JP3128252B2 - 静電記録装置 - Google Patents
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Description
特にイオンを用いて記録媒体上に静電潜像を形成する方
式の静電記録装置に関する。
ロナ放電により発生させたイオン(コロナイオン)を画
像信号に応じて直接制御して静電潜像を形成し、これを
現像してハードコピーを得るノンインパクト記録の静電
記録方式の一種である。この方式の静電記録装置では、
光ビームを用いて静電潜像を形成するレーザプリンタに
おけるレーザ光学系と光導電層を利用した感光性記録媒
体に代えて、イオン流記録ヘッドと誘電性記録媒体が使
用される。
る概念は、レーザプリンタよりも古く、気中で金属電極
を高温加熱し、同時に高電圧を印加してイオンを発生さ
せ静電記録する方法として、1938年にSeleny
iにより発表されたが、実用化には至っていない。
挟んだ2枚の電極に高周波高電圧を印加すると高密度の
イオンが発生することに注目し、1982年にラベルプ
リンタとして商品化に成功している。この方法は、高密
度イオンを発生させるための1MHz、2.8kVP-P
の高周波高電圧と、記録媒体にイオンを搬送するための
600Vの電圧を画点対応の電極毎に画像信号に応じて
切り替え、2値の高速記録(500枚/分、A4相当)
を行うもので、高硬度アルミナの記録媒体を用いて10
万枚に1回程度の保守で大量印刷ができるとされてい
る。この方法は、例えばUSP4,155,093、特
開昭54−53537号公報などに開示されている。こ
れはイオン流を誘電性記録媒体上に照射して静電潜像を
形成し、それを現像して画像を形成する記録方式であ
る。
速性とメインテナンス性の点で、レーザプリンタなどの
ような光入力を用いた電子写真記録よりも優れている。
速度の点については、イオン流を用いた方式では330
枚/分(A4)の発表(SPSE,The 4th i
nternational congressonad
vances in non−impact prin
ting technologies:March 2
0−25,1988,p394−397)もあり、通常
の市販レーザプリンタの記録速度である6〜8枚/分
(A4)の数十倍に達する。また、イオン流を用いた記
録方式では、高い体積抵抗率(1014〜1016Ω・cm)
を有する誘電性記録媒体を使用でき、電子写真記録で用
いる感光性記録媒体よりも材料選択範囲が広い。例えば
誘電性記録媒体として、無機絶縁体では高硬度のAl2
O3 、有機絶縁体ではイオン発生時に生ずるオゾンに強
い材料を使用でき、感光性記録媒体のように長期使用時
の体積抵抗率の減少、オゾンによる表面劣化、トナー表
面粘着による材質劣化などが少なく、安定した記録が長
時間可能となる。また、イオンを画点毎に制御して誘電
性記録媒体に直接電荷を与えることで記録するため、記
録速度はイオン流記録ヘッドの性能で決り、レーザプリ
ンタのように記録媒体特性の影響を受けずに記録が可能
となる。
は、(1)レーザプリンタにおけるようなレーザ光学系
(光源・回転ミラー走査系)と感光性記録媒体を必要と
せず高速で、装置が小型かつ安定化を達成でき、記録コ
ストが低下し、(2)記録画点のパルス幅変調ができ、
レーザプリンタの数分の一の解像度で同等の画質が得ら
れ、また(3)記録媒体に(表面電位)暗減衰がある感
光体を使用しないことから電荷の保持時間が長く、間欠
送り記録できる可能性があり、さらに(4)記録媒体上
に順次画像を重ねて形成でき、高速のワンパスカラー記
録が期待されるなどの特徴がある。
固体イオン流記録ヘッドを用いた記録装置は、固体イオ
ン発生器の前方に記録画点に対応するイオン流吐出孔を
有する加速電極を設け、静電潜像コントラストと同程度
の高いバイアス電圧を記録信号に応じてイオン発生器に
印加し、イオン流をオン・オフ制御して誘電性記録媒体
上に静電潜像を形成する。固体イオン発生器は、誘電性
基板上にイオン発生電極と誘導電極とを近接配置して構
成されているため、高密度のイオンを発生することがで
き、レーザプリンタの記録速度以上の高速記録が可能で
ある。
報で示されている固体イオン流記録ヘッドの記録動作を
示す断面模式図である。誘電性基板901の一方の面に
誘電電極902が、他方の面にイオン発生用のイオン発
生電極903がそれぞれ設けられている。イオン発生電
極903には、イオンを容易に発生させる電界集中用の
スリット(または孔)904が設けられている。誘導電
極902とイオン発生電極903との間に交流電圧90
5を印加すると、スリット904に高い交番電界が発生
し、高密度の正負のイオンが発生する。こうして発生さ
れた正負のイオンのうち、イオン発生電極903に印加
された静電潜像電位と同程度の400〜500Vの高い
バイアス電圧906によって負極性のイオンのみが選択
され、誘電性記録媒体907方向に移動する。この記録
媒体907方向に移動するイオンは、記録媒体907と
イオン発生電極903との間に設けられた加速電極90
8に印加された400〜500V程度の高い加速電圧9
09により加速されて記録媒体907上に到達し、画像
信号に応じた静電潜像を形成する。この様にイオン流の
制御は、バイアス電圧906をオン・オフして行う。固
体イオン流記録ヘッドは、図65の様なヘッド素子を画
点数に応じて多数一次元に配列して構成される。また、
従来の電子写真用のコロナチャージャを固体イオン発生
器の代わりに使用する場合もある。
録ヘッドには、以下に示す欠点がある。固体イオン流記
録ヘッドでは、イオン流を制御するために記録媒体90
7上の静電潜像電位と同程度の高いバイアス電圧(40
0〜500V以上)906を信号電圧としてイオン発生
電極903に加える必要がある。これは具体的にはスイ
ッチ910を画像信号に応じてスイッチングさせ、バイ
アス電圧906を印加することにより達成される。従っ
て、この様な固体イオンヘッドを用いた静電記録装置で
は、一般に高耐圧のドライバICが必要となる。高耐圧
のドライバICは実装面積が大きく、高密度実装が必要
な高精細ヘッドには適さない。駆動回路をIC化せず全
ドットを多数に分割してマトリクス駆動すると、高速記
録を行なう場合にはパルス幅制御などによる階調記録
(多値記録)を行なうことが難しくなり、オン・オフの
2値記録しかできない。
静電記録装置では、イオンを記録媒体907の方向に移
動させる時、発生したイオンを全て使用していたが、こ
の様な記録方法ではイオン発生電極903の表面状態に
よるイオンの発生臨界電圧の変化でイオン発生量が変化
し、2値記録の場合でも均一な静電潜像を形成すること
が困難である。
せる方法として、空気流でイオンを搬送しイオン流に垂
直方向に制御電界を与える方法(特開昭61−2558
70号公報)が知られている。この方法によれば、30
V程度の低電圧駆動が可能となり、多値記録もできるよ
うになるが、上記のような制御電界を形成するために電
極構造が複雑となってしまい、やはり高密度実装は困難
である。
のイオン流記録ヘッドを用いた静電記録装置では、イオ
ン発生電極に静電潜像の表面電位と同程度の高電圧を印
加する必要があるため、駆動回路を構成するドライバI
Cに実装面積の大きい高耐圧ICが必要となり、高密度
実装を必要とする高精細ヘッドの製作に適さず、多値記
録が難しくなる。また、従来のイオン流記録ヘッドに用
いる固体イオン発生器では、イオン発生電極の表面状態
の影響でイオンの臨界電圧が変動してしまうので、2値
記録でも各画点毎に一様なかつ安定した静電潜像を形成
することが困難であった。
能なイオン発生器は電極構造が複雑であるため、高精細
ヘッドには適さないという問題があった。
もので、低電圧駆動の実現と簡単な電極構造の採用によ
り、高精細化が可能で、多値記録も容易であり、また一
様な安定した静電潜像が形成できる固体イオン流記録ヘ
ッドを用いた静電記録装置を提供することを目的とす
る。
を達成するために、導電性基体の上に誘電体層を形成し
てなる記録媒体上にイオンを照射して静電潜像を形成
し、この静電潜像を現像することにより画像記録を行う
静電記録装置において、コロナ放電によりイオンを発生
するイオン発生器と、このイオン発生器と記録媒体との
間に所定間隔で配置され、イオン発生器から発生される
イオンを通過させるためのイオン通過孔をそれぞれ有す
る第1および第2の制御電極と、イオン通過孔を通過す
るイオンの量を画像信号に応じて制御するために第1お
よび第2の制御電極に所定の電位差を与える駆動回路と
を具備し、イオン発生器は、絶縁体層と、この絶縁体層
の一方の面上に形成された誘導電極と、絶縁体層の他方
の面上に形成された二つのイオン発生電極と、絶縁体層
の他方の面上で誘導電極に対向する位置にイオン発生電
極との間にスリットを介して形成された遮蔽電極とを有
し、誘導電極とイオン発生電極及び遮蔽電極との間に交
流電圧が印加されることによりイオンを発生するように
構成され、さらに記録媒体はイオン通過孔を通過するイ
オンと逆極性のイオンにより予め帯電され、イオン通過
孔を通過したイオンが該記録媒体上のイオンにより形成
される電界によって加速されて該記録媒体上に照射され
ることを基本的な特徴とする。第1および第2の制御電
極は、例えば誘電体基板からなる制御基板の両面にそれ
ぞれ形成される。
を主走査方向およびこれと直交する副走査方向に行って
静電潜像を形成し現像して画像記録を行う静電記録装置
においては、イオン発生器と複数の第1および第2の制
御電極が主走査方向に沿って配列される。
と、次の通りである。
された制御基板を一体化する場合、これらをできるだけ
近付けることがイオンを効率良く取り出す上で望ましい
が、イオン発生器に印加される交流または直流電圧によ
る洩れ電界の大きさが空気のイオン化電界(約30kV
/cm)以上になると、イオン発生器と第1の制御電極の
間で火花放電を生ずる。従って、イオン発生器と第1の
制御電極との間の距離は、イオン発生手段からの漏れ電
界の強さが空気の放電開始電界以上になる距離より大き
いことが望ましい。
に到達するイオンのイオン量は、イオン発生器で発生す
るイオンのイオン量の1/2以下に規制されることが望
ましい。
電極に記録媒体の導電性基体の電位と等しい固定電位を
与え、他方の電極には一方の電極に対してイオンの極性
に応じて一方の電極の電位より高電位または低電位の電
位を与えるか、または一方の電極に導電性基体の電位よ
り高い固定電位を常時与え、他方の電極にイオンの極性
に応じて一方の電極の電位より高電位または低電位の電
位を与える。この場合、第1および第2の制御電極の一
方の電極は共通電極とされ、他方の電極は個別に配線さ
れることによってそれぞれのイオン通過孔を通過するイ
オン量を独立に同時に制御できる構成とされる。
おいた状態で、第1の制御電極に対してイオン発生器に
直流バイアスを与え、更に第1の制御電極と第2の制御
電極の間に電位差を与えると、イオン発生器と第1の制
御電極の間の電界E1、第1の制御電極と第2の制御電
極の間の電界E2、第2の制御電極と記録媒体の間の電
界E3が全て同じ方向の場合、正(または負)のイオン
がイオン通過孔を通過して記録媒体に到達し、記録媒体
上に静電潜像を形成する。また、電界E2を0または逆
向きにすることで、イオンの通過は阻止される。
方向における幅より大きいことが望ましい。副走査方向
から見た場合には、各々のイオン貫通孔が重なるか接し
ていてもよい。
-1N(Nは主走査方向のピッチに対する副走査方向のピ
ッチの比)なる角度θの方向に所定数個Mずつ配列され
ていることが望ましい。
別に電位が与えられる方の電極)に接続される引き出し
配線は、副走査方向の両側に振り分けて引き出されるこ
とが望ましい。イオン通過孔を主走査方向に対して上記
角度θの方向に所定数個Mずつ配列する構成では、配列
Mが奇数の場合には(M+1)/2および(M−1)/
2本ずつ、またMが偶数の場合にはM/2本づつ、副走
査方向の両側に振り分けて引き出せばよい。
回路がヘッド支持体上に記録ヘッドとして一体に構成さ
れる場合、イオン通過孔がヘッド支持体の端面に位置し
ていることが望ましい。
回路が記録ヘッドとして一体に構成される場合、イオン
発生器は記録ヘッドに対して着脱可能に構成されている
ことが望ましい。
合わせてイオン流記録ヘッドを作製する場合、貼り合わ
せ時の位置合わせのためのパターンを該基板に設けるこ
とが好ましい。この位置合わせ用パターンは、例えば孔
によって形成される。
通過孔の少なくとも一方は、記録媒体上に形成される各
一つの画点に対して複数個ずつ形成されていることが望
ましい。特に、第1の制御電極に形成されたイオン通過
孔に対して、第2の制御電極に形成されたイオン通過孔
がより微細かつより多数であることが望ましい。多数の
イオン貫通孔が形成された制御電極は、金属厚膜または
金属薄膜で形成されるか、または金属メッシュによって
形成される。
んで近接した誘導電極と二つのイオン発生電極との間の
コロナ放電によりイオンを発生する構成であり、また二
つのイオン発生電極にスリットを介して遮蔽電極が形成
されている構成であるため、電界の洩れが非常に小さ
く、しかも二つのスリットからイオンが発生することか
ら、イオン発生量も十分である。また、イオン発生器と
制御電極との距離を上記のように最適化すれば、イオン
発生器からの洩れ電界が第1および第2の制御電極間の
電界に影響を与えることもない。さらに、予め記録媒体
をイオン通過孔を通過するイオンとは逆極性のイオンで
帯電させておけば、この記録媒体上のイオンにより形成
される電界によって、イオン通過孔を通過したイオンが
加速されて記録媒体上に照射されることになる。
第2の制御電極との間に与える電位差を数10Vまで小
さくすることが可能となり、駆動回路の低電圧化が達成
される。これは従来よりサーマル記録装置で用いられて
いるサーマルヘッドの駆動電圧と同程度であるため、実
装面積の小さいドライバICの使用が可能となり、記録
ヘッドのIC化、小形化および高精細化が達成される。
走査方向における幅より大きくすることにより、副走査
方向における解像度の低下が防止される。
複数個ずつ角度θで斜めに配列することによって、主走
査方向におけるイオン通過孔のピッチを容易に小さくす
ることができ、限られた電極形成精度の下でより高解像
度の記録が可能となる。
の両側に振り分けて引き出すことによって、従来のよう
なマトリクス駆動に代わって各制御電極を同時に駆動す
ることが可能となり、かつ各制御電極を個別に駆動でき
るようになる。これにより、高速記録を行なっている状
態でも、各画点毎の階調制御も可能となる。
ると、記録媒体である記録ドラムにおいては、記録ヘッ
ドの端面の幅だけが接する構成となっていればよいの
で、記録ドラムが小形化され、記録装置全体の小形化を
実現できる。
脱可能な構成にすることで、イオン発生器が劣化してイ
オンの発生量が減少したような場合にも、イオン流記録
ヘッド全体を取り替える必要はなくイオン発生器だけ取
り替えればよいので、ヘッド上に搭載されたドライバI
Cはそのまま使用することが可能である。
方に形成されるイオン通過孔を1つの画点に対して複数
個ずつ設けると、これらのイオン通過孔の幾つかが現像
用トナーによって目詰まりを生じても、目詰まりを生じ
てない他のイオン通過孔をイオンが通過できるので、画
点が記録できる。これによって、イオン流記録ヘッドの
長寿命化も達成される。
て詳細に説明する。図1は、コロナイオン発生器を含む
イオン流記録ヘッドを用いた静電記録装置の一実施例を
示す図である。この静電記録装置は、記録媒体としての
記録ドラム1の周囲に、コロナイオン発生器2、低電圧
駆動可能なイオン流記録ヘッド3、一成分接触現像器
4、機能分離型ソフトローラー転写装置6、ヒートロー
ラ9およびクリーニング装置11を配置して構成され
る。
m(〜20μm)程度の厚みのフッソ系樹脂からなる誘
電体層を被覆したものである。この記録ドラム1を、ま
ず負極性のコロナイオン発生器2によって表面電位が例
えば−600Vとなるように一様帯電する。次いで、コ
ロナイオン流記録ヘッド3により記録ドット(画点)毎
にアナログ的に制御された正極性のコロナイオン流によ
って、記録ドラム1上に反転した静電潜像を形成する。
次に、負極性トナーを有する一成分接触現像器4を用い
て−500Vの現像バイアス電圧で反転現像を行ない、
トナー像5を記録ドラム1上に形成する。このトナー像
5を機能分離型ソフトローラー転写装置6を用いて普通
紙7上に転写する。機能分離型ソフトローラー転写装置
6としては、例えば特願昭63−140423に開示さ
れた環境変動にも安定で高い転写効率を与える装置が用
いられる。普通紙7上に転写されたトナー像8はヒート
ローラ9により定着され、普通紙7上に固定される。一
方、記録ドラム1上に残った残留トナー10はクリーニ
ング装置11によって拭き取られ、清掃された記録ドラ
ム1は再び使用される。
い、かつ一成分接触現像器4とソフトローラー転写装置
6とを導入した静電記録方式によれば、静電記録方式の
ラインプリンタでは行われていなかった新しい概念のス
テップ送り、間欠駆動が可能となる。この方式を用いる
と、ファクシミリ画像信号のように信号圧縮によって伝
送された信号も、リアルタイムで記録することもでき
る。ステップ送りが可能になる理由は、コロナイオン流
記録ヘッド3がレーザプリンタの様な回転光学系を使用
していないために任意の信号に対応できること、誘電性
記録媒体は感光性記録媒体の様な表面電位の時間的な減
衰が少ないこと、一成分接触現像器4により現像される
画像濃度は、主に記録ドラム1の表面電位に依存し記録
ドラム1の周速に依存しないこと、ローラ転写効率は転
写用印加電圧が加わる転写時間に依存するが、この転写
時間はローラに加える転写電圧が800Vと低く(従来
のチャージャー転写では6kV)、パルス的に制御パル
ス幅を変えることで任意に設定できるためである。
オン流記録ヘッド3をクリーナレスの静電記録装置に適
用した実施例である。残留トナー10の存在する記録ド
ラム1は、コロナイオン発生器2により−600Vに残
留トナー10上から帯電が行われる。機能分離型ソフト
ローラ6による転写により、85%以上のトナーが普通
紙7上に転写しているため、残留トナー量は15%程度
の量である。この様な場合には、記録ドラム1上の帯電
がトナーで阻止されることがなく、一様に帯電ができ
る。この様にして帯電された記録ドラム1上に、コロナ
イオン流記録ヘッド3からの正極性のコロナイオンが照
射されることにより、記録ドット対応部分の電位が消去
されて静電潜像が形成され、これが一成分接触現像器4
で現像される。このとき非画像部の残留トナー10が存
在する記録媒体の表面電位は現像器4の負バイアスより
も大きくなり、現像器4により容易に拭き取られる。
性になった画像部のトナーは、画像部の電位も零電位方
向に高くなるため、逆に現像器4に静電力で引き付けら
れることにより、拭き取られる。現像されたトナー像5
は普通紙7に転写され、定着される。転写後の記録ドラ
ム1は、残留トナー10を残したまま使用される。
ナレスなどの技術を用いた静電記録装置について説明し
たが、これ以外の電子写真系のプロセスやトナー現像材
料などを使用することができる。
例を示す断面図である。記録を行うための記録紙はカセ
ット421にストックされており、記録開始タイミング
に応じて給紙ローラ418より記録紙は一枚づつ繰り出
される。給紙ローラ418より繰り出された記録紙はU
ターンローラ415により搬送方向をドラム(記録媒
体)1の方向に変えられアライニング検出器414及び
アライニングローラ413によって記録紙の方向が整え
られて記録ドラム1に達する。
によって回転を開始し、記録画像に応じた画像がドラム
1上に形成されることになる。記録ドラム1は後述する
が、ここではアルミドラム上に数10μm〜20μm程
度の厚みのフッソ系樹脂からなる絶縁性誘電体層を被覆
した構成をなす。このような記録ドラム1に対し、まず
プリチャージャ401により−600Vに一様帯電す
る。そして、一様帯電された記録ドラム1上にイオン流
記録ヘッド3を用いて、各記録ドット毎にアナログ的に
制御された正極性のイオン流によって静電潜像を形成す
る。このヘッド3については後段で詳述する。また、イ
オン流記録ヘッド3は送風モータ409から成るコンプ
レッサ408により、送風チューブ407を介してエア
ーが送られる。このエアーが必要な理由についても後段
で説明することにする。
形成された記録ドラム1は、さらに現像器ユニット40
5において現像が行なわれる。現像器ユニット405は
一般に用いられているようにマグネットローラ402、
トナーセンサ403、シャフト404より構成され、一
成分負極性のトナーがシャフト404により掻き回され
ている。トナーセンサ403はトナー量を検出するもの
である。マグネットローラ402の記録ドラム1側にお
いて、−500Vのバイアス電圧で反転現像を行う。
記録ドラム1に巻き付けた記録紙転写チャージャ419
上でに転写され、剥離チャージャ420により記録紙が
記録ドラム1より剥離されて、出口方向へ搬送される。
記録紙へのトナー転写が完了した記録ドラム1は、クリ
ーナーユニット437において残留トナーがクリーニン
グされる。クリーナーユニット437はトナーを掻き取
るためのクリーニングブレード436と、掻き落とされ
たトナーを受け取る回収ブレード435及びトナー回収
オーガー434よりなる。そしてクリーニングされた記
録ドラム1はプリチャージャ401により一様帯電が行
なわれ、以後上記のプロセスが繰り返される。
ルト422及びベルト搬送シャフト423より成るベル
トユニットにより定着ユニット430へ搬送される。定
着ユニット430はヒートローラブレード429、出口
ローラ428、剥離爪ユニット427、ヒーターランプ
426、ヒートローラ425およびサーミスタ424か
らなり、トナー像が転写された記録紙上に、2つのヒー
トローラ425の圧力と上のヒートローラ425に内蔵
されたヒータランプ426の熱とによりトナーを固定す
る。ヒーターランプ426の熱制御は、サーミスタ42
4からの信号によって行われる。定着を終えた記録紙
は、剥離爪ユニット427により上のヒートローラ42
5よりスムーズに剥がされる。定着工程を終えた記録紙
は、2つの出口ローラ428により出口方向に排紙され
る。尚、ヒートローラ425にはブレード429が設け
られ、このブレード429によって不要なトナーをクリ
ーニングする。
出口スイッチ432の検出により駆動される出口ローラ
433によってトレー438へ排紙されて一連の記録動
作が完了する。また、説明を省略したがシステムとして
カセット421を検出するカセット検出器417、結露
防止のためのヒータ416及び制御基板406が通常の
プリンタと同様に本システムにも設けられている。ま
た、上記例では自動給紙についての説明をしたが、手差
しによってもよい。この場合、手差し紙を受けるガイド
410と、手差し紙を検出するための検出器411及び
この検出器411の出力により駆動される手差し用ロー
ラ412が必要となる。
るイオン流記録ヘッド3について図3の模式図を用いて
説明する。以下の説明では、全て記録媒体である記録ド
ラム1の表面は−イオンでプリチャージされ、その後イ
オン流記録ヘッド3で+のイオンを照射することにより
静電潜像を形成する場合を考える。
基板21(例えばセラミック基板)と、基板21上に形
成された厚さ数μm(2〜3μm)の誘導電極22およ
び厚さ数10μm(〜20μm)程度の絶縁体層23
と、絶縁体層23上に形成された厚さ数10μm(〜1
8μm)のイオン発生電極24、およびイオン発生電極
24と同電位でイオン発生電極24との間に約40μm
幅のスリット26を介して設けられた遮蔽電極25によ
って構成される。
この基板31の両面に形成された第1および第2の制御
電極32,33からなり、基板31と制御電極32,3
3を貫通した多数のイオン通過孔29を有する。絶縁性
基板31は例えば100μm厚のガラスポリイミドシー
トであり、その両面に制御電極32,33として例えば
18μm厚の銅箔が貼り付けられ、更に100μmφ程
度のイオン通過孔29が200μmピッチでドリルによ
り開けられている。制御基板30はイオン発生電極24
のスリット中心とイオン通過孔29の中心とが一致する
ように、スペーサ部材28を介してイオン発生器20と
適当な距離(約100μm〜500μmの範囲)だけ離
して接着され一体化される。これにより、コロナイオン
流記録ヘッド3が作成される。さらに、記録媒体である
記録ドラム1が、第2の制御電極33から約500μm
離れた位置に設けられている。
ラム41上に10〜50μmの厚さにフッソ系樹脂から
なる誘電体層42を形成して構成される。誘電体層42
は、600V程度の表面電位にプリチャージされる。こ
こで、Alドラム41は基準電位(アース電位)になっ
ている。また、第2の制御電極33はAlドラム41と
同電位であり、第1の制御電極32は非記録時には第2
の制御電極33と同電位、記録時には第2の制御電極3
3に対して正の制御電圧Vc34が印加されるようにス
イッチング回路35で制御される。イオン発生電極24
と遮蔽電極25とは、非記録時には第1の制御電極32
に対して負のバイアス電圧Vb- 36、また記録時には
第1の制御電極32に対して正のバイアス電圧Vb+ 3
7がそれぞれ与えられるように、電気的なスイッチング
回路38で制御される。更に誘導電極22とイオン発生
電極24および遮蔽電極25との間には、記録時には交
流電圧39が加えられるように、スイッチング回路40
で制御される。
うに第1の制御電極32に制御電圧Vc34、イオン発
生電極24と遮蔽電極25には第1の制御電極32に対
して正のバイアス電圧Vb+ 37、そしてイオン発生電
極24および遮蔽電極25と誘導電極22との間に交流
電圧39がそれぞれ印加される。絶縁体層23を挟んで
イオン発生電極24および遮蔽電極25と誘導電極22
との間に交流電圧39を印加することによって、これら
の電極の周辺部43でコロナ放電が起こり、これによっ
てイオンが発生する。
ある。絶縁体層23で絶縁された電極22,24間の交
流電圧39を大きくすると、周辺部の気体分子の電離が
盛んに起こる。すなわち、空気中には常に微量のイオン
が存在しているが、電界が大きくなるとイオンは加速さ
れて気体分子と衝突し、これを電離する。この電離作用
がある程度以上大きくなると、気体の絶縁性が失われて
放電が起こる。この放電により周辺部の誘電体表面が荷
電していくため、やがて放電は止まる。一方、逆の電界
が作用したときも同様なことが起こり、その場合は誘電
体表面が上記とは逆極性のイオンで荷電される。この繰
り返しによって、周辺部に正負のイオンが発生するので
ある。
圧39の電圧および周波数に依存するが、従来のコロナ
チャージャとは比較できないほどの高い密度(例えば1
0-4〜10-3A/cm程度)が得られる。本実施例で
は、交流電圧39として電圧値を1〜3kVP-P 、周波
数は〜50kHzとした。
Vc34として約60V、イオン発生電極24には正の
バイアス電圧Vb+ 37として約240Vが印加されて
いるので、これらの電極24,32の間に形成される電
界E1によって、正のイオンだけが第1の制御電極32
の側に移動する。次に、第1の制御電極32と第2の制
御電極33の間に加えられている約60Vの制御電圧V
c34により形成される電界E2によって、この正のイ
オンが多数のイオン通過孔29を通過することが可能と
なる。更に予め負極性のコロナイオン発生器2によっ
て、記録ドラム1の誘電体層42の表面が約−600V
に一様に帯電されているので、この負のイオンにより形
成される電界E3によって、イオン通過孔29を通過し
た正のイオンは記録ドラム1の方向に加速される。
た正のイオンにより、静電潜像が形成される。画点を記
録しないときは、正のイオンがイオン通過孔29を通過
しないようにスイッチング回路35の接点をb側に切替
えて、第1の制御電極32と第2の制御電極33を同電
位(アース電位)にし、電界E2を0に設定する。この
様にすることで、正のイオンの通過が遮断される。この
様にイオン通過孔29を通過するイオン流の制御は、第
1の制御電極32と第2の制御電極33の間に印加され
る電圧をスイッチング回路35で0と制御電圧Vc34
の間で切替えることによって行なわれる。
上述のように従来は数100Vの制御電圧が必要であっ
たのに対して、数10Vの電圧で制御可能となった。こ
の様な低電圧制御が可能となった理由としては、本実施
例ではイオン発生電極24の間に遮蔽電極24を設ける
ことによって、スリット26の幅を約40μmと小さく
し、かつ二つのスリット26によってイオン発生量を十
分に確保しつつ、イオン発生用の交流高電圧39が制御
電極32,33間の電界に影響を与えないようにしたこ
とが第1に挙げられる。更に、予め誘電性記録媒体(記
録ドラム)1の表面の誘電体層42を本実施例の場合に
は負のイオンでまず一様帯電させておき、逆極性の+の
イオンを負イオンで形成される電界で記録媒体33側に
加速するような構成としたためである。
一体化する場合には、スペーサ28によってこれらの間
の距離を最適化する必要がある。制御基板30をイオン
発生器20に近付けることにより、発生したイオンは効
率良く取り出される。しかしイオン発生器20に印加さ
れる交流電圧39の漏れによる電界は、イオン発生器2
0に近付くほど大きくなる。制御基板30を近付け過ぎ
ると、漏れ電界の大きさは空気のイオン化電界(30k
V/cm)以上になり、イオン発生器20と第1の制御
電極32の間で火花放電を開始する。従って、漏れ電界
の大きさが火花放電開始電界以上になる距離より近くに
第1の制御電極32を近付けないことが望まれる。
3>E2>E1の条件が成立する状態で使用する場合に
は、電界のレンズ効果が生じ、より効率良く周辺のイオ
ンを記録媒体上に取り出すことや、イオンビームが絞り
込まれてより高精細な画点を形成することができるよう
になる。
イオン発生器20で発生したイオンに対する画像記録に
使用されるイオン、言い換えるとイオン通過孔29を通
過するイオンの比は小さい方が望ましい。本実施例で
は、この比が0.5以下になるような条件で使用してい
る。
ら発生された高密度のイオン電流による空間電荷を、制
御電極32,33による電圧増幅率を用いて低い電圧
(80V以下)で制御することで、高い静電コントラス
ト(350V以上)と、高速記録(記録速度A4:30
枚/分)を達成することができる。このために本実施例
では、以下に列挙する事項に留意した。
め、イオン発生器20には誘電体層23を挟んで誘導電
極22とイオン発生電極24を設け、各電極間に高圧
(3kVP-P 以下)の交流電圧39を印加し、イオン発
生電極24端部の強電界領域から高密度のイオンを発生
させる。
電極32,33間の電界に影響を与えない様に、イオン
発生電極24間にスリット26を介して遮蔽電極25を
設け、背面の誘導電極22からの高電界の漏洩を遮断す
る。
以下)で生じたイオンのエネルギーを減衰させてイオン
の低電圧制御を可能にし、かつ電極間火花放電を防止す
るために、イオン発生電極24近傍の空気の放電開始電
界(30kV/cm)領域から制御電極32,33を遠
ざける。
のための電界を形成させることにより、制御電極32,
33から高圧のDCバイアス電圧を除き、駆動回路の設
計を容易にする。また、プリチャージによって反転した
静電潜像を形成し、濃度むらが少ないなど画質的に有利
な反転画像を可能にする。
て制御電極32,33を低電位に保持し、イオン通過孔
29を設けた制御電極32,33の電圧増幅率を利用し
て、低い制御電圧で高い静電コントラストを得られるよ
うにすることによって、低耐圧の低電圧ドライバICを
使用できるようにする。
論計算から検討し、さらに理論計算から設計・試作した
イオン流記録ヘッドを用い、実験によりイオン電流の低
電圧制御、高い静電コントラスト、高速性、さらに階調
記録の可能性について検討した結果について説明する。
出について説明する。
現象を実験的にとらえ、次にイオン発生器20の電位分
布を境界要素法の電位計算から求め、イオンが生ずる臨
界電圧とイオン発生電極24近傍で空気がイオン化する
領域を予測し、この領域外にイオン電流測定電極(第1
の制御電極32)を設けて火花放電を防止し、さらに3
kVP-P 以下の交流電圧39でイオンが発生するイオン
発生器20の設計パラメータを決定する。また、イオン
電流の実験からイオンが無限に生ずる仮想面を決定し、
ポアソン方程式、電流の連続式、イオン移動度と電界に
よる空気中のイオン速度式を用いてイオン電流の計算予
測を可能にする。
極22,24に交流電圧39を印加し、イオンが発生す
る現象を調べる。実験に使用したイオン発生器20の測
定系を図5に示す。
P-P 、周波数3kHzの交流電圧501を印加し、また
イオン電流測定電極502との距離を500μmにと
り、イオン発生器20のイオン発生電極24に−500
〜+500Vの直流バイアス電圧503(37と同じ)
を与える。また、イオン電流測定電極502の長さは1
cmとし、単位長さ当たりの計算値と実験値とを直接比
較できるようにする。イオン発生電極24と誘導電極2
2間に1kΩのコロナ放電観測用の抵抗504を付加
し、その間の電圧波形をオシロスコープ等で観測して生
じたコロナ放電を測定する。さらに、イオン電流測定電
極502とアース間には100kΩのイオン電流測定用
の抵抗505を付加し、その電圧波形から流れるイオン
の極性と、電流を観測する。
形は、誘導電極22とイオン発生電極24間の容量とそ
の抵抗により、印加電圧を微分した波形となる。イオン
発生電極24側が−極性(誘導電極22側が+極性)の
とき約500Vで、+極性のとき約800Vで、それぞ
れ20〜30μsの間コロナ放電が発生する。電子写真
に使用するコロナチャージャーと同様に、コロナ放電の
開始電圧はイオン発生電極側が−極性のとき、より小さ
い電圧でコロナ放電が生ずる。このとき、最大0.2〜
0.3mA/cm程度の放電電流が観測された。
コロナ放電時間は周波数にほぼ比例して減少し、同時に
ほぼ比例してイオン電流が増加することが観測された。
例えば、周波数を30kHzにすると放電時間は〜3μ
sとなり、瞬間の最大放電電流は2〜3mA/cmとな
る。そのため、イオン電流測定電極に電流の平均値を与
えるKETHLEYのエレクトロメータ610Cを接続
して測定したイオン電流は、放電回数が増加する周波数
と共に増加する。この様子を図6に示した。
503として0Vおよび+400Vを印加し、イオン電
流測定電極に流れるイオン電流を観測した。イオン電流
が交流電圧の微分波形上に認められ、バイアス電圧50
3が0Vで電流が略ゼロとなり、+400Vで交流電圧
の±両極性で+電流が流れる。バイアス電圧503が5
00Vのとき、オシロスコープで観測した電流測定用の
抵抗505に流れる最大イオン電流は、イオン発生電極
24で生ずる放電電流(0.2〜0.3mA/cm)の
1〜7%程度で〜2×10-6A/cmである。またバイ
アス電圧503が−400Vでは、−電流が観測され
る。このようにして、±の交流電圧の度にバイアス電圧
の極性で決まる電流が流れる。
が発生し、そのイオンが絶縁体層を充電して絶縁体層上
の電位を低下させ、バイアス電圧で決まる極性のイオン
がイオン電流測定電極502に流れた。
は、(A)絶縁体層23厚、(B)イオン発生電極24
間のスリット26の幅と電極24の厚さ、(C)イオン
発生のための交流電圧39とバイアス電圧37がある。
ここでは境界要素法を用いた電位計算から、イオン発生
器でコロナ放電が生ずる臨界電圧を用いて3kVP-P の
交流電圧以下でコロナ放電が発生するように、これらの
パラメータを決定した。さらに、イオン発生電極と制御
電極間に火花放電が生ずる30kV/cm以上の領域を
求め、その電界以下になる印加バイアス電圧範囲を決め
た。また、交流電圧39とバイアス電圧37を独立に設
計できるように、その間の距離を求めた。
発生電極24の形状と表面状態によって変化し、実験と
一致する理論計算がない。そのため、次の仮定を行いコ
ロナチャージャーの実験式を用いた。
ット26近傍の電位分布は、図7に示すように電極の厚
さに等しい径のワイアで置き換えた場合とほとんど同一
となる。そこで、イオン発生器20のコロナ放電開始電
界を(1)式に示すコロナチャージャの放電開始電界
(図8の曲線A参照)を与えるCobinの実験式を用
いて近似する。但し、(1)式でaはワイアの半径(c
m)、mはワイア表面で決まる値で約1、またδは気圧
P(cmHg)と温度T(℃)決まる(2)式の値であ
る。また、電位計算に使用する境界要素法は境界上の誤
差が大きいため、次の近似を行った。
イアから5μm離れた位置の電界E(図8の曲線B参
照)を(3)式から計算し、イオン発生器20のイオン
発生電極24から5μm離れた電界と一致したとき、E
cをイオン発生器20の放電開始電界とする。例えばワ
イア径(コロナイオン発生電極の厚さに相当)が20μ
mの場合、ワイヤ上のコロナ放電開始電界は〜3×10
5 V/cmであり、その時の5μm離れた位置の電界は
〜1.6×105V/cmである。そのため、イオン発
生電極24から5μm離れた位置の電界が、この電界と
一致するとき放電が開始するものとする。
ついて絶縁体層23の厚さを40,20,10μmと変
えた電位分布計算から、イオン発生電極24のスリット
26中でコロナ放電開始電界(〜1.6×105 V/c
m)を与える領域、すなわち図9(a),(b),
(c)と、空気中でイオン化が発生する3×104 V/
cmの電界領域を決定した。このときのスリット26の
幅は40μm、イオン発生電極24の厚さ20μm、交
流ピーク電圧1.5kV(3kVP-P )、バイアス電圧
400Vである。また、計算に用いた絶縁体層23の誘
導率εiは3.5とした。
と、1.5kVのピーク電圧でも放電は発生しない。ま
た、絶縁体層23の厚さが20,10μmと薄くなる
と、イオン発生電極24の厚さ方向のほぼ全域でコロナ
放電が発生する。このとき、最も電界の強いイオン発生
電極24と絶縁体層23との境界(計算では5μm離れ
た点)がこの放電開始電界となる交流電圧は、図10に
示すように絶縁体層23の厚さが40μmのとき1.8
kV、20μmで900V、10μmで600Vであ
る。このように絶縁体層23が薄いほど、イオン発生電
極24の近傍の電界が大きくなり、低い交流電圧で大量
のイオンを発生できる。実験では、絶縁体層23として
使用した厚膜印刷のガラス層の耐圧から、厚さを20μ
mにした。
/cmの領域は、それぞれの絶縁体層23厚に対しイオ
ン発生器20のスリット26上の絶縁体層23中央で〜
20μm、40μm、50μmまで達する。火花放電を
防止するには、この距離以上にイオン電流測定電極(ま
たは第1の制御電極32)を離す必要がある。空気中の
分子の平均自由工程は〜0.06μmであり、イオン化
領域から数十μm離れた所では、イオンのエネルギーは
十分減衰しているものと考えられる。
に、イオン発生電極24間のスリット26の幅を40,
60,80μmと変え、そのときの放電開始電界と空気
中のイオン化が生ずる領域を図11に示すように求め、
最適なスリット幅を決定した。このときのコロナ放電開
始電圧は、図12に示すようにスリット26の幅が増加
すると、スリット26からの漏洩電界が大きくなって放
電が容易となり、900V,700V,630Vと低下
する。ピーク電圧1.5kVのイオン発生電圧を印加し
た場合、放電開始電圧を与える領域は電極の厚さ付近ま
で存在するが、スリット26の幅による変化は小さい。
一方、イオン化の領域は、スリット幅が40μmで絶縁
体層上60μm、スリット幅が60μmで70μm、ス
リット幅が80μmでは誘導電極22からの漏洩電界が
急激に大きくなり、130μm近くに増加する。
洩電界はスリット幅とともに大きくなるが、放電開始電
圧に大きな変化はない。そのため、スリット幅は小さい
ことが好ましい。以上の条件から決定したイオン発生器
の好ましい仕様を表1に示してある。
オン発生器20とイオン流測定電極502間距離を10
0μm以上離すと、独立してイオン発生器20に与える
交流電圧501とバイアス電圧503を設定できること
を示す。計算に使用したイオン発生器の仕様は、表1に
示す通りである。
03−400V、イオン発生器20に1.5kVピーク
(3kVP-P )の交流電圧501を印加し、さらにその
交流電圧501を1kV、750Vと変化させたときの
イオン発生器20の中央の電位分布を境界要素法から計
算した。このときの印加電圧と電位分布との関係を、図
13に示した。イオン発生器20の絶縁体層23上〜6
0μm近辺で電位がほぼゼロとなり、それ以上の距離で
はバイアス電圧503で決まるほぼ一定の値で減少す
る。この距離は、空気中のイオン化が発生する領域の限
界でもある。
圧のピーク電圧を1.5kVとし、イオン発生電極24
に対してイオン電流測定電極502の電圧が、−25
0,−400,−800,−1200Vなるようにした
とき、その電位分布は図14に示すようにバイアス電圧
503の大きさに拘らず絶縁体層23前方〜60μmで
電位がほぼゼロとなり、それ以上の距離ではバイアス電
圧503で決まる一定の割合で減少する。この様に、6
0μm以上離してイオン発生器20とイオン電流測定電
極502を設けると、イオン発生用の交流電圧501と
バイアス電圧503とを独立に設定できる。
発生器20を用い、イオン電流測定電極502との距離
を500μmにとった時のイオン電流測定電極502に
流れるイオン電流量をポアソン方程式、電流の連続式お
よびイオン移動度と電界で生ずるイオン速度式から理論
的に予測する。イオンの速度は電界に比例する。
る。イオン発生器20から距離yにおいて存在するイオ
ンの電荷密度をρ、その点での電圧をVy、イオン電流
をIyとすると、電圧とイオン電流の関係式は(4)式
のポアソン方程式、電流の連続の式、および電界印加時
のイオン速度式で示すことができる。ここで、距離yは
イオン発生器20のイオン発生電極24上を基準点にと
り、バイアス電圧502はこの基準点とイオン電流測定
電極502間に印加されているものとする。εoは真空
中の誘電率、εaは空気の比誘電率、μは空気中のイオ
ン移動度、υはイオンの速度である。
電流測定電極方向の距離yにおけるイオン電流Iyは、
(5)式で示される。ここで、yoの値はバイアス電圧
Vbを印加したときイオン電流測定電極502に流れる
イオン電流値Ibの実験値から決定できる。yoの物理
的な意味は、イオン初速度がゼロで、イオンが無限に存
在する仮想的なイオン発生面となる。このyoの値が実
験によるイオン電流の測定から決まると、任意のバイア
ス電圧に対してイオン電流を計算から予測できる。そこ
で次に、このyoの値をイオン電流の実験値から決定す
る。
L1 とすると、(5)式からバイアス電圧Vbを印加し
たときにイオン電流測定電極に流れるイオン電流値Ib
は、(6)式で示すことができる。この結果から、yo
はイオン電流の測定値Ibを用いて(7)式で計算でき
る。
オンを取り扱った。−極性のイオンについては極性を逆
転し、+極性の移動度(μ+ =1.4cm2 /Vse
c)の代わりに、−極性イオンの移動度(μ- =1.9
cm2 /Vsec)を用いれば良い。
Yのエレクトロメータ610Cを用い、イオン電流の測
定試験を行い、計算結果と比較する。バイアス電圧Vb
を変化し、イオン電流Ibを測定すると、図15に示す
ようにイオン電流はバイアス電圧の2乗に比例し、イオ
ン電流の(6)と一致する。この実験結果に対するyo
値を(7)から計算すると、(8)式となる。つまり、
イオン発生器20の絶縁体層23の後方212μmが、
仮想的な理論上のイオン発生面になる。
くすると、イオン電流は飽和する。このときyoの値は
図16に示すように仮想面が少し基準面に近づく。次
に、このイオン電流が飽和する周波数を計算する。yo
の値がゼロになる飽和イオン電流値Imは、コロナイオ
ン発生器に交流電圧(周波数30kHz)を印加し、バ
イアス電圧Vb(500V)、基準点からの距離L
1 (500μm)のイオン電流測定電極に流れるイオン
電流Ib(6.5×10-7A/cm)を用いて、関係式
(6)から(9)式で示すことができる。
した図6の結果を用い、30kHzを3.7倍して周波
数を計算すると、〜100kHzとなる。これ以上の周
波数では、発生したイオンの空間電荷でイオンの発生が
押さえられ、これ以上にイオン電流を増加させることが
出来ない。そのためイオン電流をさらに増すにはバイア
ス電圧を上げる必要があるが、火花放電が生じないバイ
アス電圧の上限から空間電荷が存在する場合のイオン電
流の限界が決まる。従って、この空間電荷を利用した低
電圧駆動イオン流記録ヘッドには、速度限界が存在する
ことになる。
Hzの交流電圧39の値を変えると1.6kVP-P でイ
オン電流が生じ、1.8kVP-P 以上では大きなイオン
電流の上昇がなくなる(図17参照)。これは、交流電
圧39の半周期毎の〜4μsの放電で生ずるイオン電流
が飽和に達していることを示している。この放電時間は
交流電圧の半周期の約1/4であり、そのためイオン電
流の瞬間値はこの平均電流の約4倍の2.6×10-6A
/cmとなる。これは飽和イオン電流とほぼ一致するの
で、イオン電流が飽和に達しているものと考えられる。
について述べる。
を用い、制御電極32,33間に低い制御電圧を印加し
たとき境界要素法による分布計算から、イオンを低電圧
制御でき、かつ4極真空管の電圧増幅効果をモデルにし
たイオン電流の計算から、低い制御電圧で高い数百Vの
静電コントラストの潜像を形成できることを示す。
電圧制御予測について示す。ここでは、イオン流記録ヘ
ッドのイオン発生器20から記録媒体1に至る間の電位
を境界要素法を用いて計算し、制御電極32,33間に
低電圧を印加してイオンの移動を阻止する逆電界を発生
させることができることを示す。計算に使用した印加電
圧を表2に示す。
20μm、電極24,25の厚さは20μm、イオン発
生電極24とスリット26の幅は各々40μmで、3本
のイオン発生電極24と2本のスリット26を有する。
電位計算はスリット26と制御電極32,33のイオン
通過孔29が一致する場合と、イオン発生電極24とが
一致する場合について行い、ヘッド試作時の必要精度を
検討した。また、イオン発生器20と第1の制御電極3
2面までの距離は460μm、第1および第2の制御電
極32,33間の絶縁性基板31の厚さは100μm、
第2の制御電極33面と記録媒体1間の距離は500μ
mである。第1の制御電極32の厚さは18μm、第2
の制御電極33の厚さはヘッドの孔開けをドリルで行っ
ているため、一定のバリを含む48μmにした。また、
第1および第2の制御電極32,33のイオン通過孔2
9は100μm径で、解像度10本/mmに相当する。
ン発生器20に印加される交流電圧39のピーク値を
1.5kV(3kVP-P )とし、イオン発生電極24の
バイアス電圧37を250V、第1の制御電極32に印
加するバイアス電圧34を(−20〜60)Vの可変電
圧、第2の制御電極33はアース電位とした。また、記
録媒体1の表面電位を−600Vにした。計算は、制御
電極32,33で印加電圧の影響が最も小さくなるイオ
ン通過孔29の中心で行った。
生器20の近傍の実線で示した電位は、イオン発生器2
0のスリット26と制御電極32,33のイオン通過孔
29の中心が一致する場合であり、点線はイオン発生電
極24の中心が一致する場合である。イオン発生器20
の絶縁体層23前方100μmでは両者ほぼ等しい電位
となり、制御電極32,33間の電位差に影響を与える
ことはない。また、図中には、制御電極33近傍の電位
分布を拡大して示した。60Vの電圧が第1の制御電極
32に印加されると、常に電位が低下する分布になり、
+極性のイオンは記録媒体1の方向に移動し、その表面
電位を低下させる。第1の制御電極32の電位が−20
Vになると、第1および第2の制御電極32,33の電
位関係は逆転し、逆電界が生じて+極性のイオンを遮断
するようなる。以上のように、本実施例のイオン流記録
ヘッド3では、低い制御電圧でイオン流の制御ができて
いることが予測される。
増幅率をイオン電流に適用することで、(A)真空管に
おける電子の運動の式を、イオンの電界で移動する速度
式に置き換え、低電圧で制御できるイオン電流を求め
る。さらに、この計算方法を用い、(B)イオン発生器
の発生イオン量が大きく変動(50%)した場合にも、
真空管と同様に、記録媒体に達するイオン電流が安定し
ていることを示す。
厚さの中央におけるイオン通過孔29面上に仮想制御面
上の任意の点における電位分布を計算する。この計算
は、電極相互の静電容量から算出できる電圧増幅率を用
いる。次にポアソンの方程式、電流の連続方程式、イオ
ンの移動度と電界によるイオン速度方程式を用い、第1
および第2の制御電極32,33における仮想制御面上
の電位からイオン電流による空間電荷が存在する場合
の、記録媒体1に達するイオン電流を算出する。計算
は、第1の制御電極32の電圧を変えて行い、イオン電
流は、試作したイオン発生器20の実験値を用いた。ま
た、イオン電流が第1の制御電極32のイオン通過孔2
9に入射する割合は電界リスト効果真空管による補正項
を近似して用いる。
のパラメータを図19を参照して示す。電位がゼロとな
るイオン発生器20の絶縁体層23前方60μmの面か
ら、第1の制御電極32の仮想制御面までの距離を
L1 、第1および第2の制御電極32,33の仮想制御
面間の距離をL2 、第2の制御電極33の仮想制御面と
記録媒体1間の距離をLP 、第1の制御電極32の厚さ
を2・G1 、第2の制御電極33の厚さを2・G2 とす
る。また、第1および第2の制御電極32,33の厚さ
とイオン通過孔29の直径との和を制御電極32,33
の周期P1 ,P2とする。計算は、厚さ2・G1 と2・
G2 の制御電極32,33が真空管のグリッドと同じ様
に、周期P1 ,P2 で連続しているものとして近似す
る。
電極33にはVg2、記録媒体1の表面電位にVp をそれ
ぞれ印加すると、イオン発生器20で生じたイオン電流
は第1および第2の制御電極32,33で制御され、記
録媒体1にイオン電流Ip が流れる。このイオン発生電
極24と第1の制御電極32間の距離L0 に第1の制御
電極32の制御電圧Vg1 を印加し、第1の制御電極3
2の仮想制御面上の電位がVG1 になった時のイオン電
流IG1 は、式(5)で示したように(10)式で示す
値となる。
器20と、第1および第2の制御電極32,33からな
る三極管を想定し、第1の制御電極32のイオン通過孔
29中の仮想制御面上の任意の点における電圧増幅率を
K1 とする。この増幅率K1 の値は電極相互間の静電容
量のみで決定される値である。同様に、第1および第2
の制御電極32,33と記録媒体1からなる三極真空管
の増幅率をK2 、第1および第2の制御電極32,33
間の相互増幅率をK1 〜2 、イオン発生器20と第1お
よび第2の制御電極32,33と記録媒体1からなる相
互増幅率をKp とする。
数であるが、ここではイオン通過孔29の中心点で代表
して計算する。この時、第1の制御電極32の仮想制御
面上任意の点における電位VG1 は、(11)式とな
る。また、相互増幅率K1 〜2 およびKp は、三極真空
管の増幅率K1 ,K2 を用いて(12)式のように表わ
すことができる。
イオン電流IG1 のうち、この制御電極32のイオン通
過孔29を通過し、第2の制御電極33に達するイオン
電流I1 〜2 は、第1の制御電極32の幾何学的な遮蔽
率S1 と電界による電界集中効果を考慮する補正項N1
からなる真空管の遮蔽率の補正項Sg1 を導入して近似
し、次式で表わすことができる。
1の制御電極32と、100μmのイオン通過孔29か
らなる118μmの周期で決定されるとしたため、その
値は0.85である。この第1の制御電極32のイオン
通過孔29を通過したイオン電流は、第2の制御電極3
3で制御される。第1および第2の制御電極32,33
と記録媒体1からなる三極真空管の増幅率K2 を用い、
第2の制御電極33の仮想面上の電位VG2 を示すと。
(13)式の様になる。
れるイオン電流IG2 は、第1および第2の制御電極3
2,33の仮想制御面上の電位VG1 ・VG2 を用いる
ことにより、(14)式で与えられる。ここで、y1 は
第1の制御電極32のイオン通過孔29を通過したイオ
ン電流I1 〜2 をイオン発生源と仮定した仮想面であ
る。y1 は、基準点からの距離をとると、(15)式で
示すことができる。
流のうち、第2の制御電極33のイオン通過孔29を通
過し、記録媒体面に達するイオン電流Ip は、同様に第
2の制御電極の遮蔽率S2 と電界による電界集中効果の
補正項N2 を考慮した遮蔽率の補正項Sg2 を導入し、
(16)式で示すことができる。
の第2の制御電極33と100μmのイオン通過孔29
からなる148μmの間隔で存在すると仮定しており、
その値は0.68である。その結果、直径Rd のイオン
通過孔29を有するヘッドの単位長さ当たりの記録媒体
1に達するイオン電流は、(17)式となる。
制御電圧を変え、記録媒体1に達する単位長さ当たりの
イオン電流を計算する(図20参照)。計算するパラメ
ータは図21で示すイオン電流の実験と電位配分が同一
になるよう表2を設定する。実際の低電圧駆動の実験で
は、第2の制御電極33はアース電位とし、イオン発生
器20のイオン発生電極24には250Vのバイアス電
圧314を、また記録媒体1には表面電位−600Vを
プリチャージにより印加しておく。図中の制御電圧Vg
1 は、第2の制御電極33をアース電位にしたときの電
圧に換算してある。
き、カットオフ状態となり、イオン電流は停止する。こ
の値は、境界要素法で制御電極間に逆電界を生ずるとき
の電圧とほぼ一致する(図18参照)。制御電圧が上昇
するにつれてイオン電流は増加し、60Vの電圧ではイ
オン電流が最大値に近い1.4×10-8A/cmに達す
る。さらに、制御電圧を増加させると第1の制御電極3
2とイオン発生器20間のバイアス電圧が減少し、イオ
ン電流も減少する。制御電圧がバイアス電圧とほぼ同程
度になる33Vでイオン電流もゼロになる。
を用い、プリチャージ方式と等価なイオン電流測定系
(図21参照)で、制御電圧に対するイオン電流値の変
化を測定する。この測定系は、KETHKEYの微小電
流計をイオン電流測定用電極に接続し、その前方500
μmにヘッドを設けてある。微小電流の測定ができるよ
うに、第2の制御電極33をプリチャージによる記録媒
体1の表面電位に等しい600Vにする。低電圧制御用
のパルス電圧を与える第1の制御電極32には、パルス
幅が10msec(記録速度40枚/分相当)、デュー
ティが1/2の電圧を−100から+400Vまで可変
とした連続パルスを600Vに重畳して印加する。イオ
ン発生器20には、30kVP-P の交流電圧を印加し、
イオン発生電極24には、第2の制御電極33に対し2
9V,60Vのパルス電圧が加わった第1の制御電極3
2に対し、250Vのバイアス電圧となる910Vを印
加する。パルス電圧のデューティが1/2のため、微小
電流計の測定値の2倍をとって計算値と比較する。この
様にして、イオン流記録ヘッドの動特性を測定したとこ
ろ、イオン電流の計算値(図20参照)は実測値とほぼ
一致した。
について 次に、イオン発生量が変動した時、低電圧駆動で制御さ
れるイオン電流の変動量を求め、低電圧駆動方式の安定
性を理論計算から確認する。このようなイオン発生量の
変動は、実際のヘッドのイオン発生電極の不均一性また
はイオン発生器20の劣化により生ずる。イオン電流を
与える式(5)で、距離y=oにおけるイオン電流Io
は、発生するイオン量ρに比例することを示しているこ
とが、式(4)から判る。
がΔIo変動したときの仮想面yoの変化Δyoを(1
8)式より求める。この仮想面Δyoの変動量は、イオ
ン電流変動量ΔIoを用いて、(19)式で与えられ
る。例えば上述したイオン発生器20を用い、30kH
z、バイアス電圧500Vのときは、yo=2.72×
10-2cmである。この値を用い、イオン発生量を50
%増加させると、Δyoは約14%変動することにな
る。この値は、yoがイオン発生器20の絶縁体層23
に0.34×10-2cm近接した値となる。このイオン
量の変動がある時、距離L1 の電極に流れ込むイオン電
流Ibの変動量ΔIbは、(20)式で与えられる。
Ibは、(21)式のような値になる。例えば図6に示
したように、周波数30kHz、印加電圧2.0kV
P-P でイオン電流が6.5×10-7A/cmのとき、イ
オン発生量を50%増加させると、500μm離れたイ
オン電流測定電極502に流れるイオン電流Ibの変動
ΔIbは14%増加し、7.4×10-7A/cmとな
る。このように空間電荷が存在するときのイオン電流
は、50%のイオン量の変動に対し、14%程度の変動
に減少する。
き、低電圧制御の記録ヘッドを用いたイオン電流を図2
0のように試算した。制御電圧が60Vのとき、記録媒
体1に達する電流は1.32×10-8A/cmから1.
43×10-8A/cmに増加する。しかし、その変動量
は約8%で、さらに減少している。また、制御電圧が6
0V以下ではさらに変動量は少なくなる。
コロナ放電のオン、オフを制御し、発生したイオン全て
を使用する従来のものでは、イオン発生量の変動がその
まま画質に現れる。しかし、低電圧駆動のイオン流記録
ヘッドを用い、イオンの空間電荷を制御する本方式で
は、真空管のカソードからの電子放出変動に対し、安定
した電子流が得られるのと同様に、50%の大きなイオ
ン発生量の変動を、8%以下に減少させて使用すること
ができる。この様に、この低電圧駆動のイオン流記録ヘ
ッドを用いると、安定した記録ができることが計算から
予測される。
流測定系を用い、イオン電流を測定する。また、プリチ
ャージされた600Vの表面電位の記録媒体1にイオン
電流を照射し、そのときの表面電位の減衰を計算し、静
電コントラストを求める。さらに、背面を導電処理した
50μm厚さのマイラフィルム(ルミラ)を記録媒体1
の誘電体層に用いて、イオン電流測定電極502に貼り
付けた静電潜像を作成し、二成分現像剤を用いて現像を
おこない画点を形成する。このようにして記録ヘッドを
用い、低電圧でイオン電流を制御できることを確認す
る。
系を用い、ヘッドをイオン電流測定電極502の前方2
50μmに近接して設け、イオン電流を測定する。また
第1の制御電極には10msecのデューティ1/2の
連続パルスを印加し、イオン電流を測定する。
のイオン電流の計算値と測定値を図22(a)に示す。
計算値(実線)と測定値(破線)は一致し、第1の制御
電極32の印加電圧が60Vで最大値に近い〜1.9×
10-8A/cmのイオン電流が得られる。この電流値
は、ヘッド1とイオン電流測定用電極502とが500
μmのときのほぼ2倍に当たる。さらに、このパルス電
圧を上昇させると、第1の制御電極32とイオン発生電
極24間のバイアス電圧が低下し、イオン電流が減少す
る。制御電圧がバイアス電圧と等しくなると、イオン電
流はほぼゼロになる。以上の記録ヘッドを用いた実験か
ら、第1の制御電極32に60V程度の低いパルス電圧
を印加し、イオン流を制御できることが確認できた。
設け、600Vのプリチャージを行い、イオン流を照射
したときの静電潜像の静電コントラストを計算する。単
位面積当たりのイオン電流Ipoが比誘電率εi、厚さd
iの記録媒体1に達すると、プリチャージによる600
Vの記録媒体1上の表面電位は低下し、静電潜像が形成
される。この表面電位の低下ΔVp による記録媒体1上
の電荷量の減少は、イオン電流IpoがΔtの時間流れた
ときの電荷量に等しい。この記録媒体1上の表面電位の
変動量ΔVp は、記録媒体1の単位面積当たりの静電容
量Co(=εo・εi/di)を用いて、(22)式で
示すことができる。
流Ipoを用いて(22)式の積分を行ない、時間の関数
として表面電位Vpを示すと、(23)式のようにな
る。ここで、Vsはプリチャージによる記録媒体の表面
電位、また係数AA,KK1,KK2,KK3は、増幅
率とヘッドのディメンジョンで決まる値である。ヘッド
に印加するパルス幅Tをパラメータにとり、T=4ms
ec(記録速度5枚/分:A4相当)、T=2msec
(記録速度10枚/分)、T=1msec(記録速度2
0枚/分)、T=0.5msec(記録速度40枚/
分)のときのパルス電圧に対する表面電位の減衰を計算
した。この様子を図22(b)に示す。計算はマイラの
記録媒体1の比誘電率2.3を用いて行なった。パルス
電圧が60Vの時(図中矢印)、4msecのパルス幅
で480Vの高い静電コントラストが得られる。また、
T=2msecでは29V、T=1msecでは270
V、そしてT=0.5msecでは90Vの静電コント
ラストがそれぞれ得られることが計算から予測できる。
02にルミラの記録媒体1を貼り付け、イオン電流を照
射して静電潜像を二成分現像剤を用いて、画点形成を行
なった。この様にヘッドを記録媒体1に近接させ、記録
媒体1と第2の制御電極33間、第1および第2の制御
電極32,33間、第1の制御電極32とイオン発生器
20間のそれぞれの電界の比を、4:2:1とすると、
制御電極32,33間を通過するイオンの軌跡は、図2
3に示すように広がらず絞り込めることが予測できる。
ここで、電位計算は境界要素法を用いて行ない、イオン
等電位面に垂直な電界方向に移動するものとして軌跡を
描いた。その結果、記録媒体1上に高い静電コントラス
トの静電潜像が得られ、良好な画点形成ができた。
で170μmφの画点となり制御電極のイオン通過孔2
9(100μmφ)より大きくなるが、2msecでは
97μmφの画点でイオン通過孔29とほぼ同じにな
る。1msecでは58μmφ以下になり、0.5ms
ecではさらに画点の大きさは40μmφと減少する。
また、パルス幅の減少と共に画点濃度も低下する。これ
はイオン通過孔29の中心でイオン電流が最大となり、
静電コントラストが最も大きくなるためである。そのた
め、パルス幅が小さくなり、静電コントラストが減少る
と画点も小さくなる。この様にして、パルス幅を変化さ
せ、画点の径と濃度を変えることが可能になり、パルス
幅制御により階調記録ができる。以上の実験結果から、
ヘッド1を用いて第1の制御電極32に60Vのパルス
電圧を印加してイオン電流を制御し、またパルス幅を変
えることで階調記録ができることが明らかになった。
いて説明する。ヘッドの記録速度を決める要因には、イ
オンの走行時間と記録媒体1に達するイオン量がある。
ここでは、(1)イオンの走行時間と(2)記録媒体1
に達するイオン量をそれぞれ計算し、低電圧制御による
記録速度の限界を予測する。
で発生したイオンは、イオン発生電極24のスリット2
6からの交流電圧による漏洩電界で高速に移動し、電位
がゼロとなる基準点に達する。この前方〜60μmの範
囲をイオンが通過する時間を次に計算する。1.5kV
の電圧がイオン発生器20に加わると、絶縁体層23前
方〜60μmで最も電界(図18参照)が弱くなり、こ
の電界は(24)式に示される値になる。
μ+ =1.4cm2 /V・secを用い、この範囲で最
も小さいこの電界で〜60μmを走行したときの時間を
求めると、(25)式の様になる。なお、−極性のイオ
ンに対しては、μ- =1.9cm2 /V・secを使用
して計算が可能である。この時間は、14MHzの周波
数に相当し、発生したイオンは直ちにこの範囲を通過す
ることが判る。また、イオン発生量を最大にする110
kHzの高い周波数の交流電圧印加時にも、交流電圧の
極性が変わる前に、イオンはこの領域を通過する。
32との間のイオン走行時間を計算する。この間の直流
バイアス電圧250Vで生ずる電界は、第1の制御電極
32に60Vの信号電圧が印加されたとき最も小さくな
り、その電界は次式の値になる。 Eb=190V/0.04cm=4750(V/cm) この電界でイオン発生器32の絶縁体層23前方〜60
μmから450μmの第1の制御電極32に達するまで
のイオン走行時間tg1 は、(26)式のようになる。
この走行時間は記録時間0.5msec(記録速度約4
0枚/分相当)のときの〜1/80に相当し、速度限界
を与えることはない。
する前に、信号電圧がオフとなり、第1および第2の制
御電極32,33間の電界が逆転すると、イオンは第2
の制御電極33を通過することができなくなる。そこ
で、第1および第2の制御電極32,33間のイオン走
行時間を次に計算する。第1の制御電極32に60Vを
印加したとき第1および第2の制御電極32,33間の
電界は、(27)式となる。このとき、制御電極間をイ
オンが通過する時間は、(28)式となる。この間のイ
オン走行時間は、記録時間0.5msecの〜1/36
0で、速度限界を与えることはない。
ンは、プリチャージされた記録媒体1の表面電位600
Vによる一定電界によって、記録媒体1に達する。第2
の制御電極33と記録媒体1間のイオンの走行時間を次
に示す。この600Vの記録媒体1上の表面電位で生ず
る第2の制御電極33と記録媒体1との間の電界は、
(29)式となる。そのために、第2の制御電極33と
記録媒体1間のイオンの走行時間は、(30)式の値と
なる。この走行時間は、記録時間0.5msec(40
枚/分相当)の〜1/170である。以上の計算から、
全イオン走行時間Tは(31)式となり、記録速度0.
5msecの〜1/50に相当する。そのため、イオン
の全走行時間は、記録速度が1700枚/分に相当する
とき、初めてイオン走行時間と記録時間が同じ程度にな
る。以上のことから、イオンポジション記録の記録速度
は、イオン走行時間で制限されることはない。
て 以上の様にイオン走行時間が、記録速度に影響を与える
ことはない。記録速度の限界は、記録媒体1に達するイ
オン量で決まり、このイオン量はイオン発生器20で生
ずるイオン量と、第1の制御電極32に達する量で決ま
る。このイオン発生量を増加させるには、イオン発生器
20によるイオン量の増加か、また第1の制御電極32
に達するイオン量を増加させるために、イオン発生器2
0と第1の制御電極32間のバイアス電圧の上昇7、イ
オン発生器20と第1の制御電極32との距離の接近が
ある。
電圧の周波数をイオン量が最大の飽和値になる110k
Hz以上にする。次に、火花放電が生じない範囲でイオ
ン発生器20と第1の制御電極32とを接近させ、かつ
バイアス電圧をできるだけ増加させて、記録速度の上限
を予測する。その時の現像に必要な記録媒体1上の静電
コントラスト(〜350V以上)を与えるイオン電流の
式(16)と、電位減衰を与える式(23)から照射時
間を求める。
り、厚さ50μm、誘電率2.3で、表面電位600V
にプリチャージされた記録媒体1(マイラシート)にイ
オン電流を照射すると、記録媒体1の表面電位は、パル
ス幅が4〜2msec(記録速度5〜10枚/分)の制
御電圧60Vで静電コントラストは最大電位600V、
また1msec(記録速度20枚/分)で460V、さ
らに0.5msec(記録速度40枚/分)で280V
となる。
2.5kVP-P の交流電圧をイオン発生器20に印加
し、かつイオン発生器20の前方火花放電が生じない3
0kV/cm以下の電界となっている100μmの距離
まで第1の制御電極32の距離を近接させ、火花放電が
発生しない250Vのバイアス電圧(図14矢印参照)
まで上昇させた状態で、記録媒体1に達するイオン電流
を制御電圧に対して求めた。これが図25(a)であ
る。また、制御電圧のパルス幅をパラメータにし、表面
電位の減衰を計算した。これが図25(b)である。
60Vを基準にして、第1の制御電極32に60Vを印
加すると、制御電圧のパルス幅が0.5msec(記録
速度40枚/分)で記録媒体1の表面電位はほぼゼロと
なり、静電コントラストは最大電位の600Vとなる。
また、0.2msec(記録速度100枚/分)では静
電コントラストは330Vとれる。このとき制御電圧を
80Vにすると、静電コントラストを480Vにまで上
昇できる。このように、80Vで制御できる空間電荷を
利用した本方式の記録速度は、計算上100枚/分であ
る。
を用い、イオン発生器20に2.5kVP-P 、30kH
zの交流電圧を印加し、かつイオン発生器20には25
0Vのバイアス電圧を印加し、記録媒体1の表面電位を
プリチャージにより600Vにすると、60Vの低い制
御電圧でイオンの制御が可能となり、高い静電コントラ
スト(550V)が得られる。前記の真空管と同様の電
圧増幅率を考慮したイオン電流の計算値は実験値とほぼ
一致し、低電圧制御のイオン流記録ヘッドが実現可能と
なった。また、制御電極に与える制御電圧のパルス幅を
変え、マイラシート上に実際の静電潜像画点を形成し、
現像を行って記録画点を作成すると、階調記録ができ
た。このように高い静電コントラストが得られるため、
従来のイオン電流を制御する方式とは異なり低い静電コ
ントラスト用磁性−成分現像剤を使用すること無く、電
子写真で一般に使用されている現像剤を用いることが可
能になった。
コントラストの計算から、低電圧制御で100枚/分ま
で高速記録の可能性があり、また、イオン発生量を50
%変動させた場合には、イオン電流の変動を8%以下に
おさえることが計算から予測できる。このようにして発
生したイオンを全て使用する従来のものと異なり、イオ
ン発生量の時間的劣化変動、画点毎のイオン発生量の不
均一性に対し、安定した記録が可能となった。
オン流記録ヘッド3のより具体的な構成を詳しく説明す
る。図26はイオン流記録ヘッド3の断面図、図27は
側面図である。
ッド3はヘッド支持体100と、この支持体100に支
持されたイオン発生器20、制御基板30および駆動回
路基板103の各要素から構成され、イオン発生器2
0、制御基板30および駆動回路基板103は、ヘッド
支持体100とともに取り外し可能となっている。イオ
ン発生器20および制御基板30は、原理的には図3に
示したような構成となっている。
形成されており、ここに加圧された空気流が供給される
構造になっている。送風用孔104を通過してきた空気
流は空気吹き出し口105から吹き出し、制御基板30
に吹き掛けられる。この空気流は、イオン発生器20に
対してはイオンの発生を安定させる役割を果たしてお
り、制御基板30に対してはトナーによるイオン通過孔
29の目詰まりを解消する役割も果たしている。
00には空気を入れるための空気流流入口107が形成
されており、コンプレッサからの圧縮された空気流をチ
ューブ108で導き、送風用孔104に流す構成となっ
ている。
μmの段差109が掘られており、この段差109によ
ってイオン発生器20と制御基板30の間の距離が決定
されている。
記録ヘッド3の要部の構成を示す斜視図である。図28
に示すように、イオン発生器20と制御基板30、2つ
のスペーサ部材28さらに、制御基板30の各ドットを
制御するための制御信号を図示しない制御回路から供給
するための2本のフレキシブル・プリント・ケーブル5
0が備えられ、これらは全てヘッドホルダ100上に搭
載されている。同図は記録ドラム1側から見た図である
ので、制御基板30は第2の制御電極33側が見えてい
る。
性基板31の一方の面に一様に形成された金属層からな
り、この上にイオン通過孔29が図の様に斜めに4個ず
つ配設されている。本実施例の静電記録装置では全部で
1000個の画点を記録できるようになっているので、
4個ずつ250組のイオン通過孔29が形成されてい
る。なお、記録解像度が主走査・副走査とも10dpm
(ドット/mm)の場合と20dpmの場合のイオン流
記録ヘッド3を作製したが、これらの解像度を維持する
ためにイオン通過孔29がこの様な配置になっている。
これについては後で詳細に説明する。
御基板30の端部には位置合わせ用のパターン51が形
成され、更に制御基板30の所々に接着剤浸透用の孔5
2が設けられており、制御基板30とイオン発生器20
は接着剤で接着されることにより一体化されている。イ
オン発生器20上には、誘導電極22に接続されている
第1メタル層の端子53と、イオン発生電極24および
遮蔽電極25に接続されている第2メタル層の端子54
が見られる。
要素について詳細に説明する。まず図29を用いてイオ
ン発生器20について説明する。図29はイオン発生器
20の全体図である。セラミック基板からなる絶縁性基
板21の上には、図3の誘導電極22に接続されている
第1メタル層55が数μmの厚さに形成され、その上に
SiCなどを含んだガラスなどの絶縁体層23が形成さ
れ、更にその上にイオン発生電極24および遮蔽電極2
5に接続されている第2メタル層56が形成される。ま
た、第1メタル層55にはバイアス電圧(Vb+ 37、
Vb- 36)を印加するための電極端子53が形成さ
れ、第2メタル層56には交流電圧39を印加するため
の電極端子54が形成される。この様なイオン発生器2
0は、全て厚膜印刷技術で作ることが可能である。
によって、送風用の孔57が多数形成されている。本実
施例では直径1mm、ピッチ2mmで送風用孔57が2
列、イオン発生部の両側に形成されている。絶縁体層2
3にも送風用の孔57′が形成されているのは、勿論で
ある。送風用孔57には、イオン発生器20の背面側
(絶縁性基板21側)から温風が供給されるようになっ
ており、これによってイオン発生器20の動作を安定化
させている。
3を参照して更に詳しく説明する。図30(a)はイオ
ン発生器20の平面図、(b)は裏面図であり、また図
31(a)(b)は図29のA−A′線に沿う断面図で
ある。図31(a)に示されるように、絶縁性基板21
の上に誘導電極22が形成され、更に絶縁体層23、最
後にイオン発生電極24と遮蔽電極25が形成される。
そして、図30(a)に示すように、数μmの絶縁体層
115を選択的に形成することで、イオン発生器20が
構成される。この絶縁体層115は電極の不要部分から
のイオン発生を防止するためのものである。
発生電極24(遮蔽電極)に直流バイアス電圧を与える
ための端子116と、誘導電極22とイオン発生電極2
4および遮蔽電極25との間に、〜3kVP-P 程度の交
流電圧を与えるための端子117とが形成されており、
高圧のコネクタ118でこれらの電圧が供給される。こ
れらの電極間の電界が空気の放電開始電界よりも大きく
なって、放電が生じないように端子電極間の距離は十分
にとる必要がある。
も示されているように、絶縁性基板21の裏側(イオン
発生電極などを形成してない側)には、発熱抵抗体11
9が形成されている。そして、この発熱抵抗体119の
両側に形成されている2つの端子120、120′の間
に直流電圧を印加することにより、発熱抵抗体119に
電流を流して発熱させ、イオン発生器20を加熱してい
る。イオン発生器20を加熱することによって、放電に
よって発生した窒素酸化物などが熱分解され、更に送風
の効果も加わってイオン発生器を長寿命化することが可
能となる。
点は、イオンを発生する場所がA−A′方向で4個所あ
ることである。これは図28に示したように、本実施例
のイオン流記録ヘッド3では副走査方向に4ドットずつ
制御電極にイオン通過孔29が形成されているためであ
り、図28に示されたイオン発生器の基本パターンが4
つ繰り返されているのである。
のピッチは、制御電極32,33のイオン通過孔29の
副走査方向のピッチと等しくなっている。イオン通過孔
29はθ=tan-14の角度で斜めに並んでいるので、
イオン発生部のピッチは本実施例の解像度が10dpm
の場合には400μm、20dpmの場合には200μ
mとなっている。また本実施例の場合には、遮蔽電極2
5の幅は約40μm、遮蔽電極25とイオン発生電極2
4の間のスペースも約40μmとした。なお、絶縁性基
板21と絶縁体層23には送風用孔57、57′が形成
されており、基板21側から温風が流される構造となっ
ている。
例を示すA−A′断面図であり、図30(a)では4つ
に分割されていた誘導電極22を1つにしている。この
様にすることで、誘導電極22の製作精度がラフで良
く、また第1メタル層55である誘導電極22と、第2
メタル層56であるイオン発生電極24および遮蔽電極
25との位置合わせ精度もラフにすることができる利点
を持つ。但し、その代わりこれらの電極間の静電容量も
大きくなるので、交流電圧としては電流容量の大きいも
のが必要となる。以上説明した構成のイオン発生器20
が図26および図27に示すように、ヘッド支持体10
0に形成された500μmの溝121内に挿入されてい
る。
イオン発生器20のB部、C部の拡大図である。これら
の図32,33では、二点鎖線で絶縁性基板21、破線
で第1メタル層55である誘導電極22、1点鎖線で絶
縁体層23、実線で第2メタル層56であるイオン発生
電極24と遮蔽電極25のパターンをそれぞれ表わして
いる。送風用孔57が形成された絶縁性基板21上に、
まず第1メタル層55である誘導電極22が形成され
る。これらの図では説明を簡単にするために、誘導電極
22が図31(b)に示される4つに分割されてないタ
イプの例を示してある。次に、この上に送風用孔57′
のある絶縁体層23を形成する。絶縁体層23の送風用
孔57′は、絶縁性基板21の送風用の孔57よりもや
や大きくなっているので、パターンの位置精度が少し変
化しても確実に温風が通過できるようになっている。温
風(室温以上〜100℃程度)を送風することによっ
て、イオンの発生量を安定化することができる。更に、
この絶縁体層23の上に第2メタル層56が厚膜印刷技
術によって形成される。最後にエッチングによってイオ
ン発生電極24と遮蔽電極25のパターンが形成されて
イオン発生器20が完成する。
の切り欠き58が、また図33の第2メタル層56には
4本のバーパターン59がそれぞれ形成されている。こ
れらの切り欠き58およびバーパターン59は、この上
に乗せられる制御電極32,33との位置合わせ用パタ
ーンである。位置合わせ用切り欠きパターン58は本実
施例では約40μmの幅で、ピッチは400μm(20
dpmの場合は200μm)であり、また位置合わせ用
バーパターン59はバーの幅が約40μmで、ピッチは
400μm(20dpmの場合は200μm)である。
8,59と制御基板30上のイオン通過孔29が一致す
るように位置合わせを行うことで、どのイオン通過孔2
9からも一定量のイオンを安定して取り出すことが可能
となる。本実施例の場合、これらの位置合わせパターン
58,59は、遮蔽電極25の延長線上に形成されてい
る。従って位置合わせされた状態では、図3に示したよ
うに遮蔽電極25の真上にイオン通過孔29が位置する
ことになる。
に沿って貼り付けられている。制御基板30には、イオ
ン発生器20に近い方から第1の制御電極32と第2の
制御電極33が形成されている。この第1および第2の
制御電極32,33の少なくとも一方は、各イオン通過
孔29に対して独立に制御電圧を与えられる様な構成と
なっている。この実施例の場合には第1の制御電極32
が個別の制御電極となっており、第2の制御電極33は
ベタの電極で一様な電圧が与えられる様な構成となって
いる。
32が個別電極となっている。換言すれば、イオン発生
器20に近い制御基板30の内側の制御電極32が個別
電極となっている。このために、制御基板30の端部で
スルーホールを形成して第1の制御電極32を表側に取
り出している。制御基板30は位置合せを行った状態で
ヘッド支持体100に接着され、ヘッド支持体100と
一体化される。理想的には4個の個別のイオン発生部の
位置と、制御電極32のイオン通過孔29の位置が一致
するように位置合わせするのが望ましいが、あまり精度
は必要ない。
路基板103上にはIC化された駆動回路(以下、ドラ
イバICという)124が多数搭載されている。これら
のドライバIC124は、従来サーマルヘッドで使用さ
れていたICでも十分に使用可能である。従来のサーマ
ルヘッド・ドライバでは、1つの発熱抵抗体当たり数1
0mAの電流を流す構造になっているが、本実施例のプ
リンタでは1つの制御電極当たり数μA程度の電流しか
流す必要がない。従って、新たにドライバIC124を
作製する場合には、ほぼ従来と同様の耐圧で電流容量と
しては遥かに小さく、そのためチップ面積も小さくなる
ので、128ビットを駆動するような集積度の高いドラ
イバICを作製することも可能となる。
るドライバIC124の内部ブロック図を示す。画像デ
ータはSin端子125から入力され、シフトレジスタ1
26内をクロック信号(CLOCK)127によって転
送される。このシフトレジスタ126は例えば64ビッ
ト構成であり、これにより、ドライバIC124として
は64個の画点のON/OFFを可能としている。シフ
トレジスタ126に転送されたデータは、ラッチ信号
(LATCH)128によって64ビットのラッチ12
9にコピーされ、保持される。イネーブル信号(EN)
130が与えられると、ラッチ129にマークデータが
保持されている場合だけゲート131が開き、ドライバ
トランジスタ132がONとなり、この画点だけが記録
されるような構成となっている。また、各ドライバIC
124は64ビットシフトレジスタ126の出力をSou
t 端子133に出力している。Sout 端子133は、次
段のドライバIC124のSin端子125に接続されて
いるために、多数の画点に対応することが可能となる。
各信号は駆動回路基板103上に形成された配線を通
り、コネクタ139を介して外部の図示しない制御回路
より供給されてくる。
mm)用ラインヘッドの場合を例にとると、1ラインに
4,200ドットのイオン通過孔29が存在する。これ
らのイオン通過孔29を独立にドライブする第1の制御
電極32は、図28に示されるように交互の反対方向に
引き出されている。したがって、片側の駆動回路基板1
03上には、33個のドライバIC124が搭載される
ことになる。
ドライバIC124が搭載された2枚の駆動回路基板1
03はヘッド支持体100上に接着剤などで固定され
る。駆動回路基板103がヘッド支持体100上に固定
された後、第1の制御電極32と駆動回路基板103上
の制御信号線とをワイヤボンディング136で接続し、
更に樹脂138でモールドすることで、絶縁を行ってい
る。また、その上から金属カバー138をかけ、ネジ1
35で固定している。これはイオン発生器20のような
高圧の交流電圧がドライバICの直ぐ近くにあるため
で、高周波ノイズによって5Vの論理回路が誤動作する
のを防いでいる。従って、金属カバー138はアース電
位に接続されているのが望ましい。なお、図27は金属
カバー138を取り除いた状態を示してある。
ヘッド3は、図26、図27に示されるようにプリンタ
本体に取り付けられているヘッド取り付け用レール14
0とヘッドに形成された溝141で噛み合い、レールの
方向にスライドさせ、本来の記録位置にセットされる。
なお、イオン流記録ヘッド3を取り外す場合には、各コ
ネクタを外してヘッド取り付け用のレール140上をス
ライドさせることで、イオン流記録ヘッド3の部分だけ
を取り外すことが可能である。
は、イオン発生器20だけを取り替えることも可能な構
造となっている。すなわち、図27に示したようにヘッ
ド支持体100の側板142には、イオン発生器20の
位置を固定するための位置決め孔143が形成されてい
る。従って、図27の場合にはイオン発生器20を図の
右側から左側へ押し込むことで、イオン流記録ヘッド3
にセットすることが可能となっている。また、逆にイオ
ン発生器20を図の左側から右側へ引き抜くことで、イ
オン流記録ヘッド3から取り外すことが可能となってい
る。この様になっているために、イオン発生器20が劣
化した場合にもイオン流記録ヘッド3全体(制御基板3
0、駆動回路基板103など全部)を取り替える必要が
なく、イオン発生器20だけを取り替えれば済むので、
装置の保守に必要なコストを低減することも可能とな
る。
8を用いて説明する。図35(a)(b)は、制御基板
30を表側、すなわち図3における記録ドラム1側から
見た平面図であり、第2の制御電極33が見えている。
は基板全面に形成された、いわゆるベタ電極になってお
り、図3に示したようにアース電位に接続されている。
制御基板30には位置合わせ用の孔51と、制御基板3
0とイオン発生器20を接着するための接着剤流し込み
用の孔52が形成されている。
の周辺のみに第2の制御電極33が形成されている。ベ
タ電極をエッチングによりパターニングすることで、こ
の様なパターンの第2の制御電極33を形成することが
できる。この様に第2の制御電極33の面積を小さくす
ることで、第1の制御電極32と第2の制御電極33の
間に形成される静電容量が小さくなるため、駆動回路や
駆動電源の電流容量を小さくできる。なお、第2の制御
電極33は両側(副走査方向)に端子を取り出せるよう
に両端を制御基板30の端部まで延在させている。第2
の制御電極33を形成する際のパターニングにより制御
電極33から分離された33a,33bの部分は、動作
上は本来不要であるが、本実施例では強度を持たせるた
めにそのまま電気的に浮かした状態で残して使用してい
る。第2の制御電極33と、これらの分離された部分3
3a,33bとを電気的に1点を接続することで、図3
6(a)とほぼ同様の機能を持つこともできる。
御電極32側)から見た平面図であり、第2の制御電極
33側から見た場合と同様に、イオン通過孔29、位置
合わせ用の孔51、接着剤流し込み用の孔52が見えて
いる。第2の制御電極33は各イオン通過孔29に対し
て共通の電位が与えられる様になっていたのに対し、第
1の制御電極32は図のように細かくパターニングさ
れ、各イオン通過孔29に対して異なった電位を時間的
にも独立に印加できるよう、画点毎にそれぞれ独立して
形成されている点が異なっている。
30の端部でフレキシブル・ケーブル接続用端子60に
接続されており、ここでフレキシブル・ケーブルから制
御電圧が与えられる。なお、図36は記録解像度が10
dpmの場合の例を示しており、この場合には制御電極
32の2つ毎に上下に引き出し配線が引き出されている
ので、配線間のピッチは200μm(5本/mm)とな
る。また、接着剤流し込み用の孔52は、直径100μ
m、ピッチ400μmで副走査方向に5個ずつ形成され
ており、配線10本にこれらの接着剤流し込み用の孔5
2の群が配設されている。従って、制御電極32の配線
は、イオン通過孔29付近とフレキシブル・ケーブル接
続用端子60付近では幅100μm、ピッチ200μm
であるのに対し、接着剤流し込み用の孔52の付近では
幅92μm、ピッチ184μmとなっている。なお、イ
オン通過孔29の極近傍では第2の制御電極32の配線
幅は66μmであるが、これについては図37で説明す
る。フレキシブル・ケーブル接続用端子60は1本毎に
長さを変化させてあるが、これはフレキシブル・ケーブ
ルと接続する場合の位置合わせを簡単にするためであ
る。
側に引き出した構成にすると、解像度10dpmの場
合、引き出し配線の解像度(配線密度)は、イオン通過
孔29付近で5本/mm、フレキシブル・ケーブル接続
用端子60付近でも5本/mmである。これに対し、解
像度20dpmの場合には、やはり引き出し配線を2本
づつ副走査方向の両側に引き出すとすると、イオン通過
孔29付近で配線密度は10本/mmである。ところ
が、フレキシブル・ケーブルは配線密度の高いものでも
8本/mm程度であることや、配線密度が高くなるとフ
レキシブル・ケーブル接続端子60とフレキシブル・ケ
ーブルとの接続が難しくなることなどから、フレキシブ
ル・ケーブル接続用端子60付近では、引き出し配線の
配線密度を8本/mmとしている。従って、引き出し配
線は図36に示したような単純な平行配線とはならず、
その配線密度がイオン通過孔29付近の10本/mmか
ら、フレキシブル・ケーブル接続用端子60付近での8
本/mmにまで広がるような配線となっている。
9付近の拡大図である。イオン通過孔29は4個の孔が
斜めに配列されており、この繰り返しで全てのドットが
形成されている。本実施例では主走査方向と孔の並んで
いる方向とのなす角度θは、θ=tan-1(±4)を満
たすように設定されている。すなわち、同図に示される
ように、主走査方向のイオン通過孔29のピッチPと副
走査方向のイオン通過孔29のピッチlとの間には、l
/P=4なる関係が成立している。
由は次の通りである。イオン通過孔29の直径が50μ
mであり、記録解像度が20dpmの場合を考える。こ
のような場合、イオン通過孔29を主走査方向に一列に
並べると、隣接するイオン通過孔29が連続してしま
い、第1の制御電極32を形成できなくなる。従って、
イオン通過孔29を斜めに並べる必要性が生ずる。但
し、イオン通過孔29を斜めに並べる場合にも、副走査
方向の解像度の整数倍の位置にそれぞれの通過孔を配置
しなければならない。本実施例の場合、記録解像度は主
走査・副走査ともに20dpmで等しいため、θ=ta
n-1N(Nは整数)となる角度θに、イオン通過孔29
を並べる必要がある。
°の場合を考える。この場合、隣り合うイオン通過孔2
9の中心間距離は71μm、従って最も近い部分は21
μmとなってしまう。このようなイオン通過孔29の周
辺に第1の制御電極32を形成する必要がある。現在エ
ッチングなどで安定にパターニングができる線幅・スペ
ースは、いずれも30μm程度が限界である。従って、
隣り合うイオン通過孔29の間には、最低90μmの間
隔が必要となり、N=1は不適当となる。同様な理由か
ら、N=2も不適当である。N=3以上であれば、この
条件はクリアできる。しかし、電気回路で信号を遅延さ
せる関係から、Nは偶数の方が回路が簡単になる。従っ
て、N=4以上の偶数が好ましいということになる。
を副走査方向に何列並べたら良いかを次に考える。ま
ず、2列の場合には各列で最もイオン通過孔29の近付
いている距離は50μmであり、上述した理由から不適
当である。ここで、第1の制御電極32からの配線の引
き出し方について考えてみる。今、全ての引き出し配線
を副走査方向の一方に引き出すとすると、エッチングが
線幅・スペースとも30μmで限界とすれば、M列ある
場合には(60×M+30)μmの幅が各列の隣り合う
イオン通過孔29の間に必要である。これに対し、各列
の隣り合うイオン通過孔29の間の距離は(50×M−
50)μmである。すなわち、M≧1では常に(60×
M+30)>(50×M−50)が成立しており、その
ため配線を1方向に引き出すことは不可能である。従っ
て、引き出し配線は副走査方向の両側に振り分けなけれ
ばならない。このことを考慮すると、3列では引き出し
配線の引き出しおよび信号の並べ替えが複雑になるの
で、4列を採用することが望ましい。以上の理由から、
図37に示すようなイオン通過孔29の配列、第1の制
御電極32の引き出し配線の引き出し法が決定された。
孔29の各列の延長線上には、位置合わせ用のパターン
51が形成されている。本実施例の場合には、この位置
合わせ用パターン51として孔を開けてある。同図38
のように制御基板30の端面となる位置付近に各列3つ
の位置合わせ用の孔51を開けておく。そして、真中の
孔を狙って切断し、制御基板30の端面61を形成す
る。この切断して形成された制御基板30の端面61
は、必ずしも位置合わせパターン51の真中の孔の更に
中心を通る線で切断する必要はない。例えば制御基板3
0上に位置合わせパターン51が1つしかなく、しかも
その孔も一部分しかないように端面61′が形成されて
も、また制御基板30上に位置合わせ用パターン51が
3つあるように端面61″が形成されても、位置合わせ
の機能は失われることはない。この様に、制御基板30
の端面61の位置が少しずれてもその機能を失わないた
めに、位置合わせ用パターンとして3つの孔を開け、真
中の孔の中心を狙って切断することで、制御基板30の
端面61を形成している。
御基板30の製造方法について説明する。まず、図38
(a)に示すように、約18μm厚の銅箔70と約25
μm厚のポリイミド樹脂層71から構成される片面銅貼
り基板72を2枚用意し、両者を銅箔70の面が外側に
なるよう接着剤73(厚さ約15μm)で接着する。次
に、図38(b)に示すように片面の銅箔70だけをエ
ッチングして、第1の制御電極32を形成する。次に、
図38(c)に示すように、ポリイミド樹脂層71、接
着剤層73、ポリイミド樹脂層71と順次エッチングし
て、イオン通過孔29を開けて行く。次に、第2層目の
銅箔70をエッチングすることでイオン通過孔29が完
成するが、この際に第1層目の第1の制御電極32も同
時にエッチングされるのを防ぐため、まず図38(d)
に示すように既に形成されている第1の制御電極32に
金メッキ層74を施しておく。この様にして銅箔70の
エッチングを行うことで、図38(e)に示されるよう
なイオン通過孔29を有する制御基板30が完成する。
接着によって両面銅貼り基板を作成し、これをエッチン
グしてイオン通過孔29を開けて制御基板30を作製す
る例を示した。しかし、樹脂層の両面に銅箔を貼った両
面銅貼り基板を用いても全く同様の方法で制御基板30
を作製することが可能である。また、両面銅貼り基板の
場合には、まず両面の銅箔70をエッチングし、その後
樹脂の部分を両面からエッチングしても良い。
20と制御基板30が作製される。最後に、これらイオ
ン発生器20、制御基板30と、スペーサ部材28およ
びフレキシブル・ケーブル50とを一体化することで、
図28に示したようなイオン流記録ヘッド3が完成され
る。
の上にスペーサ部材28を載せ、更にその上に制御基板
30を載せて、イオン発生器20と制御基板30の位置
合わせを行った状態を示す平面図である。制御基板30
上の位置合わせ用孔51と、イオン発生器20に形成さ
れた位置合わせ用切り欠きパターン58およびバーパタ
ーン59が図のように一致している。この状態でイオン
発生器20と制御基板30を制御基板30に開けた接着
剤注入用の孔から接着剤を注入して接着することで、一
体化を行うことができる。なお、制御基板30とフレキ
シブル・ケーブル50の接続は圧接で行った。
図を示す。制御基板30とフレキシブル・ケーブル50
のそれぞれの電極は、位置合わせされた状態でゴム75
と押さえ板76で押さえられ、互いの電極を圧接するた
めにネジ77によってヘッドホルダ78に留められる。
この様にして、制御基板30とフレキシブル・ケーブル
50の接続を実現している。
42は、本発明の第2の実施例に係るイオン流記録ヘッ
ド3の断面図である。第1の実施例では第2の制御電極
33をアース電位としたが、第2の実施例では第1の制
御電極32をアース電位としている。
を示しており、第2の制御電極33に第1の制御電極3
2に対して負の制御電圧Vc34が与えられるように、
電気的なスイッチング回路35が制御されている。この
よう様にすることで、第1の制御電極32と第2の制御
電極33の間に図3に示したのと同様の電界E2が形成
されるので、イオン発生部であるスリット26より発生
した正のイオンは、イオン通過孔29を通過することが
できる。従って、負のイオンで一様帯電された記録ドラ
ム1の絶縁体層42上に静電潜像を形成することができ
るのである。
2を形成するために、制御電圧Vc34が負電圧である
ことが、第1の実施例と大きく異なる。画点を形成しな
い場合には、スイッチング回路35の接点がb側に接続
され、第1の制御電極32と第2の制御電極33は同電
位(アース電位)になり、これらの電極32,33間に
生じる電界E2は0となる。従ってイオンはイオン通過
孔29を通過できず、画点も形成されない。
えに基づいて実際に構成されたイオン流記録ヘッド3の
斜視図およびE−E′線に沿う断面図である。図43に
示すように、この実施例では第2の制御電極33が個別
電極となるので、第2の制御電極33が多数形成されて
いる点が図28と大きく異なっている。他の点について
は、図28とほぼ同様である。なお、この実施例の場
合、第2の制御電極33とフレキシブル・ケーブル50
との接続は、図41に示したような圧接で行っても勿論
構わないが、ここでは図44に示すようにワイヤボンデ
ィングで接続している。
ずイオン発生器20と制御基板30とをスペーサ部材2
8を挟んで接着して一体化し、これらをヘッドホルダ7
8上に接着あるいはネジ止めで固定する。次に、フレキ
シブル・ケーブル50上の電極位置と第2の制御電極3
3の位置を合わせた状態で、フレキシブル・ケーブル5
0を同じくヘッドホルダ78上に接着する。最後に、ワ
イヤボンダを用いてフレキシブル・ケーブル50上の電
極と第2の制御電極33とを金ワイヤ79で接続(ワイ
ヤボンディング)して、イオン流記録ヘッド3を完成す
る。なお、実際には金ワイヤ79は裸のままでは絶縁性
・強度の点で問題であるので、図44に示されるように
樹脂モールド部80(図43では省略している)によっ
て覆われている。
るイオン流記録ヘッド3の斜視図およびF−F′線に沿
う断面図である。この実施例は第2の実施例と同様に、
第1の制御電極32は共通のアース電位とし、第2の制
御電極33で個別の画点を制御する構成になっている。
そして更に、この実施例ではイオン流記録ヘッド3上に
第2の制御電極33を制御するドライバIC81が搭載
されている。この様にドライバIC81をイオン流記録
ヘッド3に搭載したため、装置の小形化を図ることがで
きる。また、信号線を長い距離フレキシブル・ケーブル
で引き回すこともなくなるので、信号線間の静電容量に
よるクロストークを減少させることもできるし、駆動回
路の電流容量も小さくできる。
して作製される。すなわち、図46に示すように、まず
第1の実施例と同様の方法でイオン発生器20の絶縁性
基板21と制御基板30とをスペーサ部材28を挟んで
接着して一体化し、これらをヘッドホルダ78上に接着
あるいはネジ止めで固定する。次に、ドライバIC81
が搭載されたドライバ基板82上の電極位置と第2の制
御電極33の位置を合わせた状態で、ドライバ基板82
を同じくヘッドホルダ78上に固定する。最後に、ワイ
ヤボンダを用いてドライバ基板82上の電極と第2の制
御電極33とを金ワイヤ79でワイヤボンディングし
て、イオン流記録ヘッド3を完成する。そして、ワイヤ
ボンダを用いてフレキシブル・ケーブル50上の電極と
第2の制御電極33とを金ワイヤ79で接続(ワイヤボ
ンディング)する。なお、この場合も金ワイヤ79は樹
脂モールド部80(図43では省略している)で覆われ
ている。最後に、金属カバー83がドライバIC81お
よび樹脂モールド部80を覆うように掛けられ、更にネ
ジ84などでヘッドホルダ78に固定される。
C81を覆う理由は、ドライバIC81およびドライバ
基板82が塵埃や浮遊トナーで汚れるのを防ぐのは勿論
であるが、ドライバIC81の5V動作のロジック回路
部がイオン発生器20に印加されている高圧交流電源に
よって誤動作するのを防ぐためでもある。従って、金属
カバー83はアース電位に接続されている方がより望ま
しい。なお、金属カバー83を掛けるためには、図45
の様に一点鎖線で示される部分に絶縁層を塗布する必要
がある。
Vの低電圧駆動できる場合には、従来から市販されてい
るサーマルヘッドのドライバICで充分に対応可能であ
る。また50枚/分以上の高速記録を行う場合でも、せ
いぜい従来から市販されている駆動電圧が100〜20
0VのELドライバICなどで対応可能である。これら
のドライバICでは、64ビット駆動が一般的になって
おり、今回の実施例の様に全部で1000ドットのイオ
ン通過孔29がある場合には、片方のドライバ基板82
上に8個ずつドライバIC81が搭載されていれば充分
である。ドライバ基板82上には、ドライバIC81を
駆動するための電源およびGND、ロジック用の5V電
源およびGND、データ、データ転送クロック、ラッチ
信号、記録信号などが供給される端子85が形成されて
いる。
びその周辺の制御電極32の他の形状を示す。図37で
は、イオン通過孔29の形状を円形としたが、図47で
は副走査方向の寸法が短い楕円型としている。この理由
は、次の通りである。本発明のようなイオン流記録ヘッ
ドを用いた静電記録方式では、原理的にA4で50枚/
分以上の高速記録ができる。記録中、記録ドラム1は一
定速度で高速に常に動いている。各画点の濃度制御は駆
動電圧を制御しても、また駆動パルスのパルス幅を制御
しても可能である。但し、一般的にパルス幅を制御する
方が簡単であり、特に従来市販のサーマルヘッド用のド
ライバICでは、個別の画点はパルス幅でしか制御でき
ない構成となっているのが普通である。
ラム1が一定速度で動いているために、イオン通過孔2
9と記録ドラム1の間に相対的な移動が生じることにな
る。すなわち、図37のようにイオン通過孔29が円形
の場合には、円形のイオン流が副走査方向に記録ドラム
1上を移動することになる。従って、記録される画点は
副走査方向に伸びた形状となり、しかも副走査方向の解
像度が規定の値よりも劣化してしまう。そこで、例えば
図47に示されるような副走査方向が短くなった楕円型
のイオン通過孔29にすることで、上述した問題点を解
決することが可能となる。
の例であり、互いに隣り合ったイオン通過孔29を主走
査方向で一部重ならせている点が図37や図47の例と
異なっている。この様にイオン通過孔29が隣同士で一
部重なりあっていても、電界のレンズ効果によってイオ
ンビームは絞られるので、主走査方向の解像度を劣化さ
せることはない。電界のレンズ効果は図3に示した電界
がE3>E2>E1の時、最も良く発揮される。イオン
通過孔29は図38でも説明したように、エッチングに
よって形成される。従って、基本的にはどの様なパター
ンのイオン通過孔も形成が可能であるが、解像度が高い
場合には大きなパターンのものほど形成し易い。図48
のイオン通過孔29は、図47のイオン通過孔29より
も大きく形成できるため、より形成が容易である。
いて一部重なっているイオン通過孔29の例である。パ
ルス幅制御で濃度を制御しようとする場合の理想は、主
走査方向の解像度は規定通りの値で、副走査方向ではほ
とんど幅のない線状のイオンビームを、副走査方向に記
録ドラム上を走査しながらパルス幅を制御することによ
り、副走査方向の記録画点の長さを制御して行う形態で
ある。このためには、図49に示すような長方形のイオ
ン通過孔29を使用して、電界のレンズ効果によってイ
オンビームを絞り込んで記録すればよい。なお、イオン
通過孔29の長方形の角が図49に示すように丸くなっ
ているのは、実際にエッチングを行なう場合、イオン通
過孔29を十分に深く形成するために、エッチング時間
を長くする必要があるからである。
した場合を考える。この場合、主走査方向で隣り合うイ
オン通過孔29は互いに半分づつ重なり合うことにな
る。しかし、やはり電界のレンズ効果によってイオンビ
ームを絞り込んで記録することによって、主走査方向の
解像度を更に倍の40dpmまで高解像度化することも
可能である。
E1などとすることで、逆の電界のレンズ効果を利用す
ることもできる。すなわち、図47のような主走査方向
で隣り合った画点が接しているような場合には、画点の
間に隙間が発生してしまう場合がある。この様な場合に
は、この逆の電界のレンズ効果によって、イオン通過孔
29より大きな画点を記録することで、画点間に隙間の
ない良好な記録を実現することも可能となる。
例を示す。この例では、まず図50(a)に示すよう
な、約100μmのガラス・ポリイミド基板91の両面
に、厚さ約18μmの銅箔90が接合された、両面銅張
り基板を使用する。この基板を図50(b)に示すよう
に、まず銅箔90をエッチングして個別の制御電極とな
る部分90′を形成する。次に、直径が100μmのド
リルを使用して、図50(c)に示すように個別電極の
反対側から機械加工によりイオン通過孔29を形成す
る。尚、この時ドリルの出口側にはガラス・ポリイミド
基板91から約25〜30μm程度のバリ92が形成さ
れる。最後に、両面の銅を金93で無電解メッキするこ
とによって、図50(d)に示すように制御基板30が
完成する。
電極33、反対側を第1の制御電極32とするのが望ま
しい。この様にした方がイオン流の制御をより低電圧で
実現できるからである。従って、図50(d)に示した
制御基板30は、図42に示した第2の実施例の静電記
録装置に使用される、第1の制御電極32をアース電位
にしたイオン流記録ヘッド3に使用できる。なお、図3
の実施例に使用する場合には、図50(c)のドリルに
よってイオン通過孔29を形成する工程で、エッチング
したパターンの側からドリリングをし、バリを共通パタ
ーンの側に形成することで対応できる。
リングによってイオン通過孔29を形成する場合には、
100μm程度の孔を形成するのが限界であり、10d
pm以上の高解像度化が困難であることや、多数の孔を
ドリルで1個づつ開けて行くことから作業に時間がかか
ること、さらにドリルの消耗が激しいなどの問題があ
る。更に、イオン通過孔29の形状を任意に選択できな
いのも欠点となる。しかし、解像度の問題に対しては図
47〜49に示した様に、主走査方向での画点の重なり
を許し、電界のレンズ効果でイオンビームを絞り込むこ
とで、解決が可能である。また、多数のイオン通過孔2
9を1つのドリルで形成しなければならないという問題
に対しては、本実施例の様な1000ドットもあるライ
ンプリンタに使用するのではなく、せいぜい100ドッ
ト程度のシリアルプリンタに利用することで解決され
る。
りポリイミド樹脂を2枚張り合わせた方法と比較する
と、次のような利点がある。一つは、基板に接着剤を使
用してないので、厚みなどのバラツキの問題が無いこと
である。片面銅張りポリイミド樹脂を使用する場合に
は、2枚を接着剤を使用して張り合わせるので、接着剤
の厚さのコントロールが難しい。また、ガラス・ポリイ
ミド基板は堅いので、取扱いが簡単である特長もある。
特に、細かいパターンをエッチングで形成する過程で、
銅張りポリイミド樹脂を使用した場合には基板自身が歪
みを生じ易いが、ガラス・ポリイミド基板を使用した場
合には、この様な問題は無い。
だけ金メッキしてあるが、図50の例では両面を金メッ
キしてある。理想的には両面を金メッキしてある方が、
酸化またはイオン照射によって腐食されることがなく、
安定性などの点で問題が生じないが、少なくともイオン
発生器20側に位置する第1の制御電極32だけは金メ
ッキする必要がある。これは金の安定性を利用して、イ
オン発生時に生ずる様々なイオン、あるいはこれらのイ
オンと水分などが反応して生成される物質から電極が侵
蝕、電蝕されるのを防ぐためである。
の配線の引き出し方法の他の例を示す。図37でも説明
してきたが、個別制御電極の配線は、一方のみに引き出
すことは20dpmというような高解像度の場合には実
質的に不可能である。従って、図51では図37と同様
に両側に制御電極32の引き出し配線を引き出すように
した。但し、図37の場合には2本毎に両側に振り分け
たのに対し、図51では個別の制御電極32の1本毎に
交互に振り分けている。この図51の例では、引き出し
配線の引き回しが少し複雑になるが、電気回路的には画
像データの配列制御が簡単で済むという利点を有する。
なお、図47〜49に示した、イオン通過孔29が楕円
や長方形の例の場合にも、図51のように交互に制御電
極32の配線を振り分けることが可能である。
した第1の実施例を変形した実施例である。図3の実施
例においては、第2の制御電極33は画点を記録する場
合にはアース電位であり、第1の制御電極32はスイッ
チング回路35で接点aと接続され、制御電圧Vc34
が印加される。また、画点を記録しない場合には第2の
制御電極33はアース電位であるが、第1の制御電極3
2にもスイッチング回路35で接点bに接続されるの
で、アース電位が印加されるようになっている。従っ
て、第1の制御電極32と第2の制御電極33の間に形
成される電界E2は0となるので、発生したイオンはイ
オン通過孔29を通過できなくなる。
第2の制御電極33へ向かう僅かな電界が形成されてい
ることや、電界E1でイオンが加速されること、あるい
は発生するイオンの中には大きな初期速度を持つものが
あることなどから、少ない量ではあるがイオンがイオン
通過孔29を通過している。この結果、例えば記録速度
が20枚/分程度の低速になると、この漏れイオンによ
って地かぶりが発生してしまう。
2に示すような第2の制御電極33から第1の制御電極
32へ向かう電界E2′を形成することで、この様なイ
オンの漏れをほとんどなくすことができる。このために
図52では、第1の制御電極32とアース電位の間に逆
バイアスVc- 95がかかるような構成となっている。
この逆バイアスVc- 95は、約10〜20V程度であ
ればよい。図53の実施例も、図52の実施例と考え方
は全く同じである。すなわち、常に第2の制御電極33
には正のバイアス電圧Vc+ 96が与えられているの
で、画点を記録しない場合にスイッチング回路35で接
点bに接続され、第1の制御電極32にアース電位が印
加されると、第2の制御電極33から第1の制御電極3
2に向かう電界E2が形成され、漏れイオンをストップ
することができる。図52の例では+、−のスイッチン
グを行なう必要があるが、図53の例では+だけのスイ
ッチングで良く、回路を簡単にできる利点がある。但
し、制御電圧Vc34は通常は60Vで十分であった場
合にも、図53の場合には第2の制御電極33に約10
〜20V程度の正のバイアス電圧Vc+ 96がかかって
いるので、制御電圧Vc34としては70〜80Vが必
要になる。
32,33間に逆電界E2を与えても、通常の記録時に
使用しているイオンの1/100〜1/1000程度の
イオンは漏れてしまう。これに対しては、記録時に交流
電圧39が加わらないようにスイッチング回路40をO
FFにし、スイッチング回路35および38はそれぞれ
接点bに接続されるようにすればよい。
例ではイオン発生器20と制御基板30の一体化は、制
御基板に開けられた接着剤注入用の孔から接着剤を注入
して接着を行なっていた。この方法ではどうしても人手
が必要であり、イオン流記録ヘッド3を効率良く生産す
ることは難しい。
られる。これはイオン発生器20を製造する際に、図の
一点鎖線で示される領域の内部に、圧力を加えることに
よって粘着性が生ずる接着剤57を塗布しておく方法で
あり、イオン発生器20を製造する厚膜印刷技術で十分
に対応できることである。この様にすることで、イオン
発生器20と制御基板30の位置合わせが終わった時点
で、圧力を加えるだけで両者の一体化が終了する。
オンで一様帯電させておき、その後+イオンで静電潜像
を形成し、更に反転現像して画像を形成する方法に限っ
て説明してきたが、これに限定されることはない。逆に
+のイオンで一様帯電させておき、その後−イオンで静
電潜像を形成する場合なども含まれる。但し、その場合
には、例えば図3に示される直流電源は全て正負の極性
を反対にする必要がある。更に以上の説明では、イオン
発生器20としては交流の高密度固体イオン発生器につ
いて述べてきたが、これに限られるものではなく、例え
ば直流の高密度固体イオン発生器を使用してもよい。
の実施例を図55〜58に示す。図55の実施例が図2
6の実施例と異なる点は、空気流通孔104が凹型にな
っていることである。図26の実施例の場合には、この
孔104が円形をしているために、幅の広いヘッドを作
るのは困難であったが、図55〜58の実施例ではヘッ
ド支持体100を外部から削ることによって、凹型の空
気流通孔104を形成しており、それにより幅の広いヘ
ッドも容易に作ることが可能となる。
型の空気流通孔104を形成したヘッド支持体100
に、制御基板30が貼り付けられている。制御基板30
には補強のために、さらに基板103が張り付けられて
いる。そのため制御基板30上にドライバIC124を
搭載し、配線をボンディングすることが可能となる。こ
こで、イオン発生器20はセラミック基板の上に形成さ
れているが、補強と取扱易さのためにイオン発生器支持
体146と一体化されている。イオン発生器支持体14
6には、予め空気吹き出し孔105が形成されており、
空気流通孔104から供給された空気流がこの空気吹き
出し孔105から制御電極側に向かって吹き出すことに
なる。
れており、この溝141にはヘッド取り付け用レール1
40が噛み合っている。レール140を滑らせること
で、イオン流記録ヘッド3を静電記録装置本体から取り
外すことが可能となっている。なお、レール140を滑
らせてもドラム1とヘッド3との間の距離や、ドラム1
に対するヘッド3の角度などが変化するおそれがある。
そこで、ヘッド取り付け用レール140に板バネ145
を取り付け、ヘッド支持体100を板バネ145によっ
て押さえ付けることで、これらの条件が変化しないよう
にしている。
持体146に空気吹き出し孔105が形成されてない例
である。この例ではイオン発生器支持体146が空気流
通孔104よりも幅をかなり小さく構成しており、その
ためにヘッド支持体100とイオン発生器支持体146
との間に隙間105が生ずるが、この隙間105を空気
吹き出し孔105として使用しているのである。
記録ヘッド3の断面図を示したものであるが、側面図を
示すと図27と同様に側板142があり、この側板14
2には空気取り入れ口107が形成され、チューブ10
8で導かれて来た空気流が供給されるような構成になっ
ている。また、側板142には位置決め孔143が形成
されており、イオン発生器支持体146がこの位置決め
孔143と咬合することでイオン発生器20の位置を決
定できる構成となっている。従って、イオン発生器支持
体146ごとイオン発生器120を取り替えることも可
能である。
たイオン発生器支持体146を持ってきても、側板14
2に形成された位置決め孔143に合わせて取り替える
だけで、正しい位置にイオン発生器20を設置すること
ができる。イオン流記録ヘッド3の構成要素の中で最も
寿命が短いのはイオン発生器20であり、これと比較す
ると、制御電極32,33やドライバIC124などの
寿命は非常に長い。しかしながら、イオン流記録ヘッド
3の製作コストの多くを占めるのは、ドライバIC12
4などであって、ヘッド3にイオン発生器20を一体に
設けた場合にはイオン発生器20の寿命でヘッド3の寿
命が決定されてしまうことになる。イオン発生器20の
部分は比較的製作コストも安く、劣化した場合にはイオ
ン発生器20だけを取り替えることで対応しても構わな
い。
3は、イオン発生器支持体146と共にイオン発生器2
0を取り替えられる構造の他の例であり、ヘッド3の先
端部分を示してある。図55および図56の例では、側
板142に形成された位置決め孔143によってイオン
発生器20の位置合わせを行ったが、図57および図5
8の例ではヘッド支持体100とイオン発生器支持体1
46も噛み合う様な構成となっている。そのため、位置
決めがより正確に行える特徴を持っている。なお、図5
7と図58ではイオン発生器支持体146の断面形状が
異なっており、図57は台形、図58は長方形の例であ
る。ヘッド支持体100には、これらの断面がちょうど
納まるような切り欠きが形成されている。
体とイオン発生器20を分離することで、イオン発生器
20だけを取り替えられるようになったため、メインテ
ナンスにかかるコストを少なくすることができ、経済的
である。
オン通過孔29が一つずつ設けられているが、第1およ
び第2の制御電極32,33の少なくとも一方に形成さ
れたイオン通過孔を多数の孔で構成してもよい。以下、
図59〜図64にその実施例を示す。図59〜図61
は、制御基板30の一つのイオン通過孔29付近を拡大
して示す図であり、各図とも(a)は平面図、(b)は
(a)のA−A′線に沿う断面図を示している。
のイオン通過孔29は一つの孔で構成されているのに対
して、第2の制御電極33のイオン通過孔29′は小さ
な多数の孔から構成されている。この場合、第2の制御
電極33は一面全てに渡って細かい孔29′が形成され
た構成になっていれば良い。
孔29′で構成することによって、例え幾つかの孔2
9′にトナーなどの現像剤が入ることによって目詰まり
を生じても、目詰まりを生じてない孔も残るので、イオ
ンは目詰まりを生じていないイオン通過孔を通過するこ
とができ、画像を記録することができる。これに対し、
イオン通過孔29が大きい一つの孔から構成されている
とすると、一旦目詰まりを生じた場合、それに対応する
画点は記録がなされなくなってしまう。このようにイオ
ン通過孔29を細い多数の孔から構成することによっ
て、目詰まりによる画質劣化を制御することができる。
が個別電極となっており、これに形成されたイオン通過
孔が細かい多数の孔29′となっている例で、図59の
実施例とは逆の関係となっている。絶縁性基板31を挟
んで第1の制御電極32の反対側に、全面ベタの第2の
制御電極33が形成されている。第2の制御電極33に
は、画点毎に1個の大きなイオン通過孔29が形成され
ている。
の制御電極33を逆にしても、トナーなどによるイオン
通過孔の目詰まりの問題に対する効果については基本的
には変わりない。しかし、トナーは記録媒体1側、つま
り第2の制御電極33側から到来することを考えると、
第2の制御電極33に設けるイオン通過孔を多数の微細
な孔29′で構成する図59の実施例の方が制御基板3
0内にトナーが侵入しにくく、より効果が大きいと考え
られる。
板30の製造工程は、図38または図50を用いて説明
した方法と同様でよい。すなわち、例えば厚さ約100
μm程度のポリイミドシートなどから構成される絶縁性
基板31の両側に約18μm程度の銅箔が張られた両面
銅張り基板を用意し、第2の制御電極33の銅箔をエッ
チングすることによりイオン通過孔29を形成する。次
に、絶縁性基板31を更にエッチングすることで、絶縁
性基板31にもイオン通過孔29を形成する。ここで、
第2の制御電極33がエッチングされないように金メッ
キする。最後にエッチングで第1の制御電極32のパタ
ーンと小さな多数のイオン通過孔29′を形成する。な
お、イオンによってダメージが与えられないように、第
1の制御電極32も金メッキを行うことが望ましい。
御電極32,33の両方に細かい多数のイオン通過孔2
9′が形成されている。このように、第1の制御電極3
2が個別電極であり、多数の細かいイオン通過孔29′
が形成され、絶縁性基板31を挟んで反対側が共通電極
からなる第2の制御電極33になっており、この第2の
制御電極33にも多数の細かいイオン通過孔29′が形
成されている。この図の例では、1つの画点に対して3
7個の小さなイオン通過孔29′が対応しており、これ
らの小さなイオン通過孔29′を通してイオンが通過
し、記録媒体1上に静電潜像を形成することになる。こ
の実施例によっても、図59および図60の実施例と同
様に、イオン通過孔29′の幾つかがトナーなどによっ
て目詰まりを生じても、詰まってない孔も多数残ること
により、目詰まりによる画質劣化を最小限に抑えること
が可能となる。
0μmであるのに対し、小さなイオン通過孔29′の直
径は約10μmである。ここで、絶縁性基板31の厚さ
が前述の例のように約100μm程度であるとすると、
図59〜図61に示したような微細なイオン通過孔2
9′をエッチングで形成することは難しくなる。ところ
が、イオンの制御性を考えると、絶縁性基板31の厚さ
はイオン通過孔29′と同等程度の場合が最も効率良く
行える。従って、この場合には絶縁性基板31の厚さも
イオン通過孔29′の直径程度の10μm前後にするの
が望ましく、エッチングによってこの様な制御基板30
を形成することは可能となる。
通過孔29′として、全て丸い形状のものを示したが、
その形状は円形に限られない。円形がパターンとしては
最も単純であるので、作り易い利点がある。しかし、エ
ッチングで多数のイオン通過孔29′を形成する場合、
隣同士の孔が繋がってしまわないように残す部分の線幅
が一定とならないために、必ずしもイオンを効率良く通
過させることができなくなる。そこで、図62にはイオ
ン通過孔29′の他の例として、(a)に6角形の例、
また(b)には4角形の例を示した。この様に多角形の
イオン通過孔を使用することによって、隣り合うイオン
通過孔の間の距離を一定にすることができる。従って、
エッチングなどによって隣どうしの孔が繋がらないだけ
の充分な距離さえ離してあれば、この条件の下でのイオ
ン通過孔29′の面積を円形の場合よりも大きくするこ
とが可能である。すなわち、イオン通過孔の形状は、円
形の場合と比較すると、多角形の場合の方がイオンの通
過する部分の面積を大きくできるため、より効率の良い
記録を実現することができるのである。
御電極32または33が全面共通のベタ電極になってお
り、しかもそのベタ電極に多数の小さなイオン通過孔2
9′が形成されている場合には、制御基板30の製造方
法としては前述した方法とは別の方法がある。例えば図
59の場合を例に説明する。この場合には先ず絶縁性基
板31上の片面に銅箔が貼られた、片面銅貼基板を使用
する。この基板をエッチングして、先ず第1の制御電極
32を形成し、更にエッチングによって絶縁性基板31
にイオン通過孔29を形成する。この様に形成された制
御基板30に、全面にエッチングなどで多数の小さなイ
オン通過孔29′が形成された銅箔を張り付けることに
よって、図59に示した様な制御基板30が製造でき
る。この場合、銅箔の全面に形成されるイオン通過孔の
形状は、円形でも良いし、また多角形であっても良い。
わりに、図63(a)(b)に示したような導電性の繊
維から形成されているメッシュを使用する方法もある。
つまり片面銅張り基板として第1の制御電極32とイオ
ン通過孔29を形成した基板を使用し、絶縁性基板31
を挟んで第1の制御電極32と反対側の面に、このメッ
シュを第2の制御電極33として張り付けることによっ
て制御基板30が製造される。図63(a)は導電性の
細い糸を縦横に編んで形成したメッシュの例であり、そ
の拡大図を図63(b)に示す。図63(c)は更に別
のメッシュの例である。
30を簡単な工程で安価に実現することが可能となる。
実際の例としては、太さ10μm程度のステンレスの糸
を使用して図30(a)(b)の様なメッシュを編む
と、一辺約10μm程度の正方形のイオン通過孔を形成
することが可能である。この例では金属メッシュが第2
の制御電極33の例であったが、第1の制御電極32で
も差し支えない。
施例では、図37に示したようにイオン通過孔29を直
線上に並べることができず、斜めに4個ずつ並べてい
る。また、イオン通過孔29が形成された制御電極に繋
がっている引き出し配線は、2本ずつ上下(副走査方向
の両側)に振り分けられている。このため、イオン流記
録ヘッド3は、図26、図27や図55〜図58に示し
たような立体的な構造にならざるを得ない。
作ろうとした場合には、イオン通過孔29が基板の真ん
中に形成されることになるため、記録ドラム1のヘッド
周辺の両側に、他の装置を置くことのできないスペース
が大きく広がることになり、装置の小型化に不利とな
る。そこで、立体的な構造のイオン流記録ヘッド3が必
要となる。しかし、製造面から考えると、平板状のヘッ
ドの方が遥かに簡単である。さらに、イオン通過孔29
を図26のように並べた場合には、電気的には副走査方
向に何ラインもディレイをかけた信号を使用して各個別
の制御電極を複雑に制御しなければならない。また、信
号の振り分け・並べ換え・ディレイなどの処理に使用さ
れるメモリその他の回路の規模も増大する。
孔29が一列に並び、制御電極の引き出し配線は一方だ
けに引き出されているのが、理想的なイオン流記録ヘッ
ドということができる。こうすることで、イオン通過孔
29をヘッドの端面に設けることができるので、装置の
小型も実現できる。
並べない理由は、前述したように記録解像度と制御電極
およびイオン通過孔29の作製精度に基づいている。す
なわち、エッチングで作製可能な限界を例えば25μm
のパターン、25μmのスペースとすると、100μm
のイオン通過孔を100μmピッチで一列に作製するこ
とは不可能である。そこで図26の様に斜めにイオン通
過孔29が並んだ構成となった。これに対し、図60あ
るいは図61の様な構成の制御基板30を使用した場合
には、例えば図64(a)(b)に示したような構造の
イオン流記録ヘッドを構成することができる。すなわ
ち、例えば僅かに100μmには満たないが、ほぼ10
0μmのピッチで制御電極32または33を一列に並べ
ることが可能となるのである。
形の例であり、図64(b)は第1の制御電極32が円
形の例である。いずれの場合にも、小さな多数の円形イ
オン通過孔29′が形成されている。この様に小さい多
数のイオン通過孔29′を使用することによって、イオ
ン通過孔を主走査方向に一列に並べることが可能とな
る。また、イオン流記録ヘッド3の端面近くまで第1の
制御電極32を形成することができるので、記録ドラム
1をはじめとして、装置の小型化に大きく寄与すること
も可能となる。
が得られる。
流の制御が実現でき、それによって駆動回路の低電圧化
が達成されるので、サーマルヘッドの駆動電圧と同様の
実装面積の小さいドライバICの使用が可能となり、記
録ヘッドのIC化、小形化および高精細化を達成するこ
とができる。
向における幅より大きくすることにより、副走査方向に
おける解像度の低下を防止できる。
ずつ角度θで斜めに配列することによって、主走査方向
におけるイオン通過孔のピッチを容易に小さくすること
ができ、限られた電極形成精度の下で高解像度の記録が
可能となる。
に引き出すことで、従来のようなマトリクス駆動に代わ
って各制御電極を同時に駆動することが可能となり、か
つ各制御電極を個別に駆動できるようになる。これによ
り、高速記録を行なっている状態でも、各画点毎の階調
制御も可能となる。
記録媒体である記録ドラムにおいては、記録ヘッドの端
面の幅だけが接する構成となっていればよいので、記録
ドラムが小形化され、記録装置全体の小形化を実現でき
る。
な構成にすることで、イオン発生器が劣化してイオンの
発生量が減少したような場合にも、イオン流記録ヘッド
全体を取り替える必要はなくイオン発生器だけ取り替え
ればよいので、ヘッド上に搭載された駆動用ICはその
まま使用することが可能である。
成されるイオン通過孔を1つの画点に対して複数個ずつ
設けると、イオン通過孔の幾つかが現像用トナーなどに
よって目詰まりを生じても、目詰まりを生じてない他の
イオン通過孔をイオンが通過できるので、画点が記録で
きる。これによって、イオン流記録ヘッドの長寿命化を
図ることができる。
示す断面図
成を示す断面図
例の構成を模式的に示す図
図
オン電流との関係を示す図
れをワイアに置き換えた場合の電位分布の関係を示す図
との関係を示す図
とイオン化領域との関係を示す図
イオン発生臨界電圧との関係を示す図
とイオン化領域との関係を示す図
とイオン発生臨界電圧との関係を示す図
圧と電位分布との関係を示す図
圧と電位分布との関係を示す図
圧とイオン電流との関係を示す図
波数とイオン発生仮想面との関係を示す図
イオン電流との関係を示す図
分布を示す図
説明するための図
イオン電流との関係を示す図
系を示す図
オン電流/表面電位の関係を示す図
傍のイオン軌道を説明するための図
/表面電位を示す図
のイオン電流/表面電位を示す図
施例の断面図
斜視図
器の概略構成を示す平面図
示すブロック図
ける制御基板の表側から見た平面図
程断面図
際の位置合わせ方法を説明するための平面図
際の位置合わせ方法を説明するための他の平面図
実施例の構成を模式的に示す図
ッドの斜視図
ッドの他の例を示す斜視図
るイオン通過孔およびその周辺の制御電極の形状を示す
平面図
るイオン通過孔およびその周辺の制御電極の形状の他の
例を示す平面図
るイオン通過孔およびその周辺の制御電極の形状の更に
別の例を示す平面図
る制御基板の他の製造方法を説明するための工程断面図
る制御電極の引き出し配線の引き出し方法を説明するた
めの平面図
実施例の構成を模式的に示す図
別の実施例の構成を模式的に示す図
る制御基板とイオン発生器とを一体化する際の他の位置
合わせ方法を説明するため平面図
ドの他の構成例を示す図
ドの更に他の構成例を示す図
ドの別の構成例を示す図
ドの更に別の構成例を示す図
る1画点当り多数のイオン通過孔を有する制御基板の平
面図および断面図
る1画点当り多数のイオン通過孔を有する制御基板の他
の例の平面図および断面図
る1画点当り多数のイオン通過孔を有する制御基板のさ
らに他の例の平面図および断面図
過孔の例を示す図
ための平面図
に示す断面図。
記録ヘッド 20……イオン発生器 21…絶縁性
基板 22…誘導電極 23…絶縁体
層 24…イオン発生電極 25…遮蔽電
極 26…スリット 28…スペー
サ部材 29,29′…イオン通過孔 30…制御基
板 31…絶縁性基板 32…第1の
制御電極 33…第2の制御電極 34…制御電
圧 37…バイアス電圧 39…交流電
圧 41…Alドラム(導電性基体) 42…誘電体
層 50…フレキシブル・ケーブル 51…位置合
わせ用パターン 52…接着剤注入用孔 53,54…
端子 55,56…メタル層 57…送風用
孔 58…位置合わせ用切り欠きパターン 59…位置合
わせ用バーパターン 60…フレキシブル・ケーブル接続端子 78…ヘッド
・ホルダ 79…ボンディング・ワイヤ 100…ヘッ
ド支持体 103…駆動回路基板 104…送風
用孔 124…ドライバIC 146…イオ
ン発生器支持体
Claims (12)
- 【請求項1】 導電性基体の上に誘電体層を形成してな
る記録媒体上にイオンを照射して静電潜像を形成し、こ
の静電潜像を現像することにより画像記録を行う静電記
録装置において、 コロナ放電によりイオンを発生するイオン発生器と、 前記イオン発生器と前記記録媒体との間に所定間隔で配
置され、前記イオン発生器から発生されるイオンを通過
させるためのイオン通過孔をそれぞれ有する第1および
第2の制御電極と、 前記イオン通過孔を通過するイオンの量を画像信号に応
じて制御するために前記第1および第2の制御電極に所
定の電位差を与える駆動手段とを具備し、 前記イオン発生器は、絶縁体層と、この絶縁体層の一方
の面上に形成された誘導電極と、前記絶縁体層の他方の
面上に形成された二つのイオン発生電極と、前記絶縁体
層の他方の面上で前記誘導電極に対向する位置に前記イ
オン発生電極との間にスリットを介して形成された遮蔽
電極とを有し、前記誘導電極と前記イオン発生電極及び
前記遮蔽電極との間に交流電圧が印加されることにより
前記イオンを発生するように構成され、さらに前記記録
媒体は前記イオン通過孔を通過するイオンと逆極性のイ
オンにより予め帯電され、前記イオン通過孔を通過した
イオンが該記録媒体上のイオンにより形成される電界に
よって加速されて該記録媒体上に照射されることを特徴
とする静電記録装置。 - 【請求項2】 導電性基体の上に誘電体層を形成してな
る記録媒体上にイオンを照射する操作を主走査方向およ
びこれと直交する副走査方向に行って静電潜像を形成
し、この静電潜像を現像することにより画像記録を行う
静電記録装置において、 前記主走査方向に沿って設けられたコロナ放電によりイ
オンを発生するイオン発生器と、 前記イオン発生器と前記記録媒体との間に所定間隔で配
置されると共に主走査方向に沿って配列され、前記イオ
ン発生器から発生されるイオンを通過させるためのイオ
ン通過孔をそれぞれ有する複数の第1および第2の制御
電極と、 前記イオン通過孔を通過するイオンの量を画像信号に応
じて制御するために前記第1および第2の制御電極に所
定の電位差を選択的に与える駆動手段とを具備し、 前記イオン発生器は、絶縁体層と、この絶縁体層の一方
の面上に形成された誘導電極と、前記絶縁体層の他方の
面上に形成された二つのイオン発生電極と、前記絶縁体
層の他方の面上で前記誘導電極に対向する位置に前記イ
オン発生電極との間にスリットを介して形成された遮蔽
電極とを有し、前記誘導電極と前記イオン発生電極及び
前記遮蔽電極との間に交流電圧が印加されることにより
前記イオンを発生するように構成され、さらに前記記録
媒体は前記イオン通過孔を通過するイオンと逆極性のイ
オンにより予め帯電され、前記イオン通過孔を通過した
イオンが該記録媒体上のイオンにより形成される電界に
よって加速されて該記録媒体上に照射されることを特徴
とする静電記録装置。 - 【請求項3】 前記イオン発生器と前記第1の制御電極
との間の距離は、イオン発生器からの漏れ電界の強さが
空気の放電開始電界以上になる距離より大きいことを特
徴とする請求項1または2記載の静電記録装置。 - 【請求項4】前記第1および第2の制御電極を通過して
前記記録媒体上に到達するイオンのイオン量を前記イオ
ン発生器で発生するイオンのイオン量の1/2以下に規
制する手段をさらに具備することを特徴とする請求項1
〜3のいずれかに記載の静電記録装置。 - 【請求項5】 前記駆動手段は、前記第1および第2の
制御電極の一方の電極に前記導電性基体の電位と等しい
固定電位を常時与え、他方の電極に一方の電極に対して
イオンの極性に応じて一方の電極の電位より高電位また
は低電位の電位を与えることを特徴とする請求項1〜4
のいずれかに記載の静電記録装置。 - 【請求項6】 前記駆動手段は、前記第1および第2の
制御電極の一方の電極に前記導電性基体の電位より高い
固定電位を常時与え、第1および第2の制御電極の他方
の電極にイオンの極性に応じて一方の電極の電位より高
電位または低電位の電位を与えることを特徴とする請求
項1〜5のいずれかに記載の静電記録装置。 - 【請求項7】 前記イオン通過孔の主走査方向における
幅は、副走査方向における幅より大きいことを特徴とす
る請求項2〜6のいずれかに記載の静電記録装置。 - 【請求項8】 前記イオン通過孔は、前記主走査方向に
対してθ=tan-1N(Nは前記主走査方向のピッチに
対する前記副走査方向のピッチの比)なる角度θの方向
に配列されていることを特徴とする請求項2〜7のいず
れかに記載の静電記録装置。 - 【請求項9】 導電性基体の上に誘電体層を形成してな
る記録媒体上にイオンを照射する操作を主走査方向およ
びこれと直交する副走査方向に行って静電潜像を形成
し、この静電潜像を現像することにより画像記録を行う
静電記録装置において、 前記主走査方向に沿って設けられたコロナ放電によりイ
オンを発生するイオン発生器と、 前記イオン発生器と前記記録媒体との間に所定間隔で配
置されると共に主走査方向に沿って配列され、前記イオ
ン発生器から発生されるイオンを通過させるためのイオ
ン通過孔をそれぞれ有する複数の第1および第2の制御
電極と、 前記イオン通過孔を通過するイオンの量を画像信号に応
じて個別に制御するために前記第1および第2の制御電
極の一方の電極を固定電位とし他方の電極に一方の電極
に対して所定の電位差を持つ電位を選択的に与える駆動
手段と、 前記第1および第2の制御電極のうち前記他方の電極に
接続され、前記副走査方向の両側に振り分けて引き出さ
れた引き出し配線とを具備し、 前記イオン発生器は、絶縁体層と、この絶縁体層の一方
の面上に形成された誘導電極と、前記絶縁体層の他方の
面上に形成された二つのイオン発生電極と、前記絶縁体
層の他方の面上で前記誘導電極に対向する位置に前記イ
オン発生電極との間にスリットを介して形成された遮蔽
電極とを有し、前記誘導電極と前記イオン発生電極及び
前記遮蔽電極との間に交流電圧が印加されることにより
前記イオンを発生するように構成され、さらに前記記録
媒体は前記イオン通過孔を通過するイオンと逆極性のイ
オンにより予め帯電され、前記イオン通過孔を通過した
イオンが該記録媒体上のイオンにより形成される電界に
よって加速されて該記録媒体上に照射されることを特徴
とする静電記録装置。 - 【請求項10】 前記イオン発生器と前記第1および第
2の制御電極と前記駆動手段がヘッド支持体上に記録ヘ
ッドとして一体に構成され、前記イオン通過孔が該ヘッ
ド支持体の端面に位置していることを特徴とする請求項
1〜9のいずれかに記載の静電記録装置。 - 【請求項11】 前記イオン発生器と前記第1および第
2の制御電極と前記駆動手段が記録ヘッドとして一体に
構成され、かつ前記イオン発生器は該記録ヘッドに対し
て着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1
〜10のいずれかに記載の静電記録装置。 - 【請求項12】 前記第1および第2の制御電極に形成
されたイオン通過孔の少なくとも一方は、前記記録媒体
上に形成される各一つの画点に対して複数個ずつ形成さ
れていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに
記載の静電記録装置。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15530090 | 1990-06-15 | ||
JP2-155300 | 1990-06-15 |
Publications (2)
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JPH04211971A JPH04211971A (ja) | 1992-08-03 |
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Family
ID=15602883
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3149491A Expired - Lifetime JP3128252B2 (ja) | 1990-06-15 | 1991-01-31 | 静電記録装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3128252B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109087567B (zh) * | 2018-09-03 | 2023-09-29 | 南阳理工学院 | 一种基于二维坐标孔板的静电场等势线描绘器 |
-
1991
- 1991-01-31 JP JP3149491A patent/JP3128252B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04211971A (ja) | 1992-08-03 |
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