JP4394907B2 - 静電吐出型インクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電力によりインクの吐出を制御する静電吐出型インクジェットヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
静電吐出型インクジェット記録方式は、帯電した微粒子成分を含むインクを用い、画像データに応じて、インクジェットヘッドの個別電極に所定の電圧を印加することにより、静電力を利用してインクの吐出を制御し、画像データに対応した画像を記録媒体上に記録する方式である。この静電吐出型インクジェット記録方式を採用する記録装置として、例えば特許文献1に開示のインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
図10は、上記特許文献1に開示のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドの概略構成を表す一例の概念図である。同図に示すインクジェットヘッド50は、上記特許文献1に開示のインクジェットヘッド記録装置のインクジェットヘッドを構成する1つの個別電極のみを概念的に表したものであり、ヘッド基板12と、インクガイド14と、絶縁性基板16と、駆動電極52と、対向電極22とを備えている。
【0004】
ここで、インクガイド14は、ヘッド基板12の上に配置されており、その中央部分には、図中上下方向にインク案内溝26となる切り欠きが形成されている。また、絶縁性基板16には、インクガイド14の配置に対応する位置に貫通孔28が開孔されている。インクガイド14は、絶縁性基板16に開孔された貫通孔28を通過し、その先端部分が絶縁性基板16の図中上側の面の表面よりも上部に突出されている。
【0005】
また、駆動電極52は、絶縁性基板16に開孔された貫通孔28の周囲を囲むように、絶縁性基板16の図中上側の面の表面に、個別電極毎にリング状に設けられている。また、ヘッド基板12と絶縁性基板16は所定の間隔を離して配置されており、両者の間にはインクの流路30が形成されている。また、対向電極22は、インクガイド14の先端部分に対向する位置に配置され、記録媒体Pは、対向電極22の図中下側の面の表面に配置されている。
【0006】
また、図11は、駆動電極の駆動回路の一例の構成概念図である。
同図に示す駆動回路54は、FET(電界効果トランジスタ)34と、抵抗素子36,38とを備えている。FET34のドレインは駆動電極52に接続され、そのソースはグランドに接続され、そのゲートにはコントロール信号が入力されている。また、抵抗素子36は、高圧電源と駆動電極52との間に接続され、抵抗素子38は、コントロール信号とグランドとの間に接続されている。
【0007】
駆動回路54では、画像データに応じてコントロール信号がハイレベルまたはローレベルに変化する。コントロール信号がハイレベルになるとFET34はオンし、駆動電極52はグランドレベルとなる。一方、コントロール信号がローレベルになるとFET34はオフし、駆動電極52は高圧電源の高電圧レベルとなる。すなわち、駆動電極52は、画像データに応じて、グランドレベルと高電圧レベルとの間で頻繁にスイッチングされる。
【0008】
記録時には、図中右側から左側へ向かって、駆動電極52に印加される高電圧レベルと同極性に帯電した微粒子成分を含むインクが循環される。
【0009】
駆動電極52がグランドレベルの状態では、インクガイド14の先端部分近傍の電界強度が低く、インクはインクガイド14の先端部分からは飛び出さない。この時、インクの一部は、毛細管現象により、インクガイド14に形成されたインク案内溝26に沿って、絶縁性基板16の図中上側の面の表面よりも上方まで上昇する。
【0010】
一方、駆動電極52に高電圧レベルが印加されると、インクガイド14のインク案内溝26に沿って上昇し、絶縁性基板16の図中上側の面の表面よりも上方に上昇したインクは反発力によってインクガイド14の先端部分から飛び出し、マイナスの電圧レベルにバイアスされている対向電極22に引っ張られて記録媒体P上に付着する。
【0011】
こうして、インクジェットヘッド50と対向電極22上に配置された記録媒体Pとを相対的に移動させながら記録を行うことにより、記録媒体Pに、画像データに対応する画像が記録される。
【0012】
ところで、高精細かつ高速性が要求される記録装置の場合、必然的に、1ライン分の画像を同時に記録可能なラインヘッドが必要となる。例えば、1200dpi(ドット/インチ)で60ppm(ページ/分)の記録装置の場合、幅10インチの記録媒体に画像を記録可能なラインヘッドには、1ライン分の画素数に相当する12000個という膨大な数の個別電極と、個々の個別電極を駆動する同数の駆動回路が必要となる。
【0013】
この場合、ラインヘッドは、ライン方向に対して、物理的に極めて高密度に個別電極および駆動回路を実装する必要がある。駆動回路は、例えば約600V程度の高電圧を使用するため、個別電極および駆動回路を高密度に配置すると放電の危険性が高くなる。従って、高密度実装と高電圧を両立させることは極めて困難なことである。
【0014】
また、上記駆動回路では、個別電極当り1mAの電流が流れるとすると、12000個では最大12Aの電流が流れる。従って、スイッチングされる高電圧が600Vの場合、消費電力は7.2kWとなる。高圧電源の効率が100%であるとしても、電源としてAC200V、36Aが必要となるが、それでもA4の記録媒体に単色の画像しか記録できないことになり、システムとしては余りにも非現実的である。
【0015】
上記駆動回路のように、スイッチングにFET(電界効果トランジスタ)を使用する場合、スイッチング速度を保つためには、原理的に、ある程度の電流をFETに流すことが要求される。これに対し、駆動電極は微小なリング状電極であるため、吐出そのものによる消費電流は多くても50nA程度と極めて小さい。すなわち、高圧電源から供給される電流のほとんどはFETのスイッチングのために消費されているわけである。
【0016】
【特許文献1】
特開平10−230608号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、消費電力を増大させることなく、高精細かつ高速に記録を行うことができる静電吐出型インクジェットヘッドを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、帯電した微粒子成分を含むインクを用い、静電力を利用し、画像データに応じて前記インクの吐出/非吐出を制御し、前記画像データに対応した画像を記録媒体上に記録する静電吐出型インクジェットヘッドであって、
ヘッド基板と、個別に設けられた第1駆動電極と、これらの第1駆動電極に対して共通に設けられた第2駆動電極と、前記第1駆動電極毎に前記ヘッド基板上に配置されたインクガイドと、前記第1駆動電極毎に前記インクガイドの配置に対応する位置に貫通孔が開孔された絶縁性基板とを備え、
前記ヘッド基板と前記絶縁性基板は所定の間隔を離して配置され、これらのヘッド基板と絶縁性基板との間には前記インクの流路が形成され、前記インクガイドは、前記絶縁性基板に開孔された貫通孔を通過し、その先端部分が前記絶縁性基板の前記記録媒体側の面の表面よりも突出され、前記第1駆動電極は、前記インクの流路よりも前記絶縁性基板側に配置され、前記第2駆動電極は、前記第1駆動電極よりも前記ヘッド基板側に配置され、
前記画像の記録時に、前記第2駆動電極を、前記インクに含まれる微粒子成分と同極性の所定の電圧レベルにバイアスし、前記第1駆動電極を、前記画像データに応じて、ハイインピーダンス状態とグランドレベルとの間でスイッチングすることにより、前記インクの吐出/非吐出を制御することを特徴とする静電吐出型インクジェットヘッドを提供するものである。
【0019】
ここで、さらに、前第1駆動電極に対して共通に設けられ、前記インクの流路よりも前記ヘッド基板側に配置された泳動電極を備え、
前記画像の記録時に、前記泳動電極を、前記インクに含まれる微粒子成分と同極性の所定の電圧レベルにバイアスするのが好ましい。
【0020】
また、さらに、前記第1駆動電極に対して共通に設けられ、前記第1駆動電極よりも前記記録媒体側に配置された第3駆動電極を備え、
前記画像の記録時に、前記第3駆動電極を、前記インクに含まれる微粒子成分とは逆極性の所定の電圧レベルにバイアスするのが好ましい。
また、前記記録媒体は、前記インクガイドの先端部分に対向する位置に配置された対向電極の表面に配置され、
前記画像の記録時に、前記対向電極を、前記第2駆動電極に印加される電極とは逆極性の電圧レベルにバイアスするのが好ましい。
また、前記第1駆動電極は、前記絶縁性基板の、前記インクガイドの先端側の表面に設けられ、前記絶縁性基板に開孔された前記貫通孔の周囲を囲むリング状の電極であり、
前記第2駆動電極は、前記絶縁性基板に前記第1駆動電極毎に開孔された前記貫通孔の部分を除く、前記絶縁性基板の、前記ヘッド基板側の裏面に設けられたシート状の電極であることが好ましい。
また、前記第1駆動電極は、前記絶縁性基板の、前記インクガイドの先端側の表面に設けられ、前記絶縁性基板に開孔された前記貫通孔の周囲を囲むリング状の電極であり、
前記第2駆動電極は、前記ヘッド基板に設けられたシート状の電極であることが好ましい。
また、前記インクガイドの先端部分は、金属が蒸着されている部分を有することが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の静電吐出型インクジェットヘッドを詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明を適用する静電吐出型インクジェットヘッドの一実施形態の構成概念図および概略斜視図である。同図に示す静電吐出型インクジェットヘッド10は、帯電された顔料等の微粒子成分を含むインクを静電力により吐出させて、画像データに対応する画像を記録媒体P上に記録するものであり、ヘッド基板12と、インクガイド14と、絶縁性基板16と、第1および第2の駆動電極18,20と、対向電極22とを備えている。
【0023】
なお、図1に示す例は、インクジェットヘッド10を構成する1つの個別電極のみを概念的に表したものである。個別電極の個数は1個以上何個備えられていてもよいし、個別電極の物理的な配置等も何ら限定されない。例えば、複数の個別電極を1次元的または2次元的に配置してラインヘッドを構成することも可能である。また、本発明を適用するインクジェットヘッドは、モノクロおよびカラーのどちらにも対応可能である。
【0024】
図示例のインクジェットヘッド10において、インクガイド14は、個別電極毎にヘッド基板12の上に配置されており、その中央部分には、図中上下方向にインク案内溝26となる切り欠きが形成されている。また、絶縁性基板16には、インクガイド14の配置に対応する位置に貫通孔28が開孔されている。インクガイド14は、絶縁性基板16に開孔された貫通孔28を通過し、その先端部分が絶縁性基板16の図中上側の面の表面よりも上部に突出されている。
【0025】
なお、インクガイド14の先端部分は、対向電極22側へ向かうに従って次第に細く略三角形(ないしは台形)に成形されており、その最先端部のインクが吐出される部分には金属が蒸着されている。この金属蒸着は必須ではないが、これにより、インクガイド14最先端部の誘電率が実質的に無限大となり、強電界を生じさせやすくできるという効果があるので、金属蒸着を行うのが好ましい。なお、インクガイド14の形状は適宜変更してもよい。
【0026】
ヘッド基板12と絶縁性基板16は所定の間隔を離して配置されており、両者の間にはインクの流路30が形成されている。また、対向電極22は、インクガイド14の先端部分に対向する位置に配置されており、記録媒体Pは、対向電極22の図中下側の面の表面に配置されている。対向電極22は、記録時には、第2駆動電極20に印加される高電圧と逆極性のマイナスの電圧レベルに常時バイアスされる。
【0027】
続いて、第1駆動電極18は、絶縁性基板16に開孔された貫通孔28の周囲を囲むように、絶縁性基板16の図中上側の面の表面に、個別電極毎にリング状に設けられている。また、第2駆動電極20は、絶縁性基板16に開孔された貫通孔28の部分を除く、絶縁性基板16の図中下側の面の表面に、全個別電極の間で共通にシート状に設けられており、記録時には、常時高電圧レベルにバイアスされる。
【0028】
例えば、図2に示すように、インクジェットヘッド10が15個の個別電極を備える場合、個別電極を1行当り5個ずつ並べ、3行に配置して構成される。インクジェットヘッド10では、これら第1および第2の駆動電極18,20によりインクの吐出/非吐出が制御される。なお、本実施形態のインクジェットヘッド10では、第1および第2の駆動電極18,20からなる2層電極構造としているが、これに限定されず、2層以上何層の駆動電極を使用してもよい。
【0029】
ここで、第1および第2の駆動電極18,20の配置について説明する。
【0030】
第1駆動電極18は、インクの流路30よりも絶縁性基板16側に配置する必要がある。また、第2駆動電極20は、第1駆動電極18よりもヘッド基板12側に配置する必要がある。例えば、第1駆動電極18を絶縁性基板16の図中上側の面の表面に配置する場合、図3(a)に示すように、第2の駆動電極20を絶縁性基板16の図中下側の面に配置してもよいし、図3(b)に示すように、ヘッド基板12の内部に配置してもよい。
【0031】
また、画像の記録時に、インクに含まれる微粒子成分と同極性の電圧レベルにバイアスされ、微粒子成分を絶縁性基板16側へ付勢する、全個別電極の間で共通にシート状の泳動電極を設けてもよい。この泳動電極は、インクの流路30よりもヘッド基板12側に配置する必要がある。また、泳動電極は、個別電極の位置よりもインク流路30の上流側に配置する方が好ましい。この泳動電極により、吐出するインクに含まれる微粒子成分の濃度を所定濃度に安定させることができる。
【0032】
泳動電極を設ける場合、第1および第2の駆動電極18,20を図3(a)に示す配置とした場合には、図3(c)に示すように、泳動電極24をヘッド基板12の内部に配置してもよいし、第1および第2の駆動電極18,20を図3(b)に示す配置とした場合、図3(d)に示すように、泳動電極24を、個別電極の位置よりもインク流路30の上流側に、なおかつヘッド基板12の内部に配置するようにしてもよい。
【0033】
なお、第1および第2の駆動電極18,20と泳動電極24の配置は、上記の通り、互いの位置関係を満足していれば何ら限定されることはない。例えば、第1および第2の駆動電極18,20を絶縁性基板16の図中上面と下面に配置してもよいし、両者あるいは一方を絶縁性基板16の内部に配置してもよい。また、第2駆動電極20および泳動電極24も、ヘッド基板12の図中上面または下面の表面に配置してもよいし、その内部に配置してもよい。
【0034】
続いて、図1に示す第1駆動電極18の駆動回路について説明する。
【0035】
図4は、第1駆動電極の駆動回路の一実施形態の構成概念図である。
同図に示す駆動回路32は、オープンドレイン型のFET(電界効果トランジスタ)34と、抵抗素子38とを備えている。FET34のドレインは第1駆動電極18に接続され、そのソースはグランドに接続され、そのゲートにはコントロール信号が入力されている。また、抵抗素子38は、コントロール信号とグランドとの間に接続されている。
【0036】
駆動回路32では、画像データに応じてコントロール信号がハイレベルまたはローレベルに変化する。コントロール信号がハイレベルになるとFET34はオンし、第1駆動電極18はグランドレベルとなる。一方、コントロール信号がローレベルになるとFET34はオフし、第1駆動電極18はハイインピーダンス(フローティング)状態となる。すなわち、第1駆動電極18は、画像データに応じて、グランドレベルとハイインピーダンスとの間でスイッチングされる。
【0037】
なお、駆動回路は図示例の構成のものに限定されず、第1駆動電極18の電位を、グランドレベルとハイインピーダンスとの間でスイッチングできるものであればどのような構成の回路を使用してもよい。また、本実施形態では、スイッチング素子としてFET34を使用しているが、これも限定されず、例えばバイポーラトランジスタを使用するなど、従来公知のスイッチング素子はいずれも利用可能である。
【0038】
次に、本実施形態のインクジェットヘッド10の動作を説明する。
【0039】
図示例のインクジェットヘッド10では、記録時に、図示しないポンプ等により、図1中インク流路30の内部を右側から左側へ向かって、第2駆動電極20に印加される高電圧レベルと同極性に帯電した顔料等の微粒子成分を含むインクが循環される。
【0040】
図5(a)に示すように、例えば第2駆動電極20が常時600Vにバイアスされている場合に、第1駆動電極18がグランドレベルの状態ではインクガイド14の先端部分近傍の電界強度が低く、インクはインクガイド14の先端部分からは飛び出さない。この時、インクの一部は、毛細管現象により、インクガイド14に形成されたインク案内溝26に沿って上昇し、絶縁性基板16の図中下側の面の表面よりも上方まで上昇する。
【0041】
一方、図5(b)に示すように、第1駆動電極18がハイインピーダンスになると、インクガイド14の先端部分近傍の電界強度が高くなる。この時、インクガイド14のインク案内溝26に沿って上昇し、絶縁性基板16の図1中下側の面の表面よりも上方に上昇したインクは反発力によってインクガイド14の先端部分から飛び出し、例えば−1.5kVにバイアスされている対向電極22に引っ張られて記録媒体P上に付着する。
【0042】
言い換えると、第2駆動電極20に常時印加される高電圧は、インクガイド14の先端部分の電界強度が、第1駆動電極18がグランドレベルの状態である場合には、インクがインクガイド14の先端部分から飛び出さない(非吐出)電界強度となり、かつ第1駆動電極18がハイインピーダンスの状態である場合には、インクがインクガイド14の先端部分から飛び出す(吐出)電界強度となるような電圧に設定する必要がある。
【0043】
上記のようにして、インクジェットヘッド10と対向電極22上に配置された記録媒体Pとを相対的に移動させながら記録を行うことにより、記録媒体Pに、画像データに対応する画像が記録される。
【0044】
本発明を適用するインクジェットヘッド10では、記録時に、FET34で高電圧をスイッチングしないので、FET34のスイッチングのために大電力を消費しない。従って、高精細かつ高速性が要求されるインクジェットヘッドにおいても消費電力を大幅に削減することができる。また、物理的に極めて高密度に個別電極および駆動回路を実装した場合であっても放電の危険性はほとんどなく、高密度実装と高電圧を安全に両立させることができる。
【0045】
なお、上記実施形態は2層電極構造であるが、前述の通り、3層以上の電極構造としてもよい。例えば、図6(a)に示すように、第1駆動電極18の図中上側の面に、絶縁性基板16と同等な第2の絶縁性基板40を設け、この第2絶縁性基板40の図中上側の面の表面に、全個別電極の間で共通にシート状に第3の駆動電極42を設けるようにしてもよい。この第3の駆動電極42は、記録時には、例えば−100V前後のマイナスの電圧レベルを常時印加する。なお、第3駆動電極42は、第1駆動電極18よりも記録媒体P側に配置されていればよい。
【0046】
これにより、インクガイド14の先端部分からインクが飛び出さない状態における電界を発生させやすくすることができる。また、これにより、記録媒体Pまでの安定した電場を提供することができるという効果もある。
【0047】
また、図6(b)に示すように、図6(a)に示すインクジェットヘッドにおいて、さらに泳動電極24を、個別電極の位置のヘッド基板12の内部に配置してもよい。この泳動電極24は、記録時には、例えば400V前後の電圧レベルを常時印加する。なお、泳動電極24は、インク流路30よりもヘッド基板12側に配置されていればよい。
【0048】
これにより、第1、第2および第3の駆動電極18,20,42を用いることで個々の個別電極の駆動電圧を下げることができることに加え、泳動電極24により、帯電された微粒子成分が第1〜第3の駆動電極の近傍に濃縮されるので、インクジェットヘッド全体として、小電力でも効率よくインクの吐出を制御できるという効果がある。
【0049】
以下、本発明を適用するインクジェットヘッドを用いてインクの吐出実験を実際に行った結果を示す。
【0050】
(実施例)
図7に示すインクジェットヘッド44を用いて、インクの吐出実験を行った。このインクジェットヘッド44は、図1に示すインクジェットヘッド10において、泳動電極24を使用せず、第2駆動電極20を、ヘッド基板12の内部に配置した構成のものである。インクの吐出実験は、第2駆動電極20を400V、対向電極を−1.5kVにバイアスした状態で行った。
【0051】
上記条件下において、第1駆動電極18がグランドレベルの時はインクが吐出せず、ハイインピーダンス状態の時にインクが吐出されることを確認した。すなわち、本発明の2層電極構造により、原理的にインクを吐出できることを確認することができた。
【0052】
また、図8(a)に示す本発明を適用するインクジェットヘッド46、および、同図(b)に示す従来のインクジェットヘッド48について、シミュレーションにより、インクガイド14の先端部分近傍の静電界分布を解析した。これらのインクジェットヘッド46および48は、それぞれ図1および図10に示すインクジェットヘッド10および50において、さらに、ヘッド基板12中に泳動電極24を備える構造のものである。
【0053】
静電界分布の解析に際しては、対向電極22の電圧レベルを−1.5kVとし、泳動電極24の電圧レベルを400Vとした。また、本発明を適用するインクジェットヘッド46では、第2駆動電極20の電圧レベルを600Vとし、第1駆動電極18を、ハイインピーダンス状態とグランドレベルとの間でスイッチングさせた。一方、従来のインクジェットヘッド48では、駆動電極52を400Vとグランドとの間でスイッチングさせた。
【0054】
両者46および48の解析結果のグラフを図9(a)および(b)に示す。これらのグラフの横軸は、インクガイド14の先端部分の図中横方向の距離(位置)を表す。グラフの縦軸は、インクガイド14の先端部分の各位置における電界強度を表す。また、図9に示すグラフにおいて、実線は、インク吐出(稼働)時の電界強度と距離との間の関係を表す結果であり、点線は、インク非吐出(停止)時の電界強度と距離との間の関係を表す結果である。
【0055】
このグラフに示す2つの山部の頂点がインクガイド14の三角形状の頂点の位置を表す。このグラフから分かるように、インクガイド14に形成されているインク案内溝26の間隔は約40μmである。電界強度は、インクガイド14の三角形状の頂点の部分で最も高くなり、インク案内溝26の部分および頂点の部分よりも外側の部分は、頂点からの距離に従って、頂点の部分よりも電界強度が低下していることが分かる。
【0056】
また、本発明を適用するインクジェットヘッド46と従来のインクジェットヘッド48は、インクガイド14の先端部分の電界強度の点について、ほぼ同等の特性が得られることが分かった。すなわち、インクの吐出時と非吐出時において、電界強度が明確に異なる2つの状態が得られることが分かった。この点からも本発明を適用するインクジェットヘッド46が、従来のインクジェットヘッド48と同等に、インクの吐出/非吐出を制御可能であることが分かる。
【0057】
言い換えると、本発明を適用するインクジェットヘッド46では、上記の通り、インクの吐出時と非吐出時において、電界強度が明確に異なる2つの状態が得られるようにすることこそが重要な点である。従って、第1および第2の駆動電極18,20の配置(位置関係)、第2駆動電極20のバイアス電圧、対向電極22のバイアス電圧、絶縁性基板16の厚さ、インクガイド14の形状、インク案内溝26の広さ等の関連するパラメータを適宜決定すればよい。
【0058】
本発明の静電吐出型インクジェットヘッドは、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明の静電吐出型インクジェットヘッドについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【0059】
【発明の効果】
以上詳細に説明した様に、本発明の静電吐出型インクジェットヘッドは、個別電極毎に設けられ、インクの流路よりも絶縁性基板側に配置された第1駆動電極と、全ての個別電極の間で共通に設けられ、第1駆動電極よりもヘッド基板側に配置された第2駆動電極とを備えており、画像の記録時に、第2駆動電極を、インクに含まれる微粒子成分と同極性の所定の電圧レベルにバイアスし、第1駆動電極を、画像データに応じて、ハイインピーダンス状態とグランドレベルとの間でスイッチングすることによりインクの吐出/非吐出を制御するようにしたものである。
これにより、本発明によれば、画像の記録時に、高電圧をスイッチングしないので、スイッチングのために大電力を消費しないため、高精細かつ高速性が要求されるインクジェットヘッドにおいても消費電力を大幅に削減することができる。また、本発明によれば、物理的に極めて高密度に個別電極および駆動回路を実装した場合であっても放電の危険性はほとんどなく、高密度実装と高電圧を安全に両立させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)および(b)は、本発明を適用する静電吐出型インクジェットヘッドの一実施形態の構成概念図および概略斜視図である。
【図2】 本発明を適用する静電吐出型インクジェットヘッドの駆動電極の配置を表す一実施形態の構成概念図である。
【図3】 (a)、(b)、(c)および(d)は、本発明を適用する静電吐出型インクジェットの第1および第2の駆動電極と泳動電極の配置を表す一実施形態の概念図である。
【図4】 本発明を適用する静電吐出型インクジェットヘッドの第1駆動電極の駆動回路の一実施形態の構成概念図である。
【図5】 (a)は、本発明を適用する静電吐出型インクジェットヘッドにおけるインクの非吐出時の状態、(b)は、本発明を適用する静電吐出型インクジェットヘッドにおけるインクの吐出時の状態を表す一実施形態の概念図である。
【図6】 (a)および(b)は、いずれも本発明を適用する静電吐出型インクジェットヘッドの別の実施形態の構成概念図である。
【図7】 吐出実験で使用した本発明を適用する静電吐出型インクジェットヘッドの一実施形態の構成概念図である。
【図8】 (a)は、本発明を適用する静電吐出型インクジェットヘッドの一実施形態の構成概念図、(b)は、従来の静電吐出型インクジェットヘッドの一例の構成概念図である。
【図9】 (a)は、本発明を適用する静電吐出型インクジェットヘッドにおける電界強度と距離との間の関係を表す一実施形態のグラフ、(b)は、従来の静電吐出型インクジェットヘッドにおける電界強度と距離との間の関係を表す一実施形態のグラフである。
【図10】 従来の静電吐出型インクジェットヘッドの一例の構成概念図である。
【図11】 従来の静電吐出型インクジェットヘッドの個別電極の駆動回路の一例の構成概念図である。
【符号の説明】
10,44,46,48,50 静電吐出型インクジェットヘッド
12 ヘッド基板
14 インクガイド
16,40 絶縁性基板
18,20,42,52 駆動電極
22 対向電極
24 泳動電極
26 インク案内溝
28 貫通孔
30 インクの流路
32 駆動回路
34 FET(電界効果トランジスタ)
36,38 抵抗素子
P 記録媒体

Claims (7)

  1. 帯電した微粒子成分を含むインクを用い、静電力を利用し、画像データに応じて前記インクの吐出/非吐出を制御し、前記画像データに対応した画像を記録媒体上に記録する静電吐出型インクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置であって、
    ヘッド基板と、個別に設けられた第1駆動電極と、これらの第1駆動電極に対して共通に設けられた第2駆動電極と、前記第1駆動電極毎に前記ヘッド基板上に配置されたインクガイドと、前記第1駆動電極毎に前記インクガイドの配置に対応する位置に貫通孔が開孔された絶縁性基板と、対向電極とを備え、
    前記ヘッド基板と前記絶縁性基板は所定の間隔を離して配置され、これらのヘッド基板と絶縁性基板との間には前記インクの流路が形成され、前記インクガイドは、前記絶縁性基板に開孔された貫通孔を通過し、その先端部分が前記絶縁性基板の前記記録媒体側の面の表面よりも突出され、前記第1駆動電極は、前記インクの流路よりも前記絶縁性基板側に配置され、前記第2駆動電極は、前記第1駆動電極よりも前記ヘッド基板側に配置され、
    前記対向電極は、前記インクガイドの先端部分に対向する位置に配置され、前記記録媒体は、前記対向電極の前記インクガイド側の面の表面に配置され、
    前記画像の記録時に、前記第2駆動電極を、前記インクに含まれる微粒子成分と同極性の所定の電圧レベルにバイアスし、前記対向電極を、前記第2駆動電極と逆極性の電圧レベルにバイアスし、前記第1駆動電極を、前記画像データに応じて、ハイインピーダンス状態とグランドレベルとの間でスイッチングすることにより、前記インクの吐出/非吐出を制御することを特徴とする静電吐出型インクジェット記録装置
  2. さらに、前記第1駆動電極に対して共通に設けられ、前記インクの流路よりも前記ヘッド基板側に配置された泳動電極を備え、
    前記画像の記録時に、前記泳動電極を、前記インクに含まれる微粒子成分と同極性の所定の電圧レベルにバイアスする請求項1に記載の静電吐出型インクジェット記録装置
  3. さらに、前記第1駆動電極に対して共通に設けられ、前記第1駆動電極よりも前記記録媒体側に配置された第3駆動電極を備え、
    前記画像の記録時に、前記第3駆動電極を、前記インクに含まれる微粒子成分とは逆極性の所定の電圧レベルにバイアスする請求項1または2に記載の静電吐出型インクジェット記録装置
  4. 前記記録媒体は、前記インクガイドの先端部分に対向する位置に配置された対向電極の表面に配置され、
    前記画像の記録時に、前記対向電極を、前記第2駆動電極に印加される電極とは逆極性の電圧レベルにバイアスする請求項1〜3のいずれかに記載の静電吐出型インクジェット記録装置
  5. 前記第1駆動電極は、前記絶縁性基板の、前記インクガイドの先端側の表面に設けられ、前記絶縁性基板に開孔された前記貫通孔の周囲を囲むリング状の電極であり、
    前記第2駆動電極は、前記絶縁性基板に前記第1駆動電極毎に開孔された前記貫通孔の部分を除く、前記絶縁性基板の、前記ヘッド基板側の裏面に設けられたシート状の電極である請求項1〜4のいずれかに記載の静電吐出型インクジェット記録装置
  6. 前記第1駆動電極は、前記絶縁性基板の、前記インクガイドの先端側の表面に設けられ、前記絶縁性基板に開孔された前記貫通孔の周囲を囲むリング状の電極であり、
    前記第2駆動電極は、前記ヘッド基板に設けられたシート状の電極である請求項1〜4のいずれかに記載の静電吐出型インクジェット記録装置
  7. 前記インクガイドの先端部分は、金属が蒸着されている部分を有する請求項1〜6のいずれかに記載の静電吐出型インクジェット記録装置
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