JP3128283B2 - ブラシレスモータ - Google Patents

ブラシレスモータ

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JP3128283B2 JP23010991A JP23010991A JP3128283B2 JP 3128283 B2 JP3128283 B2 JP 3128283B2 JP 23010991 A JP23010991 A JP 23010991A JP 23010991 A JP23010991 A JP 23010991A JP 3128283 B2 JP3128283 B2 JP 3128283B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ブラシレスモータに関
し、特にコミュテーションレスおよびコギングレスによ
る高速回転が可能とされるブラシレスモータに適用して
有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、たとえば磁気ディスク装置用のブ
ラシレスモータとしては、磁界を発生するステータと、
このステータのよって発生される磁界内に相対的に回転
自在に配設されるロータとを備えたスピンドルモータが
多く用いられ、半導体チップ化された電子回路などによ
って回転が制御されている。
【0003】たとえば、三相コイルのブラシレスモータ
においては、半導体スイッチでステータの各コイルを順
次切り換えて通電することによってロータに回転力を発
生させ、この場合に所定の角度だけ回転した後にコミュ
テーションすることによって回転を維持できるようにな
っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記のよう
な従来技術においては、モータの回転を継続させるため
には電気的な通電切換によるコミュテーションが必ず必
要となる。
【0005】そこで、本発明者は、コイルと対向する磁
極を常に同一の極とすることにより、従来のようなコミ
ュテーションが不要となることを見い出した。
【0006】すなわち、本発明の目的は、コミュテーシ
ョンなしに回転を維持することができ、高速化を図るこ
とができるコギングレスのブラシレスモータを提供する
ことにある。
【0007】本発明の前記ならびにその他の目的と新規
な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかに
なるであろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、
下記のとおりである。
【0009】すなわち、本発明のブラシレスモータは、
磁界を発生する磁界生成手段と、この磁界生成手段によ
って発生される磁界内に相対的に回転自在に配設された
環状部材とを具備し、磁界生成手段と環状部材のいずれ
か一方がステータとして作用し、それらの他方がロータ
として作用するブラシレスモータであって、磁界生成手
段は半径方向に間隔をおいて配設された一対の環状マグ
ネット手段を有し、この環状マグネット手段は周方向に
同極となるように半径方向に着磁され、環状部材はこの
一対の環状マグネット手段の間に配置され、かつこの環
状部材には周方向に間隔をおいて複数個の貫通孔が形成
され、これらの貫通孔を通して環状部材の外周部および
/または内周部にはコイル手段が巻かれているもので
って、周方向に隣接する孔の中心が環状部材の半径方向
にずれるように前記貫通孔を設けるようにしたもので
る。
【0010】
【作用】前記したブラシレスモータによれば、磁界生成
手段に配設された環状マグネット手段による周方向に同
極となる磁界中に、複数個の貫通孔を通して外周部およ
び/または内周部にコイル手段が巻かれた環状部材が配
置されることにより、コイル手段に電流を供給すると、
この電流および環状マグネット手段による磁界の作用に
よってロータを所定方向に回転駆動させることができ
る。
【0011】すなわち、コイル手段と対向する磁極は常
に同一の極、たとえば外側のマグネット手段の内周面が
全てN極に、かつ内側のマグネット手段の外周面がこれ
と反対の極性であるS極に着磁されている場合に、磁界
は貫通孔を避けて通るので貫通孔の中のコイル手段は磁
界の影響を受け難く、また貫通孔の外側のコイル手段は
磁界の影響を直接受けるので、この同一方向の回転トル
クによりコミュテーションなしにロータを回転させるこ
とができる。また、環状部材に設けられた複数の貫通孔
は、周方向に隣接する孔の中心が環状部材の半径方向に
ずれているので、それだけ磁束の通りが良好となる。
【0012】また、マグネット手段の材料として保持力
の大きい磁性体を用いた場合には、磁力を強くしても回
転中にコイル手段に電圧が誘起されることがないので、
負荷に対する出力トルクを大きくすれば、いくらでも高
速にすることができる。
【0013】すなわち、原則的に磁極の強さが均一であ
り、この場合に磁場の中をコイル手段が動いても強さが
一定なのでdφは時間的に変化せず、dφ/dt=0と
なって発電電圧が発生しないので、マグネット手段の磁
界をいくら大きくしても、ある回転数以上で誘起電圧の
影響によりトルクが発生しなくなるという現象がなくな
り、上限回転数を気にすることなくトルクを増すことが
できるので、誘起電圧による上限回転数を考慮すること
なく強いマグネット手段を使用することによって高速化
が可能となる。
【0014】
【実施例1】図1は本発明の一実施例であるブラシレス
モータの要部を示す断面図、図2は本実施例のブラシレ
スモータにおいて、図1のII−II線における切断半断面
図、図3は本実施例における環状部材を詳細に示す説明
図である。
【0015】まず、図1および図2により本実施例のブ
ラシレスモータの構成について説明する。
【0016】本実施例のブラシレスモータは、たとえば
ディスク装置用のブラシレスモータに適用され、磁界を
発生する磁界生成手段1と、この磁界生成手段1によっ
て発生される磁界内に相対的に回転自在に配設された環
状部材2と、磁界生成手段1を回転可能に支持するベア
リング3と、ベアリング3を固定するシャフト4から構
成されている。実施例1では、磁界生成手段1がロータ
として作用し、環状部材2がステータとして作用する。
【0017】磁界生成手段1は、たとえば鉄系の強磁性
材料によって図2に示すように肉厚の厚い円筒状に形成
され、その周壁の一端側が凹状にくり抜かれ、中心半断
面がコ字断面状に形成されている。
【0018】さらに、この磁界生成手段1のコ字断面部
には、半径方向に間隔をおいて一対の環状のマグネット
(マグネット手段)5,6が配置されている。このマグ
ネット5,6は、たとえば希土類系磁石などの保持力の
大きい磁性材料が用いられ、周方向に同極となるように
半径方向に着磁されている。そして、このマグネット
5,6間に所定の隙間を持って環状部材2が回転自在に
配設されている。
【0019】環状部材2は、たとえば鉄系の強磁性材料
によって図2に示すように円筒状に形成され、図1のよ
うにその周方向に間隔をおいて複数個の貫通孔7が形成
されている。これらの貫通孔7は、たとえば取付穴8を
除き、15度の等分角度で開孔されている。そして、環
状部材2の各々の貫通孔7を通して、その外周部および
内周部には図3に示すようにコイル(コイル手段)9,
10がそれぞれ巻かれている。すなわち、環状部材2の
外周部および内周部には、コイル9,10が貫通孔7内
にて上から下に延びるように所要の通り巻かれている。
【0020】次に、本実施例の作用について図3により
説明する。
【0021】以上のように構成されるブラシレスモータ
において、たとえば外側のマグネット5の内周面が全て
N極に、内側のマグネット6の外周面が全てS極に着磁
される場合に、外側から内側方向(図3において上から
下)への磁界が生じる。この磁界は、貫通孔7を避けて
その外側を通り貫通孔7の中に位置されるコイル9,1
0の巻線部は磁界の影響を受け難くなる。
【0022】そして、各々のコイル9,10に外周壁側
から貫通孔7側への電流が流される(換言すると、コイ
ル9,10の貫通孔7内に位置する部位にて上から下に
向けて電流が流れる)と、磁界は貫通孔7を避けてその
外側を通り、貫通孔7の中に位置されるコイル9,10
の巻線部は磁界の影響を受け難くなる。
【0023】一方、貫通孔7の外側に位置されるコイル
9,10の巻線部は磁界の影響を直接受け、これによっ
て外周壁側のコイル9,10の巻線部に同一方向のトル
クを発生させ、磁界生成手段1を所定の方向へ、すなわ
ち、図1および図3にて矢印12で示す方向へ回転させ
ることができる。
【0024】この場合に、マグネット5,6による磁極
の強さが均一であり、磁界の中をコイル9,10が動い
ても磁束dφは時間的に変化しないので、回転中にコイ
ル9,10に電圧が誘起されことがない。従って、従来
のようなある回転数以上で誘起電圧の影響によりトルク
が発生しなくなるという現象がなくなり、上限回転数を
気にすることなくトルクを増すことができるので、マグ
ネット5,6の強さに対応させて磁界生成手段1の回転
数を上昇させることができる。
【0025】従って、本実施例のブラシレスモータによ
れば、磁界生成手段1に配設された一対のマグネット
5,6による周方向に同極となる磁界中に、複数個の貫
通孔7を通して外周部および内周部にコイル9,10が
巻かれた環状部材2が配置されることにより、各コイル
9,10の外周部および内周部側に、このコイル9,1
0と対向する同一磁極のマグネット5,6によって同一
方向の力を働かせることができるので、従来のようなコ
ミュテーションなしに磁界生成手段1の回転が可能とな
る。
【0026】また、マグネット5,6に磁気特性の強い
材料を用いることにより、誘起電圧に依存する上限回転
数を気にすることなくトルクを増すことができるので、
磁界生成手段1の高速化が可能となる。
【0027】この場合に、外側のマグネット5の内周面
および内側のマグネット6の外周面が機械的・磁気的に
均一で、かつ環状部材2の内周面および外周面にも切れ
目がなく均一になっているので、コギングの発生する余
地がない。
【0028】
【実施例2】図4は本発明の他の実施例であるブラシレ
スモータにおける環状部材を詳細に示す説明図である。
【0029】本実施例のブラシレスモータは、実施例1
と同様にディスク装置用のブラシレスモータに適用さ
れ、磁界を発生する磁界生成手段1a、この磁界生成手
段1aによって発生される磁界内に相対的に回転自在に
配設された環状部材2aなどから構成され、磁界生成手
段1aがロータとして、また環状部材2aがステータと
して作用し、実施例1との相違点は、環状部材2aに開
孔される貫通孔7aの位置が異なる点である。
【0030】すなわち、本実施例の環状部材2aは、た
とえば鉄系の強磁性材料によって円筒状に形成され、図
4に示すように磁束の通りを良くするために貫通孔7a
の中心がずらされて開孔されている。そして、環状部材
2aの各々の貫通孔7aを通して、その外周部および内
周部には交互にコイル(コイル手段)9a,10aがそ
れぞれ巻かれている。
【0031】従って、本実施例のブラシレスモータによ
れば、実施例1に比べて磁束の通りを良くすることがで
きるので、各コイル9a,10aの外周部および内周部
側により一層大きな回転トルクを発生させ、磁界生成手
段1aの回転をさらに高速化することができる。
【0032】以上、本発明者によってなされた発明を実
施例1および2に基づき具体的に説明したが、本発明は
前記各実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸
脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもな
い。
【0033】たとえば、前記各実施例のブラシレスモー
タについては、磁界生成手段1,1aをロータ、環状部
材2,2aをステータとした場合について説明したが、
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、たとえ
ば逆に磁界生成手段をステータ、環状部材をロータとす
ることも可能であり、この場合には磁界生成手段と環状
部材のいずれか一方をステータとして作用させ、他方を
ロータとして作用させればよい。
【0034】また、前記実施例1のブラシレスモータに
ついては、環状部材2の貫通孔7を通してその外周部お
よび内周部にコイル9,10をそれぞれ巻く場合につい
て説明したが、たとえば図5に示すように環状部材2の
外周部または内周部側のみに巻く場合など、種々の巻き
方に変更可能であり、この場合に環状部材2の外周部お
よび内周部に同一方向の電流が流れる(すなわち、貫通
孔7内に位置する部位には同一方向の電流が流れる)よ
うに巻くことが必要となる。
【0035】さらに、実施例2の場合にも、図6に示す
ように1本のコイルを外周部および内周部に交互に巻く
場合などについても適用可能である。
【0036】これにより、前記実施例と逆に、外側のマ
グネット5,5aの内周面がS極、内側のマグネット
6,6aの外周面がN極に着磁される場合についても考
えられる。
【0037】また、前記実施例においては、貫通孔7,
7aが15度の等分角度で開孔される場合について説明
したが、これに限定されるものではなく、たとえば20
度の円周等分に開孔される場合など、他の角度に変更可
能であることは言うまでもない。
【0038】以上の説明では、主として本発明者によっ
てなされた発明をその利用分野であるディスク装置用の
ブラシレスモータに適用した場合について説明したが、
これに限定されるものではなく、たとえばレーザプリン
タなどの他の装置に適用されるブラシレスモータについ
ても広く適用可能である。
【0039】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代
表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、
下記のとおりである。
【0040】すなわち、磁界生成手段は半径方向に間隔
をおいて配設された一対の環状マグネット手段を有し、
この環状マグネット手段は周方向に同極となるように半
径方向に着磁され、環状部材はこの一対の環状マグネッ
ト手段の間に配置され、かつこの環状部材には周方向に
間隔をおいて複数個の貫通孔が形成されるとともに、周
方向に隣接する孔の中心が環状部材の半径方向にずれる
ように貫通孔が設けられ、これらの貫通孔を通して環状
部材の外周部および/または内周部にはコイル手段が巻
かれていることにより、コイル手段に電流を供給する
と、この電流および環状マグネット手段による磁界の作
用によってロータを所定方向に回転駆動させることがで
きるので、コミュテーションなしにロータの回転が可能
となる。
【0041】また、マグネット手段として保持力の大き
い磁性材料を用いた場合には、磁力を強くしても回転中
にコイル手段に電圧が誘起されることがないので、上限
回転数を気にすることなくトルクを増すことができ、強
いマグネット手段を使用することによって高速化が可能
となる。
【0042】この結果、コミュテーションなしに回転を
維持することができ、高速化が可能とされるコギングレ
スのブラシレスモータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1であるブラシレスモータの要
部を示す断面図である。
【図2】実施例1のブラシレスモータにおいて、図1の
II−II線における切断半断面図である。
【図3】実施例1における環状部材を詳細に示す説明図
である。
【図4】本発明の実施例2であるブラシレスモータにお
ける環状部材を詳細に示す説明図である。
【図5】本発明の実施例1におけるブラシレスモータに
おいて、コイル手段の巻回方法の変形例を示す説明図で
ある。
【図6】本発明の実施例2におけるブラシレスモータに
おいて、コイル手段の巻回方法の変形例を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1,1a 磁界生成手段 2,2a 環状部材 3 ベアリング 4 シャフト 5,6 マグネット(マグネット手段) 7,7a 貫通孔 8 取付穴 9,9a,10,10a コイル(コイル手段)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁界を発生する磁界生成手段と、該磁界
    生成手段によって発生される磁界内に相対的に回転自在
    に配設された環状部材とを具備し、該磁界生成手段と該
    環状部材のいずれか一方がステータとして作用し、それ
    らの他方がロータとして作用するブラシレスモータであ
    って、前記磁界生成手段は半径方向に間隔をおいて配設
    された一対の環状マグネット手段を有し、該環状マグネ
    ット手段は周方向に同極となるように半径方向に着磁さ
    れ、前記環状部材は該一対の環状マグネット手段の間に
    配置され、かつ該環状部材には周方向に間隔をおいて複
    数個の貫通孔が形成され、該貫通孔を通して前記環状部
    材の外周部および/または内周部にはコイル手段が巻か
    れており、該コイル手段に電流を供給すると、該電流お
    よび磁界の作用によって前記ロータが所定方向に回転駆
    動されるブラシレスモータであって、周方向に隣接する
    孔の中心が環状部材の半径方向にずれるように前記貫通
    孔が設けられたことを特徴とするブラシレスモータ。
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