限周波数を0Hz、上限周波数を前記探
触子の公称周波数fn の2倍の2fn に設定した周波数
変調波を送信波st(t)として探触子を介して被検体
に送受信を行い、その受信信号に対してパルス圧縮処理
を施してエコー波形sr(t)を生成する。このエコー
波形は、例えば被検体の底面や加工傷などから得るもの
である。
【0019】次に、図1の再設定値計算ルーチンS2で
は、エコー波形sr(t)をフーリエ変換してSr(j
ω)を求め、さらに作用で述べた(2)式に基づいて、
超音波伝送路の複素周波数特性F(jω)を求める。こ
の特性の絶対値スペクトルを基に、前記エコー波形sr
(t)のSN比が最適化されるように、次回の送信波の
周波数遷移帯域f1 〜f2 を再設定する。例えば、まず
前記求めた超音波伝送路の周波数特性F(jω)がco
s関数形の場合には、前記F(jω)の絶対値スペクト
ルのピークレベルからそれぞれ−6dBの位置にある下
側周波数と上側周波数との間の−6dB帯域幅BT を求
め、次に前記BT の1.14倍を次回の送信波の周波数
遷移帯域に定め、この遷移帯域における下限周波数f1
と上限周波数f2 を再設定する。そして、送信波再設定
ルーチンS3にて、FM信号の周波数遷移帯域をf1
2 に変更し、以後、このf1 〜f2 を周波数遷移帯域
とするFM信号を被検体の探傷や厚さ測定などの計測へ
供する。
【0020】図2は本発明に係るFM信号を用いた超音
波探傷装置の構成図である。図2において、1はパラメ
ータ設定部であり、送信波であるFM信号の中心周波
数、周波数遷移帯域、送信パルス時間幅及び振幅変化率
などを外部から指定したり、波形抽出部6から受ける部
分である。2はFM信号作成部であり、パラメータ設定
部1により設定された波形パラメータに基づいてFM信
号を作成し、FM信号送信部3へ送出する。FM信号送
信部3は、同期発生部8からの送信タイミング信号に同
期して、FM信号を超音波探触子9へ送信する。超音波
探触子9は圧電振動子を内蔵しており、入力したFM信
号に対応した超音波パルスを被検体10へ入射する。ま
た超音波探触子9は、被検体10から反射した超音波を
電気信号に変換し、エコー信号として次のパルス圧縮部
5へ送出する。一方、参照信号作成部4では、パラメー
タ設定部1により設定された波形パラメータに基づいて
パルス圧縮処理のための参照信号を作成して、パルス圧
縮部5へ送出する。パルス圧縮部5では、受信したエコ
ー波形と参照信号との相互相関を演算してパルス圧縮処
理し、表示部7へ出力する。この信号は波形抽出部6へ
も送れるようになっており、波形抽出部6では、エコー
波形を抽出し、最適な送信波パラメータを演算する。
【0021】図3は、図2に示す超音波探傷装置の具体
的構成図であり、図2と同一のもの又は同一機能を有す
るものは同一の番号を付与してある。例えば図3のFI
Rフィルタ5は図2のパルス圧縮部5と同一機能を有す
るものである。図3において、11は送信用増幅器、1
2は受信用増幅器、13はA/D変換器、14はD/A
変換器、15はパーソナルコンピュータであり、図2お
けるパラメータ設定部1、FM信号作成部2、参照信号
作成部4及び波形抽出部6の機能をパーソナルコンピュ
ータ15にプログラムとして内蔵されたソフトウェアの
実行により実現している。
【0022】次に図3の動作を詳細に説明する。まず、
パーソナルコンピュータ15にて、サンプリング周期4
0nsec、128点からなるデジタルのFM信号の送
信波を作成する。この場合、FM信号のパルス時間幅は
最大5.12μsまで可能である。作成されたデジタル
のFM信号は、D/A変換器3にて40nsecのクロ
ック周期で順次読みだされ、アナログ信号となって送信
用増幅器11に送られる。この一巡の読み出しタイミン
グは同期発生回路8の送信タイミング信号に基づいて、
1KHz程度の繰り返し周期で行われる。送信用増幅器
11で300V程度まで増幅された送信波は、超音波探
触子9に送られ、超音波に変換されて被検体10へ送ら
れる。なお、サンプリング周期を40nsecとした理
由は、ここで用いた超音波探触子の公称周波数は5MH
zのものであり、その帯域幅は10MHzまで広がって
いるため、サンプリング論理に基づきその2倍以上のサ
ンプリング周波数が必要であり、この実施例ではサンプ
リング周波数を25MHzにしたので、すなわち40n
secのサンプリング周期となる。送信波と同様に、パ
ーソナルコンピュータ15にて、サンプリング周期40
nsce、128点からなるデジタルの参照信号を作成
し、FIRフィルタ5の係数メモリへ書き込んでおく。
ここで、参照信号の波形は、送信波と同様でも良いし、
送信波とは異なる波形でも良く、さらには本発明の請求
項4により求められた波形を用いても良いが、図1の送
信波初期値ルーチンS1においては送信波と同様の波形
を用いるのが適している。
【0023】さて、超音波探触子9にて受波されたエコ
ー信号は数mV程度と微弱であるから、受信用増幅器1
2にて1V程度まで増幅する。次に、A/D変換器13
にてデジタル信号x(k) に変換する。A/D変換のサン
プリング周期は40nsecで行い、順次FIRフィル
タ5へ送る。図4はFIRフィルタ5の具体的な回路例
を示す図であり、FIRフィルタ5は、参照信号を格納
する係数メモリ16、乗算器17、加算器18及び遅延
器19により構成されている。FIRフィルタ5では、
128個のデジタル参照信号C1 〜C128 とデジタル受
信データx(k) との相互相関y(k) =Σc(i) ・x(k-
i) 、(但しi=1、2、3、…128)の演算を行な
うので、係数メモリ16へ参照信号c(i) を逆順序に書
き込むことによって、相互相関y(k) =Σc(i) ・x(k
+i) の計算が行われる。FIRフィルタ5の出力は、D
/A変換器14を介してアナログ信号に戻され、CRT
表示器7に表示されると共に、デジタル信号のままパー
ソナルコンピュータ15へも取り込まれ、図1の再設定
値計算ルーチンS2のためのデータとして用いられる。
以上の各動作は、図1のフローチャートに基づいて適宜
設定され行われる。
【0024】本発明の第1の実施例として、送信波の周
波数遷移帯域を最適に決定した例を述べる。以下は電磁
ノイズの非常に多い環境下で、図3に示した探傷装置と
垂直探触子とにより深さ50mmの人工傷(φ2mm平
底穴)を探傷した例を示す。まず本発明と従来技術にお
ける送信波と受信エコーとの比較を波形で示す。図5
は、従来のパルス波を送信波に用いて探傷した場合の波
形図であり、同図の(a)は送信波の波形を、(b)は
その受信エコーの波形である。図5の(b)では、SN
比が低いためエコーが明瞭ではないことが示されてい
る。次に、本発明によるFM信号の初期値として、周波
数遷移帯域=0〜10MHz、パルス時間幅=4μsの
FM信号を送信波に用いて探傷した結果の波形を図6に
示す。図6の(a)は送信波の波形、(b)はその受信
信号のパルス圧縮処理後のエコー波形である。図6の
(b)では、十分にSN比が高くなっているため、エコ
ーが明瞭であることが判る。ここまでが図1の送信波初
期値ルーチンS1である。
【0025】次に図6の(b)に示したパルス圧縮処理
後のエコー波形を高速フーリエ変換(以下、FFTとい
う)し、(2)式を用いることにより伝送路の周波数特
性F(jω)を求め、その絶対値スペクトルを図7に示
す。図7によって、伝送路の周波数特性はcos関数形
であることが判る。従ってこのような周波数特性の場合
には、例えば次のようにして次回のFM信号の周波数遷
移帯域を求める。まず図7における伝送路の周波数特性
F(jω)の絶対値スペクトルのピークレベルからそれ
ぞれ−6dBの位置にある下側周波数の2.45MH
z、上側周波数の7.55MHzとから両周波数間の−
6dB帯域幅BT の5.1MHzを求める。次に次回の
FM信号の最適な周波数遷移帯域を前記BT の1.14
倍として求めると約5.8MHzとなり、この遷移帯域
における下限周波数f1 は2.1MHz、上限周波数f
2 は7.9MHzとして求められる。ここまでが図1の
再設定値計算ルーチンS2である。
【0026】以上の結果から、次に送信波を周波数遷移
帯域2.1〜7.9MHzのFM信号に変更して探傷し
た結果の波形を図8に示す。図8の(a)は送信波の波
形、(b)は受信信号のパルス圧縮処理後のエコー波形
である。図8の(b)の波形は図6の(b)に比べて、
さらにSN比が高くなってSN比が最適化されているこ
とが判る。ここまで図1の送信波再設定ルーチンS3で
ある。このように、本発明によれば、ノイズの多い環境
下においても伝送路の周波数特性を得ることができると
共に、この伝送路の周波数特性を用いて送信波の最適な
周波数遷移帯域が得られるので、即ち送信波のパラメー
タを最適化できるので、非常にSN比の優れた超音波探
傷が可能となる。
【0027】なお、図9に示した波形は、パルス圧縮処
理する前の受信エコー波形であり、同図の(a)は周波
数遷移帯域の初期値(0〜10MHz)による送信波を
用いた場合で、(b)は周波数遷移帯域の再設定値
(2.1〜7.9MHz)による送信波を用いた場合で
ある。図9の(a)では、探触子の周波数特性に比べて
広い範囲でFM信号を遷移させているため、本来パルス
時間幅が4μsで送信したFM信号の両端の振幅が小さ
くなり2.5μs程度に狭くなっているのに対して、同
図の(b)では、送信波が最適化されているためパルス
時間幅は4μsのままであり、本実施例における送信波
の最適化効果が明瞭に示されている。なお、図5の
(b)と図9ではノイズレベルが同じだがエコー強度が
異なるのは、FM信号を送信波として用いる場合、図5
の(a)と図6の(a)の比較から明らかなように、F
M信号の方がエネルギーが大きいからである。また、図
6の(b)でノイズレベルが図9の(a)に比べて下が
っているのは、相関処理の効果である。
【0028】次に、本発明の第2の実施例として、伝送
路の周波数特性がcos関数形でない場合について述べ
る。図10は、第1の実施例で用いたものと別の超音波
探触子を用い、送信波の初期値として、周波数遷移帯域
=0〜15MHz、パルス時間幅=4μsのFM信号を
用いて測定したエコーから求めた伝送路の周波数特性の
絶対値スペクトルを示す図である。図10の−6dB帯
域幅BT は図7と同様だが、−6dB以下の高周波側の
周波数成分を多く含んでいる。同図の高周波側の−6d
B周波数は7.55MHzであり、−6dBからさらに
減少して零レベルとなる周波数は14MHzである。次
に、送信波の周波数遷移帯域を下限周波数は2.1MH
zに固定し、上限周波数を7MHzから16MHzまで
変化させた時のSN比の周波数特性の変化を調べた所、
図11のようになった。図中Aは図7の周波数特性の超
音波探触子を用いた場合であり、Bは図10の周波数特
性の超音波探触子を用いた場合である。図11により、
図10の特性の超音波探触子を用いたBの場合は、周波
数遷移帯域の上限周波数の最適値は、7.9MHzより
も高い周波数であることが示されている。
【0029】前記第1及び第2の実施例に示したよう
に、超音波伝送路の周波数特性には種々の特性が存在す
るので、一般的に、図1の再設定値計算ルーチンS2に
おいて、FM信号の下限周波数及び上限周波数は次のよ
うにして求めればよい。図1の送信波初期値ルーチンS
1により求めた超音波伝送路の周波数特性F(jω)に
基づき、前記F(jω)の絶対値スペクトルのピークレ
ベルからそれぞれ約−6dBの位置にある下側周波数f
1 及び上側周波数f2 並びに前記約−6dBの位置から
さらに減少して最初の極小レベルの位置にある下側周波
数f10及び上側周波数f20を求め、次回の送信波の周波
数遷移帯域の下限周波数を前記f10とf1 との間から選
択し、また上限周波数を前記f2 とf20との間から選択
して求めればよい。このように、本発明によれば、伝送
路の周波数特性に応じて最適なSN比となるFM信号の
パラメータを選択できるので、常に高いSN比で超音波
探傷をすることが可能となる。
【0030】次に、本発明の第3の実施例として、受信
波のパルス圧縮処理後の信号に対してデコンボリューシ
ョン処理を行った場合について述べる。図12は、さら
に別の超音波探触子を用いて、送信波の初期値として、
周波数遷移帯域=0〜10MHz、パルス時間幅=4μ
sのFM信号を用いて得た結果を示す図である。同図の
(a)は受信信号のパルス圧縮処理後のエコー波形であ
り、波数が多く分解能が悪いことが示されている。ま
た、若干のノイズが認められ、パルス波を送信波として
用いた場合は全く測定が不可能なことが明らかである。
しかしながら、図12の(a)にはエコーは明瞭に現わ
れているため、伝送路の周波数特性を求めるには十分な
SN比であり、このエコー波形から伝送路の周波数特性
F(jω)を求めた結果が図12の(b)である。そこ
で、前記求めた伝送路の周波数特性F(jω)の絶対値
スペクトルの零レベルの位置にある下側周波数fa
1.36MHz、上側周波数fb は7.91MHzとし
て求め、このfa とfb の間の周波数範囲を持った前記
エコー波形の理想波su(t)を設定する。
【0031】本実施例では、上記理想波は次の(4)式
の周波数特性Su(jω)を逆フーリエ変換して得た。 Su(jω)=0.14+1.14cos2 [(2πf−2πfc )/2B] …(4) ここで、fc =(fa +fb )/2、B=fb −fa
ある。なお、ここではcos関数型の窓関数を用いた
が、他の関数でも実施可能である。図13の(a)の波
形は、以上のようにして得たパルス圧縮処理後のエコー
波形の理想波の波形である。また以上のデータより、パ
ルス圧縮処理後の信号に適用するデコンボリューション
のためのフィルタ特性H(jω)が次の(5)式で求め
られる。 H(jω)=Su(jω)/Sr(jω)、(但しf=fa 〜fb ) …(5) 図13の(b)は、この(5)式によって求めたデコン
ボリューション用のフィルタ特性H(jω)を示す図で
ある。
【0032】なお図12の(b)に示された伝送路の周
波数特性の場合には、エコー波形の理想波su(t)の
周波数範囲を、周波数特性の絶対値スペクトルの零レベ
ルの位置にある下側周波数fa と上側周波数fb との間
とした例を示したが、本発明はこれに限定されるもので
はない。即ち伝送路の周波数特性には種々の特性が存在
するので、例えば、伝送路の周波数特性F(jω)の絶
対値スペクトルのピークレベルから減少して最初の極小
レベルの位置にある下側周波数f10及び上側周波数f20
を求め、このf10とf20の間の周波数範囲を持った前記
エコー波形の理想波su(t)を求めるようにしてもよ
い。
【0033】図14は、この第3の実施例で用いた超音
波探傷装置の構成図であり、図3における相関処理のた
めのFIRフィルタ5に加え、デコンボリューション処
理のためのFIRフィルタ20が加えられている。FI
Rフィルタ20の周波数特性は、フィルタ特性H(j
ω)を求めるまではフラットな特性としておき、フィル
タ特性H(jω)が求まったらその特性を設定する。こ
れは、上記H(jω)を逆フーリエ変換した時間波形を
係数メモリに書き込めば良く、パーソナルコンピュータ
15からそのデータは送り込まれる。以上のようにデコ
ンボリューション用FIRフィルタ20を追加して得た
エコー波形が、図15であり、図12の(a)と比較す
ると波数が少なく、分解能が高くなっていることが明ら
かである。なお、図15の例では送信波のパラメータは
初期値のままとしたが、第1の実施例のようにF(j
ω)を基にしてパラメータを最適化することももちろん
有効である。このように、本発明によれば、ノイズの多
い環境下においても伝送路の周波数特性を得ることによ
り、パルス圧縮後のエコー波形の波数を少くするデコン
ボリューションのためのフィルタ特性を求めることがで
きるので、非常に分解能の高い超音波探傷が可能とな
る。
【0034】次に、本発明の第4の実施例では、前記送
信波st(t)の周波数特性St(jω)と、前記フィ
ルタ特性H(jω)とからSh(jω)=St* (j
ω)・H(jω)で得られる周波数特性を逆フーリエ変
換して得た波形sh(t)を参照波として、受信波との
相関演算をするようにした。図16はそのようにして得
た参照波形であり、この参照波形を用いた場合のエコー
波形は図15と同じものが得られた。このように本発明
によれば、上記の演算により求めた図16のような波形
の参照波sh(t)を用いることにより、パルス圧縮処
理とH(jω)のフィルタ処理を一つの相関器で行なう
ことができ、図3の構成で図14と同じことが実施でき
るので、FIRフィルタを一つ減らすことができる。
【0035】なお、上記実施例においては、送信波とし
て用いるFM信号の振幅を一定とし、また周波数変化率
も一定とした場合の例を示したが本発明はこれに限定さ
れるものではない。即ち振幅を周波数によって変化させ
たFM信号(例えばFM信号の始端部と終端部の包絡線
がなめらかな曲線となるような波形の信号)や、周波数
変化率を変化させた非線形FM信号を用いてもよい。
【0036】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、被検体に
対して探触子を介して所定パルス幅の周波数変調波によ
る超音波の送受信を行い、その受信信号に対して参照信
号を用いてパルス圧縮処理を施した信号によって被検体
を探傷するパルス圧縮超音波探傷方法において、初回の
周波数遷移帯域の下限周波数を0Hz、上限周波数を前
記探触子の公称周波数の2倍以上に設定した周波数変調
波を送信波st(t)として探触子を介して被検体に送
受信を行い、その受信信号に対してパルス圧縮処理を施
してエコー波形sr(t)を生成し、次に、前記送信波
st(t)とエコー波形sr(t)とから探触子を含む
超音波伝送路の周波数特性F(jω)を求め、次に、前
記求めた周波数特性F(jω)に基づき、前記エコー波
形st(t)のSN比が最適化されるように、次回の送
信波の周波数遷移帯域を再設定するようにしたので、工
場等の電気機器からのノイズが多い環境においても超音
波伝送路の周波数特性を取得し、周波数変調波のパラメ
ータを最適化してエコー波形のSN比を向上することが
できる。
【0037】また本発明によれば、前記パルス圧縮超音
波探傷方法によって求められた超音波伝送路の周波数特
性F(jω)に基づき、前記F(jω)の絶対値スペク
トルのピークレベルからそれぞれ約−6dBの位置にあ
る下側周波数f1 及び上側周波数f2 並びに前記約−6
dBの位置からさらに減少して最初の極小レベルの位置
にある下側周波数f10及び上側周波数f20を求め、次回
の送信波の周波数遷移帯域の下限周波数を前記f10とf
1 との間から選択し、また上限周波数を前記f2 とf20
との間から選択して再設定するようにしたので、周波数
変調波のパラメータが自動的に最適化され、その結果エ
コー波形のSN比がより一層改善される。
【0038】また本発明によれば、前記パルス圧縮超音
波探傷方法において、所定周波数遷移帯域の週数変調波
による送信波st(t)を探触子を介して被検体に送受
信を行い、その受信信号に対してパルス圧縮処理を施し
てエコー波形sr(t)を生成し、次に、前記送信波s
t(t)とエコー波形sr(t)とから探触子を含む超
音波伝送路の周波数特性F(jω)を求め、次に、前記
求めた周波数特性F(jω)の絶対値スペクトルの零レ
ベルまたはピークレベルから減少して最初の極小レベル
の位置にある下側周波数f10及び上側周波数f20を求め
ると共に、このf10とf20の間の周波数範囲を持った前
記エコー波形sr(t)の理想波su(t)を求め、次
に、前記エコー波形sr(t)を前記理想波su(t)
に変換するフィルタ特性H(jω)を求め、このH(j
ω)によるフィルタ処理を前記エコー波形sr(t)に
施すようにしたので、フィルタ処理後のエコー波形は波
数が少く高分解能の超音波探傷が可能となる。
【0039】また本発明によれば、前記パルス圧縮超音
波探傷方法において求められたフィルタ特性H(jω)
と送信波の周波数特性St(jω)とからSh(jω)
=St* (jω)・H(jω)で得られる周波数特性を
逆フーリエ変換して得た波形sh(t)を前記参照信号
の波形として受信信号とのパルス圧縮処理を施すように
したので、パルス圧縮処理とH(jω)のフィルタ処理
を一つの相関器で行うことができ、パルス圧縮超音波探
傷における高いSN比や高分解能を維持しながら、FI
Rフィルタを一つ減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るFM信号の周波数遷移帯域設定順
序を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係るFM信号を用いた超音波探傷装置
の構成図である。
【図3】図2に示す超音波探傷装置の具体的構成図であ
る。
【図4】本発明に係るFIRフィルタの具体的な回路例
を示す図である。
【図5】従来技術による送信波形とエコー波形を示す図
である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る送信波初期値ルー
チンにおける波形図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る再設定値計算ルー
チンにおける伝送路の周波数特性図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る送信波再設定ルー
チンにおける波形図である。
【図9】本発明の第1の実施例におけるパルス圧縮処理
前の波形図である。
【図10】本発明の第2の実施例における伝送路の周波
数特性図である。
【図11】本発明の第2の実施例における周波数遷移帯
域とSN比の説明図である。
【図12】本発明の第3の実施例に係る送信波初期値ル
ーチンにおける波形図である。
【図13】本発明の第3の実施例における理想波形の説
明図である。
【図14】本発明の第3の実施例における超音波探傷装
置の構成図である。
【図15】本発明の第3の実施例におけるエコー波形図
である。
【図16】本発明の第4の実施例における参照波形図で
ある。
【図17】従来技術におけるFM信号の周波数遷移帯域
と高分解能用フィルタの説明図である。
【符号の説明】
1 パラメータ設定部 2 FM信号作成部 3 FM信号送信部 4 参照信号作成部 5 パルス圧縮部 6 波形抽出部 7 表示部 8 同期発生部 9 超音波探触子 10 被検体 11 送信波増幅器 12 受信波増幅器 13 A/D変換器 14 D/A変換器 15 パーソナルコンピュータ 16 係数メモリ 17 乗算器 18 加算器 19 遅延器 20 FIRフィルタ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体に対して探触子を介して所定パル
    ス幅の周波数変調波による超音波の送受信を行い、その
    受信信号に対して参照信号を用いてパルス圧縮処理を施
    した信号によって被検体を探傷するパルス圧縮超音波探
    傷方法において、 初回の周波数遷移帯域の下限周波数を0Hz、上限周波
    数を前記探触子の公称周波数の2倍以上に設定した周波
    数変調波を送信波st(t)として探触子を介して被検
    体に送受信を行い、その受信信号に対してパルス圧縮処
    理を施してエコー波形sr(t)を生成し、 次に、前記送信波st(t)とエコー波形sr(t)と
    から探触子を含む超音波伝送路の周波数特性F(jω)
    を求め、 次に、前記求めた周波数特性F(jω)に基づき、前記
    エコー波形sr(t)のSN比が最適化されるように、
    次回の送信波の周波数遷移帯域を再設定することを特徴
    とするパルス圧縮超音波計測方法。
  2. 【請求項2】 前記求めた超音波伝送路の周波数特性F
    (jω)に基づき、前記F(jω)の絶対値スペクトル
    のピークレベルからそれぞれ約−6dBの位置にある下
    側周波数f1 及び上側周波数f2 並びに前記約−6dB
    の位置からさらに減少して最初の極小レベルの位置にあ
    る下側周波数f10及び上側周波数f20を求め、次回の送
    信波の周波数遷移帯域の下限周波数を前記f10とf1
    の間から選択し、また上限周波数を前記f2 とf20との
    間から選択して再設定することを特徴とする請求項1記
    載のパルス圧縮超音波探傷方法。
  3. 【請求項3】 被検体に対して探触子を介して所定パル
    ス幅の周波数変調波による超音波の送受信を行い、その
    受信信号に対して参照信号を用いてパルス圧縮処理を施
    した信号によって被検体を探傷するパルス圧縮超音波探
    傷方法において、 所定周波数遷移帯域の周波数変調波による送信波st
    (t)を探触子を介して被検体に送受信を行い、その受
    信信号に対してパルス圧縮処理を施してエコー波形sr
    (t)を生成し、 次に、前記送信波st(t)とエコー波形sr(t)と
    から探触子を含む超音波伝送路の周波数特性F(jω)
    を求め、 次に、前記求めた周波数特性F(jω)の絶対値スペク
    トルの零レベルまたはピークレベルから減少して最初の
    極小レベルの位置にある下側周波数f10及び上側周波数
    20を求める共に、このf10とf20の間の周波数範囲を
    持った前記エコー波形sr(t)の理想波su(t)を
    求め、 次に、前記エコー波形sr(t)を前記理想波su
    (t)に変換するフィルタ特性H(jω)を求め、この
    H(jω)によるフィルタ処理を前記エコー波形sr
    (t)に施すことを特徴とするパルス圧縮超音波探傷方
    法。
  4. 【請求項4】 被検体に対して探触子を介して所定パル
    ス幅の周波数変調波による超音波の送受信を行い、その
    受信信号に対して参照信号を用いてパルス圧縮処理を施
    した信号によって被検体を探傷するパルス圧縮超音波探
    傷方法において、 所定周波数遷移帯域の周波数変調波による送信波st
    (t)を探触子を介して被検体に送受信を行い、その受
    信信号に対してパルス圧縮処理を施してエコー波形sr
    (t)を生成し、 次に、前記送信波st(t)とエコー波形sr(t)と
    から探触子を含む超音波伝送路の周波数特性F(jω)
    を求め、 次に、前記求めた周波数特性F(jω)の絶対値スペク
    トルの零レベルまたはピークレベルから減少して最初の
    極小レベルの位置にある下側周波数f10及び上側周波数
    20を求めると共に、このf10とf20の間の周波数範囲
    を持った前記エコー波形sr(t)の理想波su(t)
    を求め、 次に、前記エコー波形sr(t)を前記理想波su
    (t)に変換するフィルタ特性H(jω)を求めると共
    に、前記送信波st(t)の周波数特性St(jω)を
    求め、 次に、前記送信波の周波数特性St(jω)とフィルタ
    特性H(jω)とからSh(jω)=St* (jω)・
    H(jω)で得られる周波数特性を逆フーリエ変換して
    得た波形sh(t)を前記参照信号の波形として受信信
    号とのパルス圧縮処理を施すことを特徴とするパルス圧
    縮超音波探傷方法。
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